JP5400666B2 - 含フッ素有機ケイ素化合物及びその製造方法 - Google Patents

含フッ素有機ケイ素化合物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な含フッ素有機ケイ素化合物及びその製造方法に関し、詳細には、界面活性剤として用いたときに表面張力を著しく下げることができる含フッ素有機ケイ素化合物に関する。
従来、含フッ素界面活性剤として、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸(PFOS)、又はパーフルオロオクタン酸(PFOA)にアミド基又はエステル基を介してポリエーテル基を結合させたものが知られている。しかし、該含フッ素界面活性剤は、環境汚染を引き起こす懸念が指摘されており、それらを使用することに関して法的あるいは自主的な規制が強化されつつある。
有機溶剤等に添加した際に表面張力を著しく下げることのできる含フッ素有機ケイ素化合物として下記式で表される含フッ素有機ケイ素化合物及びその製造方法が開示されている(特許文献1)。
Figure 0005400666
(式中、Rfは独立に炭素原子数4〜14のパーフルオロアルキル基又は炭素原子数5〜14のパーフルオロポリエーテル基であり、Qは独立にエチレン基及び/又はプロピレン基がエーテル結合で繰り返し結合されてなるポリエーテル基であり、Rは独立に水素原子、アリル基、炭素原子数1〜4のアルキル基及び炭素原子数2〜3のアシル基からなる群から選ばれる1価の炭化水素基又は原子であり、L及びmはそれぞれ独立に0又は1であり、nは独立に1又は2、xは2又は3であり、Meはメチル基である)
特開平9−241381
しかし、上記化合物は、主鎖のシリコーン鎖の分子量が大きく、かつ分子中に2つのパーフルオロポリエーテル基を有する為、分子全体の分子量が大きくなり、有機溶剤等に対する溶解性が十分ではなかった。そこで本発明は、特開平9−241381に開示されている含フッ素有機ケイ素化合物と同等またはそれ以上の高い表面張力低下能を有し、かつ種々の溶剤に対し優れた溶解性を有する含フッ素有機ケイ素化合物及び含フッ素界面活性剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、環状テトラシロキサンまたは環状ペンタシロキサンに、含フッ素有機基及びポリエーテル基を順次導入することにより分子量の小さいシロキサンを主鎖とした新規の含フッ素有機ケイ素化合物を提供でき、該含フッ素有機ケイ素化合物が高い表面張力低下能を有し、かつ各種溶剤に対し優れた溶解性を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1):
Figure 0005400666
(式中、Rfは互いに独立に、1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、Zは単結合、又は酸素原子、ケイ素原子及び/又は窒素原子を含んでいてよい炭素原子数1〜20の2価の有機基であり、Qは互いに独立に、エチレン基及び/又はプロピレン基がエーテル結合で繰り返し結合されてなるポリエーテル基であり、Rは互いに独立に、水素原子又は、アリル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、及び炭素原子数2〜3のアシル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、Rは水素原子または水酸基であり、aは1〜2、bは1〜3、cは0〜2であり、但しa+b+cの合計が4または5であり、xは1又は2である)
で表される含フッ素有機ケイ素化合物及び、該含フッ素有機ケイ素化合物の製造方法並びに該含フッ素有機ケイ素化合物より成る界面活性剤を提供する。
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、主鎖となるシロキサンの分子量が小さく、各種溶剤に対する優れた溶解性を有し、さらに溶剤の表面張力を著しく下げることができるため含フッ素界面活性剤として有用である。
実施例1で製造した化合物のH−NMRチャートである。 実施例1で製造した化合物のIRスペクトルである。
含フッ素有機ケイ素化合物
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は上記一般式(1)で示される。本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、含フッ素有機基による疎水性とポリエーテル基による親水性を有する化合物である。上記式(1)において、Rfは互いに独立に、1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、炭素原子数4〜14、好ましくは4〜10、より好ましくは6〜9のパーフルオロアルキル基、又は炭素原子数5〜18、好ましくは8〜11のパーフルオロポリエーテル基であるのがよい。このような含フッ素有機基を導入することにより、有機ケイ素化合物に疎水性を付与することができる。炭素数が前記上限値より多いと、界面活性剤として用いる際に、全体の分子量が大きくなってしまうため、溶剤に対する溶解性が低下し好ましくない。また、炭素数が上記下限値より少ないとフッ素基の特徴が十分に発現せず高い界面活性を得ることができない。
パーフルオロアルキル基としては、下記に示す基が挙げられる。尚、本発明のパーフルオロアルキル基は分子鎖中に分岐を有していてもよい。
Figure 0005400666
(式中、kは4〜14の整数、好ましくは4〜10の整数、より好ましくは6〜9の整数である)
具体的には、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ノナデカフルオロノニル基、ヘンエイコサフルオロデシル基、7−トリフルオロメチルヘキサデカフルオロオクチル基、5−トリフルオロメチルドデカフルオロヘキシル基等が挙げられ、好ましくはノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基である。
パーフルオロポリエーテル基としては、下記に示す基が挙げられる。
Figure 0005400666
Figure 0005400666
(式中、yは1〜5の整数である)
中でも、下記に示す基であることが好ましい。
Figure 0005400666
Zは単結合、又は酸素原子、ケイ素原子及び/または窒素原子を含んでいてよい炭素原子数1〜20、好ましくは1〜14、より好ましくは1〜10の2価の有機基(即ち、酸素、ケイ素、窒素原子から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてよい2価の連結基)である。例えば、アミド、エーテル、エステル結合、ジメチルシリレン基等を有する基が挙げられ、環状構造、脂肪族及び/又は芳香族の不飽和結合を有する基であってもよい。中でも下記に示す基であることがよい。
Figure 0005400666
Rfがパーフルオロアルキル基である場合には、Zはエーテル結合を含まないことが好ましい。この場合の−(CH)x−CH−Z−Rfで示される基としては、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ナノフルオロヘキシル基等が挙げられる。
Rfがパーフルオロポリエーテル基である−(CH)x−CH−Z−Rfで示される基としては、6−トリフルオロメチル−6,8,8,9,9,10,10,10−オクタフルオロ−4,7−ジオキサデシル基、6,9−ビス(トリフルオロメチル)−6,8,8,9,11,11,12,12,13,13,13−ウンデカフルオロ−4,7,10−トリオキサトリデシル基、6,9,12−トリス(トリフルオロメチル)−6,8,8,9,11,11,12,14,14,15,15,16,16,16−テトラデカフルオロ−4,7,10,13−テトラオキサデシル基等が挙げられる。
一般式(1)において、Qは互いに独立に、エチレン基及び/又はプロピレン基がエーテル結合で繰り返し結合されてなるポリエーテル基である。これにより、本発明の含フッ素有機ケイ素化合物に親水性が付与される。該ポリエーテル基は、エチレングリコールの単独重合鎖、プロピレングリコールの単独重合鎖、両者の共重合(ブロック重合、ランダム重合)鎖のいずれでもよく、該含フッ素有機ケイ素化合物の用途に応じて適宜選択される。
ポリエーテル基の重合度は、通常、含フッ素有機基との均衡を考慮して決定されればよく、エチレングリコールを単独重合鎖として用いるときには、重合度は好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12である。また、エチレングリコールより親水性の低いプロピレングリコールを単独重合鎖として用いるときには、高重合度の重合鎖であるものが好ましく、より好ましくは重合度が100〜200のものである。また、プロピレングリコールとエチレングリコールとの共重合鎖の場合には、重合度は10〜100、より好ましくは10〜50であり、ポリエーテル基全体に占めるプロピレングリコールの含有量が0〜50モル%、好ましくは2〜10モル%となる量で重合しているものがよい。
Qとしては、下記の基などが挙げられる。
Figure 0005400666
(式中、nは3〜20の整数、mは100〜200の整数である。)
Figure 0005400666
(式中、s及びtは、s+tが10〜100となる整数。)
一般式(1)中、Rは互いに独立に、水素原子、又はアリル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、及び炭素原子数2〜3のアシル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、好ましくは水素原子、メチル基及びブチル基である。Rは水素原子または水酸基である。
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物として、以下のものを例示することができる。なお、下記の例示式における各シロキサン単位の繰返し数は平均値である。
Figure 0005400666
Figure 0005400666
Figure 0005400666
含フッ素有機ケイ素化合物の製造方法
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンまたは2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサンに、下記式(2)で示されるオレフィン化合物(以下、「含フッ素オレフィン化合物」と称する)、
Figure 0005400666
(式中、Rf、Z、xは前記と同じ意味である)
及び下記式(3)で示されるオレフィン化合物(以下、「オレフィン化合物」と称する)
Figure 0005400666
(式中、Q、Rは前記と同じ意味である)
を順次付加反応させることにより製造することができる。
(i)含フッ素オレフィン化合物の付加反応
下記式(4)で示される2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、または下記式(5)で示される2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサンと上記式(2)の含フッ素オレフィン化合物を付加反応触媒、例えば白金系触媒、の存在下で付加反応させる。含フッ素オレフィン化合物は、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンまたは2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサン1モルに対し、0.2〜2.0モル、好ましくは0.2〜1.0モル、より好ましくは0.2〜0.5モルとなる量で付加反応させるのがよい。
Figure 0005400666
Figure 0005400666
白金系触媒は、ヒドロシリル化に用いられる従来公知のものを使用でき、例えば塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金/ビニルシロキサン錯体、白金黒、塩化白金酸とオレフィン又はアルデヒドとの錯体が挙げられる。中でも、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸及び白金/ビニルシロキサン錯体が高活性である点で好ましい。白金系触媒の使用量は、反応液全体に対して、通常、1〜100ppm(白金重量換算)でよい。反応温度は60℃〜140℃、好ましくは80℃〜120℃である。反応時間は1〜20時間、好ましくは2〜6時間である。反応終了後、未反応の2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンまたは2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサンを蒸留により取り除くことで、下記式(6)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0005400666
(式中、dは1または2、eは2〜4の数、但しd+eは4または5である。X、Z、Rfは前述の通り。)
上記反応は、必要に応じて溶媒を用いてもよい。該溶媒は、溶質と反応しないものであれば特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン類等が挙げられる。
(ii)オレフィン化合物との付加反応
次に上記式(6)の化合物と上記式(3)のオレフィン化合物を付加反応触媒、例えば白金系触媒、の存在下で付加反応させる。オレフィン化合物は、式(6)の化合物の水素ガス発生量から求めたSi−H基1当量に対し1.0〜2.5当量、好ましくは1.1〜1.7当量となる量で反応させるのがよい。反応は、例えば、白金系触媒とオレフィン化合物を予め混合しておいた中に、式(6)の化合物を添加することで行うことができる。白金系触媒としては前述と同じものを使用することができる。
反応温度は60℃〜140℃、好ましくは80℃〜120℃である。反応時間は1〜20時間、好ましくは2〜6時間である。得られた生成物は、褐色を帯びているので、脱色するために活性炭等の吸着剤を用いて処理してもよい。当該方法により上記一般式(1)の含フッ素有機ケイ素化合物を得ることができる。
また、上記方法で生成した含フッ素有機ケイ素化合物は、分子中に残存するSi−H基を加水分解することにより、Si−OHに変換してもよい。加水分解は、上記付加反応後の混合物に水を添加し、20〜40℃にて1〜20時間反応させて行う。この時、付加反応にて用いた白金系触媒が加水分解の触媒として働くが、反応を促進したい場合にはさらに触媒を添加しても良い。添加する触媒としては、パラジウム又は白金を炭素、アルミナ等に担持させたもの、及びジエチルヒドロキシルアミン等のアルキルヒドロキシルアミンが好ましい。
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、界面活性剤として、様々の溶剤、特に有機溶剤に添加して用いることができる。この場合、有機溶剤としては、例えばイソプロピルアルコール、乳酸エチル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、γ―ブチロラクトン等が挙げられる。尚、この時、含フッ素有機ケイ素化合物の濃度は、0.01〜10質量%とすることが好適である。
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は有機溶剤の表面張力を著しく下げることができ、含フッ素界面活性剤として有用である。含フッ素界面活性剤として使用する際には、一般式(1)で表される含フッ素有機ケイ素化合物を、1種単独でも適宜2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の含フッ素界面活性剤は、種々の液体、特に有機溶剤に添加された際に、湿潤性、浸透性、展着性、泡安定性、流動性、乳化性、分散性、撥水撥油性を付与したり、向上させたりする能力に優れるため、以下の用途が期待される。すなわち、プラスチック及びゴム工業分野における重合用乳化剤、ラテックスの安定剤、粉末フルオロカーボンポリマー凝集物の調製助剤、展着又は塗装むらを制御する発泡添加剤、グリースに撥水撥油性を付与するための添加剤、ポリオレフィンの内部帯電防止剤及び粘着防止剤;石油工業分野における油貯蔵装置からの重質油回収に際しての流動性の改善用添加剤、潤滑油の耐摩耗性向上のための添加剤、ガソリンの気化器中での氷結防止用添加剤、フィルム形成によるガソリン、ジェット燃料の蒸発抑制剤;繊維工業分野における溶融防止工程の改善のための流動性向上用添加剤、20羊毛の炭化助剤、紡糸サイジング工程での合成糊剤PVA水溶液の表面張力低下用添加剤、マーセル化助剤、染色仕上げ助剤;染料及び顔料工業分野における顔料の着色性及び分散性向上用助剤、塗料欠陥是正のための流展性及びへこみ防止性付与剤、塗料中の溶剤の蒸発速度の調整剤;金属及び機械工業分野における光沢処理浴の添加剤、金属エッチング用添加剤、はんだフラックス用添加剤、腐蝕抑制剤、めっきのミスト防止剤;製薬及び農薬分野における殺菌剤の浸透性改良剤、助走剤及び殺虫剤の湿潤性改良剤、乳化、分散及び展着性改良剤;家庭用品分野におけるクリーナ品への添加剤、艶出剤へのレベリング向上剤、化粧品用添加剤、帯電防止剤;写真及び印刷分野におけるインクの流動性及び流展性付与のための添加剤、写真乳剤のレベル剤、フィルムの帯電防止剤、フィルム乾燥助長剤等を例示するこができる。
さらに、本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、製造工程においてアルカリ金属塩類を使用しないためアルカリ金属類の含有率が低いことから、アルカリ金属の混入を嫌う用途、特に半導体、液晶ディスプレイ、電子デバイス等の製造工程で用いられるレジスト組成物のレベリング剤として有用である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記式(8)、(9)における各シロキサン単位の繰返し数は平均値である。
[実施例1]
冷却管及び温度計を具備する内容積500mLの四つ口フラスコに、下記式(7)
Figure 0005400666
で示される2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン195gを仕込み、95℃まで昇温した。
次に、下記式(8)
Figure 0005400666
で示される含フッ素オレフィン化合物140gと、白金/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金金属0.5%含有)0.8gとの混合溶液を調製した。該混合溶液を上記フラスコ中に30分間かけて滴下し、105℃で6時間保持した後、25℃まで冷却した。反応後溶液を、ロータリーエバポレーターを用い90℃下5mmHgにて濃縮し、下記式(9)で示される化合物187gを得た。
Figure 0005400666
次に、上記式(9)の化合物100g(Si−H基含有量:2.93×10−3mol/g)を500mlフラスコに仕込み、95℃に昇温した。そして、分子鎖の各末端がアリル基及びメチル基で封止されたポリエチレンオキシド(平均重合度3)83gと、白金/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金金属0.5%含有)0.7gとの混合物を調製した。この混合物を500mlフラスコに30分間かけて滴下した後、105℃の温度で6時間保持した。反応終了後、室温まで冷却し、粉状活性炭2gを加えて攪拌し、次いでろ過し、淡褐色透明のオイル状生成物172gを回収した。
この生成物をH−NMR及びIRにて分析した結果、下記式(10)に示す構造であることがわかった。
Figure 0005400666
H−NMR及びIRは以下の装置を使用した。結果を図1及び図2に示す。
H−NMR:JNMLA300WB(日本電子製)
IR:Spectrum 100 FT−IR(パーキン エルマー製)
図1において、H−NMRのケミカルシフトは、Si−CH:0.0〜0.10ppm、Si−CH−:0.43ppm、−CH−:1.52ppm、O−CH:3.30ppm、O−CH−:3.30〜3.70ppmである。
図2において、IRの特性吸収は、−CF−CF(CF)−:991.7cm−1、C−F:1000〜1100cm−1、Si−O:1000〜1100cm−1、−CF−:1200.1cm−1、Si−CH:1239.5cm−1、−CF:1302.7〜1350.1cm−1、C−H:2870.3cm−1である。
[比較例1]
特開平9−241381の含フッ素有機ケイ素化合物を比較例として用いた。
冷却管及び温度計を具備する内容積500mLの四つ口フラスコに、下記式(11)
Figure 0005400666
で表される化合物100g、及びトルエン100gを仕込み、内温95℃まで昇温した。次に、分子鎖の各末端がアリル基及びメチル基で封止されたポリエチレンオキシド(平均重合度3)79gと、白金/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金として0.5%含有)0.8gとの混合物を調製した。該混合物を上記式(11)のトルエン溶液に30分間かけて滴下し、105℃で15時間保持した後、40℃まで冷却した。
次いで、得られた反応混合物を45℃に加温し、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液3mlを加え1時間攪拌した後、1mol/Lの塩酸3.3mlを加えた。有機層を取り出し105℃/10mmHg下で揮発分を留去し、茶褐色のオイル状液体を得た。粉末の活性炭1.7gを加えて攪拌、ろ過を行い、淡褐色透明のオイル状生成物161gを回収した。この生成物をH−NMR及びIRにて分析した結果、下記式(12)に示す構造であることがわかった。
Figure 0005400666
[表面張力の測定]
実施例及び比較例にて得られた化合物の、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の0.1質量%溶液及び1.0質量%溶液を調製した。これらの溶液に関して、表面張力をウイルヘルミー式表面張力計A3型(協和界面科学製)により測定した。結果を表1に示した。
Figure 0005400666
[溶解性の評価]
実施例及び比較例にて得られた化合物を、表2に示す各有機溶剤に1質量%溶液となる量で添加し、良く混合したのち、溶液の均一性を目視で評価した。結果を表2に示す。
溶解性の評価基準は下記のとおりである。
○…溶液が透明である。
×…溶液に濁りが生じている。
Figure 0005400666
表1より、本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、特開平9−241381の含フッ素有機ケイ素化合物と同等の優れた表面張力低下能を有する。表2より、本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は特開平9−241381の含フッ素有機ケイ素化合物に比べ、種々の有機溶剤に対し優れた溶解性を示すことがわかる。
本発明の含フッ素界面活性剤は、各種溶剤に対する溶解性が高く、また各種溶剤の表面張力を下げる能力に優れている。従って、プラスチック及びゴム工業、石油工業、染料及び顔料工業、金属及び機械工業、製薬及び農薬、家庭用品、写真及び印刷等の分野の含フッ素界面活性剤として有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0005400666
    (式中、Rfは互いに独立に、1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、Zは単結合、又は酸素原子、ケイ素原子及び/又は窒素原子を含んでいてよい炭素原子数1〜20の2価の有機基であり、Qは互いに独立に、エチレン基及び/又はプロピレン基がエーテル結合で繰り返し結合されてなるポリエーテル基であり、Rは互いに独立に、水素原子又は、アリル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、及び炭素原子数2〜3のアシル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、Rは水素原子または水酸基であり、aは1〜2、bは1〜3、cは0〜2であり、但しa+b+cの合計が4または5であり、xは1又は2である)
    で表される含フッ素有機ケイ素化合物。
  2. Rfが互いに独立に、炭素原子数4〜14のパーフルオロアルキル基又は炭素原子数5〜18のパーフルオロポリエーテル基である請求項1に記載の含フッ素有機ケイ素化合物。
  3. Zが下記に示すいずれかの基である、請求項1または2に記載の含フッ素有機ケイ素化合物。
    Figure 0005400666
  4. 2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンまたは2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサンと、下記式(2)
    Figure 0005400666
    (式中、Rfは互いに独立に、1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、Zは単結合、又は酸素原子、ケイ素原子及び/又は窒素原子を含んでいてよい炭素原子数1〜20の2価の有機基であり、xは1又は2である)
    で示されるオレフィン化合物を付加反応させた後、前記付加反応により生成した化合物と下記式(3)
    Figure 0005400666
    (Qは互いに独立に、エチレン基及び/又はプロピレン基がエーテル結合で繰り返し結合されてなるポリエーテル基であり、Rは互いに独立に、水素原子又は、アリル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜3のアシル基から選ばれる基である)
    で示されるオレフィン化合物を付加反応させて、請求項1に記載の含フッ素有機ケイ素化合物を製造する方法。
  5. Rfが互いに独立に、炭素原子数4〜14のパーフルオロアルキル基又は炭素原子数5〜18のパーフルオロポリエーテル基である請求項4に記載の含フッ素有機ケイ素化合物の製造方法。
  6. Zが下記に示すいずれかの基である、請求項4または5に記載の含フッ素有機ケイ素化合物の製造方法。
    Figure 0005400666
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の含フッ素有機ケイ素化合物からなる含フッ素界面活性剤。
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