JP5398886B2 - 発電システムの制御装置および発電システムならびに発電方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明にかかる発電システムは、メインエンジンの過給機の上流側から抽気された排ガスによって駆動されるパワータービンと、前記メインエンジンの排ガスを用いて蒸気を生成する排ガスボイラと、前記排ガスボイラにて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記パワータービンおよび前記蒸気タービンに接続されたタービン発電機と、を備えた発電システムにおいて、前記メインエンジンの運転状態から蒸気タービン供給可能出力を算出し、前記蒸気タービンの出力を前記蒸気タービン供給可能出力以下となるように決定し、前記蒸気タービンの出力と需要電力との差分を補うように、前記パワータービンの出力を決定することを特徴とする。
蒸気タービン出力は、需要電力との関係で決定される。すなわち、需要電力が蒸気タービン供給可能出力を上回っている場合には、蒸気タービン出力は蒸気タービン供給可能出力と同等または蒸気タービン供給可能出力以下の近傍の値(例えば需要電力からパワータービンの最小出力を減じた値)とすることが好ましい。需要電力が蒸気タービン供給可能出力以下となっている場合には、需要電力を満たすように供給可能出力以下の蒸気タービン出力とすることが好ましい。
また、パワータービンの出力は、蒸気タービン出力(例えばフィードバックされた現在値出力)と需要電力との差分を補うように決定される。具体的には、需要電力を満たす残りの負荷量をパワータービンに分担させるように、パワータービンに供給される排ガス量を調整する。これにより、需要電力に対して蒸気タービンが負担できる出力を蒸気タービンに優先的に分担させることができる。
なお、メインエンジンとしては、典型的には、船舶推進用のディーゼルエンジンが挙げられる。
また、メインエンジンの負荷は、排ガス流量や排ガス圧力を反映しているので、蒸気タービン供給可能出力を得るのに適している。
また、メインエンジンの負荷は、排ガス流量や排ガス圧力を反映しているので、パワータービン供給可能出力を得るのに適している。
図1には、本実施形態にかかる発電システムのタービン発電機の概略構成が示されている。本実施形態では、メインエンジンとして船舶推進用のディーゼルエンジン3を用いている。
タービン発電機1は、船舶推進用のディーゼルエンジン(メインエンジン)3と、ディーゼルエンジン3の排ガスによって駆動される排気ターボ過給機5と、排気ターボ過給機5の上流側から抽気されたディーゼルエンジン3の排ガスによって駆動されるパワータービン(ガスタービン)7と、ディーゼルエンジン3の排ガスによって蒸気を生成する排ガスエコノマイザ(排ガスボイラ)11と、排ガスエコノマイザ11によって生成された蒸気によって駆動される蒸気タービン9とを備えている。
排気ターボ過給機5は、タービン部5aと、コンプレッサ部5bと、タービン部5aとコンプレッサ部5bを連結する回転軸5cとから構成されている。
この排ガスエコノマイザ11は、排気ターボ過給機5のタービン部5aの出口側から第3排気管L3を介して排出される排ガスと、パワータービン7の出口側から第4排気管L4を介して排出される排ガスとが、導入されて熱交換部21によって、排ガスの熱によって給水管23によって供給された水を蒸発させて蒸気を発生させる。そして、排ガスエコノマイザ11で生成された蒸気は第1蒸気管J1を介して蒸気タービン9に導入され、また、該蒸気タービン9で仕事を終えた蒸気は第2蒸気管J2によって排出されて図示しないコンデンサ(復水器)に導かれるようになっている。
以上のように発電機25は、船舶推進用のディーゼルエンジン3の排ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力として駆動されるようになっており、排気エネルギー回収装置を構成している。
制御装置43には、発電機25の出力電力を検出する電力センサ45からの信号が入力され、発電機25の回転速度として蒸気タービン9の回転軸29の回転速度を検出する回転センサ49からの信号が入力されている。また、制御装置43には、ディーゼルエンジン発電機60からの出力信号と、船内消費電力を検出する船内消費電力センサ51からの信号とが入力されている。
負荷分担制御部53から設定された負荷率に応じた出力の指示信号が、パワータービン用ガバナー部55、蒸気タービン用ガバナー部57、及びディーゼルエンジン発電機60用ガバナー部にそれぞれ出力される。
制御装置43は、パワーマネージメントシステム70とコントローラ部72とから主として構成されている。
図5及び図6は、コントローラ部72の構成を示しており、図5が左側、図6が右側に位置する関係となっており、信号線A9が接続されている。また、図5及び図6は、パワーマネージメントシステム70を示した図3及び図4の下に位置する関係となっており、信号線B1〜B9がそれぞれ接続されている。なお、図5には図示の都合上、ディーゼルエンジン発電機60が示されているが、これは図7に示すプラント74の構成に属するものである。また、図6の下方には、プラント74側から得られる各種信号が示されている。
図7は、発電システムのプラント74が示されており、図1及び図2で説明したパワータービン7や蒸気タービン9等が示されている。図7は、図5及び図6の下に位置する関係となっており、信号線C1〜C3,B5及びAA、並びに電力線E1がそれぞれ接続されている。
蒸気タービン9の供給可能出力Av(ST)を演算する際に用いるマップが図6のマップM1に示されている。このマップM1は、コントローラ部72に設けられたメモリに格納されている。マップM1は、蒸気タービン供給可能出力Av(ST)が縦軸とされ、ディーゼルエンジン3の負荷(ME Load)が横軸とされており、設計時データや試運転データに基づいて予め作成されている。なお、蒸気タービン供給可能出力Av(ST)としては、ディーゼルエンジン3の排ガスエネルギーから得られる最大の蒸気タービン出力が用いられる。
ディーゼルエンジン3の負荷が、図5のディーゼルエンジン負荷検出器78(Main Engine Load)から信号線A9を介して入力されるようになっており、この入力値とマップM1から蒸気タービン供給可能出力Av(ST)が得られる。このように得られた蒸気タービン供給可能出力Av(ST)は、信号線B7を介して、図4に示されたパワーマネージメントシステム70に向けて出力される。
マップM1から得られる蒸気タービン供給可能出力Av(ST)は、排ガスエコノマイザ11(図1参照)の入口(上流側)の排ガス温度(ECO. GAS Inlet Temp.)によって補正(Compensation)されるようになっている。これは、排ガスエコノマイザ11の入口の排ガス温度が変化すると、排ガスボイラによって生成される発生蒸気量が変化するからである。具体的には、標準温度(例えば300℃)よりも排ガス温度が高温になれば供給可能出力を増大させ、標準温度よりも排ガス温度が低温になれば供給可能出力を減少させる。
パワータービン7の供給可能出力Av(PT)を演算する際に用いるマップが図6のマップM2に示されている。このマップM2は、コントローラ部72に設けられたメモリに格納されている。マップM2は、パワータービン供給可能出力Av(PT)が縦軸とされ、ディーゼルエンジン3の負荷(ME Load)が横軸とされており、設計時データや試運転データに基づいて予め作成されている。なお、パワータービン供給可能出力Av(PT)としては、ディーゼルエンジン3の排ガスエネルギーから得られる最大のパワータービン出力が用いられる。
ディーゼルエンジン3の負荷が、図5のディーゼルエンジン負荷検出器78(Main Engine Load)から信号線A9を介して入力されるようになっており、この入力値とマップM2からパワータービン供給可能出力Av(PT)が得られる。このように得られたパワータービン供給可能出力Av(PT)は、信号線B8を介して、図4に示されたパワーマネージメントシステム70に向けて出力される。
マップM2から得られるパワータービン供給可能出力Av(PT)は、排気ターボ過給機5(図1参照)の入口の空気温度によって補正(Compensation)されるようになっている。これは、排気ターボ過給機5の入口の空気温度が変化すると、空気密度が変化し、ディーゼルエンジン3からの排ガスエネルギーが変化するからである。具体的には、標準温度(例えば25℃)よりも空気温度が高温になれば空気密度が下がるので供給可能出力を減少させ、標準温度よりも空気温度が低温になれば空気密度が上がるので供給可能出力を増大させる。なお、図6のマップM2には示されていないが、排気ターボ過給機5の入口空気温度は、マップM2に入力されるようになっている。
蒸気タービン9が現在出力している実出力(現在値出力)は、図6に示したマップM3から得られる。このマップM3は、コントローラ部72に設けられたメモリに格納されている。マップM3は、蒸気タービン実出力ST(kW)が縦軸とされ、蒸気タービン9の1段目圧力(First Stage Pressure; FSP)が横軸とされている。蒸気タービン9の1段目圧力FSPは、図7に示されているように、蒸気タービン9の1段目タービン(高圧タービン)の下流側に設けられた圧力センサ(PT)から信号線AAを介して得られるようになっている。また、図6に示されているように、蒸気タービンプラントの復水器圧力(Cond Vacuum Press.)と、入口蒸気温度(Inlet Steam Temp.)と、入口蒸気圧力(Inlet Steam Press.)とによってマップM3が補正されるようになっている。マップM3から得られた蒸気タービン実出力ST(kW)は、信号線B6を介して、図4に示されたパワーマネージメントシステム70に向けて出力されるとともに、次に説明する演算部F1に向けて出力される。
パワータービン7が現在出力している実出力(現在値出力)は、図6に示した演算部F1から得られる。この演算部F1で用いられる演算式は、コントローラ部72に設けられたメモリに格納されている。演算部F1では、下式(1)に示すように、発電機25(図7参照)の出力電力を検出する電力センサ45から得られるタービン発電機出力STG(kW)と、マップM3で得られた蒸気タービン実出力ST(kW)との差分からパワータービン実出力PTが得られるようになっている。
PT(kW)=STG(kW)−ST(kW) ・・・・・(1)
演算部F1で得られたパワータービン実出力PT(kW)は、信号線B9を介して、図4に示されたパワーマネージメントシステム70に向けて出力される。
図4に示すように、パワーマネージメントシステム70の演算部F2にて、蒸気タービン9の負荷率R(ST)が演算される。蒸気タービン負荷率R(ST)は、下式(2)によって得られる。
R(ST)=[LD(kW)−[DG(min)+PT(min)]]/Av(ST)
・・・・・(2)
ここで、LD(kW)は船内需要電力であり、図3の演算部F5に示されているように、ディーゼルエンジン発電機出力DG(kW)と、タービン発電機出力STG(kW)との和から得られる。DG(min)は、ディーゼルエンジン発電機60(図5参照)の最小出力であり、発電用ディーゼルエンジンが安定して動作する最小の出力を意味する。PT(min)は、パワータービン7の最小出力であり、パワータービンが安定して運転できる最小の出力を意味し、具体的にはパワータービン7と蒸気タービン9とを連結するクラッチ31が嵌脱する回転数における出力に基づいて決定され、例えばパワータービンの定格の10%とされる。
式(2)に示したように、船内需要電力LD(kW)からディーゼル発電機最小出力DG(min)及びパワータービン最小出力PT(min)を減じる式を演算式の分子とすることにより、ディーゼルエンジン発電機60やパワータービン7よりも優先的に蒸気タービン9の要求出力を決定し、蒸気タービン9に出力を最大限とることができるようになっている。また、蒸気タービン供給可能出力Av(ST)を演算式の分母とすることにより、蒸気タービン9の要求出力を蒸気タービン供給可能出力Av(ST)に対する割合で示すこととし、蒸気タービン9の出力を最大限有効に利用できるようになっている。
また、演算部F2に示されているように、蒸気タービン負荷率R(ST)は1以下とされ、蒸気タービン供給可能出力Av(ST)を超えて出力を要求しないようになっている。さらに、蒸気タービン負荷率R(ST)は、ST(min)/Av(ST)以上とされ、蒸気タービン9が安定して運転できる最小出力を下回る出力を要求しないようになっている。
図4に示すように、パワーマネージメントシステム70の演算部F3にて、パワータービン7の負荷率R(PT)が演算される。パワータービン負荷率R(PT)は、下式(3)によって得られる。
R(PT)=[LD(kW)−[DG(min)+ST(kW)]]/Av(PT)
・・・・・(3)
式(3)に示したように、船内需要電力LD(kW)からディーゼル発電機最小出力DG(min)及び蒸気タービン実出力ST(kW)を減じる式を演算式の分子とすることにより、蒸気タービン9を優先するとともに、ディーゼルエンジン発電機60よりも優先的にパワータービン7の要求出力を決定し、ディーゼルエンジン3の排熱回収を最大限行うことができるようになっている。また、パワータービン供給可能出力Av(PT)を演算式の分母とすることにより、パワータービン7の要求出力をパワータービン供給可能出力Av(PT)に対する割合で示すこととし、パワータービン7の出力を最大限有効に利用できるようになっている。
また、演算部F3に示されているように、パワータービン負荷率R(PT)は1以下とされ、パワータービン供給可能出力Av(PT)を超えて出力を要求しないようになっている。さらに、パワータービン負荷率R(PT)は、PT(min)/Av(PT)以上とされ、パワータービン7が安定して運転できる最小出力を下回る出力を要求しないようになっている。
図4に示すように、パワーマネージメントシステム70の演算部F4にて、ディーゼルエンジン発電機60の負荷率R(DG)が演算される。ディーゼルエンジン発電機負荷率R(DG)は、下式(4)によって得られる。
R(DG)=[LD(kW)−[ST(kW)+PT(kW)]]/Av(DG)
・・・・・(4)
ここで、ディーゼルエンジン発電機供給可能出力Av(DG)は、ディーゼルエンジン発電機の定格出力Rated(DG)が用いられる。
式(4)に示したように、船内需要電力LD(kW)から蒸気タービン実出力ST(kW)及びパワータービン実出力PT(kW)を減じる式を演算式の分子とすることにより、蒸気タービン9及びパワータービン7を優先し、ディーゼルエンジン発電機60の運転を極力抑えるようになっている。また、ディーゼルエンジン発電機供給可能出力Av(DG)を演算式の分母とすることにより、ディーゼルエンジン発電機60の要求出力をディーゼルエンジン発電機供給可能出力Av(DG)に対する割合で示すこととし、ディーゼルエンジン発電機60の出力を最大限有効に利用できるようになっている。
また、演算部F4に示されているように、ディーゼルエンジン発電機負荷率R(DG)は1以下とされ、ディーゼルエンジン発電機供給可能出力Av(DG)を超えて出力を要求しないようになっている。さらに、ディーゼルエンジン発電機負荷率R(DG)は、DG(min)/Av(DG)以上とされ、ディーゼルエンジン発電機が安定して運転できる最小出力を下回る出力を要求しないようになっている。
図4に示した演算部F6では、各演算部F2,F3,F4で得られた結果に基づいて、下式(5)によって、合計供給可能出力Ta(kW)が求められる。
Ta(kW)=R(DG)×Av(DG)+R(ST)×Av(ST)
+R(PT)×Av(PT) ・・・・・(5)
図3に示されているように、蒸気タービン9に要求する目標出力LT(ST)は、上述した各演算値を用いて、演算部F7によって下式(6)に従って演算される。
LT(ST)=LD(kW)×[R(ST)×Av(ST)]/Ta(kW)
・・・・・(6)
上式(6)によって得られた蒸気タービン目標出力LT(ST)は、蒸気タービン実出力ST(kW)と比較演算された後、周波数制御器79によって混合器81にて所定周波数の信号に整えられて増減信号(INC / DEC)として、信号線B2を介して図5に示したコントローラ部72の蒸気タービン用ガバナー部57に出力される。
蒸気タービン用ガバナー部57では、図2にて説明したドループ制御に基づいて制御信号が生成され、この制御信号が信号線C2を介して蒸気量調整弁37(図7参照)に出力される。
図3に示されているように、パワータービン7に要求する目標出力LT(PT)は、上述した各演算値を用いて、演算部F8によって下式(7)に従って演算される。
LT(PT)=LD(kW)×[R(PT)×Av(PT)]/Ta(kW)
・・・・・(7)
上式(7)によって得られたパワータービン目標出力LT(PT)は、パワータービン実出力PT(kW)と比較演算された後、周波数制御器79によって混合器82にて所定周波数の信号に整えられて増減信号(INC / DEC)として、信号線B1を介して図5に示したコントローラ部72のパワータービン用ガバナー部55に出力される。
パワータービン用ガバナー部55では、図2にて説明したドループ制御に基づいて制御信号が生成され、この制御信号が信号線C1を介して排ガス量調整弁33(図7参照)に出力される。
なお、パワータービン用ガバナー部55では、図5に示されているように、パワータービン7の回転数(PT RPM)を得て、パワータービンの定格出力近傍(例えば定格出力の±数%)でデッドバンド(不感帯)を設ける関数発生器85を設けている。これは、定格出力近傍で回転数が多少変化してもパワータービンの目標出力指令を変化させないようにして、ディーゼルエンジン3の安定性を保つために設けている。また、このようにすることで、定格近傍の変動に対しては蒸気タービン9の出力変化によって対応することとしている。蒸気タービン9はパワータービン7に比べて制御性が良いので、タービン発電機として安定した運転が実現されるようになる。
図3に示されているように、ディーゼルエンジン発電機60に要求する目標出力LT(DG)は、上述した各演算値を用いて、演算部F9によって下式(8)に従って演算される。
LT(DG)=LD(kW)×[R(DG)×Av(DG)]/Ta(kW)
・・・・・(8)
上式(8)によって得られたディーゼルエンジン発電機目標出力LT(DG)は、ディーゼルエンジン発電機実出力DG(kW)と比較演算された後、周波数制御器79によって混合器83にて所定周波数の信号に整えられて増減信号(INC / DEC)として、信号線B3を介して図5に示したディーゼルエンジン発電機60のディーゼルエンジン発電機用ガバナー部(図示せず)に出力される。
所定の繰り返し周期Δtが経過すると(ステップS1)、ステップS2に進み、演算部F2にて、船内需要電力LD(kW)からディーゼル発電機最小出力DG(min)及びパワータービン最小出力PT(min)を減じた蒸気タービン出力となるように、蒸気タービン負荷率R(ST)が決定される。この際、蒸気タービン負荷率R(ST)は、蒸気タービン供給可能出力Av(ST)が超えることがないように設定される。
そして、ステップS6に進み、ステップS5にて得た合計供給可能出力Ta(kW)を用いて、蒸気タービン目標出力LT(ST)、パワータービン目標出力LT(PT)、及びディーゼルエンジン発電機目標出力LT(DG)を演算する。
そして、ステップS7にて、各目標出力に基づいて、蒸気タービン9、パワータービン7、及びディーゼルエンジン発電機60に対して、制御指令をコントローラ部72から出力する。
このように一連のフローが終了した後、再び「スタート」に戻り、所定の繰り返し周期Δtで同様のフローが繰り返される。
図9の横軸は、船内需要電力の定格100%に対する百分率を示している。また、縦軸方向には、下からパワータービン(PT)7,蒸気タービン(ST)9,第1ディーゼルエンジン発電機(DG1)60、第2ディーゼルエンジン発電機(DG2)60が並べられており、それぞれの欄の縦方向は出力を意味する。なお、以下説明する出力制御は一例であり、本実施形態ではパワータービン7、蒸気タービン9、ディーゼルエンジン発電機60の出力がほぼ同等の能力を有する構成を想定しているが、設定出力が異なるシステムにおいては、船内需要電力の制御基準を適宜変更し、負荷分担の最適化を図ることになる。
船内需要電力が25〜50%の場合、船内需要電力の増大に応じて蒸気タービン9及びパワータービン7の出力が漸次増大されるようになっている。この場合、パワータービン7の出力は、船内需要電力と蒸気タービン9の出力との差分を補うように増大するようになっており、余剰蒸気の生成およびダンプ(コンデンサへの放出)を廃止している。また、船内需要電力を補うように、第1ディーゼルエンジン発電機60が最小出力で立ち上がる。
船内需要電力が50〜75%の場合、蒸気タービン9及びパワータービン7は定格出力を一定に出力する。船内需要電力の増大に応じて、第1ディーゼルエンジン発電機60の出力が漸次増大されるようになっている。
船内需要電力が75〜100%の場合、蒸気タービン9及びパワータービン7並びに第1ディーゼルエンジン発電機60は定格出力を一定に出力する。船内需要電力の増大に応じて、第2ディーゼルエンジン発電機60の出力が漸次増大されるようになっている。
蒸気タービン9の出力を船内需要電力LD(kW)からディーゼルエンジン発電機最小出力DG(min)及びパワータービン最小出力PT(min)を減じた値に基づいて蒸気タービン負荷率R(ST)を決定することとしたので、蒸気タービン供給可能出力Av(ST)に近づくように蒸気タービン出力を決定することができる。これにより、排ガスボイラ11を介してディーゼルエンジン3から得られる排ガスエネルギーを蒸気タービン9にて有効に利用することができる。したがって、排ガスボイラ11で生成した蒸気を蒸気タービン9に用いずに余剰蒸気として放出(ダンプ)することを可及的に抑制できる。これにより、メインエンジンの排熱回収を有効に行うことによって、メインエンジンの燃費を向上させることができる。
また、パワータービン7の出力を、蒸気タービン実出力ST(kW)と船内需要電力LD(kW)との差分を補うように決定することとしたので。需要電力に対して蒸気タービンが負担できる出力を蒸気タービンに優先的に分担させることができ、余剰蒸気の発生を廃止することができる。
また、ディーゼルエンジン3の負荷は、排ガス流量や排ガス圧力を反映しているので、蒸気タービン供給可能出力Av(ST)を得るのに適している。
また、ディーゼルエンジン3の負荷は、排ガス流量や排ガス圧力を反映しているので、パワータービン供給可能出力Av(PT)を得るのに適している。
また、発電システムとしてディーゼルエンジン発電機を備えた実施形態としたが、ディーゼルエンジン発電機を省略した発電システムに対して適用することもできる。
また、余剰蒸気の放出を抑制するように蒸気タービン出力を制御することとしたが、多少の余剰蒸気の発生を許容する場合には、所定量の余剰蒸気が許容するように蒸気タービン出力を制御することとしても良い。
3 ディーゼルエンジン
5 排気ターボ過給機
7 パワータービン
9 蒸気タービン
11 排ガスエコノマイザ(排ガスボイラ)
25 発電機
33 排ガス量調整弁
37 蒸気量調整弁
43 制御装置
60 ディーゼルエンジン発電機
Claims (16)
- メインエンジンの過給機の上流側から抽気された排ガスによって駆動されるパワータービンと、前記メインエンジンの排ガスを用いて蒸気を生成する排ガスボイラと、前記排ガスボイラにて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記パワータービンおよび前記蒸気タービンに接続されたタービン発電機と、を備えた発電システムにおいて、
前記メインエンジンの運転状態から蒸気タービン供給可能出力を算出し、前記蒸気タービンの出力を前記蒸気タービン供給可能出力以下となるように決定し、前記蒸気タービンの出力と需要電力との差分を補うように、前記パワータービンの出力を決定することを特徴とする発電システム。 - 前記蒸気タービン供給可能出力が、前記メインエンジンの負荷から算出されることを特徴とする請求項1に記載の発電システム。
- 前記蒸気タービン供給可能出力が、前記排ガスボイラの入口の排ガス温度によって補正されることを特徴とする請求項2に記載の発電システム。
- 前記メインエンジンの運転状態からパワータービン供給可能出力を算出し、前記パワータービンの出力が前記パワータービン供給可能出力を超えないように決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発電システム。
- 前記パワータービン供給可能出力が、前記メインエンジンの負荷から算出されることを特徴とする請求項4に記載の発電システム。
- 前記パワータービン供給可能出力が、前記過給機の入口の空気温度によって補正されることを特徴とする請求項5に記載の発電システム。
- さらに発電用ディーゼルエンジンとディーゼルエンジン発電機を備えた発電システムにおいて、
前記蒸気タービンの出力および前記パワータービンの出力と需要電力との差分を補うように前記発電用ディーゼルエンジンの出力を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の発電システム。 - メインエンジンの過給機の上流側から抽気された排ガスによって駆動されるパワータービンと、前記メインエンジンの排ガスを用いて蒸気を生成する排ガスボイラと、前記排ガスボイラにて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記パワータービンおよび前記蒸気タービンに接続されたタービン発電機と、を備えた発電システムにおいて、
需要電力、およびパワータービン最小出力から蒸気タービン負荷率と、
前記需要電力および蒸気タービン実出力からパワータービン負荷率と、を算出し、
前記蒸気タービン負荷率、および前記パワータービン負荷率から供給可能出力を算出し、前記供給可能出力から蒸気タービン目標出力、およびパワータービン目標出力を算出する演算部を備えたことを特徴とする発電システム。 - メインエンジンの過給機の上流側から抽気された排ガスによって駆動されるパワータービンと、前記メインエンジンの排ガスを用いて蒸気を生成する排ガスボイラと、前記排ガスボイラにて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記パワータービンおよび前記蒸気タービンに接続されたタービン発電機と、発電用ディーゼルエンジンによって駆動されるディーゼルエンジン発電機と、を備えた発電システムにおいて、
需要電力、ディーゼルエンジン発電機最小出力、およびパワータービン最小出力から蒸気タービン負荷率と、前記需要電力、前記ディーゼルエンジン発電機最小出力、および蒸気タービン実出力からパワータービン負荷率と、前記需要電力、蒸気タービン実出力、およびパワータービン実出力からディーゼルエンジン発電機負荷率と、を算出し、
前記蒸気タービン負荷率、前記パワータービン負荷率、および前記ディーゼルエンジン発電機負荷率から供給可能出力を算出し、
前記供給可能出力から蒸気タービン目標出力、パワータービン目標出力、およびディーゼル発電機タービン目標出力を算出する演算部を備えたことを特徴とする発電システム。 - 前記パワータービン実出力は、タービン発電機出力と前記蒸気タービン実出力との差から算出されることを特徴とする請求項9に記載の発電システム。
- 前記蒸気タービン実出力は、前記蒸気タービンの一段目圧力から算出されることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の発電システム。
- 前記パワータービン最小出力は、前記パワータービンと蒸気タービンとを連結するクラッチが嵌脱する回転数における出力に基づいて決定されることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の発電システム。
- 請求項1から12のいずれかに記載された発電システムの制御装置。
- メインエンジンを駆動して排気ガスを排出する工程と、前記メインエンジンから排出される排気ガスによってパワータービンを駆動する工程と、前記メインエンジンの排ガスを排ガスボイラに導入して蒸気を生成する工程と、前記排ガスボイラにて生成された蒸気により蒸気タービンを駆動する工程と、前記パワータービンおよび前記蒸気タービンに接続されたタービン発電機を駆動させる工程と、を備えた発電方法において、
前記メインエンジンの運転状態から蒸気タービン供給可能出力を算出する工程と、
前記蒸気タービンの出力と需要電力との差分を補うように、前記パワータービンの出力を決定する工程と、を備えることを特徴とする発電方法。 - メインエンジンを駆動して排気ガスを排出する工程と、前記メインエンジンから排出される排気ガスによってパワータービンを駆動する工程と、前記メインエンジンの排ガスを排ガスボイラに導入して蒸気を生成する工程と、前記排ガスボイラにて生成された蒸気により蒸気タービンを駆動する工程と、前記パワータービンおよび前記蒸気タービンに接続されたタービン発電機を駆動させる工程と、を備えた発電方法において、
需要電力、およびパワータービン最小出力から蒸気タービン負荷率を算出する工程と、
前記需要電力、および蒸気タービン実出力からパワータービン負荷率を算出する工程と、
前記蒸気タービン負荷率、および前記パワータービン負荷率から供給可能出力を算出する工程と、
前記供給可能出力から蒸気タービン目標出力、およびパワータービン目標出力を算出する工程と、を備えることを特徴とする発電方法。 - メインエンジンを駆動して排気ガスを排出する工程と、前記メインエンジンから排出される排気ガスによってパワータービンを駆動する工程と、前記メインエンジンの排ガスを排ガスボイラに導入して蒸気を生成する工程と、前記排ガスボイラにて生成された蒸気により蒸気タービンを駆動する工程と、前記パワータービンおよび前記蒸気タービンに接続されたタービン発電機を駆動させる工程と、ディーゼル発電機を駆動させる工程と、を備えた発電方法において、
需要電力、ディーゼル発電機最小出力、およびパワータービン最小出力から蒸気タービン負荷率を算出する工程と、
前記需要電力、前記ディーゼル発電機最小出力、および蒸気タービン実出力からパワータービン負荷率を算出する工程と、
前記需要電力、蒸気タービン実出力、およびパワータービン実出力からディーゼルエンジン発電機負荷率を算出する工程と、
前記蒸気タービン負荷率、前記パワータービン負荷率、および前記ディーゼルエンジン発電機負荷率から供給可能出力を算出する工程と、
前記供給可能出力から蒸気タービン目標出力、パワータービン目標出力、およびディーゼル発電機タービン目標出力を算出する工程と、を備えることを特徴とする発電方法。
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