JP5387875B2 - レーザ共振器 - Google Patents

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Description

本発明は、波長変換素子を好適に配置することができるレーザ共振器に関する。
高効率のレーザ共振器として、例えば特許文献1〜3が既に提案されている。
特許文献1の「レーザ共振器」は、高効率で波長変換されたレーザ光を得ることを目的とする。
そのため、このレーザ共振器は、図4に示すように、レーザ媒質51aおよびレーザ媒質を励起する励起光源51bを有する励起装置51と、励起装置51から互いに反対方向に出射される基本波をそれぞれ反射する第1および第2の反射鏡61,62と、第1および第2の反射鏡61,62により反射された基本波をそれぞれ折り返し反射して励起装置を通して往復させる第3および第4の反射鏡63,64と、第1と第3の反射鏡61,63との間および第2と第4との反射鏡62,64の間に設けられ、基本波の一部を変換して基本波と異なる波長の変換波を出射する第1および第2の非線形光学媒質66,67とから成り、第1乃至第4の反射鏡61,62,63,64は、基本波を反射すると共に第1および第2の非線形光学媒質66,67から出射された変換波を透過する波長分離手段でなるものである。
特許文献2の「レーザ共振器及びその組立方法」は、波長変換素子をレーザ光の焦点位置に好適に配置し得ることを目的とする。
そのため、このレーザ共振器は、図5に示すように、反射ミラー71,72とレーザ媒質73からなり、レーザ媒質73からレーザ光を出射してレーザ光の焦点位置に基準点を定める基本光学系に、像転写光学系74,75を付加するレーザ共振器70であって、像転写光学系は、レーザ光の基準点から複数のレンズ74,75の焦点距離f,fを用いて像転写の投影点を決定する像転写レンズ手段を備え、投影点に、レーザ光の波長を変更し得る波長変換素子76を配置するものである。
特許文献3の「レーザ発振器」は、所望のパルス幅のレーザ光を出力できることを目的とする。
そのため、このレーザ発振器は、図6に示すように、レーザ媒質81を挟んで設けられる一対のミラー83,84からなる光共振器86と、この光共振器86内に励起されるレーザ光をスイッチングするQスイッチ82と、光共振器86内に配置されて光共振器86内に励起された所定位置の光の像を所定距離離れた位置に転写して光共振器86の共振器長を調整する像転写光学系80とを具備するものである。
特開2000−216465号公報、「レ―ザ共振器」 特開2005−45174号公報、「レーザ共振器及びその組立方法」 特開2005−72131号公報、「レーザ発振器」
図5に示した特許文献2のレーザ共振器は、波長変換素子76をレーザ光の焦点位置(投影点)に好適に配置することができる特徴がある。
しかし、このレーザ共振器においては、波長変換素子76が配置される投影点(焦点位置)を通過したレーザ光は、ビームウエストから離れたファーフィールドにおいて、通常広がりを持つ球面波となる。このため、これを元の光路に向けて折り返すために、反射ミラー72は必然的に凹面ミラーとなる。
この場合、最適な反射ミラーの条件(曲率、位置)はレーザの動作状態により異なるため、いかなる条件の反射ミラーを用いたとしても全ての動作状態をカバーすることはできず、レーザの動作状態に制約を与える問題点があった。
すなわち、レーザ共振器の始動時において、レーザ共振器の動作状態が不安定な段階では反射ミラー72の設置位置における球面波の曲率が変動するため、一定の曲率を持った凹面ミラーを用いても正確にレーザ光を元の光路に反射できない問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、波長変換素子を好適に配置することができ、かつレーザの動作状態によることなく正確にレーザ光を所定の光路内に反射できるレーザ共振器を提供することにある。
本発明によれば、レーザ光を発生するレーザ媒体と、
それぞれ平面ミラーからなり、前記レーザ媒体を軸方向に挟み、その間にレーザ光が集光される基準点を形成する終端ミラー及び出力ミラーと、を備え、
前記出力ミラーを透して前記レーザ光を外部に出射するようになっており、
前記基準点はレーザ媒体と出力ミラーの間に位置しており、さらに、
前記基準点と出力ミラーの間に配置され、基準点におけるレーザ光のビームプロファイルを軸線上の第1転写点に転写する第1像転写光学系と、
該第1像転写光学系と出力ミラーの間に配置され、出力ミラー位置に軸方向に平行なレーザ光を形成する第2像転写光学系と、を備え、
前記第1像転写光学系は、第1焦点距離と第2焦点距離をそれぞれ有し、互いに第1焦点距離と第2焦点距離の和に相当する間隔を隔てた第1凸レンズと第2凸レンズからなり、
前記第2像転写光学系は、第3焦点距離と第4焦点距離をそれぞれ有し、互いに第3焦点距離と第4焦点距離の和に相当する間隔を隔てた第3凸レンズと第4凸レンズからなり、第1転写点におけるレーザ光のビームプロファイルを軸線上の第2転写点に転写し、該第2転写点に出力ミラーが位置し、
さらに前記基準点又は第1転写点に位置する波長変換素子を備える、ことを特徴とするレーザ共振器が提供される。
上記本発明の構成によれば、第2像転写光学系により、出力ミラー位置に軸方向に平行なレーザ光を形成するので、平面ミラーからなる出力ミラーにより、軸方向に平行なレーザ光を正確に元の光路に反射することができる。
すなわち、好ましい第1実施形態によれば、第2像転写光学系により、投影点(第1転写点)上の像を第2転写点に位置する出力ミラー上に再度投影することができる。これは基準点の像を出力ミラー上に投影することと同等であり、基準点におけるレーザ光はビームウエスト又はこれに近いニアフィールドであり、常に軸方向に平行にでき、平面ミラーからなる出力ミラーにより、常に正確に元の光路に反射することができる。
従って、いかなる動作条件においても基本光学系の条件を満たすことができ、動作状態の制約を解消することができる。
また、好ましい第2実施形態によれば、第1転写点と出力ミラーの中間点に位置する第5凸レンズにより、第1転写点におけるレーザ光のビームプロファイルを軸線上の第1転写点に転写することができる。
この場合、出力ミラーは、第5凸レンズとその虚像との中間点に位置し、その位置におけるレーザ光が常に軸方向に平行となるので、平面ミラーからなる出力ミラーにより、常に正確に元の光路に反射することができる。
従って、この例でも、いかなる動作条件においても基本光学系の条件を満たすことができ、動作状態の制約を解消することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明によるレーザ共振器の第1実施形態図である。この図において、本発明のレーザ共振器10は、レーザ媒体12、終端ミラー13、出力ミラー14、第1像転写光学系16、および第2像転写光学系18を備える。
レーザ媒体12は、例えばNd:YAG等の固体レーザ媒体であり、図示しない励起源により励起され レーザ光を出射する。
終端ミラー13及び出力ミラー14は、それぞれ平面ミラーであり、その間にレーザ媒体12を軸方向に挟んで設けられ、その間でレーザ光7を往復させて光共振によりレーザ光7を増幅し、出力ミラー14を透してレーザ光6を外部(図で右方向)に出射するようになっている。レーザ光6は高出力パルスレーザであるのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、低出力パルスレーザであってもよい。
また、終端ミラー13及び出力ミラー14は、その間にレーザ光7を平行かつ最小に集光する基準点21を形成する。基準点21はレーザ光7のビームウエストに相当する。
第1像転写光学系16は、基準点21と出力ミラー14の間に配置され、基準点21におけるレーザ光7のビームプロファイルを軸線上の第1転写点22に転写する機能を有する。
第1像転写光学系16は、この例では、第1焦点距離fと第2焦点距離fをそれぞれ有し、互いに第1焦点距離fと第2焦点距離fの和(f+f)に相当する間隔を隔てた第1と第2の凸レンズ16a,16bからなる。
第1焦点距離fと第2焦点距離fは、同一であっても、異なってもよい。また、第1凸レンズ16aと第2凸レンズ16aは、単レンズであっても、2枚以上の複合レンズであってもよい。
またこの例において、基準点21と第1凸レンズ16aの距離は、第1焦点距離fに距離Lを加算した距離となっている。また、第1転写点22と第2凸レンズ16bの距離は、第2焦点距離fから距離Lを減算した距離となっている。
距離L1は、任意であるが、0であるのが好ましく、この場合、基準点21は、第1凸レンズ16aの焦点に位置する。距離L2は、次式(1)で求められる。
=L×(f/f・・・(1)
この構成により、基準点21のビームプロファイルを、第1転写点22にf/fの倍率で転写することができる。
第2像転写光学系18は、第1像転写光学系16と出力ミラー14の間に配置され、出力ミラー14の位置に軸方向に平行なレーザ光7を形成する。出力ミラー14におけるレーザ光7は、軸方向に平行である限りで、ビームウエスト又はこれに近いニアフィールドであっても、ファーフィールドであってもよい。
第2像転写光学系18は、この例では、第3焦点距離fと第4焦点距離fをそれぞれ有し、互いに第3焦点距離fと第4焦点距離fの和(f+f)に相当する間隔を隔てた第3凸レンズ18aと第4凸レンズ18bからなる。
第3焦点距離fと第4焦点距離fは、同一であっても、異なってもよい。また、第3凸レンズ18aと第4凸レンズ18bは、単レンズであっても、2枚以上の複合レンズであってもよい。
この構成により、第2像転写光学系18は、第1転写点22におけるレーザ光7のビームプロファイルを軸線上の第2転写点23に転写する。
上述した出力ミラー14は、第2転写点23の位置に位置する。
またこの例において、第1転写点22と第3凸レンズ18aの距離は、第3焦点距離fに距離Lを加算した距離となっている。また、第2転写点23と第4凸レンズ18bの距離は、第4焦点距離fから距離Lを減算した距離となっている。
距離Lは、任意であるが、0であるのが好ましく、この場合、第1転写点22は、第3凸レンズ18aの焦点に位置する。また距離Lは、次式(2)で求められる。
=L×(f/f・・・(2)
この構成により、第1転写点22のビームプロファイルを、第2転写点23にf/fの倍率で転写することができる。
図1において、さらに波長変換素子19(例えばSHG結晶等)を第1転写点22に備える。波長変換素子19を第1転写点22に配置することにより、基準点21におけるレーザ光7のビームプロファイルに影響を与えることなく、パルスレーザ光6の波長を変化させることができる。
なお、波長変換素子19を基準点21に設けても、パルスレーザ光6の波長を変化させることができる。
図1の第1実施形態において、第3焦点距離f<第4焦点距離fとすると第1投影点(第1転写点22)上の像が出力ミラー14上で拡大されるため、高出力レーザにおいて光学素子の損傷を避けることができる。
例えばfをfの3倍とすると、像の大きさも3倍となり、単位面積当たりのレーザ強度は1/3=1/9となる。さらに第1投影点(第1転写点22)から第3凸レンズ18aまでの距離をf+Lとすると、このとき像転写の条件を満たす第4凸レンズ18bから出力ミラー14までの距離は[f-L(f/f]となり、第1投影点(第1転写点22)から出力ミラー14までの距離ははじめの[2(f+f)]から[2(f+f)-L(f -f )/f ]となり、f<fの条件においては距離が短くなり共振器の大きさを小さくできる。
上述した本発明の構成によれば、第2像転写光学系18により、出力ミラー位置に軸方向に平行なレーザ光7を形成するので、平面ミラーからなる出力ミラー14により、軸方向に平行なレーザ光7を正確に元の光路に反射することができる。
すなわち、第1実施形態の構成によれば、第2像転写光学系18により、投影点(第1転写点22)上の像を第2転写点23に位置する出力ミラー14上に再度投影することができる。これは基準点21の像を出力ミラー14上に投影することと同等であり、基準点21におけるレーザ光7はビームウエスト又はこれに近いニアフィールドであり、常に軸方向に平行にでき、平面ミラーからなる出力ミラー14により、常に正確に元の光路に反射することができる。
従って、いかなる動作条件においても基本光学系の条件を満たすことができ、動作状態の制約を解消することができる。
図2は、本発明によるレーザ共振器の第2実施形態図である。
この例において、第2像転写光学系18は、第1転写点22と出力ミラー14の中間点に位置する第5凸レンズ18cからなる。第5凸レンズ18cは、第1転写点22と出力ミラー14間の距離の半分に相当する第5焦点距離fを有する。
第5凸レンズ18cは、単レンズであっても、2枚以上の複合レンズであってもよい。
この構成により、第1転写点22におけるレーザ光7のビームプロファイルを軸線上の同一の第1転写点22に転写することができる。
この例において、出力ミラー14におけるレーザ光7は、軸方向に平行である限りで、ビームウエスト又はこれに近いニアフィールドであっても、ファーフィールドであってもよい。
その他の構成は、図1の第1実施形態と同様である。
上述した第2実施形態によれば、第1転写点22と出力ミラー14の中間点に位置する第5凸レンズ18cにより、第1転写点22におけるレーザ光7のビームプロファイルを軸線上の第1転写点22に転写することができる。
この場合、出力ミラー14は、第5凸レンズ18cとその虚像との中間点に位置し、その位置におけるレーザ光7が常に軸方向に平行となるので、平面ミラーからなる出力ミラー14により、常に正確に元の光路に反射することができる。
従って、いかなる動作条件においても基本光学系の条件を満たすことができ、動作状態の制約を解消することができる。
第2実施形態は、上述した第1実施形態に比べ必要な光学部品の点数が少なく、共振器全体の寸法もコンパクトにできる。ただし図3に示すように、投影点からの光の広がりが比較的小さく、レンズの位置が投影点に対しニアフィールドとなる場合は平面鏡上での像が小さくなるため、高出力のレーザにおいては光学素子(この場合出力ミラー14)を損傷させるおそれがある。
そのため、出力ミラー14におけるレーザ光のビーム強度が過大とならないように、上述した焦点距離f,f,fと距離Lを設定するのがよい。
なお「ニアフィールド」とは、ビームウエストからの距離が、以下の式(3)により求められるレイリー長Lより十分に近い位置を意味する。ここで、ωはビームウエストでのビーム半径、Mはビーム品質係数、λはレーザ波長である。
=(πω )/(Mλ)・・・(3)
従って、対象となる場所のビームウエストからの距離が、式(3)により求められるレイリー長より十分遠ければファーフィールド、十分に近ければニアフィールド、そのどちらでもなければその中間であり、ニアフィールドとファーフィールドの両方の特性を含む。
式(3)により、ビームが絞れておりウェスト径が小さい場合にはレイリー長が短く、より近い距離からファーフィールドなることがわかる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。例えば、光路の中間位置に傾斜した平面ミラーを追加して、全体の光路を折り曲げてもよい。
本発明によるレーザ共振器の第1実施形態図である。 本発明によるレーザ共振器の第2実施形態図である。 図2のレーザ共振器の別の状態を示す図である。 特許文献1の「レーザ共振器」の模式図である。 特許文献2の「レーザ共振器」の模式図である。 特許文献3の「レーザ発振器」の模式図である。
符号の説明
6 レーザ光(高出力パルスレーザ)、7 レーザ光、
10 レーザ共振器、
12 レーザ媒体、13 反射ミラー(終端ミラー)、
14 反射ミラー(出力ミラー)、
16 像転写光学系、16a 第1凸レンズ、16b 第2凸レンズ、
18 第2像転写光学系、18a 第3凸レンズ、
18b 第4凸レンズ、18c 第5凸レンズ、
21 基準点、22 第1転写点、23 第2転写点

Claims (1)

  1. レーザ光を発生するレーザ媒体と、
    それぞれ平面ミラーからなり、前記レーザ媒体を軸方向に挟み、その間にレーザ光が集光される基準点を形成する終端ミラー及び出力ミラーと、を備え、
    前記出力ミラーを透して前記レーザ光を外部に出射するようになっており、
    前記基準点はレーザ媒体と出力ミラーの間に位置しており、さらに、
    前記基準点と出力ミラーの間に配置され、基準点におけるレーザ光のビームプロファイルを軸線上の第1転写点に転写する第1像転写光学系と、
    該第1像転写光学系と出力ミラーの間に配置され、出力ミラー位置に軸方向に平行なレーザ光を形成する第2像転写光学系と、を備え、
    前記第1像転写光学系は、第1焦点距離と第2焦点距離をそれぞれ有し、互いに第1焦点距離と第2焦点距離の和に相当する間隔を隔てた第1凸レンズと第2凸レンズからなり、
    前記第2像転写光学系は、第3焦点距離と第4焦点距離をそれぞれ有し、互いに第3焦点距離と第4焦点距離の和に相当する間隔を隔てた第3凸レンズと第4凸レンズからなり、第1転写点におけるレーザ光のビームプロファイルを軸線上の第2転写点に転写し、該第2転写点に出力ミラーが位置し、
    さらに前記基準点又は第1転写点に位置する波長変換素子を備える、ことを特徴とするレーザ共振器。
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