JP5397456B2 - 放電ランプ - Google Patents
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Description
その構造として、特開2006−134710号公報(特許文献1)に示されるような、封止部内のガラスロッド上に金属箔を備えた構造のものが知られている。
図において、放電ランプ1の発光管2の両端部にはシュリンクシールされた封止部3が形成されており、この発光管2内には一対の電極4が配置されている。
該電極4の後端部4aは、上下部が平坦面形状となるように切削加工されていて、ほぼ角柱状となっている。
前記封止部3には、石英ガラス製の扁平状のガラスロッド5が埋設され、該ガラスロッド5を挟むように、その上下面に一対の金属箔6、6が配置されている。
また、封止部3には、ガラス製の保持用筒体7が配置されていて、該保持用筒体7に電極4が挿通されおり、これによって該電極4が支持されている。
なお、金属箔6、6の後端には外部リード8が接続されている。
そして、紫外線を良好に放射するために、発光管2内には、水銀、鉄、タリウム等の金属が封入されている。
つまり、定常点灯モードと待機点灯モードを切り替えて点灯する方式(所謂、フル・スタンバイ点灯方式)が多用されるようになってきている。
このガラスロッドの破損について説明すると、図6(A)には、封止部3のX−X断面でのガラスロッド5と金属箔6が示されている。図6(B)に示すように、封止部3の温度変動によって、金属箔6は厚さ方向に膨張したり(A)、収縮したり(B)を繰り返す。金属箔6はガラスロッド5と溶着状態にあるので、この収縮時には、ガラスロッド5には引張応力Fが作用することになる。この引張応力Fはガラスロッド5の両面で作用するので、該ガラスロッド5にはその厚さ方向に引張応力が作用し、ガラスロッド5は厚さ方向に引き剥がされてクラックKが入り破損に至るものである。
図8(A)(B)に示すように、ショートアーク型放電ランプ11は、発光管12と封止管13とを有し、発光管12内の電極14は、封止管13内に埋設されたガラスロッド15の表面に配設された金属箔16に電気的に接続されている。より詳細には、電極14の電極軸14aに設けられた集電板17が、ガラスロッド15の端面に配置され、該集電板17が金属箔16に接続されているものである。
この場合も、上記図6で説明したと同様な原理で、ガラスロッド15に剥離するような半径方向の引張力が働いて、クラックKが生じることがある。
また、前記封止部は溶融石英ガラスから成り、前記ガラスロッドは合成石英ガラスから成ることを特徴とする。
また、前記ガラスロッドを構成するガラス部材のOH基含有量は、前記封止部を構成するガラス部材のOH基含有量より多いことを特徴とする。
また、金属箔とガラスロッドの密着性が高く、箔が剥がれて箔浮きしてしまうこともない。
そして、前記ガラスロッド5を構成するガラス部材の熱膨張係数(Ka)は、該封止部3を構成するガラス部材の熱膨張係数(Kb)よりも小さく(Ka<Kb)されている。
そのための具体例が図3の表1に示されており、実施例1では、ガラスロッド5は合成石英ガラスからなり、封止部(発光管)3は溶融石英ガラスからなる。
そして、一例として、それぞれの熱膨張係数(1/K)は、図3<表1>に表記したように、合成石英ガラスからなるガラスロッド5は4.7×10−7で、溶融石英ガラスからなる封止部3は5.9×10−7であって、ガラスロッド5の熱膨張係数(Ka)のほうが封止部3側の熱膨張係数(Kb)よりも小さくなっている。
実施例2および実施例3がその例であって、封止部3とガラスロッド5はともに溶融石英ガラスからなり、そのOH基含有量をそれぞれ表3のように変えたものであって、その結果、それぞれの熱膨張係数が相違している。
つまり、実施例2では、ガラスロッド5のOH基含有量は150ppmで、封止部3の含有量は1ppm未満であり、それぞれの熱膨張係数は、5.3×10−7と5.9×10−7である。
また、実施例3では、ガラスロッド5の含有量は50ppmであり、封止部3の含有量は10ppmであり、それぞれの熱膨張係数は、5.5×10−7と5.7×10−7である。
つまり、ガラスロッド5側のOH基含有量を封止部3側のOH基含有量より多くして、ガラスロッド5側の熱膨張係数(Ka)を、封止部3側の熱膨張係数(Kb)よりも小さくしている。
なお、熱膨張係数の測定はレーザ熱膨脹計を用いて、室温から1000度までの平均熱膨張係数を測定して調べたものである。
ところでこのときに、金属箔6とガラスロッド5との収縮量に相違があって、その結果ガラスロッド5に引張力が働くことは、図6に基づいて前述した通りであるが、上記したように、封止部3の収縮量がガラスロッド5の収縮量よりも大きいので、該ガラスロッド5に対してその周囲から圧縮力Mとして作用する。
これにより、前記引張力を打ち消すように作用して、ガラスロッド5が引き剥がされるようにクラックが入ることが防止される。
また同時に、金属箔6がガラスロッド5の表面から浮き上がる箔浮きも防止される。
なお、封止3が加熱されて膨張する時は、金属箔6の熱膨張量がガラスロッド5の熱膨張量よりも大きいので、該ガラスロッド5に引張力が作用することはなく、前記クラックが発生することはない。
<ランプ仕様>
ランプ形態:図5に示すロングアーク型放電ランプ
発光管:内径22mm、外径26mm
電極間距離:500mm
電極材料:トリエーテッドタングステン
ガラスロッド:幅6mm、長さ16mm、厚さ17mm
Mo箔(2枚箔):幅4mm、長さ24mm
<点灯条件>
定常点灯(フル点灯):9kW
待機点灯(スタンバイ点灯):4kW
照射時間:30秒、待機時間:30秒、24時間毎に1回消灯し、再点灯。
箔溶接部温度(概略試算温度):定常点灯時850℃、待機点灯時600℃
金属箔の断線に関しては、当然の帰結として、箔の厚さが増すにつれて断線が起こらず、25〜30μmでは金属箔に変色は見られたものの、断線には至っていない。厚さが30μm以上になると変色も断線も発生していない。
シール部の割れ評価では、従来構造では30μになるとガラスロッドにクラックの発生が見られ、40μm以上で気密封止が破れてしまったのに対して、実施例1では45μmまでは全くクラックの発生がなく、50μmでクラックが発生したものの気密封止破れには至っていない。
また、実施例2および実施例3に関しても、同様に従来構造との比較において改善されており、その効果が実証された。
この実施形態では、封止部13内には円柱状のガラスロッド15が配置され、その外周面に金属箔16が配設されているものであり、これら封止部13とガラスロッド15の熱膨張係数の関係は、上記図1のものと同様である。
この場合も、封止部13が温度降下により収縮する際に、円柱状ガラスロッド15を、金属箔16を含めてその周囲から圧縮することになり、該ガラスロッド15のクラックを防止するものである。
また、図2では、金属箔は2枚のものを示したが、3枚以上であってもよい。
また、金属箔をガラスロッドに押し付けるように作用して、箔浮きを生じることもない。
2、12 発光管
3、13 封止部
4、14 電極
5、15 ガラスロッド
6、16 金属箔
7、17 保持用筒体
M 圧縮力
A クラック
Claims (3)
- 一対の電極が配置された発光管の両端に封止部が形成され、当該封止部内にはガラスロッドが埋設されるとともに、該ガラスロッドの表面に金属箔が配設され、該金属箔が前記電極に電気的に接合されてなる放電ランプにおいて、
前記ガラスロッドを構成するガラス部材の熱膨張係数は、前記封止部を構成するガラス部材の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする放電ランプ。 - 前記封止部は溶融石英ガラスから成り、前記ガラスロッドは合成石英ガラスから成ることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
- 前記ガラスロッドを構成するガラス部材のOH基含有量は、前記封止部を構成するガラス部材のOH基含有量より多いことを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
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