JP5391037B2 - 電磁弁装置 - Google Patents
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Description
一般的に、リニアソレノイドバルブは、一端にリニアソレノイド部が付設されたバルブボディと、リニアソレノイド部に発生する電磁推力により摺動する軸部と、バルブボディに設けられた弁孔に嵌装され、軸部により一方向へ押圧されるスプールと、バルブボディの他端に形成した取付孔に固定される調節栓と、調節栓とスプールとの間に縮設され、スプールを電磁推力と反対方向へ付勢するリターンスプリングと、を備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
このようにしてリニアソレノイド部側へ供給されたオイル等の流体は、リニアソレノイド部の潤滑剤として機能する。
そして、軸部を通じてリニアソレノイド部側へ供給された流体で軸受を好適に潤滑することができるので、リニアソレノイド部における摺動性がより高まる。
本実施形態では、外部機器として自動車等の車両に搭載される自動変速機の制御を行う電磁弁装置について説明するが、電磁弁装置が制御する外部機器やシステム等を限定する趣旨ではない。
電磁弁装置10は、例えば、自動車等の車両に搭載される自動変速機100(図10参照、以下同じ)を制御する装置であり、図1に示すように、基本的に、内部に圧力流体としての圧油(オイル)が流通する油路(液路)が形成された略直方体状のボディ12に、複数のリニアソレノイドバルブ14(14a〜14d)を備えており、さらに、複数の三方弁16(16a〜16c)や複数のシフト弁17a,17b等のバルブ機構、複数のアキュームレータ18(18a〜18c)および入出力ポート部20(図2参照)等の構成要素を備えて構成されている。
つまり、本実施形態の電磁弁装置10では、本来であれば複数のリニアソレノイドバルブ14a〜14dと自動変速機100との間に介設される複数の構成要素がボディ12に一体的に集約されて、アッセンブリとして組み立てられる。したがって、電磁弁装置10と自動変速機100との間には、構成要素を介設する必要がなく、これによって、電磁弁装置10の入出力ポート部20(図2参照)から出力される圧油の出力圧を、自動変速機に供給される圧油の最終出力圧とすることができる。
また、下ボディ12bには、前記した複数のシフト弁17a,17b(図9参照)が内設されるとともに、下面に、アキュームレータ18a〜18cおよび入出力ポート部20(図2参照)が設けられている。
<上ボディ>
図1、図3に示すように、上ボディ12aの上面には、リニアソレノイドバルブ14a〜14dおよび三方弁16a〜16cが、上ボディ12aの長手方向(ボディ12の軸方向)に沿って交互に並設されており、上ボディ12aの短手方向(ボディ12の軸方向と直交する方向)となる一側面側22aにハウジング31が突出するようにリニアソレノイドバルブ14a〜14dが取着され、他側面側22bにハウジング41が突出するように三方弁16a〜16cが取着されている。
なお、本実施形態では、4つのリニアソレノイドバルブ14a〜14dを例示しているが、これに限定されるものではなく、設置個数は適宜設定することができる。
一側面側22aにおいて、フランジ部24の側方には、後記するリニアソレノイド部30(図7(a)参照)を内包するハウジング31が装着される。
図5に示すように、上ボディ12aには、下面に露出するように複数の油路R1が形成されている。このような複数の油路R1を通じて、リニアソレノイドバルブ14a〜14dと三方弁16a〜16cとの間が接続され、自動変速機100に対する変速制御時には、各リニアソレノイドバルブ14a〜14dの励磁、非励磁や電流制御が実行されて、各油路R1を通じて圧油が流通する。
なお、油路R1の一部は、中間プレート(図2参照)12cに設けられた図示しない連通孔を通じて、下ボディ12bに設けられた油路R2(図6参照)に連通している。
また、上ボディ12aの下面には、周縁に沿う環状のドレン溝61が溝を下面に向けて形成されている。ドレン溝61には、リニアソレノイドバルブ14a〜14ddの後記する呼吸室60e(図7参照)に通じるように設けられた呼吸ポート(ポート)60dの他端が開口している。
複数のリニアソレノイドバルブ14a〜14dは、それぞれ同一の構成からなるため、ここでは、リニアソレノイドバルブ14aを例にとって説明する。
図7(a)に示すように、リニアソレノイドバルブ14aは、例えば、磁性金属材料によって有底円筒状に形成され内部にリニアソレノイド部30が収納されたハウジング31と、上ボディ12aと一体的に形成され、内部に弁作動部60が設けられたバルブボディ44とを有する。
なお、コイル組立体50は、コイルボビン51が設けられていないボビンレスによって構成してもよい。
シャフト58は、可動コア48に固定されて、固定コア46の貫通孔46aに固定された軸受35に摺動可能に貫通しており、その先端部がバルブボディ44の端部においてスプール取着孔26内に形成された呼吸室(室)60e内に達している。また、シャフト58の後端部側は、ハウジング31の有底穴31aに固定された軸受35に摺動可能に貫通している。そしてシャフト58の先端部は、呼吸室60e内でスプール28の端部に当接している。
ここで、図7(c)に示すように、軸受35の外周面には、シャフト58の軸方向に沿う溝35aが形成されている。この溝35aは、固定コア46の貫通孔46aの内面との間に隙間を形成し、シャフト58を通じて貫通孔46aを流れる油Wの流通に寄与する。なお、図7(b)では、軸受35を二重鎖線で示しており、このうちの内側の鎖線が溝35aの底部に対応している。
なお、可動コア48とシャフト58とを一体的に形成したシャフトレス構造体としてもよい。
呼吸室60eの側方において、スプール取着孔26とスプール28との間には、周方向に隙間29が形成されている。この隙間29は、一端側がドレンポート60c側に連通しており、呼吸室60e内には、この隙間29を通じてドレンポート60c側からの油Wが導入され、所定量貯溜される(溜まる)ようになっている。
一方、呼吸室60eには、図7(b)に示すように、呼吸ポート60dが連通しており、この呼吸ポート60dは、大気圧導入路として機能する他、呼吸室60eに貯溜された油Wが所定量を超えたときに、これを排出する役割をなす。
より詳しくは、図8(b)に示すように、呼吸室60eの内面において、呼吸ポート60dは、呼吸室60eに貯溜された油Wの液面W1に、シャフト58の一部(ここではシャフト58の外周面の一部)が浸漬される状態で、液面W1よりも鉛直方向上側となる位置に開口形成されている。
これにより、可動コア48の進退動作に対応して、呼吸室60eとハウジング31内との間でシャフト58を通じて油Wの導入・導出が行われるようになり、リニアソレノイド部30側の潤滑が好適に行われる。つまり、シャフト58を通じて導入・導出される油Wにより、シャフト58を摺動支持している軸受35が好適に潤滑されることとなる。
なお、シャフト58の一部が液面W1に浸漬されている状態から前記した隙間29を通じて呼吸室60eに油Wが導入された場合には、液面W1が呼吸ポート60dの開口63の下端縁63aを超えるので、開口63を通じて呼吸ポート60dから油Wが排出されることとなる。
また、アウトレットポート60bから出力された出力液圧は、油路R1を通じてシフト弁17aやアキュームレータ18a等(図9参照)を通じて下ボディ12bの油路R2に流れ、入出力ポート部20から自動変速機100に供給されるようになっている。
また、アウトレットポート60bから出力された出力液圧の一部は、ドレンポート60cから隙間29を通じて前記したように呼吸室60eに流入する。
電磁弁装置10は、前記したように複数のリニアソレノイドバルブ14a〜14dの他に、ボディ12に対して複数の三方弁16a〜16cや複数のシフト弁17a,17b等のバルブ機構、複数のアキュームレータ18a〜18c(図2参照)および入出力ポート部20(図2参照)等の構成要素を備えており、リニアソレノイドバルブ14aから出力される圧油の出力圧は、これらの構成要素を介して入出力ポート部20から取り出される電磁弁装置10の出力圧となる。したがって、閉塞部材64を調圧することは、リニアソレノイドバルブ14aから出力される圧油の出力圧を単に調整することに止まらず、電磁弁装置10から出力される圧油の出力圧を直接的に調整すること、つまり、自動変速機100に最終的に供給される圧油の最終出力圧を直接的に調整することになる。
これにより、自動変速機100に供給される圧油の最終出力圧を、閉塞部材64の圧入量を調整することによって的確に得ることができる。
複数の三方弁16a〜16cは、周知の構造からなり、それぞれ同一に構成される。三方弁16a〜16cは、ハウジング41の外周面に固着された取付ステー76にボルト78を挿通し、このボルト78を上ボディ12aの他側面側22bに形成された図示しない固定用孔部に螺合することにより固定される。ハウジング41の外周にはカプラ部42が設けられている。
下ボディ12bは、図9に示すように、上ボディ12aの下面に中間プレート12cを介して固定され、前記したように、複数のシフト弁17a,17bが内設されるとともに、下面に、アキュームレータ18a〜18cおよび入出力ポート部20が設けられている(図2参照)。
下ボディ12bの上面には、上ボディ12aの油路R1に対向するように油路R2が設けられている。油路R2は、複数形成されており、その一部が中間プレート12cを介して上ボディ12a側の油路R1に連通している。
このような下ボディ12bは、図10に示すように、自動変速機100の側壁101に電磁弁装置10を固定した際に、側壁101に形成された取付孔102を介して自動変速機100内に全体が挿入配置されるようになっている。
複数のアキュームレータ18a〜18cは、突出部18Aの下面に開口する有底状の装着穴91に、ピストン92、スプリング93が装着され、装着穴91の下端開口が、スプリング93の受け部を兼ねた閉塞プレート94で閉じられてなる。閉塞プレート94はボルト95で固定される。
なお、アキュームレータ18aは、装着穴91に形成された図示しない連通孔が装着穴91の底部に形成されているので、油路R2からダイレクトに圧油が室に流入することとなり、これによって応答性のよい圧油の平滑化が可能となっている。
本実施形態では、図4に示すように、下ボディ12bの下面から見て、3つのアキュームレータ18a〜18cのうち、下ボディ12bの軸方向の真ん中に配置されるアキュームレータ18bが、その両側に設けられるアキュームレータ18a,18cに対して下ボディ12bの短手方向に偏倚して設けられている。これにより、下ボディ12bの長手方向にアキュームレータ18a〜18cが並設される構造において長手方向における突出部18Aの小型化が図られている。
なお、アキュームレータ18a〜18cは、その軸線がボディ12の軸線に直交するように設けたが、これに限られることはなく、ボディ12の軸線に平行に設けてもよいし、ボディ12の軸線に鋭角となる角度にアキュームレータ18a〜18cの軸線が設定されるように設けてもよい。
このような入出力ポート部20は、自動変速機100の取付孔102(図10参照)の内部に設けられた図示しない接続ポートに対して接続可能である。そして、入力ポート21には、自動変速機100の油圧ポンプ105(図10参照)からのライン圧力が導入され、また、出力ポート22からは、導入したライン圧力を所定の圧力に調圧して自動変速機100に設けられた図示しない複数のクラッチの油圧作動部に供給する圧油が導出される。
図12に示されるように、このシフト弁17aの作動状態では、リニアソレノイドバルブ14aのアウトレットポート60bから導入された圧油がシフト弁17aの弁体88を介して所定の他の出力ポート22(図2参照)に接続された図示しない他方のクラッチの油圧作動部に供給され、他方のクラッチが係合状態となる。
なお、圧油の出力調整は、電磁弁装置10を自動変速機100に取り付ける前に、電磁弁装置10単体で行うことができる。
具体的に、圧油の出力調整は、電磁弁装置10の入出力ポート部20の入力ポート21に対して所定のライン圧力を供給しつつ、リニアソレノイドバルブ14a〜14dのリニアソレノイド部30に対して所定の電流を流して、出力ポート22から出力される圧油の圧力を測定して行う。このとき、供給するライン圧力は、各入力ポート21に対して同じ圧力を供給してもよいし、自動変速機100の構成に対応した圧力を入力ポート21毎に供給するようにしてもよい。
そして、所定の出力ポート22から導出される圧油の圧力を測定し、対応するリニアソレノイドバルブ14a(14b〜14d)に備わる閉塞部材64の圧入量を調整する。その後、圧油の圧力が所定の圧力となったところで、閉塞部材64の圧入量の調整を終了する。
このような調整は、各リニアソレノイドバルブ14a〜14dについて行う。これにより、各出力ポート22から出力される圧油の最終圧力をそれぞれ直接的に調整することができ、高精度の圧力調整が可能となる。
そして、シャフト58を通じてリニアソレノイド部30側へ供給された油Wで軸受35を好適に潤滑することができるので、リニアソレノイド部30における摺動性がより高まる。
呼吸室60eには、隙間29を通じてドレンポート60c側から油Wが導入されるように構成したがこれに限られることはなく、他の流路を通じて供給されるように構成してもよい。
また、例えば、前記した図11および図12に示される油圧回路110では、所定の入力ポート104から導入されたライン圧力がリニアソレノイドバルブ14aおよび三方弁16aに供給される場合を例示しているが、これに限られることはなく、所定の他の入力ポート21から導入されたライン圧力が他のリニアソレノイドバルブ14b(14c,14d)で所望の圧力に調圧された後、三方弁16a〜16cやシフト弁17a,17bを経由することなく、他のリニアソレノイドバルブ14b(14c,14d)から他のクラッチの油圧作動部に対して直接導出するようにしてもよい。
14(14a〜14d) リニアソレノイドバルブ
28 スプール
30 リニアソレノイド部
35 軸受
35a 溝
44 バルブボディ
58 シャフト(軸部)
60d 呼吸ポート(ポート)
60e 呼吸室(室)
100 自動変速機
W1 液面
W 油(流体)
Claims (3)
- コイルの励磁により軸部を摺動するリニアソレノイド部と、前記軸部の摺動とともに摺動可能なスプールを内蔵するバルブボディと、前記バルブボディに設けられ、前記リニアソレノイド部に隣接して前記軸部を囲い、流体が導入されて溜められる室と、前記室に設けられ、当該室に溜められた流体を排出可能なポートと、を備えて構成されるリニアソレノイドバルブを含み、前記バルブボディの取付面を介して相手側に取り付けられる電磁弁装置であって、
前記室は、前記軸部の中心を通り前記取付面に直交する仮想線上に、流体の溜められる領域を有しており、
前記ポートは、前記領域に溜められた流体の液面に前記軸部の一部が浸漬される状態で、前記仮想線よりも鉛直方向上側で、かつ当該液面よりも鉛直方向上側となる前記室の内面に開口していることを特徴とする電磁弁装置。 - 前記軸部は前記リニアソレノイド部内において軸受を介して摺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁装置。
- 前記軸受の外周面には、前記軸部の軸方向に沿う溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁弁装置。
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