JP5400540B2 - ポンプ駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、土壌消毒機に使用されるダイヤフラム式薬液送出ポンプ等の往復駆動型ポンプにおいて、その吐出量を短時間で所定値に変更可能なポンプ駆動装置に関し、特に、吐出量を一旦変更した後に、元の吐出量に正確に復帰可能な復帰構造を備えるポンプ駆動装置に関する。
従来より、トラクタや管理機に装着される土壌消毒装置に、ダイヤフラム式薬液送出ポンプ等の往復駆動型ポンプを取り付けた構造が知られている。該往復駆動型ポンプの駆動は、ダイヤフラムに設けた連結ロッド等の往復移動体に揺動クランクの一端を連結し、該揺動クランクの他端に偏心カムを連結して、該偏心カムを回転駆動させることによって前記揺動クランクにクランク運動をさせると共に、前記揺動クランクの長手方向途中部に揺動支点を設け、該揺動支点に調節レバーを連結し、該調節レバーを揺動クランクの長手方向にスライド操作することにより、前記揺動支点の位置を迅速に移動し、前記往復移動体の上下往復幅を変えて吐出量を短時間で所定値に変更する技術が公知となっている(例えば特許文献1参照)。
該技術によると、作業前の試運転で薬液ホース内等のエアー抜きや正常動作の確認等を行う場合に、前記往復駆動型ポンプを短時間で最大吐出量に変更することができ、それまでのように前記揺動支点を移動するのに該揺動支点に連結した螺子杆を何回も回動する必要がなくなり、予備作業時間の短縮や作業者負荷の軽減を図ることができる。更に、作業中に吐出量を急に変更したい場合や、特定の往復駆動型ポンプのみの吐出を中止したい場合でも、短時間で吐出量を変更することができ、土壌への薬液の供給を過不足なく行い、作物の収穫量の増加や品質の向上を図ることができる。
特開2007−303279号公報
前記技術において、元の吐出量(以下、「基準吐出量」とする。)から所定の吐出量に変更し、薬液ホース内等のエアー抜きや正常動作の確認等の作業を終えた後に、基準吐出量に復帰させるには、吐出量変更前に、揺動支点に連結した指針の位置を目盛盤で予め読み取っておき、作業終了後には、この読み取った位置に指針が来るように調節レバーをスライド操作するようにしている。しかしながら、たとえ読み取った位置に調節レバーを戻しても、作業中の振動等による指針のずれ、目盛盤上の目盛りの読み取り誤差や読み取りミス等のために、調節レバーに連結された揺動支点の支点位置を、吐出量変更前の元の支点位置(以下、「基準支点位置」とする。)に正確に復帰させることができずに、吐出量に誤差が生じ、その結果、薬液効果のばらつきによる作物の収穫量の減少や品質の低下、及び薬液過多による薬液コストの増加を招く、という問題があった。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、往復駆動型ポンプを駆動する往復移動体に揺動クランクの一端を連結し、該揺動クランクの他端に偏心カムを連結して、該偏心カムを回転駆動させることによって前記揺動クランクにクランク運動をさせると共に、前記揺動クランクの長手方向途中部に揺動支点を設け、該揺動支点に調節レバーを連結し、該調節レバーを揺動クランクの長手方向にスライド操作することにより、前記揺動支点の位置を移動可能なポンプ駆動装置において、前記調節レバーは、吐出を中止したい場合や短時間で吐出量を変更したい場合に、前記揺動クランクの長手方向に短時間で素早く摺動して、係止体に多段位置で係止可能な第一移動体と、該第一移動体に螺装されて摺動し、微調整のために、該第一移動体に対して無段位置で係止可能な第二移動体とを備えると共に、該第二移動体の一端に前記揺動支点を連結し、第二移動体の他端にレバー操作部を設けたものである。
請求項2においては、前記第一移動体と第二移動体は、互いに摺動可能に同心軸上に配置した内外二重のパイプ構造である。
請求項3においては、前記第一移動体の内部に、前記第二移動体を挿通すると共に、第一移動体の外周には、前記係止体に係止可能な被係止部を一体的に設けるものである。
請求項4においては、前記第一移動体の外周上には、係止体に係止している被係止部の位置を推定するための目印を設けるものである。
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1において、係止体に多段階で位置決め可能な第一移動体と、該第一移動体に無段階で位置決め可能な第二移動体を組み合わせることにより、吐出量変更前の揺動支点の支点位置である基準支点位置を、係止体への第一移動体の係止位置に正確に対応させることができ、吐出量変更後でも、レバー操作部を押し引き操作して第一移動体を元の係止位置に係止するだけで、揺動支点を基準支点位置に迅速かつ正確に復帰させて、吐出量変更前後での吐出量に大きな誤差が生じるのを防ぎ、薬液効果のばらつきをなくして作物の収穫量の増加や品質の向上を図ると共に、薬液過多をなくして薬液コストの低減を図ることができる。
請求項2において、前記調節レバーをコンパクトな構成にすることができ、調節レバーの操作性、メンテナンス性を向上させることができる。
請求項3において、被係止部を第一移動体と別体に設ける必要がなく、部品点数を減少させることができ、部品コストの低減とメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項4において、被係止部が係止体に隠れる等して確認できない場合でも、前記目印を目安にして被係止部の位置を把握することができ、第一移動体を元の係止位置に確実に係止することができる。
本発明に係わる土壌消毒機を装着したトラクタの全体構成を示す全体平面図である。 土壌消毒機の薬液注入部の斜視図である。 ダイヤフラム式薬液送出ポンプの側面一部断面図である。 同じく平面一部断面図である。 同じく正面一部断面図である。 調節レバーの分解図である。
まず、本発明に関わるポンプ駆動装置を備える土壌消毒機1と、該土壌消毒機1を装着する車輌であるトラクタ2の全体構成について、図1乃至図3により説明する。なお、図1の矢印Fで示す方向をトラクタ2の前進方向とし、以下で述べる各部材の位置や方向等はこの前進方向を基準とする。該トラクタ2は、走行車輌2aと、該走行車輌2aの後部に連結した装着部2bとから構成され、該走行車輌2aの前部及び後部には、それぞれ前輪3・3及び後輪4・4が懸架されている。
そして、該走行車輌2a前部のボンネット5内には、エンジン、バッテリ6等が搭載されると共に、該ボンネット5後方には操向ハンドル7が配置され、該操向ハンドル7の更に後方には作業者が着座する運転席8が配設されている。該運転席8の両側方のサイドコラム9L・9Rには、主変速レバー、PTO変速レバー等の各種操作器具が配設され、該運転席8前方の足元には、フットアクセルペダル、左右ブレーキペダル、主クラッチペダル等が配設されている。
更に、前記装着部2bは、トップリンク10、左右一対のロアリンク11・11等より構成され、該トップリンク10、ロアリンク11・11に各種作業機を連結して牽引できるように構成されている。尚、前記土壌消毒機1の車輌としては、耕耘機等であってもよく、このようなトラクタ2に限定されるものではない。
また、前記土壌消毒機1は、薬液を供給する薬液供給部1aと、薬液を土壌内に注入する薬液注入部1bとから構成される。そして、このうちの薬液注入部1bにおいては、前端にトップリンクマスト12・12が設けられ、該トップリンクマスト12・12の上端は、前記トラクタ2における装着部2bのトップリンク10の後部に連結される一方、トップリンクマスト12・12の下端には支持杆13・13の前端が連結固定され、該支持杆13・13の前端から外方に突設した左右のピン14・14に、前記ロアリンク11・11の後端が枢結されている。
そして、このようなトップリンク10、ロアリンク11・11、トップリンクマスト12・12を介して、土壌消毒機1の薬液注入部1bを、トラクタ2の装着部2bに確実に連結支持して牽引できるようにしている。
前記支持杆13・13の後面には、後方に開いた平面視矩形状の取付フレーム15が固設され、該取付フレーム15の左右のアーム部15a・15aの後部間には、鎮圧ローラ16が回転自在に軸支され、薬液注入後の土壌を押圧するように構成している。
更に、前記アーム部15a・15aの前端間に連架された連架部15bには、一定間隔をおいて複数の薬液注入爪17・17・・・が配設され、該薬液注入爪17・17・・・の背面には、薬液注入ノズル18・18・・・が所定深さに設定可能に配設されている。
前記薬液供給部1aにおいては、前方に開いた平面視コ字状の支持フレーム19の後端が前記走行車輌2aの前部に固設されると共に、該支持フレーム19の前部上面には、薬液タンク載置台20・20が固設されており、該薬液タンク載置台20・20には薬液タンク21・21が載置されている。
更に、前記支持フレーム19には支持板22が横架され、該支持板22上に、前記薬液注入ノズル18・18・・・と同数の薬液送出ポンプ23・23・・・が固設されている。該薬液送出ポンプ23・23・・・は、本実施例では、左右のポンプユニット63L・63Rにそれぞれ2個ずつ設けられ、該ポンプユニット63L・63Rは、前記薬液タンク21・21の直後方に左右方向に並設されている。そして、該ポンプユニット63L・63Rの間には連結軸64が介設され、それぞれの薬液送出ポンプ23の駆動軸50の間を連動連結しており、左ポンプユニット63Lに付設した、モータケース24内のモータ24aからのモータ動力によって、4個の薬液送出ポンプ23・23・・・を同時駆動可能としている。
該薬液送出ポンプ23・23・・・は、往復駆動型ポンプとしてのダイヤフラムポンプ29と、該ダイヤフラムポンプ29を駆動するポンプ駆動装置28とを有し、該ポンプ駆動装置28が前記駆動軸50によって駆動される。更に、該駆動軸50の駆動源である前記モータ24aの駆動・停止は、前記運転席8右側方のサイドコラム9Rに配設したモータスイッチ盤25のスイッチ25aを入切操作することによって行うようにしている。なお、このような薬液供給部1aは、トラクタ2の後部に配置してもよく、その配置位置は特に限定されるものではない。
そして、これらの薬液送出ポンプ23・23・・・と薬液タンク21・21とは、吸入ホース26・26・・・を介して連通されると共に、薬液送出ポンプ23・23・・・と前記薬液注入ノズル18・18・・・とは吐出ホース27・27・・・を介して連通されている。なお、前記薬液供給部1aは、トラクタ2の後部に配置してもよく、その配置位置は特に限定されるものではない。
次に、本発明に係わるポンプ駆動装置28の構成について、図3乃至図5により説明する。ただし、4個の薬液送出ポンプ23の構成は略同一であるため、モータケース24を付設した左ポンプユニット63Lの左側の薬液送出ポンプ23についてのみ説明し、残りは省略する。ポンプ駆動装置28は、前記薬液送出ポンプ23のポンプ駆動ケース30内に設けられ、該ポンプ駆動ケース30の一側の上部に設けられた往復駆動型ポンプのダイヤフラムポンプ29と連結連動されている。なお、ポンプとしては、ダイヤフラム式ではなくプランジャ式でもよく、往復駆動型であれば特には限定されることはない。
前記ダイヤフラムポンプ29においては、上下の部材35a・35bから成るダイヤフラム35が、弁取付部材33とダイヤフラム取付部材34とによって上下から挟持されて固定され、このうちの弁取付部材33からは、ダイヤフラム35内に連通する吸入ポート31と吐出ポート32とが上方に突設され、該吸入ポート31と吐出ポート32とは、それぞれ前記吸入ホース26と吐出ホース27とに接続されている。
一方、前記ダイヤフラム35の中央下部からは、連結ピン36が垂下され、該連結ピン36には往復移動体である連結ロッド37が連結され、該連結ロッド37の下部が、前記ポンプ駆動ケース30内に挿入されている。
また、前記ポンプ駆動装置28においては、このようなダイヤフラムポンプ29の連結ロッド37の下端が、揺動クランク40の一端上部に枢支軸39を介して枢支され、留め具38によって抜け止めがなされている。この揺動クランク40には、ダイヤフラムポンプ29側に長孔40aが開口され、モータ24a側には楕円状孔40bが開口されており、このうちの前記長孔40a内には揺動支点である支点カム41が挿入され、前記楕円状孔40bには偏心カム42が挿入されている。
前記支点カム41は、円盤状に形成されると共に、中央に連結軸43が貫通され、該連結軸43に回転自在に枢支されている。そして、該連結軸43の右部は、前記ポンプ駆動ケース30に長穴状に穿設されたガイド孔30aに挿入されている。一方、連結軸43の左部には、拡径して大径部43aが形成され、該大径部43aには、連結軸43の軸心に直交するようにして調節レバー44の先部が貫入固定されると共に、該大径部43aの左端には、指針48が装着されている。そして、該指針48は、前記ポンプ駆動ケース30の左側面に長穴状に穿設されたガイド孔30bに挿入されると共に、該ガイド孔30bに沿うようにして、ポンプ駆動ケース30の左側面には、前記指針48の位置を読み取るための目盛り47aを設けた目盛盤47も固設されている。更に、前記ガイド孔30a・30bは、ポンプ駆動ケース30の左右に互いに平行に配置されると共に、前記調節レバー44とも平行に配設されている。
そして、前記偏心カム42の軸心部には、前記駆動軸50が挿入され、該駆動軸50はキー51によって相対回転不能に連結されている。更に、偏心カム42は、カラー52が外嵌され、該カラー52を介して、前記揺動クランク40の楕円状孔40b内に摺動自在に支持されると共に、カラー52の両側面には、ドーナツ状の固定部材53・53が嵌合されており、これにより、前記偏心カム42とカラー52とが、揺動クランク40から抜け出ないように固定されている。
偏心カム42を貫通した駆動軸50の左側端は、ポンプ駆動ケース30より左外方に突出され、その突出端には、ポンプ駆動ケース30の左側面に固設された前記モータ24aの図示せぬ出力軸が連結されており、駆動軸50にモータ24aからのモータ動力を伝達できるようにしている。
このような構成において、前記調節レバー44を揺動クランク40の長手方向に押し引きしてスライド操作すると、該調節レバー44の先部に固定された連結軸43の大径部43aが、前記ガイド孔30a・30bにガイドされながら揺動クランク40の長手方向を素早く摺動し、同時に、連結軸43に支持された前記支点カム41も短時間で移動される。
該支点カム41が移動された後に、前記スイッチ25aを入操作してモータ24aを駆動させると、前記駆動軸50が回転駆動されて偏心カム42が回転する。すると、該偏心カム42の外周に摺接された揺動クランク40の一端が上下に往復動し、揺動クランク40の他端も前記支点カム41を支点として上下に往復動し、これに伴って、揺動クランク40の他端に連結ロッド37を介して連結された前記ダイヤフラム35も上下に往復動する。これにより、吸入ポート31と吐出ポート32内に設けた弁が開閉され、薬液の吸入動作と吐出動作が交互に繰り返される。
この際、揺動支点となる支点カム41を偏心カム42側に向かって移動させると、枢支軸39側の上下往復幅が長くなり、ダイヤフラム35内に吸入される薬液の量が増加し、吐出量も増加させることができ、逆に、揺動支点となる支点カム41を偏心カム42から離間させると、枢支軸39側の上下往復幅が短くなり、ダイヤフラム35内に吸入される薬液の量が減少し、吐出量も減少させることができる。
次に、前記調節レバー44の構造と、基準支点位置への復帰構成について、図3乃至図6により説明する。前記ポンプ駆動ケース30の前部左角部には、上下のボルト62・62によってレバーガイド46が締結固定され、該レバーガイド46において前後方向に軸心を有するボス部46aに、前記調節レバー44の途中部が挿嵌されている。そして、該調節レバー44は、前記ボス部46aに接するようにして内挿されるパイプ状の第一移動体54と、該第一移動体54に内挿されて同心軸上に配置したロッド状の第二移動体55と、該第二移動体55の後端に設けたレバー操作部57とにより構成される。
このうちの第一移動体54の内部には、後から順に、第一移動体54の大部分を占める大きくて長い大径孔54aと、該大径孔54aよりも小さくて短く、ネジ部を備える中径ネジ孔54bとが形成される。更に、第一移動体54の外径は、前記レバーガイド46のボス部46aに設けたボス孔46dと略同径に形成されると共に、第一移動体54の外周上側面には、すり鉢状の係止凹部54cが、所定間隔をあけて多段位置に複数個、本実施例では5個が、第一移動体54の上壁部に一体的に形成されている。そして、該係止凹部54cの略中央を通るようにして、リング溝状の目印54dが、第一移動体54の外周に所定間隔をあけて前後方向に複数個、本実施例では5個が形成されている。
前記第二移動体55には、後から順に、中径部55a、該中径部55aよりも太い大径部55b、前記中径部55aと略同径で長い中径部55c、該中径部55cと略同径で短くネジ部を備える中径ネジ部55d、及び該中外径ネジ部55dよりも細くて前記レバー操作部57のネジ孔57aと略同径の小径ネジ部55eが形成されている。
本発明に関わる調節レバー44においては、小径ネジ部55eを先にした第二移動体55を第一移動体54の大径孔54aに挿入し、第二移動体55の中径ネジ部55dを第一移動体54の中径ネジ孔54bに螺挿して前方に突出させた上で、この中径ネジ部55dの突出部に微調整ボルト58を螺嵌することにより、第二移動体55が第一移動体54に締結される。更に、前記中径ネジ部55dの先の小径ネジ部55eをレバー操作部57のネジ孔57aに螺挿して前方に突出した上で、この小径ネジ部55eの突出部に固定ボルト59を螺嵌することにより、レバー操作部57が、中径ネジ部55dと小径ネジ部55eとの間の段差部55fに押圧されるようにして、第二移動体55に締結される。
一方、このような調節レバー44は、前記レバーガイド46のボス部46aに直交して挿入される係止体56によって固定される。該係止体56は、ノブ部56aと、該ノブ部56aに螺挿されて上下の固定ナット56b・56bによってノブ部56aに締結固定されるネジ部56cと、該ネジ部56cの先端に形成された円錐状の係止凸部56dとにより構成されると共に、前記レバーガイド46のボス部46aの上部には、半径方向に固定孔46bが穿設されている。
以上のような構成において、薬液ホース内等のエアー抜きや正常動作の確認等の作業を行った後に基準支点位置に復帰する際には、要するに、まず、作業前に、調節レバー44の第一移動体54を摺動して所定位置で係止体56に固定することにより、およその基準支点位置を設定し、続いて、調節レバー44の第二移動体55を回動して所定位置で微調整ボルト58を締めることにより、前記基準支点位置を微調整して調節レバー44に正確な位置を記録する。そして、前記係止体56のみを外して前記作業を行う。作業後は、調節レバー44の第一移動体54を係止体56との元の位置に戻すだけで、支点カム41を基準支点位置に正確に復帰することができ、元の吐出量で正確に吐出することができるようにしている。
詳しくは、前記調節レバー44のレバー操作部57を把持して、第一移動体54をレバーガイド46のボス孔46dに挿入して摺動し、調節レバー44を支点カム41に向かってスライド操作させると共に、前記係止体56のノブ部56aを把持して、係止体56のネジ部56cをレバーガイド46の固定孔46bに螺挿することにより、該ネジ部56c先端の係止凸部56dに、ボス孔46d内にある第一移動体54の所定の係止凹部54cを係止できるようにして、第一移動体54を係止凸部56dに対して多段位置で係止可能としている。
続いて、微調整ボルト58を緩めてレバー操作部57が回動できるようにした状態で、該レバー操作部57を把持して回動し、第二移動体55の中径ネジ部55dを第一移動体54の中径ネジ孔54b内で回動させることにより、第二移動体55を基準支点位置にある支点カム41に向かって移動させ、第二移動体55後端の中径部55aを連結部43の大径部43aに係合させる。その後、緩めていた微調整ボルト58を締めて第二移動体55を第一移動体54に固定すると、基準支点位置にある支点カム41から、係止体56に係止する所定の係止凹部54cまでの長さ(以下、「基準長さ」とする。)61が固定される。このようにして、第二移動体55を第一移動体54に対して無段位置で係止可能としている。
そして、薬液ホース内等のエアー抜きや正常動作の確認等の作業を行う際には、係止体56のネジ部56cを緩めて第一移動体54の係止凹部54cから外した後に、調整レバー44を押し引きしてスライド操作を行う。前記作業後は、前述のようにして基準長さを記録した調節レバー44を用いて、該調節レバー44の第一移動体54を、レバーガイド46のボス孔46dに挿入して摺動し、係止体56の係止凸部56dに、第一移動体54の所定の係止凹部54cを再び係止させる。これにより、基準長さ61を迅速に再現し、基準支点位置を係止体56への第一移動体54の係止位置に正確に対応させることができ、支点カム41の位置を迅速かつ正確に基準支点位置に復帰させることができるのである。
このような復帰構造を備えることにより、たとえ基準支点位置が目盛盤47の各目盛り47aの間にあるために指針48の位置を目盛盤47では十分に読み取れない場合であっても、支点カム41を正確な基準支点位置に復帰させることができるのである。なお、調節レバー44を支点カム41に向かってスライド操作する際には、前述のような目印54dを設け、該目印54dを目安にして、係止体56の係止凸部56dが所定の係止凹部54cに係止しているか否かを確認できるようにしている。
また、前記微調整ボルト58を緩めた状態で第二移動体55の中径ネジ部55dを第一移動体54の中径ネジ孔54b内で回動させる際に、第二移動体55と一緒に第一移動体54が連れ回りしないように、レバーガイド46のボス部46aには、前後の回り止めボルト60・60が設けられている。該ボス部46aには、前記固定孔46bと対向するようにして、半径方向に前後の回り止め孔46c・46cが穿設され、該回り止め孔46c・46cに、前記回り止めボルト60・60のネジ部60a・60aが螺挿されている。
そして、該ネジ部60a・60aの先端が、ボス孔46d内の第一移動体54で前記係止凹部54cとは反対側の外周面に当接されることにより、第一移動体54の連れ回りを防止できるようにしている。なお、本実施例では、ネジ部60a・60aの先端が当接する第一移動体54の外周面は曲面のままであるが、当接する外周部分だけを平面に加工してネジ部60a・60aの先端との接触面積を増大させ、回転抵抗を大きくするようにしてもよく、第一移動体54の連れ回りが確実に防止できるものであれば、当接部分の形状や構成は特には限定されない。
すなわち、往復駆動型ポンプであるダイヤフラムポンプ29を駆動する往復移動体である連結ロッド37に揺動クランク40の一端を連結し、該揺動クランク40の他端に偏心カム42を連結して、該偏心カム42を回転駆動させることによって前記揺動クランク40にクランク運動をさせると共に、前記揺動クランク40の長手方向途中部に揺動支点である支点カム41を設け、該支点カム41に調節レバー44を連結し、該調節レバー44を揺動クランク40の長手方向にスライド操作することにより、前記支点カム41の位置を迅速に移動可能なポンプ駆動装置28において、前記調節レバー44は、前記揺動クランク40の長手方向に摺動して係止体56に多段位置で係止可能な第一移動体54と、該第一移動体54に沿って摺動して該第一移動体54に無段位置で係止可能な第二移動体55とを備えると共に、該第二移動体55の一端に前記支点カム41を連結し、第二移動体55の他端にレバー操作部57を設けたので、係止体56に多段階で位置決め可能な第一移動体54と、該第一移動体54に無段階で位置決め可能な第二移動体55を組み合わせることにより、吐出量変更前の支点カム41の支点位置である基準支点位置を、係止体56への第一移動体54の係止位置に正確に対応させることができ、吐出量変更後でも、レバー操作部57を押し引き操作して第一移動体54を元の係止位置に係止するだけで、支点カム41を基準支点位置に迅速かつ正確に復帰させて、吐出量変更前後での吐出量に大きな誤差が生じるのを防ぎ、薬液効果のばらつきをなくして作物の収穫量の増加や品質の向上を図ると共に、薬液過多をなくして薬液コストの低減を図ることができる。
更に、前記第一移動体54と第二移動体55は、互いに摺動可能に同心軸上に配置した内外二重のパイプ構造とするので、前記調節レバー44をコンパクトな構成にすることができ、調節レバー44の操作性、メンテナンス性を向上させることができる。
加えて、前記第一移動体54の内部に、前記第二移動体55を挿通すると共に、第一移動体54の外周には、前記係止体56に係止可能な被係止部である係止凹部54cを一体的に設けるので、係止凹部54cを第一移動体54と別体に設ける必要がなく、部品点数を減少させることができ、部品コストの低減とメンテナンス性の向上を図ることができる。
そして、前記第一移動体54の外周上には、係止体56に係止している被係止部である係止凹部54cの位置を推定するための目印54dを設けるので、係止凹部54cが係止体56に隠れる等して確認できない場合でも、前記目印54dを目安にして係止凹部54cの位置を把握することができ、第一移動体54を元の係止位置に確実に係止することができる。
本発明のポンプ駆動装置は、図示したような土壌消毒機の他、化学プラント等の生産設備において、腐食性の高い様々な液体を正確な吐出量で移送するダイヤフラム式やプランジャ式の往復駆動型ポンプの駆動にも適用することができる。
28 ポンプ駆動装置
29 ダイヤフラムポンプ(往復駆動型ポンプ)
37 連結ロッド(往復移動体)
40 揺動クランク
41 支点カム(揺動支点)
42 偏心カム
44 調節レバー
54 第一移動体
54c 係止凹部(被係止部)
54d 目印
55 第二移動体
56 係止体
57 レバー操作部

Claims (4)

  1. 往復駆動型ポンプを駆動する往復移動体に揺動クランクの一端を連結し、該揺動クランクの他端に偏心カムを連結して、該偏心カムを回転駆動させることによって前記揺動クランクにクランク運動をさせると共に、前記揺動クランクの長手方向途中部に揺動支点を設け、該揺動支点に調節レバーを連結し、該調節レバーを揺動クランクの長手方向にスライド操作することにより、前記揺動支点の位置を移動可能なポンプ駆動装置において、
    前記調節レバーは、吐出を中止したい場合や短時間で吐出量を変更したい場合に、前記揺動クランクの長手方向に短時間で素早く摺動して、係止体に多段位置で係止可能な第一移動体と、
    該第一移動体に螺装されて摺動し、微調整のために、該第一移動体に対して無段位置で係止可能な第二移動体とを備えると共に、
    該第二移動体の一端に前記揺動支点を連結し、第二移動体の他端にレバー操作部を設けたことを特徴とするポンプ駆動装置。
  2. 前記第一移動体と第二移動体は、互いに摺動可能に同心軸上に配置した内外二重のパイプ構造とすることを特徴とする請求項1に記載のポンプ駆動装置。
  3. 前記第一移動体の内部に、前記第二移動体を挿通すると共に、第一移動体の外周には、前記係止体に係止可能な被係止部を一体的に設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポンプ駆動装置。
  4. 前記第一移動体の外周上には、係止体に係止している被係止部の位置を推定するための目印を設けることを特徴とする請求項3に記載のポンプ駆動装置。
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