JP5393085B2 - ポリウレタンフォーム成形品の製造方法 - Google Patents

ポリウレタンフォーム成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は車両用シートパッド等に適用されるポリウレタンフォーム成形品の製造方法に係り、詳しくは振動特性が良好なポリウレタンフォーム成形品の製造方法に関する。
従来より、自動車シートクッションの乗り心地性を向上させるためには、JASO B−408規定の振動特性に関して、人が不快と感じる振動数領域(4〜10Hz:評価値としては6Hzの振動伝達率が通常採用される)を大きく減衰させることが有効であるといわれている。特に6Hz前後の振動は、車酔いを起こす原因となる振動数といわれているため、ウレタンフォームからなる自動車用シートクッションパッドにおいても、前記振動伝達率を低く抑えるための開発が行われてきた。
しかし、6Hzでの振動伝達率を低く抑えた従来のシートクッションパッドは、振動伝達率特性における、2〜4Hzに現れる共振伝達率(共振ピーク)が大きいため、乗員が自動車シートクッションに着座して走行する際に、車体の振動によって身体の安定感がなくなり、身体が上下に振れる感覚を十分に防止することができなかった。
こうした事情から、自動車をはじめとする車両用のシートクッションパッドは、乗員の車酔いや疲労を低減するために、6Hz付近での振動伝達率を低く抑えるだけでなく、より広い範囲の振動数においても低い振動伝達率を示すシートパッドの開発が試みられている。
例えば、ウレタンフォームの通気性を低下させると振動吸収性が高くなるとの知見に基づき、以下の(1)〜(3)の方法によって振動吸収特性に優れたウレタンフォームを製造することが行われている。
(1) ウレタンフォーム材料の配合組成を変更することにより、ウレタンフォームの通気性を低下させ、振動吸収性を高くする(例えば、特開2001−137077号、特開2001−139653号)。
(2) 脱型したウレタンフォームをクラッシュローラ間に通過させて破泡処理する際に、クラッシュ(破泡される度合い)を制御することにより、ウレタンフォームの通気性を調整し、振動吸収性を高くする(例えば、特開2002−52616号、特開2002−69226号)。
(3) ウレタンフォームの裏面に通気性の低いフィルムを接着することにより、振動吸収性を高くする(特開2000−33189号)。
特開2001−137077号 特開2001−139653号 特開2002−52616号 特開2002−69226号 特開2000−33189号
上記(1)は、ウレタンフォーム材料の配合組成を変更することによってウレタンフォームの振動伝達特性を向上させるようにしたものであるが、配合組成を大幅に変えないと振動伝達特性が変化しないため、伸びや耐久性などの他の物性が大きく変化してしまうおそれがある。また、製泡力を高めるように配合調整すると、独泡(独立気泡)が強くなり、金型内圧が上がりすぎてバリが多くなったり、金型強度を上げないと成型できなくなったりする問題がある。
上記(2)は、クラッシュローラの厚みを調整することによってウレタンフォームの振動伝達特性を向上させるようにしたものであるが、パッドの厚みにクラッシュ(破泡される度合い)が左右され、その結果振動特性も一様にはならない。クラッシュが甘すぎるとシュリンク(泡の中のガスが冷えて縮む)してしまう。特にクラッシュローラの幅に対して薄い小物にそのような傾向がある。また、小物については、クラッシュローラの隙間から落下するなどの製造上の問題もある。
上記(3)は、ウレタンフォームの裏面に通気性の低いフィルムを接着することによってウレタンフォームの振動伝達特性を向上させるようにしたものであるが、ウレタンフォームの裏面にフィルムを張る作業が必要となる。また、ウレタンフォームとは別にフィルムを用意する必要もある。これらの結果、(3)のウレタンフォームはコスト高になる。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、シートパッドとして好適な、振動吸収特性に優れたポリウレタンフォーム成形品を安定して効率よく製造することができるポリウレタンフォーム成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)のポリウレタンフォーム成形品の製造方法は、金型内で発泡樹脂原料を発泡成形してなるポリウレタンフォーム成形品において、表面の少なくとも一部が表面粗さ2〜20μmの平滑部となっており、該平滑部において、表面から10mmまでのスキン部とそれよりも内部のコア層を切り出して、JIS L1004規定に従って通気度を測定したときに、スキン部の方がコア部よりも通気度が低いポリウレタンフォーム成形品を製造する方法であって、金型内に発泡樹脂原料を供給し、型締めし、発泡させるポリウレタンフォーム成形品の製造方法であり、該金型の内面に水系離型剤を塗布し、次いで該金型内に発泡樹脂原料を供給して発泡成形することを特徴とするものである
本発明(請求項2)のポリウレタンフォーム成形品の製造方法は、金型内で発泡樹脂原料を発泡成形してなるポリウレタンフォーム成形品において、表面の少なくとも一部が表面粗さ2〜20μmの平滑部となっており、該平滑部において、表面から10mmまでのスキン部とそれよりも内部のコア層を切り出して、JIS L1004規定に従って通気度を測定したときに、スキン部の方がコア部よりも通気度が低いポリウレタンフォーム成形品を製造する方法であって、金型内に発泡樹脂原料を供給し、型締めし、発泡させるポリウレタンフォーム成形品の製造方法であり、該金型の内面を合成樹脂製としたことを特徴とするものである。
求項のポリウレタンフォーム成形品の製造方法は、請求項において、前記金型の内面に合成樹脂フィルムを設けることにより金型内面を合成樹脂製としたことを特徴とする。
請求項のポリウレタンフォーム成形品の製造方法は、請求項又はにおいて、前記合成樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン又はポリプロピレンであることを特徴とする。
請求項5のポリウレタンフォーム成形品の製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、該平滑部の通気度が1〜5cc/cm /sであり、該内部の通気度が10〜80cc/cm /sであることを特徴とするものである。
請求項のポリウレタンフォーム成形品の製造方法は、請求項ないしのいずれか1項において、前記成形品がシートパッドであることを特徴とする。
請求項のポリウレタンフォーム成形品の製造方法は、請求項ないしのいずれか1項において、前記成形品が自動車用シートパッドであることを特徴とする。
請求項8のポリウレタンフォーム成形品の製造方法は、請求項7において、少なくとも該自動車用シートパッドの着座面が前記平滑部となっていることを特徴とするものである。
本発明は、ポリウレタンフォーム成形品の表面粗さを小さくすると表面の通気性が低下するとの新たな知見に基づくものである。
即ち、本発明のポリウレタンフォーム成形品の製造方法にあっては、ポリウレタンフォーム成形品の表面の少なくとも一部が表面粗さ2〜20μmの平滑部となっている。このように表面粗さの小さい平滑部においては、表面にセル膜が形成されている。これにより、該平滑部の通気度は、内部の通気度よりも低くなる。
本発明によると、このようにウレタンフォーム成形品の表面の通気度が低いため、ポリウレタンフォーム成形品の内部と外部(通常は大気)との間の空気の出入りが制限され、エアダンピング効果が強くなり、シートパッドとして好適な振動吸収特性を有したものとなる。即ち、振動伝達率のピークが6Hz付近よりも低周波数側となり、かつ振動伝達率が広い範囲の周波数において低いものとなる。
また、本発明によれば、ウレタンフォーム材料の配合組成を変更したり、クラッシュ(破泡される度合い)を制御したり、裏面に通気性の低いフィルムを接着したりすることなく、ポリウレタンフォーム成形品を安定して効率よく製造することができる。
なお、本発明において、ポリウレタンフォーム成形品の表面粗さとは、JIS B0601−1994に規定されている中心線平均粗さを意味する。
本発明において、平滑部の通気度が1〜5cc/cm/sであり、内部の通気度が10〜80cc/cm/sであることが好ましい。これにより、振動伝達率が十分に低いものとなる。
本発明において、ポリウレタンフォーム成形品は、シートパッド特に自動車用シートパッドであることが好ましい。
本発明において、少なくともシートパッドの座面が平滑部となっていると、振動伝達率が十分に低いものとなる。また、シートパッドの底面のみ又は底面と側面を平滑部としてもよい。これにより、着座者と直接に接するシートパッドの座面の通気度が高くなり、着座者の臀部や腿部等のむれが防止される。
本発明において、金型の表面粗さを1.6μm以下とすることにより、表面粗さ2〜20μmの平滑部を容易に形成することができる。
また、金型の内面に水系離型剤を塗布し、次いで該金型内に発泡樹脂原料を供給して発泡成形することによっても、平滑部を容易に形成することができる。
さらに、金型の内面を合成樹脂製としたり、金型の内面に合成樹脂フィルムを設けたりすることによっても、平滑部を容易に形成することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るポリウレタンフォーム成形品としての自動車用シートパッドの製造方法に用いられる金型を説明する断面図である。なお、この金型は左右対称であるので、第1図では左半分のみが図示されている。右半分は、左半分と対称に現われる。第2図(a)は第1図の金型を用いて製造された自動車用シートパッドの表面の状態を説明する模式図、第2図(b)は第1図の金型からフィルム3,4を省略した金型を用いて製造された自動車用シートパッドの表面の状態を説明する模式図である。
この自動車用シートパッドを成形するための金型は、上型1と下型2とを備えている。この上型1と下型2はそれぞれアルミ又はアルミ合金などの金属材料よりなる。
この上型1及び下型2の内面すなわちキャビティ面には、それぞれ合成樹脂フィルム3,4が設けられている。なお、この実施の形態では、フィルム3,4は予め各キャビティ面に倣った形状に賦形されている。
このフィルム3,4は、取付手段例えば粘着剤、接着剤、両面テープなどによりキャビティ面に取り付けられている。なお、上型1及び下型2にそれぞれ適宜のクランプ機構を設けておき、このクランプ機構によってフィルムを固定するようにしてもよい。
この実施の形態では、フィルム3,4によってキャビティ面の実質的に全面が覆われているが、これに限定されるものではなく、例えば、上型1のキャビティ面の一部又は全面のみがフィルムで覆われていてもよく、下型2のキャビティ面の一部又は全面のみがフィルムで覆われていてもよい。少なくとも一方のキャビティ面の80%以上特に90%以上がフィルムで覆われているのが好ましい。
フィルム3,4の厚さは、薄すぎると破れ易く、厚すぎるとキャビティ面に密着させにくいので、0.1〜0.5mm特に0.1〜0.3mm程度であることが好ましい。
合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリオレフィンのほか、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどが好適である。ポリテトラフルオロエチレンなどの各種のフッ素樹脂フィルムも用いることができる。
シートパッドの発泡成形を行うには、下型2内にウレタン原液を供給した後、上型1を該下型2に装着して型締めを行い、ウレタンを加熱発泡させる。なお、本実施の形態ではキャビティ面にフィルム3,4が設けられているため、キャビティ面に離型剤を塗布する必要はない。
発泡後、型開きし、成形品を脱型する。各フィルム3,4は上型1及び下型2と一体となっており、成形品のみが取り出される。
第1図に示すキャビティセンター部5ではシートパッドのうち尻下部、腿下部などの腰掛部が成形され、キャビティサイド部6ではシートパッドのサイド部(土手部)が成形される。
この成形品を必要に応じてクラッシュローラを用いて破泡処理することにより、自動車用シートパッドとなる。
本実施の形態では、キャビティ面が合成樹脂フィルム3,4によって平滑にされた上型1及び下型2を用いているため、製造される自動車用シートパッドの表面が、JIS B0601−1994規定の表面粗さ2〜20μmの平滑部となる。
第2図(a)に示す通り、このように表面粗さの小さい平滑部には、セル(骨格)11にセル膜12が破れることなく形成されている。これにより、自動車用シートパッドの表面の通気度が内部の通気度よりも小さくなり、自動車用シートパッドの内部と外部(通常は大気)との間の空気の出入りが制限され、エアダンピング効果が強くなり、シートパッドとして好適な振動吸収特性を有したものとなる。即ち、後述の実施例に見られるように、JASO B−408規定の振動伝達率のピークが約4Hz付近となり、且つ振動伝達率が1〜10Hzの全域において十分に低いものとなる。
なお、第2図(b)は、第1図の上型1及び下型2に代えて、キャビティ面に合成樹脂フィルム3,4を有しておらず、かつキャビティ面の表面粗さの大きい金型を用いて製造された自動車用シートパッドの表面の模式図である。このように表面粗さの大きい金型を用いて製造された自動車用シートパッドは表面粗さが大きくなり、表面のセル(骨格)11にセル膜が形成されなくなる。これにより、自動車用シートパッドの表面の通気度が大きくなり、振動吸収特性が悪くなる。
上記実施の形態では、フィルム3,4を用いているので、フィルムに破れが生じても交換が容易である。
本発明では、フィルムの代わりに合成樹脂の成形品によってキャビティ面を構成してもよい。また、金型表面を樹脂コーティングしてもよい。ただし、コーティングの場合、強度、耐久性に問題があるので、フィルム又は成形品とする方が好ましい。
本発明において、平滑部のJIS B6001−1994規定の表面粗さは2〜20μmであるが、2〜15μm特に2〜10μmであることが好ましい。
本発明において、平滑部のJIS L1004規定の通気度は1〜5cc/cm/s特に1〜4cc/cm/sであり、該内部の通気度が10〜80cc/cm/s特に10〜40cc/cm/sであることが好ましい。
次いで、本発明の別の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第1図の金型においてフィルム3,4を省略した通常の金型を用いると共に、離型剤として水系離型剤を用いる。
先ず、金型のキャビティ面の少なくとも一部に水系離型剤を塗布する。次いで下型内にウレタン原液を供給した後、上型を該下型に装着して締めを行い、ウレタンを加熱発泡させる。得られた成形品を必要に応じて破泡処理することにより、自動車用シートパッドが得られる。
このように離型剤として水系離型剤を用いると、表面のセルがセル膜で塞がれ、表面の少なくとも一部が表面粗さ2〜20μmの平滑部となる。これにより、自動車用シートパッド表面の平滑部の通気度が内部の通気度よりも小さくなり、自動車用シートパッドの内部と外部(通常は大気)との間の空気の出入りが制限され、エアダンピング効果が強くなり、シートパッドとして好適な振動吸収特性を有したものとなる。
本実施の形態では、離型剤として水系離型剤を用いたが、水系離型剤と有機溶媒系離型剤との混合物を離型剤として用いてもよい。このようにすると、水系離型剤と有機溶媒系離型剤との配合割合を調整することにより、平滑部の通気度を調整することができる。この水系離型剤と有機溶媒系離型剤との混合物よりなる離型剤にあっては、溶媒は水と有機溶剤とからなる。この溶媒中の有機溶剤の配合割合は、平滑部に要求される通気度に応じて決定されるが、0〜10質量%特に0〜5質量%であることが好ましい。有機溶媒系離型剤の配合割合が多すぎると、表面のセルがセル膜で十分に塞がれることがなく、表面粗さが大きくなり、シートパッドとして好適な振動吸収特性を有しなくなる。
この水系離型剤(水系ワックスエマルジョン)は、主成分(ワックス分、シリコンオイル等)、水および炭化水素溶剤で構成されており、シリコン系水溶性離型剤等が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
この有機溶媒系離型剤には特段の限定はない。
次いで、本発明のさらに別の実施の形態について説明する。本実施の形態では、金型として、第1図の金型においてフィルム3,4を省略し、かつキャビティ面の表面粗さを小さくしたものを用いる。この金型のキャビティ面のJIS B0601−1994規格による表面粗さは1.6μm以下であり、好ましくは1μm以下である。例えば、表面粗さ0.4〜1.6μm(仕上記号▽▽▽)のアルミ金型が用いられる。
この金型の下型内にウレタン原液を供給した後、上型を該下型に装着して型締めを行い、ウレタンを加熱発泡させる。なお、本実施の形態ではキャビティ面に離型剤を塗布する必要はないが、上記の水系離型剤ないし水系離型剤を含有する離型剤を塗布してもよい。
発泡後、型開きして成形品を脱型し、この成形品を必要に応じてクラッシュローラを用いて破泡処理することにより、自動車用シートパッドが製造される。
このように金型のキャビティ面の表面粗さを小さくすることにより、この金型を用いて製造される自動車用シートパッドの表面を表面粗さ2〜20μmの平滑部とすることができる。これにより、自動車用シートパッド表面の平滑部の通気度が内部の通気度よりも小さくなり、自動車用シートパッドの内部と外部(通常は大気)との間の空気の出入りが制限され、エアダンピング効果が強くなり、シートパッドとして好適な振動吸収特性を有したものとなる。
本発明方法によって製造される自動車用シートパッドのポリウレタンフォームの密度は30〜80kg/m程度が好ましく、JIS K6400規定の25%硬度は15〜35kgf/200mmφ程度が好ましい。
本発明に従って自動車用シートパッドを製造する場合のウレタン配合原液の組成は、特に制限はなく、一般的に採用されている配合のものであればいずれも用いることができる。
ウレタン配合原液の調製に用いるイソシアネート成分としては特に制限はなく、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートであって、脂肪族系及び芳香族ポリイソシアネート化合物、更にこれらの変性物が包含される。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの変性物としては、カルボジイミド変性物、プレポリマー変性物が挙げられる。本発明において好ましいポリイソシアネートは、芳香族系ポリイソシアネート又は芳香族系ポリイソシアネートの変性物であり、特に好ましくはジフェニルメタンイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリオール成分配合液はポリオール、触媒、整泡剤、必要に応じて添加されるその他の添加成分を配合して混合することにより調製される。
ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;エチレンジアミン、4,4’−メチレン−ビス−2−クロロアニリン、4,4’−メチレン−ビス−2−エチルアニリンなどのアミン化合物又は低分子ポリオール若しくはアミン化合物にエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加重合して得られる、ビスフェノールのプロピレンオキシド付加物などのポリエーテルポリオール;更には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの多価アルコールとフタル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸などの多塩基酸との縮合重合物であって末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ヒマシ油、トール油などを用いることができる。
また、発泡剤としては、ポリウレタンフォームの製造に使用される全ての発泡剤が使用できる。例えば、低沸点不活性溶剤としてトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のフロン系化合物等、メチレンクロライド、液化炭酸ガス反応によってガスを発生するものとして水、酸アミド、ニトロアルカン等、熱分解してガスを発生するものとして重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等がある。これらのうち、好ましい発泡剤としては、メチレンクロライド、水等が挙げられる。
整泡剤としては、シリコーンオイル等を用いることができる。
触媒としては、通常のポリウレタンフォームの製造に使用される全ての触媒が使用できる。例えば、ジブチルチンジウラレート、スタナスオクトエート等の錫系触媒、トリエチルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の3級アミン類等が挙げられる。
ポリオール成分配合液には、更に必要に応じて、難燃剤、その他の添加成分を配合しても良い。難燃剤としては、トリス(2−クロロエチル)フォスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)フォスフェート等のような従来公知の難燃剤の他、尿素、チオ尿素のような有機質粉末或いは金属水酸化物、三酸化アンチモン等の無機質粉末を用いることができる。また、その他の助剤としては、顔料、染料などの着色粉末、タルク、グラファイトなどの粉末、ガラス短繊維、その他の無機増量剤や有機溶媒などが挙げられる。
本発明で用いるポリオール成分配合液の配合組成には特に制限はないが、例えば次のような配合組成とすることが好ましい。
ポリオール成分 :100
触媒 :0.1〜2.0
整泡剤 :0.1〜2.0
その他の添加成分 :5.0以下
また、イソシアネート成分は、このようなポリオール成分配合液とイソシアネート成分とを混合して得られるウレタン配合原液のイソシアネートインデックスが、90〜110程度となるように混合することが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜3
キャビティの大きさが400×400×100mmであり、表1に示す材質よりなるフィルムをキャビティ内面の全面に厚さ0.2mmとなるように貼り付けた3種類のアルミ金型を製造した。
表2に示す配合のポリオール成分配合液とイソシアネート成分とを混合して調製したウレタン配合原液を、各金型に注入して発泡成形することにより、ポリウレタンフォームを製造した。
Figure 0005393085
Figure 0005393085
比較例1
キャビティ内面の表面粗さを4〜9μm(仕上記号▽▽)とし、キャビティ内面にフィルムを設けなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタンフォーム成形品を製造した。
実施例4
キャビティ内面の表面粗さを0.4〜1.6μm(仕上記号▽▽▽)としたこと以外は比較例1と同様にしてポリウレタンフォーム成形品を製造した。
実施例5〜7及び比較例2
離型剤として、以下の水系離型剤と有機溶媒系離型剤を表1に示す通りに配合したものを調整した。
水系離型剤:中京油脂(株)製「P434」
有機溶媒系離型剤:中京油脂(株)製「K878」
比較例1と同様の金型のキャビティ内面の全面に、各離型剤を0.1g/cmの塗布量にて塗布した。次いで、表2に示す配合のポリオール成分配合液とイソシアネート成分とを混合して調製したウレタン配合原液を、各金型に注入して発泡成形することにより、ポリウレタンフォームを製造した。
各ポリウレタンフォーム成形品の表面粗さの測定
各ポリウレタンフォーム成形品について、表面粗さを測定した。その結果を表1に示す。なお、表面粗さの測定はJIS B0601−1994に従って行った。表面粗さが30μmを超えるものは機器による測定が不可能なため、測定不能とした。
振動伝達率の測定
各ポリウレタンフォーム成形品について振動伝達率特性を測定した。なお、振動伝達率の測定はJASO B−408に従って行った。実施例5及び比較例2の結果を第3図に示す。
次いで、以下の計算式により、各ポリウレタンフォーム成形品の共振伝達率比を算出した。
共振伝達率比=実施例の共振伝達率/比較例の共振伝達率
その結果を表1に示す。
各ポリウレタンフォーム成形品の表面の観察
各ポリウレタンフォーム成形品の表面の1箇所について0.5mm×0.5mmの範囲の顕微鏡写真を撮影し、表面に露出しているセルの総数Aと、当該セルのうちセル膜が破れることなく形成されているセルの個数Bとを測定して、セル膜の形成率(B/A×100%)を算出した。このセル膜の形成率が95%以上の場合を○、75〜95%の場合を△、75%以下の場合を×とした。その結果を表1に示す。
各ポリウレタンフォーム成形品の通気度の測定
各ポリウレタンフォーム成形品について、表面から10mmまでのスキン部と、それよりも内部のコア部とを切り出して、通気度を測定した。その結果を表1に示す。また、実施例5及び比較例2の結果を第4図に示す。なお、通気度の測定はJIS−L1004に従って行った。
表1、第3図及び第4図から明らかな通り、実施例1〜6は比較例1,2に比べて、表面にセル膜が十分に形成されており、表面の通気度が低く、振動伝達率が良好であった。
実施の形態に係る成形方法を説明する断面図である。 ポリウレタンフォーム成形品の表面の模式図である。 実施例5及び比較例2の振動伝達率を示すグラフである。 実施例5及び比較例2のスキン部及びコア部の通気度を示すグラフである。
1 上型
2 下型
3,4 フィルム

Claims (8)

  1. 金型内で発泡樹脂原料を発泡成形してなるポリウレタンフォーム成形品において、
    表面の少なくとも一部が表面粗さ2〜20μmの平滑部となっており、
    該平滑部において、表面から10mmまでのスキン部とそれよりも内部のコア層を切り出して、JIS L1004規定に従って通気度を測定したときに、スキン部の方がコア部よりも通気度が低いポリウレタンフォーム成形品を製造する方法であって、
    金型内に発泡樹脂原料を供給し、型締めし、発泡させるポリウレタンフォーム成形品の製造方法であり、
    該金型の内面に水系離型剤を塗布し、次いで該金型内に発泡樹脂原料を供給して発泡成形することを特徴とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法。
  2. 金型内で発泡樹脂原料を発泡成形してなるポリウレタンフォーム成形品において、
    表面の少なくとも一部が表面粗さ2〜20μmの平滑部となっており、
    該平滑部において、表面から10mmまでのスキン部とそれよりも内部のコア層を切り出して、JIS L1004規定に従って通気度を測定したときに、スキン部の方がコア部よりも通気度が低いポリウレタンフォーム成形品を製造する方法であって、
    金型内に発泡樹脂原料を供給し、型締めし、発泡させるポリウレタンフォーム成形品の製造方法であり、
    該金型の内面を合成樹脂製としたことを特徴とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法。
  3. 請求項2において、前記金型の内面に合成樹脂フィルムを設けることにより金型内面を合成樹脂製としたことを特徴とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法。
  4. 請求項2又は3において、前記合成樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン又はポリプロピレンであることを特徴とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、該平滑部の通気度が1〜5cc/cm2/sであり、該内部の通気度が10〜80cc/cm2/sであることを特徴とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記成形品がシートパッドであることを特徴とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法。
  7. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記成形品が自動車用シートパッドであることを特徴とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法。
  8. 請求項7において、少なくとも該自動車用シートパッドの着座面が前記平滑部となっていることを特徴とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法。
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