(遊技機の全体構成)
以下、本発明にかかる実施形態について図1〜図3を参照して詳細に説明する。まず、遊技機1の全体構成について簡単に説明する。図1に示されるように、遊技機1は、所定の奥行きを有する額縁形状の機枠10を備える。この機枠10には前面枠12が取り付けられている。前面枠12は、その左側縁が機枠10に回動自在に支持され、前側に開閉可能である。また、前面枠12には、ガラス枠14が取り付けられている。ガラス枠14は、その左側縁が前面枠12に回動自在に支持され、前側に開閉可能である。
ガラス枠14の中央の開口部にはガラス板またはプラスチック板等の透明な板が設けられており、遊技者はこの透明な板を通して前側から遊技盤26を視認できる。また、ガラス枠14の下部には、払い出された遊技球を発射装置に送るまで貯めておく上皿ユニット16が設けられている。上皿ユニット16には、貯留されている遊技球を下皿ユニット20に流下させる上皿スイッチや、貸し出し可能な貸し球を払い出す球貸しスイッチ等が設けられている。また、ガラス枠14の上部左右両側には、スピーカ18が設けられている。
前面枠12の下部には、払い出された遊技球が上皿ユニット16に入りきらない場合等に遊技球を貯めることができる下皿ユニット20や、遊技球を発射操作するためのタッチスイッチを備える発射ハンドル22等が設けられている。上皿ユニット16の上側には、遊技者が押し下げ操作を行うことができる操作ボタン24が設けられている。
遊技盤26は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠12に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤26には、発射装置から発射された遊技球をガイドする金属製の薄板からなる帯状のガイドレール28が略円弧形状となるように設けられており、このガイドレール28によって遊技領域の外郭の一部が形成されている。
遊技盤26の遊技領域には、表示装置30(本発明における「表示手段」に相当する)、始動入賞口、普通図柄変動開始用ゲート33、大入賞口34、アウト口36などが設けられている。
始動入賞口には、いわゆるヘソ入賞口である第一始動入賞口321(本発明における「第一入賞領域」に相当する)、およびいわゆる電チュー入賞口である第二始動入賞口322(本発明における「第二入賞領域」に相当する)が設けられている。どのような遊技状態であっても、第一始動入賞口321に遊技球が入賞する可能性はある。一方、第二始動入賞口322には、第一始動入賞口321の両側に設けられた開閉部材32a,32bが閉状態のときには遊技球が入賞することはないが、開閉部材32a,32bが開状態となると遊技球が入賞しやすくなる。
表示装置30は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置30の表示画面(表示部)において特別図柄(本発明における「判定図柄」に相当する)や普通図柄等が表示される。かかる表示装置30の表示画面は、遊技盤26に形成された開口を通じて視認可能である。
また、遊技盤26の遊技領域には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての図示しない遊技釘が複数設けられている。遊技領域を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
図2に示すように、遊技機1の背面側には、主制御基板40、サブ制御基板42、音声制御基板44、払出制御基板45、電源基板46等の各種制御基板や、発射装置、球タンク、レール等が設けられている。
このような遊技機1では、発射ハンドル22の操作により、発射装置から遊技領域に遊技球を発射し、遊技領域を流下する遊技球が、始動入賞口32や大入賞口34等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
(遊技機の制御処理)
次に、遊技機1の制御処理について説明する。なお、以下の説明における各種乱数は、大当たり確率やリーチ成立確率といった各種確率に基づいて、総数や当選となる数値((当選となる数値の総数/乱数の総数)=当選確率となる)等が予め設定されているものである。また、本実施形態にかかる遊技機1は、大当たりの全てが大当たり遊技終了後に高確率状態(確率変動状態)となるいわゆる確変大当たりとなり、その高確率状態中の当否判定回数が所定回数を超えた場合に高確率状態が終了する(低確率状態に移行する)、いわゆる回数切り確変を搭載した遊技機である。
以下、主制御基板40が行う制御処理について詳細に説明する。主制御基板40は、ROMに記憶されている制御用プログラムに従いマイクロコンピュータのCPUにより制御処理を行う。図4は主制御基板40が行うメイン処理のフローチャートである。
メイン処理では、まずデバイスの初期設定(S10)が行われる。デバイスの初期設定(S10)では、スタックの設定、割り込み時間の設定、CPUの設定、SIO、PIO、CTCの設定等が行われる。
次に、割り込み禁止処理(S20)、主要乱数更新処理(S30)、割り込み許可処理(S40)が行われ、その後に再び割り込み禁止処理(S20)に戻るループ処理が行われ、このループ処理の間に割り込み処理(S100)が行われる。
割り込み禁止処理(S20)では、4msecごとに割り込み処理(S100)が入ってきても、割り込み許可となるまで、割り込みを禁止する。次の主要乱数更新処理(S30)では、種々の乱数が主要乱数更新処理(S30)ごとに1加算され、各乱数の設定上限値に至ると次に最小値に戻って再び加算が行われる。更新された乱数は主制御基板40のRAMに記憶される。割り込み許可処理(S40)では、4msecごとに入ってくる割り込み処理(S100)に対して許可をする。
割り込み処理(S100)では、図5に示すように、出力処理(S110)、入力処理(S120)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S130)、入賞検出処理(S140)、普通動作処理(S150)、特別動作処理(S160)、保留球数処理(S170)、電源断監視処理(S180)、その他の処理(S190)が行われる。
出力処理(S110)では、各処理で設定された出力用のコマンド(制御信号)や取得された数値データ等が各制御基板に送信される。入力処理(S120)では、遊技機1に取り付けられている各種センサ(スイッチ)が検知した場合の信号入力が行われる。普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S130)では、メイン処理におけるループ処理内で行われている普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S30)と同様の処理が行われる。
入賞検出処理(S140)では、図6に示すように、まず普通変動開始用ゲート33を遊技球が通過したかが判断され(S140−1)、通過が確認されたときにはゲート通過処理が行われる(S140−2)。通過が確認されないときには、第一始動入賞口321への遊技球の入賞が検出されたか判断され(S140−3)、第一始動入賞口321への入賞が検出されたと判断されると、第一特別図柄変動保留球数が4以上か判断され(S140−4)、4以上の場合にはこの入賞検出処理(S140)が終了する。一方、第一特別図柄変動保留球数が4未満であれば、第一特別図柄変動保留球数に1加算され(S140−5)、大当たり乱数値、リーチ乱数値、変動態様乱数値等が取得されて主制御基板40のRAMが有する保留記憶手段の対応する領域(アドレス)に記憶され(S140−6)、この入賞検出処理(S140)が終了する。一方、上記S140−3において、第一始動入賞口321への入賞が検出されない場合には、第二始動入賞口322への遊技球の入賞が検出されたか判断され(S140−7)、第二始動入賞口322への入賞が検出されたと判断されると、第二特別図柄変動保留球数が4以上か判断され(S140−8)、4以上の場合にはこの入賞検出処理(S140)が終了する。一方、第二特別図柄変動保留球数が4未満であれば、第二特別図柄変動保留球数に1加算され(S140−9)、大当たり乱数値、リーチ乱数値、変動態様乱数値等が取得されて主制御基板40のRAMが有する保留記憶手段の対応する領域(アドレス)に記憶され(S140−10)、この入賞検出処理(S140)が終了する。
ゲート通過処理(S140−2)では、図7に示すように、まず普通図柄変動保留球数が4以上か判断され(S140−2−1)、4以上の場合にはこのゲート通過処理(S140−2)が終了する。一方、普通図柄変動保留球数が4未満であれば普通図柄変動保留球数に1加算されると共に(S140−2−2)、普通図柄乱数値が取得され、取得した普通図柄乱数値(小当たり乱数値)が主制御基板40のRAMにおける対応する領域(アドレス)に記憶され(S140−2−3)、このゲート通過処理(S140−2)が終了する。
普通動作処理(S150)では、図8に示すように、まず始動入賞口32の両側に設けられた開閉部材32a,32b(図1参照)が開放中か確認される(S150−1)。開閉部材32a,32bが閉鎖中であれば、普通図柄変動保留球数が0かどうか判断され(S150−2)、0であればこの普通動作処理(S150)が終了する。一方、普通図柄変動保留球数が0でない場合には、ゲート通過処理(S140−2)の普通図柄乱数取得処理(S140−2−3)で取得されて主制御基板40のRAMに記憶されている普通図柄乱数値(小当たり乱数値)が読み出され(S150−3)、現在高確率状態(確率変動状態)かどうか判断される(S150−4)。高確率状態ではなく低確率状態の場合、取得普通図柄乱数値が予め設定されている低確率状態時の小当たり成立数値と対比されて両者が一致するか判断され、一致する場合には低確率状態での小当たりとなり、一致しない場合には外れと判断される(S150−5)。外れの場合には、この普通動作処理(S150)が終了し、一方、小当たりの場合には、開閉部材32a,32bを開放時間1秒、開放回数1回で開放する開閉部材開放処理が行われ(S150−6)、その後にこの普通動作処理(S150)が終了する。それに対して、S150−4で高確率状態と判断されると、取得普通図柄乱数値が予め設定されている高確率状態時の小当たり成立数値(低確率状態よりも数が多い。すなわち当選確率が高く設定されている)と対比されて両者が一致するか判断され、一致する場合には高確率状態での小当たりとなり、一致しない場合には外れと判断される(S150−7)。外れの場合には、この普通動作処理(S150)が終了し、一方、小当たりの場合には、開閉部材32a,32bを開放時間2秒、開放回数3回で開放する開閉部材開放処理が行われ(S150−8)、その後にこの普通動作処理(S150)が終了する。
また、S150−1で開閉部材32a,32bが開放中と判断されると、開閉部材32a,32bの開放時間が経過(終了)したか判断され(S150−9)、開閉部材32a,32bの開放時間が経過していない場合には、この普通動作処理(S150)が終了し、一方、開閉部材32a,32bの開放時間が経過した場合には、開閉部材32a,32bを閉鎖する(狭小開放状態とする)処理が行われ(S150−10)、その後にこの普通動作処理(S150)が終了する。
なお、上記ゲート通過処理(S140−2)および普通動作処理(S150)を実行する手段が、本発明における「入賞領域調節手段」に相当し、小当たりに当選(入賞領域変更条件が成立)したときの開閉部材の開放時間(一回の小当たりにつき実行される上記開閉部材開放処理の開始から終了までの時間)が本発明における「予め定められた所定期間」に相当する。
上記のように、低確率状態中においては(高確率状態中に比べ)小当たり当選確率が低く、当選したとしても開閉部材32a,32bの開放時間が短いし開放回数が少ないことから、低確率状態中に遊技球が第二始動入賞口322に入賞する可能性は低い(この第二始動入賞口322に入賞する可能性が相対的に低い状態が本発明における「第二状態」に相当する)。一方、高確率状態中においては(低確率状態中に比べ)小当たり当選確率が高く、当選したときの開閉部材32a,32bの開放時間が長いし開放回数も多いから、高確率状態中においては遊技球は第二始動入賞口322に頻繁に入賞する(この第二始動入賞口322に入賞する可能性が相対的に高い状態が本発明における「第一状態」に相当する)。そのため、第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因する変動表示(当否判定)を優先して行う「第二特別図柄優先変動」(後述)が選択された場合には、高確率状態中に行われる変動表示は、ほとんどが第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに基づくものとなる。
特別動作処理(S160)では、図9に示すように、特別動作ステータスが1〜4のいずれであるか判断される(S160−1〜S160−3)。特別動作ステータスが1の場合には特別図柄待機処理(S160−4)が行われ、特別動作ステータスが2の場合には変動中処理(S160−5)が行われ、特別動作ステータスが3の場合には特別図柄確定処理(S160−6)が行われ、特別動作ステータスが4の場合には特別電動役物処理(S160−7)が行われる。
特別動作ステータスが1の場合に行われる特別図柄待機処理(S160−4)では、図10に示すように、特別図柄変動保留球数が0か否か判断され(S160−4−1)、特別図柄変動保留球数が0の場合には表示装置30に表示される画面が特別図柄の変動中ではない待機画面(待ち受け画面)中か否か判断され(S160−4−2)、待機画面(待ち受け画面)中であれば、この特別図柄待機処理(S160−4)が終了する。一方、待機画面(待ち受け画面)中ではない場合には、表示装置30に表示される画面を待機画面(待ち受け画面)にするための待機画面設定処理(S160−4−3)が行われて表示装置30に表示される画面として待機画面がセットされ(S160−4−4)、その後にこの特別図柄待機処理(S160−4)が終了する。
それに対してS160−4−1で特別図柄変動保留球数が0ではないと判断された場合には、図11に示す特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が行われる。なお、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)は、本発明における行う当否判定(処理)に相当する。つまり、主制御基板40は、本発明における当否判定手段を含む。特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)では、まず入賞検出処理(S140)の特別図柄関係乱数値取得処理(S140−6、S140−10)で取得された、主制御基板40のRAMが有する保留記憶手段に記憶されている大当たり乱数値(当否判定データ)のうち、一番目の大当たり乱数値が読み出され(S160−4−5−1)、現在高確率状態(確率変動状態)か判断される(S160−4−5−2)。高確率状態ではない低確率状態の場合、取得された大当たり乱数値が予め設定されている低確率状態時の大当たり成立数値と対比されて両者が一致するか判断され、一致する場合には低確率状態での大当たりとなり、一致しない場合には外れと判断される(S160−4−5−3)。外れの場合には、外れコマンドがセットされ(S160−4−5−4)、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が終了する。一方、大当たりの場合には、大当たりフラグがONにセットされる(S160−4−5−5)とともに大当たりコマンドがセットされ(S160−4−5−8)、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が終了する。それに対して、S160−4−5−2で高確率状態と判断されると、取得された大当たり乱数値が予め設定されている高確率状態時の大当たり成立数値(低確率状態よりも数が多い。すなわち当選確率が高く設定されている)と対比されて両者が一致するか判断され、一致する場合には高確率状態での大当たりとなり、一致しない場合には外れと判断される(S160−4−5−6)。外れの場合には、外れコマンドがセットされ(S160−4−5−7)、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が終了する。一方、大当たりの場合には、大当たりフラグがONにセットされるとともに(S160−4−5−5)大当たりコマンドがセットされ(S160−4−5−8)、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が終了する。
ここで、本実施形態における遊技機1は、第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因する第二特別図柄の変動表示(当否判定)を優先して実行する「第二特別図柄優先変動」またはどの始動入賞口に入賞したかは関係なく遊技球が入賞した順に変動表示(当否判定)を行う「順次変動」のどちらでも設定可能に構成されている。つまり、遊技機1を用いて遊技を提供しようとする者が任意に設定可能に構成されている。上記保留記憶手段は、第一始動入賞口321に遊技球が入賞したことに起因する大当たり乱数値を保留記憶する第一保留記憶手段と、第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因する大当たり乱数値を保留記憶する第二保留記憶手段と、を含む。本実施形態では第一保留記憶手段および第二保留記憶手段それぞれの最大保留記憶数が4つに設定されている。「第二特別図柄優先変動」が選択された場合、第二保留記憶手段に記憶されている大当たり乱数値に基づく変動表示(当否判定)が優先して実行されることになるため、第一保留記憶手段に記憶されている大当たり乱数値に基づく変動表示(当否判定)は第二特別図柄の変動表示(当否判定)が全て実行された状態となってはじめて実行されることになる。
特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)の次に特別図柄選択処理(S160−4−6)が行われる。特別図柄選択処理(S160−4−6)では、表示装置30に停止表示される特別図柄が決定される。まず、特別図柄選択処理(S160−4−6)では、図12に示すように、大当たりフラグがONか判断され(S160−4−6−1)、大当たりフラグがON、すなわち大当たりの場合には当該大当たりの種類に応じた特別図柄の組み合わせが停止する図柄としてセットされる(S160−4−6−2)。一方、大当たりフラグがONではない、すなわち外れの場合には、左・中・右図柄乱数用カウンタによって左・中・右図柄乱数値(以下、左図柄乱数値を特別図柄データ1、中図柄乱数値を特別図柄データ2・右図柄乱数値を特別図柄データ3と称する)を取得し(S160−4−6−3)、特別図柄データ1と特別図柄データ2と特別図柄データ3の乱数値が全て一致しているか判断され(S160−4−6−4)、一致している場合にはリーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断される(S160−4−6−5)。リーチ乱数値が予め設定されているリーチ成立数値と一致している場合にはリーチ有りとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に1加算した乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−6)。一方、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合にはリーチ無しとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に1加算した乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−7)。
上記S160−4−6−4で特別図柄データ1と2と3の乱数値が一致していないと判断された場合には、特別図柄データ1と3の乱数値が一致しているか判断される(S160−4−6−8)。特別図柄データ1と3の乱数値が一致している場合には、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断される(S160−4−6−9)。リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致している場合にはリーチ有りとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−10)。一方、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合にはリーチ無しとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に1加算した乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−7)。つまり、リーチを成立させないよう、停止左特別図柄と停止右特別図柄が異なる図柄となるように加算操作がなされる。
上記S160−4−6−8で特別図柄データ1と3の乱数値が一致していない、すなわち特別図柄データ1,2,3が全て異なると判断された場合には、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断される(S160−4−6−11)。リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致している場合にはリーチ有りとなり、特別図柄データ1と特別図柄データ3の値が特別図柄データ1あるいは特別図柄データ3の乱数値に割り当てられている特別図柄と同一になるように停止左特別図柄と停止右特別図柄がセットされると共に、その同一にした特別図柄データ1或いは特別図柄データ3の乱数値に1加算した乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄にセットされる(S160−4−6−12)。一方、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合にはリーチ無しとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−10)。
続いて、特別図柄変動態様選択処理(S160−4−7)が行われる。かかる処理は、特別図柄の変動態様および図柄変動中の背景を決定するために必要な、現在の遊技状態を示す「変動選択ステータス」に基づき行う処理である。詳細を後述するように、遊技状態が高確率状態(確率変動状態)であるときには変動選択ステータスが3となり、高確率状態の終了後(高確率状態から低確率状態となった後)所定回数(X回転;このX(自然数)の値の設定については後述する)の特別図柄の変動を行うまでの間は変動選択ステータスが2となり、この変動選択ステータスが2である場合を除く(すなわち高確率状態の終了後の低確率状態におけるX回転の特別図柄の変動を行う間を除く)低確率状態であるときは変動選択ステータスが1となるように設定される。
なお、以下で説明するように変動選択ステータスを切り替える(設定する)、すなわち遊技状態を切り替えるための手段(主制御基板40が有する)が本発明における「遊技状態切替手段」に相当する。また、以下で説明するように変動選択ステータスに基づき図柄変動中の背景を決定する手段(主制御基板40が有する)が本発明における「背景調節手段」に相当し、この背景調節手段を含み、背景調節手段によって決定された背景を表示装置30に表示するように設定する手段(主制御基板40が有する)が本発明における「背景設定手段」に相当する。さらに、上記変動選択ステータスが3であるとき、すなわち高確率状態であるときが本発明における「特典遊技状態」に相当し、上記変動選択ステータスが2または3であるとき、すなわち低確率状態であるときが本発明における「通常遊技状態」に相当する。
また、以下の説明において、高確率状態の終了後のX回転の特別図柄の変動を行う間を除く低確率状態(変動選択ステータスが1である状態)を第一低確率状態と称し、高確率状態の終了後X回転の特別図柄の変動を行うまでの間の低確率状態(変動選択ステータスが2である状態)を第二低確率状態と称することもある。
特別図柄変動態様選択処理(S160−4−7)では、図13に示すように、まず変動選択ステータスが3がどうか判断される(S160−4−7−1)。変動選択ステータスが3でない場合には、変動選択ステータスが2かどうか判断される(S160−4−7−2)。変動選択ステータス2でなく1であること、すなわち第一低確率状態中であることが確認された場合には、当該変動が第二特別図柄の変動(第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因する変動)か否かが判断される(S160−4−7−3)。
第二特別図柄の変動でない、すなわち第一特別図柄の変動(第一始動入賞口321に遊技球が入賞したことに起因する変動)であることが確認された場合には、大当たりフラグがONかどうか判断され(S160−4−7−4)、大当たりフラグがONである場合には変動態様1が選択される(S160−4−7−5)。変動態様1は、上記S160−4−6−2で選択された、特別図柄が三つ揃った大当たり図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が通常背景に設定されるものである。なお、この「通常背景」とは、後述する「特殊背景」以外の背景をいうものとする。上記S160−4−7−3において大当たりフラグがONでない場合には、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断され(S160−4−7−6)、一致している場合には変動態様3が選択される(S160−4−7−7)。変動態様3は、上記S160−4−6−6、S160−4−6−10、またはS160−4−6−12で選択された、停止左特別図柄と停止右特別図柄が一致し停止中特別図柄がその図柄と異なるいわゆるリーチ外れ図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が通常背景に設定されるものである。一方、上記S160−4−7−5においてリーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合には、変動態様4が選択される(S160−4−7−8)。変動態様4は、上記S160−4−6−7やS160−4−6−10で選択された、停止左特別図柄と停止右特別図柄が異なるリーチ無しの外れ図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が通常背景に設定されるものである。
上記S160−4−7−3において第二特別図柄の変動であることが確認された場合には、大当たりフラグがONかどうか判断され(S160−4−7−9)、大当たりフラグがONである場合には変動態様2が選択される(S160−4−7−10)。変動態様2は、上記S160−4−6−2で選択された、特別図柄が三つ揃った大当たり図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が特殊背景に設定されるものである。なお、この「特殊背景」とは、上述した「通常背景」よりも遊技者にとって有利な状態である可能性が高いことを報知・示唆したり、通常の演出(変動)とは異なる演出(変動)を実行する際に表示されるような背景をいうものとする。すなわち、当該変動で何かが起こるのではないかという期待を遊技者に抱かせるような、通常背景とは異なる背景全般をいうものとする。上記S160−4−7−8において大当たりフラグがONでない場合には、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断され(S160−4−7−11)、一致している場合には変動態様5が選択される(S160−4−7−12)。変動態様5は、上記S160−4−6−6、S160−4−6−10、またはS160−4−6−12で選択された、停止左特別図柄と停止右特別図柄が一致し停止中特別図柄がその図柄と異なるいわゆるリーチ外れ図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が特殊背景に設定されるものである。一方、上記S160−4−7−10においてリーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合には、変動態様6が選択される(S160−4−7−13)。変動態様6は、上記S160−4−6−7やS160−4−6−10で選択された、停止左特別図柄と停止右特別図柄が異なるリーチ無しの外れ図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が特殊背景に設定されるものである。
このように本実施形態では、変動選択ステータスが1である場合、すなわち第一低確率状態においては、第一始動入賞口321に遊技球が入賞したことに起因する第一特別図柄が変動表示される際は表示装置30に表示される背景が通常背景に設定され、第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因する第二特別図柄が変動表示される際は表示装置30に表示される背景が特殊背景に設定されることになる。上述したように、低確率状態中は第二始動入賞口322に遊技球が入賞する可能性は低く設定されているから第一低確率状態中の遊技のほとんどは表示装置30に通常背景が表示されていることになるが、第二始動入賞口322に遊技球が入賞すると表示装置30に特殊背景が表示されることになるため、低確率状態中の遊技が変化に富んだものとなる。
一方、上記S160−4−7−1において現在の変動選択ステータスが3であること、すなわち高確率状態中であることが確認された場合には、大当たりフラグがONかどうか判断され(S160−4−7−9)、大当たりフラグがONである場合には変動態様2が選択される(S160−4−7−10)。変動態様2は、上記S160−4−6−2で選択された、特別図柄が三つ揃った大当たり図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が特殊背景に設定されるものである。上記S160−4−7−8において大当たりフラグがONでない場合には、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断され(S160−4−7−11)、一致している場合には変動態様5が選択される(S160−4−7−12)。変動態様5は、上記S160−4−6−6、S160−4−6−10、またはS160−4−6−12で選択された、停止左特別図柄と停止右特別図柄が一致し停止中特別図柄がその図柄と異なるいわゆるリーチ外れ図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が特殊背景に設定されるものである。一方、上記S160−4−7−10においてリーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合には、変動態様6が選択される(S160−4−7−13)。変動態様6は、上記S160−4−6−7やS160−4−6−10で選択された、停止左特別図柄と停止右特別図柄が異なるリーチ無しの外れ図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が特殊背景に設定されるものである。
このように本実施形態では、変動選択ステータスが3である、すなわち高確率状態中の場合には、第一始動入賞口321および第二始動入賞口322のいずれの入賞口に遊技球が入賞したとしても、特別図柄が変動表示される際に表示装置30に表示される背景は特殊背景に設定されるため、有利な遊技状態であることを遊技者が認識可能である。
また、上記S160−4−7−2において変動選択ステータスが2であること、すなわち第二低確率状態中であることが確認された場合には、大当たりフラグがONである場合には変動態様1が選択される(S160−4−7−5)。変動態様1は、上記S160−4−6−2で選択された、特別図柄が三つ揃った大当たり図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が通常背景に設定されるものである。上記S160−4−7−4において大当たりフラグがONでない場合には、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断され(S160−4−7−6)、一致している場合には変動態様3が選択される(S160−4−7−7)。変動態様3は、上記S160−4−6−6、S160−4−6−10、またはS160−4−6−12で選択された、停止左特別図柄と停止右特別図柄が一致し停止中特別図柄がその図柄と異なるいわゆるリーチ外れ図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が通常背景に設定されるものである。一方、上記S160−4−7−5においてリーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合には、変動態様4が選択される(S160−4−7−8)。変動態様4は、上記S160−4−6−7やS160−4−6−10で選択された、停止左特別図柄と停止右特別図柄が異なるリーチ無しの外れ図柄が最終的に停止することになる変動態様であって、図柄変動中の背景が通常背景に設定されるものである。
このように本実施形態では、変動選択ステータスが2である、すなわち第二低確率状態中の場合には、特別図柄が変動表示される際に表示装置30に表示される背景を通常背景に設定する。つまり、第一低確率状態中のように、第一始動入賞口321に遊技球が入賞したことに起因する変動の場合には通常背景を表示し、第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因する変動の場合には特殊背景を表示することなく通常背景を表示するように構成し、いずれの始動入賞口に遊技球が入賞したことに起因する変動の場合であっても必ず通常背景を表示する。
このようにして変動態様が選択された後、選択された変動態様は送信バッファに格納される(S160−4−7−14)。そして、その他の必要な処理(S160−4−7−15)が行われた後、この特別図柄変動態様選択処理(S160−4−7)が終了する。なお、ここで選択された変動態様はサブ制御基板42へ送信される。
特別図柄変動態様選択処理(S160−4−7)に次いで図14に示す特別図柄乱数シフト処理(S160−4−8)が行われる。特別図柄乱数シフト処理(S160−4−8)では、主制御基板40のRAMにおける保留記憶手段(第一保留記憶手段と第二保留記憶手段を合わせたもの)のデータ記憶領域において、ロード(読み出し)順位一位のアドレスの記憶領域に記憶されていた特別図柄主要乱数値(上述した大当たり乱数値等)の数値データが、先の処理でロードされて空席となることに起因して、ロード順位が二位以降のアドレスに記憶されている特別図柄主要乱数値のデータについて、ロード順位を一つずつ繰り上げるアドレスのシフトが行われる。具体的には、図14に示すように、まず当否判定手段の判定結果に基づく特別図柄(識別情報)の変動表示が行われることにより、主制御基板40のRAMに記憶されていた特別図柄変動保留球数から1減算(例えば保留球数2のものは1にされる等)され(S160−4−8−1)、次に各保留に対応するデータが各保留から1減算した保留のRAMアドレスにシフトされ(S160−4−8−2)、続いて最上位(ロード順位が最後)の保留に対応するRAMアドレスに0がセットされる(S160−4−8−3)。
「第二特別図柄優先変動」が設定されている場合には、ロード順位は常に第二特別図柄主要乱数値の方が第一特別図柄主要乱数値よりも先になる。つまり、第二保留記憶手段が記憶する第二特別図柄主要乱数値が存在する限り、第一保留記憶手段が記憶する第一特別図柄主要乱数値がロードされることはない。一方、「順次変動」が設定されている場合には、遊技球が入賞した順にロード順位が設定される。つまり、遊技球が入賞した順にその入賞に起因する特別図柄主要乱数値がロードされることになる。
特別図柄乱数シフト処理(S160−4−8)に次いで、特別図柄変動開始設定処理(S160−4−9)が行われる。特別図柄変動開始設定処理(S160−4−9)では、特別図柄の変動開始に必要なコマンドの準備などの設定が行われる。特別図柄変動開始設定処理(S160−4−9)の次に、特別動作ステータスが2に設定され(S160−4−10)、待機中が解除され、特別図柄待機処理(S160−4)が終了する。
特別動作ステータスが2の場合に行われる変動中処理(S160−5)では図15に示すように、特別動作タイマ判定処理が行われる(S160−5−1)。詳しくは、特別図柄の変動時間(変動態様の変動時間)が終了したか否か(動作タイマ=0か否か)が判断され(S160−5−2)、変動時間が終了していなければこの変動中処理(S160−5)が終了する。一方、変動時間が終了していれば変動停止コマンドがセットされる(S160−5−3)。続いて特別動作ステータスが3にセットされ(S160−5−4)、その他必要な処理(S160−5−5)が行われた後に、この変動中処理(S160−5)が終了する。
特別動作ステータスが3の場合に行われる特別図柄確定処理(S160−6)では図16に示すように、まず大当たりフラグがONか否か、すなわち大当たりか否か判断される(S160−6−1)。大当たりフラグがON、すなわち大当たりと判断された場合には、特別動作ステータスが4にセットされた(S160−6−2)後、この特別図柄確定処理(S160−6)が終了する。
一方、S160−6−1で大当たりフラグがOFF、すなわち外れと判断された場合には、現在高確率状態(変動選択ステータス3)中か否かが判断される(S160−6−3)。高確率状態中であると判断された場合には、確変カウンタが減算される(S160−6−4)。確変カウンタは、大当たり遊技終了後高確率状態に突入したときに、予め決められた高確率状態が終了するまでに受けられる当否判定回数(例えば70回)の値に設定され、一回の特別図柄の変動(当否判定)が終了する度に一つずつ減算されていく。この確変カウンタが0になったかどうかが判断され(S160−6−5)、確変カウンタが0になっていないときには、変動選択ステータスの値を変更させずに特別図柄確定処理(S160−6)は終了する。これに対し、確変カウンタが0になっているときには、高確率状態終了後の第二低確率状態に突入するため、変動選択ステータスが2に設定され(S160−6−6)、特別図柄確定処理(S160−6)は終了する。
上記S160−6−3において高確率状態中(変動選択ステータス3)であると判断されなかった場合には、変動選択ステータスが2にセットされているかどうかが判断される(S160−6−7)。変動選択ステータスが2である場合には、高確率状態終了後の変動回数X′に加算(+1)される(S160−6−8)。この加算された変動回数X′がX回に達したかどうかかどうかが判断され(S160−6−9)、X回に達していないときには、変動選択ステータスの値を変更せずに特別図柄確定処理(S160−6)は終了する。これに対し、加算された変動回数X′がX回目である場合には、第二低確率状態終了後の第一低確率状態に突入するため、変動選択ステータスが1にセットされ(S160−6−10)、特別図柄確定処理(S160−6)が終了する。
上記S160−6−7において変動選択ステータスが2ではないと判断された場合には、次回大当たり(特別遊技)と判断されるまで変動選択ステータスが1に維持され、特別図柄確定処理(S160−6)は終了する。
ここで、S160−6−7における「X」の値の設定について説明する。あくまで好ましい例であるが、Xの値は以下のように「第二特別図柄優先変動」が設定されている場合と「順次変動」が設定されている場合で異なるようにするとよい。
「第二特別図柄優先変動」が設定されている場合には、「X」の値は第二保留記憶手段が記憶しうる最大の保留記憶数以上に設定される。本実施形態のように第二保留記憶手段の最大保留記憶数が4つである場合には、Xは4以上に設定される。したがって、高確率状態終了後に行われた特別図柄の変動が4回転以内である間は、変動選択ステータスが2に維持されることになる。変動選択ステータスが2に維持されるということは、第二低確率状態が維持されるということであるから、少なくとも4回転の特別図柄の変動が行われる間に表示装置30に表示される背景は必ず通常背景に設定される。具体的には、上記変動態様1、3、4のいずれかが選択される(図13のS160−4−7−5、S160−4−7−7、S160−4−7−8)。
上述したように、高確率状態中においては当選したときの開閉部材32a32bの開放時間が通常状態中の当選時よりも長いし開放回数も多いから、第二始動入賞口322に遊技球が頻繁に入賞する。そのため、高確率状態中に行われる変動表示はほとんどが第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因するものとなる。したがって、高確率状態が終了した時点では、第二保留記憶手段が4つの保留を記憶した状態にあることが多い。また、高確率状態が終了したときに第二保留記憶手段に保留が記憶されていない状態であったとしても、本実施形態では高確率状態中に小当たりに当選したことによる開閉部材32a,32bの開放時間中(所定期間中)に低確率状態となっても、当該開放時間が経過するまでは開閉部材32a,32bの開状態(第一状態)が維持されるから、高確率状態から低確率状態に移行した後に第二保留記憶手段に保留が記憶される可能性もある。そして高確率状態が終了し、低確率状態となっても「第二特別図柄優先変動」であるのであるから、第二保留記憶手段が記憶する最大4つの保留に基づく変動を優先して実行することになるが、当該最大4つの保留に基づく記憶する保留に基づく変動時は、背景として必ず通常背景が表示されることになる。つまり、特殊背景が表示されていた高確率状態が終了した後の第二低確率状態中においては、高確率状態が終了した時点で記憶されている可能性がある第二保留記憶手段が記憶する保留に基づく最大4回転分の特別図柄の変動が行われる間は通常背景が表示される。この特殊背景から通常背景への変化により、遊技者は高確率状態が終了したことを認識することが可能である。なお、4以上の値であるX回転分の変動が行われた後は第一低確率状態に突入することになるため、図13のフローで説明したように第一始動入賞口321に遊技球が入賞した場合には通常背景が表示され、第二始動入賞口322に遊技球が入賞した場合には特殊背景が表示されることになる。このように、高確率状態が終了して第二低確率状態に突入し、特別図柄の変動が開始されても、開閉部材32a,32bが開状態となって遊技球が入賞してしまった場合であっても少なくとも4回転の変動間は必ず通常背景が表示されるため、高確率状態の終了を認識することが可能である。
「順次変動」が設定されている場合には、「X」の値は保留記憶手段が記憶しうる最大の保留記憶数以上、すなわち第一保留記憶手段の最大の保留記憶数と第二保留記憶手段の最大の保留記憶数を合わせた数以上に設定される。本実施形態のように、第一保留記憶手段の最大保留記憶数が4つであり、第二保留記憶手段の最大保留記憶数が4つである場合には、Xは8(4+4)以上に設定される。したがって、高確率状態終了後に行われた特別図柄の変動が8回転以内である間は、変動選択ステータスが2に維持されることになる。変動選択ステータスが2に維持されるということは、第二低確率状態が維持されるということであるから、少なくとも8回転分の特別図柄の変動が行われる間に表示装置30に表示される背景は必ず通常背景に設定される。具体的には、上記変動態様1、3、4のいずれかが選択される(図13のS160−4−7−5、S160−4−7−7、S160−4−7−8)。
高確率状態が終了した時点では、第一保留記憶手段および第二保留記憶手段は、それぞれ最大4つの保留を記憶した状態にある。つまり、計8つの保留が記憶された状態にある可能性があるととともに、変動順で8番目の保留が第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因するものとなる可能性がある。これを踏まえ、高確率状態が終了し、低確率状態となっても、第二保留記憶手段が記憶している可能性がある4つの保留の全てを消化し終える少なくとも8回転の変動が実行されるまで、背景として必ず通常背景が表示されることになる。つまり、高確率状態が終了した時点における第二保留記憶手段が記憶する保留を消化し終えるまで、特殊背景が表示されないように設定されている。この特殊背景から通常背景への変化により、遊技者は高確率状態が終了したことを認識することが可能である。なお、8以上の値であるX回転分の変動が行われた後は第一低確率状態に突入することになるため、図13のフローで説明したように第一始動入賞口321に遊技球が入賞した場合には通常背景が表示され、第二始動入賞口322に遊技球が入賞した場合には特殊背景が表示されることになる。なお、高確率状態が終了して第二低確率状態に突入し、特別図柄の変動が開始されても、開閉部材32a,32bが開状態となって遊技球が入賞してしまうことがあるが、このような場合であっても少なくとも8回転の変動間は必ず通常背景が表示されるため、高確率状態の終了を認識することが可能である。
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、「第二特別図柄優先変動」「順次変動」のいずれが設定される場合であっても、高確率状態が終了した後のX回転分の変動が行われる間は通常背景に設定されるから、遊技者は高確率状態の終了を認識することが可能となる。なお、「第二特別図柄優先変動」が設定されている場合であっても、「X」の値を保留記憶手段が記憶しうる最大の保留記憶数(第一保留記憶手段の最大の保留記憶数と第二保留記憶手段の最大の保留記憶数を合わせた数)以上に設定してもよい。「X」の値を保留記憶手段が記憶しうる最大の保留記憶数以上に設定したということは、当該「X」の値を第二保留記憶手段が記憶しうる最大の保留記憶数以上に設定したということでもあるからである。また、「順次変動」が設定される場合であっても「X」の値を第二保留記憶手段が記憶し得る最大の保留記憶数(例えば4つ)に設定してもよい。
特別動作ステータスが4の場合に行われる特別電動役物処理(S160−7)では、図17に示すように、確変(高確率状態)フラグがOFFされ(S160−7−1)、大当たりのオープニングが実施されたか否か(これから大当たりが始まる旨の映像が表示装置30に表示されたか否か等)が確認される(S160−7−2)。大当たりのオープニングが実施されていない場合には、大当たりのオープニングが実施される(S160−7−3)。その後、現在大入賞口34が開放中か否か判断され(S160−7−4)、開放中ではなく閉鎖中の場合には大入賞口34の開放時間か否か判断される(S160−7−5)。大入賞口34の開放時間の場合には大入賞口34の開放処理が行われ(S160−7−6)、その後にこの特別電動役物処理(S160−7)が終了する。それに対して大入賞口34の開放時間となっていないときには、この特別電動役物処理(S160−7)が終了する。
一方、S160−7−4で大入賞口34が開放中と判断されると、大入賞口34に10個遊技球が入賞(S160−7−7)、またはラウンド終了時間経過(S160−7−8)のいずれかであるか否か判断され、いずれでもない場合にはそのままこの特別電動役物処理(S160−7)が終了する。それに対して大入賞口34に10個遊技球が入賞、またはラウンド終了時間経過のいずれかである場合には、大入賞口閉鎖処理(S160−7−9)とラウンドカウンタの値を1減算する処理(S160−7−10)が行われる。なお、大入賞口閉鎖処理(S160−7−9)では、大入賞口34閉鎖のコマンドが出力バッファにセットされる。続いて、ラウンドカウンタ(大当たりの種別に応じて設定される。例えば15ラウンド大当たりであればラウンドカウンタの初期値は15に設定される)が0か否か判断され(S160−7−11)、ラウンドカウンタが0ではない場合には、そのままこの特別電動役物処理(S160−7)が終了する。これに対してラウンドカウンタが0の場合には、大当たりのエンディング(これで大当たりが終了した旨の映像が表示装置30に表示される等)が開始され(S160−7−12)、大当たり終了処理(S160−7−13)が行われる。
図18に示す大当たり終了処理(S160−7−13)では、まずS160−7−12において開始された大当たりのエンディングが終了したか否かが判断される(S160−7−13−1)。未だ大当たりのエンディングが終了していない場合には、大当たり終了処理(S160−7−13)が終了する。これに対して大当たりのエンディングが終了している場合には、大当たり終了後の各種データの設定が実行される(S160−7−13−2)。具体的には、上述した確変カウンタの初期値(例えば70回)を設定したり、これから高確率状態の遊技となるため変動選択ステータスを3に設定したり、大当たりフラグをOFFにする設定処理が実行される。そして、特別動作ステータスが1に設定され(S160−7−13−3)、大当たり終了処理(S160−7−13)が終了する。
特別動作処理(S160)の次に保留球数処理(S170)が行われる。保留球数処理(S170)では、図19に示すように現在の特別図柄、普通図柄の保留球数がロードされ(S170−1)、保留球数が特図保留コマンド、普図保留コマンドとして出力バッファにセットされる(S170−2)。この保留球数処理(S170)により、主制御基板40のRAMが有する保留記憶手段の保留球数に関する記憶がサブ制御基板42へ出力されるようにセットされる。
保留球数処理(S170)の次に電源断監視処理(S180)が行われる。電源断監視処理(S180)では、図20に示すように、電源断信号が入力した(例えば、電源断状態が12ms続いた)か否かを判定する(S180−1)。そして、電源断信号が入力していれば、現在のデータをRAMに記憶し(S180−2)、電源断フラグをONする(S180−3)。その後、無限ループへ移行し待機状態とされる。
その他の処理(S190)では、遊技に必要なその他の様々な処理が必要に応じて行われる。
サブ制御基板42は、上記のような制御を行う主制御基板40から各種信号を受けて演出の制御、表示装置30やスピーカ18から出力される映像や音声の制御を行う。このサブ制御基板42の構成(制御)については、周知の遊技機と同様の構成が適用できるから説明は省略する。
以上説明した本実施形態にかかる遊技機1によれば次のような作用効果が奏される。
本実施形態にかかる遊技機1では、低確率状態中であっても、第二始動入賞口322への遊技球の入賞を起因として特別図柄が変動表示される際に通常背景ではなく特殊背景が表示される場合がある。つまり、低確率状態が続いたとしても背景が切り替わって特殊背景が表示されることがあるから、低確率状態中の遊技が単調になるのを抑制することが可能である。
また、このように第二始動入賞口322への遊技球の入賞を起因として特別図柄が変動表示される際に特殊背景が表示される構成とすると、高確率状態が終了し通常遊技状態に移行したにも拘わらず、そのまま特殊背景が表示され続けてまい、遊技者が特典遊技状態が未だ続いているのではないかと誤解してしまうおそれがあるところ、本実施形態にかかる遊技機1によれば、遊技状態が高確率状態から低確率状態に切り替わってから予め定められた所定回数(X回転)の変動表示を行う間は、第二始動入賞口322への遊技球の入賞を起因として特別図柄が変動表示される際であっても特殊背景が表示されないように設定されており、高確率状態が終了し低確率状態に移行した場合には必ず背景が特殊背景から通常背景に変化するため、上記のような誤解が生ずることはない。つまり、高確率状態が終了し低確率状態に切り替わったことを遊技者に認識させることが可能である。
そして、「第二特別図柄優先変動」が設定されている場合に、高確率状態が終了した後、少なくとも優先する第二保留記憶手段が記憶する当否判定データが全て消化される間、すなわち少なくとも第二保留記憶手段が記憶しうる最大の保留記憶数分の変動表示を行う間は特殊背景が表示されないように設定すれば、第二保留記憶手段に記憶された当否判定データに基づく当否判定結果であっても当該保留記憶数分の変動の間は特殊背景が表示されずに通常背景が表示されることになるから、高確率状態が終了し低確率状態に切り替わったことを遊技者が認識可能である。
一方、「順次変動」が設定されている場合に、高確率状態が終了した後、保留記憶手段(第一保留記憶手段および第二保留記憶手段)が記憶する当否判定データが全て消化される間、すなわち少なくとも保留記憶手段が記憶しうる最大の保留記憶数分の変動表示を行う間は特殊背景が表示されないように設定すれば、高確率状態終了時に第二保留記憶手段に記憶された当否判定データに基づく当否判定結果が全て表示される間は、第二保留記憶手段に記憶された当否判定データに基づく当否判定結果であっても通常背景が表示されることになるから、高確率状態が終了し低確率状態に切り替わったことを遊技者が認識可能である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態にかかる遊技機1では、遊技状態として高確率状態(確率変動状態)と低確率状態が設けられ、高確率状態が終了したことを確実に遊技者に認識させるため、高確率状態が終了してから低確率状態に移行してから予め定められた所定回数(X回転)の特別図柄の変動表示を行う間、すなわち第二低確率状態中は、第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因する変動であっても表示装置30に表示される背景が通常背景に設定されることを説明したが、このような背景の設定手法は、高確率状態から低確率状態へ遊技状態が切り替わった場合以外の場合にも適用可能である。
具体的には、遊技状態として高確率状態(確率変動状態でかつ開閉部材32a,32bの開放頻度が通常状態に比べて高い状態(第一状態))、いわゆる時間短縮状態(大当たりの当選確率は低確率状態であるが、開閉部材32a,32bの開放頻度が通常状態に比べて高い状態(第一状態))、および通常状態(大当たりの当選確率が低確率状態であり、かつ開閉部材32a,32bの開放頻度が高確率状態に比べて低い状態(第二状態))が設けられている場合において、高確率状態からいわゆる時間短縮状態に切り替わったときや、時間短縮状態から通常状態に切り替わったときに、予め定められた所定回数の特別図柄の変動表示を行う間は、遊技状態が切り替わったことを遊技者に確実に報知することができる背景(予め設定された時間短縮状態や通常状態中の大半で表示されることになる背景)以外の背景が表示されないように設定すればよい。このように構成することで「第二特別図柄優先変動」「順次変動」のいずれが設定される場合であっても、遊技状態が切り替わった後の所定回数の特別図柄の変動表示を行う間は、切り替わる前の遊技状態が継続していると誤認する可能性のある背景(特殊背景)は表示されないため、遊技者は遊技状態が切り替わったことを容易に認識することが可能となる。なお、高確率状態からいわゆる時間短縮状態に切り替わったときの場合は、高確率状態が本発明における「特典遊技状態」に、時間短縮状態が本発明における「通常遊技状態」に相当するとともに、高確率状態中に表示される背景が本発明における「特殊背景」に、時間短縮状態中の大半で表示される背景が本発明における「通常背景」に相当することになる。また、時間短縮状態から通常状態に切り替わったときの場合は、時間短縮状態が本発明における「特典遊技状態」に、通常状態が本発明における「通常遊技状態」に相当するとともに、時間短縮状態中に表示される背景が本発明における「特殊背景」に、通常状態中の大半で表示される背景が本発明における「通常背景」に相当することになる。
また、上記実施形態にかかる遊技機1では、第一低確率状態中において、第二始動入賞口322に遊技球が入賞したことに起因する変動の場合には特殊背景を表示することを説明したが、例えば第二始動入賞口に遊技球が入賞したことを起因に特殊背景と通常背景のどちらを表示するか選択し、その結果に基づいて表示してもよく、その際に通常背景が表示される場合があってもよい。
また、通常遊技状態時に表示される通常背景や高確率状態中に表示される特殊背景は複数種類あってもよい。