まず、本発明の第1実施形態に係るエンジン1の全体構成について説明する。
図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロックやシリンダヘッドやピストン等を有する本体4と、吸気流路2と、排気流路3と、燃料噴射ポンプ10と、排気ガス再循環装置20等とを具備する。
吸気流路2は、本体4の燃焼室に吸入される空気が流通する流路である。吸気流路2の上流側は、エアクリーナと接続されている。吸気流路2の下流側は、本体4のシリンダヘッドに取り付けられた吸気マニホールドと接続されている。
排気流路3は、燃焼後に本体4の燃焼室から排出される排気ガスが流通する流路である。排気流路3の上流側は、本体4のシリンダヘッドに取り付けられた排気マニホールドと接続されている。排気流路3の下流側は、排気ガス浄化装置や消音器等と接続されている。
燃料噴射ポンプ10は、本体4のクランク軸に同期して、高圧の所定量の燃料を燃料噴射ノズルに所定時期に圧送するものである。燃料噴射ポンプ10により圧送される燃料は、燃料噴射ノズルを介して本体4の燃焼室に供給される。燃料噴射ポンプ10は、ラックアクチュエータ11と、始動時進角装置(CSD:Cold Start Device)12とを有する。
ラックアクチュエータ11は、図示しないコントロールラックのラック位置を変更するものである。ラックアクチュエータ11は、ソレノイド等で構成される。ラックアクチュエータ11は、エンジン1の回転に応じて作動し、コントロールラックのラック位置を変更する。燃料噴射ポンプ10は、ラックアクチュエータ11により前記コントロールラックのラック位置が変更されることによって、燃料噴射量を調整する。
始動時進角装置12は、燃料噴射ポンプ10に設けられ、燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期を変化させるものである。始動時進角装置12は、図示しないアクチュエータとなるソレノイドと、該アクチュエータにより作動されて図示しないサブポートと燃料ギャラリ間の油路を開閉するピストンと、ピストンを非作動側へ付勢するスプリング等から構成される。始動時進角装置12は、ピストンによりサブポートを閉じて、燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期を進角させる。
排気ガス再循環装置20は、排気流路3を流通する排気ガスの一部を吸気流路2に再循環させるものである。排気ガス再循環装置20は、再循環流路21と、制御弁22とを有する。
再循環流路21は、排気ガスの一部が排気流路3から吸気流路2に向かう際に流通する流路である。再循環流路21の上流側は排気流路3と接続され、下流側は吸気流路2接続されている。
制御弁22は、排気流路3から吸気流路2に再循環流路21を介して再循環させる排気ガスの量、即ち再循環流路21を流れる排気ガスの流量を制御するものである。制御弁22は電磁弁で構成される。制御弁22の開弁時、排気ガスの一部が排気流路3から吸気流路2に再循環流路21を介して再循環する。この際、排気ガスの流量は制御弁22の開度に応じて変化する。具体的には、排気ガスの流量は、制御弁22の開度が大きくなるに従って増大し、制御弁22の開度が小さくなるに従って減少する。一方、制御弁22の閉弁時、排気ガスの一部が排気流路3から吸気流路2に再循環流路21を介して再循環されなくなる。
また、図1に示すように、エンジン1は、制御装置30と、エンジン回転数センサ40と、大気圧センサ50と、温度センサ51とを具備する。
制御装置30は、エンジンコントロールユニット(ECU)を含み、エンジン1のエンジン回転を制御する。制御装置30は、CPU等の演算装置や、ROMやRAM等の記憶装置、インターフェイス、バスを備える。記憶装置には、制御プログラムが記憶されている。
制御装置30は、燃料噴射ポンプ10のラックアクチュエータ11、始動時進角装置12のアクチュエータ及び排気ガス再循環装置20の制御弁22と接続されて、燃料噴射ポンプ10、始動時進角装置12及び排気ガス再循環装置20を制御する。制御装置30は、エンジン回転数センサ40、燃料噴射量センサ41、大気圧センサ50、及び温度センサ51とも接続される。
エンジン回転数センサ40は、エンジン1のエンジン回転数を検出するセンサ(エンジン回転数検出手段)である。エンジン回転数センサ40により検出されたエンジン回転数は、検出信号として制御装置30に入力される。
燃料噴射量センサ41は、燃料の噴射量を検出するセンサである。燃料噴射量センサ41により検出された燃料噴射量は、検知信号として制御装置30に入力される。
制御装置30は、エンジン負荷をエンジン回転数センサ40により検出されたエンジン回転数と、燃料噴射量センサ41により検出された燃料噴射量とからマップに基づいて求める。すなわち、本実施形態においては、エンジン回転数センサ40及び燃料噴射量センサ41が、エンジン負荷検出手段として機能する。なお、エンジン負荷検出手段は、特に限定するものでなく、例えばエンジントルクを検出するエンジントルクセンサから構成してもよい。
大気圧センサ50は、大気圧を検出するセンサ(大気圧検出手段)である。大気圧センサ50により検出された大気圧は、検出信号として制御装置30に入力される。
温度センサ51は、エンジン1の温度を検出するセンサである。温度センサ51は、エンジン1の温度を例えば、油温、冷却水温度、または外気温度から検出する。温度センサ51により検出されたエンジン1の温度は、検出信号として制御装置30に入力される。
制御装置30は、温度センサ51により検出されたエンジン温度が予め設定された設定温度よりも低い場合にエンジン1の始動が行われるとき、即ちエンジン低温始動時、始動時進角装置12を燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期が進角するように制御する。
次に、大気圧の低い高地(以下、高高度条件下という)での運転時におけるエンジン1の制御について説明する。
高高度条件下では、圧縮端温度が低下して、燃料が燃焼しにくくなるため、高回転低負荷運転時に排気ガスに含まれるCO及びTHCが増加する。そこで、第1実施形態に係るエンジン1においては、この問題を解消するために、始動時進角装置12がエンジン低温始動時以外にも利用される。具体的には、制御装置30が次のように制御を行って、高高度条件下での高回転低負荷運転時に、始動時進角装置12により燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期を進角させる。
図2に示すように、ステップS1において、制御装置30は、予め設定された各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S1)。例えば、エンジン回転数センサ40からの検出信号と、燃料噴射量センサ41からの検出信号と、大気圧センサ50からの検出信号とを読み込む。
ステップS2において、制御装置30は、ステップS1で読み込んだ検出信号から得たエンジン回転数と、第1設定値とを比較し、このエンジン回転数が第1設定値以上であるか否かを判断する(S2)。すなわち、エンジン1が高回転運転状態にあるか否かを判断する。ここで、第1設定値とは、エンジン1が高回転運転状態にあると判断される場合におけるエンジン回転数の最小値をいう。なお、以下の第1設定値についても同様とする。
制御装置30は、エンジン回転数が第1設定値以上でないと判断すると(S2−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S1)。
制御装置30は、エンジン回転数が第1設定値以上、つまりエンジン1が高回転運転状態にあると判断すると(S2−Yes)、ステップをステップS3に移行させる。
ステップS3において、制御装置30は、ステップS1で読み込んだ検出信号から得たエンジン回転数及び燃料噴射量から求めたエンジン負荷と、第2設定値とを比較し、このエンジン負荷が第2設定値以下であるか否かを判断する(S3)。すなわち、エンジン1が低負荷運転状態にあるか否かを判断する。ここで、第2設定値とは、エンジン1が低負荷運転状態にあると判断される場合における、エンジン回転数及び燃料噴射量から求めたエンジン負荷の最大値をいう。なお、以下の第2設定値についても同様とする。
制御装置30は、エンジン負荷が第2設定値以下でないと判断すると(S3−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S1)。
制御装置30は、エンジン負荷が第2設定値以下、つまりエンジン1が低負荷運転状態にあると判断すると(S3−Yes)、ステップをステップS4に移行させる。
ステップS4において、制御装置30は、ステップS1で読み込んだ検出信号から得た大気圧と、第3設定値とを比較し、この大気圧が第3設定値以下であるか否かを判断する(S4)。
すなわち、エンジン1が高高度条件下にあるか否かを判断する。ここで、第3設定値とは、エンジン1が高高度条件下にあると判断される場合における大気圧の最大値をいう。なお、以下の第3設定値についても同様とする。
制御装置30は、大気圧が第3設定値以下でないと判断すると(S4−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S1)。
制御装置30は、大気圧が第3設定値以下、つまりエンジン1が高高度条件下にあると判断すると(S4−Yes)、ステップをステップS5に移行させる。
ステップS5において、制御装置30は、始動時進角装置12を作動させ、燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期を進角させる(S5)。すなわち、燃料の噴射時期を平地(低地)の場合と比べて進角させる。これにより、運転中のエンジン1において、初期燃焼が活性化され、燃料が燃焼しやすくなる。
以上のように、第1実施形態に係るエンジン1は、燃料の噴射時期を変化させるための始動時進角装置12を有する燃料噴射ポンプ10を備えるエンジン1において、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段(エンジン回転数センサ40、燃料噴射量センサ41)と、大気圧を検出する大気圧センサ50(大気圧検出手段)と、始動時進角装置12を制御する制御装置30と、を具備し、エンジン回転数センサ40が検出するエンジン回転数が第1設定値以上、エンジン負荷検出手段により検出されたエンジン負荷が第2設定値以下、大気圧センサ50が検出する大気圧が第3設定値以下である場合、制御装置30は、始動時進角装置12を作動して燃料の噴射時期を進角するように制御するものである。
このようにエンジン1を構成することにより、大気圧の低い高地での高回転低負荷運転時に、エンジン1における初期燃焼が活性化され、燃料が燃焼されやすくなる。したがって、このときの排気ガスに含まれるCO及びTHCを低減することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係るエンジン1について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態に係るエンジン1と同一の構成については符号を同一とし、その構成の説明は省略する。
高高度条件下における高回転低負荷時のエンジン1の制御について説明する。
高高度条件下では、圧縮端温度が低下して、燃料が燃焼しにくくなるため、高回転低負荷運転時に排気ガスに含まれるCO及びTHCが増加する。そこで、第2実施例に係るエンジン1においては、この問題を解消するために、排気ガス再循環装置20が利用される。具体的には、制御装置30が次のように制御を行って、高高度条件下での高回転低負荷運転時に、排気ガス再循環装置20の制御弁22の開度を大きくして、再循環流路21を流れる排気ガスの流量を増大させる。
図3に示すように、ステップS21において、制御装置30は、予め設定された各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S21)。例えば、エンジン回転数センサ40からの検出信号と、燃料噴射量センサ41からの検出信号と、大気圧センサ50からの検出信号とを読み込む。
ステップS22において、制御装置30は、ステップS21で読み込んだ検出信号から得たエンジン回転数と、第1設定値とを比較し、このエンジン回転数が第1設定値以上であるか否かを判断する(S22)。すなわち、エンジン1が高回転運転状態にあるか否かを判断する。
制御装置30は、エンジン回転数が第1設定値以上でないと判断すると(S22−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S21)。
制御装置30は、エンジン回転数が第1設定値以上、つまりエンジン1が高回転状態にあると判断すると(S22−Yes)、ステップをステップS23に移行させる。
ステップS23において、制御装置30は、ステップS21で読み込んだ検出信号から得たエンジン回転数及び燃料噴射量から求めたエンジン負荷と、第2設定値とを比較し、このエンジン負荷が第2設定値以下であるか否かを判断する(S23)。すなわち、エンジン1が低負荷運転状態にあるか否かを判断する。
制御装置30は、エンジン負荷が第2設定値以下でないと判断すると(S23−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S21)。
制御装置30は、エンジン負荷が第2設定値以下、つまりエンジン1が低負荷運転状態にあると判断すると(S23−Yes)、ステップをステップS24に移行させる。
ステップS24において、制御装置30は、ステップS21で読み込んだ検出信号から得た大気圧と、第2設定値とを比較し、この大気圧が第2設定値以下であるか否かを判断する(S24)。すなわち、エンジン1が高高度条件下にあるか否かを判断する。
制御装置30は、大気圧が第2設定値以下でないと判断すると(S24−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S21)。
制御装置30は、大気圧が第2設定値以下、つまりエンジン1が高高度条件下にあると判断すると(S24−Yes)、ステップをステップS25に移行させる。
ステップS25において、制御装置30は、排気ガス再循環装置20の制御弁22を制御して、この制御弁22の開度を大きくすることにより、再循環流路21を流れる排気ガスの流量を増大させる(S25)。これにより、高温の排気ガスの一部が吸気流路2に再循環される量が増え、吸気温度ひいては圧縮端温度が上昇する。
以上のように、第2実施形態に係るエンジン1は、吸気流路2と排気流路3とを連通する再循環流路21に制御弁22を設けるとともに制御弁22を制御して再循環流路21から吸気流路2に排気ガスを再循環させる排気ガス再循環装置20を備えるエンジン1において、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段(エンジン回転数センサ40、燃料噴射量センサ41)と、大気圧を検出する大気圧センサ50(大気圧検出手段)と、排気ガス再循環装置20を制御する制御装置30と、を具備し、エンジン回転数センサ40が検出するエンジン回転数が第1設定値以上、エンジン負荷検出手段により検出されたエンジン負荷が第2設定値以下、大気圧センサ50が検出する大気圧が第3設定値以下である場合、制御装置30は、排気ガス再循環装置20を制御弁22の開度が大きくなるように制御するものである。
このようにエンジン1を構成することにより、高高度条件下での高回転低負荷運転時に、吸気温度が上がって、圧縮端温度が上昇し、燃料が燃焼されやすくなる。したがって、このときの排気ガスに含まれるCO及びTHCを低減することができる。
なお、第2実施形態に係るエンジン1においては、制御装置30は、図4の実線に示すように、大気圧が第3設定値以下(例えば大気圧P以下)になった段階で、排気ガス再循環装置20の制御弁22をその開度が瞬時に大きくなる(例えば開度Aから開度B(A<B))ように制御するが、この制御は特に限定するものではない。例えば、制御装置30が、図4の破線に示すように、大気圧が所定値から低くなるに従って制御弁22をその開度が段階的に(徐々に)大きくなるように制御しても構わない。
次に、本発明の第3実施形態に係るエンジン1について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態に係るエンジン1と同一の構成については符号を同一とし、その構成の説明は省略する。
高高度条件下における高回転低負荷時のエンジン1の制御について説明する。
図5(a)(b)に示すように、エンジン1のエンジン回転数は、ローアイドル回転数Nminからハイアイドル回転数Nmaxまで任意に変更可能とされる。
また、高高度条件下では、圧縮端温度が低下して、燃料が燃焼しにくくなるため、高回転低負荷運転時に排気ガスに含まれるCO及びTHCが増加する。そこで、第3実施例に係るエンジン1においては、所定の回転制御(ハイアイドル回転数の抑制制御)が行われる。具体的には、制御装置30が次のように制御を行って、高地での高回転低負荷運転時に、燃料噴射ポンプ10によりハイアイドル回転数Nmaxが平地(低地)の場合と比べて小さくなるようにする。
例えば、図5(a)に示すように、平地(低地)においては、エンジン1の回転制御はドループ制御で行われる。そして、大気圧が所定の大気圧(設定値)以下となると、エンジン1の回転制御は、アイソクロナス制御(または逆ドループ制御)に変更される。このようにエンジン1の回転制御を変更することで、ハイアイドル回転数Nmaxが平地(低地)の場合と比べて小さくなる。
または、図5(b)に示すように、平地(低地)においては、エンジン1の回転制御はドループ制御で行われる。そして、大気圧が所定の大気圧(設定値)以下となると、エンジン1の回転制御は、ハイアイドル回転数Nmaxを一定回転数下げる制御に変更される。言い換えれば、トルクカーブTcurveが変更される(以下、トルクカーブ変更制御とする)。このようにトルクカーブTcurveが変更されることで、ハイアイドル回転数Nmaxが平地(低地)の場合と比べて小さくなる。
ここで、エンジン1の回転制御をアイソクロナス制御(または逆ドループ制御)に変更する場合(図5(a)の場合)について説明する。
図6に示すように、ステップS31において、制御装置30は、予め設定された各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S31)。例えば、エンジン回転数センサ40からの検出信号と、燃料噴射量センサ41からの検出信号と、大気圧センサ50からの検出信号とを読み込む。
ステップS32において、制御装置30は、ステップS31で読み込んだ検出信号から得たエンジン回転数と、第1設定値とを比較し、このエンジン回転数が第1設定値以上であるか否かを判断する(S32)。すなわち、エンジン1が高回転運転状態にあるか否かを判断する。
制御装置30は、エンジン回転数が第1設定値以上でないと判断すると(S32−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S31)。
制御装置30は、エンジン回転数が第1設定値以上、つまりエンジン1が高回転運転状態にあると判断すると(S32−Yes)、ステップをステップS33に移行させる。
ステップS33において、制御装置30は、ステップS31で読み込んだ検出信号から得たエンジン回転数及び燃料噴射量から求めたエンジン負荷と、第2設定値とを比較し、このエンジン負荷が第2設定値以下であるか否かを判断する(S33)。すなわち、エンジン1が低負荷運転状態にあるか否かを判断する。
制御装置30は、エンジン負荷が第2設定値以下でないと判断すると(S33−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S31)。
制御装置30は、エンジン負荷が第2設定値以下、つまりエンジン1が低負荷運転状態にあると判断すると(S33−Yes)、ステップをステップS34に移行させる。
ステップS34において、制御装置30は、ステップS31で読み込んだ検出信号から得た大気圧と、第3設定値とを比較し、この大気圧が第3設定値以下であるか否かを判断する(S34)。すなわち、エンジン1が高高度条件下にあるか否かを判断する。
制御装置30は、大気圧が第3設定値以下でないと判断すると(S34−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S31)。
制御装置30は、大気圧が第3設定値以下、つまりエンジン1が高高度条件下にあると判断すると(S34−Yes)、ステップをステップS35に移行させる。
ステップS35において、制御装置30は、アイソクロナス制御(または逆ドループ制御)が行われ、燃料噴射ポンプ10のラックアクチュエータ11がこの制御に従って作動される(S35)。すなわち、ハイアイドル回転数Nmaxが平地(低地)の場合と比べて小さくなる。
以上のように、第3実施形態に係るエンジン1は、燃料噴射ポンプ10を具備するエンジン1において、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段(エンジン回転数センサ40、燃料噴射量センサ41)と、大気圧を検出する大気圧センサ50(大気圧検出手段)と、燃料噴射ポンプ10を制御する制御装置30と、を具備し、エンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)が検出するエンジン回転数が第1設定値以上、エンジン負荷検出手段により検出されたエンジン負荷が第2設定値以下、大気圧センサ50が検出する大気圧が第3設定値以下であるとき、制御装置30は、燃料噴射ポンプ10のラックアクチュエータ11をハイアイドル回転数Nmaxが低下するように制御するものである。
このようにエンジン1を構成することにより、大気圧の低い高地での高回転低負荷運転時に、燃料の噴射量が適切な噴射量となる。したがって、このときの排気ガスに含まれるCO及びTHCを低減することができる。
次に、本発明の第4実施形態に係るエンジン1について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態に係るエンジン1と同一の構成については符号を同一とし、その構成の説明は省略する。
第4実施形態に係るエンジン1においては、前述の第1から第3実施形態と同様の、高回転低負荷運転時に排気ガスに含まれるCO及びTHCが増加するという問題を解消するために、始動時進角装置12及び排気ガス再循環装置20が利用される。具体的には、制御装置30が次のように制御を行って、高地での高回転低負荷運転時に、始動時進角装置12により燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期を進角させるとともに、排気ガス再循環装置20の制御弁22の開度を大きくして、再循環流路21を流れる排気ガスの流量を増大させる。
具体的には、図7に示すように、ステップS41において、制御装置30は、予め設定された各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S41)。例えば、エンジン回転数センサ40からの検出信号と、燃料噴射量センサ41からの検出信号と、大気圧センサ50からの検出信号とを読み込む。
ステップS42において、制御装置30は、ステップS1で読み込んだ検出信号から得たエンジン回転数と、第1設定値とを比較し、このエンジン回転数が第1設定値以上であるか否かを判断する(S42)。すなわち、エンジン1が高回転運転状態にあるか否かを判断する。
制御装置30は、エンジン回転数が第1設定値以上でないと判断すると(S42−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S41)。
制御装置30は、エンジン回転数が第1設定値以上、つまりエンジン1が高回転運転状態にあると判断すると(S42−Yes)、ステップをステップS43に移行させる。
ステップS43において、制御装置30は、ステップS41で読み込んだ検出信号から得たエンジン回転数及び燃料噴射量から求めたエンジン負荷と、第2設定値とを比較し、このエンジン負荷が第2設定値以下であるか否かを判断する(S43)。すなわち、エンジン1が低負荷運転状態にあるか否かを判断する。
制御装置30は、エンジン負荷が第2設定値以下でないと判断すると(S43−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S41)。
制御装置30は、エンジン負荷が第2設定値以下、つまりエンジン1が低負荷運転状態にあると判断すると(S43−Yes)、ステップをステップS44に移行させる。
ステップS44において、制御装置30は、ステップS41で読み込んだ検出信号から得た大気圧と、第3設定値とを比較し、この大気圧が第3設定値以下であるか否かを判断する(S44)。すなわち、エンジン1が高高度条件下にあるか否かを判断する。
制御装置30は、大気圧が第3設定値以下でないと判断すると(S44−No)、新たに各種設定値とその時点の各種信号を読み込む(S41)。
制御装置30は、大気圧が第3設定値以下、つまりエンジン1が高高度条件下にあると判断すると(S44−Yes)、ステップをステップS45に移行させる。
ステップS45において、制御装置30は、始動時進角装置12を作動させ、燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期を進角させる(S45)。すなわち、燃料の噴射時期を平地(低地)の場合と比べて進角させる。これにより、運転中のエンジン1において、初期燃焼が活性化され、燃料が燃焼しやすくなる。
さらに、ステップS46において、制御装置30は、排気ガス再循環装置20の制御弁22を制御して、この制御弁22の開度を大きくすることにより、再循環流路21を流れる排気ガスの流量を増大させる(S46)。これにより、高温の排気ガスの一部が吸気流路2に再循環される量が増え、吸気温度ひいては圧縮端温度が上昇する。
なお、排気ガス再循環装置20の制御弁22の制御(S46)は、始動時進角装置12の制御(S45)よりも先に行っても良く、または始動時進角装置12の制御(S45)と同時に行っても構わない。
以上のように、第4実施形態に係るエンジン1は、燃料の噴射時期を変化させるための始動時進角装置12を備える燃料噴射ポンプ10と、吸気流路2と排気流路3とを連通する再循環流路21に制御弁22を設けるとともに制御弁22を制御して再循環流路21から吸気流路2に排気ガスを再循環させる排気ガス再循環装置20と、を具備するエンジン1において、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段(エンジン回転数センサ40、燃料噴射量センサ41)と、大気圧を検出する大気圧センサ50(大気圧検出手段)と、始動時進角装置12及び排気ガス再循環装置20を制御する制御装置30と、を具備し、エンジン回転数センサ40が検出するエンジン回転数が第1設定値以上、エンジン負荷検出手段により検出されたエンジン負荷が第2設定値以下、大気圧センサ50が検出する大気圧が第3設定値以下である場合、制御装置30は、始動時進角装置12を作動して燃料の噴射時期を進角するように制御するとともに、排気ガス再循環装置20を制御弁22の開度が大きくなるように制御するものである。
このようにエンジン1を構成することにより、大気圧の低い高地での高回転低負荷運転時に、エンジン1における初期燃焼が活性化されるとともに、圧縮端温度が上昇し、燃料が燃焼されやすくなる。したがって、排気ガスに含まれるCO及びTHCを低減することができる。しかも、このCO及びTHCの低減を精度良く行うことができる。
また、エンジン1においては、前述の第1から第4実施形態と同様の、高回転低負荷運転時に排気ガスに含まれるCO及びTHCが増加するという問題を解消するために、排気ガス再循環装置20が利用されるとともに、所定の回転制御(ハイアイドル回転数の抑制制御)が行われるようにしてもよい。この場合、高地での高回転低負荷運転時に、排気ガス再循環装置20の制御弁22の開度を大きくして、再循環流路21を流れる排気ガスの流量を増大させるとともに、燃料噴射ポンプ10によりハイアイドル回転数Nmaxが平地(低地)の場合と比べて小さくなるようにする。
このように、別実施形態に係るエンジン1は、燃料噴射ポンプ10と、吸気流路2と排気流路3とを連通する再循環流路21に制御弁22を設けるとともに制御弁22を制御して再循環流路21から吸気流路2に排気ガスを再循環させる排気ガス再循環装置20と、を具備するエンジン1において、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段(エンジン回転数センサ40、燃料噴射量センサ41)と、大気圧を検出する大気圧センサ50(大気圧検出手段)と、燃料噴射ポンプ10及び排気ガス再循環装置20を制御する制御装置30と、を具備し、エンジン回転数センサ40が検出するエンジン回転数が第1設定値以上、エンジン負荷検出手段により検出されたエンジン負荷が第2設定値以下、大気圧センサ50が検出する大気圧が第3設定値以下である場合、制御装置30は、燃料噴射ポンプ10のラックアクチュエータ11をハイアイドル回転数Nmaxが低下するように制御するとともに、排気ガス再循環装置20を制御弁22の開度が大きくなるように制御するものである。
このようにエンジン1を構成することにより、大気圧の低い高地での高回転低負荷運転時に、圧縮端温度が上昇し、燃料が燃焼されやすくなるとともに、燃料の噴射量が適切な噴射量となる。したがって、このときの排気ガスに含まれるCO及びTHCを低減することができる。しかも、このCO及びTHCの低減を精度良く行うことができる。
また、エンジン1においては、前述の第1から第4実施形態と同様の、高回転低負荷運転時に排気ガスに含まれるCO及びTHCが増加するという問題を解消するために、始動時進角装置12が利用されるとともに、所定の回転制御(ハイアイドル回転数の抑制制御)が行われるようにしてもよい。この場合、高地での高回転低負荷運転時に、始動時進角装置12により燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期を進角させるとともに、燃料噴射ポンプ10によりハイアイドル回転数Nmaxが平地(低地)の場合と比べて小さくなるようにする。
このように、別実施形態に係るエンジン1は、燃料の噴射時期を変化させるための始動時進角装置12を備える燃料噴射ポンプ10を具備するエンジン1において、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段(エンジン回転数センサ40、燃料噴射量センサ41)と、大気圧を検出する大気圧センサ50(大気圧検出手段)と、始動時進角装置12及び燃料噴射ポンプ10を制御する制御装置30と、を具備し、エンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)が検出するエンジン回転数が第1設定値以上、エンジン負荷検出手段により検出されたエンジン負荷が第2設定値以下、大気圧センサ50が検出する大気圧が第3設定値以下である場合、制御装置30は、始動時進角装置12を作動して燃料の噴射時期を進角するように制御するとともに、燃料噴射ポンプ10のラックアクチュエータ11をハイアイドル回転数Nmaxが低下するように制御するものである。
このようにエンジン1を構成することにより、大気圧の低い高地での高回転低負荷運転時に、エンジン1における初期燃焼が活性化され、燃料が燃焼されやすくなるとともに、燃料の噴射量が適切な噴射量となる。したがって、このときの排気ガスに含まれるCO及びTHCを低減することができる。しかも、このCO及びTHCの低減を精度良く行うことができる。
また、エンジン1においては、前述の第1から第4実施形態と同様の、高回転低負荷運転時に排気ガスに含まれるCO及びTHCが増加するという問題を解消するために、始動時進角装置12及び排気ガス再循環装置20が利用されるとともに、所定の回転制御(ハイアイドル回転数の抑制制御)が行われるようにしてもよい。この場合、高地での高回転低負荷運転時に、始動時進角装置12により燃料噴射ポンプ10における燃料の噴射時期を進角させるとともに、排気ガス再循環装置20の制御弁22の開度を大きくして、再循環流路21を流れる排気ガスの流量を増大させ、さらに燃料噴射ポンプ10によりハイアイドル回転数Nmaxが平地(低地)の場合と比べて小さくなるようにする。
このように、別実施形態に係るエンジン1は、燃料の噴射時期を変化させるための始動時進角装置12を備える燃料噴射ポンプ10と、吸気流路2と排気流路3とを連通する再循環流路21に制御弁22を設けるとともに制御弁22を制御して再循環流路21から吸気流路2に排気ガスを再循環させる排気ガス再循環装置20と、を具備するエンジン1において、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ40(エンジン回転数検出手段)と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段(エンジン回転数センサ40、燃料噴射量センサ41)と、大気圧を検出する大気圧センサ50(大気圧検出手段)と、始動時進角装置12、燃料噴射ポンプ10、及び排気ガス再循環装置20を制御する制御装置30と、を具備し、エンジン回転数センサ40が検出するエンジン回転数が第1設定値以上、エンジン負荷検出手段により検出されたエンジン負荷が第2設定値以下、大気圧センサ50が検出する大気圧が第3設定値以下であるとき、制御装置30は、始動時進角装置12を作動して燃料の噴射時期を進角するように制御し、排気ガス再循環装置20を制御弁22の開度が大きくなるように制御し、燃料噴射ポンプ10のラックアクチュエータ11をハイアイドル回転数Nmaxが低下するように制御するものである。
このようにエンジン1を構成することにより、大気圧の低い高地での高回転低負荷運転時に、エンジン1における初期燃焼が活性化されるとともに、圧縮端温度が上昇し、燃料が燃焼されやすくなり、さらに燃料の噴射量が適切な噴射量となる。したがって、排気ガスに含まれるCO及びTHCを低減することができる。しかも、このCO及びTHCの低減を精度良く行うことができる。