JP5398450B2 - コネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法 - Google Patents

コネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバコード又は光ファイバケーブルであり、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に、フェルールに内挿固定された短尺の光ファイバ(内蔵光ファイバ)と前記光伝送体の光ファイバとの融着接続部を収納して組み立てられる現場組立形の光コネクタが設けられたコネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法に関する。
光コネクタにあっては、光ファイバの先端に組み立てる作業を接続現場(コネクタ接続を行う現場)にて行うことができる構造の一例として、前記光ファイバと、フェルールに内挿固定された短尺の光ファイバ(以下、内蔵光ファイバとも言う)との融着接続部を熱収縮性チューブを用いて補強した融着補強部をハウジング内に収納する構成のものがある(例えば特許文献1)。特許文献1の(0026)、図5には、光ファイバコード端末に露出させた抗張力体をかしめリングを用いて前記ハウジングの後端に圧着固定して、光ファイバコード端末に光コネクタを組み立てた構成が開示されている。
また、特許文献2には、フェルールに形成されたスロットに融着接続部が配置された構造の光コネクタが開示されている。
特開2002−82257号公報 米国特許第5748819号明細書
特許文献1記載の光コネクタの融着補強部は、内蔵光ファイバのフェルール後側(突き合わせ用の先端面とは反対の側)に突出させた部分と光ファイバとを融着接続した融着接続部に熱収縮性チューブを被せて補強したものであり、フェルールからその後側に離隔した位置に設けられている。また、光コネクタのハウジングの内側空間は、熱収縮性チューブ内側に設けられて融着接続部を埋め込む補強用樹脂(熱可塑性樹脂)の偏在などに起因する融着補強部の大きさや形状のばらつきに対応して融着補強部を収納可能、かつスリーブ状のハウジングの中心軸線方向に移動可能に収納するために、想定される融着補強部のサイズに対して若干大きめに形成されることになり、ハウジング内で融着補強部はフリー(揺動可能)な状態で収納されることが多い。このため、融着補強部の揺動によって内蔵光ファイバに引っ張り、曲げ等の荷重が繰り返し作用して内蔵光ファイバをいためる可能性があり、長期信頼性に欠けるといった問題がある。
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の先端に光コネクタが組み立てられたコネクタ付き光伝送体であって、前記光コネクタは、フェルールと、該フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの前記フェルール先端の接続端面とは反対の後側に突出された後端部を前記光伝送体端末に口出しされた前記光ファイバの先端部に融着接続した融着接続部及び前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体を前記融着接続部を収納した補強チューブの内側に設けられた熱可塑性樹脂である補強材中に埋め込んだ融着補強部とをコネクタハウジングに収納してなり、前記コネクタハウジングは、胴体スリーブと、この胴体スリーブの前端側に設けられ前記フェルールを収納するフェルールハウジングとを具備して構成され、前記融着補強部は、前記補強チューブの一端が前記フェルールハウジング後端部の筒状のチューブ固定部に、他端が前記光伝送体端末にそれぞれ固定され、前記チューブ固定部に内挿された前記内蔵光ファイバの前記チューブ固定部から後側に突出された部分及び前記光伝送体の光ファイバの前記光伝送体端末から延出された部分が前記融着接続部及び前記抗張力体とともに前記補強材中に埋め込まれ、しかも前記補強チューブ、前記補強チューブと前記補強材との境界、前記補強材の前記境界に沿う外周部、から選択される1以上に、その周方向全周にわたって、前記補強チューブの中心軸線に沿って前記補強チューブの略全長に亘って延在する前記抗張力体とは異なる線状の抗張力部材が分散配置されていることを特徴とするコネクタ付き光伝送体を提供する。
第2の発明は、前記ブーツは、前記胴体スリーブの後端部からその後側へ延出する先細りのテーパ状に形成された柔軟なテーパ筒部を有し、前記コネクタハウジングの内側に、前記胴体スリーブ内側の胴体スリーブ内孔と前記ブーツの前記テーパ筒部内側に形成された融着補強部収納孔部とが互いに連通してなる融着補強部収納部を有し、該融着補強部収納部に前記融着補強部が収納されていることを特徴とする第1の発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第3の発明は、前記補強チューブにはその形成樹脂に挿入された棒状の補強芯材が該補強チューブの中心軸線方向の略全長にわたって延在するように設けられ、前記補強チューブは前記補強芯材の一端を前記フェルールハウジングのチューブ固定部に固定し、他端を前記光伝送体の端末に固定して設けられていることを特徴とする第1又は2の発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第4の発明は、前記フェルールハウジングは、スリーブ状のプラグフレームと、このプラグフレームの後端側に取り付けられたストップリングとからなり、前記ストップリングの後端に前記チューブ固定部を有することを特徴とする第1〜3のいずれか1つの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第5の発明は、前記フェルールハウジング内に前記フェルールを該フェルールハウジングに対して前側へ弾性付勢するスプリングを収納してなるフェルール収納ユニットを具備することを特徴とする第1〜4のいずれか1つの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第6の発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に組み立てられる光コネクタであって、フェルールと、熱収縮性の補強チューブの内面側に熱可塑性樹脂が設けられたスリーブ状に形成され、前記フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの前記フェルール先端の接続端面とは反対の後側に突出された後端部を前記光伝送体端末に口出しした前記光ファイバの先端部に融着接続した融着接続部を収納するための融着部補強用スリーブと、前記融着部補強用スリーブの加熱によって収縮させた前記補強チューブの内側に前記融着接続部及び前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体を前記加熱によって溶融させた前記熱可塑性樹脂が固化してなる補強材中に埋め込んで形成される融着補強部を前記フェルールとともに収納するためのコネクタハウジングとを具備し、前記コネクタハウジングは、胴体スリーブと、この胴体スリーブの前端側に設けられて前記フェルールを収納するフェルールハウジングとを具備し、前記融着補強部は、前記補強チューブの一端を前記フェルールハウジング後端部の筒状のチューブ固定部に、他端を前記光伝送体端末にそれぞれ固定し、前記チューブ固定部に内挿された前記内蔵光ファイバの前記フェルールハウジングから後側に突出された部分及び前記光伝送体の光ファイバの前記光伝送体端末から延出された部分を前記融着接続部及び前記抗張力体とともに前記熱可塑性樹脂中に埋め込んで、前記コネクタハウジングの前記胴体スリーブの中心軸線に沿って延在形成されるようになっており、前記融着部補強用スリーブは、前記補強チューブ、前記補強チューブと前記熱可塑性樹脂との境界、前記熱可塑性樹脂、から選択される1以上に、その周方向の全周にわたって、前記補強チューブの中心軸線に沿って前記補強チューブの略全長に亘って延在する前記抗張力体とは異なる線状の抗張力部材が分散配置されてなることを特徴とする光コネクタを提供する。
第7の発明は、前記融着部補強用スリーブが、前記補強チューブの内側に、前記熱可塑性樹脂からなる内チューブを収納してなる二重管構造とされていることを特徴とする第6の発明の光コネクタを提供する。
第8の発明は、前記融着部補強用スリーブの前記補強チューブの形成樹脂中に、該補強チューブの中心軸線に沿って延在する棒状の補強芯材が挿入されていることを特徴とする第6又は7の発明の光コネクタを提供する。
第9の発明は、前記フェルールハウジング内に前記フェルールを該フェルールハウジングに対して前側へ弾性付勢するスプリングを収納してなるフェルール収納ユニットを具備することを特徴とする第6〜8のいずれか1つの発明の光コネクタを提供する。
第10の発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に、第6〜9のいずれか1つの発明の光コネクタを組み立てる方法であって、前記フェルールに内挿固定されている内蔵光ファイバの前記フェルールハウジングの前記チューブ固定部から後側に突出された後端部を、前記光伝送体端末に口出しされた前記光ファイバの先端部に融着接続して融着接続部を形成する融着工程と、この融着工程の後、予め前記光伝送体に外挿しておいた前記融着部補強用スリーブを前記フェルールハウジング側に移動してその内側に前記融着接続部と前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体とを収納するとともに、該融着部補強用スリーブを、その一端をフェルールハウジングの前記チューブ固定部に外挿し他端を前記光伝送体端末に外挿した状態で加熱して前記補強チューブを収縮させ前記熱可塑性樹脂を溶融させた後、降温により、前記融着接続部及び前記光伝送体の前記抗張力体を溶融状態の熱可塑性樹脂が固化してなる前記補強材中に埋め込み、前記補強チューブを該補強チューブの熱収縮による圧着力及び/又は前記熱可塑性樹脂の接着力によって前記チューブ固定部及び前記光伝送体端末に固定してなる前記融着補強部を形成する融着補強部形成工程と、この融着補強部形成工程の後、前記コネクタハウジングを組み立てて前記融着補強部を収納するハウジング組立工程とを具備することを特徴とする光コネクタ組立方法を提供する。
特許文献2の光コネクタでは、フェルールに近い位置での融着作業が必要となる。このため、融着作業によってフェルールに悪影響が及ぶおそれがあることから、融着条件が厳しくなり、融着作業が容易でなくなるという不都合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、融着接続作業が容易であり、ハウジング内の融着補強部とフェルールとの間の光ファイバ(内蔵光ファイバ)や融着接続部内の光ファイバの光特性を長期にわたって安定に維持でき長期信頼性を向上できる、コネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の先端に光コネクタが組み立てられたコネクタ付き光伝送体であって、前記光コネクタは、フェルールと、該フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの前記フェルール先端の接続端面とは反対の後側に突出された後端部を前記光伝送体端末に口出しされた前記光ファイバの先端部に融着接続した融着接続部及び前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体を前記融着接続部を収納した補強チューブの内側に設けられた熱可塑性樹脂である補強材中に埋め込んだ融着補強部とをコネクタハウジングに収納してなり、前記コネクタハウジングは、胴体スリーブと、この胴体スリーブの前端側に設けられ前記フェルールを収納するフェルールハウジングと、前記胴体スリーブの後端部に装着され前記光伝送体が内挿されたブーツとを具備して構成され、前記融着補強部は、前記補強チューブの一端が前記フェルールハウジング後端部の筒状のチューブ固定部に、他端が前記光伝送体端末にそれぞれ外挿固定され、前記チューブ固定部に内挿された前記内蔵光ファイバの前記チューブ固定部から後側に突出された部分及び前記光伝送体の光ファイバの前記光伝送体端末から延出された部分が前記融着接続部及び前記抗張力体とともに前記補強材中に埋め込まれ、前記フェルールハウジングからその後側へ延出するように形成され、しかも前記補強チューブ、前記補強チューブと前記補強材との境界、前記補強材の前記境界に沿う外周部、から選択される1以上に、その周方向全周にわたって、前記補強チューブの中心軸線に沿って延在する線状の抗張力部材が分散配置されていることを特徴とするコネクタ付き光伝送体を提供する。
第2の発明は、前記ブーツは、前記胴体スリーブの後端部からその後側へ延出する先細りのテーパ状に形成された柔軟なテーパ筒部を有し、前記コネクタハウジングの内側に、前記胴体スリーブ内側の胴体スリーブ内孔と前記ブーツの前記テーパ筒部内側に形成された融着補強部収納孔部とが互いに連通してなる融着補強部収納部を有し、該融着補強部収納部に前記融着補強部が収納されていることを特徴とする第1の発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第3の発明は、前記補強チューブにはその形成樹脂に挿入された棒状の補強芯材が該補強チューブの中心軸線方向の略全長にわたって延在するように設けられ、前記補強チューブは前記補強芯材の一端を前記フェルールハウジングのチューブ固定部に固定し、他端を前記光伝送体の端末に固定して設けられていることを特徴とする第1又は2の発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第4の発明は、前記フェルールハウジングは、スリーブ状のプラグフレームと、このプラグフレームの後端側に取り付けられたストップリングとからなり、前記ストップリングの後端に前記チューブ固定部を有することを特徴とする第1〜3のいずれかの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第5の発明は、前記フェルールハウジング内に前記フェルールを該フェルールハウジングに対して前側へ弾性付勢するスプリングを収納してなるフェルール収納ユニットを具備することを特徴とする第1〜4のいずれかの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第6の発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に組み立てられる光コネクタであって、フェルールと、熱収縮性の補強チューブの内面側に熱可塑性樹脂が設けられたスリーブ状に形成され、前記フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの前記フェルール先端の接続端面とは反対の後側に突出された後端部を前記光伝送体端末に口出しした前記光ファイバの先端部に融着接続した融着接続部を収納するための融着部補強用スリーブと、前記融着部補強用スリーブの加熱によって収縮させた前記補強チューブの内側に前記融着接続部及び前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体を前記加熱によって溶融させた前記熱可塑性樹脂が固化してなる補強材中に埋め込んで形成される融着補強部を前記フェルールとともに収納するためのコネクタハウジングとを具備し、前記コネクタハウジングは、胴体スリーブと、この胴体スリーブの前端側に設けられて前記フェルールを収納するフェルールハウジングと、前記光伝送体に外挿して前記胴体スリーブの後端部に装着されるブーツとを具備し、前記融着補強部は、前記補強チューブの一端を前記フェルールハウジング後端部の筒状のチューブ固定部に、他端を前記光伝送体端末にそれぞれ外挿固定し、前記チューブ固定部に内挿された前記内蔵光ファイバの前記フェルールハウジングから後側に突出された部分及び前記光伝送体の光ファイバの前記光伝送体端末から延出された部分を前記融着接続部及び前記抗張力体とともに前記熱可塑性樹脂中に埋め込んで、前記フェルールハウジングからその後側へ前記コネクタハウジングの前記胴体スリーブの中心軸線に沿って延在形成されるようになっており、前記融着部補強用スリーブは、前記補強チューブ、前記補強チューブと前記熱可塑性樹脂との境界、前記熱可塑性樹脂、から選択される1以上に、その周方向の全周にわたって、前記補強チューブの中心軸線に沿って延在する線状の抗張力部材が分散配置されてなることを特徴とする光コネクタを提供する。
第7の発明は、前記融着部補強用スリーブが、前記補強チューブの内側に、前記熱可塑性樹脂からなる内チューブを収納してなる二重管構造とされていることを特徴とする第6の発明の光コネクタを提供する。
第8の発明は、前記融着部補強用スリーブの前記補強チューブの形成樹脂中に、該補強チューブの中心軸線に沿って延在する棒状の補強芯材が挿入されていることを特徴とする第6又は7の発明の光コネクタを提供する。
第9の発明は、前記フェルールハウジング内に前記フェルールを該フェルールハウジングに対して前側へ弾性付勢するスプリングを収納してなるフェルール収納ユニットを具備することを特徴とする第6〜8のいずれかの発明の光コネクタを提供する。
第10の発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に、第6〜9のいずれかの発明の光コネクタを組み立てる方法であって、前記フェルールに内挿固定されている内蔵光ファイバの前記フェルールハウジングの前記チューブ固定部から後側に突出された後端部を、前記光伝送体端末に口出しされた前記光ファイバの先端部に融着接続して融着接続部を形成する融着工程と、この融着工程の後、予め前記光伝送体に外挿しておいた前記融着部補強用スリーブを前記フェルールハウジング側に移動してその内側に前記融着接続部と前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体とを収納するとともに、該融着部補強用スリーブを、その一端をフェルールハウジングの前記チューブ固定部に外挿し他端を前記光伝送体端末に外挿した状態で加熱して前記補強チューブを収縮させ前記熱可塑性樹脂を溶融させた後、降温により、前記融着接続部及び前記光伝送体の前記抗張力体を溶融状態の熱可塑性樹脂が固化してなる前記補強材中に埋め込み、前記補強チューブを該補強チューブの熱収縮による圧着力及び/又は前記熱可塑性樹脂の接着力によって前記チューブ固定部及び前記光伝送体端末に固定してなる前記融着補強部を形成する融着補強部形成工程と、この融着補強部形成工程の後、前記コネクタハウジングを組み立てて前記融着補強部を収納するハウジング組立工程とを具備することを特徴とする光コネクタ組立方法を提供する。
本発明によれば、光伝送体端末に組み立てた光コネクタのコネクタハウジング内に収納される融着補強部を構成する補強チューブの一端が、フェルールを収納するフェルールハウジングの後端部の筒状のチューブ固定部に、他端が前記光伝送体端末にそれぞれ外挿固定される。融着補強部はフェルールハウジングに一体化されるため、従来技術(例えば特許文献1)のようにハウジング内での融着補強部の揺動によって内蔵光ファイバをいためるといった不都合は生じず、内蔵光ファイバの光特性を長期にわたって安定維持できる。その結果、長期信頼性を向上できる。
また、本発明では、フェルールに内挿固定されている内蔵光ファイバの後端部を光伝送体端末に口出しされた光ファイバの先端部に融着接続して融着接続部を形成すれば良いので、フェルールから離隔した所で融着接続作業を楽に行うことができ、融着接続の作業性の確保も容易である。
しかも、本発明にあっては、融着補強部を形成するための融着部補強用スリーブとして、前記補強チューブ、前記補強チューブと前記熱可塑性樹脂との境界、前記熱可塑性樹脂、から選択される1以上に、その周方向の全周にわたって、前記補強チューブの中心軸線に沿って延在する線状の抗張力部材が分散配置された構成のものを使用することで、抗張力部材が縦添えされた構成の融着補強部が得られる。融着補強部はその外周部の周方向全周にわたって前記抗張力部材が分散配置された構成である。
このため、例えば光コネクタ後端から延出する光伝送体のサイドプル、光コネクタの側方からの押圧力によるコネクタハウジングの撓み変形(例えばコネクタハウジング後端部のブーツの曲げ)等に起因する曲げ力によって融着補強部に撓み変形が生じるとき、前記抗張力部材が、融着補強部の撓み変形の外周側部分の伸びを抑制して、融着補強部の全長にわたって、撓み変形による融着補強部の湾曲半径を大きく保つ機能を果たす。
融着補強部に撓み変形が与えられるとき、前記抗張力部材は、融着補強部の全長にわたって、該融着補強部内の光ファイバの断線を生じるような曲げ変形が与えられた箇所が存在しないように、大きい湾曲半径を確保する機能を果たす。しかも、融着補強部は、その外周部の周方向全周にわたって前記抗張力部材が分散配置された構成であるから、撓み変形時に前記抗張力部材によって内部の光ファイバの断線を生じない程度の湾曲半径を確保できる効果は、前記曲げ力による曲げ方向に対する依存性無しに得られる。
したがって、本発明によれば、融着補強部の曲げ方向に対する依存性無しに、融着補強部内の光ファイバの断線防止を容易に実現できる。また、このことも、コネクタ付き光伝送体の長期信頼性の向上に有効に寄与することは言うまでもない。
本発明の一実施形態であるコネクタ付き光ファイバコード(コネクタ付き光伝送体)の外観を示す斜視図である。 (a)、(b)は図1のコネクタ付き光ファイバコードを示す断面図である。 図1のコネクタ付き光ファイバコードの構造を説明する分解斜視図である。 図1のコネクタ付き光ファイバコードに用いられる光ファイバコードの構造を示す斜視図であり、その端末に、光ファイバ及び抗張力体(抗張力繊維)を口出しした状態を示す。 (a)〜(c)は、図1のコネクタ付き光ファイバコードの組み立てに用いられる融着部補強用スリーブの例を説明する図であって、その長手方向中央部の断面構造を示す断面斜視図である。 図5(a)に示す融着部補強用スリーブの構造を示す全体図である。 光ファイバコード端末に本発明に係る光コネクタを組み立てる組み立て方法を説明する工程図であり、フェルール側の光ファイバ(内蔵光ファイバ)の後端部に光ファイバコードの光ファイバを融着接続した状態を示す。 前図に続く組み立て過程(融着補強部形成工程)を示す工程図であり、(a)は前図の融着接続によって形成された光ファイバ同士の融着接続部を収納する位置に融着部補強スリーブを配置した状態、(b)は図8(a)の融着部補強用スリーブを加熱後、降温により融着補強部を形成した状態を示す。 別態様の融着部補強スリーブを用いた融着補強部形成工程を説明する図であって、(a)は前記融着部補強スリーブを光ファイバ同士の融着接続部を収納する位置に配置した状態、(b)は図9(a)の融着部補強用スリーブを加熱後、降温により融着補強部を形成した状態を示す。 対比例の融着部補強用スリーブの構造を示す全体図である。 ブーツに与えられた曲げによる融着補強部の撓み変形を説明する図であって、(a)は対比例の融着補強部の撓み変形、(b)は実施例の融着補強部の撓み変形を示す。 光伝送体として使用される光ファイバケーブルの一例を示す斜視図である。
以下、本発明の1実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、本発明の1実施形態であるコネクタ付き光ファイバコード(コネクタ付き光伝送体)を、図1〜図8(a)、(b)等を参照して説明する。
図1および図2(a)、(b)に示すように、このコネクタ付き光ファイバコードは、光ファイバコード21(光伝送体)の端末に、光コネクタ1を組み立てたものである。
なお、以下の説明において、図2(a)、(b)における左側を前、右側を後として説明する。
図4に示すように、光ファイバコード21は、光ファイバ心線等の光ファイバ22と、光ファイバ22の長手方向に沿って延在する抗張力体23(抗張力繊維)とが、ポリエチレン等の樹脂からなるシース24(外装被覆)内に収納された構造のものである。
抗張力体23としては、アラミド繊維が好適に用いられるが、ガラス繊維、炭素繊維なども使用できる。
図1、図2(a)、(b)に示すように、光コネクタ1は、光ファイバ22をコネクタ接続可能に成端するものである。
図2(a)、(b)に示すように、前記光コネクタ1は、フェルール4と、フェルール4を前方に弾性付勢するためのコイルスプリング5(スプリング)と、前記フェルール4に内挿固定された短尺の光ファイバ12(以下、内蔵光ファイバとも言う)のフェルール4の後側に延出された部分の端部(後端部12b)を前記光ファイバコード21端末に口出しされた光ファイバ22と融着接続した融着接続部15を該融着接続部15に外挿した樹脂製の補強チューブ10の内側に充填された熱可塑性樹脂である補強材11中に埋め込んでなる融着補強部20とを、カップリング2(つまみ)を組み付けたコネクタハウジング25内に収納した概略構成となっている。
図示例の光コネクタ1は、単心光ファイバコード21の先端に組み立てられた単心用の光コネクタである。
前記光ファイバコード21の光ファイバ22は、単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線といった単心の光ファイバである。
フェルール4は、円筒状のキャピラリ部13(フェルール本体)と、このキャピラリ部13の突き合わせ用の接続端面13aが設けられている先端(前端)側とは反対の後端部13bに外挿固定された金属製のリング状部材であるフランジ部14とを備えている。前記キャピラリ部13の材質としては、例えばジルコニア等のセラミック、ガラス等を採用できる。
このフェルール4としては、例えばSC形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)といった単心用光コネクタに用いられるフェルールと同様のものを採用できる。
図2(a)、(b)に示すように、内蔵光ファイバ12は単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線といった単心の光ファイバであり、その長手方向の片端側(先端側)が、前記フェルール4のキャピラリ部13の内側の貫通孔でありキャピラリ部13の中心軸線と同軸に形成された光ファイバ導入孔13c(微細孔)に内挿され、接着剤26によってキャピラリ部13に接着固定されている。
前記内蔵光ファイバ12は、裸光ファイバ121に樹脂製の被覆材122がコーティング(被着)されてなる単心の被覆付き光ファイバである。この内蔵光ファイバ12の長手方向両端部は前記被覆材122が設けられておらず、裸光ファイバ121が口出しされた状態になっている。
前記キャピラリ部13の光ファイバ導入孔13cは、前記内蔵光ファイバ12の裸光ファイバ121の外径と略一致する内径の微細孔でありキャピラリ部13の接続端面13aからキャピラリ部13の後端側へ向かって延在するファイバ孔部13c1と、このファイバ孔部13c1の後端からキャピラリ部13後端側へ行くに従って内径が増大するテーパ状に形成されたテーパ孔部13c2と、このテーパ孔部13c2の後端から該テーパ孔部13c2後端と同径でファイバ孔13c1と同軸上に延在しキャピラリ部13後端に達するように貫設された拡張孔部13c3とからなる。
内蔵光ファイバ12は、被覆材122によって被覆されている被覆付きファイバ部123の片端をキャピラリ部13の光ファイバ導入孔13cの前記拡張孔部13c3に内挿し、この拡張孔部13c3に内挿された被覆付きファイバ部123の端部に口出しされた裸光ファイバ121の先端部である先端部12a(内蔵光ファイバ12の先端部)を、前記光ファイバ導入孔13cのファイバ孔部13c1に内挿固定して、フェルール4(詳細にはキャピラリ部13)に取り付けられている。
また、内蔵光ファイバ12の、光ファイバ導入孔13cのファイバ孔部13c1から後側のテーパ孔部13c2、拡張孔部13c3に内挿された部分は、テーパ孔部13c2、拡張孔部13c3に充填された接着剤26中に埋め込むようにして接着固定されている。
図示を略すが、接着剤26はファイバ孔部13c1内にも設けられており、内蔵光ファイバ12のファイバ孔部13c1に挿入された先端部12aの内挿固定は、この接着剤を介した接着固定によって実現されている。
但し、フェルール4における内蔵光ファイバ12の接着固定は、内蔵光ファイバ12の光ファイバ導入孔13cに挿入された部分のうち少なくとも被覆付きファイバ部123について確実に行われていれば良く、ファイバ孔部13c1内における内蔵光ファイバ12の先端部12aの固定は接着剤26を用いることなく、該ファイバ孔部13c1内への先端部12aの圧入による固定であっても良い。
なお、図2(a)、(b)では、内蔵光ファイバ12の被覆付きファイバ部123が、光ファイバ導入孔13cの拡張孔部13c3のみに挿入され、光ファイバ導入孔13cのテーパ孔部13c2には内蔵光ファイバ12の先端部12aを構成する裸光ファイバ121のみが内挿された構成を例示しているが、これに限定されず、例えば、内蔵光ファイバ12の被覆付きファイバ部123の被覆材122の端部をテーパ孔部13c2内に配置した構成や、テーパ孔部13c2内面に突き当てた構成も採用可能である。
内蔵光ファイバ12はその先端部12aの端面がフェルール4の研磨済みの接続端面13a(キャピラリ部13の接続端面13a)に揃うようにしてフェルール4に内挿固定されている。
内蔵光ファイバ12の先端部12aの端面は、該端面における光軸に対する垂直面であっても良いが、例えばフェルール4(詳細にはキャピラリ部13)に対する内蔵光ファイバ12の内挿固定後に接続端面13aの研磨を行うこと等によって、接続端面13aと連続する研磨面をなしていても良い。
内蔵光ファイバ12は、フェルール4の光ファイバ導入孔13cよりも長い長さ寸法を有しており、前記フェルール4の光ファイバ導入孔13cに内挿固定されていない部分がフェルール4(詳細にはキャピラリ部13)からその後側に延出されている。そして、内蔵光ファイバ12は、フェルール4の後端(図示例のフェルール4にあってはキャピラリ部13c後端)から後側に延出された部分(以下、後側延出部とも言う)の端部に口出しされた裸光ファイバ121が構成する後端部12b(換言すれば裸光ファイバ121の後端部)が、光ファイバコード21端末から延出された光ファイバ22先端に口出しされた裸光ファイバ22bが構成する先端部22aと融着接続されている。
内蔵光ファイバ12の後側延出部のうち、フェルールハウジング3から後側へ延出された部分は、融着補強部20の補強材11中に埋め込まれて固定されている。
この内蔵光ファイバ12の被覆付きファイバ部123はフェルールハウジング3から後側へ延出されている。内蔵光ファイバ12の前記後側延出部のうち、フェルールハウジング3内に位置する部分はその全長が被覆付きファイバ部123とされている。
なお、内蔵光ファイバ12としては、上述のように被覆付き光ファイバの両端に裸光ファイバ121を口出しした構成のものに限定されず、例えばその全長が裸光ファイバである構成のものも採用可能である。
次に、コネクタハウジング25について説明する。
図2(a)、(b)、図3に示すように、前記コネクタハウジング25は、フェルール4及びコイルスプリング5を収納したスリーブ状のフェルールハウジング3と、このフェルールハウジング3の後端側に組み付けてフェルールハウジング3から後側に延出するようにして設けられた保護筒部18(以下、胴体スリーブとも言う)と、この胴体スリーブ18の後端部に外嵌めして装着されたブーツ19とを具備して構成されている。
前記フェルールハウジング3は、スリーブ状(図示例では角筒状)のプラグフレーム6と、プラグフレーム6の後端部に嵌合して取り付けられたスリーブ状(図示例では円筒状)のストップリング7とによって、全体としてスリーブ状に形成されている。ストップリング7は、その前端部をプラグフレーム6後端部の内側に嵌め込んでプラグフレーム6に取り付けられている。
図2(a)、(b)に示すように、前記光コネクタ1は、フェルール4及びコイルスプリング5をフェルールハウジング3に収納してなるフェルール収納ユニット27を具備している。
前記ストップリング7は、スリーブ状(具体的には円筒状)の本体部8と、この本体部8よりも小径の筒状(円筒状)に形成され前記本体部8から後方に延びるチューブ固定部9とを有する。前記チューブ固定部9には、前記融着補強部20の補強チューブ10の長手方向片端(前端部)が外挿固定されている。
図2(a)、(b)に示すように、前記フェルール4は、その中心軸線がフェルールハウジング3の中心軸線に沿うようにしてフェルールハウジング3内に前後方向(フェルールハウジング3の中心軸線の延在方向)に移動可能に収納されている。前記フェルール4のフランジ部14は、プラグフレーム6の長手方向(中心軸線方向)中央部内側に突設されているストッパ突起6aと、プラグフレーム6後端部に内嵌めされたストップリング7の前端部(本体部8の前端部)との間に配置されている。
前記ストッパ突起6aとストップリング7前端部との間には、フェルール4のフランジ部14の前後方向の移動を可能にするクリアランスが確保されており、このクリアランスによるフランジ部14の前後方向の可動量がフェルールハウジング3内におけるフェルール4の前後方向の可動量となっている。
フェルール4は、フランジ部14がストッパ突起6aに当接(図2(a)参照)することで前側へのそれ以上の移動が規制され、フランジ部14がストップリング7前端部に当接(図2(b)参照)することで後側へのそれ以上の移動が規制される。
ストップリング7前端部は、その前側からフランジ部14が当接されることでフェルール4のそれ以上の後側への移動を規制するストッパ片として機能する。
コイルスプリング5は、フェルール4のフランジ部14とストップリング7内側に形成された係止段部8aとの間に、その中心軸線がコネクタ前後方向となる向きで介装されている。
ストップリング7の内側を貫通する貫通孔(ストップリング貫通孔)の前端部には、スリーブ状のフェルールハウジング3と同軸に設けられたコイルスプリング5の後端部を収納するためのスプリング収納穴部7aが、ストップリング貫通孔のスプリング収納穴部7aから後側の部分に比べて内径が大きい拡張穴として形成されている。ストップリング7内側の前記係止段部8aは具体的には、前記スプリング収納穴部7aと、ストップリング貫通孔のスプリング収納穴部7aから後側の部分との間の内径差によって形成された段差面である。図示例のストップリング7にあっては、前記係止段部8a(段差面)はストップリング7の本体部8の内面に形成されている。
図2(a)に示すように、フェルール4は、コイルスプリング5によってコネクタ前側へ弾性付勢されており、コネクタ後側への押し込み力が与えられていないときは、フランジ部14がプラグフレーム6の前記ストッパ突起6aにその後側から当接する位置(すなわち前側の移動限界位置)に配置される。
そして、図2(b)に示すように、この光コネクタ1は、他の光コネクタ1aとの突き合わせ接続時に、フェルール4がコイルスプリング5の弾性付勢力に抗してコイルスプリング5が押し縮めながらコネクタハウジング25に対して後側に押し込まれることで、前記コイルスプリング5の弾性付勢力によって他の光コネクタ1aとフェルール4との間の突き合わせ力を与えることができるようになっている。
なお、図2(b)は、フェルール4のフランジ部14がストップリング7前端部にその前側から当接した状態、すなわちフェルール4が後側の移動限界位置にある状態を示しているが、コネクタ接続時にフェルール4が後側の移動限界位置に到達する必要性は無く、フェルール4が前側移動限界位置と後側移動限界位置との間に位置していても良い。
また、図2(a)、(b)に示すように、フェルール4は、フランジ部14の外周部に形成されたキー溝14aにプラグフレーム6内側に突設されたキー6bが挿入され、フェルールハウジング3に対する軸回り回転が規制された状態を保ったまま、フェルールハウジング3に対する前後動が可能になっている。フェルール4のフェルールハウジング3に対する前後動によって、フランジ部14が、キー溝14aに挿入されているキー6bに対してスライド移動可能となっている。
フェルール4の後側移動限界位置は、フェルール4のコネクタハウジング25に対する後側への変位(押し込み)に伴う、内蔵光ファイバ12のフェルール4後端から延出した部分(後側延出部)のフェルールハウジング3内での湾曲変形を内蔵光ファイバ12の光特性に影響を与えない範囲に抑えることができるように設定される。
これにより、フェルール4のコネクタハウジング25に対する後側への変位(押し込み)に伴う、内蔵光ファイバ12の後側延出部のフェルールハウジング3内での湾曲変形が大きくなって(湾曲半径が小さくなる)曲げ損失が生じたり、内蔵光ファイバ12を折損するといった不都合の発生を防止することができる。
図1〜図3に示すように、図示例の光コネクタ1は、プラグフレーム6、カップリング2として、SC形光コネクタにて使用されるプラグフレーム、カップリングを採用した構成になっている。
前記カップリング2は角筒状の部材であり、角筒状のプラグフレーム6の後端部に円筒状のストップリング7を内嵌めして組み立てられたフェルールハウジング3と、前記ストップリング7にその後側から嵌合して取り付けられた胴体スリーブ18とからなるハウジング本体に、その前後方向に若干の可動範囲を確保してスライド移動可能に外挿されており、光コネクタアダプタ、光コネクタレセプタクルといったコネクタ位置決めハウジングに対して、プラグフレーム6と協働して、通常のSC形光コネクタに設けられるものと同様のスライドロック機構を構成している。
なお、プラグフレーム、カップリングとしては、SC形光コネクタにて使用されるものに限定されず、例えばMU形光コネクタにて使用されるもの等、であっても良い。
カップリングは、プラグフレームと協働して、コネクタ位置決めハウジングに対するスライドロック機構を構成するもの、すなわちプラグフレームに対するコネクタ前後方向のスライド移動によって、コネクタ位置決めハウジング内部の弾性爪のプラグフレームに対する係合状態のロック及びロック解除を切り換えるものであり、その具体的構成はコネクタ位置決めハウジングやプラグフレームの構成に応じて適宜変更されるものである。
図2(a)、(b)、図3に示すように、フェルールハウジング3の前記チューブ固定部9の外周面には、凹凸部16を形成することが好ましい。凹凸部16の形状は特に限定されないが、チューブ固定部9の周方向に延在する形状、あるいは周方向に複数連設した形態とすることが好ましい。図示例では、チューブ固定部9の周方向に延在する環状凸部9aが、前後に間隔をおいて複数形成されている。凹凸部16、環状凸部9aの形成によって、補強チューブ10とチューブ固定部9との固定力を高めることができ、引き抜き方向(図2(a)、(b)における右方)の力に対する引き抜き耐力を向上させることができる。また、熱収縮によってチューブ固定部9に装着される補強チューブ10がチューブ固定部9外周面の凹凸形状に沿う形状となると、引き抜き強度(引き抜き耐力)はさらに高められる。
図示例では、環状凸部9aは断面矩形状であるが、環状凸部の断面形状はこれに限定されず、半円状、逆V字状などとすることができる。環状凸部の数は1でもよいし、複数でもよい。
図2(a)、(b)、図3に示すように、胴体スリーブ18は融着補強部20に外挿可能な筒状部材である。この胴体スリーブ18は、その前端部に、ストップリング7の本体部8の外周面に形成された係止凸部8bが嵌合する係止穴18aが形成されており、この係止穴18aに係止凸部8bを入り込ませて嵌合させることでフェルールハウジング3に外嵌め状態で取り付けられている。
図示例の光コネクタ1において、胴体スリーブ18の前記係止穴18aは胴体スリーブ18前端開口部を介して両側の口縁部から前側に突出された突片である一対の係止片18cにそれぞれ形成されており、ストップリング7の外周面の両側に胴体スリーブ18の2つの係止穴18aに対応させて突設された係止凸部8bとそれぞれ嵌合させている。
なお、胴体スリーブ18の係止穴18a、ストップリング7の係止凸部8bの形成数はそれぞれ2つに限定されず、3以上であっても良い。
また、胴体スリーブ18の係止穴18aは胴体スリーブ18の係止片18cに形成した構成に限定されず、胴体スリーブ18のスリーブ状部分の前端部の肉厚を貫通する窓孔状等であっても良い。
ブーツ19は、胴体スリーブ18の後端部に外嵌めして装着される円筒状の装着用筒部191の後端から、その後側へ先細りのテーパ状に形成されたテーパ筒部192が延出された構造の部材である。このブーツ19は、その全体がゴム等の弾力性に富む材質によって一体成形されており、前記テーパ筒部192は容易に曲げ変形可能な柔軟性を有している。
図2(a)、(b)に示すように、このブーツ19は、前記装着用筒部191を、その内側に突設された係止突起19aを胴体スリーブ18外面の係止凹部18bに嵌め込んで、胴体スリーブ18の後端部にコネクタ前後方向の移動を規制した状態で外嵌めし、前記テーパ筒部192が胴体スリーブ18から後側へ延出されるようにして取り付けられている。
なお、カップリング2は、その前後方向の可動範囲が、胴体スリーブ18後端部に外嵌めして装着されたブーツ19の装着用筒部191からコネクタ前側へ離隔した位置に設定されており、コネクタ後側へその移動限界まで移動してもブーツ19に接触しないようになっている。
図2(a)、(b)に示すように、ブーツ19のテーパ筒部192の内側を貫通するテーパ筒部貫通孔19bには、前記光ファイバコード21が内挿されている。
前記テーパ筒部貫通孔19bは、その前端側の融着補強部収納孔部19b1と、この融着補強部収納孔部19b1に比べて細径に形成され前記融着補強部収納孔部19b1後端からテーパ筒部192後端まで貫設された伝送体収納孔部19b2とからなる。前記光ファイバコード21は、ブーツ19に固定せずに前記伝送体収納孔部19b2に引き通して、その端末をコネクタハウジング25内に引き込んだ状態とされている。光ファイバコード21の前記端末とは反対の側はブーツ19後端から後側へ延出されている。
ブーツ19のテーパ筒部192内側の前記融着補強部収納孔部19b1は、胴体スリーブ内孔18dをその後側に延長するようにして、胴体スリーブ内孔18d後端に連通させて設けられている。
この光コネクタ1は、コネクタハウジング25内側に、胴体スリーブ内孔18dとその後側に連通する前記融着補強部収納孔部19b1とからなる融着補強部収納部28(内側空間)を有し、この融着補強部収納部28内に融着補強部20を収納した構成になっている。
融着補強部収納孔部19b1は、融着補強部20を収納するために、融着補強部20の断面外形に比べて充分に大きい断面寸法で形成されている。
図2(a)、(b)に示すように、融着補強部20の前記補強チューブ10は、その中心軸線方向の寸法が該補強チューブ20外径に比べて格段に大きい細長形状に形成されており、コネクタ前後方向に沿って延在するようにして前記融着補強部収納部28内に設けられている。
前記補強チューブ10の一端(前端)は前記フェルールハウジング3後端部のチューブ固定部9に外挿して固定され、他端(後端)は前記光ファイバコード21端末(シース24端末)に外挿して固定されている。
融着補強部20は、補強チューブ10内側に充填された熱可塑性樹脂である補強材11中に、前記内蔵光ファイバ12のフェルールハウジング3のチューブ固定部9から後側に延出された部分、光ファイバコード21の光ファイバ22の光ファイバコード21端末から延出された部分を、光ファイバ12、22同士の融着接続部15及び光ファイバコード21端末から延出された抗張力体23とともに埋め込んで、前記フェルールハウジング3からその後側へ前記コネクタハウジング25の前記胴体スリーブ18の中心軸線に沿って延在形成されている。
前記融着補強部20は、光ファイバコード21端末に光コネクタ1を組み立てる作業において、図7に示すようにフェルール収納ユニット27のフェルールハウジング3後端、すなわちチューブ固定部9後端から延出させた内蔵光ファイバ12の後端部12bと光ファイバコード21端末に口出しした光ファイバ22の先端部22aとの融着接続を行った後、例えば図5(a)、(b)、(c)に示すような融着部補強用スリーブ30(以下、単に補強用スリーブとも言う)、すなわち熱収縮性の補強チューブ10の内側に熱可塑性樹脂(補強材11)が設けられた構成の補強用スリーブ30を前記融着接続によって形成された融着接続部15に外挿して被せ(図8(a)参照)、補強用スリーブ30を加熱して補強チューブ10を熱収縮させるとともに熱可塑性樹脂である補強材11を溶融後、前記加熱を停止して常温まで降温(例えば空冷)させて溶融状態の前記熱可塑性樹脂を固化することで、補強チューブ10内側に充填状態の前記補強材11中に融着接続部15、光ファイバコード21の抗張力体23等を埋め込んで形成される(図8(b)参照)。
本発明に係る補強用スリーブ30としては、既述のように、熱収縮性の補強チューブ10の内面側の略全体に熱可塑性樹脂(補強材11)が設けられた構成であり、しかも、前記補強チューブ10、補強チューブ10と補強材11との境界、前記補強材、から選択される1以上に、その周方向全周にわたって、前記補強チューブ10の中心軸線方向(長手方向)に延在する線状の抗張力部材32が分散配置された構成のものが採用される。
抗張力部材32は、例えばアラミド繊維、FRP等の引っ張り強度や弾力性に優れた線状の部材である。
この抗張力部材32は、融着補強部20において補強チューブ10あるいは補強材11の形成樹脂中に埋め込まれてその形成樹脂に固着、一体化された状態となり、融着補強部20に作用する引っ張り力を負担して融着補強部20の伸びを抑える機能を果たす。
補強チューブ10内面側の熱可塑性樹脂(補強材11)としては、例えば補強チューブ10とは別体の内チューブ31(図5(a)、(b)、(c)参照)であるが、これに限定されず、例えば補強チューブ10内面に加熱溶融状態の熱可塑性樹脂の塗布等によって被着状態に形成された熱可塑性樹脂層(補強材層)であっても良い。
なお、図5(a)、(b)、(c)に例示した二重管構造の補強用スリーブ30の補強チューブ10、内チューブ31は、いずれも円筒状に形成されている。
また、図6、図8(a)等に示すように、補強用スリーブ30の補強チューブ10内面側の熱可塑性樹脂(補強材11)は、補強チューブ10の長手方向両端部を除いてその間に位置する区間の内面全体を覆うように設けられている。
図6、図8(a)等に例示した補強用スリーブ30における、熱可塑性樹脂の補強チューブ10長手方向(中心軸線方向)における延在範囲(熱可塑性樹脂の延在長)は、内蔵光ファイバ12の後端部12bと光ファイバコード21の光ファイバ22との融着接続を完了したときのフェルールハウジング3後端と光ファイバコード21端末(シース24先端面)との間の距離に略一致されている。
補強チューブ10とその内側の内チューブ31とからなる二重管構造の補強用スリーブ30にあっては、抗張力部材32は、補強チューブ10の形成樹脂中への埋め込み固着、内チューブ31の形成樹脂中への埋め込み固着、補強チューブ10と内チューブ31との間への介在配置、から選択される1以上を採用して設けられる。
また、補強チューブ10内面に熱可塑性樹脂層(補強材層)が被着状態に形成され補強チューブ10と熱可塑性樹脂層とが一体化された構成の補強用スリーブ30にあっては、抗張力部材32は、補強チューブ10の形成樹脂中への埋め込み固着、熱可塑性樹脂層の形成樹脂中への埋め込み固着、補強チューブ10と熱可塑性樹脂層との間への介在配置(埋め込み)、から選択される1以上を採用して設けられる。
いずれの構成の補強用スリーブ30についても抗張力部材32は、補強用スリーブ30の周方向全周にわたって多数本を分散配置して設けられる。
図5(a)は補強用スリーブ30の具体例を示す。
この補強用スリーブ30Aは、補強チューブ10の内側に該補強チューブ10とは別体の熱可塑性樹脂製の内チューブ31を収納した二重管構造のものであり、補強チューブ10として、その形成樹脂中に線状の抗張力部材32を該補強チューブ10の長手方向略全長にわたって延在(縦添え)するように埋め込んだもの(補強チューブ10A)を採用し、この補強チューブ10Aの内側に抗張力部材32を埋め込んでいない内チューブ31(図中符号31Aを付記する)を収納した構成になっている。
また、補強チューブ10の内側に該補強チューブ10とは別体の熱可塑性樹脂製の内チューブ31を収納した二重管構造の補強用スリーブ30としては、図5(b)、(c)に例示する構成のもの(補強用スリーブ30B、30C)も採用可能である。
図5(b)に例示する補強用スリーブ30Bは、抗張力部材32が埋め込まれていない補強スリーブ10(図中符号10Bを付記する)及び内チューブ31Aを用い、前記補強スリーブ10Bと内チューブ31Aとの間(補強スリーブ10Bと内チューブ31Aとの境界)に補強スリーブ10B及び内チューブ31Aの中心軸線方向(補強用スリーブ30の長手方向)に沿って延在(縦添え)するように抗張力部材32を介在配置させた構成になっている。
図5(c)に例示する補強用スリーブ30Cは、抗張力部材32が埋め込まれていない補強スリーブ10Bの内側に、抗張力部材32が埋め込まれた構成の内チューブ31(図中符号31Bを付記する)を収納した構成になっている。内チューブ31Bの抗張力部材32は、該内チューブ31Bの中心軸線方向(補強用スリーブ30の長手方向)に沿って延在するようにして縦添えされている。
また、図6に示すように、この補強用スリーブ30の抗張力部材32は、該補強用スリーブ30の長手方向の略全長(換言すれば補強チューブ10の長手方向の略全長)にわたって縦添えされる。このことは、補強チューブ10の内側に該補強チューブ10とは別体の熱可塑性樹脂製の内チューブ31を収納した二重管構造の補強用スリーブに限定されず、補強チューブ10内面に被着状態の熱可塑性樹脂層(補強材層)を有する構成の補強用スリーブについても共通する構成である。
図6は、具体的には図5(a)に例示した補強用スリーブ30Aの全体構成を示す。
この補強用スリーブ30Aにあっては、補強チューブ10Aに埋め込まれている抗張力部材32が、その長手方向全長にわたって縦添えされた構成になっている。
補強用スリーブ30B、30Cについては、抗張力部材32は内チューブ31の両端から延出され補強チューブ10の全長と略一致する範囲に設けられるようにして縦添えされる。
図5(b)、(c)に例示した補強用スリーブ30B、30Cのように、補強チューブ10と熱可塑性樹脂との間の境界あるいは補強チューブ10内側の熱可塑性樹脂に抗張力部材32が設けられた構成の補強用スリーブにあっては、抗張力部材32の補強チューブ10内側に環状に設けられている熱可塑性樹脂の両端から延出された部分は、補強チューブ10内側にて固定せずに収納されていても良いが、例えば接着剤等を用いて補強チューブ10内面に固定することも可能である。
また、図6に示すように、ここで説明する補強用スリーブ30の補強チューブ10としては、該補強チューブ10の形成樹脂に挿入された棒状の補強芯材33(金属棒)が該補強チューブ10の中心軸線方向の略全長にわたって延在するように設けられた構成のものを採用している。
既述のように、補強用スリーブ30は融着補強部20の形成に用いられるものであり、内蔵光ファイバ12の後端部12bと光ファイバコード21の光ファイバ22の先端部22aとを融着接続してなる融着接続部15に外挿した状態で加熱される。
補強スリーブ21としては、熱収縮性の樹脂からなるものが使用され、例えば100〜160℃で収縮するポリオレフィン系樹脂などを使用できる。
補強材11として用いられる熱可塑性樹脂としては、ホットメルト樹脂(ホットメルト接着剤)を好適に使用できる。ホットメルト樹脂としては、例えば、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリアミド、エチレン―アクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。
また、この熱可塑性樹脂としては、補強チューブ10の収縮温度において軟化することが好ましい。この軟化温度は、例えば100〜160℃である。
前記光コネクタ1を光ファイバコード21端末に組み立てるには(光コネクタの組立方法)、まず、図7に示すように、予め組み立てておいたフェルール収納ユニット27のフェルール4に内挿固定されている内蔵光ファイバ12のフェルールハウジング3のチューブ固定部9から延出された部分の端部である後端部12bを、光ファイバコード21端末に口出しされた光ファイバ22の先端部22aに融着接続して融着接続部15を形成する融着工程を行う。
内蔵光ファイバ12の後端部12bと光ファイバコード21の光ファイバ22との融着接続は、互いに離隔させて設けられた放電電極棒間のアーク放電を利用する既存の融着接続機を用いて行うことができる。内蔵光ファイバ12の後端部12bは、内蔵光ファイバ12のフェルールハウジング3のチューブ固定部9から延出された部分の端部であるため、前記融着接続は、フェルール4から後側に充分に離隔した所で行うことができる。このため、放電エネルギーによってフェルール4を傷めるといった心配が無く、特殊な融着接続機を用いたり、特別な条件を設定する必要もなく、汎用の融着接続機を用いて接続作業を行うことができ、融着作業を効率良く行うことができる。
次に、予め光ファイバコード21に外挿しておいた補強用スリーブ30(図3参照)をフェルールハウジング3側に移動して、図8(a)に示すように補強用スリーブ30内側に前記融着接続部15と前記光ファイバコード21端末に口出ししておいた抗張力体23とを収納するとともに、該補強用スリーブ30の一端(前端部)をフェルールハウジング3の前記チューブ固定部9に外挿し他端(後端部)を前記光ファイバコード21端末に外挿した状態とし、この状態で前記補強用スリーブ30を加熱後、降温させて、融着補強部20を形成する融着補強部形成工程を行う。
既述のように、熱可塑性樹脂の補強チューブ10長手方向(中心軸線方向)における延在範囲(熱可塑性樹脂の延在長)は、内蔵光ファイバ12の後端部12bと光ファイバコード21の光ファイバ22との融着接続を完了したときのフェルールハウジング3後端と光ファイバコード21端末(シース24先端面)との間の距離に略一致されている。図8(a)に示すように、補強用スリーブ30は、補強チューブ10内側に設けられている熱可塑性樹脂がフェルールハウジング3後端と光ファイバコード21端末との間に位置する内蔵光ファイバ12、光ファイバ22、融着接続部15、抗張力体23を覆うように配置される。
フェルールハウジング3のチューブ固定部9には、補強用スリーブ30の長手方向両端の熱可塑性樹脂が設けられていない部分、すなわち、補強チューブ10の長手方向において熱可塑性樹脂から両側に張り出されている両端部である張出部の片方(前端部)を外挿する。
図8(a)では、フェルールハウジング3のチューブ固定部9、光ファイバコード21端末にそれぞれ補強チューブ10の張出部を外挿し、熱可塑性樹脂(内チューブ31)をチューブ固定部9と光ファイバコード21端末との間に、チューブ固定部9、光ファイバコード21端末に対して重ならないように配置した構成を例示しているが、チューブ固定部9及び/又は光ファイバコード21端末に対して、補強用スリーブ30の熱可塑性樹脂が設けられている部分を外挿しても良い。
この工程では、補強用スリーブ30を加熱することで、補強チューブ10を熱収縮させるとともに前記補強材11の熱可塑性樹脂を溶融させる。加熱溶融された熱可塑性樹脂は補強チューブ10の内側全体に行き渡り、補強チューブ10内側全体を埋め込むように充填される。加熱後の降温によって熱可塑性樹脂が固化すると、図8(b)に示すように、補強チューブ10内側の融着接続部15、抗張力体23、内蔵光ファイバ12の前記フェルールハウジング3から後側に突出された部分、光ファイバコード21の光ファイバ22の光ファイバコード21端末から延出された部分が、熱可塑性樹脂が固化してなる補強材11中に埋め込まれて固着される。
また、この工程では、補強用スリーブ30の加熱、降温により、補強用スリーブ30の両端を外挿しておいたチューブ固定部9、光ファイバコード21端末に対して補強チューブ10を固着(固定)させる。
図8(b)に示すように、図示例では、光ファイバコード21端末に対する補強チューブ10の固着(固定)は、光ファイバコード21のシース24外周面と補強チューブ10との間に介在させた熱可塑性樹脂による接着固定によって実現している。光ファイバコード21のシース24外周面と補強チューブ10との間へは、補強チューブ10の熱収縮に伴い、チューブ固定部9と光ファイバコード21端末との間から溶融状態の熱可塑性樹脂の押し出しが生じることで、熱可塑性樹脂を入り込ませることができる。
なお、図示例では、光ファイバコード21として、そのシース24外径がチューブ固定部9外径よりも小さいものを採用しており、光ファイバコード21のシース24外周面と補強チューブ10との間への加熱溶融状態の熱可塑性樹脂の入り込みが生じやすくなっている。補強用スリーブ30の補強チューブ10外径はその長手方向全長にわたって一定である。
一方、チューブ固定部9に対する補強チューブ10の固着(固定)は、該補強チューブ10の熱収縮による圧着固定であるが、さらに熱可塑性樹脂による接着固定が付加されていても良い。
熱可塑性樹脂による接着固定は、溶融状態の熱可塑性樹脂がチューブ固定部9外周の環状凸部9a間の凹所に入り込むことで実現される。環状凸部9a間の凹所は、補強チューブ10の熱収縮に伴う、チューブ固定部9と光ファイバコード21端末との間からの溶融状態の熱可塑性樹脂の押し出しによって、溶融状態の熱可塑性樹脂の流入が生じ得る。この熱可塑性樹脂の流入が生じない場合は、チューブ固定部9に対する補強チューブ10の固着(固定)は、該補強チューブ10の熱収縮による圧着固定のみとなる。
補強チューブ10は、該補強チューブ10の熱収縮による圧着固定のみでもチューブ固定部9に対する充分な固定力が得られるが、環状凸部9a間の凹所に入り込んだ熱可塑性樹脂による接着固定が付加されることで、さらに高い固定力が得られる。
また、本発明では、補強チューブ10のチューブ固定部9に対する固定を熱可塑性樹脂の接着力のみによって実現した構成も採用し得る。
補強チューブ10のチューブ固定部9に対する固定は、該補強チューブ10の熱収縮による圧着力及び/又は熱可塑性樹脂の接着力によって実現可能である。
また、光ファイバコード21端末に対する補強チューブ10の固着(固定)も、補強チューブ10の熱収縮による圧着力及び/又は熱可塑性樹脂の接着力によって実現可能である。
図示を略すが、補強チューブ10は熱収縮により、チューブ固定部9と光ファイバコード21端末との間に位置する部分が、チューブ固定部9に固着された部分に比べて細くなり得る。これにより、補強チューブ10の熱収縮時に、補強チューブ10の前記チューブ固定部9と光ファイバコード21端末との間に位置する部分の内側全体に溶融状態の熱可塑性樹脂を行き渡らせ充填状態とすることを容易に実現でき、また、熱収縮後の補強チューブ10内側全体に隙間無く熱可塑性樹脂が充填された状態を容易に得ることができる。光ファイバコード21のシース24外周面と補強チューブ10との間に溶融状態の熱可塑性樹脂を入り込ませることも容易になることは言うまでもない。
また、図8(a)、(b)に示すように、この工程では、補強用スリーブ30は、補強チューブ10の補強芯材33の一端部(前端部)が前記チューブ固定部9に沿わせるように配置され、前記補強芯材33の他端部(後端部)が光ファイバコード21の先端部(端末)に沿わせるようにして配置されるようにして、チューブ固定部9、光ファイバコード21先端部に外挿し、この状態で加熱、降温される。チューブ固定部9、光ファイバコード21端末に対して補強チューブ10の両端が固定されると、チューブ固定部9、光ファイバコード21端末に対して補強芯材33の両端が固定されることとなる。
なお、光ファイバコード21に対する補強チューブ10の固定は、光ファイバコード21に対する補強チューブ10の固定力確保のため、補強チューブ10の光ファイバコード21先端部に外挿した部分の出来るだけ広範囲を固定することが好ましい。
なお、図8(a)、(b)においては抗張力部材32の図示を略している。このことは、図2(a)、(b)、後述する図9(a)、(b)についても同様である。
また、この工程では、融着補強部20の形成に、補強用スリーブ30としてその周方向に抗張力部材32が略均等に分散配置して設けられている構成のものを用いることで、融着補強部20としてその長手方向の略全長にわたって延在する抗張力部材32が、該融着補強部20の周方向に略均等に分散配置された構成のものが得られる。
また、融着補強部20は、その長手方向の略全長に抗張力部材32が縦添えされている構成により、高い引張強度を確保できる。
例えば図5(a)の構成の補強用スリーブ30Aを用いた場合は、該補強用スリーブ30Aの加熱、降温により、チューブ固定部9、光ファイバコード21端末に対する補強チューブ10の固定が完了すると、補強チューブ10Aに埋め込まれて縦添え状態に設けられている抗張力部材32もチューブ固定部9、光ファイバコード21端末に対して固定されることとなる。
例えば図5(b)、(c)の構成の補強用スリーブ30B、30Cのように、補強チューブ10の内側に内チューブ31を収納した構造であり、補強チューブ10と内チューブ31との境界、内チューブ31のいずれか1以上に抗張力部材32が縦添え状態に設けられている構成の補強用スリーブを用いた場合は、チューブ固定部9と該チューブ固定部9に外挿した補強チューブ10との間、及び光ファイバコード21の先端部(端末)と該光ファイバコード21先端部に外挿した補強チューブ10との間に、抗張力部材32の内チューブ31から両側に延出された部分を介挿し、この状態で補強用スリーブ30を加熱、降温する。これにより、チューブ固定部9、光ファイバコード21端末に対する補強チューブ10の固定が完了すると、抗張力部材32もチューブ固定部9、光ファイバコード21端末に対して固定されることとなる。
補強チューブ10の内面側に熱可塑性樹脂層が被着状態に設けられている構造の補強用スリーブであり、抗張力部材32が補強チューブ10と熱可塑性樹脂層との境界、及び/又は熱可塑性樹脂層への埋め込みによって縦添えされた構成の補強用スリーブを用いる場合も、チューブ固定部9と該チューブ固定部9に外挿した補強チューブ10との間、及び光ファイバコード21の先端部(端末)と該光ファイバコード21先端部に外挿した補強チューブ10との間に、抗張力部材32の熱可塑性樹脂層から両側に延出された部分を介挿し、この状態で補強用スリーブの加熱、冷却を行う。
この融着補強部形成工程によって融着補強部20が形成されると、フェルールハウジング3と光ファイバコード21とが融着補強部20によって連結されることとなる。
融着補強部形成工程が完了したら、コネクタハウジング25全体を組み立てて前記融着補強部20を収納するハウジング組立工程を行う。
図2(a)に示すように、図示例の光コネクタ1にあっては、予め光ファイバコード21に外挿しておいた胴体スリーブ18をフェルールハウジング3側に移動してその前端部をフェルールハウジング3に嵌め込むようにして取り付け、フェルールハウジング3と、胴体スリーブ18と、この胴体スリーブ18の後端部に外嵌めして取り付けたブーツ19とからなるコネクタハウジング25を組み立てることで、その内側(融着補強部収納部28)に融着補強部20を収納することができる。
また、図1、図2(a)に示すように前記光コネクタ1はカップリング2を具備するものであり、このハウジング組立工程は、フェルールハウジング3のプラグフレーム6にカップリング2を外挿して組み付ける工程を含む。
コネクタハウジング25全体の組み立て、及びプラグフレーム6に対するカップリング2の組み付けを行うことで、光コネクタ1の組み立てが完了する。
フェルールハウジング3に対する胴体スリーブ18の取り付けは、胴体スリーブ18をフェルールハウジング3に対してその後側から押圧し、胴体スリーブ18の前端部に形成されている係止穴18aに、ストップリング7の本体部8の外周面に突設してストップリング7の両側に設けられた係止凸部8bを入り込ませ嵌合させることで、いわばフェルールハウジング3に対する外嵌めによって実現される。
ブーツ19は、例えば、胴体スリーブ18の後端部に装着した状態で、融着補強部形成工程が完了まで胴体スリーブ18とともに光ファイバコード21に外挿しておく。これにより、融着補強部形成工程の完了後、胴体スリーブ18をフェルールハウジング3に取り付けるだけでコネクタハウジング25を組み立てることができる。なお、ブーツ19は、融着補強部形成工程が完了するまで、胴体スリーブ18に装着していない状態で光ファイバコード21に外挿し、胴体スリーブ18をフェルールハウジング3に取り付けた後に胴体スリーブ18に装着しても良い。
前記融着補強部形成工程では、例えば、図9(a)に示すように、補強スリーブとして、熱可塑性樹脂34が補強チューブ10’の長手方向片端の端部を除く内面全体を覆うように設けられた構成とした補強スリーブ30’を採用し、この補強スリーブ30’の長手方向両端部のうちその内面に熱可塑性樹脂(図中符号34を付記する)が設けられている側の端部(樹脂内装端35)をフェルールハウジング3のチューブ固定部9に外挿し、反対側の端部を光ファイバコード21に外挿した状態として、この補強スリーブ30’の前記補強チューブ10の収縮温度へ加熱と、その後の降温とによって、融着補強部20’(図9(b)参照)を形成しても良い。
補強スリーブ30’の加熱は、該補強スリーブ30’の内側に、フェルールハウジング3後端(チューブ固定部9後端)と光ファイバコード21端末との間に位置する内蔵光ファイバ12、光ファイバ22、融着接続部15、抗張力体23を収納した状態で行う。
図8(a)に例示した補強スリーブ30は、具体的にはチューブ固定部9に外嵌めして装着される内径の補強チューブ10を採用している。図9(a)の補強スリーブ30’の補強チューブ10’は、図6、図8(a)に例示した補強スリーブ30の補強チューブ10の内径を若干大きくして、該補強チューブ10’とチューブ固定部9との間に熱可塑性樹脂34を介在させることを可能としたものである。この補強チューブ10’の材質は補強スリーブ30の補強チューブ10に使用可能なものを採用できる。
図9(a)では、具体的には、図6、図8(a)に例示した補強スリーブ30Aの補強チューブ10Aの内径を大きくした補強チューブ10A’の内側に、補強チューブ10’の長手方向片端の端部を除く内面全体を覆うように内チューブ31A’(熱可塑性樹脂34)を設けた構成の補強スリーブ30A’を例示している。補強スリーブ30A’は、補強チューブ10A’のみに抗張力部材32が設けられている構成であるが、補強スリーブ30’としては、これに限定されず、補強チューブ、その内側の熱可塑性樹脂、補強チューブと熱可塑性樹脂との境界、から選択される1以上にその周方向全周にわたって、前記補強チューブの中心軸線に沿って延在する線状の抗張力部材が分散配置されている構成を採用できる。
但し、図6、図8(a)の補強スリーブ30の補強チューブ10は、必ずしもチューブ固定部9に外嵌めして装着される内径のものに限定されず、チューブ固定部9に対して遊挿状態に外挿される内径のもの、補強スリーブ30’の補強チューブ10’としてそのまま使用可能なものであっても良い。
前記補強スリーブ30’を用いて融着補強部20’を形成した場合は、補強スリーブ30’の加熱、降温後に、チューブ固定部9の外周の凹所(例えば環状凸部9a間の凹所)に確実に熱可塑性樹脂34が入り込むことになり、補強チューブ10の熱収縮による圧着力及び熱可塑性樹脂34の接着力によって、補強チューブ10’の端部をチューブ固定部9に強固に固着させることができる。
また、融着補強部形成工程では、補強用スリーブとして、補強チューブ10の内面全体を覆うように熱可塑性樹脂を設けた構成のものも採用可能である。
図2(a)、(b)に示すように、前記光コネクタ1によれば、フェルール4側の内蔵光ファイバ12と光ファイバコード21端末に口出しされた光ファイバ22とを融着接続した融着接続部15のみならず、前記内蔵光ファイバ12のフェルールハウジング3のチューブ固定部9から後側に延出された部分、光ファイバコード21の光ファイバ22の光ファイバコード21端末から延出された部分(以下、延出部とも言う)をも、融着補強部20の補強チューブ10とその内側の補強材11とによって覆って保護することができる。
しかも、融着補強部20は、その補強チューブ10の前端部をチューブ固定部9に外挿固定して形成されているため、コネクタハウジング25内で揺動しにくい。このため、例えば既述の特許文献1のように融着補強部の繰り返し揺動によって内蔵光ファイバをいためるといった不都合を防止できる。
特許文献1記載の光コネクタでは、光ファイバコード端末に口出しされた光ファイバの、光ファイバコード端末と融着補強部との間に位置する部分についても、ハウジング内での融着補強部の繰り返し揺動による特性劣化等の影響を受ける可能性があるが、本発明に係る前記光コネクタ1では、補強チューブ10の後端部を光ファイバコード21端末に外挿固定し、光ファイバコード21の光ファイバ22の延出部の全長を融着補強部20内側の補強材11中に埋め込んだ構成により、光ファイバコード21の光ファイバ22の延出部についても、特許文献1のような融着補強部の繰り返し揺動の影響を回避できる。
また、この光コネクタ1は、補強チューブ10の後端部を光ファイバコード21端末に外挿固定している上、光ファイバコード21端末に口出しされた抗張力体23を融着補強部20内側の補強材11中に埋め込み状態に固着させた構成であるため、光ファイバコード21に融着補強部20に対する高い引き抜き耐力を確保できる。
このため、本発明にかかる光コネクタ1では、融着補強部20を形成してフェルールハウジング3と光ファイバコード21とを融着補強部20を介して連結するだけで、光ファイバコード21をコネクタハウジング25に対して充分な引き留め力(固定力)を以て引き留めることができる。したがって、この光コネクタ1では、既述の特許文献1のように光ファイバコード端末に露出させた抗張力体をかしめリングを用いてハウジング後端に圧着固定する構成に比べて、光ファイバコード21の引き留めを極めて簡単に行うことができる。また、これにより、光コネクタ1全体の組み立てを短時間で効率良く行える、部品点数が少なくて済み低コスト化できる、といった効果も得られる。
また、この光コネクタ1では、既述のようにフェルールハウジング3に融着補強部20が固定されている構造により、光ファイバコード21に作用した引っ張り力が、内蔵光ファイバ12の融着補強部20から前側に位置する部分に作用しない。
また、この光コネクタ1にあっては、例えば光ファイバコード21のサイドプルや、コネクタハウジング25にその側方から作用した押圧力等によってブーツ19の曲げあるいはコネクタハウジング25全体の撓み変形が生じ、これにより融着補強部20に曲げ力が与えられて融着補強部20が撓み変形されるとき、融着補強部20の長手方向全長にわたって撓みによる湾曲半径を大きく保つことができる。その結果、融着補強部20内部の光ファイバ(内蔵光ファイバ12、光ファイバコード21の光ファイバ22の延出部)の断線を防ぐことができる。
図11(b)は、本発明に係る光コネクタ1の融着補強部20前端部付近を示す図であって、光ファイバコード21のサイドプル等に起因するブーツ19の曲げあるいはコネクタハウジング25全体の撓み(図11(b)において光ファイバコード、ブーツ、コネクタハウジングは図示を省略)によって融着補強部20に撓み変形が生じた状態を示す。
図11(b)に示すように、本発明に係る光コネクタ1の融着補強部20の撓み変形は、フェルールハウジング3に片持ち状態に支持された融着補強部20の曲げ変形(撓み変形)、すなわち融着固定部20のフェルールハウジング3に固定された前端部とは反対の後端部に作用した曲げ荷重Pによる融着補強部20の撓み変形、として考えることができる。
融着補強部20に撓み変形が生じると、融着補強部20の補強材11中の光ファイバ(内蔵光ファイバ12、光ファイバコード21の光ファイバ22)が融着補強部の補強材に固着された状態のまま湾曲変形される結果、光ファイバに引っ張り力が作用することとなる。融着補強部の撓み変形によって融着補強部内の光ファイバに作用する引っ張り力の大きさは、融着補強部の撓み変形による湾曲半径に依存する。例えば融着補強部の撓み変形が大きく(湾曲半径が小さく)なれば前記光ファイバに作用する引っ張り力も大きくなるため、局所的な応力集中等によって断線が生じる可能性が高まるが、融着補強部の撓み変形が小さければ光ファイバに作用する引っ張り力も小さいため断線は生じにくい。
したがって、光ファイバコード21のサイドプル等に起因する曲げ力による融着補強部20の撓み変形時に、融着補強部20にその内部の光ファイバの断線が生じるような湾曲半径で曲げ変形が与えられた箇所が存在しないように、融着補強部20の全長にわたって大きい湾曲半径を維持できれば、融着補強部20内部の光ファイバの断線を防止できる。
この光コネクタ1では、光ファイバコード21のサイドプル等によって融着補強部20に曲げ力が与えられたときに、補強チューブ10、その内側の補強材11、光ファイバコード21端末に口出しされ補強材11中に埋め込まれ固着された抗張力体23、補強芯材33、融着補強部20に縦添え状態に設けられている抗張力部材32が前記曲げ力に抵抗する抵抗力を発揮する。
融着補強部20において前記抗張力部材32は、融着補強部20の前記曲げ力による撓み変形の外周側に位置する部分に作用する引っ張り力を負担して該部分の伸びを抑えることで前記曲げ力に対する抵抗力を発揮して、融着補強部20にその内部の光ファイバの断線が生じるような曲げ(撓み)が与えられることを防ぐ。また、融着補強部20の前記曲げ力による撓み変形の外周側に位置する部分に作用する引っ張り力を抗張力部材32が負担して該部分の伸びを抑える結果、融着補強部20の撓み変形自体も抑えることができる。つまり、前記融着補強部20は抗張力部材32によって撓みにくなる。
これにより、融着補強部20の長手方向全長にわたって撓み変形時の湾曲半径を大きく保つことができ、融着補強部20内部の光ファイバ(内蔵光ファイバ12、光ファイバコード21の光ファイバ22の延出部)の断線を防ぐことができる。
本発明に係る光コネクタ1の融着補強部20は、融着補強部20を形成する工程にて、抗張力部材32が補強チューブ10の周方向に略均等に分散配置して設けられている構成の補強用スリーブ30を用いることで、抗張力部材32が補強チューブ10の周方向に略均等に分散配置して設けられた構造に形成される。
本発明に係る補強用スリーブ30を用いて形成した融着補強部20にあっては、前記抗張力部材32は、補強チューブ10の形成樹脂中、及び/又は補強材11の補強チューブ10内周面付近に埋め込まれて縦添え状態に設けられる。このため、抗張力部材32は、融着補強部20の撓み変形の外周側に位置する部分の伸びの抑制に有効に機能する。
また、この融着補強部20は、抗張力部材32が融着補強部20の周方向に略均等に分散配置して設けられている構成により、光ファイバコード21のサイドプル等による融着補強部20の曲げ方向に依存することなく、高い曲げ変形抑制効果(撓み変形時の融着補強部20全体あるいは局所的な湾曲半径(曲げ変形)の縮小を抑える効果)を容易に得ることができる。
この点について、図10(a)、(b)に示すように、補強用スリーブとして、既述の補強用スリーブ30から抗張力部材32を省略した構成のものを用いて光コネクタを組み立てた場合、具体的には光コネクタ1の光ファイバコード21端末への組み立てにおいて補強用スリーブ30にかえて、図5(a)〜(c)に例示した二重管構造の補強用スリーブ30から抗張力部材32を省略した構成の補強用スリーブ40(対比例の補強用スリーブ)を使用して光コネクタを組み立てた場合との比較を以て説明する。
図11(a)は、図10に例示した補強用スリーブ40を用いて形成した融着補強部50(対比例の融着補強部)に、光ファイバコード21のサイドプル等によって撓み変形が与えられた状態を示す。
図11(a)に示す融着補強部50は、光ファイバコード21のサイドプル等によって曲げ力(曲げ荷重P)が与えられたときに、補強チューブ10、その内側の補強材、補強芯材、光ファイバコード端末に口出しされて融着補強部50の補強材中に埋め込まれ固着されている抗張力体が前記曲げ力に抵抗する抵抗力を発揮する。
補強芯材33、補強材中の抗張力体は、その引っ張り強度により、融着補強部50の撓み変形の特に外周側部分に作用する引っ張り力を負担することで、融着補強部50の曲げ変形の抑制に有効に機能する。
但し、図10(b)に示すように補強芯材33は補強チューブ10の周方向の一箇所のみに設けられているため、融着補強部50に作用する曲げ力に対する前記補強芯材33の剛性による融着補強部50の曲げ変形抑制効果は、前記曲げ力の向きによってばらつきがある。
補強芯材33は、SUS304等のステンレス鋼等からなる棒状の抗張力体である。
図11(a)に示す融着補強部50は、前記曲げ力による撓み変形の外周側に補強芯材33が位置するときは、補強芯材33が前記撓み変形によって融着補強部50に作用する引っ張り力を負担して融着補強部50の撓み変形の外周側部分の伸び抑制に有効に機能し、融着補強部50の撓み変形を効果的に抑えることができる。
しかしながら、補強芯材33の位置が、融着補強部50の撓み変形の外周側部分からずれた位置であるときは、補強芯材33が融着補強部50の撓み変形の外周側部分の伸び抑制に有効に機能せず、この補強芯材33による融着補強部50の曲げ変形抑制効果は小さくなる。
また、補強用スリーブ40の加熱によって融着補強部50を形成するにあたり、光ファイバコードの抗張力体を補強チューブ10の周方向に略均等に分散配置されるようにして補強材中に埋め込むことは容易でなく、偏在が生じやすい。このため、融着補強部50の補強材中に埋め込まれている前記抗張力体による融着補強部50の曲げ変形抑制効果も、融着補強部50に作用する曲げ力の向きによってばらつきがある。
図11(a)に示す融着補強部50は、補強チューブ10、その内側の補強材の他、補強芯材、補強材中に埋め込まれ固着された光ファイバコードの抗張力体が曲げ力に対する抵抗力を発揮して融着補強部の撓み変形を抑えることで、該融着補強部50内の光ファイバの断線防止に一定の効果が得られる。
しかしながら、既述のように、補強芯材、光ファイバコードの抗張力体の補強材への埋め込みによって曲げ力に対する抵抗力を高める構成では前記曲げ力の向きに対する融着補強部50の曲げ変形抑制効果のばらつきが生じやすいため、光ファイバコードのサイドプル方向に対する依存性無しに融着補強部の曲げ変形抑制効果を高めて、融着補強部50内の光ファイバの断線防止を図るといったことは困難である。
これに対して、本発明に係る光コネクタ1では、融着補強部20を形成する作業において、抗張力部材32が縦添えされた構成に作製済みの補強用スリーブ30を用いることで、抗張力部材32が補強チューブ10の周方向に略均等に分散配置して設けられている構成の融着補強部20を容易に得ることができる。そして、この光コネクタ1では、抗張力部材32が融着補強部20の周方向に略均等に分散配置して設けられている構成により、融着補強部20の曲げ方向に対する依存性無しに、融着補強部に作用する曲げ力に対する抵抗力の向上、融着補強部20の曲げ変形抑制効果の向上を実現できる。
したがって、この光コネクタ1によれば、光ファイバコード21のサイドプル等による融着補強部20の撓み変形時に、融着補強部20の曲げ方向に関係なく、融着補強部20の全長にわたって、該融着補強部20内の光ファイバの断線を生じない程度の大きさの湾曲半径(曲げ半径)を確保でき、融着補強部20内の光ファイバの断線防止を容易に実現できる。また、融着補強部20の前記曲げ力による撓み変形の外周側に位置する部分に作用する引っ張り力を抗張力部材32が負担して該部分の伸びを抑える結果、図11(a)に示す融着補強部50に比べて融着補強部20の撓み変形自体も小さく抑えることができ、このことも融着補強部20内の光ファイバの断線防止に有効に寄与する。
また、図2(a)等に例示したように、この光コネクタ1は、融着補強部20の収納のために、コネクタハウジング25後端部のブーツ19のテーパ筒部192内側に形成された融着補強部収納孔部19b1と胴体スリーブ18内側の胴体スリーブ内孔18dとを互いに連通させてなる融着補強部収納部28を有しているが、上述のように融着補強部20がその内部の光ファイバの断線を防止できる構造であれば、融着補強部20後端が前記融着補強部収納孔部19b1内に配置されるようにして融着補強部収納部28に融着補強部20を収納した場合、光ファイバコード21のサイドプル等によって融着補強部20に撓み変形が与えられても融着補強部20内の光ファイバの断線を防ぐことができる。
このため、テーパ筒部192内側に融着補強部収納孔部19b1を有する構成のブーツ19の採用によって、光コネクタ1の短尺化を容易に実現できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
光伝送体としては、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる構成のものであれば良く、光ファイバコード21に限定されない。例えば、図12に示すように、単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線等の単心の被覆付き光ファイバである光ファイバ61と、この光ファイバ61の両側に配置され光ファイバ61に沿って縦添えされた抗張力体62とが被覆材63(外装被覆)中に埋め込まれている構成の光ファイバケーブル60等も採用可能である。この光ファイバケーブル60は、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等として用いることが可能なものである。抗張力体62としては、例えばアラミド繊維、FRP等の引っ張り強度や弾力性に優れた抗張力部材(抗張力繊維)が採用される。
この光ファイバケーブル60端末に光コネクタ1を組み立てることで、コネクタ付き光ファイバケーブル(コネクタ付き光伝送体)を得ることができる。
光ファイバケーブル60端末への光コネクタ1の組み立て(光コネクタの組立方法)は、光ファイバコード21にかえて光ファイバケーブル60を用いること、図8(a)に示すように融着部形成工程にて融着接続部15を収納する位置に配置した補強用スリーブ30の内側に光ファイバコード21端末に露出させた抗張力体23を収納することにかえて、補強用スリーブ30の内側に光ファイバケーブル60端末に露出させた一対の抗張力体62を収納すること、以外は全て同様にすることで実現できる。
本発明に係る光コネクタのコネクタハウジングは、胴体スリーブと、この胴体スリーブの前端側に設けられフェルールを収納するフェルールハウジングと、前記胴体スリーブの後端部に装着され前記光伝送体が内挿されたブーツとを具備して、その内側に融着補強部を収納できるものであれば良く、上述の実施形態にて説明したものに限定されない。
例えば、胴体スリーブが、フェルールハウジングにコネクタ前後方向への可動範囲を確保してスライド移動可能として組み付けられている構成、すなわち胴体スリーブがカップリングを兼ねる構成も含む。
また、本発明に係る光コネクタとしては、カップリングを具備していない構成も採用可能である。この場合フェルールハウジングのプラグフレームとして、例えば、SC形光コネクタのプラグフレーム、LC形光コネクタ(LC:ルーセントテクノロジー社商標)のハウジング等を採用できる。
1…光コネクタ、3…フェルールハウジング、4…フェルール、5…スプリング(コイルスプリング)、6…プラグフレーム、7…ストップリング、9…チューブ固定部、10、10A、10B、10’、10A’…補強チューブ、11…補強材、12…内蔵光ファイバ、12b…(内蔵光ファイバの)後端部、13b…接続端面、18…胴体スリーブ、18d…(胴体スリーブ)の内孔、19…ブーツ、192…テーパ筒部、19b1…融着補強部収納孔部、20、20’…融着補強部、21…光伝送体(光ファイバコード)、22…光ファイバ、22a…(光ファイバの)先端部、23…抗張力体、24…外装被覆(シース)、25…コネクタハウジング、27…フェルール収納ユニット、28…融着補強部収納部(内側空間)、30、30A、30B、30C、30’、30A’…融着部補強用スリーブ、31、31A、31B…熱可塑性樹脂、補強材、内チューブ、32…抗張力部材、33…補強芯材、34…熱可塑性樹脂、60…光伝送体(光ファイバケーブル)、61…光ファイバ、62…抗張力体、63…外装被覆(被覆材)。

Claims (10)

  1. 光ファイバ(22、61)とこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体(23、62)とが外装被覆(24、63)によって覆われてなる光伝送体(21、60)の先端に光コネクタ(1)が組み立てられたコネクタ付き光伝送体であって、
    前記光コネクタは、フェルール(4)と、該フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバ(12)の前記フェルール先端の接続端面(13a)とは反対の後側に突出された後端部(12b)を前記光伝送体端末に口出しされた前記光ファイバの先端部(22a)に融着接続した融着接続部(15)及び前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体を前記融着接続部を収納した補強チューブ(10、10A、10B、10’、10A’)の内側に設けられた熱可塑性樹脂である補強材(11)中に埋め込んだ融着補強部(20、20’)とをコネクタハウジング(25)に収納してなり、
    前記コネクタハウジングは、胴体スリーブ(18)と、この胴体スリーブの前端側に設けられ前記フェルールを収納するフェルールハウジング(3)とを具備して構成され、
    前記融着補強部は、前記補強チューブの一端が前記フェルールハウジング後端部の筒状のチューブ固定部(9)に、他端が前記光伝送体端末にそれぞれ固定され、前記チューブ固定部に内挿された前記内蔵光ファイバの前記チューブ固定部から後側に突出された部分及び前記光伝送体の光ファイバの前記光伝送体端末から延出された部分が前記融着接続部及び前記抗張力体とともに前記補強材中に埋め込まれ、しかも前記補強チューブ、前記補強チューブと前記補強材との境界、前記補強材の前記境界に沿う外周部、から選択される1以上に、その周方向全周にわたって、前記補強チューブの中心軸線に沿って前記補強チューブの略全長に亘って延在する前記抗張力体とは異なる線状の抗張力部材が分散配置されていることを特徴とするコネクタ付き光伝送体。
  2. 前記胴体スリーブの後端部に装着され前記光伝送体が内挿されたブーツ(19)をさらに備え、
    前記ブーツは、前記胴体スリーブの後端部からその後側へ延出する先細りのテーパ状に形成された柔軟なテーパ筒部(192)を有し、前記コネクタハウジングの内側に、前記胴体スリーブ内側の胴体スリーブ内孔(18d)と前記ブーツの前記テーパ筒部内側に形成された融着補強部収納孔部(19b1)とが互いに連通してなる融着補強部収納部(28)を有し、該融着補強部収納部に前記融着補強部が収納されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ付き光伝送体。
  3. 前記補強チューブにはその形成樹脂に挿入された棒状の補強芯材(33)が該補強チューブの中心軸線方向の略全長にわたって延在するように設けられ、前記補強チューブは前記補強芯材の一端を前記フェルールハウジングのチューブ固定部に固定し、他端を前記光伝送体の端末に固定して設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ付き光伝送体。
  4. 前記フェルールハウジングは、スリーブ状のプラグフレーム(6)と、このプラグフレームの後端側に取り付けられたストップリング(7)とからなり、前記ストップリングの後端に前記チューブ固定部(9)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ付き光伝送体。
  5. 前記フェルールハウジング内に前記フェルールを該フェルールハウジングに対して前側へ弾性付勢するスプリング(7)を収納してなるフェルール収納ユニット(27)を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコネクタ付き光伝送体。
  6. 光ファイバ(22、61)とこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体(23、62)とが外装被覆(24、63)によって覆われてなる光伝送体(21、60)の端末に組み立てられる光コネクタであって、
    フェルール(4)と、熱収縮性の補強チューブ(10、10A、10B、10’、10A’)の内面側に熱可塑性樹脂(11、34)が設けられたスリーブ状に形成され、前記フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバ(12)の前記フェルール先端の接続端面(13a)とは反対の後側に突出された後端部(12b)を前記光伝送体端末に口出しした前記光ファイバ(22)の先端部(22a)に融着接続した融着接続部(15)を収納するための融着部補強用スリーブ(30、30A、30B、30C、30’、30A’)と、前記融着部補強用スリーブの加熱によって収縮させた前記補強チューブの内側に前記融着接続部及び前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体を前記加熱によって溶融させた前記熱可塑性樹脂が固化してなる補強材(11)中に埋め込んで形成される融着補強部(20、20’)を前記フェルールとともに収納するためのコネクタハウジング(25)とを具備し、
    前記コネクタハウジングは、胴体スリーブ(18)と、この胴体スリーブの前端側に設けられて前記フェルールを収納するフェルールハウジング(3)とを具備し、
    前記融着補強部は、前記補強チューブの一端を前記フェルールハウジング後端部の筒状のチューブ固定部(9)に、他端を前記光伝送体端末にそれぞれ固定し、前記チューブ固定部に内挿された前記内蔵光ファイバの前記フェルールハウジングから後側に突出された部分及び前記光伝送体の光ファイバの前記光伝送体端末から延出された部分を前記融着接続部及び前記抗張力体とともに前記熱可塑性樹脂中に埋め込んで、前記コネクタハウジングの前記胴体スリーブの中心軸線に沿って延在形成されるようになっており、
    前記融着部補強用スリーブは、前記補強チューブ、前記補強チューブと前記熱可塑性樹脂との境界、前記熱可塑性樹脂、から選択される1以上に、その周方向の全周にわたって、前記補強チューブの中心軸線に沿って前記補強チューブの略全長に亘って延在する前記抗張力体とは異なる線状の抗張力部材が分散配置されてなることを特徴とする光コネクタ(1)。
  7. 前記融着部補強用スリーブが、前記補強チューブの内側に、前記熱可塑性樹脂からなる内チューブを収納してなる二重管構造とされていることを特徴とする請求項6記載の光コネクタ。
  8. 前記融着部補強用スリーブの前記補強チューブの形成樹脂中に、該補強チューブの中心軸線に沿って延在する棒状の補強芯材(33)が挿入されていることを特徴とする請求項6又は7記載の光コネクタ。
  9. 前記フェルールハウジング内に前記フェルールを該フェルールハウジングに対して前側へ弾性付勢するスプリング(7)を収納してなるフェルール収納ユニット(27)を具備することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の光コネクタ。
  10. 光ファイバ(22、61)とこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体(23、62)とが外装被覆(24、63)によって覆われてなる光伝送体(21、60)の端末に、請求項6〜9のいずれか1項に記載の光コネクタ(1)を組み立てる方法であって、
    前記フェルールに内挿固定されている内蔵光ファイバの前記フェルールハウジングの前記チューブ固定部から後側に突出された後端部を、前記光伝送体端末に口出しされた前記光ファイバ(22)の先端部(22a)に融着接続して融着接続部(15)を形成する融着工程と、
    この融着工程の後、予め前記光伝送体に外挿しておいた前記融着部補強用スリーブ(30、30A、30B、30C)を前記フェルールハウジング側に移動してその内側に前記融着接続部と前記光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体とを収納するとともに、該融着部補強用スリーブを、その一端をフェルールハウジングの前記チューブ固定部(9)に外挿し他端を前記光伝送体端末に外挿した状態で加熱して前記補強チューブを収縮させ前記熱可塑性樹脂を溶融させた後、降温により、前記融着接続部及び前記光伝送体の前記抗張力体を溶融状態の熱可塑性樹脂が固化してなる前記補強材中に埋め込み、前記補強チューブを該補強チューブの熱収縮による圧着力及び/又は前記熱可塑性樹脂の接着力によって前記チューブ固定部及び前記光伝送体端末に固定してなる前記融着補強部(20)を形成する融着補強部形成工程と、
    この融着補強部形成工程の後、前記コネクタハウジングを組み立てて前記融着補強部を収納するハウジング組立工程とを具備することを特徴とする光コネクタの組立方法。
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