JP5395418B2 - 鎖状五酸化アンチモン微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材 - Google Patents

鎖状五酸化アンチモン微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材 Download PDF

Info

Publication number
JP5395418B2
JP5395418B2 JP2008316961A JP2008316961A JP5395418B2 JP 5395418 B2 JP5395418 B2 JP 5395418B2 JP 2008316961 A JP2008316961 A JP 2008316961A JP 2008316961 A JP2008316961 A JP 2008316961A JP 5395418 B2 JP5395418 B2 JP 5395418B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chain
acid
antimony pentoxide
fine particles
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008316961A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010138040A (ja
Inventor
良 村口
政幸 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd filed Critical Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
Priority to JP2008316961A priority Critical patent/JP5395418B2/ja
Publication of JP2010138040A publication Critical patent/JP2010138040A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5395418B2 publication Critical patent/JP5395418B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

本発明は、鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液の新規な製造方法および用途に関する。さらに詳しくは、従来は収率の良くなかった鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液を、高収率で経済的に製造する方法に関する。
従来、酸化アンチモン微粒子は、プラスチック、織物、繊維などの難燃助剤、プラスチック、ガラスのコーティング剤、あるいは帯電防止性能、電磁波遮蔽能等を有する透明被膜などとして使用されており、種々の酸化アンチモンゾルの製造方法が知られている。
特公昭57−11848号公報(特許文献1)には、Sb23をKOHおよびH22
、それぞれ約1:2.1:2モルの割合で反応させてアンチモン酸カリウムを形成させた
後、脱イオンを行うことにより2〜100nmの粒子径を有するSb23のコロイドゾル
を製造する方法が開示されている。また、三酸化アンチモンと過酸化水素を反応させて酸化アンチモンのコロイドゾルを形成する際に、反応系にLi,K,Na,Mg,Ca,Ba,
リン酸ナトリウムなどの無機系アルカリ物質をSb23に対して1.5〜30モル%添加すると、Sb23とH22との反応速度が加速され、微細粒子径のコロイド状酸化アンチモ
ンが得られることも知られている。
さらに、特開昭60−137828号公報(特許文献2)には、Sb23とH22とを
反応させて酸化アンチモンのコロイドゾルを形成させる際に、Sb23とH22とのモル
比を1:1.25〜1.8とし、且つ反応系に無機アルカリ物質を添加することを特徴とした微細な粒子径で化学的に安定なコロイド状酸化アンチモンの製造方法が記載されている。
特開昭60−41536号公報(特許文献3)には、アンチモン酸アルカリを化学量論比で0.7〜5倍量の一価または二価の無機酸と反応させて五酸化アンチモンゲルを生成
し、次いでこのゲルを分離、水洗後、アミンなどの有機塩基で解膠すると高濃度で低粘度の安定な五酸化アンチモンゾルが得られることが開示されている。
特開昭61−227918号公報(特許文献4)には、アンチモン酸アルカリと一価またはニ価の無機酸と反応させて得られる五酸化アンチモンゾルを解膠して五酸化アンチモンゲルを製造する方法において、反応時および/または解膠時に燐酸をP25/Sb23
重量%が0.2〜5.0%になるよう添加すると、有機溶媒で溶媒置換してオルガノゾル化する際に安定性に優れた五酸化アンチモンゾルが得られることが開示されている。
特開昭61−227919号公報(特許文献5)には、五酸化アンチモンゾルと、三価および/または四価の金属の塩基性塩の少なくとも1種の水溶液とを所定の割合で混合す
ることにより、有機溶媒を加えても凝集しない特性を有するコロイド粒子の表面が三価及び/又は四価の金属で覆われた五酸化アンチモンゾル製造方法が開示されている。
さらに、本願出願人は、特開平2−180717号公報(特許文献6)に、三酸化アンチモン、アルカリ物質及び過酸化水素を反応させてアンチモンゾルを製造するに際し、三酸化アンチモンとアルカリ物質と過酸化水素のモル比を1:2.0〜2.5:0.8〜1.5とし、三酸化アンチモンとアルカリ物質を含む系に、過酸化水素を三酸化アンチモン1モル当り、0.2モル/hr以下の速度で添加することにより微細で粒子径分布の均一な酸化アンチモンゾルが得られることを開示している。
さらに、本願出願人は、特開2005−139026号公報(特許文献7)に、アンチモン酸アルカリ水溶液を陽イオン交換樹脂で処理してアンチモン酸(ゲル)分散液を調製し、ついで、分散液に陰イオン交換樹脂で処理する、および/または分散液に塩基を加えることによって鎖状五酸化アンチモン微粒子が得られ、この鎖状五酸化アンチモン微粒子は導電性が高く、透明性に優れ、このため帯電防止性能に優れた透明性被膜の形成に好適に用いることができることを開示している。
特公昭57−11848号公報 特開昭60−137828号公報 特開昭60−41536号公報 特開昭61−227918号公報 特開昭61−227919号公報 特開平2−180717号公報 特開2005−139026号公報
特許文献7に記載の方法では、目的とする鎖状五酸化アンチモン微粒子が得られるものの、必ずしも収率が高くなく、生産性、経済性に不十分となるという問題があった。
本発明者等は上記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、硫酸を添加すれば、陰イオン交換樹脂で処理することなく、五酸化アンチモン微粒子が鎖状化するとともに収率が格段に向上することを見出して本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1](a)固形分濃度が0.1〜5重量%の範囲にあるアンチモン酸アルカリ水溶液を陽
イオン交換樹脂で処理してアンチモン酸(ゲル)分散液を調製したのち、
(c)アンチモン酸(ゲル)分散液に、酸を、酸のモル数(MA)と五酸化アンチモン
のモル数(MS)とのモル比(MA)/(MS)が0.002〜0.5の範囲となるように
添加することを特徴とする鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法。
[2]アンチモン酸(ゲル)分散液を調製したのち、
(b)アンチモン酸(ゲル)分散液の固形分濃度を1〜20重量%に調整する[1]の鎖
状五酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法
[3](c)酸を添加したのち、さらに、
(d)得られた鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液を30〜250℃の温度範囲で熟成する[1]または[2]の鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法。
[4]前記(c)または(d)ののち、
(e)得られた鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液を洗浄する[1]〜[3]の鎖状酸化アンチモ
ン微粒子分散液の製造方法。
[5]酸として硫酸またはリン酸を用いる[1]〜[4]の鎖状酸化アンチモン微粒子分散液の製
造方法。
[6]前記[1]〜[4]の製造方法で得られたものであり、平均粒子径が5〜50nmの範囲に
ある五酸化アンチモン微粒子が鎖状に連結し、平均連結数が2〜30個の範囲にあることを特徴とする鎖状五酸化アンチモン微粒子。
[7]体積抵抗値が5〜2000Ω・cmの範囲にある[5]の鎖状五酸化アンチモン微粒子。[8]前記[5]または[6]の鎖状五酸化アンチモン微粒子と被膜形成用マトリックスとを含む
被膜が基材表面上に形成されてなる被膜付基材。
本発明によれば、単分散の酸化アンチモン微粒子に比べて体積抵抗値が低く、基材との密着性、帯電防止性能、ハードコート機能等に優れた透明被膜に用いることのできる鎖状酸化アンチモン粒子を、高収率で経済的に製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法
先ず、本発明に係る鎖状酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法について説明する。
工程(a)
まず、本発明では、(a)固形分濃度が0.1〜5重量%の範囲にあるアンチモン酸アルカリ水溶液を陽イオン交換樹脂で処理してアンチモン酸(ゲル)分散液を調製する。本発明に用いるアンチモン酸アルカリ水溶液としては、本願出願人の出願による特開平2−180717号公報に開示した酸化アンチモンゾルの製造方法で用いられるアンチモン酸アルカリ水溶液が好適である。
具体的には、三酸化アンチモン、アルカリ物質および過酸化水素を反応させて得たものであることが好ましい。酸化アンチモンとアルカリ物質と過酸化水素のモル比を1:2.
0〜2.5:0.8〜1.5好ましくは、1:2.1〜2.3:0.9〜1.2とし、三酸化ア
ンチモンとアルカリ物質を含む系に、過酸化水素を三酸化アンチモン1mole当り、0.2mole/hr以下の速度で添加して得られる。
このとき使用される三酸化アンチモンは粉末、特に平均粒子径が10μm以下の微粉末のものが好ましく、またアルカリ物質としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムなど水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ性を呈する化合物をあげることができるが中でもKOH、NaOHなどのアルカリ金属水酸化物が好まし
い。これらのアルカリ物質は、得られるアンチモン酸溶液を安定化させる効果を有する。
まず、水に所定量のアルカリ物質と三酸化アンチモンを加えて三酸化アンチモン懸濁液を調製する。この三酸化アンチモン懸濁液の三酸化アンチモン濃度は3〜15重量%の範囲とすることが望ましい。ついで、この懸濁液を50℃以上、好ましくは80℃以上に加温し、これに濃度が5〜35重量%の過酸化水素水を三酸化アンチモン1mole当り過酸化水素0.2mole/hr以下の速度で添加する。過酸化水素の添加速度が0.2mole/hrより速い場合は、得られる鎖状酸化アンチモン微粒子分散液の酸化アンチモン微粒子(一次粒子)の粒子径が大きくなり、粒子径分布が広くなるので好ましくない。
また過酸化水素の添加速度が非常に遅い場合は生産量が上らないので過酸化水素の添加速度は0.04mole/hr〜0.2mole/hrの範囲、特に0.1mole/h
r〜0.15mole/hrの範囲が好ましい。また、三酸化アンチモンに対する過酸化水素のモル比が小さくなるにしたがって得られる鎖状酸化アンチモン微粒子の一次粒子の粒子径は小さくなる傾向を示すが、モル比を小さくしすぎると未溶解の三酸化アンチモンが多くなることがある。またモル比を大きくしすぎても、得られる鎖状酸化アンチモン微粒子の一次粒子の粒子径が大きくなりすぎてしまうことがある。
上記反応で得られたアンチモン酸アルカリ水溶液を、必要に応じて未溶解の残渣を分離し、さらに希釈して濃度調整したのち、陽イオン交換樹脂で処理し、アルカリイオンを除去することによってアンチモン酸(ゲル)分散液を調製する。
また、アンチモン酸アルカリ水溶液には、スズ酸アルカリ水溶液、リン酸ナトリウム水溶液等のドーピング剤を含む水溶液が含まれていてもよい。このようなドーピング剤が含まれているとさらに体積抵抗値の低い鎖状酸化アンチモン微粒子が得られる。
アンチモン酸(ゲル)は、粒子径が1〜5nm程度の微細な水和酸化アンチモン粒子が凝集し、ゲル状態を呈している。
陽イオン交換樹脂で処理する際のアンチモン酸アルカリ水溶液の濃度は固形分として0.01〜5重量%、さらには0.1〜3重量%の範囲にあることが好ましい。
陽イオン交換樹脂による処理は、アンチモン酸アルカリ水溶液をイオン交換樹脂の充填カラムに通液したり、また、イオン交換樹脂を水溶液に加え混合した後、イオン交換樹脂のみを分離することによって行われる。
アンチモン酸アルカリ水溶液の固形分濃度を調整することが本発明では重要であり、該濃度が少なすぎると、生産効率が低く、多すぎても大きなアンチモン酸(ゲル)が生成し、目的とする鎖状酸化アンチモンを得ることが困難となる。
また、陽イオン交換樹脂の使用量は、アンチモン酸アルカリ水溶液の全アルカリを除去できる程度に使用するが、得られるアンチモン酸(ゲル)分散液のpHが1〜4、さらには1〜3の範囲となるように使用することが好ましい。
アンチモン酸(ゲル)分散液のpHが1未満の場合は、鎖状粒子にならず凝集粒子が生成する傾向にあり、アンチモン酸(ゲル)分散液のpHが高くなると単分散粒子が生成する傾向にある。
工程(b)
本発明では、工程(a)についで、アンチモン酸(ゲル)分散液の固形分濃度を1〜20重量%、さらには2〜15重量%に調整することが好ましい。なお、工程(a)の段階で前記濃度範囲にある場合は、濃度調整の必要はないが、前記範囲で高濃度に調整することが望ましい。
濃縮する方法としては、前記濃度範囲調整できれば特に制限はないが、限外濾過膜法、蒸発法等が通常採用される。
アンチモン酸(ゲル)分散液の固形分濃度が1重量%未満の場合は鎖状化が充分進行せず、単分散粒子が残存する場合があり、高収率で鎖状五酸化アンチモン微粒子を得られない場合がある。
アンチモン酸(ゲル)分散液の固形分濃度が20重量%を越えると凝集粒子が生成し、本願所望の鎖状五酸化アンチモン微粒子が得られない場合があり、得られたとしても、白濁して透明性が不充分となり、用途に制限がある。
工程(c)
ついで、アンチモン酸(ゲル)分散液に酸を、酸のモル数(MA)と五酸化アンチモン
のモル数(MS)とのモル比(MA)/(MS)が0.002〜0.5、好ましくは0.0
05〜0.4の範囲となるように添加する。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸等が挙げられる。
中でも多塩基性酸(オキソ酸)である、硫酸、リン酸は容易に鎖状化する傾向があり、しかも高収率で鎖五状酸化アンチモン微粒子が得られるので好適に用いることができる。
酸のモル数(MA)と五酸化アンチモンのモル数(MS)とのモル比(MA)/(MS)が小さすぎると鎖状化が不充分となり、酸のモル数(MA)と五酸化アンチモンのモル数(
S)とのモル比(MA)/(MS)が多すぎると、鎖状粒子を構成する五酸化アンチモン
の一次粒子が50nmを越えて大きくなりすぎたり、凝集粒子となる場合がある。
このとき、アンチモン酸(ゲル)分散液に前記酸を添加することで鎖状粒子が形成される理由は明らかではないが、五酸化アンチモン微粒子(一次粒子)の表面帯電量が減少し、強く凝集することなく鎖状に連結するものと考えられる。
なお、前記特許文献7にて、本願出願人は、アンチモン酸(ゲル)分散液を陰イオン交換処理を行なったり、塩基を添加することを提案していたが、かかる方法でも鎖状粒子は構成できるものの、例えば陰イオン交換樹脂を用いた場合、アンチモン酸ゲルは必ず、イオン(アンチモン酸イオン)と共存し、このイオンがイオン交換樹脂に交換され、イオンが減少すると、溶解してイオンが生成してしまい、さらにイオン交換されるために、収率が悪くなってしまうが、本発明のように酸を添加すればこのような問題点は解消される。
工程(d)
前記工程(c)についで、(d)得られた鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液を30〜250℃、好ましくは50〜200℃の温度範囲で熟成することが好ましい。
熟成温度が低すぎると、酸化アンチモンの結晶性の向上が不充分で体積抵抗値の低い鎖状五酸化アンチモン微粒子が得られない場合がある。また、熟成温度が高すぎても、さらに五酸化アンチモン微粒子の接合が促進されたり、五酸化アンチモン微粒子の結晶性が向上することもない。
なお、熟成時間は温度によっても異なるが、通常0.5〜48時間、さらには1〜24時間である。
工程(e)
得られた分散液は、必要に応じて(e)洗浄してもよい。
洗浄する方法としては、限外濾過膜法、イオン交換樹脂法等の従来公知の方法を採用することができる。また、この時、分散液の濃度を調整することもできる。
洗浄することによって、得られる鎖状酸化アンチモン微粒子分散液中のイオン夾雑物を低減することができるので、高濃度にしても分散安定性に優れた鎖状五酸化微粒子分散液を得ることができる。
この時、残存するイオン濃度は1000ppm以下、好ましくは500ppm以下であることが好ましい。
また、鎖状酸化アンチモン微粒子分散液の濃度は固形分(酸化アンチモン換算)として1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
このようにして得られる本発明に係る鎖状五酸化アンチモン微粒子は、平均粒子径が5〜50nm、好ましくは8〜40nmの範囲にある五酸化アンチモン微粒子が鎖状に連結し、平均連結数が2〜30個、好ましくは5〜30個の範囲にある。
このような粒子径および連結数の鎖状五酸化アンチモン微粒子を使用すると、透明性被膜付基材等に用いた場合、透明性が高く、ヘーズも高くすることができ、しかも粒子間で絡み合ったりすることもないので、体積抵抗値を高く維持できる。
最終的に得られる鎖状粒子の一次粒子径は、工程(a)、特に工程(b)での濃度、工程(c)
、工程(d)での温度により制御され、連鎖数は、工程(c)での酸の量および濃度によって制御されるところが大きい。
鎖状五酸化アンチモン微粒子の連結数は、鎖状五酸化アンチモン微粒子の走査型電子顕
微鏡写真を撮影し、約100個の鎖状粒子が存在する領域内の鎖状五酸化アンチモン微粒子について連結数を数え、これを平均して求める。また、鎖状粒子を構成する五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径は、鎖状粒子を構成する五酸化アンチモン微粒子の中の最大の粒子と最小の粒子との平均値を前記約100個の鎖状酸化アンチモン微粒子のそれぞれについて求め、さらにこれらの値を平均値として表した。
本発明に係る鎖状五酸化アンチモン微粒子は、次に定義する体積抵抗値が5〜2000Ω・cm、好ましくは10〜1000Ω・cmの範囲にある。このような体積抵抗値にあるので、導電性に優れ、帯電防止性能に優れた被膜を形成することができる。
なお、本発明における体積抵抗値はセラミック製セル(内部に円柱状のくりぬき(断面
積:0.5cm2)を有する)を用い、まず、架台電極上にセルをおき、内部に試料紛体0.6gを充填し、円柱状突起を有する上部電極の突起を挿入し、油圧機にて上下電極を加圧し、100kg/cm2(9.80MPa)加圧時の抵抗値(Ω)と試料の高さ(cm)を
測定し、抵抗値に断面積を乗じ、高さで除することによって求めることができる。
本発明に係る鎖状五酸化アンチモン微粒子には、前記したように、スズ、リン等のドーピング剤が含まれていてもよい。このようなドーピング剤が含まれているとさらに体積抵抗値の低い鎖状五酸化アンチモン微粒子が得られる。
本発明で得られた鎖状五酸化アンチモン微粒子は、分散液を乾燥して使用されてもよいが、製法上、分散液として得られ、分散液の状態では、安定に存在し、しかも、輸送等の操作も簡便になるので、鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液として使用されることが望ましい。
本発明の製造方法で得られた五酸化アンチモン微粒子分散液のpHは1〜9好ましくは2〜8の範囲にある。なおpHがこの範囲を外れた場合、この範囲に調整することが望ましい。
鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液は、水以外に、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などを単独あるいは2種以上混合して用いることが可能である。
上記した方法によって得られた鎖状五酸化アンチモン微粒子は被膜付基材に好適に用いることができる。
被膜付基材
本発明に係る鎖状五酸化アンチモン微粒子を用いた被膜付基材は、前記鎖状五酸化アンチモン微粒子と被膜形成用マトリックスとを含む被膜が単独でまたは他の被膜とともに基材表面上に反射防止、帯電防止、ハードコート等の目的で形成されている。
基材としては、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム、プラスチックレンズ、プラスチックパネル等の基材、偏光フィルム、陰極線管、蛍光表示管、液晶ディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイなどが挙げられる。
用途によって異なるものの、前記鎖状五酸化アンチモン微粒子を含む被膜が単独で形成されていてもよいが、基材上に保護膜、平坦化膜、高屈折率膜、絶縁膜、導電性樹脂膜、導電性金属微粒子膜、導電性金属酸化物微粒子膜、その他必要に応じて用いるプライマー膜等と組み合わせて形成されていてもよい。なお、組み合わせて用いる場合、本発明の被膜が必ずしも最外表面に形成されていなくともよい。
被膜付基材の製造に用いる被膜形成用塗布液は、前記した鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液と被膜形成用マトリックスとの混合液であり、必要により有機溶媒が混合されることもある。
被膜形成用マトリックスとは、基材の表面に被膜を形成し得る成分をいい、基材との密着性や硬度、塗工性等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができる。例えば、従来から用いられているポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体などの塗料用樹脂、または、アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物およびこれらの部分加水分解物等が挙げられる。
マトリックスとして塗料用樹脂を用いる場合には、例えば、前記鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液の分散媒としての水をアルコール等の有機溶媒で置換した有機溶媒分散液、好ましくは鎖状五酸化アンチモン微粒子を公知のカップリング剤で処理した後、有機溶媒に分散させた有機溶媒分散液と塗料用樹脂とを適当な有機溶剤で希釈して、塗布液とすることができる。
一方、マトリックスとして加水分解性有機珪素化合物を用いる場合には、例えば、アルコキシシランとアルコールの混合液に、水および触媒としての酸またはアルカリを加えることにより、アルコキシシランの部分加水分解物を得、これに前記鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液を混合し、必要に応じて有機溶剤で希釈して、塗布液とすることができる。
被膜形成用塗布液中の鎖状五酸化アンチモン微粒子とマトリックスの重量割合は、鎖状酸化アンチモン微粒子/マトリックス=1/99〜9/1の範囲が好ましい。重量比が9/1を越えると被膜の強度や基材との密着性が低下して実用性に欠ける一方、1/99未満では当該鎖状五酸化アンチモン微粒子の添加による被膜の帯電防止性能、基材との密着性向上、被膜強度向上等の効果が不充分となる。
上記被膜形成用塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法などの周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、更に必要に応じて、加熱あるいは紫外線照射等により硬化して得ることで被膜が形成される。
[実施例]
以下に示す実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(1)の調製
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85重量%)57gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(住友金属鉱山(株)製:KN 純度98.5重量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35重量%)32.8gを純水110.7gで希釈した水溶液を9時間で添加(0.1mole/hr)し、三酸化アンチモンを溶解し、その後11時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後(五酸化アンチモン
換算濃度:0.8重量%)、陽イオン交換樹脂層(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱
イオン処理を行った。このときのpHは2.1、電導度は2.4mS/cmであり、五酸化
アンチモン換算濃度で0.8重量%であった。
ついで、この溶液800gに対し、濃度10重量%の硫酸を0.58g添加して得た溶液を温度70℃で15時間熟成した後、限外濾過膜で濃縮して固形分濃度14重量%(酸化アンチモン換算)の鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(1)を調製した。得られた鎖状酸
化アンチモン微粒子分散液(1)のpHは3.0、電導度は0.1mS/cmであった。
また、電子顕微鏡写真を撮影し、100個の粒子について測定した結果、酸化アンチモン微粒子(一次粒子)の平均粒子径は10nm、平均連結数は5であった。また、熟成後の最終的に得られた鎖状酸化アンチモン微粒子の収率は85重量%であった。なお、この収率とは出発原料(三酸化アンチモン)のアンチモン基準の収率である。
ハードコート膜形成用塗布液(H-1)の調製
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(1)を溶媒置換により水をエチルセロソルブ/エタノ
ール混合溶媒(重量比=44/66)に置換し、固形分濃度20重量%に調整した。この分散液200gにアクリル系紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:ユニデック17-824-9、固形分濃度79重量%)203gとエチルセロソルブ264gとを混合してハードコート膜形成用塗布液(H-1)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-1)の製造
ハードコート膜形成用塗布液(H-1)をPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率:1.65)にバーコーター法で塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させ、ハードコート膜付基材(F-1)を調製した。このときの
ハードコート膜の厚さは5μmであった。
得られたハードコート膜の表面抵抗を、表面抵抗計(三菱化学(株)製:ハイレスタ)にて測定し、結果を表1に示す。
また、全光線透過率およびヘーズをヘーズメーター(スガ試験機(株)製)により測定し、結果を表1に示す。
さらに、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表1に示す。
鉛筆硬度の測定
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
耐擦傷性の測定
#0000スチールウールを用い、荷重500g/cm2で50回摺動し、膜の表面を
目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表に示す。
評価基準:
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる:○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
密着性
反射防止膜付基材(F-1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付
け100個の升目を作り、これにセロハンテープ(登録商標)を接着し、ついで、セロハンテープ(登録商標)を剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することによって密着性を評価した。結果を表1に示す。
評価基準:
残存升目の数95個以上 :◎
残存升目の数90〜94個:○
残存升目の数85〜89個:△
残存升目の数84個以下 :×
[実施例2]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(2)の調製
実施例1において、濃度10重量%の硫酸を0.12g添加した以外は実施例1と同様にして鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(2)を調製した。酸化アンチモン微粒子(一次粒
子)の平均粒子径は10nm、平均連結数は2であった。また熟成後の最終的に得られた鎖状酸化アンチモン微粒子の収率は83重量%であった。
ハードコート膜形成用塗布液(H-2)の調製
実施例1において、鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(2)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜形成用塗布液(H-2)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-2)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-2)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-2)を製造した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。得られたハードコート膜について表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例3]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(3)の調製
実施例1において、濃度10重量%の硫酸を5.8g添加した以外は実施例1と同様にして鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(3)を調製した。酸化アンチモン微粒子(一次粒子
)の平均粒子径は20nm、平均連結数は10であった。また熟成後の最終的に得られた鎖状酸化アンチモン微粒子の収率は88重量%であった。
ハードコート膜形成用塗布液(H-3)の調製
実施例1において、鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(3)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜形成用塗布液(H-3)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-3)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-3)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-3)を製造した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
得られたハードコート膜について表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例4]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(4)の調製
実施例1において、熟成温度を50℃にした以外は同様にして鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(4)を調製した。酸化アンチモン微粒子(一次粒子)の平均粒子径は8nm、平
均連結数は5であった。また、熟成後の最終的に得られた鎖状酸化アンチモン微粒子の収率は85重量%であった。
ハードコート膜形成用塗布液(H-4)の調製
実施例1において、鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(4)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜形成用塗布液(H-4)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-4)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-4)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-4)を製造した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
得られたハードコート膜について表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例5]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(5)の調製
実施例1において、熟成温度を200℃にした以外は同様にして鎖状酸化アンチモン微
粒子分散液(5)を調製した。酸化アンチモン微粒子(一次粒子)の平均粒子径は12nm
、平均連結数は5であった。また、熟成後の最終的に得られた鎖状酸化アンチモン微粒子の収率は88重量%であった。
ハードコート膜形成用塗布液(H-5)の調製
実施例1において、鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(5)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜形成用塗布液(H-5)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-5)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-5)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-5)を製造した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
得られたハードコート膜について表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例6]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(6)の調製
実施例1において、濃度10重量%の硫酸0.58gの代わりに濃度10重量%のリン酸0.58gを用いた以外は同様にして鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(6)を調製した
酸化アンチモン微粒子(一次粒子)の平均粒子径は10nm、平均連結数は5であった。また、熟成後の最終的に得られた鎖状酸化アンチモン微粒子の収率は88重量%であった。
ハードコート膜形成用塗布液(H-6)の調製
実施例1において、鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(6)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜形成用塗布液(H-6)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-6)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-6)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-6)を製造した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
得られたハードコート膜について表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例7]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(7)の調製
実施例1において、濃度10重量%の硫酸0.58gの代わりに濃度10重量%の硝酸0.37gを用いた以外は同様にして鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(7)を調製した。
酸化アンチモン微粒子(一次粒子)の平均粒子径は10nm、平均連結数は3であった。
また熟成後の最終的に得られた鎖状酸化アンチモン微粒子の収率は83重量%であった。ハードコート膜形成用塗布液(H-7)の調製
実施例1において、鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(7)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜形成用塗布液(H-7)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-7)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-7)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-7)を製造した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
得られたハードコート膜について表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例1]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(R1)の調製
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85重量%)57gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(住友金属鉱山(株)製:KN 純度98.5重量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35重量%)32.8gを純水110.7gで希釈した水溶液を9時間で添加(0.1mole/hr)し、三酸化アンチモンを溶解し、その後11時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂層(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱イオン処理を行った。このときのpHは2.1、電導度は
2.4mS/cmであり、五酸化アンチモン換算濃度で0.8重量%であった。
ついで、陰イオン交換樹脂層(三菱化学(株)製:SA-20A)に通してpHが2.5、電導
度が1.0mS/cmになるまで脱イオン処理を行った。脱イオン処理して得た溶液を温度
70℃で10時間熟成した後、限外濾過膜で濃縮して固形分濃度14重量%(酸化アンチモン換算)の鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(R1)を調製した。得られた鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(R1)のpHは3.0、電導度は0.1mS/cmであった。
また、電子顕微鏡写真を撮影し、100個の粒子について測定した結果、酸化アンチモン微粒子(一次粒子)の平均粒子径は15nm、平均連結数は5であった。また、熟成後の最終的に得られた鎖状酸化アンチモン微粒子の収率は10重量%であった。すなわち、出発原料に対し、得られた粒子は非常に少なかった。
ハードコート膜形成用塗布液(RH-1)の調製
実施例1において、鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(R1)を用いた以外は同様にしてハードコート膜形成用塗布液(RH-1)を調製した。
ハードコート膜付基材(RF-1)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(RH-1)を用いた以外は同様にしてハードコート膜付基材(RF-1)を製造した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであった。
得られたハードコート膜について表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例2]
鎖状酸化アンチモン微粒子分散液(R2)の調製
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85重量%)57gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(住友金属鉱山(株)製:KN 純度98.5重量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35重量%)32.8gを純水110.7gで希釈した水溶液を9時間で添加(0.1mole/hr)し、三酸化アンチモンを溶解し、その後11時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを (五酸化アンチモン換算濃度:5.7%)、陽イオン交換樹脂層(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱イオン処理を行った。このとき脱イオン処理品は白濁し、凝集した。
このため、塗布液の調製、基材の作成は実施しなかった。
Figure 0005395418

Claims (5)

  1. (a)固形分濃度が0.1〜5重量%の範囲にあるアンチモン酸アルカリ水溶液を陽イオン交換樹脂で処理してアンチモン酸(ゲル)分散液を調製したのち、
    (c)アンチモン酸(ゲル)分散液に、無機酸あるいは有機酸を、酸のモル数(MA)と五酸化アンチモンのモル数(MS)とのモル比(MA)/(MS)が0.002〜0.5の範囲となるように添加することを特徴とする、平均粒子径が5〜50nmの範囲にある五酸化アンチモン微粒子が鎖状に連結し、平均連結数が2〜30個の範囲にあり、かつ体積抵抗値が5〜2000Ω・cmの範囲にある、鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法。
  2. アンチモン酸(ゲル)分散液を調製したのち、
    (b)アンチモン酸(ゲル)分散液の固形分濃度を1〜20重量%に調整することを特徴とする請求項1に記載の鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法
  3. (c)酸を添加したのち、さらに、
    (d)得られた鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液を30〜250℃の温度範囲で熟成することを特徴とする請求項1または2に記載の鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法。
  4. 前記(c)または(d)ののち、
    (e)得られた鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液を洗浄することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鎖状酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法。
  5. 酸として硫酸またはリン酸を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鎖状酸化アンチモン微粒子分散液の製造方法。
JP2008316961A 2008-12-12 2008-12-12 鎖状五酸化アンチモン微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材 Active JP5395418B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008316961A JP5395418B2 (ja) 2008-12-12 2008-12-12 鎖状五酸化アンチモン微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008316961A JP5395418B2 (ja) 2008-12-12 2008-12-12 鎖状五酸化アンチモン微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010138040A JP2010138040A (ja) 2010-06-24
JP5395418B2 true JP5395418B2 (ja) 2014-01-22

Family

ID=42348507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008316961A Active JP5395418B2 (ja) 2008-12-12 2008-12-12 鎖状五酸化アンチモン微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5395418B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6016548B2 (ja) * 2012-09-19 2016-10-26 日揮触媒化成株式会社 透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6041536A (ja) * 1983-08-16 1985-03-05 Nissan Chem Ind Ltd 五酸化アンチモンゾルの製造法
JPH0617233B2 (ja) * 1985-04-03 1994-03-09 日産化学工業株式会社 五酸化アンチモンゾルの製造法
JPH0610087B2 (ja) * 1985-05-22 1994-02-09 日本精鉱株式会社 微粉末状三酸化アンチモン―五酸化アンチモン無定形複合酸化物の製造方法
JP4535237B2 (ja) * 2003-03-27 2010-09-01 日産化学工業株式会社 五酸化アンチモンゾル及びその製造方法
JP4439876B2 (ja) * 2003-11-06 2010-03-24 日揮触媒化成株式会社 鎖状酸化アンチモン微粒子、該微粒子分散液の製造方法および用途
JP5096666B2 (ja) * 2005-06-06 2012-12-12 日揮触媒化成株式会社 鎖状導電性酸化物微粒子の製造方法、鎖状導電性酸化物微粒子、透明導電性被膜形成用塗料および透明導電性被膜付基材
JP4657098B2 (ja) * 2005-12-27 2011-03-23 日揮触媒化成株式会社 酸化アンチモンゾルの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010138040A (ja) 2010-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4439876B2 (ja) 鎖状酸化アンチモン微粒子、該微粒子分散液の製造方法および用途
EP1887059B1 (en) DISPERSION CONTAINING HOLLOW SiO2, COATING COMPOSITION, AND SUBSTRATE WITH ANTIREFLECTION COATING FILM
US20110076484A1 (en) Method for producing core-shell particles, core-shell particles, method for producing hollow particles, coating composition and article
EP2305607A1 (en) Core-shell particle and method for producing core-shell particle
JP3302186B2 (ja) 透明導電性被膜付基材、その製造方法および該基材を備えた表示装置
JP4592274B2 (ja) 酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子、該微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材
JP5580153B2 (ja) 金属微粒子分散液、金属微粒子、金属微粒子分散液の製造法等
JP5587573B2 (ja) 樹脂被覆金属酸化物粒子分散ゾルの製造方法および該樹脂被覆金属酸化物粒子を含む透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材
JP4540979B2 (ja) ハードコート膜付基材および該ハードコート膜形成用塗布液
US20230128712A1 (en) Method for Producing Zirconia-Coated Titanium Oxide Fine Particles, Zirconia-Coated Titanium Oxide Fine Particles, and Use Thereof
KR101163539B1 (ko) 체인 무기 산화물 미립자 그룹, 미립자 그룹 분산의제조방법 및 미립자 그룹의 이용
JP5395418B2 (ja) 鎖状五酸化アンチモン微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材
JP4979876B2 (ja) ハードコート膜付基材
JP5534758B2 (ja) リン含有五酸化アンチモン微粒子および該微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液ならびに透明導電性被膜付基材
CN108863091B (zh) 一种防眩光玻璃的制备方法
JP4655472B2 (ja) インジウム−スズ酸化物薄膜形成用塗布液
JP4002435B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置
US7625635B2 (en) Transparent film-forming coating liquid, substrate with transparent film, and display device
JP5289077B2 (ja) 針状酸化錫微粉末およびその製造方法
JPH0459251B2 (ja)
JP4425530B2 (ja) インジウム系酸化物微粒子の製造方法、該微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液および透明導電性被膜付基材、表示装置
JP2003327428A (ja) インジウム系酸化物微粒子およびその製造方法、ならびにインジウム系酸化物微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材、表示装置
WO2022249730A1 (ja) フッ化物粒子の分散液、光学膜形成用組成物及び光学膜
JP2011093754A (ja) 五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子、該微粒子を含む透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材
JP5046267B2 (ja) 透明導電膜及び透明導電膜形成用塗布液並びに透明導電膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111102

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20111102

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131008

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131018

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5395418

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250