JP5386699B2 - 導電パターン形成基板の製造方法 - Google Patents
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Description
入力装置の導電性基板の透明導電層を構成する材料としては錫ドープ酸化インジウムが多く使用されているが、インジウムは枯渇が懸念されるため、近年では、有機導電体の使用が検討されている。有機導電体としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどのπ共役系導電性高分子が広く知られている。
パターンの形成方法としては、例えば、特許文献1には、透明基材の表面の全面に、塗工により透明導電層を形成した後、CO2レーザやQスイッチを利用したパルス幅100n秒程度のYAGレーザを照射して、絶縁にする部分の透明導電層をアブレーションにより除去する方法が開示されている。
特許文献2,3には、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等の印刷により透明基材の表面に導電部を所定のパターンで形成する方法が開示されている。
特許文献4には、透明基材の表面の全面に、塗工により透明導電層を形成した後、プラズマエッチングにより、絶縁にする部分の透明導電層を除去する方法が開示されている。
この問題に対して、有機導電体の補色に着色した色調補正フィルムを積層することも考えられるが、全面が着色した色調補正フィルムを用いた場合には、導電パターンが視認される問題は解決されず、導電部に重なる部分のみ着色した色調補正フィルムを用いた場合には、正確な位置合わせが求められるため、現実的ではない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、有機導電体の導電パターンが形成されているにもかかわらず、導電パターンが視認されにくい導電パターン形成基板を容易に製造できる導電パターン形成基板の製造方法を提供することを目的とする。
[1] 透明基材の少なくとも一方の面に形成された有機導電体製の透明導電層に、パルス幅1p秒未満の極短パルスのレーザ光を、透明導電層に照射するレーザ光のエネルギ密度を5×10 14 〜1.5×10 15 W/m 2 として所定のパターンで照射して、透明導電層のレーザ光を照射した部分を絶縁化することを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。
[2] レーザ光を集光する集光手段を介して、レーザ光を透明導電層に照射することを特徴とする[1]に記載の導電パターン形成基板の製造方法。
[3] 集光手段として凸レンズを用い、
集光手段を、透明導電層と集光手段との間にレーザ光の焦点が位置するように設けることを特徴とする[2]に記載の導電パターン形成基板の製造方法。
[4] レーザ光を透明導電層の同一部分に断続的に複数回照射することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の導電パターン形成基板の製造方法。
[5] 有機導電体としてポリアルキレンジオキシチオフェンを含むものを用いることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の導電パターン形成基板の製造方法。
本実施形態例の導電パターン形成基板の製造方法では、透明基材の一方の面に形成された有機導電体製の透明導電層に極短パルスのレーザ光を所定のパターンで照射する方法である。
以下、本実施形態例の製造方法について、より詳細に説明するが、以下の説明において、透明基材と、透明基材の一方の面に形成された透明導電層とを有する積層体のことを、導電パターン形成基板作製用積層体という。
本実施形態例のように、透明基材A2の片面に形成した透明導電層A1を絶縁化する場合には、凸レンズ20としては、高い開口数(NA>0.5)のものが好ましい。凸レンズ20の開口数が0.5より高いと、透明基材A2およびステージ30に当たるレーザ光Lのスポット径がより大きくなるため、透明基材A2およびステージ30の損傷をより防止できる。
まず、ステージ30の上面に導電パターン形成基板作製用積層体Aを、透明導電層A1が透明基材A2より上に配置されるように載置する。
次いで、レーザ光発生手段10よりレーザ光Lを出射させ、レーザ光Lを凸レンズ20により集光する。その集光したレーザ光Lの、焦点Fを過ぎてスポット径が広がった部分を透明導電層A1に照射する。その際、ステージ30を、レーザ光Lの照射が所定のパターンになるように移動させる。
前記エネルギ密度にするためには、例えば、凸レンズ20の上下方向の位置を調節して、透明導電層A1に当たるレーザ光のスポット径を調整すればよい。また、レーザ光Lの出力自体を調整してもよい。
導電パターン形成基板作製用積層体Aの透明導電層A1を構成する有機導電体としては、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを必須成分として含み、導電性無機粒子、バインダ樹脂を任意成分として含有するものが挙げられる。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性及び相溶性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
ポリアルケニレンとは、主鎖に不飽和二重結合(ビニル基)が1個含まれる構成単位からなる高分子である。
ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の酸無水物と、オキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからのポリイミドを例示できる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等を例示できる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を例示できる。
ヒドロキシ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシ基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。ヒドロキシ基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
アミノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したアミノ基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。アミノ基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
フェノール基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したフェノール基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。フェノール基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
ポリアルケニレンの具体例としては、プロペニレン、1−メチルプロペニレン、1−ブチルプロペニレン、1−デシルプロペニレン、1−シアノプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、1−ヒドロキシプロペニレン、1−ブテニレン、1−メチル−1−ブテニレン、1−エチル−1−ブテニレン、1−オクチル−1−ブテニレン、1−ペンタデシル−1−ブテニレン、2−メチル−1−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ブチル−1−ブテニレン、2−ヘキシル−1−ブテニレン、2−オクチル−1−ブテニレン、2−デシル−1−ブテニレン、2−ドデシル−1−ブテニレン、2−フェニル−1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテニレン、1−エチル−2−ブテニレン、1−オクチル−2−ブテニレン、1−ペンタデシル−2−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、2−エチル−2−ブテニレン、2−ブチル−2−ブテニレン、2−ヘキシル−2−ブテニレン、2−オクチル−2−ブテニレン、2−デシル−2−ブテニレン、2−ドデシル−2−ブテニレン、2−フェニル−2−ブテニレン、2−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、3−メチル−2−ブテニレン、3−エチル−2−ブテニレン、3−ブチル−2−ブテニレン、3−ヘキシル−2−ブテニレン、3−オクチル−2−ブテニレン、3−デシル−2−ブテニレン、3−ドデシル−2−ブテニレン、3−フェニル−2−ブテニレン、3−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−ブチル−2−ペンテニレン、4−ヘキシル−2−ペンテニレン、4−シアノ−2−ペンテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、4−エチル−2−ペンテニレン、3−フェニル−2−ペンテニレン、4−ヒドロキシ−2−ペンテニレン、ヘキセニレン等から選ばれる一種以上の構成単位を含む重合体を例示できる。
すなわち、ポリアニオンは、スルホ基及び/又はカルボキシ基を含有する高分子酸である。これらの中でも、π共役系導電性高分子へのドーピング効果の点から、−SO3 −X+、−COO−X+が好ましい。
また、このアニオン基は、隣接して又は一定間隔をあけてポリアニオンの主鎖に配置されていることが好ましい。
なお、ポリアニオンは、π共役系導電性高分子に配位している。そのため、π共役系導電性高分子とポリアニオンとは複合体を形成している。
また、無機導電性粒子として、銀、金、ニッケル等の金属微粒子、カーボンブラック等のカーボン微粒子が挙げられる。
(a)グリシジル基を有するアクリル単量体(以下、単量体(a)という。)。
(b)アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種と、ヒドロキシ基とを有するアクリル単量体(以下、単量体(b)という。)。
(a−1):グリシジル基と、アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを有するアクリル単量体。
(a−2):グリシジル基を2つ以上有するアクリル単量体。
(a−3):グリシジル基を1つ有するアクリル単量体であって、単量体(a−1)以外の単量体。
グリシジル基とアリル基を有する単量体として、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、アリルフェノールグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリシジル基とヒドロキシ基とを有する単量体として、1,4−ジヒドロキシメチルベンゼンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリシジル基とヒドロキシ基とアリル基とを有する単量体として、3−アリル−1,4−ジヒドロキシメチルベンゼンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
なお、グリシジル基とヒドロキシ基とを有する単量体、グリシジル基とヒドロキシ基とアリル基とを有する単量体は単量体(b)でもある。
ヒドロキシ基とアクリル(メタクリル)基を有する単量体として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(メタクリレート)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(メタクリレート)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(メタクリレート)、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、ジペンタエリストリトールモノヒドロキシペンタアクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基とアクリルアミド(メタクリルアミド)基を有する単量体として、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミドが挙げられる。
多官能アクリル単量体の具体例としては、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(以下、PEGと表記する。)400ジ(メタ)アクリレート、PEG300ジ(メタ)アクリレート、PEG600ジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等の2官能アクリルモノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等の3官能アクリルモノマー、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等の4官能以上のアクリルモノマー、ソルビトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の5官能以上のアクリルモノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、アルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の6官能以上のアクリルモノマー、2官能以上のウレタンアクリレートが挙げられる。
2つ以上のヒドロキシ基を有する芳香族化合物としては、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸及びその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸及びその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸及びその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸及びその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸及びその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸及びその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)等が挙げられる。
前記有機溶媒の中でも、取り扱い性の点から、アルコール類が好ましい。
無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどが挙げられる。
有機アルカリとしては、脂肪族アミン、芳香族アミン、4級アミン、金属アルコキシドなどが挙げられる。
脂肪族アミンとしては、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、へキシルアミン、オクチルアミン、ステアリルアミシ、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、 ピロール、ピリジン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、ピリミジン及びその誘導体、ピラジン及びその誘導体、トリアジン及びその誘導体等が挙げられる。これらのうち、ピリジン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、ピリミジン及びその誘導体、ピラジン及びその誘導体、トリアジン及びその誘導体等は導電性向上剤としても機能する。
4級アミンとしては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。アミン以外の窒素含有化合物としては、例えば、N−メチル−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、カルシウムアルコキシド等が挙げられる。
中和剤の中でも、容易に中和できることから、脂肪族アミン、芳香族アミン、4級アミン、金属アルコキシドよりなる群から選ばれる1種以上の成分からなる有機アルカリが好ましい。
また、上記製造方法では、集光手段である凸レンズ20によってスポット径を小さくしたレーザ光Lを透明導電層A1に照射するため、高精細な導電パターンを容易に形成できる。
しかも、透明導電層A1および凸レンズ20を、透明導電層A1と凸レンズ20との間にレーザ光Lの焦点Fが位置するように設けているため、透明導電層A1に当たるレーザ光Lのスポット径よりも透明基材A2に当たるレーザ光Lのスポット径が大きくなる。そのため、透明導電層A1に当たるレーザ光Lのエネルギ密度よりも透明基材A2に当たるレーザ光Lのエネルギ密度が小さくなるため、透明基材A2の損傷をより防止できる。
例えば、上記実施形態例において、凸レンズ20と焦点Fとの間に、焦点Fの集光スポット径を大きくしてエネルギ密度を低くするために、ガラス板等の屈折率の大きな部材からなる収差増強材を設置することができる。収差増強材を設置することにより、焦点Fにおける空気のプラズマ化を防止し、レーザ光Lのエネルギをより有効に透明導電層A1に照射することができる。
また、上記実施形態例では、ステージ30を移動させることにより、透明導電層A1にレーザ光Lを所定のパターンで照射したが、ステージ30を固定し、レーザ光発生手段10を水平方向に2次元的に移動させて、透明導電層A1にレーザ光Lを所定のパターンで照射してもよい。
また、集光手段は凸レンズ20に限らず、凹面鏡等の反射を利用した集光手段であってもよい。また、集光手段を省略して、レーザ光発生手段からレーザ光を導電パターン形成基板作製用積層体に直接照射しても構わない。
また、ステージ30の代わりに、ガルバノセルを用いても構わない。
図2に示すように、透明基材A2の両面に透明導電層A1が形成されている場合、凸レンズ20として焦点距離が50mm以上で開口数が0.2未満のものを使用すると、レーザ光Lの広がりを小さくできる。そのため、レンズの位置調整が容易になると共に、透明基材A2の両面におけるスポット径の差が小さくなり、両方の透明導電層A1に当たるエネルギ密度が略同等になるため、両面の透明導電層A1に同一の絶縁パターンを一括して形成させることができる。
また、透明基材A2の両面に形成された透明導電層A1のうち、片面側の透明導電層A1のみを絶縁化する場合には、凸レンズ20として開口数が0.5より大きいものを使用することが好ましい。凸レンズ20として開口数が0.5より大きいものを使用すれば、片面側の透明導電層A1のみ絶縁化させることができる。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の調製
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を2時間攪拌した。
これにより得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000mlと10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約10000ml溶液を除去し、残液に10000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
限外ろ過条件は下記の通りとした(他の例でも同様)。
限外ろ過膜の分画分子量:30000
クロスフロー式
供給液流量:3000ml/分
膜分圧:0.12Pa
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gの製造例1で得たポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記ろ過処理が行われた処理液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.5質量%の青色のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)水溶液を得た。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液600gに、イミダゾール20.1g(ポリアニオンに対して2モル当量)を添加し、攪拌して、イミダゾールを含有したPEDOT−PSS水溶液を調製した。
これとは別に、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン3.6g、イルガキュア127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.9g、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド18g、ペンタエリスリトールトリアクリレート7.0g、エタノール300g、錫がドープされた酸化インジウム(住友金属鉱山社製;X500シリーズ、平均粒子径;100〜140nm)0.3g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対して4.1質量%)を添加し、攪拌した。これにより得た溶液に、前記イミダゾールを含有したPEDOT−PSS水溶液を添加し、攪拌して、導電性高分子溶液Aを得た。
導電性高分子溶液Aをポリエチレンテレフタレートフイルム(東洋紡績製A4300、厚さ;188μm)に、リバースコーターにより塗布し、100℃、2分間、赤外線照射により乾燥した後、紫外線(高圧水銀灯120W、360mJ/cm2、178mW/cm2)照射し、硬化させて、透明導電層を形成して、導電パターン形成基板作製用積層体を得た。導電パターン形成基板作製用積層体は50×10mmの短冊状に切り出して、使用した。
図1に示す製造装置1を用い、以下のように、導電パターン形成基板作製用積層体Aにレーザ光Lを照射して、導電パターンを有する導電パターン形成基板を製造した。
具体的には、まず、厚さ5mmの透明アクリル板を上面に有するステージ30の上に導電パターン形成基板作製用積層体Aを、透明導電層A1が透明基材A2より上に位置するように載せた。
ついで、波長780nm、発振周波数1kHz、パルス幅200f秒(0.2p秒)、ビーム径8mm、出力10mWのレーザ光をレーザ光発生手段10により発生させ、凸レンズ20(焦点距離:50mm)に出射させた。そして、凸レンズ20を通過したレーザ光を、透明導電層A1に照射した。
その際、レーザ光の焦点Fが透明導電層A1の表面から1.4mm凸レンズ側に位置するように凸レンズ20の位置を調整した。また、短冊状の導電パターン形成基板作製用積層体Aの幅方向に沿ってレーザ光Lが繰り返し照射されるように、ステージ30を1.0mm/秒の速度で往復動させた。
以上のようにレーザ光Lを照射し、透明導電層A1に絶縁部を形成して、導電パターン形成基板を得た。
レーザ光の焦点Fを、透明導電層A1の表面から、各々、1.0mm側、2.0mm側、2.8mm凸レンズ側に位置させたこと以外は実験例1と同様にして、導電パターン形成基板を得た。
ステージ30の移動速度を、各々、0.1mm/秒、0.3mm/秒、3.0mm/秒、10mm/秒に変更したこと以外は実験例1と同様にして、導電パターン形成基板を得た。
レーザ光として、波長1064nm、発振周波数10Hz、パルス幅6秒、ビーム径8mm、出力12mWのYAGレーザ光を用い、焦点Fの位置を凸レンズ側0.1mmになるように調整したこと以外は実験例1と同様にして、導電パターン形成基板を作製した。
なお、導電性パターンの視認性は、以下の基準で評価した。
○:導電パターンが視認されなかった。
△:導電パターンが僅かに視認された。
×:導電パターンがはっきりと視認された。
透明導電層にYAGレーザ光を照射した実験例9の製造方法では、導電パターンが視認された。
10 レーザ光発生手段
20 凸レンズ
30 ステージ
A 導電パターン形成基板作製用積層体
A1 透明導電層
A2 透明基材
Claims (5)
- 透明基材の少なくとも一方の面に形成された有機導電体製の透明導電層に、パルス幅1p秒未満の極短パルスのレーザ光を、透明導電層に照射するレーザ光のエネルギ密度を5×10 14 〜1.5×10 15 W/m 2 として所定のパターンで照射して、透明導電層のレーザ光を照射した部分を絶縁化することを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。
- レーザ光を集光する集光手段を介して、レーザ光を透明導電層に照射することを特徴とする請求項1に記載の導電パターン形成基板の製造方法。
- 集光手段として凸レンズを用い、
集光手段を、透明導電層と集光手段との間にレーザ光の焦点が位置するように設けることを特徴とする請求項2に記載の導電パターン形成基板の製造方法。 - レーザ光を透明導電層の同一部分に断続的に複数回照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電パターン形成基板の製造方法。
- 有機導電体としてポリアルキレンジオキシチオフェンを含むものを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電パターン形成基板の製造方法。
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