JP5401123B2 - 発泡樹脂成形品の成形方法 - Google Patents

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Description

この発明は、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を型開方向に動作させて、発泡スペースを確保した状態で発泡反応させて発泡樹脂成形品を所要形状に成形してなる発泡樹脂成形品の成形方法に係り、特に、製品内のエア残りを低減でき、外観性能並びに隣接部品に対する合わせ精度を高めた発泡樹脂成形品の成形方法に関する。
図10はドアパネル(図示せず)の室内面側に装着される自動車用ドアトリム1を示すもので、このドアトリム1は、軽量で耐衝撃性に優れ、かつコストも廉価なことから、ポリプロピレン(PP)樹脂内部に発泡剤を混入した発泡樹脂材料を所要形状に成形してなる発泡樹脂成形品が多く使用されている。
そして、この種発泡樹脂成形品を素材としたドアトリム1を所要形状に成形する従来の成形方法について、図11乃至図15を基に説明する。図11に示すように、ドアトリム1の成形方法に使用する成形金型2は、可動側金型3と固定側金型4が相互に型締め、型開き可能に配置されており、可動側金型3と固定側金型4との型締時、ドアトリム1の製品形状に対応するように両金型間で製品キャビティCが画成されている。また、固定側金型4には、製品キャビティCに発泡樹脂材料Mを供給するための樹脂供給通路4aが設定されているとともに、固定側金型4には、外部からのエア供給機構、あるいはエア排出機構と接続するエア注入管5及びエア排出管6が設けられ、エア注入管5から製品キャビティC内にエアが注入され、エア排出管6を通じて製品キャビティC内からエアが外部に排出されることにより、製品キャビティC内のエア圧を適正に制御することができる。また、製品キャビティCの外周には、シール部7が設けられている。
そして、上記成形金型2を使用して発泡樹脂成形品であるドアトリム1を成形する従来例について、図12のチャート図、図13乃至図15の工程説明図を基に説明する。まず、図13に示すように、可動側金型3と固定側金型4が型締めされた状態で外部のエア供給機構からエア注入管5を通じて製品キャビティC内にエアが注入される。そして、エアを注入した状態で樹脂供給通路4aから発泡樹脂材料Mが製品キャビティC内に射出充填される。この時、製品キャビティC内のエア圧はエア注入管5からエアが注入されているため、発泡反応を抑制した状態で発泡樹脂材料Mが製品キャビティCの隅々まで供給される。
次いで、製品キャビティC内に発泡樹脂材料Mを射出充填した後、余剰のエアを外部に排出することが必要であるため、図14に示すように、エア排出管6を通じて製品キャビティC内の残留エアを外部に排出し、その後、図15に示すように、可動側金型3を型開方向に所定ストローク動作させて、製品キャビティC内のエア圧を下げることで発泡樹脂材料Mを有効に発泡反応させて、所定厚みのドアトリム1を精度良く成形している。上記発泡樹脂成形品であるドアトリム1における成形金型2の構造、並びに成形金型2を使用したドアトリム1の成形方法の従来例については、特許文献1に詳細に示されている。
特開2005−7818号公報
このように、従来の発泡樹脂成形品であるドアトリム1の成形方法は、可動側金型3と固定側金型4との型締めにより画成される製品キャビティC内に、発泡樹脂材料Mを射出充填するが、その前にエア注入管5を介してエアを注入することにより、発泡反応を抑えた状態で発泡樹脂材料Mを射出充填することができる。その後、型内に留まったエアをエア排出管6を通じて型外に排出し、可動側金型3を型開操作して、発泡樹脂材料Mを発泡させるという構成を採用している。
しかしながら、従来方法では、製品キャビティC内のエアを排出する手段としてエア排出管6を使用するため、エアの排出効率が悪く、図15に示すように、エア排出管6の設定部位から遠隔した部分でエア残りが発生し易く、また、可動側金型3を型開操作する前段階で製品キャビティC内のエアはエジェクタピン周り等から漏れ易く、エア圧が自然に低下する傾向があった。従って、従来方法では製品キャビティC内のエア圧にバラツキが生じるため、外観不良が発生し易く、見栄えの低下を招くとともに、隣接部品に対する合わせ精度についても好ましいものではなかった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、型内にエアを注入した後、発泡樹脂材料を製品キャビティ内に射出充填し、その後、型内のエアを外部に排出するとともに、可動側金型を型開方向に移動させて所要厚みの発泡樹脂成形品を成形する発泡樹脂成形品の成形方法であって、製品内のエア残りを確実に防止することで、外観性能並びに隣接部品に対する合わせ精度を高めた発泡樹脂成形品の成形方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明者等は鋭意研究の結果、成形金型を型締めした後、製品キャビティ内へのエア注入を開始し、発泡樹脂材料の射出充填工程及び可動側金型の型開操作工程が完了して、冷却工程に移行する前迄エア注入を継続することで、製品キャビティ内のエア圧を適正に制御するとともに、従来の排出管を廃止して、金型外周シール部よりエアを外部に排出することにより、製品内のエア残りが解消されることに着目し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、可動側金型と固定側金型との間に画成される製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、この発泡樹脂材料を発泡させて所要形状に成形してなる発泡樹脂成形品の成形方法において、可動側金型と固定側金型を型締めした後、外部のエア供給機構から製品キャビティ内にエアを注入し、製品キャビティ内にエア圧を加えた状態で製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填工程と、発泡樹脂材料を製品キャビティ内に射出充填した後、製品キャビティ内にエアを継続して注入することにより製品キャビティ内のエア圧を0.3〜1.0MPaにキープするエア圧調整工程と、可動側金型を型開操作するとともに、製品キャビティの外周からエアを型外に排出して製品キャビティ内のエア圧を下げた状態で発泡反応を行なわせ、所要厚みの発泡樹脂成形品を成形する発泡樹脂成形品の発泡成形工程と、からなり、前記発泡成形工程では、前記可動金型の型開操作の開始からその操作の完了まで、製品キャビティ内へのエア注入を継続することを特徴とする。
ここで、本発明方法に使用される成形金型は、型締め、型開き方向に所定ストローク移動可能な可動側金型と、この可動側金型との間で所要形状の製品キャビティが形成できる固定側金型と、から大略構成されており、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出機側から供給する樹脂供給通路が固定側金型に設けられている。また、固定側金型には、製品キャビティ内にエアを注入するエア注入管が設けられているとともに、製品キャビティの外周に沿ってシール部が設定され、このシール部は、昇圧された状態(エア圧:1.0MPa)でエア漏れがなく、0.5mm以上可動側金型が型開放された際、製品キャビティ内のエアが型外に排出され、製品キャビティ内のエア圧が0kgf/cm2 になるシール構造が採用されている。
そして、本発明方法は、可動側金型と固定側金型とを型締めした後、両金型間で形成される製品キャビティ内にエア注入管を通じてエアを注入し、製品キャビティ内にエア圧を加えた状態で樹脂供給通路を経て発泡樹脂材料を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填工程と、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後もエア注入管からエアを製品キャビティ内に注入し続け、製品キャビティ内のエア圧を0.3〜1.0MPaでキープするエア圧調整工程と、その後、可動側金型を型開方向に0.5mm以上型開操作させて、発泡スペースを確保しながら製品キャビティ外周に設けたシール部よりエアを外部に排出し、発泡樹脂材料を発泡反応させて、所要厚みの発泡樹脂成形品を成形する発泡成形工程とから構成されている。そして、可動側金型を型開操作する前の製品キャビティ内のエア圧を0.3〜1.0MPaでキープするが、その際、エア圧が0.3MPa未満では圧が低いためにエア残りが改善されない不具合があり、逆に、エア圧が1.0MPaを超えた場合には圧が高過ぎるため発泡樹脂材料の流動性が悪化することが懸念される。
以上の構成から明らかなように、本発明方法は、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、製品キャビティ内のエア圧を0.3〜1.0MPaでキープするとともに、その後、可動側金型を型開操作しながら製品キャビティ外周のシール部からエアを外部に排出させるため、製品内のエア残りを抜本的に解決することができる。
以上説明した通り、本発明に係る発泡樹脂成形品の成形方法は、可動側金型と固定側金型とで画成される製品キャビティ内にエアを注入した後、発泡樹脂材料を射出充填し、充填後についても、エアの注入を継続し、エア圧を0.3〜1.0MPaでキープし、次いで、可動側金型を型開方向に可動させながら製品キャビティ外周に沿って設けたシール部よりエアを外部に排出して発泡樹脂材料の発泡反応を行なわせるというものであるから、発泡前の製品キャビティ内のエア圧のバラツキをなくし、かつ従来の排出管を廃止することで、排出管に対する遠隔部分でのエア残りを改善できる。従って、エア残りによる外観不良を有効に解決することができ、外観性能を向上させるとともに、隣接部品に対する合わせ精度を高めることができるという効果を有する。
本発明方法を適用して成形したドアトリムロアを備えた自動車用ドアトリムを示す正面図である。 図1中II−II線断面図である。 本発明方法に使用する成形金型の一実施例の構成を示す全体図である。 図3に示す成形金型におけるシール部の構造を示す説明図である。 本発明方法に使用する成形金型の動作を示すチャート図である。 本発明方法における製品キャビティ内へのエア注入時の状態を示す説明図である。 本発明方法における製品キャビティ内への発泡樹脂材料の射出充填工程を示す説明図である。 本発明方法におけるエア圧調整工程を示す説明図である。 本発明方法における可動側金型の型開操作による発泡反応工程を示す説明図である。 従来のドアトリムを示す正面図である。 従来のドアトリムを成形する成形方法に使用する成形金型を示す全体図である。 従来の成形金型の動作を示すチャート図である。 従来のドアトリムの成形方法における発泡樹脂材料の射出充填工程を示す説明図である。 従来のドアトリムの成形方法におけるエアの排出工程を示す説明図である。 従来のドアトリムの成形方法における発泡反応工程を示す説明図である。
以下、本発明に係る発泡樹脂成形品の成形方法の具体的な実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
図1乃至図9は本発明の一実施例を示すもので、図1,図2は本発明方法により成形したドアトリムを示す正面図並びに断面図、図3は本発明方法に使用する成形金型の概略構成を示す説明図、図4は同成形金型におけるシール部の構成を示す説明図、図5は同成形金型の動作を示すチャート図、図6乃至図9は本発明方法の各工程を示す説明図である。
図1,図2において、自動車用ドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30の上下二分割体から構成されている。上記ドアトリムアッパー20にはインサイドハンドルエスカッション11、また、乗員が肘を載せるアームレスト部にはプルハンドル12やパワーウインドウスイッチフィニッシャー13が取り付けられている。一方、ドアトリムロア30には備品を収容できるポケット開口14が開設されているとともに、そのフロント側にスピーカグリル15がドアトリムロア30と一体、または別体に設けられている。
更に、上記ドアトリムアッパー20及びドアトリムロア30において、図2に示すように、ドアトリムアッパー20は樹脂芯材21の表面に表皮22を貼付してなる積層構造体から構成されており、樹脂芯材21の素材となる合成樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等から適宜選択されて良く、また、所望により合成樹脂にタルク、クレイ、木粉等のフィラーを混入しても良い。一方、表皮22は、TPO(サーモプラスチックオレフィン)に代表される熱可塑性エラストマー樹脂等の合成樹脂シート、あるいはTPOシート裏面にポリエチレンフォーム等のクッション層を裏打ちした積層シート材料等の合成樹脂シートが使用できる。また、ドアトリムアッパー20を所要形状に成形するには、射出成形工法、モールドプレス成形工法が量産性を考慮した場合好適である。すなわち、成形金型内に表皮22をセットし、型締め後、あるいは型締め直前に溶融樹脂に射出充填することで、樹脂芯材21を所望の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材21の表面側に表皮22を一体貼着することができる。
一方、ドアトリムロア30は、本発明では発泡樹脂成形品が使用されており、合成樹脂中に発泡剤が混入されている。例えば、使用できる合成樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等があり、この合成樹脂に対して、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤を混入したものを使用している。
そして、図1,図2に示すドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との外観上のアクセント効果により良好な製品外観が得られ、成形金型のコンパクト化を図るとともに、特に、ドアトリムロア30を発泡樹脂成形品から構成することで、軽量化にも大きく貢献している。
ところで、このドアトリムロア30は、発泡樹脂成形品を素材として形成されており、良好な外観性能並びにパネルや相手部品に対する良好な合わせ精度が確保されている。以下、ドアトリムロア30(発泡樹脂成形品)の成形方法に使用する成形金型40の構成について、図3,図4を基に説明する。
本発明方法に使用する成形金型40は、可動側金型50と固定側金型60とから大略構成されている。上記可動側金型50は、プレス機51により所定ストローク上下動作を行ない、固定側金型60に対して型締め、型開きが行なわれる。固定側金型60には、発泡樹脂材料を供給するための樹脂供給通路61が設けられており、図示しない射出機に接続されている。更に、可動側金型50と固定側金型60とが型締めされてドアトリムロア30の製品形状に合致する製品キャビティCが画成され、製品キャビティC内にエアを注入するためのエア注入管62が固定側金型60に配管されているとともに、製品キャビティCの外周に沿ってシール部70が設けられている。このシール部70の構成としては、可動側金型50には外周溝71、固定側金型60には外周凸条72が対応するように設けられ、外周溝71内に中空ゴム等のシール部材73が介挿されており、シール部70の構成としては、図4に示すように、可動側金型50が下死点に到達した際の型締め状態においては良好なシール機能が達成でき、エアタイト状態が維持されるとともに、ドアトリムロア30の発泡反応時においては可動側金型50が型開方向に0.5mm以上型開操作されればエアが型外に排出され、エア圧が0kgf/cm2 になるように構成されている。
次いで、上記成形金型40を使用してドアトリムロア30を成形する各工程について詳細に説明する。始めに、図5のチャート図を基に成形金型40の動作について簡単に説明する。まず、可動側金型50が下死点まで下降して、可動側金型50と固定側金型60との型締めが行なわれ、その後、発泡樹脂材料Mが射出充填される。更に、可動側金型50が型開操作され、発泡スペースが確保されて発泡成形が行なわれる。そして、本発明方法では、成形金型40の型締めとほぼ同時に製品キャビティC内にエアの注入が開始され、エアの注入は、図5のチャート図に示すように、発泡樹脂材料Mの冷却工程前まで継続される。従って、製品キャビティC内は常にエア圧が加わった状態に維持されるとともに、常時エアが注入され続けているため、エアの流れが常にあり、外周へのエアの流れもスムーズになるという利点がある。
次に、ドアトリムロア30を成形する成形工程における各工程について順次説明する。まず、図6に示すように、可動側金型50は、プレス機51の駆動により、下死点まで下降して、固定側金型60に対して型締め状態となり、この状態で外部のエア供給機構からエア注入管62を通じて製品キャビティC内にエアが注入され、製品キャビティC内のエア圧が適正値に調整される。尚、可動側金型50と固定側金型60とが型締め状態にある時、製品キャビティCの外周に設けられているシール部70のシール機能により、製品キャビティCから外部にエアが漏れることはない。
そして、製品キャビティC内のエア圧を適正に保った状態で、図7に示すように、図示しない射出機から樹脂供給通路61を通じて発泡樹脂材料Mが製品キャビティC内に射出充填される。ここで、製品キャビティC内へのエア注入は、図5のチャート図に示すように継続されているため、製品キャビティC内のエア圧が適正値に保たれている。従って、発泡樹脂材料Mが製品キャビティC内に流動する際、カウンタープレッシャー作用により、発泡反応を抑制した状態で発泡樹脂材料Mが製品キャビティCの隅々まで隈なく充填される。
次いで、図8に示すように、発泡樹脂材料Mが製品キャビティC内に射出充填された後においても、エア注入が継続されており、製品キャビティC内のエア圧を0.3〜1.0MPaでキープする。この時、エア圧が0.3MPa未満の場合にはエア残りが改善されず、逆に、エア圧が1.0MPaを超えた場合には圧が高過ぎるため発泡樹脂材料Mの流動性が悪化することが懸念される。従って、エア圧を0.3〜1.0MPaで維持することが必要不可欠となる。そして、エア圧を上記適正値に保った状態で、図9に示すように、可動側金型50を本実施例では0.5mm以上上昇させるとともに、シール部70を通じてエアを外部に排出させる。この時、可動側金型50が型開操作を完了するまで製品キャビティC内へのエア注入が継続されているため、常時エアの流れが確保され、シール部70を通じてエアが外部に排出される流れもスムーズなものとなる。
このように、本発明方法においては、可動側金型50を型開操作する前に製品キャビティC内のエア圧を0.3〜1.0MPaでキープすることと、可動側金型50を型開操作する際、金型外周に設けたシール部70を通じてエアを外部に排出することで、ドアトリムロア30を発泡成形する際のエア残りを抜本的に解決でき、外観性能の向上と隣接部品に対する合わせ精度を高めることができる。エア残りが改善される理由としては、図8に示すエア圧調整工程で、製品キャビティC内のエア圧を0.3〜1.0MPaにキープすることで、エア圧のバラツキをなくすとともに、従来の排出管を廃止して、金型外周のシール部70を通じてエアを排出することで、排出管から遠隔する部分でのエア残りがなくなり、かつ常時エアの流れを形成できるためと考えられる。
本発明方法は、上下二分割構造のドアトリム10におけるドアトリムロア30の成形に適用したが、適用対象は、ドアトリムロアに限定されることなく、発泡樹脂成形品全般に適用できる。
10 自動車用ドアトリム
20 ドアトリムアッパー
30 ドアトリムロア
40 成形金型
50 可動側金型
51 プレス機
60 固定側金型
61 樹脂供給通路
62 エア注入管
70 シール部
71 外周溝
72 外周凸条
73 シール部材
C 製品キャビティ
M 発泡樹脂材料

Claims (2)

  1. 可動側金型(50)と固定側金型(60)との間に画成される製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填した後、この発泡樹脂材料(M)を発泡させて所要形状に成形してなる発泡樹脂成形品(30)の成形方法において、
    可動側金型(50)と固定側金型(60)を型締めした後、外部のエア供給機構から製品キャビティ(C)内にエアを注入し、製品キャビティ(C)内にエア圧を加えた状態で製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填する発泡樹脂材料(M)の射出充填工程と、
    発泡樹脂材料(M)を製品キャビティ(C)内に射出充填した後、製品キャビティ(C)内にエアを継続して注入することにより製品キャビティ(C)内のエア圧を0.3〜1.0MPaにキープするエア圧調整工程と、
    可動側金型(50)を型開操作するとともに、製品キャビティ(C)の外周からエアを型外に排出して製品キャビティ(C)内のエア圧を下げた状態で発泡反応を行なわせ、所要厚みの発泡樹脂成形品(30)を成形する発泡樹脂成形品(30)の発泡成形工程と、からなり、
    前記発泡成形工程では、前記可動金型(50)の型開操作の開始からその操作の完了まで、製品キャビティ(C)内へのエア注入を継続すること
    ことを特徴とする発泡樹脂成形品の成形方法。
  2. 前記エア圧調整工程では、製品キャビティ(C)内のエア圧が1.0MPaの時、シール部(70)からのエア漏れがなく、次工程の可動側金型(50)を型開方向に0.5mm以上型開操作させた際、シール部(70)からエアが排出され、製品キャビティ(C)内のエア圧が0kgf/cm2 になることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂成形品の成形方法。
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