JP5388281B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、描線が摩擦熱によって変色するインクと、その摩擦を加えるための擦過体とを備えた筆記具に関する。
ボールペン等のインクを用いる筆記具では、紙面上に形成された描線は、鉛筆の描線のように消しゴムの擦過により消去することは本来不可能であるが、紙面との結合力が弱い顔料インクを用いて描線を消しゴムで消去可能としたものも提供されていた。また近年は熱変色性のインクを用いて、筆記具の一部に設けられた、ラバー等で形成される擦過体で摩擦することによって、描線が変色するものも提供されていた。たとえば、特許文献1では、熱を加えた際に変色が開始される高温側変色開始温度と、その後の冷却によって変色前の状態に復帰する低温側変色開始温度との間に温度差が設けられている顔料(たとえば可逆熱変色性マクロカプセル顔料)を用いたインクによって、通常の使用状態においては変色後の状態を維持可能とした筆記具が開示されている。また、描線に摩擦を加えるための擦過体についても、その材質(特許文献2及び3)、形状(特許文献4)並びに摩擦係数のような物性(特許文献5)といった様々な観点から検討が加えられている。なお、ここでいう「変色」とは明度・彩度といった色調の変化のみならず、色彩自体が消失する「退色」をも含むものである。
特開2003−206432号公報 特開2004−148744号公報 特開2006−123324号公報 特開2007−223302号公報 特開2008−155624号公報
上記のような変色性のインクによる描線を、筆記体の一部、たとえば軸筒の後端であるとか、キャップの先端であるとかに設けられた擦過体で擦過して変色させようとする場合、変色に要する力加減が分からず不必要な力をかけて紙を破くおそれもある。一方十分な摩擦力が得られなければ変色が起こらず所期の目的を達することができない。
以上の問題点に鑑み、本発明は、変色に必要な擦過動作の程度を視覚的に認識可能とすることを課題とする。
(1)第1の発明
上記の課題に鑑み、本発明のうち第1の発明は、温度上昇により低温色彩状態から高温色彩状態へ変色するとともに温度低下により該高温色彩状態から前記低温色彩状態へ変色する熱変色特性を有するインクを筆記インクとして収容するとともに、該筆記インクによる描線を擦過してその摩擦による温度上昇によって熱変色せしめるための擦過体を備える筆記具であって、
該擦過体にも温度上昇により低温色彩状態から高温色彩状態へ変色するとともに温度低下により該高温色彩状態から前記低温色彩状態へ変色する熱変色特性が付与されていることを特徴とする。
本発明における筆記インクは、熱変色特性を備えている必要がある。そのために必要な成分については特に限定はない。たとえば、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を使用することができるが、それ以外であっても、熱変色特性を備える顔料であれば使用可能である。ここで、この可逆熱変色性マイクロカプセル顔料としては、たとえば従来より公知の、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及びこれら両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の3成分を含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させたものが挙げられる。
また、「熱変色特性」とは、ある温度又は温度領域を境にある色彩の状態から別の色彩の状態に変化することをいう。そして、「低温色彩状態」とは、温度上昇がなされる前の色彩の状態をいい、また、「高温色彩状態」とは、温度上昇がなされた後の色彩の状態をいう。これらの低温色彩状態から高温色彩状態への変化については、その目的あるいは製品設計に応じて、ある色彩が別の色彩に変化するものであってもよいし、有色から無色への変化、あるいはその逆の変化を呈するものであってもよい。
ここで、熱変色特性については、温度上昇によって低温色彩状態から高温色彩状態への変化が開始する温度と、温度低下によって高温色彩状態から低温色彩状態への変化が開始する温度とは一致するものであってもよいし、また、両者の間に差があるようなものであってもよい。さらに、温度上昇によって低温色彩状態から高温色彩状態への変化が開始する温度をT3とし、またこれが終了する温度をT4とするとともに、温度低下によって高温色彩状態から低温色彩状態への変化が開始する温度をT2とし、またこれが終了する温度をT1とした場合、
T1<T2<T3<T4
となるような熱変色特性(いわゆるヒステリシス特性)も、本発明でいう熱変色特性に含まれるものである。
いずれにせよ、本発明における熱変色特性においては、温度上昇によってある温度に達すると低温色彩状態から高温色彩状態へ変化するとともに、温度低下によってある温度に達すると高温色彩状態から低温色彩状態へ変化するような、可逆性を有している必要がある。
本発明における擦過体は、筆記具の一部に備えられるもので、その位置については特に限定がない。たとえば、軸筒の後端部や、筆記時には軸筒の後端部に装着されるキャップの先端に設けられるものとすることができる。また、その形状にも特に限定はなく、球状、柱状、カマボコ状等、様々なものが採用できる。さらに、その素材にも特に限定はなく、紙面との間で円滑な擦過が可能であれば、プラスチック、エラストマー、ゴム、あるいはこれらのコンパウンド等、様々なものが使用可能である。
また、本発明における擦過体は、筆記インクと同様に熱変色特性を備えている必要がある。たとえば、擦過体の素材に筆記インクと同様の熱変色特性を備えた、たとえば前記のマイクロカプセル顔料のような顔料を配合することとしてもよい。また、擦過体の表面を、このような顔料が配合された組成物でコーティングすることとしてもよい。どのような方法を採用する場合であっても、熱変色特性については、その目的あるいは製品設計に応じて、ある色彩が別の色彩に変化するものであってもよいし、有色から無色への変化、あるいはその逆の変化を呈するものであってもよい。さらに、この擦過体の熱変色特性に基づく色変化は、筆記インクの色変化と必ずしも同調する必要はないが、ほぼ同じような変化特性を呈することが望ましい。
(2)第2の発明
本発明のうち、第2の発明に係る筆記具においては、前記第1の発明の特徴に加え、前記擦過体における、低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始する温度と、該高温色彩状態から前記低温色彩状態へ変色を開始する温度との差が30℃以下であることが望ましい。ここで、温度差が30℃以下であるということは、0℃、すなわち、擦過体が低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始する温度と、該高温色彩状態から前記低温色彩状態へ変色を開始する温度とが同一であるような場合も含むものである。かかる温度差が30℃以下であることによって、筆記インクによる描線の擦過による摩擦熱で自ら高温色彩状態に変色した擦過体が元の低温色彩状態に復帰するのが容易となる。
(3)第3の発明
本発明のうち、第3の発明に係る筆記具においては、前記第1又は第2の発明の特徴に加え、前記筆記インクが温度上昇によって低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始する温度と、前記擦過体が温度上昇によって低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始する温度との差が20℃以下であることが望ましい。ここで、温度差が20℃以下であるということは、0℃、すなわち、筆記インクが温度上昇によって低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始する温度と、擦過体が温度上昇によって低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始する温度とが同一であるような場合も含むものである。かかる温度差が20℃以下であることによって、筆記インクによる描線の高温色彩状態への熱変色と擦過体の高温色彩状態への熱変色との開始温度に大きな差がなく、擦過体の熱変色に要する力が筆記インクによる描線の高温色彩状態への熱変色に十分な力であることの目安として機能し得ることになる。
(4)第4の発明
本発明のうち、第4の発明に係る筆記具においては、前記第1、第2又は第3の発明の特徴に加え、前記擦過体が温度上昇によって低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始する温度が、前記筆記インクが温度上昇によって低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始する温度よりも低いことが望ましい。すなわち、擦過体が筆記インクによる描線を擦過する際には、擦過体の方が早く高温色彩状態への熱変色が始まることとなる。これによって、擦過体が高温色彩状態へ熱変色することで筆記インクによる描線の高温色彩状態への熱変色の予告と成り得る点で、筆記インクによる描線の高温色彩状態への熱変色の目安として機能することになる。
(5)第5の発明
本発明のうち、第5の発明に係る筆記具においては、前記第1、第2又は第3の発明の特徴に加え、前記擦過体が温度低下により高温色彩状態から低温色彩状態へ変色を開始する温度が、前記筆記インクが温度低下により高温色彩状態から低温色彩状態へ変色を開始する温度より高いことが望ましい。すなわち、一旦温度上昇により高温色彩状態に熱変色した筆記インクによる描線が温度低下により元の低温色彩状態に戻るのが、擦過体が元の低温色彩状態に戻るのよりも遅い、ということになる。換言すると、この構成によって、筆記インクによる描線の高温色彩状態は、擦過体の高温色彩状態よりも持続しやすい、ということになる。
(6)第6の発明
本発明のうち、第6の発明に係る筆記具においては、前記第1、第2又は第3の発明の特徴に加え、前記筆記インク及び前記擦過体の熱変色特性は、該擦過体の擦過によって温度が高温側変色開始温度へ上昇して低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始し、かつ、温度が前記高温側変色開始温度より低い低温側変色開始温度まで降下して該高温色彩状態から前記低温色彩状態へ変色するような可逆的なものであるとともに、
前記擦過体の高温側変色開始温度は前記筆記インクの高温側変色開始温度より低く、
前記擦過体の低温側変色開始温度は前記筆記インクの低温側変色開始温度より高いことが望ましい。
すなわち、本第6の発明に係る筆記具においては、筆記インク及び擦過体の両方が、前記第1の発明の項で言及した「ヒステリシス特性」を有することとなっている。
すなわち、摩擦による温度上昇により、高温側変色開始温度(T3)に達すると、低温色彩状態から高温色彩状態への変色が開始し、高温側変色終了温度(T4)にまでさらに上昇すると高温色彩状態への変色が完了する。一方、その状態から温度が低下して、上記高温側変色開始温度(T3)より低い低温側変色開始温度(T2)に達すると、高温色彩状態から低温色彩状態への変色が開始し、低温側変色終了温度(T1)にまでさらに下降すると低温側色彩状態への変色が完了する。ここで、本第6の発明においては、高温側変色開始温度(T3)と低温側変色開始温度(T2)との温度差が、筆記インクの方が擦過体よりも大きく、かつ、擦過体の変色域が、筆記インクの変色域に完全に包含されることとなっている。
この構成により、擦過体は、擦過による温度上昇の際、筆記インクの描線よりも低い温度で高温色彩状態への変色が開始する。換言すると、擦過体の方が筆記インクの描線よりも早く高温色彩状態への変色が開始及び完了することとなっている。
また、高温色彩状態から温度が低下していく際には、擦過体は、筆記インクの描線よりも高い温度で低温色彩状態への変色が開始する。換言すると、擦過体の方が筆記インクの描線よりも早く低温色彩状態への変色が開始及び完了することとなっている。
よって、温度上昇の際には、擦過体の変色が筆記インクの描線の変色に先駆けて起こるため、描線の変色の目安とすることができるとともに、温度上昇によって起こった変色が、擦過体が元に戻るよりも低い温度になるまで持続し得るので変色状態がより維持されやすいこととなる。
なお、本発明に係る筆記具は、上述のような熱変色特性を有する筆記インクを用いていれば、ボールペンであっても、サインペンであっても、またその他、インクを用いるタイプの筆記具ならいずれであってもよい。
本発明は上記のように構成されているので、熱変色性を有するインクの描線を擦過体による摩擦で熱変色させるような筆記具において、変色に必要な擦過動作の程度を視覚的に認識可能とすることが可能となっている。
本発明の第1の実施の形態に係る筆記具を側面図で示したものである。 本発明の第2の実施の形態に係る筆記具を側面図で示したものである。 筆記インク及び擦過体の熱変色特性の一例をグラフで示したものである。 筆記インク又は擦過体の熱変色特性の別の一例をグラフで示したものである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
(1)第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態に係る筆記具10においては、図1に示すように、軸筒11の把持部分にグリップ12が設けられており、先端には筆記先端13としてのボールペンチップが設けられている。そして、軸筒11の先端に着脱自在に設けられるキャップ14(図では軸筒11の尾端部分に装着されている)の先端に擦過体20が設けられている。この擦過体20の素材には熱変色特性を備えた色材が練り込まれている。なお、軸筒11の内部には、図示しないインク収容管が内蔵され、その中には熱変色特性を備えた筆記インクが充填されている。その筆記インクは筆記先端13から紙面に吐出されることで描線として紙面に定着される。この描線を擦過体20で擦過して摩擦熱を加えることで、擦過体20自体の色彩が変色するとともに、描線の色彩が変色することとなっている。
(2)第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態に係る筆記具10においては、図2に示すように、軸筒11の把持部分にグリップ12が設けられている。軸筒の後端には尾栓15が装着され、その尾栓15の後端に擦過体20が設けられている。この擦過体20の素材には熱変色特性を備えた色材が練り込まれている。そして、軸筒11の先端には着脱自在なキャップ14が装着されている。軸筒11の先端には第1の実施の形態と同様に筆記先端13としてのボールペンチップが設けられているが図ではキャップ14に隠れており、このキャップ14を取り外して筆記が可能となっている。なお、軸筒11の内部には、図示しないインク収容管が内蔵され、その中には熱変色特性を備えた筆記インクが充填されている。その筆記インクは筆記先端13から紙面に吐出されることで描線として紙面に定着される。この描線を擦過体20で擦過して摩擦熱を加えることで、擦過体20自体の色彩が変色するとともに、描線の色彩が変色することとなっている。
(3)熱変色特性
上記各実施の形態における筆記インク及び擦過体20の熱変色特性の一例を図3のグラフに示す。
図中、実線は筆記インクの熱変色特性曲線であり、点線は擦過体の熱変色特性曲線である。なお、便宜上、筆記インク及び擦過体について、両者の低温色彩状態は横軸に平行な上段の線で、及び、両者の高温色彩状態は同じく下段の線でそれぞれ示しているが、それぞれの段における色彩又は濃度は同じものとは限らない。
同図から明らかなように、常温を含む温度領域では筆記インクによる描線及び擦過体はいずれも低温色彩状態を呈している。その状態から筆記インクによる描線を擦過体で擦過すると、摩擦熱により温度が上昇し、まず擦過体の高温側変色開始温度(T3’)に達すると擦過体の摩擦熱を受けた部分の変色が開始し、さらに温度が上昇して擦過体の高温側変色終了温度(T4’)に達したところで高温色彩状態への変色が完了する。この段階でもまだ筆記インクによる描線は低温色彩状態を維持している。そこからさらに擦過を続け筆記インクの高温側変色開始温度(T3)に達すると描線の変色が開始し、さらに温度が上昇して筆記インクの高温側変色終了温度(T4)に達したところで描線の高温色彩状態への変色が完了する。
一方、筆記インクによる描線及び擦過体がいずれも高温色彩状態を呈している状態から、擦過による摩擦を止めると温度が低下し、まず擦過体の低温側変色開始温度(T2’)に達し擦過体の変色が開始する。そしてさらに温度が低下して擦過体の低温側変色終了温度(T1’)に達したところで低温色彩状態への変色が完了する。この段階でもまだ筆記インクによる描線は高温色彩状態を維持している。そこからさらに温度が低下して筆記インクの低温側変色開始温度(T2)に達すると描線の変色が開始し、さらに温度が低下して筆記インクの低温側変色終了温度(T1)に達したところで描線の低温色彩状態への変色が完了する。
ここで、筆記インクの低温側変色開始温度(T2)がたとえば氷点下であるように設計した場合には、描線が一旦高温色彩状態に変化すると、常温においてはその高温色彩状態を保つこととなる。このような設計の筆記インクにおいて、たとえば、低温色彩状態が有色で、高温色彩状態が無色であるとすると、擦過により描線を消すことができるのと事実上同等の作用効果を奏することとなる。
なお、筆記インク及び擦過体のいずれか又は両方の熱変色特性が、図4に示すような、高温側変色開始温度(T3)と低温側変色開始温度(T2)とがほぼ同一であるようなものであってもよい。
(1)筆記インク
筆記インクは、下記表1に示す3通りの組成のものを準備した。なお、表中に示す数値はいずれも重量%である。
Figure 0005388281
以上に示すとおり、インク1は低温色彩状態が青色で高温色彩状態が無色である。そして、低温側変色終了温度(T1)が−15℃、低温側変色開始温度(T2)が−10℃、高温側変色開始温度(T3)が55℃、高温側変色終了温度(T4)が60℃とヒステリシス特性を有するものであり、一旦高温色彩状態の無色に変化すると、常温では元の青色には戻らないものである。
また、インク2は低温色彩状態が黒色で高温色彩状態が無色である。そして、低温側変色終了温度(T1)が15℃、低温側変色開始温度(T2)が20℃、高温側変色開始温度(T3)が40℃、高温側変色終了温度(T4)が45℃とヒステリシス特性を有するものである。しかし、インク1に比べて低温側変色開始温度(T2)が高いため、高温色彩状態の無色に変化しても、常温で元の黒色に戻りやすくなっている。
さらに、インク3は低温色彩状態が赤色で高温色彩状態が無色であるが、ヒステリシス特性は有さず、低温色彩状態から高温色彩状態への変色もその逆も、同一の変色温度(T3=T2)である48℃で生ずることとなっている。
なお、以上の表1に示すマイクロカプセル顔料は、たとえば松井色素化学工業所製のもののような市販品として入手可能である。
(2)擦過体
擦過体は、下記表2に示す4通りのものを準備した。なお、表中に示す数値はいずれも重量%である。
Figure 0005388281
以上に示すとおり、擦過体1は低温色彩状態が青色で高温色彩状態が無色であるが、上記インク3と同様ヒステリシス特性は有さず、変色温度(T3’=T2’)は48℃である。
また、擦過体2は低温色彩状態が黒色で高温色彩状態が無色であるが、上記擦過体1と同様ヒステリシス特性は有さず、変色温度(T3’=T2’)は48℃である。
さらに、擦過体3は低温色彩状態が青色で高温色彩状態が無色である。そして、低温側変色終了温度(T1’)が15℃、低温側変色開始温度(T2’)が20℃、高温側変色開始温度(T3’)が40℃、高温側変色終了温度(T4’)が45℃とヒステリシス特性を有するものである。しかし、インク1に比べて低温側変色開始温度(T2’)が高いため、高温色彩状態の無色に変化しても、常温で元の青色に戻りやすくなっている。
そして、擦過体4は低温色彩状態が赤色で高温色彩状態が無色であるが、上記擦過体1と同様ヒステリシス特性は有さず、変色温度(T3’=T2’)は48℃である。
なお、以上の表2に示すマイクロカプセル顔料は、たとえば松井色素化学工業所製のもののような市販品として入手可能である。
(3)実施例1
実施例1として、前記第1の実施の形態に係る筆記具において、筆記インクとしてインク収容管に前記表1のインク1を充填するとともに、擦過体としてキャップの先端に前記表2の擦過体1を装着した。この筆記具の描線の低温色彩状態は青色で、高温色彩状態は無色である。また擦過体の低温色彩状態は青色で、高温色彩状態は無色である。この筆記具の描線の熱変色は以下の通りに起こることとなる。
まず、常温(25℃)の状態から描線を擦過体で擦過すると、摩擦熱により筆記面の温度が上昇し、擦過体の変色温度(T3’=T2’)の48℃に達したところで擦過体が青色から無色に変色する。そして、筆記インクの高温側変色開始温度(T3)の55℃に達したところで描線が青色から無色に変色し始め、そしてさらに高温側変色終了温度(T4)の60℃に達すると完全に無色になる。
ここで擦過を停止すると筆記面の温度が低下し始め、擦過体の変色温度(T2’=T3’)まで低下したところで擦過体は無色から青色に戻る。そして常温に戻っても筆記インクの低温側変色開始温度(T2)の−10℃までは低下しないので、描線は無色のままである。なお、ここから強制的な手段を用いて冷却すると筆記インクの低温側変色開始温度(T2)の−10℃に達したところで無色から青色に変色し始め、そしてさらに低温側変色終了温度(T1)の−15℃に達すると完全に元の青色に戻ることとなる。
以上、実施例1に係る筆記具においては、描線が高温色彩状態に変化するのに先立って擦過体が高温色彩状態に変化することとなるので、擦過体が無色になったら間もなく描線も無色になるということを使用者に知らしめることが可能となっている。
(4)実施例2
実施例2として、前記第1の実施の形態に係る筆記具において、筆記インクとしてインク収容管に前記表1のインク2を充填するとともに、擦過体としてキャップの先端に前記表2の擦過体2を装着した。この筆記具の描線の低温色彩状態は黒色で、高温色彩状態は無色である。また擦過体の低温色彩状態は黒色で、高温色彩状態は無色である。この筆記具の描線の熱変色は以下の通りに起こることとなる。
まず、常温(25℃)の状態から描線を擦過体で擦過すると、摩擦熱により筆記面の温度が上昇し、筆記インクの高温側変色開始温度(T3)の40℃に達したところで描線が黒色から無色に変色し始め、さらに温度が上昇して筆記インクの高温側変色終了温度(T4)の45℃に達すると完全に無色になる。そしてさらに擦過体の変色温度(T3’=T2’)の48℃より高くなったところで擦過体が黒色から無色に変色する。
ここで擦過を停止すると筆記面の温度が低下し始め、擦過体の変色温度(T2’=T3’)の48℃より低下したところで擦過体は無色から黒色に戻る。そして常温よりやや低い筆記インクの低温側変色開始温度(T2)の20℃に達したところで無色から黒色に変色し始め、そしてさらに低温側変色終了温度(T1)の15℃に達すると完全に元の黒色に戻ることとなる。
以上、実施例2に係る筆記具においては、描線が完全に高温色彩状態に変化したのちに擦過体が高温色彩状態に変化することとなるので、擦過体が無色になったらもう描線の変色も完了しているのでそれ以上の擦過は不要であるということを使用者に知らしめることが可能となっている。
(5)実施例3
実施例3として、前記第1の実施の形態に係る筆記具において、筆記インクとしてインク収容管に前記表1のインク1を充填するとともに、擦過体としてキャップの先端に前記表2の擦過体3を装着した。この筆記具の描線の低温色彩状態は青色で、高温色彩状態は無色である。また擦過体の低温色彩状態は青色で、高温色彩状態は無色である。この筆記具の描線の熱変色は以下の通りに起こることとなる。
まず、常温(25℃)の状態から描線を擦過体で擦過すると、摩擦熱により筆記面の温度が上昇し、擦過体の高温側変色開始温度(T3’)の40℃に達したところで擦過体が青色から無色に変色し始め、高温側変色終了温度(T4’)の45℃に達したところで完全に無色になる。そして、筆記インクの高温側変色開始温度(T3)の55℃に達したところで描線が青色から無色に変色し始め、そしてさらに高温側変色終了温度(T4)の60℃に達すると完全に無色になる。
ここで擦過を停止すると筆記面の温度が低下し始め、常温よりやや低い擦過体の低温側変色開始温度(T2’)である20℃まで低下したところで擦過体は無色から青色に戻り始め、さらに低温側変色終了温度の15℃まで低下すると完全に青色に戻る。ここで強制的な手段を用いてさらに冷却すると筆記インクの低温側変色開始温度(T2)の−10℃に達したところで無色から青色に変色し始め、そしてさらに低温側変色終了温度(T1)の−15℃に達すると完全に元の青色に戻ることとなる。
以上、実施例3に係る筆記具においては、擦過体の変色温度域は筆記インクの変色温度域に完全に包含されており、描線が高温色彩状態に変化するのに先立って擦過体が高温色彩状態に変化することとなるので、擦過体が無色になったら間もなく描線も無色になるということを使用者に知らしめることが可能となっている。
(6)実施例4
実施例4として、前記第1の実施の形態に係る筆記具において、筆記インクとしてインク収容管に前記表1のインク3を充填するとともに、擦過体としてキャップの先端に前記表2の擦過体4を装着した。この筆記具の描線の低温色彩状態は赤色で、高温色彩状態は無色である。また擦過体の低温色彩状態は赤色で、高温色彩状態は無色である。この筆記具の描線の熱変色は以下の通りに起こることとなる。
まず、常温(25℃)の状態から描線を擦過体で擦過すると、摩擦熱により筆記面の温度が上昇し、擦過体の変色温度(T3’=T2’)の48℃を超えたところで擦過体が赤色から無色に変色するのと同時に、筆記インクも同じく変色温度(T3=T2)の48℃を超えて描線は赤色から無色に変色する。
ここで擦過を停止すると筆記面の温度が低下し始め、擦過体の変色温度(T2’=T3’)の48℃より低下したところで擦過体は無色から赤色に戻り、同時に筆記インクも同じく変色温度(T2=T3)の48℃より低下して描線も無色から赤色に戻る。
以上、実施例4に係る筆記具においては、描線が高温色彩状態に変化するのと同時に擦過体が高温色彩状態に変化することとなるので、擦過体が無色になったら同時に描線も無色になるということを使用者に知らしめることが可能となっている。
10 筆記具 11 軸筒 12 グリップ
13 筆記先端 14 キャップ 15 尾栓
20 擦過体

Claims (3)

  1. 温度上昇により低温色彩状態から高温色彩状態へ変色するとともに温度低下により該高温色彩状態から前記低温色彩状態へ変色する熱変色特性を有するインクを筆記インクとして収容するとともに、該筆記インクによる描線を擦過してその摩擦による温度上昇によって熱変色せしめるための擦過体を備える筆記具であって、
    該擦過体にも温度上昇により低温色彩状態から高温色彩状態へ変色するとともに温度低下により該高温色彩状態から前記低温色彩状態へ変色する熱変色特性が付与され
    前記筆記インクの熱変色特性は、前記擦過体の擦過によって温度が高温側変色開始温度へ上昇して低温色彩状態から高温色彩状態へ変色を開始し、かつ、温度が前記高温側変色開始温度より低い低温側変色開始温度まで降下して該高温色彩状態から前記低温色彩状態へ変色するような可逆的なものであるとともに、
    前記擦過体が前記低温色彩状態から前記高温色彩状態へと変色を開始する高温側変色開始温度と、該高温色彩状態から該低温色彩状態へと変色を開始する低温側変色開始温度とがほぼ同一であることを特徴とする筆記具。
  2. 前記筆記インクの高温側変色開始温度は、前記擦過体の高温側変色開始温度より高いことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
  3. 前記筆記インクの高温側変色開始温度は、前記擦過体の高温側変色開始温度より低いことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
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