JP5383223B2 - おむつかぶれ改善剤 - Google Patents

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本発明は、おむつかぶれ改善剤に関する。
おむつかぶれは、おむつに覆われた皮膚に起きた炎症で、医学的には「おむつ皮膚炎」ともいわれる。おしり全体が赤くなったり、ポツポツとあせものような湿疹として現れることもあり、炎症はかゆみや痛みをともない、悪化するとただれて血がにじむこともある。
従来、おむつかぶれ改善剤としては、例えば、ヒアルロン酸(特許文献1)や、オートミール、大豆、酸化亜鉛等の皮膚保護剤(特許文献2)、フラボン類、カテキン類等のウレアーゼ阻害剤(特許文献3)が用いられているが、その効果は十分とはいえない。
一方、ピリドキシン(ビタミンB)は、ビタミンB欠乏症、皮膚炎の予防及び治療に用いられているが(非特許文献1)、おむつかぶれに適用されたとの報告はない。
特開平8−208488号公報 特開2005−60394号公報 特開2004−91338号公報
第十五改正日本薬局方解説書、C−3380頁
本発明は、有効性が高く、かつ安全なおむつかぶれ改善剤を提供することを課題とする。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)ピリドキシン又はその塩を含有するおむつかぶれ改善剤。
(2)更に殺菌剤を含有する前記(1)に記載のおむつかぶれ改善剤。
(3)殺菌剤がイソプロピルメチルフェノールである前記(1)又は(2)に記載のおむつかぶれ改善剤。
(4)液体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のおむつかぶれ改善剤。
(5)pHが2〜5である前記(4)に記載のおむつかぶれ改善剤。
(6)入浴剤又は清拭剤組成物である前記(1)〜(5)のいずれかに記載のおむつかぶれ改善剤。
本発明によれば、有効性が高く、かつ安全なおむつかぶれ改善剤を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のおむつかぶれ改善剤は、ピリドキシン(ビタミンB)又はその塩を含有する。ピリドキシンの塩としては、酸付加塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
本発明のおむつかぶれ改善剤におけるピリドキシン(ビタミンB)又はその塩の配合量は、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.05〜1質量%である。
本発明のおむつかぶれ改善剤は、更に殺菌剤を含有することが好ましい。殺菌剤としては、皮膚外用剤に配合できるものであれば特に制限はなく、例えばイソプロピルメチルフェノール、サリチル酸又はその塩、ヒノキチオール、感光素、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、グアイアズレン、塩酸クロルヘキシジン、好ましくはイソプロピルメチルフェノールが挙げられる。
本発明のおむつかぶれ改善剤に殺菌剤を配合する場合、その配合量は、本発明のおむつかぶれ改善剤に対して、通常0.001〜1質量%、好ましくは0.05〜0.8質量%である。
本発明のおむつかぶれ改善剤の剤形は、直接肌に塗布することができ、また溶かして(希釈して)用いる場合においても、製剤の溶解性の点から、液体である液剤、懸濁剤、乳剤、エアゾール剤、ローション剤、ボディシャンプー等であることが好ましい。
本発明のおむつかぶれ改善剤を液体として用いる場合、有効成分であるピリドキシン又はその塩の安定性の点から、pHが2〜5になるように調整することが好ましい。
本発明のおむつかぶれ改善剤は、日常的に行われるおむつ交換時や沐浴時に簡便に適用できる点から、入浴剤又は清拭剤組成物として用いることか好ましい。
本発明のおむつかぶれ改善剤には、前記成分の他に、有機酸及び/又はその塩、界面活性剤、油性成分を配合することが好ましい。
前記有機酸としては、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、アジピン酸、ピロリドンカルボン酸、サリチル酸、コハク酸が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上の組み合わせで用いられる。有機酸の塩としては、水溶液の塩、例えばナトリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等の陰イオン界面活性剤;カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸、スルホベタイン型等の両性界面活性剤;陽イオン界面活性剤が挙げられるが、安全性の面から非イオン界面活性剤が好ましい。
前記油性成分としては、例えば、大豆油、コメヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、豚脂等の天然油脂、これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油及びミリスチン酸グリセリド、2−エチルヘキサン酸グリセリド等の合成グリセリド、ジグリセリド等の油脂類;カルナウバロウ、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、プリスタン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸類;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、2−ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール等のエステル類;精油類;シリコーン油類が挙げられる。
本発明のおむつかぶれ改善剤には、前記成分の他に、必要に応じて、水溶性高分子、無機顔料、多価アルコール、防腐剤、香料、無機塩類、ビタミン類、蛋白分解酵素、その他の成分を添加することができる。
前記水溶性高分子としては、例えば、デキストリン、キサンタンガム等の微生物系多糖類、デンプン、グアーガム、カラギーナン、寒天、マンナン等の植物系多糖類、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系蛋白質などの天然高分子、また、半合成高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース系、可溶性デンプン、メチルデンプン等のデンプン系、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系が挙げられる。水溶性合成高分子の例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリビニルメチルエーテル等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、タルク、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸、カオリン、ベントナイト、雲母チタン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール;ソルビット、マンニット等の糖類が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル(例えば、メチルパラベン)、安息香酸、安息香酸塩、フェノキシエタノールが挙げられる。香料としては、例えばラベンダー油、ジャスミン油、レモン油、オレンジ油、ローズマリー油等の天然香料、ゲラニオール、シトロネロール、フェネチルアルコール等の合成香料が挙げられる。
無機塩類としては、例えば硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウムが挙げられる。
ビタミン類としては、例えばビタミンA;ピリドキシン又はその塩以外のビタミンB;ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、リポ酸、オロット酸及びその誘導体等が挙げられる。蛋白分解酵素としては、例えばペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、ブロメライン、フィシン及び細菌酵母、カビ由来のプロテアーゼ等が挙げられる。
その他の成分としては、イオウ、鉱砂、湯の花、中性白土、卵黄末、イリ糠、雲母末、脱脂粉乳、海藻エキス、色素等が挙げられる。
本発明のおむつかぶれ改善剤は、ピリドキシン又はその塩、及び必要に応じて、殺菌剤、有機酸及び/又はその塩、界面活性剤、油性成分、その他の成分を、通常、水と混合して液状とすることにより製造する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す配合量(%)は質量基準である。
(実施例1)
表1に示す処方のpHを4に調整した液剤を調製し、生後1歳前後の軽度おむつかぶれの乳幼児19名に使用した際の改善効果を評価した。A群(9名)は液剤を7日間使用し、その後7日間未使用後の皮膚状態を評価した。B群(10名)は未使用期間7日後から液剤を7日間使用し皮膚状態を評価した。尚、A群とB群の対象者は任意に選定した。液剤の使用方法は、全ての乳幼児について、おむつ交換時の清拭(液剤8mLを2Lの水(温水)に溶解し、ガーゼ等に浸しお尻まわりを清拭する)及び沐浴(液剤8mLに対してお湯20Lの割合に溶解し入浴する)で行った。皮膚評価は、未使用時(7日後)と使用時(7日後)の皮膚状態を皮膚科医による紅斑等の診断、及び保護者による改善度合いのVAS評価により行った。
結果を表2及び3に示す。
Figure 0005383223
Figure 0005383223
Figure 0005383223
表2及び3に示すとおり、ピリドキシン塩酸塩を配合した製剤は、おむつかぶれに効果があった。
(実施例2)
表1に示す処方について、クエン酸とクエン酸ナトリウムの配合比を加減して、表4に示すとおりに製剤pHを調整した。各々のサンプルを50℃に保管し、3ヵ月経過後に液体クロマトグラフィーにてピリドキシン塩酸塩の残存率を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005383223
表4に示すとおり、ピリドキシンはpH3.1〜4.6の間で優れた安定性を示した。

Claims (4)

  1. ピリドキシン又はその塩を含有し、液体で、かつpHが2〜4.3であるおむつかぶれ改善剤。
  2. 更に殺菌剤を含有する請求項1記載のおむつかぶれ改善剤。
  3. 殺菌剤がイソプロピルメチルフェノールである請求項1又は2記載のおむつかぶれ改善剤。
  4. 入浴剤又は清拭剤組成物である請求項1〜のいずれか1項に記載のおむつかぶれ改善剤。
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