JP2006008773A - 軟質ポリウレタンフォーム、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車用のシートクッションパッドとして使用したときに、フォーム中にパーフルオロカーボン化合物が残留せず、共振ピーク位置を同等に保ちつつ、2〜4Hzでの共振倍率を低下させた軟質ポリウレタンフォーム、及びにその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともポリオール化合物、反応触媒、及び整泡剤を含むポリオール成分とイソシアネート成分とを混合し、発泡剤を用いて発泡硬化してポリウレタンフォームとする軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、前記発泡剤として、水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくともポリオール化合物、反応触媒、及び整泡剤を含むポリオール成分とイソシアネート成分とを混合し、発泡剤を用いて発泡硬化してポリウレタンフォームとする軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、前記発泡剤として、水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は軟質ポリウレタンフォーム、及びその製造方法に関する。特に本発明の軟質ポリウレタンフォームは、その使用に際して振動を伴う車両、特に自動車用のシートクッションパッドに適する。
一般に、軟質ポリウレタンフォームは、そのクッション性を利用して自動車用のシートクッション材料、家具等のクッション材料等に広く利用されている。軟質ポリウレタンフォームは、表面が柔軟であるために座り心地がよく、かつ長時間の運転によっても、運転者に疲労が生じにくいものであり、軟質ポリウレタンフォームから成るシートクッションパッドは公知である。
従来から、自動車用シートクッションの乗り心地性を向上させるためには、JASO B−407規定の振動伝達率特性に関して、人が不快と感じる振動数領域(4〜10Hz:評価値としては6Hzの振動伝達率が通常採用される)を大きく減衰させることが有効であるといわれている。特に6Hz前後の振動は、車酔いを起こす原因となる振動数といわれているため、ウレタンフォームからなる自動車用シートクッションパッドにおいても、前記振動伝達率を低く抑えるための開発が行われてきた。
しかし、6Hzでの振動伝達率を低く抑えた従来のシートクッションパッドは、振動伝達率特性における、2〜4Hzに現れる共振倍率(共振ピーク)が大きいため、乗員が自動車用シートクッションに着座して走行する際に、車体の振動によって身体の安定感がなくなり、身体が上下に振れる感覚(いわゆるヒョコヒョコ感)を十分に防止することができなかった。
こうした事情から、自動車をはじめとする車両用のシートクッションパッドは、乗員の車酔いや疲労を低減するために、6Hz付近での振動伝達率を低く抑えるだけでなく、運転操作時の安全性向上(シートクッションに着座時の安定性向上)も必要であり、より広い範囲の振動数においても低い振動伝達率を示すものが好ましいと考えられる。
しかし、一般的に、振動工学的には、振動伝達率特性曲線(縦軸:振動伝達率、横軸:振動数)は、振動伝達率特性の2〜4Hzでの共振倍率を下げると、クッション性に関連する比較的高振動数(たとえば、6Hz)での振動伝達率が上昇して、振動伝達率特性曲線が全体的にブロードな曲線になる。すなわち、振動伝達率特性曲線において、振動伝達率の低下と共振倍率の低下とは二律背反する関係にあった。
これまでに、振動伝達率特性の2〜4Hzでの共振倍率を下げる試みとして、親水基を有するフッ素系界面活性剤を整泡剤として用いた軟質ポリウレタンフォーム(たとえば、特許文献1参照)が開示されている。しかし、かかる提案においては、フォーム作製後、フッ素系界面活性剤の成分がフォーム中に残存してしまうという問題を有している。かかる提案では、さらに様々な改善が求められている自動車の技術分野において、軟質ポリウレタンフォームからなるシートクッションパッドへのさらなる改良要請に対応することは難しかった。
特開平11−322875号公報
そこで、本発明の目的は、自動車用のシートクッションパッドとして使用したときに、フォーム中にパーフルオロカーボン化合物が残留せず、共振ピーク位置を同等に保ちつつ、2〜4Hzでの共振倍率を低下させた軟質ポリウレタンフォーム、及びにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、軟質ポリウレタンフォームの製造に用いる材料等について鋭意研究した結果、軟質ポリウレタンフォーム、及びその製造方法として以下に示すものを用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は.少なくともポリオール化合物、反応触媒、及び整泡剤を含むポリオール成分とイソシアネート成分とを混合し、発泡剤を用いて発泡硬化してポリウレタンフォームとする軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、前記発泡剤として、水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することを特徴とする。
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法によると、実施例の結果に示すように、発泡剤として、水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することにより得られた軟質ポリウレタンフォームは、硬度や反発弾性率を大きく変動させることなく、共振ピーク位置を同等レベルに保ちつつ、2〜4Hzでの共振倍率を低下させることができる。水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することにより得られた軟質ポリウレタンフォームがかかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、発泡剤として水及びパーフルオロカーボン化合物を用いることにより、パーフルオロカーボン化合物のエマルジョンが核剤として作用することで、微細気泡(ファインセル)を形成し、ポリウレタンフォームの共振振動数、共振倍率、反発弾性率に好適に作用したものと推測される。
本発明において、発泡剤として、水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することを特徴とする。かかる製造方法において、前記発泡剤の添加量は、ポリオール化合物100重量部に対し、水0.1〜10重量部、及びパーフルオロカーボン化合物を0.5〜10重量部であることが好ましく、ポリオール化合物100重量部に対し、水2〜5重量部、及びパーフルオロカーボン化合物を1〜5重量部用いてなることがより好ましい。パーフルオロカーボン化合物が0.5重量部より少なくなると、上記共振倍率の低減効果が小さくなる傾向があり、一方、10重量部より大きくなると発泡剤としての主作用である充填作用、密度調整作用が劣る傾向があるため好ましくない。
また、本発明において、パーフルオロカーボン化合物が、CnF(2n+2)(nは5以上8以下、より好ましくは6以上8以下、さらに好ましくは7以上8以下の整数とする)、又はCnF(2n+2)(nは5以上8以下、より好ましくは6以上8以下、さらに好ましくは7以上8以下の整数とする)におけるフッ素基の少なくとも1個をニトロソ基で置換したものであることを特徴とする。前記nは大きくなるにつれてポリオール成分との相溶性が向上するが、nが8を超えると沸点が高くなりすぎるため好ましくない。これらはパーフルオロカーボン化合物として1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよく、さらに他の発泡剤と適宜併用してもよい。
上記発明における前記パーフルオロカーボン化合物の添加方法は特に限定されず、ポリウレタン成型に用いられる公知な一般的手法を適宜適用できる。たとえば、ポリオール成分を含む溶液とイソシアネート成分を含む溶液とを混合する製造する場合においては、前記パーフルオロカーボン化合物を、前記ポリオール成分含有溶液、又は前記イソシアネート成分含有溶液のいずれに含有してもよく、さらには前記の両溶液に同時に含有してもよい。また、前記ポリオール成分及び前記イソシアネート成分の両成分含有混合液を調整後に、前記パーフルオロカーボン化合物を添加してもよい。
本発明の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームは、その使用に際して振動を伴う車両、特に自動車用のシートクッションパッドに特に適する。また、本発明により得られた軟質ポリウレタンフォームをシートクッションパッドとして用いるにあたり、シートクッション成型に用いられる公知な一般的手法を適宜適用できる。
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法によると、水を発泡剤として含む軟質ポリウレタンフォームの製造処方に所定のパーフルオロカーボン化合物を含むことで、パーフルオロカーボン化合物未添加の場合に比べて、硬度や反発弾性率を大きく変動させることなく、共振ピーク位置を同等レベルに保ちつつ、2〜4Hzでの共振倍率をより低下させた軟質ポリウレタンフォームが得られる。このため、特に材料選択に限定され材料選択の幅が非常に限定されていた問題を解消し、上述以外の特性やコストダウン等のための材料選択の幅を拡げるものである。
本発明における軟質ポリウレタンフォームは、一般にポリオール化合物を含むポリオール成分と、イソシアネート化合物を含むポリイソシアネート成分の、発泡剤成分存在下における重付加反応により得られるが、適宜他の方法により合成したものでもよい。また、ポリウレタン製造に一般的に用いられる公知の反応触媒、架橋剤、整泡剤、その他の添加物等も適宜使用してよい。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、少なくともポリオール化合物、反応触媒、及び整泡剤を含むポリオール成分とイソシアネート成分とを混合し、発泡剤を用いて発泡硬化してポリウレタンフォームとする軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、前記発泡剤として、水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することにより得られる軟質ポリウレタンフォームである。
本発明の軟質ポリウレタンフォームに使用されるポリオール化合物について、その種類等は特に制限されない。本発明のポリオール化合物としては、ポリオキシアルキレングリコールが調整しやすく好ましい。
ポリオール化合物としては、通常、多官能性アルコール系化合物を開始剤に、これにアルキレンオキシドを付加させたポリエーテルポリオールが用いられる。
多官能性アルコール系化合物としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンやこれらに少量のアルキレンオキシドを付加した化合物があげられる。
多官能性アルコール系化合物に付加重合するアルキレンオキシドとしては炭素数2以上のものがあげられ、たとえば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどがあげられる。これらアルキレンオキシドのなかでも、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとエチレンオキシドを併用したものが、低コストであること、得られるシートクッションパッドの特性が良好であること等から好ましい。特にエチレンオキシドが開環単位したオキシエチレン単位を3〜50重量%、さらには3〜25重量%の付加割合で含んでいるものが好ましい。
また、ポリオキシアルキレングリコールは前記アルキレンオキシドのランダム重合体、ブロック重合体、交互共重合体のいずれでもよいが、末端にオキシエチレン単位を含むものがイソシアネート基との反応性が良好であり好ましい。末端の1級化率(末端オキシエチレン単位化率)は、ポリオキシアルキレングリコールのオキシアルキレン単位の3重量%以上含むものが好ましく、5重量%以上含むものがより好ましく、特に好ましくは10〜20重量%である。
このようなポリオキシアルキレンポリオールの架橋間分子量(1水酸基当たりの分子量)は通常1000〜4000程度のものがヒステリシスロスの調整に好ましい。特に、架橋間分子量が1500〜2800のものがヒステリシスロスの調整に好ましい。
また、本発明においては、ポリオール成分中にポリマー粒子を微粒子状にて分散させたポリマーポリオールを使用してもよい。
上記のポリマー粒子としては、たとえば、アクリロニトリル、スチレン、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレート等のビニルモノマーのホモポリマー又はコポリマー等の付加重合系ポリマーや、ポリエステル、ポリウレア、メラミン樹脂等の縮重合系ポリマー等の粒子があげられる。これらのなかでも、アクリロニトリル、スチレンのホモポリマー又はコポリマーが好ましい。特にアクリロニトリルのホモポリマーが好ましい。なお、ポリマー粒子としては、アクリロニトリル重合体微粒子の含有系が、シートクッションパッドの成型性が良好であり、好ましい。
ポリオール成分全体における、上記ポリマー粒子の割合は、その割合が多すぎると経済的に不都合が生じるため、40重量%以下、さらには20重量%以下とするのが好ましい。また、シートクッションパッドの硬度や耐久性などの物性を有効に向上させるには、ポリオール成分全体におけるポリマー粒子の含有率を1重量%以上、さらには2重量%以上存在するのが好ましい。
かかるポリマー粒子のポリオール成分中への導入方法は特に制限されないが、たとえば、ポリマー粒子が付加重合系ポリマーの場合には、ポリオキシアルキレンポリオール等のポリオール中で、ラジカル重合開始剤の存在下に、スチレン、アクリロニトリル等のビニル系モノマーを重合させることにより、ポリオール成分に安定に分散させることができる。ポリマーポリオール(POP)は三井化学製、旭硝子製等が市販されており、好適に使用可能である。
上記のポリエーテルポリオール、ポリマーポリオールを構成するポリオキシアルキレンポリオールも共に末端の不飽和基濃度は低い方が好ましく、具体的には、末端の不飽和基濃度は0.1meq/g以下であることが好ましい。不飽和基濃度が高くなると軟質ポリウレタンフォームの圧縮永久歪が大きくなり、耐久性が低下する等の問題が発生する。
本発明におけるポリイソシアネート化合物としては、軟質ポリウレタンフォームの製造に通常使用される、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系の各種のポリイソシアネート化合物、さらにはこれらポリイソシアネート化合物を変性して得られる変性ポリイソシアネート化合物を使用できる。また、ポリイソシアネート化合物は2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、たとえば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(精製ジフェニルメタンジイソシアネート(p−MDI)、クルードMDI(c−MDI)がある)等の芳香族ポリイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ないし脂環族ポリイソシアネート類があげられ、その変性物としては、ポリイソシアネート化合物のプレポリマー型変性体、イソシアヌレート型変性体、ウレア型変性体、カルボジイミド型変性体などがあげられる。これらのなかでも、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードMDIが、反応性が高いこと、シートクッションパッドの特性が良好であること、低コストであること等の理由で好ましい。トルエンジイソシアネートは、2,4−置換体と2,6−置換体とがあるが、これらの混合物の使用が好ましく、2,4−置換体/2,6−置換体混合比が90/10〜60/40の混合物の使用が好適である。さらにトルエンジイソシアネート:クルードMDIを70:30〜90:10、特に好ましくは80:20の重量比でブレンドしたものの使用が、コア層のヒステリシスロスが17%以下のフォームが確実に得られ、しかも発泡効率と反応硬化性が良好で全体としての生産効率が高く、より好ましい。
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、発泡剤として、水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することを特徴とするものである。かかる製造方法において、ポリオール化合物又はポリマーポリオール化合物100重量部に対し、水0.1〜10重量部、及びパーフルオロカーボン化合物を0.5〜10重量部用いてなることが好ましく、ポリオール成分又はポリマーポリオール成分100重量部に対し、水2〜5重量部、及びパーフルオロカーボン化合物を1〜5重量部用いてなることがより好ましい。
本発明における発泡剤は、水と少なくとも1種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用するものとする。パーフルオロカーボン化合物としては、たとえば、たとえば、C5F12、C5F11NO、C6F14、C6F13NO、C7F16、C7F15NO、C8F18、C8F17NOなどがあげられ、市販品ではPF−5050(住友スリーエム社製)、PF−5052(住友スリーエム社製)、PF−5060(住友スリーエム社製)、PF−5070(住友スリーエム社製)、PF−5080(住友スリーエム社製)などがあげられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよく、さらに他の発泡剤と適宜併用してもよい。
本発明における反応触媒としては、たとえば、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(toyocat−ET、東ソー社製)等のアミン系触媒や、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸金属塩、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等があげられる。これらのなかでも水発泡系軟質ポリウレタンフォームの製造に適している点でアミン系触媒の使用が好ましい。これらの反応触媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。反応触媒を使用する場合は、反応触媒の使用量は、通常ポリオール成分100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.05〜1.0重量部である。
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造において、必要に応じて低分子量の多価活性水素化合物を架橋剤として使用することも好適な態様であり、シートクッションパッドのばね特性を調整することが容易となる。このような低分子量の多価活性水素化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール類、並びにこれらの多価アルコール類を開始剤としてエチレンオキシドやプロピレンオキシドを重合させて得られる水酸基価が300〜1000mgKOH/gの化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。これらの化合物を使用した市販品の使用も好適であり、たとえば、KL−210(三井化学社製)、ハードマスター17(第一工業製薬社製)、EL−980(旭硝子社製)等があげられる。架橋剤を使用する場合において、架橋剤の使用量は特に限定されずに適宜用いられる。
前記ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤、触媒及び整泡剤を含有してなる軟質ポリウレタンフォーム原料における各成分の使用量は、通常、以下の通りであるが、シートクッションパッドの通気度を調整するため、その使用量を適宜に変更できることはいうまでもない。
本発明におけるポリオール成分の水酸基の当量(発泡剤として水を使用する場合には水も含めて計算する)とポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(イソシアネートインデックス[NCO index])は、0.85〜1.15(指数表示では85〜115)の範囲であり、好ましくは0.95〜1.05であり、より好ましくは1.0(指数表示では100)である。
本発明における水の添加量は、通常ポリオール化合物100重量部に対して、0.1〜8重量部、好ましくは2〜4重量部である。
また、本発明における軟質ポリウレタンフォーム原料には、前記成分の他に、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、防黴・防菌剤等の各種添加剤を、必要に応じて添加することもできる。
以下、特に軟質ポリウレタンフォームとしてシートクッションパッドを製造する例を説明する。
前記各種成分を含んでなる軟質ポリウレタンフォーム原料は、シートクッションパッドが適用される用途に応じて、各種形状に応じた所定の金型内で、シートクッションパッドに成型される。成型方法は、通常の手段を採用できる。たとえば、ポリオール成分、発泡剤、触媒、整泡剤及び必要により添加剤の所定量を計量し、予備的に混合してポリオール成分とした後、さらにこの混合物たるポリオール成分にポリイソシアネート成分をポリウレタン発泡機又は撹拌機等を使用して急速混合して得られた軟質ポリウレタンフォーム成型原料を、金型内に注入し、所定時間後に脱型することにより、シートクッションパッドとしての軟質ポリウレタンフォームが得られる。
本発明により得られた軟質ポリウレタンフォームをシートクッションパッドとして用いる場合において、軟質ポリウレタンフォームの密度がコアで40〜60kg/cm3程度であるのが好ましく、45〜55kg/cm3程度であるのがより好ましい。
シートクッションパッドの通気度の調整は、前記シートクッションパッドの成型時点において調整する方法とシートクッションパッドを成型した後の後処理によって調整する方法があり、一方又は双方を任意に使用可能である。
また、本発明における整泡剤としては、通常の軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられるものを特に制限なく使用できる。たとえば、ジメチルシロキサン系、ポリエーテルジメチルシロキサン系、フェニルメチルシロキサン系等の各種の整泡剤があげられる。整泡剤の使用量は、通常ポリオール成分100重量部に対して、0.01〜5重量部(可塑剤等で希釈した整泡剤の場合には有効成分を基準とする)、好ましくは0.1〜2重量部である。
活性の高いシリコーン系整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンやその誘導体である公知の整泡剤と適宜併用して使用可能である。活性の高いシリコーン系整泡剤としては市販品の使用が好適であり、具体的には、SF2965,SF2962,SF2904,SF2908,SRX294A,(東レダウコーニングシリコン製)、L−5366,L−5309(日本ユニカー社製)、B8680(ゴールドシュミット社製)等が市販されている。特に表面張力低下能(ポリオール成分に添加前と添加後の表面張力の差)が1(dyne/cm)程度の整泡剤の使用が有効であり、SF2965,SF2962、B8680、L−5366,L−5309が特に好適である。ただし、単独の整泡剤ではなく、複数の整泡剤を併用して表面張力や表面張力低下能を調整することも可能である。
なお、こうしてシートクッションパッドである所定形状に成型された軟質ポリウレタンフォームが得られるが、シートクッションパッドの裏面には、たとえばポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン又はその発泡体からなる樹脂のサポーターやPPクロス、粗毛布、不織布等のサポーター(補強材)を、成型時に予め金型にインサートする一体成型法ないしフォーム成型後の接着により積層することもできる。
実際に車両に装着される座席シート等は、本発明のシートクッションパッドに本皮、モケット、トリコット、ジャージ、織物等の外層を被覆し、さらに金具を取り付けて車両の組み立てに供される。外層をシートクッションパッドに被覆する際には、シートクッションパッドに面ファスナーの一部材を接着等により取り付けることも好適である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における物性等の評価方法は次の通りである。
〔軟質ポリウレタンフォームの物理物性〕
a)OA(over all)密度(kg/m3):軟質ポリウレタンフォーム成型体のフォーム全密度(スキン・コアを含む)である。なお、実施例等においては、59±1.5kg/cm3の範囲に揃えた。
a)OA(over all)密度(kg/m3):軟質ポリウレタンフォーム成型体のフォーム全密度(スキン・コアを含む)である。なお、実施例等においては、59±1.5kg/cm3の範囲に揃えた。
b)25%ILD(Indentation Load Deflection)(kgf/314cm2):シートクッションパッドを直径200mmの加圧板で25%圧縮したときの荷重である(JIS K6400準拠)。この値は、20(kgf/314cm2)程度とすることが、座り心地の点で好適である。なお、実施例等においては、20±2kgf/cm2の範囲に揃えた。
c)ヒステリシスロス(%):シートクッションパッドのコア部(スキン層を除いて)から縦100mm、横100mm、厚さ少なくとも30mmの測定サンプルを採取して、JIS K−6400に準拠して測定した。取り除いたスキン層は約10mmである。
d)反発弾性率(%):JIS K−6400に規定される方法に準拠して測定した。なお、試験片の数は3個とした。
〔軟質ポリウレタンフォームの振動伝達率特性〕
400×400×100mmのサンプルを作製し、60℃×6分の条件でポストキュアさせたものを評価サンプルとして用いた。
400×400×100mmのサンプルを作製し、60℃×6分の条件でポストキュアさせたものを評価サンプルとして用いた。
JASO B−407に準拠して、50kgの鉄研形加圧板を負荷し振幅±2.5mmで強制振動試験を行うことにより得られた振動伝達率曲線から、1〜10Hzの振動数領域における共振振動数(Hz)、共振倍率を計測した。振動特性の計測には、シートクッション振動試験機C−1002DL(伊藤精機社製)を使用した。
〔軟質ポリウレタンフォームの作製〕
軟質ポリウレタンフォームの製造に使用した軟質ポリウレタンフォーム原料の内容、サプライヤーは以下のとおりである。
軟質ポリウレタンフォームの製造に使用した軟質ポリウレタンフォーム原料の内容、サプライヤーは以下のとおりである。
a)ポリエーテルポリオール:EP3028、水酸基価=28±2(mgKOH/g)(三井武田ケミカル社製)
b)ポリマーポリオール:POP3128、水酸基価=27.5±1.5(mgKOH/g)(三井武田ケミカル社製)
c)架橋剤:DEA、ジエタノールアミン(三井武田ケミカル社製)
d)整泡剤:SF2962(東レダウコーニングシリコン社製)、ポリジメチルシロキサンのポリオキシ(エチレン−プロピレン)共重合体
e)触媒:TEDA−L33、トリエチレンジアミン33%溶液(東ソー社製)
f)触媒:toyocat−ET:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(東ソー社製)
g)イソシアネート:c−MDI:粗製MDIスミジュール44V(住友バイエルウレタン社製)
h)イソシアネート:TDI−80:トルエンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製)
i)発泡剤PF−5052:主成分C5F11NO(住友スリーエム社製)
j)発泡剤PF−5060:主成分C6F14(住友スリーエム社製)
b)ポリマーポリオール:POP3128、水酸基価=27.5±1.5(mgKOH/g)(三井武田ケミカル社製)
c)架橋剤:DEA、ジエタノールアミン(三井武田ケミカル社製)
d)整泡剤:SF2962(東レダウコーニングシリコン社製)、ポリジメチルシロキサンのポリオキシ(エチレン−プロピレン)共重合体
e)触媒:TEDA−L33、トリエチレンジアミン33%溶液(東ソー社製)
f)触媒:toyocat−ET:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(東ソー社製)
g)イソシアネート:c−MDI:粗製MDIスミジュール44V(住友バイエルウレタン社製)
h)イソシアネート:TDI−80:トルエンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製)
i)発泡剤PF−5052:主成分C5F11NO(住友スリーエム社製)
j)発泡剤PF−5060:主成分C6F14(住友スリーエム社製)
実施例1〜6及び比較例1の軟質ポリウレタンフォームの原料配合、及び配合量を表1の上段に示した。これらのポリオール成分、架橋剤、整泡剤、触媒、イソシアネート成分、及び発泡剤の各成分を同表に記載の重量比率で常法にて配合し、均一に混合した後、所定量を所定形状の軟質フォーム成型金型に注入し、発泡硬化させて軟質ポリウレタンフォームを得た。
得られた軟質ポリウレタンフォームの評価結果を表1の下段に示した。これらの結果から、本発明に示したパーフルオロカーボン化合物を水とともに発泡剤として用いた実施例1〜6すべてにおいて、パーフルオロカーボン化合物を用いていない比較例1にくらべて、共振倍率が低下した軟質ポリウレタンフォームが得られた。さらに、これらのいずれの実施例においても、硬度や反発弾性率を大きく変動させることなく、共振ピーク位置を同等レベルに保ちつつ、2〜4Hzでの共振倍率を低下させることができた。
以上より、本発明により得られた軟質ポリウレタンフォームは、同程度の硬度、及び同程度の反発弾性率を有する軟質ポリウレタンフォームと比較して、共振ピーク位置を同等レベルに保ちつつ、2〜4Hzでの共振倍率を低下させることが確認できた。
また、本発明により得られた軟質ポリウレタンフォームは、特にシートクッションパッドとしたときに、乗員の車酔いや疲労を低減だけでなく、身体が上下に振れる感覚(いわゆるヒョコヒョコ感)を低減するものであり、運転操作時の安全性を向上させるものであることがわかる。
Claims (4)
- 少なくともポリオール化合物、反応触媒、及び整泡剤を含むポリオール成分とイソシアネート成分とを混合し、発泡剤を用いて発泡硬化してポリウレタンフォームとする軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、前記発泡剤として、水と少なくとも一種以上のパーフルオロカーボン化合物を使用することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 前記発泡剤の添加量は、前記ポリオール化合物100重量部に対し、前記水0.1〜10重量部、及び前記パーフルオロカーボン化合物を0.5〜10重量部であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 前記パーフルオロカーボン化合物が、CnF(2n+2)(nは5以上8以下の整数とする)、又はCnF(2n+2)(nは5以上8以下の整数とする)におけるフッ素基の少なくとも1個をニトロソ基で置換したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
- 請求項1〜3いずれかに記載の方法に従い製造して得られた軟質ポリウレタンフォーム。
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