しかしながら、このような従来の揮散装置811にあっては、吸上芯805,・・・を挿入する為に容器体802の口部803の開口面積が大きいため、当該容器体802が倒れた際に収容された液状薬剤801がこぼれ易いという問題があった。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、吸上芯の挿入を容易としつつ転倒時のこぼれを抑制することができる揮散装置を提供することを目的とするものである。
前記課題を解決するために本発明の請求項1の揮散装置にあっては、容器体の内部と外部を連通する連通部に吸上芯を挿入し、前記容器体内の液状薬剤を前記吸上芯で吸い上げて前記容器体より延出した前記吸上芯の部位から揮散する揮散装置において、前記連通部に、前記吸上芯に接し得るように該吸上芯を包囲した包囲部を設定し、該包囲部の内側に設けられた開口部を介して前記容器体の内部と外部とを連通する一方、前記包囲部が前記液状薬剤で膨潤して前記開口部を縮径するように前記包囲部を構成する材質と前記液状薬剤の成分との関係を設定した。
すなわち、容器体の内部と外部を連通する連通部には、包囲部が設定されており、前記容器体の内部と外部とは、前記包囲部の内側に設けられた開口部を介して連通されている。
このとき、前記包囲部には、前記開口部を挿通した吸上芯が接するように構成されており、該吸上芯で吸い上げられた前記液状薬剤は、前記包囲部で吸収される。
すると、当該包囲部は、前記液状薬剤によって膨潤し、前記開口部を縮径する。これにより、該開口部を挿通した前記吸上芯と前記包囲部との間に形成された隙間が狭まり、前記吸上芯の外周部に形成された隙間の開口面積が縮小される。
また、請求項2の揮散装置においては、前記開口部の外周部を、該開口部から上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面で構成し、上方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成した。
すなわち、前記開口部の外周部には、上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面が形成されており、上方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成されている。
このため、前記吸上芯を前記開口部に挿入する際に当該吸上芯が前記上部傾斜面に当接した場合であっても、当該吸上芯は、前記上部傾斜面に沿って前記開口部に案内される。
これにより、前記開口部への前記吸上芯の挿入容易性を損なうことなく、前記開口部の開口面積が最小限に抑えられる。
そして、前記開口部の外周部には、上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面で構成されており、前記開口部に挿入された吸上芯は、前記上部傾斜面側への傾倒が許容される。
さらに、請求項3の揮散装置では、前記容器体に設けられた口部に取り付けられる取付部材を備え、該取付部材の内側に保持空間を形成し、該保持空間に保持されるリング状の被保持部材によって前記包囲部を構成するとともに、前記取付部材と前記被保持部材とを別部材で構成した。
すなわち、容器体の口部に取り付けられる取付部材と、該取付部材内の保持空間に保持される被保持部材とは、別部材で構成されており、前記液状薬剤によって膨潤する前記包囲部は、前記被保持部材で構成されている。
このため、前記容器体に収容される前記液状薬剤との関係に基づいて、前記被保持部材の材質変更が容易に行われる。
加えて、請求項4の揮散装置にあっては、前記取付部材の内側面と接するシール部を前記被保持部材の外周面に設定した。
すなわち、前記被保持部材の外周面には、前記取付部材の内側面と接するシール部が設定されており、前記液状薬剤によって当該被保持部材が膨潤して前記開口部を縮径した状態では、前記シール部が前記取付部材の内側面に圧接されることによって、シール性が高められる。
以上説明したように本発明の請求項1の揮散装置にあっては、吸上芯が包囲部の開口部を介して容器体に挿入される使用時において、前記吸上芯で吸い上げられた液状薬剤が前記包囲部で吸収され当該包囲部が膨潤することで、前記吸上芯が挿通した前記開口部を縮径することができる。
これにより、前記吸上芯の外周部に形成された隙間が狭められ、当該隙間の開口面積を縮小することができる。
このため、転倒時に前記開口部からこぼれ出る液状薬剤の流出量を抑えることができ、前記容器体より延出した前記吸上芯に手などを引っ掛けて転倒させてしまった場合であっても、当該容器体をすぐに起立させることによって、収容された液状薬剤の漏れを防止することができる。
一方、前記包囲部は、前記吸上芯が前記開口部に挿入された状態において、当該吸上芯で吸い上げられた前記液状薬剤で前記包囲部が膨潤することで、前記開口部の開口面積が狭められる。
このため、吸上芯挿通前の未使用時には、前記開口部の内径は縮径前の状態に維持され、当該開口部への前記吸上芯の挿通容易性を確保することができる。
したがって、使用前では、前記吸上芯の挿入を容易としつつ、使用中では、転倒時での液状薬剤の不用意なこぼれを抑制することができる。
また、請求項2の揮散装置においては、前記開口部の外周部に上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面が形成されており、上方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成されている。
このため、前記吸上芯を前記開口部に挿入する際に当該吸上芯が前記上部傾斜面に当接してしまった場合であっても、当該吸上芯を前記上部傾斜面でガイドして前記開口部に挿入することができる。
これにより、前記開口部への前記吸上芯の挿入を容易に行うことができる。このため、前記開口部への前記吸上芯の挿入容易性を損なうことなく、前記開口部の開口面積を最小限に抑えることができる。
そして、前記開口部の外周部には、前記開口部へ向かうに従って下方に傾斜した上部傾斜面が形成されており、前記開口部に挿入された吸上芯は、前記上部傾斜面側への傾倒が許容され、外側へ傾斜することができる。
このため、前記開口部に複数の吸上芯を挿入した際には、各吸上芯の上端部を放射状に延出することができ、美観を高めることができる。そして、前記吸上芯を放射状に延出することで、前記液状薬剤の揮散量を増大することができる。
さらに、請求項3の揮散装置では、容器体の口部に取り付けられる取付部材と、該取付部材内の保持空間に保持される被保持部材とが、別部材で構成されており、前記液状薬剤によって膨潤する前記包囲部は、前記被保持部材で構成されている。
このため、前記容器体に収容される前記液状薬剤との関係に基づいて、材質の異なる被保持部材に変更することで、前述した効果を得ることができる。
したがって、用途や仕様に応じて前記液状薬剤の成分を変更した場合であっても、これに対応することができる。
加えて、請求項4の揮散装置にあっては、被保持部材の外周面に取付部材の内側面と接するシール部が設定されており、前記液状薬剤によって当該被保持部材が膨潤して前記開口部を縮径した状態では、当該被保持部材が膨潤することから、前記シール部を前記取付部材の内側面に圧接することができる。
これにより、使用時における前記シール部によるシール性を高めることができるので、別体化による被保持部材の交換容易性を維持しつつ、当該被保持部材の外周部からの前記液状薬剤の漏れを確実に防止することができる。
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
図1は、本実施の形態にかかる揮散装置1を示す図であり、該揮散装置1は、芳香液や消臭液等の液状薬剤2を揮散するものである。
この揮散装置1は、前記液状薬剤2を収容した容器体11と、該容器体11の口部12に装着される取付部材としての装着ユニット13と、前記口部12上に配置される板状部材14と、前記容器体11内の前記液状薬剤2を吸い上げて揮散する複数の吸上芯15,・・・とを備えている。ここで、本実施の形態では、複数の吸上芯15,・・・を用いる場合について説明するが、これに限定されるものでは無く、単数の吸上芯15で構成してもよい。
前記装着ユニット13は、前記口部12に装着されるキャップ21と、該キャップ21に取り付けられる装飾カバー22とを備えており、該装飾カバー22と前記キャップ21との間に形成された保持空間23には、被保持部材24が保持されている。前記装着ユニット13と前記被保持部材24とは、別部材で構成されており、前記装着ユニット13を構成する前記キャップ21と前記装飾カバー22も別部材で構成されている。これにより、前記キャップ21から前記装飾カバー22を取り外すことによって、前記被保持部材24を交換できるように構成されている。
前記容器体11は、矩形状のガラス瓶で構成され、正方形状の底面31を備えている。該底面31の各辺からは矩形状の壁面32,・・・が上方へ向けて延出しており、各壁面32,・・・によって当該容器体11の周壁33が形成されている。該周壁33の上縁は、矩形状の上面34によって連設されており、該上面34の中央部からは、円筒状の前記口部12が上方へ向けて延出している。
該口部12は、当該容器体11内に連通しており、該容器体11の内部Iと外部Oとが前記口部12によって連通するように構成されている。この口部12の外周面には、図2にも示すように、雄ねじ部12aが一体形成されており、前記装着ユニット13を取り付けられるように構成されている。
この口部12の端面に載置される前記板状部材14は、ポリエチレンが発泡されてなるポリエチレンフォームまたはエラストマーによって円板状に形成されており、所定の肉厚を有している。この板状部材14の中央部には、前記吸上芯15,・・・を挿通する為の挿通部41が設定されており、該挿通部41としては、当該板状部材14を貫通する貫通穴や、中心点から放射状に延出した複数のスリット等から構成され、前記吸上芯15,・・・の挿入を許容できるように構成されている。
また、当該板状部材14の周縁部は、前記口部12の端面と前記装着ユニット13の前記キャップ21とに挟持されるように構成されており、この挟持状態において、前記口部12と前記キャップ21との間に形成される隙間をシールできるように構成されている。
前記装着ユニット13を構成する前記キャップ21は、装着時に前記口部12の外周部を覆う円筒状の筒部51と、該筒部51の上端より内側に延出したリング状のフランジ部52とがプラスチックによって一体形成されている。これにより、当該キャップ21の天部には、前記フランジ部52の内側に円形穴53が設けられている。
このキャップ21の前記筒部51の内側面には、前記口部12の前記雄ねじ部12aに螺合する雌ねじ部61が一体形成されており、当該キャップ21を前記口部12に螺着できるように構成されている。これにより、当該キャップ21の前記フランジ部52と前記口部12の端面とで前記板状部材14の周縁部を挟持できるように構成されている。
前記装着ユニット13を構成する前記装飾カバー22は、天然木で構成されており、プラスチック製の前記キャップ21を覆い隠すように設けられている。
この装飾カバー22は、前記キャップ21の前記筒部51に外嵌した状態で固定された円筒状の側面71と、当該装飾カバー22の天面を形成する天部72とによって構成されており、前記側面71は、その外形寸法が前記天部72側へ向かうに従って大きくなるように設定されている。
該天部72の中央部には、連通穴81が開設されており、該連通穴81は、下方へ向かうに従って内径寸法が小さくなるテーパー状に形成されている。この連通穴81の内側には、プラスチック製の保護カバーを取り付けることもでき、この場合、前記吸上芯15,・・・で吸い上げられた液状薬剤2の当該装飾カバー22への染み込みを防止することができる。
前記装飾カバー22の内側であって、該装飾カバー22の前記天部72と前記キャップ21との間には、前記保持空間23が形成されており、該保持空間23に前記被保持部材24が保持されている。
該被保持部材24は、図3にも示すように、球体の上部及び下部を水平に切断したリング状に形成されており、外周面91は、高さ方向中央部が外側に膨出した断面円弧状に形成されている。この被保持部材24は、図1及び図2に示したように、前記外周面91において最も側方へ突出した部位が前記装着ユニット13を構成した前記装飾カバー22の内側面92と接触するように当該被保持部材24の外形寸法が設定されており、前記装飾カバー22の内側面92と接触する部位はシール部93を構成している。
この被保持部材24の中央部には、図2及び図3に示したように、円形の開口部101が開設されており、該開口部101は、当該被保持部材24を上下に貫通するように構成されている。
この開口部101上端の外周部には、該開口部101から上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜したすり鉢状の上部傾斜面111が形成されており、当該開口部101上端の外周部は、上方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成されている。また、前記開口部101下端の外周部には、図2に示したように、該開口部101から下方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜したすり鉢状の下部傾斜面112が形成されており、当該開口部101下端の外周部には、下方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成されている。
これにより、前記被保持部材24には、前記上部傾斜面111と前記下部傾斜面112との連設部分に内側に突出した細挟部121が設定されており、該細挟部121内側の前記開口部101の内径寸法は、図2の(b)にも示したように、前記吸上芯15,・・・を所定数挿入できる大きさに設定されている。このとき、挿入される吸上芯15,・・・の数が所定数より多い場合や、吸上芯15,・・・の外形寸法にバラツキが生じた場合であっても、前記被保持部材24が弾性変形することで、前記吸上芯15,・・・の挿通を許容できるように構成されている。
前記装着ユニット13を構成する前記装飾カバー22の前記連通穴81と、前記装着ユニット13に保持された前記被保持部材24の前記開口部101と、前記装着ユニット13を構成する前記キャップ21の前記円形穴53と、前記板状部材14の前記挿通部41と、前記容器体11の前記口部12とは、図1及び図2に示したように、直線上に配置されている。
これにより、該口部12と、前記板状部材14の前記挿通部41と、前記キャップ21の前記円形穴53と、前記被保持部材24の前記開口部101と、前記装飾カバー22の前記連通穴81とによって、前記容器体11の内部Iを外部Oに連通する連通部131が構成されており、前記吸上芯15,・・・をこの連通部131より挿入することで、当該吸上芯15,・・・を前記被保持部材24の前記開口部101を介して前記容器体11内に挿入できるように構成されている。
このとき、前記被保持部材24は、中心部に設けられた前記開口部101を介して前記容器体11の内部Iと外部Oとを連通するとともに、当該開口部101を挿通した前記吸上芯15,・・・に接し得るように当該吸上芯15,・・・を包囲するように構成されており、前記装飾カバー22内側の前記保持空間23に保持された前記被保持部材24によって本発明の包囲部が構成されている。
前記各吸上芯15,・・・は、円柱長尺状の葦で構成されており、木製の前記装飾カバー22と同系色で構成されている。これにより、前記装飾カバー22が前記葦と異なる色及び質感のプラスチックで形成された場合と比較して、デザイン性の向上が図られている。
なお、各吸上芯15,・・・は、円柱長尺状の葦の他、藤や竹等で構成することができる。
この葦、藤又は竹等で構成された前記吸上芯15,・・・は、液体吸上力を備え、前記各吸上芯15,・・・の下端部を前記液状薬剤2に浸した状態で、当該液状薬剤2を上端部まで吸い上げられるように構成されている。この吸上芯15,・・・の長さ寸法は、前記容器体11の前記底面31から前記装飾カバー22の前記天部72までの高さ寸法より十分長い寸法に設定されており、当該吸上芯15,・・・を前記容器体11に挿入し、その下端を前記底面31に接触させた状態において、その上端部が前記装飾カバー22の前記天部72より上方へ延出するように構成されている。
これにより、所定数の吸上芯15,・・・を、前記装飾カバー22の前記連通穴81より前記容器体11内に挿入するとともに、その下端部を前記容器体11内の前記液状薬剤2に浸けることによって、該液状薬剤2を前記各吸上芯15,・・・で吸い上げて、前記容器体11より延出した前記各吸上芯15,・・・の上端部及び周囲から揮散できるように構成されている。
そして、本発明の包囲部を構成した前記被保持部材24は、前記液状薬剤2を吸収して膨潤するように、当該被保持部材24を構成する材質と前記液状薬剤2の成分との関係が設定されている。
具体的に説明すると、例えば、前記被保持部材24がシリコンで形成されている場合は、前記液状薬剤2としては、香料や有機系もしくは非有機系の溶剤、例えば各種香料成分、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤やシリコーン系溶剤などを含んだ成分で構成されている。このとき、前記シリコンは有機系溶剤を吸収するとともに、これらを吸収した際に膨潤する性質を有している。
このため、前記液状薬剤2を吸収して前記被保持部材24が膨潤した際には、図4及び図5に示すように、リング状に形成された当該被保持部材24の水平方向の肉厚が増大し、前記開口部101を縮径するとともに(図4の(b)参照)、前記外周面91に設定された前記シール部93を前記装着ユニット13の前記装飾カバー22の内側面92に圧接できるように構成されている(図4の(a)参照)。
ここで、本実施の形態では、油性成分を吸収して膨潤する素材として、シリコンを例に挙げて説明するが、油性成分を吸収して膨潤するものであれば、シリコンに代えて使用することができる。油性成分を吸収して膨潤する素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンビニル酢酸、ブタジエンゴムなどの合成樹脂および天然樹脂を挙げることができる。
また、当該液状薬剤2が油性成分を主成分とした場合を一例として説明するが、例えば、水や水性成分を主成分とする場合には、水や水性成分を吸収して膨潤する性質の素材によって前記被保持部材24を形成するものとする。
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記容器体11の内部Iと外部Oを連通する連通部131には、前記被保持部材24が設けられ、該被保持部材24によって本発明の包囲部が形成されており、前記容器体11の内部Iと外部Oとは、前記被保持部材24の内側に設けられた開口部101を介して連通されている。
このとき、前記被保持部材24の内縁には、前記開口部101を挿通した吸上芯15,・・・が接するように構成されており、各吸上芯15,・・・で吸い上げられた前記液状薬剤2は、前記被保持部材24で吸収される。すると、当該被保持部材24は、図5に示したように、前記液状薬剤2によって膨潤し、前記開口部101を縮径する。
これにより、この開口部101を挿通した前記吸上芯15,・・・と当該被保持部材24の内縁との間に形成された隙間201が狭まり、前記吸上芯15,・・・の外周部に形成された隙間201の開口面積を縮小することができる。
このため、揮散装置1転倒時において前記開口部101からこぼれ出る液状薬剤2の流出量を抑えることができ、前記容器体11より延出した前記吸上芯15,・・・に手などを引っ掛けて転倒させてしまった場合であっても、当該容器体11をすぐに起立させることによって、収容された液状薬剤2の漏れを防止することができる。
一方、前記被保持部材24は、前記吸上芯15,・・・が前記開口部101に挿入された状態において、当該吸上芯15,・・・で吸い上げられた前記液状薬剤2で前記被保持部材24が膨潤することで、前記開口部101の開口面積が狭められる。
このため、吸上芯15,・・・挿通前の未使用時には、前記開口部101の内径は縮径前の状態に維持され、当該開口部101への前記吸上芯15,・・・の挿通容易性を確保することができる。
したがって、使用前では、前記吸上芯15,・・・の挿入を容易としつつ、使用中では、転倒時での液状薬剤2の不用意なこぼれを抑制することができる。
また、この被保持部材24の前記開口部101の外周部には、上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面111が形成されており、上方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成されている。
このため、前記吸上芯15,・・・を前記開口部101に挿入する際に、当該吸上芯15,・・・が前記上部傾斜面111に当接した場合であっても、当該吸上芯15,・・・を、前記上部傾斜面111に沿ってガイドすることで、前記開口部101に挿入することができる。
これにより、前記開口部101への前記吸上芯15,・・・の挿入を容易に行うことができる。このため、前記開口部101への前記吸上芯15,・・・の挿入容易性を損なうことなく、前記開口部101の開口面積を最小限に抑えることができる。
このとき、本実施の形態では、複数の吸上芯15,・・・を束ねて前記開口部101に挿入することとなるが、この際に外側に配置された吸上芯15,・・・が前記開口部101外周部の前記上部傾斜面111に干渉した場合であっても、これらの吸上芯15,・・・を、前記上部傾斜面111に沿って前記開口部101へ案内することができる。
このため、複数の吸上芯15,・・・を束ねた状態で大まかに前記開口部101に合わせてセットするだけで、該開口部101に位置した吸上芯15,・・・を直接、また前記上部傾斜面111に当接した吸上芯15,・・・にあっては当該上部傾斜面111でガイドすることにより、前記開口部101に挿入することができる。
特に、本実施の形態のように外側の装飾カバー22の連通穴81から離れた位置に存在する前記被保持部材24の前記開口部101に前記吸上芯15,・・・を挿入する場合には、前述した挿入容易性は有効である。
一方、前記装飾カバー22は、厚手の天然木で形成されており、前記隙間201から前記保持空間23内に前記液状薬剤2が漏れた際には、当該液状薬剤2を前記装飾カバー22の内側面92より吸収することができる。これにより、前記液状薬剤2の外部への漏れを確実に防止することができる。
このとき、前記装飾カバー22は、厚肉に形成されているため、吸収した液状薬剤2が当該装飾カバー22の外周面に表出することはない。
そして、前記開口部101の外周部には、該開口部101へ向かうに従って下方に傾斜した上部傾斜面111が形成されており、前記開口部101に挿入された複数の吸上芯15,・・・は、前記上部傾斜面111側への傾倒が許容され、側方へ傾斜することができる。
これにより、前記開口部101に挿入された複数の吸上芯15,・・・を放射状に延出することができ、各吸上芯15,・・・が延出した当該揮散装置1の美観を高めることができる。そして、前記吸上芯15,・・・を放射状に延出することで、前記液状薬剤2の揮散量を拡大することができる。
このとき、前記開口部101の外周部における下部側には下方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜した下部傾斜面112が形成されており、下方へ向かうに従って拡開する拡開形状を構成されている。
このため、前記開口部101に挿入された複数の吸上芯15,・・・を、前記上部傾斜面111に沿って傾倒した状態であっても、前記下部傾斜面112への干渉を防止することができる。
これにより、前記吸上芯15,・・・の傾倒角を大きくすることができ、広範囲に広がる放射形状を形成することができ、前記液状薬剤2の揮散量をさらに拡大することができる。
そして、前記容器体11の口部12に装着された装着ユニット13と、該装着ユニット13内の保持空間23に保持された前記被保持部材24とは、別部材で構成されており、前記液状薬剤2によって膨潤する包囲部は、この被保持部材24で構成されている。
このため、前記容器体11に収容される前記液状薬剤2との関係に基づいて、前記装着ユニット13内の被保持部材24を材質の異なる被保持部材24に変更することで、前述した効果を得ることができる。
したがって、用途や仕様に応じて前記液状薬剤2の成分を変更した場合であっても、これに応じて前記被保持部材24を交換するだけで、これに対応することができる。
このとき、前記装着ユニット13は、前記口部12に装着されるキャップ21と、該キャップ21に取り付けられる装飾カバー22とで構成されているため、前記キャップ21に前記装飾カバー22を取り付ける際に、前記保持空間23に収容する前記被保持部材24を選択するだけで対応できる。
そして、前記被保持部材24の外周面91には、前記装着ユニット13を構成した装飾カバー22の内側面92と接するシール部93が設定されており、前記液状薬剤2によって当該被保持部材24が膨潤して前記開口部101を縮径した状態では、当該被保持部材24が膨潤することから、前記シール部93を前記装飾カバー22の内側面92に圧接することができる。
これにより、使用時における前記シール部93によるシール性を高めることができる。このため、別体化による被保持部材24の交換容易性を維持しつつ、当該被保持部材24の外周部からの前記液状薬剤2の漏れを確実に防止することができる。
なお、本実施の形態では、前記吸上芯15,・・・に接し得るように各吸上芯15,・・・を包囲した包囲部を前記被保持部材24で構成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、前記吸上芯15,・・・に接し得るように該吸上芯15,・・・を包囲する包囲部としては、前記装飾カバー22の前記連通穴81の開口縁部で構成したり、前記キャップ21の円形穴53の開口縁部で構成したり、前記板状部材14の挿通部41で構成することも可能である。
また、前記開口部101は、円形の穴で構成した場合に付いて説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、図6に示すように、前記被保持部材24の前記開口部101の開口縁部301を、円周方向に連続して並設された複数の円弧部302,・・・で構成し、前記開口縁部301を波形状に形成しても良い。
このとき、各円弧部302,・・・を、当該開口部101の外周方向へ向けて突出した円弧状に形成するとともに、各円弧部302,・・・の円弧形状を、前記吸上芯15の外形形状と合致させる。
これにより、当該被保持部材24が膨潤して前記開口部101を縮径した際に、前記各吸上芯15,・・・と前記被保持部材24の前記開口縁部301間に形成される間隙を無くすことができ、前記液状薬剤2の漏れ防止効果をさらに向上することができる。