JP5391794B2 - 電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋 - Google Patents

電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋 Download PDF

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Description

本願発明は、電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋、特に一般に土鍋と呼ばれる焼物タイプの電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋の構成に関するものである。
最近では、内鍋と、該内鍋が収納される炊飯器本体と、上記内鍋の外周面に対向するように配置され、上記内鍋を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備えた電磁誘導加熱式電気炊飯器であって、上記内鍋を蓄熱性の高い焼物(セラミック材)で構成するとともに、同内鍋の上記炊飯器本体内に収納された時の上記誘導加熱コイルに対向する外周面部分に電磁誘導加熱可能な金属材料からなる内鍋加熱部材を接合した電磁誘導加熱式電気炊飯器が提供されている。
このような電磁誘導加熱式電気炊飯器において使用される内鍋では、その内周面側には、光沢を出して滑らかにするとともに、ご飯のこびりつき、焦げつきを生じさせないために、例えばリチウム系結晶化ガラスなどからなるガラス質の釉薬やフッ素樹脂の塗布を施すようにしている(例えば特許文献1を参照)。
このような構成の内鍋では、炊飯開始スイッチのON操作によって炊飯動作が開始されると、所定の手順に従って上記誘導加熱コイルに高周波電流が供給される。そして、上記誘導加熱コイルに発生する交番磁界により、同誘導加熱コイルと対向する内鍋外周部分の内鍋加熱部材が電磁誘導可能に結合して渦電流が流れる。
そして、同内鍋加熱部材は、この渦電流によるジュール熱により発熱し、その熱が内鍋へ伝達され、上記内鍋の内周面側に施されたガラス質の釉薬層、又は上記フッ素樹脂コーティング層を介して米と水を加熱する。このとき、熱の一部は上記内鍋基材を通して内鍋の底面部から側壁部へと伝わり、内鍋全体が温められて米と水が均一に加熱される。
また、内鍋の内周面にガラス質の釉薬又はフッ素樹脂コーティングが施されていることから、ある程度の発水性が確保されるので、一応ご飯の付着しにくい内鍋が得られる。
しかし、上記釉薬層だけの場合、非通水機能はともかくとして、ご飯のこびりつきや焦げつきの回避に対しては、決して満足の行くものではなかった。
また、一方フッ素樹脂をコーティングした構成の場合、釉薬層の場合に比べると、遥かに焦げつき等防止効果が高いが、フッ素樹脂がセラミック製の基材表面から剥がれやすく、耐久性、信頼性に欠ける問題があった。
そこで、このような事情に対応し、例えばセラミック鍋の表面をサンドブラスト処理して粗化した上で、その上部に金属酸化物を含むアルミナ膜を形成し、該アルミナ膜を介して上面側にフッ素樹脂を塗布し、焼成することによって、フッ素樹脂膜を形成するようにしたものも提案されている(例えば特許文献2を参照)。
このような構成によると、セラミック鍋の表面をサンドブラストすることにより粗化した上で、アルミナ膜を形成しているので、セラミック鍋に対するアルミナ膜の密着性が高くなるので、セラミック鍋とフッ素樹脂との密着性をも或る程度向上させることができる。
特開2005−413号公報 特開2008−279083号公報
しかし、上記特許文献2の構成の場合、たしかにアルミナ膜とセラミック鍋との密着性は向上するとしても、あくまでもアルミナはセラミックであり、仮に金属を混合したとしても金属と同等の特性は生じ得ない。したがって、セラミック鍋との密着性が十分に高くなるとは言い難い。特に対象となるセラミック鍋が素焼状態のものならともかく、その表面に釉薬層を有するものの場合には、より密着度が向上しにくい。
また、フッ素樹脂膜は、単にアルミナ膜上に塗布されているのみであり、最終的に焼成されるとしても、必ずしも両者の間に確実な密着性が維持されるとは限らない。したがって、やはり付着状態の安定性に欠け、剥がれやすいという問題が残されている。
また、セラミック鍋の表面にアルミナ等のセラミック膜を形成するためには、プラズマ溶射機やメタリコン溶射機等の高価で大がかりな溶射機を用いて、狭い幅で溶射して行く必要があり、簡易かつ安価なアーク溶射機を用いて溶射することができない。
さらに、釉薬層に比べてアルミナ膜は高価であり、それによって内鍋本体の非通水性を実現しようとした場合、内鍋自体が高価にもなる。
本願発明は、このようなフッ素樹脂コート層形成上の問題を解決するためになされたもので、上述のごとく、内鍋の基体部分を焼物によって形成するとともに、同内鍋の基体内周面に所定の釉薬層を形成し、同釉薬層の表面を粗化し、凹凸面を形成した上で、その上に金属溶射層を形成することによって、金属溶射層の表面にも凹凸面を形成する そして、次に凹凸面を有する金属溶射層の表面に所定の平滑化処理を施した上でフッ素樹脂コート層を形成することにより、フッ素樹脂の金属溶射層に対する密着度を大きくし、ご飯のこびりつきと焦げつきを防止しながら、その信頼性、耐久性をも向上させた電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋を提供することを目的とするものである。
本願発明は、上記の目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1) 請求項1の発明
この発明は、 内周面側および外周面側各々の表面に釉薬層を形成した焼物よりなり、該焼物の内周面側に、同内周面側の釉薬層の表面を粗化し、凹凸面を形成した上で、金属溶射層を設けることによって、該金属溶射層の表面に上記釉薬層表面の凹凸面に沿った凹凸面を形成し、該凹凸のある金属溶射層の表面に同凹凸部を利用してフッ素樹脂コート層を設けるとともに、上記焼物の外周面側の所定の位置に電磁誘導加熱用の加熱部材を設けてなる電磁誘導加熱式電気炊飯器の内鍋であって、上記焼物内周面側の上記金属溶射層表面の凹凸部の凸部頂端は、複数の凸部間に所定の深さの複数の凹部を残した状態で所定のレベルに平滑化処理されており、上記フッ素樹脂コート層は、同複数の凸部の頂端が平滑化処理された凹凸部を介して上記金属溶射層に係合されていることを特徴としている。
このような構成によれば、釉薬層の表面に、さらに金属溶射層を介してフッ素樹脂コート層が形成されているので、釉薬層だけの場合に比べて遥かに内鍋内周面のご飯に対する非粘着性が高くなり、ご飯のこびりつき、焦げつきが生じにくくなる。
そして、同構成では、内鍋内周面側の釉薬層の表面を粗化し、凹凸面を形成した上で、金属溶射層を設けているので、非通水性を実現しながらも焼物である内鍋基体と金属溶射層との結合力が大きく、さらに、それによって金属溶射層の表面にも釉薬層表面の凹凸面に沿った凹凸面が形成されることになり、該凹凸のある金属溶射層の表面に同金属溶射層表面の凹凸部を利用してフッ素樹脂コート層が設けられるので、フッ素樹脂コート層の金属溶射層に対する結合力をも向上させることができる。
しかも、金属溶射層表面の凹凸部は、同金属溶射層表面の凹凸部の凸部の頂端を複数の凸部間に所定の深さの複数の凹部を残した状態で所定のレベルに平滑化処理し、フッ素樹脂コート層が、同複数の凸部の頂端が平滑化処理された凹凸部を介して金属溶射層に結合されるようにすることによって、最終的にコーティングされたフッ素樹脂コート層が凹部による有効な係合力を維持しながら、高さの異なるランダムな凸部の突き抜けによるピンホールの発生を防止し、水目盛印刷時等のインクの付着性を向上させるようになっている。
フッ素樹脂コート層、上記のように金属溶射層を所定のレベルに平滑処理した上で形成するようにすると、従来に比べて密着度が大きく向上して、より剥がれが生じにくくなり、特許文献2のフッ素コーティング層の場合に比べて、遥かに信頼性の高いものとなる。
また、上記金属溶射層は、セラミック膜に比べて硬度が低く、平滑化処理も容易である。
さらに、上記金属溶射層は、セラミック膜などと違って簡易かつ安価なアーク溶射機によって容易に溶射して行くことができる。
(2) 請求項2の発明
この発明は、内周面側および外周面側各々の表面に釉薬層を形成した焼物よりなり、該焼物の内周面側に、同内周面側の釉薬層の表面を粗化し、凹凸面を形成した上で、金属溶射層を設けることによって、該金属溶射層の表面に上記釉薬層表面の凹凸面に沿った凹凸面を形成し、該凹凸のある金属溶射層の表面に同凹凸部を利用してフッ素樹脂コート層を設けるとともに、上記焼物の外周面側の所定の位置に電磁誘導加熱用の加熱部材を設けてなる電磁誘導加熱式電気炊飯器の内鍋であって、上記金属溶射層がアルミ溶射層であり、上記焼物内周面側のアルミ溶射層表面の凹凸部の凸部頂端は、複数の凸部間に所定の深さの複数の凹部を残した状態で所定のレベルに平滑化処理されており、上記フッ素樹脂コート層は、同複数の凸部の頂端が平滑化処理された凹凸部を介してアルミ溶射層に係合されていることを特徴としている。
このような構成によれば、釉薬層の表面に、さらに金属溶射層を介してフッ素樹脂コート層が形成されているので、釉薬層だけの場合に比べて遥かに内鍋内周面のご飯に対する非粘着性が高くなり、ご飯のこびりつき、焦げつきが生じにくくなる。
そして、同構成では、内鍋内周面側の釉薬層の表面を粗化し、凹凸面を形成した上で、金属溶射層を設けているので、非通水性を実現しながらも焼物である内鍋基体と金属溶射層との結合力が大きく、さらに、それによって金属溶射層の表面にも釉薬層表面の凹凸面に沿った凹凸面が形成されることになり、該凹凸のある金属溶射層の表面に同金属溶射層表面の凹凸部を利用してフッ素樹脂コート層が設けられるので、フッ素樹脂コート層の金属溶射層に対する結合力をも向上させることができる。
しかも、金属溶射層表面の凹凸部は、同金属溶射層表面の凹凸部の凸部の頂端を複数の凸部間に所定の深さの複数の凹部を残した状態で所定のレベルに平滑化処理し、フッ素樹脂コート層が、同複数の凸部の頂端が平滑化処理された凹凸部を介して金属溶射層に結合されるようにすることによって、最終的にコーティングされたフッ素樹脂コート層が凹部による有効な係合力を維持しながら、高さの異なるランダムな凸部の突き抜けによるピンホールの発生を防止し、水目盛印刷時等のインクの付着性を向上させるようになっている。
フッ素樹脂コート層を、上記のように金属溶射層を所定のレベルに平滑処理した上で形成するようにすると、従来に比べて密着度が大きく向上して、より剥がれが生じにくくなり、特許文献2のフッ素コーティング層の場合に比べて、遥かに信頼性の高いものとなる。
また、上記金属溶射層は、セラミック膜に比べて硬度が低く、平滑化処理も容易である。
さらに、上記金属溶射層は、セラミック膜などと違って簡易かつ安価なアーク溶射機によって容易に溶射して行くことができる。
そして、この発明の場合、上述のような金属溶射層を形成する金属溶射材としてアルミ材を用いている。このようにアルミ材を用いると、溶射が容易であるとともに、セラミック膜に比べて硬度が低いために、以後のビーズショット加工等の平滑処理加工によって容易に表面が平滑化される。
したがって、アーク溶射機によって溶射可能な各種金属材料の中でも、アルミ材は、最適である。
(3) 請求項3の発明
この発明は、上記請求項1又は2の発明の構成における金属溶射層の平滑化処理は、ガラスビーズショット加工であることを特徴としている。
アルミ等の金属材料によるショットブラスト処理とは異なり、ガラスビーズショットは一定の荷重が加わると、ガラスビーズ自身が破損することから、被加工面を削り取るだけでなく、被加工面をたたく・つぶすという好ましいショット効果が働く。
したがって、同ガラスビーズショットで、所定の平滑レベル、例えば内鍋本体内周面上の凹凸面に沿った凹凸のあるアルミ溶射層の当該凹凸面の凸部の頂点付近のみを削る程度のショット加工を行うと、全くの平滑面ではないが、凹部は残りの凸部部分が平坦に近くなる形で残されることから、同凹部内へのフッ素樹脂材の侵入による係合効果(アンカー効果)が発揮され、密着度が確実に向上する。
また、それにより例えば水量目盛形成のための転写印刷(パッド印刷)を行う場合などにも、同頂部がフラットに近くなった凸部および凸部周辺に印刷インクが付着しやすくなる一方、凹部内にはインクが付着しない。したがって、より確実に明瞭で滲みのないクリアな印刷を行うことが可能となる。
以上の結果、本願発明によると、従来の内鍋に比べて、遥かに長期に亘ってこびりつき、焦げつきの生じない美味しいご飯の炊き上げ性能を実現することができるようになる。
本願発明の実施の形態に係る電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋の全体的な断面構造を示す図である。 同内鍋の底壁部の構造を拡大して示す断面図である。 同内鍋の底壁部の要部(図1のA部)の構造を拡大して示す断面図である。
図1〜図3は、本願発明の実施の形態に係る電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋の構成を示している。
この内鍋1は、すでに述べたような一般に土鍋と呼ばれる炊飯用の内鍋であって、例えば図1に示す内鍋本体(基体)1a〜1d部分は、焼結時の耐熱温度が高く、保温時の蓄熱性が良いコーディエライト系の焼物材料よりなり、図示のような高台部1eおよび口縁部1fを備えた有底断面形状のものに形成されている。
そして、その底部1aの高台部1e内側には第1の加熱部材2a、同底部1aの高台部1eから側壁部1cに連続するアール面形状のコーナー部1bには第2の加熱部材2bが各々接合一体化されている。
これら第1,第2の各加熱部材2a,2bは、図示しない電気炊飯器本体側の誘導加熱コイル(ワークコイル)によって誘起される渦電流によって自己発熱が可能な、例えば銀ペースト等の誘導発熱シートよりなっている。
そして、この内鍋1は、同内鍋1が収納される図示しない電気炊飯器本体と、収納された内鍋1の上記第1,第2の各加熱部材2a,2bに対向するように配置され、同収納された内鍋1を第1,第2の各加熱部材2a,2bを介して誘導加熱する誘導加熱コイルとを備えた電磁誘導加熱式電気炊飯器の上記電気炊飯器本体内に収納セットして使用される。
そして、同電気炊飯器本体内へ内鍋1が収納セットされた状態において、例えば炊飯開始スイッチのON操作等によって炊飯動作が開始されると、所定の手順に従って上記誘導加熱コイルに高周波電流が供給され、上記誘導加熱コイルに発生する交番磁界により、同誘導加熱コイルと対向する上記第1,第2の各加熱部材2a,2bが電磁誘導可能に結合して渦電流が流れる。
そして、同第1,第2の加熱部材2a,2bは、この渦電流によるジュール熱によって発熱し、その熱が同第1,第2の加熱部材2a,2bの内側の内鍋1へ伝達され、同内鍋1内の米と水を加熱する。このとき、熱の一部は上記内鍋1の本体(基体)を通して内鍋1の底部1aからコーナー部1b、コーナー部1bから側壁部1c、側壁部1cから開口部1dへと伝わり、内鍋1の全体が温められて内鍋1内の米と水が均一に加熱される。
なお、上記側壁部1cの外周には、必要に応じて保温ヒータが設けられる。そして、この側壁部1cは、上記底部1aおよびコーナー部1bよりも壁厚が厚くなっており、保温時の蓄熱性が高くなるように構成されている。
ところで、すでに述べたように、従来の内鍋の場合にも、上記内鍋の内周面に釉薬の塗布又はフッ素樹脂コーティング等の表面処理が施されており、これは各種セラミック系基材よりなる内鍋への吸水を押さえる目的と、ご飯のこびりつきや、焦げつきを押さえる目的との2つの目的でなされているものであるが、釉薬層だけの場合、非通水機能はともかくとして、ご飯のこびりつきや焦げつきの回避に対しては、決して満足の行くものではなかった。
また、一方フッ素樹脂をコーティングした構成の場合、釉薬層の場合に比べると、遥かに焦げつき等防止効果が高いが、フッ素樹脂がセラミック製の基材表面から剥がれやすく、耐久性、信頼性に欠ける問題があった。
そこで、このような事情に対応し、例えばセラミック鍋の表面をサンドブラスト処理して粗化した上で、その上部に金属酸化物を含むアルミナ膜を形成し、該アルミナ膜を介して上面側にフッ素樹脂を塗布し、焼成することによって、フッ素樹脂膜を形成するようにしたものも提案されている。
このような構成によると、セラミック鍋の表面をサンドブラストすることにより粗化した上で、アルミナ膜を形成しているので、セラミック鍋に対するアルミナ膜の密着性が高くなるので、セラミック鍋とフッ素樹脂との密着性をも或る程度向上させることができる。
しかし、この構成の場合、たしかにアルミナ膜とセラミック鍋との密着性が向上するとしても、あくまでもアルミナはセラミックであり、仮に金属を混合したとしても金属と同等の特性は生じ得ない。したがって、セラミック鍋との密着性が十分に高くなるとは言い難い。特に対象となるセラミック鍋が素焼状態のものならともかく、その表面に釉薬層を有するものの場合には、より密着度が向上しにくい。また、同構成の場合、フッ素樹脂膜は、単にセラミックであるアルミナ膜上に塗布されているのみであり、最終的に焼成されるとしても、必ずしも両者の間に確実な密着性および結合性(アンカー効果)が維持されるとは限らない。したがって、やはりフッ素樹脂層密着状態の安定性に欠け、フッ素樹脂層剥離の問題が残されている。
また、セラミック鍋の表面にアルミナ等のセラミック膜を形成するためには、プラズマ溶射機やメタリコン溶射機等の高価で大がかりな溶射機を用いて、狭い幅で溶射して行く必要があり、簡易かつ安価なアーク溶射機を用いて溶射することができない。
さらに、釉薬層に比べてアルミナ膜は高価であり、それによって内鍋本体の非通水性を実現しようとした場合、内鍋自体が高価にもなる。また、非通水性も十分でない。
本実施の形態は、上述のようなフッ素樹脂コート層形成上の問題を解決するためになされたもので、上述のごとく、内鍋1の基体部分を土鍋を代表する耐熱性の高いコーディエライト系の焼物によって形成するとともに、その表面に釉薬層4を形成することによって、同内鍋1の非通水性を維持しながら、しかも、ご飯のこびりつき、焦げつきを効果的に防止する方法として、例えば図2、図3に示すように釉薬層4の表面をサンドブラスト処理した上で、その上にアルミ金属の溶射層5を形成する。
そして、次に該アルミ溶射層5の表面に所定のレベルの平滑化処理を施し、アルミ溶射層5の表面に頂部が略フラットな凸部と同凸部の間の凹部を残した上で初めてフッ素樹脂プライマーコート層(第1のフッ素樹脂コート層)6a、フッ素樹脂トップコート層(第2のフッ素樹脂コート層)6bを順次形成することにより、フッ素樹脂のアルミ溶射層5に対する密着度および結合力を大きくし、ご飯のこびりつきと焦げつきを防止しながら、その信頼性、耐久性を向上させた電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋を提供することを目的としている。
すなわち、本実施の形態の内鍋1では、例えば図2、図3に示すように、図1に示す内鍋1の底部1aから開口部1dに亘る素焼状態の内鍋本体(基体)の各部(加熱部材2a,2bのある部分もない部分も含めて)の内周面と外周面の両面に、先ず所望の厚さのリチア系の釉薬層4を形成し、それによって安価に内鍋本体部分の非通水性を実現する。その後、その内周面側部分(米と水が収容される部分)に、所定のサンドブラスト処理を行って同釉薬層4の表面を所定の粗さに粗化する。
そして、その上に、後述するフッ素樹脂コーティング層6a,6b形成のための第1の下地処理として、アーク溶射機等の簡易な溶射機を用いて、アルミ金属の溶射(吹き付け)を行ない、上記釉薬層4表面の上記サンドブラストによって形成された凹凸面(粗面)に沿った凹凸のある所望の厚さのアルミ溶射層5を形成する。このアルミ溶射層5は、上記サンドブラストにより形成された釉薬層4表面の凹凸面部分に効果的に付着係合して密着性良く生成される。そして、その上で、さらに第2の下地処理として同凹凸のあるアルミ溶射層5の表面にガラスビーズショット加工による平滑処理を施し、その表面を所定の平滑レベル、例えば上記のようにサンドブラスト処理された内鍋本体側釉薬層4上の凹凸に沿った凹凸のあるアルミ溶射層5の当該凹凸面の凸部の頂点付近のみを削ってランダムな突起部を無くすとともに頂部の曲率を大きく(極端に言うと、フラットに近く)し、後にコーティングされるフッ素樹脂層のプライマーコート層6aに対して必要な係合力(凹部によるアンカー効果)は与えるが、突き抜けによる不要なピンホールの発生を生じさせず、かつ水目盛印刷時の印刷インクの乗りが良くなる程度に平滑化する。
そして、該ガラスビーズショットにより、そのようなレベルに平滑化されたアルミ溶射層5の上部に、先ずフッ素樹脂プライマーコート層(第1のフッ素樹脂コート層)6aを形成し、同プライマーコート層6aの凸部表面に水目盛7,7,7をパッド印刷する。その後、その上にフッ素樹脂トップコート層6b(第2のフッ素樹脂コート層)をプライマーフッ素樹脂層コート層6aよりも厚い所望の厚さで形成し、焼成することによって、ご飯のこびりつき、焦げつきがなく、しかもフッ素樹脂が剥がれにくくて、水目盛のクリアな好適な内鍋1が構成される。
この場合、上記釉薬層4は、上記リチア系の釉薬を、好ましくは素焼状態の内鍋本体(基体)1a〜1dの内外周面全体に付着性が良好となるブラスト処理を行った上で塗布し、乾燥させて、その後、焼き付け処理することによって形成する。もちろん、このブラスト処理は、してもしなくても良いものであるが、ブラスト処理を行った上で釉薬層4を形成するようにすると、より内鍋本体に対する釉薬層4の密着強度が増す。
また、上記ガラスビーズショットを行うガラスビーズは、例えばモース硬度3〜8の範囲(より好ましくは5.5前後)のシリカ(SiO2)を主成分とするものが採用される。
これよりも硬度が高いと、折角のアルミ溶射面を削りすぎてしまうし、逆に低すぎると平滑(削成)効果が生じにくい。
また、アルミ等の金属材料によるショットブラスト処理とは異なり、上述のガラスビーズショットは一定の荷重が加わると、ガラスビーズ自身が破損することから、被加工面を削り取るだけでなく、被加工面をたたく・つぶすという好ましいショツト効果が働く。したがって、同ガラスビーズショットで、上述のようにサンドブラスト処理された内鍋本体内周面上の凹凸面に沿った凹凸のあるアルミ溶射層5の当該凹凸面の凸部の頂点付近のみを削る程度のショット加工を行うと、上述のように全くの平滑面ではないが、凹部は凸部部分が平坦に近くなる形で、それらの間にそのまま残されることから、十分にフッ素樹脂材の侵入による相互の結合による係合効果(アンカー効果)が発揮され、それぞれの密着度が確実に向上する。しかも、フッ素樹脂コート層6a,6b部分にピンホールを生じさせないので、下面側のアルミ材の露出やアルミ材部分への水の侵入による錆(さび)も生じない。
また、それにより例えば水目盛形成のための転写印刷(パッド印刷)を行う場合などにも、同頂部がフラットに近くなったフッ素樹脂プライマーコート層6aの凸部および凸部周辺に印刷インクが付着しやすくなる一方、凹部内にはインクが付着しない(図3の符号7,7・・部分参照)。したがって、より確実に明瞭で滲みのないクリアな水目盛印刷を行うことが可能となる。
また、上記釉薬層4とアルミ溶射層5の硬度は異なる(釉薬層4の方が硬い)ので、上述のように釉薬層4に対してはハードなサンドブラスト処理による表面粗化、アルミ溶射層5にはソフトなガラスビーズショットによる適度な表面平滑化と、それぞれ適切に表面処理方法を使い分けることで、より効果的に、かつ安定した密着状態で、最的な厚さのフッ素樹脂プライマーコート層6a,フッ素樹脂トップコート層6bを設けることができるようになる。
また、上記アルミ溶射層5は、内鍋1の釉薬層4に対する結合時の馴みが良いとともに、従来のアルミナ等のセラミック膜に比べて硬度が低いので、平滑化処理も容易である。
また、同アルミ溶射層5は、従来のアルミナ等のセラミック膜と違って簡易かつ安価なアーク溶射機によって容易に溶射して行くことができる。したがって、製造コストも安くて済む。
1は内鍋、1aは内鍋底部、1bは内鍋コーナー部、1cは内鍋側壁部、1dは内鍋開口部、2aは第1の加熱部材、2bは第2の加熱部材、4は釉薬層、5はアルミ溶射層、6aはフッ素樹脂プライマーコート層、6bはフッ素樹脂トップコート層である。

Claims (3)

  1. 内周面側および外周面側各々の表面に釉薬層を形成した焼物よりなり、該焼物の内周面側に、同内周面側の釉薬層の表面を粗化し、凹凸面を形成した上で、金属溶射層を設けることによって、該金属溶射層の表面に上記釉薬層表面の凹凸面に沿った凹凸面を形成し、該凹凸のある金属溶射層の表面に同凹凸部を利用してフッ素樹脂コート層を設けるとともに、上記焼物の外周面側の所定の位置に電磁誘導加熱用の加熱部材を設けてなる電磁誘導加熱式電気炊飯器の内鍋であって、上記焼物内周面側の上記金属溶射層表面の凹凸部の凸部頂端は、複数の凸部間に所定の深さの複数の凹部を残した状態で所定のレベルに平滑化処理されており、上記フッ素樹脂コート層は、同複数の凸部の頂端が平滑化処理された凹凸部を介して上記金属溶射層に係合されていることを特徴とする電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋。
  2. 内周面側および外周面側各々の表面に釉薬層を形成した焼物よりなり、該焼物の内周面側に、同内周面側の釉薬層の表面を粗化し、凹凸面を形成した上で、金属溶射層を設けることによって、該金属溶射層の表面に上記釉薬層表面の凹凸面に沿った凹凸面を形成し、該凹凸のある金属溶射層の表面に同凹凸部を利用してフッ素樹脂コート層を設けるとともに、上記焼物の外周面側の所定の位置に電磁誘導加熱用の加熱部材を設けてなる電磁誘導加熱式電気炊飯器の内鍋であって、上記金属溶射層がアルミ溶射層であり、上記焼物内周面側のアルミ溶射層表面の凹凸部の凸部頂端は、複数の凸部間に所定の深さの複数の凹部を残した状態で所定のレベルに平滑化処理されており、上記フッ素樹脂コート層は、同複数の凸部の頂端が平滑化処理された凹凸部を介してアルミ溶射層に係合されていることを特徴とする電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋。
  3. 金属溶射層の平滑化処理は、ガラスビーズショット加工であることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁誘導加熱式電気炊飯器用の内鍋。
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