JP5392139B2 - 触媒利用率の測定方法 - Google Patents

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Description

この発明は、触媒利用率の測定方法に関し、より詳細には、燃料電池電極における触媒利用率の測定方法に関する。
従来、例えば非特許文献1には、電流−電位曲線(サイクリックボルタモグラム)において、電位を負方向に掃引した際に現れるプロトン吸着由来の電流変化分から、プロトンの吸着電気量Qを求め、電気化学反応に関与できる触媒の表面積(電気化学的表面積:ECA)を評価する方法が開示されている。電位を負方向に掃引した際のプロトン挙動としては、触媒への吸着、その後の着脱の順に起こると考えられている。しかしながら、実際には、吸着したプロトンが掃引終了前に水素分子となって脱離する場合があり、この場合、脱離サイトに新たなプロトンが吸着する。この一連の現象が生じた場合、サイクリックボルタモグラムの掃引終了電位の付近で特徴的な電流変化が観察される。また、この特徴的な電流変化に対応する電位は、水素発生電位と呼ばれている。
上記従来の方法においては、測定対象電極は膜電極接合体(MEA)に組み込まれ、水に浸された状態で電位が掃引される。測定対象電極を水に浸すことで、上記水素発生電位を低電位側にシフトさせることができる。低電位側にシフトできれば、電流変化がより明確に観察できることになる。従って、明確となった電流変化に対応する水素発生電位を用いて正確な吸着電気量Qを求めることができるので、ECAの評価を高精度にできる。
Robert N. Carter, Shyam S. Kocha, Frederick T. Wagner, Matthew Fay, and Hubert A. Gasteiger ‘‘Artifacts in Measuring Electrode Catalyst Area of Fuel Cells through Cyclic Voltammetry’’ ECS Transactions, 11(1) 403-410(2007)
ところで、固体高分子型燃料電池においては、MEAを構成する電極が、触媒担持カーボン及びアイオノマーから構成されている。このアイオノマーは、触媒担持カーボンを被覆するように設けられ、アノード側の三相界面で生じたプロトンをカソード側の三相界面に運搬する役割を担う。そのため、仮にアイオノマーによって触媒が被覆されていないような場合、触媒までプロトンが移動できない。この場合、発電に寄与できる触媒量が減少することになるため、十分な電池出力が得られない可能性もある。
従って、実際のMEAにより近い状態のECAを評価するためには、触媒がどの程度アイオノマーに被覆されているか(どの程度有効利用されているか)を考慮することが好ましい。上述したように、アイオノマーの被覆状態が不良であると、発電に寄与する触媒が少ないからである。しかしながら、上記非特許文献1の方法では、アイオノマーを含まない触媒担持カーボンの吸着電気量Qを求めているに過ぎず、被覆の程度を求めることはできない。このように、アイオノマーの被覆状態を測定する技術に関し、今日のところ確立されたものは皆無であった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、アイオノマーの被覆状態を測定できる新規な測定方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、触媒担持カーボン及びアイオノマーを有する電極において、アイオノマーに被覆されている触媒がどの程度存在するかを表す触媒利用率を測定する方法であって、
測定対象電極にプロトン伝導性溶液を浸透させ、前記測定対象電極とプロトン伝導性膜を隔てて対向する対向電極側から水素ガスを供給しながら前記測定対象電極と前記対向電極との間に予め設定した印加範囲の電位を掃引し、プロトンの吸着に関する第1電気量を取得する工程と、
測定対象電極にプロトン非伝導性溶液を浸透させ、前記対向電極側から水素を供給しながら前記測定対象電極と前記対向電極との間に前記印加範囲の電位を掃引し、プロトンの吸着に関する第2電気量を取得する工程と、
前記第1電気量と第2電気量とを比較して触媒利用率を算出する工程と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記第1電気量および前記第2電気量が、電位の負方向掃引時の電流の履歴における、プロトンが触媒に吸着し始めたと認められる吸着開始電位から、吸着したプロトンが着脱し始めたと認められる水素着脱電位までの間の任意電位に対応する電流値の夫々であることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、
前記第1電気量および前記第2電気量が、電位の負方向掃引時の電流の履歴を、プロトンが触媒に吸着し始めたと認められる吸着開始電位から、吸着したプロトンが着脱し始めたと認められる水素着脱電位まで積分した積分値の夫々であることを特徴とする。
また、第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記吸着開始電位が、酸化被膜還元に由来するピークからプロトン吸着に由来するピークまでの間の最高電流値に対応する電位であり、前記水素着脱電位が、触媒の(110)面に由来する吸着ピーク後に最初に表れる変曲点に対応する電位であることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1の発明において、
前記第1電気量および前記第2電気量が、電位の正方向掃引時の電流の履歴における、プロトン脱着に由来するピークから酸化被膜生成に由来するピークまでの間の最低電流値と、負方向掃引時の電流変化の履歴における、酸化被膜還元に由来するピークからプロトン吸着に由来するピークまでの間の最高電流値との差の夫々であることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第5何れか1つの発明において、
前記対向電極側から更に窒素ガスを供給して前記第1電気量および前記第2電気量を取得することを特徴とする。
また、第7の発明は、第6の発明において、
全供給ガス中における窒素ガス割合が90体積%以下であることを特徴とする。
また、第8の発明は、第1乃至第7何れか1つの発明において、
前記測定対象電極、前記プロトン伝導性膜および前記対向電極は、燃料電池スタック内に組み込まれた膜電極接合体を構成し、
前記測定対象電極は、前記プロトン伝導性膜の形成面とは反対側の面に撥水層を備え、 前記撥水層の透水圧よりも高圧で供給することにより、前記プロトン伝導性溶液を前記測定対象電極に浸透させることを特徴とする。
また、第9の発明は、第1乃至第7何れか1つの発明において、
前記測定対象電極、前記プロトン伝導性膜および前記対向電極は、燃料電池スタック内に組み込まれた膜電極接合体を構成し、
前記測定対象電極を前記対向電極よりも低温にすることにより、前記プロトン伝導性溶液を前記測定対象電極に浸透させることを特徴とする。
また、第10の発明は、第1乃至第7何れか1つの発明において、
前記測定対象電極、前記プロトン伝導性膜および前記対向電極は、燃料電池スタック内に組み込まれた膜電極接合体を構成し、
温度を上昇させた状態の前記膜電極接合体の前記対向電極側からプロトン伝導性溶液を供給し、供給停止後に前記膜電極接合体の温度を低下させることにより、前記プロトン伝導性溶液を前記測定対象電極に浸透させることを特徴とする。
第1の発明によれば、測定対象電極にプロトン伝導性溶液を浸透させることで取得したプロトンの吸着に関する第1電気量と、測定対象電極にプロトン非伝導性溶液を浸透させることで取得したプロトンの吸着に関する第2電気量とを比較し、アイオノマーに被覆されている触媒がどの程度存在するかを測定できる。従って、測定対象電極におけるアイオノマー被覆状態を測定できる。
第2の発明によれば、前記第1電気量および前記第2電気量を、電位の負方向掃引時の電流履歴における、吸着開始電位から水素着脱電位までの間の任意電位に対応する電流値の夫々とすることができる。また、第3の発明によれば、前記第1電気量および前記第2電気量を、吸着開始電位から水素着脱電位まで電位の負方向掃引時の電流履歴を積分した積分値の夫々とすることができる。従って、第2または第3の発明によれば、吸着開始電位以前の電流履歴および水素着脱電位以降の電流履歴を除外できる。吸着開始電位以前の電流履歴はプロトン吸着・着脱とは無関係のものである。また、水素着脱電位以降の電流履歴は、触媒に吸着したプロトンが水素分子となって脱離し、その脱離サイトに吸着した新たなプロトンに起因する電流変化を含んでいる。従って、これら2つの電流履歴を除外しているので、アイオノマー被覆状態を高精度に測定できる。
また、第4の発明によれば、上記吸着開始電位を、酸化被膜還元に由来するピークからプロトン吸着に由来するピークまでの間の最高電流値に対応する電位に、前記水素着脱電位を、触媒の(110)面に由来する吸着ピーク後に最初に表れる変曲点に対応する電位に、夫々特定できる。従って、サイクリックボルタモグラムの取得後、これら電位を自動的に特定することで、アイオノマー被覆状態の測定を簡便に行うことができる。
第5の発明によれば、前記第1電気量および前記第2電気量を、電位の正方向掃引時の電流の履歴における、プロトン脱着に由来するピークから酸化被膜生成に由来するピークまでの間の最低電流値と、負方向掃引時の電流変化の履歴における、酸化被膜還元に由来するピークからプロトン吸着に由来するピークまでの間の最高電流値との差の夫々とすることができる。これら電流値の差は、電気二重層の容量に対応するものである。電気二重層の容量は、アイオノマーの被覆状態に応じて変化する。従って、電気二重層の容量を算出することで、アイオノマーの被覆状態を高精度に測定できる。
測定対象電極内に溶液が浸透していない非浸透空間が存在する場合、その非浸透空間がガスフェイズとして存在してしまう可能性がある。ガスフェイズが存在する場合、対向電極側から供給された水素ガスとの間で濃度差を生じ、濃淡電池の原理により両極間に過剰に電流が流れてしまうので測定上好ましくない。第6または第7の発明によれば、CV測定時に対向電極側から供給する水素ガス濃度を低下させることができる。従って、ガスフェイズが存在するような場合でも、濃淡電池の現象を起きにくくすることができる。従って、前記第1電気量および前記第2電気量を正確に求めることができる。
第8乃至第10の発明によれば、膜電極接合体が燃料電池スタック内に組み込まれていとしても、前記プロトン伝導性溶液を前記測定対象電極に浸透させることができる。従って、スタック出荷後であっても、前記測定対象電極に対するCV測定を容易に行うことができる。
固体高分子型の燃料電池の断面構成の模式図である。 図1のカソード触媒層16の電解質膜12近傍の一部拡大模式図である。 CVの具体的な測定手法を説明するための図である。 CV測定により得られるサイクリックボルタモグラムの一例である。 水素発生電位VH2が高電位側にシフトした場合のサイクリックボルタモグラムである。 測定対象電極30側を純水に浸した場合のサイクリックボルタモグラムである。 本実施形態における吸着電気量Qの算出方法の具体例を示す。 図3の破線Aで囲まれた領域の拡大図である。 実際に作製したMEA1をCV測定して得られたサイクリックボルタモグラムである。 実際に作製したMEA2をCV測定して得られたサイクリックボルタモグラムである。 電気二重層を説明するための図である。 白金担持比の異なる4つのカーボン粒子を電極についてCV測定した際の、ECAと、電気二重層電流との関係を示した図である。 セルスタックに組み込まれた燃料電池に純水を満たす方法を示した図である。 セルスタックに組み込まれた燃料電池に純水を満たす方法を示した図である。 セルスタックに組み込まれた燃料電池に純水を満たす方法を示した図である。
実施の形態1.
以下、図1乃至図10を参照して本実施の形態1を説明する。
[燃料電池の構成]
図1は、一般的な固体高分子型の燃料電池の断面構成の模式図である。図1に示すように、燃料電池10は、プロトン伝導性を有する高分子からなる電解質膜12の両側に、これを挟むようにアノード触媒層14、カソード触媒層16が、それぞれ設けられている。アノード触媒層14の外側には、撥水性材料を含む導電性多孔質基材からなるガス拡散層18、カーボン、チタン、ステンレス等の電子伝導性の材料からなるセパレータ20が順に設けられている。セパレータ20のガス拡散層18側には、燃料(水素)ガスを流通させるための燃料流路や冷却水を流通させるための冷却水路が形成されている。同様に、カソード触媒層16の外側には、ガス拡散層22、セパレータ24が設けられている。セパレータ24のガス拡散層22側には、空気を流通させるための流路や冷却水路が形成されている。
電解質膜12と、これを挟む一対のアノード触媒層14、カソード触媒層16とにより、MEA26が構成される。MEA26とガス拡散層18,22とからMEGA28が構成される。図1においては、上記のように構成されたMEGA28とその両側に配置された一対のセパレータ20,24を1組のみ図示したが、実際の燃料電池は、MEGA28がセパレータ20,24を介して複数積層されたスタック構造を有している。
図2は、図1のカソード触媒層16の電解質膜12近傍の一部拡大模式図である。図2に示すように、カソード触媒層16は、カーボン粒子161を含んでいる。カーボン粒子161は多孔質のカーボン粒子である。多孔質のカーボン粒子としては、カーボンブラックが最も一般的であるが、その他にも黒鉛、炭素繊維、活性炭等やこれらの粉砕物、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等の炭素化合物等が使用される。また、カーボン粒子161の外表面や空孔内には、白金触媒162が担持されている。また、カーボン粒子161の外表面や空孔内には、白金触媒162を覆うようにアイオノマー163が設けられている。アイオノマー163は、電解質膜12と同様にプロトン伝導性を有する高分子から構成される。尚、アノード触媒層14は、カソード触媒層16同様の構造であるため、本図においてアノード触媒層14のみをだけを図示し、本明細書においては、カソード触媒層16の説明をもってアノード触媒層14の説明とする。
[サイクリックボルタンメトリー(CV)と吸着電気量Qについて]
ところで、CVは、プロトンの吸着及び脱離を通じ、電気化学反応に関与できる触媒の表面積(電気化学的表面積:ECA)を評価する方法として確立された測定技術である。具体的には、測定したい触媒層(以下、「測定対象電極」ともいう。)と、それに対向する触媒層(以下、「対向電極」ともいう。)と、参照電極を準備して、測定対象電極に一定の速度および範囲の電位を掃引し、得られたサイクリックボルタモグラムから吸着電気量Qを求める。吸着電気量QはECAと相関があるので、アノード触媒層14やカソード触媒層16におけるECAを評価することが可能となる。
図3を用いて、本実施形態におけるCVの具体的な測定手法を説明する。CV測定に際しては、先ず、測定対象電極30、対向電極32、電解質膜34からなる試験体を準備する。本実施形態においては、この試験体には、上記MEA26をそのまま用いる。即ち、測定対象電極30には、図1、2のアノード触媒層14又はカソード触媒層16が対応する。対向電極32は、測定対象電極30にアノード触媒層14又はカソード触媒層16のどちらを選択するかによる。
次に、試験体の測定対象電極30側を純水に浸し、対向電極32側から水素ガスを加湿供給する。これにより、対向電極32でプロトンを発生させ、測定対象電極30に伝導させる。このような状態において、測定対象電極30と対向電極32との間に予め設定した範囲の電位を掃引し、掃引電位に対応する電流をプロットすることでサイクリックボルタモグラムを得る。
図4は、上記試験体のCV測定により得られるサイクリックボルタモグラムの一例である。先ず、開始電位0.5mVから終了電位1Vまで正方向に掃引した場合について説明する。電位を正方向に掃引した場合、図4に示すサイクリックボルタモグラムには、二つのピークが観測される。一つは0.1V付近に観測されるピーク(i)であり、触媒からプロトンが脱離することに伴う電流変化に由来するものである。もう一つは0.8V付近に観測されるピーク(ii)であり、触媒に酸化被膜が形成されることに伴う電流変化に由来するものである。尚、ピークにおける電位や電流値は、測定対象電極30の構成や、掃引電位範囲、掃引速度等によって変化するものである。
次に、掃引方向を反転させ、開始電位1Vから終了電位0.5mVまで負方向に掃引した場合について説明する。電位を負方向に掃引した場合、図4に示すサイクリックボルタモグラムには、三つのピークが観測される。一つは0.8V付近に観測されるピーク(iii)であり、形成された酸化被膜が還元されることに伴う電流変化に由来するものである。また二つ目は、0.1V付近に観測されるピーク(iv)であり、触媒にプロトンが吸着することに伴う電流変化に由来するものである。三つ目は掃引終了電位付近で観測されるピーク(v)であり、水素発生に由来するものである。ピーク(v)に対応する電位は、水素発生電位VH2と呼ばれている。尚、ピークにおける電位や電流値が測定対象電極30の構成等によって変化することは正方向掃引時と同様である。
サイクリックボルタモグラムから吸着電気量Qを求める方法について説明する。本実施形態では、負方向掃引時のサイクリックボルタモグラムに基づいて、吸着電気量Qを算出する。負方向掃引時のプロトン挙動としては、触媒への吸着、その後の着脱の順に起こると考えられる。従って、酸化被膜の還元が終了し触媒への吸着が開始される電位(図4の0.45V付近)から、掃引終了電位(0.5mV)までの電気量を計算し、電気二重層の充電容量を差し引けば吸着電気量Qが求められるはずである。
ところが、負方向掃引時のサイクリックボルタモグラムに基づいて算出する際には、上述したピーク(v)を考慮する必要がある。ピーク(v)は、白金触媒の反応サイトの全てがプロトンで埋まる前に、吸着プロトンが水素分子となって脱離し、空席となった反応サイトに別のプロトンが吸着することに起因するものである。ピーク(v)に関する現象が起こると、測定対象電極30において電子が次々に消費されることになるので電流が流れる。そのため、水素発生電位VH2よりも低電位側において、電流値の落ち込みが観測されることになる。
ピーク(v)に関する現象を考慮した場合、吸着電気量Qの計算からピーク(v)を除外することが考えられる。即ち、吸着電気量Qの計算において、水素発生電位VH2より高電位側の電位(例えば0.1V)から掃引終了電位(0.5mV)までの電気量を除外することが考えられる。しかしながら、ピーク(v)に関する現象がプロトン吸着の初期から起きた場合には、水素発生電位VH2が高電位側にシフトすることになる。
図5は、水素発生電位VH2が高電位側にシフトした場合のサイクリックボルタモグラムである。図5のサイクリックボルタモグラムでは、掃引終了電位付近において、電流値の大幅な落ち込みが観測される。これは、水素発生電位VH2が0.2V付近に測定されたことと関連がある。即ち、プロトン吸着の比較的初期からピーク(v)の現象が起こった結果、電流値の大幅な落ち込みに繋がったものである。また、水素発生電位VH2が0.2V付近に観測されることで、ピーク(v)とピーク(iv)との判別が困難となる。従って、吸着電気量Qを正確に求めることができなくなる。
水素発生電位VH2の高電位側シフトと、電流値の大幅な落ち込みは、測定対象電極30側に、例えば窒素ガスといった気体を供給しながらCV測定する場合、より顕著に観測される。これは、気体供給時ほど、測定対象電極30内に存在するガスフェイズの影響が大きくなるからである。ガスフェイズが存在すると、対向電極32側から供給された水素ガスとの間で濃度差を生じ、濃淡電池の原理により両極間に過剰に電流が流れるからである。従って、過剰に電流が流れた結果、高電位側から掃引終了電位付近にかけて、電流値の落ち込みが顕著に観測されることになる。
このように、水素発生電位VH2の高電位側へのシフトは吸着電気量Qの算出に影響を及ぼすので、抑制できることが望ましい。その理由から、本実施の形態においては、測定対象電極30側を純水に浸している。図6は、測定対象電極30側を純水に浸した場合のサイクリックボルタモグラムである。図6に見られる水素発生電位VH2は、図5の水素発生電位VH2よりも低電位側に観測される。これは、測定対象電極30側に水(液体)が存在することで、低電位においてもプロトン状態で吸着可能となるからである。高電位側へのシフトが抑制できれば、ピーク(v)を明確化できることになる。ピーク(v)を明確化できれば、ピーク(iv)との判別が容易となるので、吸着電気量Qを正確に求めることができる。
図7に、本実施形態における吸着電気量Qの算出方法の具体例を示す。本実施形態においては、プロトン吸着が開始する電位(0.4V)から、A:(110)で表されるピークに対応する電位(0.1V)までの面積を積分し、電気二重層分を差し引いた値を吸着電気量Qとして算出する。A:(110)で表されるピークは、図7のピーク(v)に対応するピークであり、白金の(110)面に由来するものであると考えられている。尚、本図B:(111)で表されるピークは、白金の(111)面に由来するものであると考えられている。
[測定対象電極側を純水に浸す場合の問題点]
上述したように、測定対象電極30側を純水に浸せば、吸着電気量Qを正確に求めることが可能となる。しかし、純水に浸すことで、他の問題点が発生する。この問題点に関し、図8を用いて説明する。図8は、図3の破線Aで囲まれた領域の拡大図である。図8に示す測定対象電極30は、カーボン粒子301を含み、その外表面や空孔内には、白金触媒302a,302bが担持されている。白金触媒302aと白金触媒302bとの違いは、アイオノマー303に被覆されているかの違いである。即ち、白金触媒302aが被覆(一部被覆も含む)のもの、白金触媒302bが非被覆のものである。また、図8に示す矢印は、プロトンの流れを示したものである。
図8(a)に示すように、測定対象電極30を純水に浸した場合、電解質膜34側から移動してきたプロトンは、アイオノマー303内を移動可能なだけでなく、水中をも移動可能である。そのため、白金触媒302b上にも移動可能となるので、CV測定に際し、白金触媒302bにプロトンが吸着できる。プロトンが吸着すれば、測定対象電極30と、対向電極32との間に電流が生じるので吸着電気量Qが上昇する。従って、測定対象電極30を純水に浸した場合、白金触媒302bをもカウントするので、実際よりも吸着電気量Qが増える可能性がある。
上述したように、吸着電気量QはECAと相関があるのでECAを算出できる。ECAは、電極性能の指標であり、ECAが大きい程良好であるとされる。そのため、実際よりも吸着電気量Qが増えた場合、ECAも増加することになるので、電極性能が良好であるとされる。しかしながら、白金触媒302bのような触媒が含まれた電極を燃料電池に用いた場合、白金触媒302bを触媒として利用できないので、要求に応じた電池出力が得られない可能性もある。
そこで、本実施の形態では、測定対象電極30をプロトン非伝導性の溶媒に浸した場合の吸着電気量Q(吸着電気量Qとする)を求めることとした。更に、この純水に浸した場合の吸着電気量(吸着電気量QH2Oとする)に対する吸着電気量Qの百分率から、白金触媒302aがどの程度存在するかを表す触媒利用率(以下、「白金被覆率」ともいう。)として求めることとした。図8(b)に示すように、測定対象電極30をプロトン非伝導性の溶媒に浸した場合、電解質膜34側から移動してきたプロトンは、アイオノマー303内部のみ移動できる。そのため、CV測定に際し、白金触媒302bにプロトンが吸着することはない。従って、吸着電気量QH2Oと同時に吸着電気量Qを算出して白金被覆率を求めれば、測定対象電極30の被覆特性を客観的に評価できる。また、白金被覆率を求めれば、ECAの補完的なパラメータとして利用できる。従って、測定対象電極30を高精度に評価できる。
尚、本実施形態においては、プロトン非伝導性の溶媒として住友スリーエム社製のフロリナート(商品名)を使用するが、他の溶媒も使用が可能である。他の溶媒の選定に際しては、CV測定後に除去可能か(例えば、低温加熱で除去可能か)、表面エネルギーが小さく触媒層の細孔に容易に入り込むことが可能か、白金に対する被毒性が無いか等を考慮することが望ましい。
図9および図10は、実際に作製したMEA1、MEA2をCV測定して得られたサイクリックボルタモグラムである。MEA1、MEA2は次のように作製した。
(MEA1)
白金を重量比で60%担持したカーボン粒子およびアイオノマーを、I/C(カーボンに対するアイオノマーの重量比)=1.0となるように調製した触媒インクを、電解質膜上に目付け量0.5mg/cmで直接塗布して作製した。
(MEA2)
白金を重量比で20%担持したカーボン粒子およびアイオノマーを、I/C=0.75となるように調製した触媒インクを電解質膜上に目付け量0.1mg/cmで直接塗布して作製した。
これらMEA1、MEA2に対するCV測定の条件は次の通りである。
(CV測定条件)
作製したMEA1、MEA2を温度40℃の下、測定対象電極を純水/フロリナート溶媒に浸し、対向電極側から水素ガスを露点60℃、流量500cc/minで供給し、50mV〜1.0V、50mV/secの電位を掃引した。
図9および図10中、破線が純水に浸した場合に対応し(HO)、実線がフロリナート溶媒(F溶媒)に浸した場合に対応する。図9に示すように、MEA1においては、純水に浸した場合の吸着電気量QH2Oと、F溶媒からに浸した場合の吸着電気量Qとが一致する。具体的に算出すると、白金被覆率は100%となる。一方、図10に示すように、MEA2においては、純水に浸した場合の吸着電気量QH2Oと、F溶媒からに浸した場合の吸着電気量Qとが異なる値をとる。具体的に算出すると、白金被覆率は77.5%となる。白金被覆率が77.5%となったのは、MEA2のI/CをMEA1に比べて少なく調製したため、アイオノマーの被覆が十分でない箇所があったと考えられた。
以上、本実施の形態によれば、測定対象電極中の白金被覆率を算出できる。白金被覆率を算出できれば、測定対象電極30の被覆特性を客観的に評価できる。また、白金被覆率をECAの補完的なパラメータとして評価できるので、ECAが大きいにも関らず、要求に応じた電池出力が得られないといった弊害の発生を未然に防止することができる。防止措置としては、例えば、セルスタックの組立時において、白金被覆率の高い電極を選別して採用することが挙げられる。また、セルスタックを自動車等に搭載した後、定期メンテナンスにおいて、触媒の被毒、システム不調等の様々な原因の中から、白金被覆率低下と診断できることも挙げられる。この場合には、セルスタックに対して適切な処置(修理)を施すことが可能となる。
尚、本実施の形態においては、負方向掃引時のサイクリックボルタモグラムにおいて、プロトン吸着が開始する電位から、白金の(110)面に由来するピークに対応する電位までの面積を積分し、電気二重層分を差し引いて吸着電気量Qを算出した。しかしながら、吸着電気量Qはこれに限られず、純水等のプロトン伝導性溶媒と、プロトン非伝導性溶媒との比を算出できる特性値であれば代用が可能である。具体的には、プロトン吸着が開始する電位から、白金の(110)面に由来するピーク後に最初に観測される変曲点(図7の変極点C)までの面積を積分し、電気二重層分を差し引いて吸着電気量Qを算出してもよい。即ち、水素発生電位VH2よりも低電位側の電気量を除外して算出できる吸着電気量Qであれば、特に限定されない。従って、上記の積分範囲内の任意電位における電流値から電気二重層分の電流値を差し引いた値を吸着電気量Qとすることも可能である。
更には、正方向掃引時のサイクリックボルタモグラムに基づいて算出した値を吸着電気量Qとして用いてもよい。正方向掃引時においても、プロトン吸着・脱離は発生しているからである。具体的には、掃引開始電位直後から観測されるプロトン脱離に由来する上向きの突出部と、その裾野の接線で囲まれる面積をもって吸着電気量Qとすることも可能である。
実施の形態2.
次に、図11および図12を参照して本実施の形態2を説明する。サイクリックボルタモグラムの吸着電気量Qに基づいて白金被覆率を求めた実施の形態1とは異なり、本実施形態においては、サイクリックボルタモグラムの電気二重層に基づいて白金被覆率を求めることをその特徴とする。従って、CV測定時における試験体の構成や測定法等は実施の形態1と同様のため、その説明を省略する。
実施の形態1においては、吸着電気量Qを算出する際に、電気二重層分は差し引かれていた。この理由は、電気二重層というものが、白金触媒表面に吸着したプロトン層と、その外層の不動化された対イオン層という二つの層から形成されると考えられているからである(Stern,Grahamモデル)。故に、白金触媒表面においては正負の荷電が相対立した状態にあり、プロトンは白金触媒表面に固定化されたままとなる。従って、プロトンは白金触媒表面から脱離できなくなるので、吸着電気量Qの算出時に電気二重層分が差し引かれるのである。
ここで、図11を用い電気二重層について説明する。図11は、測定対象電極を純水およびF溶媒のそれぞれに浸した際に得られるサイクリックボルタモグラムである。図11中、破線が純水に浸した場合に対応し、実線がF溶媒に浸した場合に対応する。図11に示すように、正方向掃引時には、プロトン脱離に伴うピーク(i)と、酸化被膜形成に伴うピーク(ii)との間に、電流値がブロードとなる領域が観測される。負方向掃引時も同様に、酸化被膜還元に伴うピーク(iii)と、プロトン吸着に伴うピーク(iv)との間に、電流値がブロードとなる領域が観測される。電気二重層は、これらの領域における電流値幅I(I、IH2O)、即ち電気二重層電流を電位掃引範囲で積分した値として求められる。
図12は、白金担持比の異なる4つのカーボン粒子を電極についてCV測定した際の、ECAと、電気二重層電流との関係を示した図である。図中、P10K、P30K、P60Kとあるのは、それぞれ白金の重量比が10%、30%、60%であることを示している。図12から分かるように、ECAと電気二重層電流とは、略比例関係となる。即ち、白金担持量が多くなれば電気二重層電流が大きくなる。
ところで、電気二重層は、白金触媒がアイオノマーに被覆されている場合でも同様に形成される。即ち、アイオノマー内のプロトンは、白金触媒の表面において対イオン(水中の水酸化物イオン)と電気二重層を形成する。従って、アイオノマーに被覆された白金触媒の表面に、電気二重層が形成される。ところが、非被覆の白金触媒の表面には、電気二重層が形成されない場合がある。例えば、測定対象電極をプロトン非伝導性の溶液に浸した場合、プロトンは非被覆表面まで移動できない。従って、対イオンの層を形成できないので電気二重層が形成されないことになる。
そこで、本実施形態においては、測定対象電極30をプロトン非伝導性の溶媒に浸した場合の電気二重層の電流値幅Iを求め、純水に浸した場合の電気二重層の電流値幅IH2Oに対する電流値幅Iの百分率から、白金被覆率を求める。従って、電流値幅Iの百分率から求めた白金被覆率を用いれば、測定対象電極30の被覆特性を客観的に評価できる。また、実施の形態1の吸着電気量Qに基づく白金被覆率と併せて用いれば、より高精度にECAを評価等できる。
実施の形態3.
次に、本実施の形態3を説明する。本実施形態においては、CV測定時に、対向電極32側から供給する水素ガスの濃度を低下させたことをその特徴とする。従って、測定時における試験体の構成等は実施の形態1と同様のためその説明を省略する。
既に実施の形態1で説明した通り、測定対象電極30側を純水に浸すことで、負方向掃引時に水素発生電位VH2が高電位側にシフトすることを抑制できる。しかしながら、測定対象電極30の一部に純水に浸されていない非浸水空間が存在する場合、純水による高電位側シフト抑制効果が期待できず、比較的高電位において水素発生電位VH2が観測されることになる。また、この非浸透空間がガスフェイズとして存在してしまう可能性がある。ガスフェイズが存在する場合、対向電極32側から供給された水素ガスとの間で濃度差を生じることになるので、濃淡電池の原理により両極間に過剰に電流が流れる。これらのことから、非浸水空間が存在する場合、高電位側から掃引終了電位付近にかけて、電流値の落ち込みが顕著に観測されることになる。
そこで、本実施形態においては、対向電極32側から供給する水素ガスに窒素ガスを混合させ、水素ガス濃度を低下させることとした。具体的には、供給ガス中の水素ガスの体積割合を10%〜30%(好ましくは10%〜20%)とする。水素ガスの割合を上記範囲とすることで、ガスフェイズが存在するような場合であっても、濃淡電池の現象を起きにくくすることができる。従って、水素発生電位VH2の高電位側シフトを抑制できるので、吸着電気量Qを正確に求めることができる。
実施の形態4.
次に、図13〜図15を参照して本実施の形態4を説明する。上述した実施形態1〜3においては、測定対象電極30を液体(水或いはF溶媒)に浸した状態でCV測定していた。しかしながら、セルスタックとして一旦出荷した場合、測定対象電極30内に液体を行き渡らせることが困難となる。これは、セルスタック状態ではアノード、カソード両触媒層が撥水性を有するガス拡散層と接合されているからである。仮に、測定対象電極30を液体で満たせなければ、測定対象電極30に非浸水空間が存在してしまうことになる。そして、実施の形態3で述べたように、非浸水空間が存在した場合、高電位側から掃引終了電位付近にかけて、電流値の顕著な落ち込みが観測されることになる。その結果、吸着電気量Qを正確に求めることができなくなる。
測定対象電極30を浸す液体のうち、F溶媒は、表面エネルギーが小さく触媒層の細孔に容易に入り込むことが可能なものを選択できる。しかし、純水は代用が利かないため、如何にして行き渡らせるかが問題となる。
図13〜図15は、それぞれセルスタックに組み込まれた燃料電池に純水を満たす方法を示したものである。尚、燃料電池の各種構成については、図1の説明の際に既に述べたため省略する。また、これらの図においては、カソード触媒層16に純水を満たす方法を示しているが、アノード触媒層14に対しても適用が可能である。
図13に示す方法は、セパレータ24に形成された流路に純水を水圧で押し込む方法である。具体的には、流路の上流側にコンプレッサ36を設けると共に下流側に調圧バルブ38を設け、純水をガス拡散層22の透水圧よりも高圧となるように調節する。これにより、セパレータ24を経由させて、純水をカソード触媒層16に押し込むことができる。
また、図14に示す方法は、アノード触媒層14とカソード触媒層16の冷却水に温度差をつける方法である。具体的には、両触媒層にフル加湿のガスを供給しながらアノード触媒層14の冷却水温Taを60℃、カソード触媒層16の冷却水温Tbを40℃とする。これにより、温度差を利用してアノード触媒層14からカソード触媒層16へ水を移動させて、カソード触媒層16を純水で満たすことができる。
また、図15に示す方法は、セル温度を上昇させた状態でアノード触媒層14側から蒸気を送り、その後にセル温度を低下させる方法である。具体的には、セル温度を60℃、アノードバブラーを60℃として、セパレータ24に形成された流路に水を浸す。その後、両極のガスの入口弁/出口弁を閉じてセル温度を40℃に低下させる。これにより、水を凝結させて、カソード触媒層16を純水で満たすことができる。
その他、セパレータ24に形成された流路に真空ポンプを接続してカソード触媒層16を真空にした後に純水を投入することでカソード触媒層16を純水で満たしてもよい。以上、本実施の形態によれば、セルスタックに組み込まれた状態であっても、CV測定を容易にできる。従って、出荷後の定期的なメンテナンスにおいて有用となり得る。
30 測定対象電極
32 対向電極
34 電解質膜
301 カーボン粒子
302a,302b 白金触媒
303 アイオノマー

Claims (10)

  1. 触媒担持カーボン及びアイオノマーを有する電極において、アイオノマーに被覆されている触媒がどの程度存在するかを表す触媒利用率を測定する方法であって、
    測定対象電極にプロトン伝導性溶液を浸透させ、前記測定対象電極とプロトン伝導性膜を隔てて対向する対向電極側から水素ガスを供給しながら前記測定対象電極と前記対向電極との間に予め設定した印加範囲の電位を掃引し、プロトンの吸着に関する第1電気量を取得する工程と、
    測定対象電極にプロトン非伝導性溶液を浸透させ、前記対向電極側から水素を供給しながら前記測定対象電極と前記対向電極との間に前記印加範囲の電位を掃引し、プロトンの吸着に関する第2電気量を取得する工程と、
    前記第1電気量と第2電気量とを比較して触媒利用率を算出する工程と、
    を備えることを特徴とする触媒利用率の測定方法。
  2. 前記第1電気量および前記第2電気量が、電位の負方向掃引時の電流の履歴における、プロトンが触媒に吸着し始めたと認められる吸着開始電位から、吸着したプロトンが着脱し始めたと認められる水素着脱電位までの間の任意電位に対応する電流値の夫々であることを特徴とする請求項1に記載の触媒利用率の測定方法。
  3. 前記第1電気量および前記第2電気量が、電位の負方向掃引時の電流の履歴を、プロトンが触媒に吸着し始めたと認められる吸着開始電位から、吸着したプロトンが着脱し始めたと認められる水素着脱電位まで積分した積分値の夫々であることを特徴とする請求項1に記載の触媒利用率の測定方法。
  4. 前記吸着開始電位が、酸化被膜還元に由来するピークからプロトン吸着に由来するピークまでの間の最高電流値に対応する電位であり、前記水素着脱電位が、触媒の(110)面に由来する吸着ピーク後に最初に表れる変曲点に対応する電位であることを特徴とする請求項2または3に記載の触媒利用率の測定方法。
  5. 前記第1電気量および前記第2電気量が、電位の正方向掃引時の電流の履歴における、プロトン脱着に由来するピークから酸化被膜生成に由来するピークまでの間の最低電流値と、負方向掃引時の電流変化の履歴における、酸化被膜還元に由来するピークからプロトン吸着に由来するピークまでの間の最高電流値との差の夫々であることを特徴とする請求項1に記載の触媒利用率の測定方法。
  6. 前記対向電極側から更に窒素ガスを供給して前記第1電気量および前記第2電気量を取得することを特徴とする請求項1乃至5何れか1項に記載の触媒利用率の測定方法。
  7. 全供給ガス中における窒素ガス割合が90体積%以下であることを特徴とする請求項6に記載の触媒利用率の測定方法。
  8. 前記測定対象電極、前記プロトン伝導性膜および前記対向電極は、燃料電池スタック内に組み込まれた膜電極接合体を構成し、
    前記測定対象電極は、前記プロトン伝導性膜の形成面とは反対側の面に撥水層を備え、 前記撥水層の透水圧よりも高圧で供給することにより、前記プロトン伝導性溶液を前記測定対象電極に浸透させることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項に記載の触媒利用率の測定方法。
  9. 前記測定対象電極、前記プロトン伝導性膜および前記対向電極は、燃料電池スタック内に組み込まれた膜電極接合体を構成し、
    前記測定対象電極を前記対向電極よりも低温にすることにより、前記プロトン伝導性溶液を前記測定対象電極に浸透させることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項に記載の触媒利用率の測定方法。
  10. 前記測定対象電極、前記プロトン伝導性膜および前記対向電極は、燃料電池スタック内に組み込まれた膜電極接合体を構成し、
    温度を上昇させた状態の前記膜電極接合体の前記対向電極側からプロトン伝導性溶液を供給し、供給停止後に前記膜電極接合体の温度を低下させることにより、前記プロトン伝導性溶液を前記測定対象電極に浸透させることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項に記載の触媒利用率の測定方法。
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