JP5383146B2 - 非対称膜及びこれを用いた空調システム - Google Patents

非対称膜及びこれを用いた空調システム Download PDF

Info

Publication number
JP5383146B2
JP5383146B2 JP2008268743A JP2008268743A JP5383146B2 JP 5383146 B2 JP5383146 B2 JP 5383146B2 JP 2008268743 A JP2008268743 A JP 2008268743A JP 2008268743 A JP2008268743 A JP 2008268743A JP 5383146 B2 JP5383146 B2 JP 5383146B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
permeable membrane
outside air
membrane
asymmetric membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008268743A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009131833A (ja
Inventor
純也 石田
満明 根岸
勇三 森岡
美香 川北
勝則 岩瀬
学 前田
正彦 峯村
守 萩原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Denso Corp
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Polymer Co Ltd, Shin Etsu Chemical Co Ltd, Denso Corp filed Critical Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority to JP2008268743A priority Critical patent/JP5383146B2/ja
Priority to DE112008002904.0T priority patent/DE112008002904B4/de
Priority to PCT/JP2008/069460 priority patent/WO2009057557A1/ja
Priority to US12/740,144 priority patent/US8394183B2/en
Priority to CN2008801081865A priority patent/CN101801510B/zh
Publication of JP2009131833A publication Critical patent/JP2009131833A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5383146B2 publication Critical patent/JP5383146B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D53/00Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols
    • B01D53/22Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols by diffusion
    • B01D53/228Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols by diffusion characterised by specific membranes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D67/00Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
    • B01D67/0079Manufacture of membranes comprising organic and inorganic components
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D67/00Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
    • B01D67/0079Manufacture of membranes comprising organic and inorganic components
    • B01D67/00793Dispersing a component, e.g. as particles or powder, in another component
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/14Dynamic membranes
    • B01D69/141Heterogeneous membranes, e.g. containing dispersed material; Mixed matrix membranes
    • B01D69/148Organic/inorganic mixed matrix membranes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/24Devices purely for ventilating or where the heating or cooling is irrelevant
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H3/00Other air-treating devices
    • B60H3/06Filtering
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L83/00Compositions of macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon only; Compositions of derivatives of such polymers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2323/00Details relating to membrane preparation
    • B01D2323/28Pore treatments
    • B01D2323/283Reducing the pores

Description

本発明は、非対称膜及びこれを用いた空調システムに関する。
従来、各種の高分子材料によって形成された非対称膜が知られている。例えば、含フッ素ポリイミドを被膜材料として使用したもの(特許文献1、2)、ポリアクリロニトリルを使用したもの(特許文献3)、ポリオレフィンを使用したもの(特許文献4)、ポリエーテルスルホンを使用したもの(特許文献5)、ポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)(PTMSP)を使用したもの(特許文献6、7)がある。これらは何れも、気体分離または液―液分離を目的とした膜であり、フィラーを含有しておらず、気体透過性の点では十分なものではない。
一方、フィラーを含有する分離膜として、液―液分離を目的とした、ゾルゲル反応で作成された膜が知られている(特許文献8、9)。しかし、これも気体透過を目的とする膜として適したものではなかった。
ところで、近年、技術の進歩に伴い、例えば自動車等の気密性を高めることが難しかった空間においても気密性を高めることが可能となった。このような気密性の高い自動車に多くの乗員が長時間の乗車をした場合には、酸素濃度の低下や二酸化炭素濃度の上昇が起こり、乗員に頭痛や不快感をもたらすおそれがあるため、適度に外気を導入する必要がある。
しかしながら、都会の道路や幹線道路等は粉塵等の汚染物質により汚染されているため、乗員の健康を考えると外気をそのまま車内に導入することは大きな問題であった。この問題を解決するための1つの方法としては、大気中の汚染物質、例えば浮遊物質を除去するためのフィルターを、外気導入のための取り入れ口に設置する方法がある。
このようなフィルターとしては従来、不織布やメカニカルフィルター等が用いられていた。また、特許文献10では、自動車全体の空調システムが提案されている。
特開平05−7749号公報 特開平06−188167号公報 特開平05−184891号公報 特表2002−535115公報 特開平09−285723号公報 特開昭60−1323605号公報 特開平02−222715号公報 特開平11−192420号公報 特開平11−9976号公報 特開2004−203367号公報
しかしながら、従来の不織布やメカニカルフィルター等のフィルターでは、大気中の浮遊物質のうち粒径が10μm以下のもの(以下「SPM」という。)を十分に除去することができないという問題があった。特に、SPMのうち数10ナノメータ程度の粒径を有するナノ粒子は、人体に吸入されたときに気管支や肺胞などの下部気道まで達して沈着し易いと考えられており、このようなナノ粒子を十分に遮断可能な空調システムの開発が強く望まれている。
高分子材料からなる気体選択透過膜をフィルターに適用することにより、SPMをある程度除去することは可能になり得るものの、その場合は気体の透過性が不十分であり、外気を十分に導入する目的を達成することができないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、SPM等の大気中の浮遊物質を除去することが可能であり、且つ気体の透過性が十分である膜、及びそれを用いる空調システムを提供することを目的とする。
一つの側面において、本発明は、多孔質層及びこれに隣接する緻密層を有し、多孔質層及び緻密層が高分子材料によって形成されている非対称膜に関する。本発明に係る非対称膜において、多孔質層はフィラーを含んでいる。
フィラーを含む多孔質層を導入した上記特定の構成を備えることにより、本発明に係る非対称膜は、SPM等の大気中の浮遊物質を十分に除去することが可能であり、且つ気体の透過性が十分な膜となった。
上記高分子材料は、少なくとも1つのSi原子を有するポリマーであることが好ましい。また、フィラーの含有量は、当該非対称膜に含まれる高分子材料100質量部に対して11質量部以上であることが好ましい。これらの特徴を有することにより、本発明による効果が特に顕著に奏される。
23±2℃、膜間の圧力差1.05〜1.20atmにおける酸素透過係数P(O)及び窒素透過係数P(N)が、下記式(1)を満足することが好ましい。これにより本発明による効果がより一層顕著に奏される。
0.85<P(O)/P(N)<1 ・・・(1)
また、23±2℃、膜間の圧力差がない条件における酸素透過係数度P(O)及び二酸化炭素透過係数P(CO)の比が、下記式(3)を満足することが好ましい。これにより本発明による効果がより一層顕著に奏される。
0.719<P(O)/P(CO)<1.70 ・・・(3)
本発明に係る非対称膜は、多孔質層及び緻密層のうち少なくとも一方が含浸されている、又は多孔質層上若しくは緻密層上に積層されているメッシュ体を有していてもよい。非対称膜がメッシュ体を有していることにより、膜の機械的強度が向上して、外部応力による膜の破壊を防ぐことができる。
別の側面において、本発明は空調システムに関する。本発明に係る空調システムは、空調対象空間への気体の供給及び/又は空調対象空間からの気体の排出が行われる膜として上記本発明に係る非対称膜を備える。
本発明によれば、SPM等の大気中の浮遊物質を除去することが可能であり、且つ気体の透過性が十分である膜、及びそれを用いる空調システムが提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
非対称膜
図1は、非対称膜の一実施形態を示す断面図である。図1に示す非対称膜13は、多孔質層3と、多孔質層3に隣接する緻密層5とから構成される。緻密層5は、当該技術分野において一般に「スキン層」と称される場合がある層である。多孔質層3及び緻密層5は、同じ高分子材料によって一体に形成されている。多孔質層3内にはフィラーが分散している。非対称膜13は、多孔質層3及び緻密層5を有する非対称構造を形成している高分子材料と、フィラーとを主成分として含んでいるが、他の成分を更に含んでいてもよい。非対称膜13の厚さは0.1〜10μmであることが好ましい。
緻密層5は、SPMの透過を防ぎながら、窒素及び酸素等の気体を選択的に透過させる機能を有する。そのために、緻密層5は、SPMの透過を十分に防止できる程度の緻密性を有していればよい。ただし、緻密層5内には、多孔質層3よりも細孔容積が小さくなる程度の細孔が形成されている場合もある。
緻密層5も多孔質層3と同様のフィラーを含んでいる場合がある。この場合、フィラー周囲において細孔が形成されている可能性が高い。このように、フィラーの侵入にともなって緻密層5内に細孔が形成されることにより、緻密層5においてクヌーセン流が支配的となり、その結果、緻密層5の気体の透過性が飛躍的に向上すると考えられる。係る作用の詳細な考察に関しては後述する。
気体の透過性を十分に確保するために、緻密層5の膜厚は1μm以下であることが好ましい。また、緻密層5の膜厚は好ましくは0.005μm以上であり、より好ましくは0.01μm以上である。
多孔質層3は、高分子材料及びフィラーから構成されており、気体の透過性を高いレベルに維持しつつ緻密層5の支持体として機能する。気体の透過性を十分に確保するために緻密層5の膜厚を薄くすると、緻密層5単独では膜全体の強度等が不足するおそれがあるが、多孔質層3が緻密層5を支持する支持体として機能することにより、非対称膜13全体としては十分な機械的強度や取扱い性が維持される。係る観点等から、多孔質層3の膜厚は1〜500μmであることが好ましい。
非対称膜13を構成する高分子材料は、緻密層及び多孔質層を形成可能なポリマーであればよい。具体的には、高分子材料はSi原子を有するポリマー(以下場合により「Si系ポリマー」という。)であることが好ましい。Si系ポリマーは、少なくとも1個のSi原子を有していればよく、例えば、ポリオルガノシロキサン骨格及び/又は下記一般式(10)で表されるトリオルガノシリル基を有する。
−SiR ・・・(10)
Rは、それぞれ独立して炭素数1〜30までの、アルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアルケニル基、又はこれらがハロゲン原子によって置換された基であることが好ましい。トリオルガノシリル基を有するSi系ポリマーの例としては、ポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン骨格は、珪素原子と酸素原子が交互に結合し、珪素原子の少なくとも一部に有機基が結合している構造である。ポリオルガノシロキサン骨格において珪素原子に結合している有機基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30のアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30のアラルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30のアルケニル基であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン骨格を有するSi系ポリマーとしては、ポリオルガノシロキサン、及び、ポリオルガノシロキサン骨格を有しない有機ポリマーにポリオルガノシロキサン骨格をブロック共重合またはグラフト重合の形で分子鎖に導入させたシリコーン変性ポリマーがある。シリコーン変性ポリマーとしては、シリコーン変性シクロオレフィンポリマー、シリコーン変性プルランポリマー(例えば、特開平8−208989号公報に記載のもの)及びシリコーン変性ポリイミドポリマー(例えば特開2002−232305号公報に記載のもの)が挙げられる。
シリコーン変性シクロオレフィンポリマーとしては、下記化学式(11)で表される有機ケイ素化合物を、メタセシス重合したときに得られる下記化学式(12)で表される重合体が挙げられる。メタセシス重合は、定法に従い、トルエンやキシレン等の芳香族系炭化水素溶媒にモノマーを溶解して、重合触媒の存在下、40〜60℃、常圧、窒素雰囲気下で攪拌して重合させる。重合触媒としては、カルベン型錯体と称されるタングステン、モリブデンやルテニウム系錯体を使用でき、好ましくは、Grubbs第一世代触媒、Grubbs第二世代触媒又はHoveyda−Grubbs触媒が使用される。重合触媒の添加量は設計するポリマーの分子量によって異なり、重合度は原料のモノマーと重合触媒とのモル比率で制御することが可能である。具体的な重合触媒の添加量としては、モノマーに対して1〜1000ppmの濃度で重合させることができ、好ましくは50〜500ppmである。重合触媒の添加量が50ppmより少ないと重合速度が遅くなり収率が低下して実用性に乏しく、500ppmより多いと経済的に好ましくない。

上記重合体は、主鎖の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部が水素化されたものであっても良い。水素化によって、重合体の熱的安定性が向上する。水素化率は、例えば、水素化前のポリシクロオレフィンのH−NMRスペクトルにおける主鎖炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度に対する、水素化後のピーク強度を比較することより求めることができる。好ましくは、主鎖の炭素−炭素二重結合の50〜100%、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上が水素化されている。
上記重合体の数平均分子量(Mn)は、100,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは300,000〜3,000,000である。Mnが100,000未満では粘度が低く、非対称膜製膜の際に溶液が安定せず、表面が均一な膜が得られ難い傾向がある。一方、Mnが5,000,000を超えるものは合成が困難であり、現実的に得られ難い。なお、本明細書において、数平均分子量は、トルエンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定され、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算されたものである。
非対称膜13を構成する高分子材料は、ポリアセチレン、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、硝酸セルロース、セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンポリマー、フェノール樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂又はポリビニルアルコールであってもよい。これらは1種を単独で又は2種以上を組合わせて用いられる。
フィラーとしては、有機物フィラー又は無機物フィラーを用いることができる。フィラーの表面は親水性であっても、疎水性であっても構わないが、特に、親水性表面を有する無機物フィラーが好ましい。このような無機物フィラーとしては、例えば、シリカ、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛等の酸化物からなる酸化物系フィラーが挙げられる。これらの中で、シリカ系フィラーが好ましい。シリカ系フィラーとしては、例えば、球状シリカ、多孔質シリカ粒子、石英パウダー、ガラスパウダー、ガラスビーズ、タルク及びシリカナノチューブが挙げられる。
気体の透過性を特に高めるために、フィラーは多孔質体フィラーであることが好ましい。多孔質体フィラーとしては、メソポーラスシリカ粒子、ナノポーラスシリカ粒子及びゼオライト粒子が好ましい。なお、メソポーラスシリカ粒子は細孔が形成されている粒径500〜1000nmの多孔質シリカ粒子であり、ナノポーラスシリカ粒子は細孔が形成されている粒径30〜100nmの多孔質シリカ粒子である。一般に、メソポーラスシリカ粒子は3〜7nmの細孔径を有し、ナノポーラスシリカ粒子は2〜5nmの細孔径を有する。多孔質体フィラーのように見かけ密度が低いフィラーを用いることにより、非対称膜の性能が大きく向上すると考えられる。
必要に応じて、カップリング剤等を用いた表面処理、又は水和処理による親水化を施したフィラーを用いてもよい。
フィラーの含有量は、非対称膜13に含まれる高分子材料100質量部対して、典型的には5〜500質量部である。フィラーの含有量は11質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることが更に好ましく、70〜400質量部であることが特に好ましい。フィラーの含有量が5質量部未満であると、気体の透過性を向上させる効果が小さくなる傾向にあり、500質量部を超えると、非対称膜の機械的強度が低下して、薄膜化し難くなる傾向にある。
本発明の目的を特に高いレベルで達成するために、非対称膜13は、ガスの透過速度がガスの分子量に依存するような膜であることが好ましい。言い換えると、非対称膜13中の気体の流れにおいてクヌーセン流(Knudsen flow)が支配的であることが好ましい。なお、「クヌーセン流」とは、分子の動きが問題となるほどの希薄な気体の流れをいい(化学大辞典3、化学大辞典編集委員会編、縮刷版44頁参照)、クヌーセン流が支配的であるとき、ガスの透過速度はその分子量に依存する。
理想的なクヌーセン流によって気体が透過する膜においては、気体の透過係数Pはその分子量の平方根に逆比例する。例えば、透過するガス成分が酸素及び窒素である場合、それらの分離比αは、下記式(2)に示されるように0.935となる。式(2)において、P(O)及びP(N)はそれぞれ酸素及び窒素の透過係数を示し、M(O)及びM(N)はそれぞれ酸素及び窒素の分子量を示す。
一方、「溶解拡散流」と呼ばれる気体の流れがある。溶解拡散流とは、膜に対する気体の溶解度と膜内での気体の拡散係数との積に依存する流れをいい、溶解拡散流による膜中の気体の透過速度はクヌーセン流に比べて一般に遅い。従来の高分子系の膜においては、膜を透過する気体の流れにおいて溶解拡散流が支配的である場合が多い。溶解拡散流が支配的である膜においては、酸素及び窒素の分離比αが1以上であることが知られている。
さらに、「ポアユイズ流」と呼ばれる気体の流れがある。ポアユイズ流は気体の粘性に依存する流れである。ポアユイズ流が支配的である膜においては、酸素及び窒素の分離比αが0.85以下であることが知られている。
以上のように、分離比αの値を指標として、膜を透過する気体の流れの状態を評価することが可能である。実際の膜においてはそれぞれの種類の流れが複合して生じていると考えられるものの、分離比α(=P(O)/P(N))が下記式(1)を満足するような範囲内にあれば、クヌーセン流が支配的であるとみなすことができる。酸素透過係数P(O)及び窒素透過係数P(N)は、23±2℃、膜間の圧力差1.05〜1.20atmの条件で測定される。
0.85<P(O)/P(N)<1 ・・・(1)
本発明者らの知見によれば、非対称膜13が、上述のような、多孔質層及び緻密層を有し、フィラーが導入された特定の構成を備えている場合、非対称膜13が式(1)を満たすようになる可能性が高い。特にフィラーが多孔質層3だけでなく緻密層5内にも分布している場合、式(1)を満たす非対称膜が容易に得られる。
非対称膜13においてクヌーセン流が生じる理由は必ずしも明らかでないが、本発明者らの考えを、図面を用いて以下に説明する。
非対称膜13全体の気体の透過係数は緻密層5の透過性に依存し、多孔質層3の影響は少ないと考えられるため、緻密層5の形態に基づいて以下に考察する。図2及び図3は、それぞれ、緻密層5の一部を拡大して示す模式断面図である。
図2に示される部分20において、緻密層5は、高分子材料から形成された高分子層21と、フィラー23とから構成される。高分子層21とフィラー23との境界には、クヌーセン流を生じる空隙25(例えば孔径1〜100nmの空隙)が形成されている。高分子層21とフィラー23との親和性が低い場合に空隙25が生じ易いと考えられる。
図2に示される部分において、気体は、高分子層21中を溶解拡散流により、空隙25中をクヌーセン流により透過する。すなわち、緻密層5のうち図2に示される部分においては、溶解拡散流及びクヌーセン流が生じている。ただし、気体がクヌーセン流により透過する距離が溶解拡散流により透過する距離よりも長い場合には、膜全体としてはクヌーセン流が支配的となり、気体の透過性が飛躍的に向上すると推察される。また、溶解拡散流により気体が透過する部分においてSPMがブロックされることから、SPM等の大気中の浮遊物質を除去することが可能となると考えられる。緻密層5が図2に示されるような形態を有する部分を多く含む場合、分離比α(=P(O)/P(N))が下記式(1a)を満たすと考えられる。
0.94≦P(O)/P(N)<1 ・・・(1a)
図3に示される部分20においても、緻密層5は、高分子材料から形成された高分子層21と、フィラー23とから構成される。高分子層21とフィラー23との境界には、空隙25(例えば孔径100〜1000nmの空隙)が形成されている。空隙25内には、複数のフィラー23が存在している場合もある。
図3の部分においては、クヌーセン流又はポアユイズ流を生じる空隙25を気体が通過することにより、気体の透過性が飛躍的に向上すると推察される。また、図3の場合のように空隙25の孔径が比較的大きい場合であっても、サブミクロン又はナノサイズのSPMが遮断されると考えられる。これは、サブミクロン以下のSPMは、粒子のブラウン運動が活発であることから、ブラウン運動による移動距離(平均自由工程)以下の孔径を有する空隙を通過することが困難になるためであると考えられる。緻密層5が図3に示されるような形態を有する部分を多く含む場合、分離比α(=P(O)/P(N))が下記式(1b)を満たすと考えられる。
0.85<P(O)/P(N)≦0.93 ・・・(1b)
一方、透過するガス成分が酸素及び二酸化炭素である場合、それらの分離比αは、下記式(4)に示されるように1.17となる。式(4)において、P(O)及びP(CO)はそれぞれ酸素及び二酸化炭素の透過係数を示し、M(O)及びM(CO)はそれぞれ酸素及び二酸化炭素の分子量を示す。
分離比α(=P(O)/P(CO))が下記式(3)を満足するような範囲内にあれば、クヌーセン流が支配的であるとみなすことができる。酸素透過係数P(O)及び二酸化炭素透過係数P(CO)は、23±2℃、膜間の圧力(全圧)差が実質的にない条件で測定される。
0.719<P(O)/P(CO)<1.70 ・・・(3)
また、緻密層5が図2に示されるような形態を有する部分を多く含む場合、分離比α(=P(O)/P(CO))が下記式(3a)を満たすと考えられる。
1.17≦P(O)/P(CO)<1.70 ・・・(3a)
さらに、緻密層5が図3に示されるような形態を有する部分を多く含む場合、分離比α(=P(O)/P(CO))が下記式(3b)を満たすと考えられる。
0.719<P(O)/P(CO)≦1.17 ・・・(3b)
非対称膜13は、例えば、高分子材料とフィラーと高分子材料を溶解する溶媒とを含有する混合液を基材上に塗布して混合液層を形成するステップと、混合液層から溶媒を部分的に除去して、高分子材料を含む緻密層を混合液層の基材とは反対側の表層部に形成させるステップと、緻密層が形成された混合液層を高分子材料の貧溶媒(凝固溶媒)中に浸漬して、高分子材料及びフィラーを含む多孔質層を形成させるステップとを備える方法により得ることができる。
高分子材料を溶解する溶媒としては、用いる高分子材料の種類等に応じて適宜選択される。例えば、高分子材料がSi系ポリマーのポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)である場合、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、又はケトン類が好ましく用いられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。脂肪族炭化水素としてはヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン及びシクロヘキサンが挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、クロロホルム、塩化メチレン及び四塩化炭素が挙げられる。エーテル類としてはテトラヒドロフラン及びジオキサンが挙げられる。ケトン類としてはエチルメチルケトンが挙げられる。
緻密層を形成させる際、所望の厚さの緻密層が形成されるように、溶剤の除去の条件(乾燥方法、温度、時間等)が適宜調整される。
多孔質層を形成させるために用いられる貧溶媒(凝固溶媒)としては、メタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール類、アセトン、又は水が好ましく用いられる。
本発明に係る非対称膜は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変形が可能である。例えば、非対称膜がメッシュ体を更に有していてもよい。この場合、多孔質層及び緻密層のうち少なくとも一方がメッシュ体に含浸していてもよい。あるいは、メッシュ体が多孔質層上若しくは緻密層上に積層されていてもよい。メッシュ体を有する非対称膜は、例えば、上述の混合液をメッシュ体に含浸させるか、又はメッシュ体上に塗布することにより作製できる。
メッシュ体により、膜の機械的強度を向上させ、外部応力による膜の破壊を防ぐことができる。メッシュ体は金属製でも樹脂製でもよいが、特に樹脂製が好ましい。メッシュ体を形成する樹脂としてはポリエステルテレフタレート(PET)及びポリプロピレン(PP)が挙げられる。メッシュ体の織り方としては平織、綾織、平畳織、及び綾畳織が挙げられる。
また、非対称膜が支持体上に形成されていてもよいし、非対称膜が中空糸状の膜であってもよい。
空調システム
上述の実施形態に係る非対称膜は、透過膜を介して空調対象空間への気体の供給及び/又は空調対象空間からの気体の排出を行う空調方法において、透過膜として好適に用いられる。本実施形態に係る空調システムは、空調対象空間への気体の供給及び/又は空調対象空間からの気体の排出を行う透過膜と、透過膜が設けられている開口を形成しながら空調対象空間を形成している隔壁とを備える。隔壁は、気体の透過が遮断されるように形成された単一又は複数の部材から構成される。透過膜として、上記実施形態に係る非対称膜が用いられる。
透過膜は、例えば、外気導入のための取り入れ口に設置される。空調対象空間は、空間内の気体と外気とを交換することが必要な空間である。空調対象空間の具体例としては、車両(自動車)、住宅、新幹線、及び飛行機の内部空間がある。
図4は、空調システムを備える車両の一実施形態を前後方向に切断した概略断面図である。図4に示す車両(自動車)10は、車室19を形成している隔壁である車室壁11と、外気導入のための取り入れ口に設置された透過膜13とから構成される空調システムを有している。車室19は、透過膜13以外の部分では実質的に外気と遮断されている空調対象空間である。
車室壁11は、鉄、アルミニウム、ガラス等の気体を実質的に透過させない材料により構成されている。
車両の空調システムを構成する透過膜は、例えば、エアコンユニット(図5)、圧力調整用換気装置(図8)、天井(図9、10、11)、フロントガラス(図12)、リアガラス(図13)、サンルーフ(図14)、ピラー(図15、16)、床(図17)、又はドア(図18、19、20、21、22)の一部として設置される。以下、これらの例に関して図面を参照しながら説明する。
図5は、透過膜を有するエアコンユニットの一実施形態を示す模式断面図である。図5に示すエアコンユニット30は、エアコンユニットケース35、遠心式の送風ファン37及び透過部材40を備える。エアコンユニットケース35は、外気導入口35a、内気導入口35b及び開口部35cが形成された形状を有している。送風ファン37は、エアコンユニットケース35において、内気が循環する経路上に設置されている。透過部材40は、外気導入口35aを閉塞するように設置されている。エアコンユニットケース35は、空調対象空間を形成する隔壁の一部を構成している。
エアコンユニット30によれば、外気導入口35aから透過部材40を通して外気が、内気導入口35bから内気がエアコンユニット内に導入され、開口部35cを通して車室19に外気及び/又は内気が供給される。また、外気導入口35aから透過部材40を通して内気が車外へ排出される場合もある。
エアコンユニットケース35は、ポリプロピレンのようなある程度の弾性を有し、機械的強度に優れた樹脂により形成されている。送風ファン37としては、車両における内気循環のために従来用いられているものを用いることができる。
透過部材40は、透過膜を有する。この透過膜を通して外気を取り入れることができる。図6及び図7は、透過膜を有する透過部材の一実施形態を示す斜視図である。
図6に示される透過部材40aは、板状の支持体42a及び支持体42aの片面に密着する透過膜13aを備える。透過膜13aは支持体42aによって支持されている。支持体42aは、例えば透過膜13aの外周部等、透過膜13aの一部のみに密着していてもよいし、透過膜13aに完全に密着していてもよい。
図7に示される透過部材40bは、板状の支持体42b及び支持体42bの片面に密着する透過膜13bを備える。支持体42bの透過膜13b側の表面は襞状の凹凸表面を形成している。
透過膜13a及び13bの厚さは0.1〜10μmであることが好ましい。支持体42a及び42bは、気体を透過するものであればよく、例えば、紙等の繊維部材、並びに孔径が0.1〜500μmの多孔質体及びメッシュ体が挙げられる。支持体42a及び42bの厚さは50〜500μmであることが好ましい。
透過部材40a及び40bによれば、透過膜が支持体により支持されているため、透過膜を薄くして透過する気体量を増加させるとともに、透過部材の強度を確保することができる。さらに、透過部材40bによれば、透過膜の表面積が大きくなるため、気体の透過量をさらに増加させることができる。
図8は、透過膜を有する圧力調整用換気装置の一実施形態を示す概略構成図である。図8(a)は車両10の後部部分を示す斜視図であり、図8(b)は車両10の後方から見た車両10の後部部分の断面図である。図8(a)に示すように、圧力調整用換気装置110は、車両10後部のバンパ34近傍の左右両側面に配置されている。図8(b)に示すように、圧力調整用換気装置110は、筐体38、ダンパ32、及び透過膜13から構成される。
圧力調整用換気装置110は、車両10のボディ122の部分に形成された略長方形の開口に埋め込まれるように取り付けられている。
圧力調整用換気装置110の筐体38は角筒状であり、筐体38の車両10外側の端面にはフランジが設けられている。このフランジが溶接などでボディ122に固定されている。
筐体38は、ボディ122の内部側の端部(奥端部)が上向き斜めに曲げられている。この曲げられている部分をダンパ受け部38aと呼ぶ。ダンパ32の上辺部分と筐体38の奥端部の上側部分とがヒンジ32aによって結合され、ダンパ32がヒンジ32aを中心として回動可能に取り付けられている。
車両10のドアが閉ると車室19内の圧力が上昇し、その上昇した圧力によって、ダンパ32が車室19側から車両10外側に向かって押される。すると、ダンパ32は、ヒンジ32aを中心として回動し開状態、つまり、図8(b)中のβの状態になる。
ダンパ32が開状態になると図8(a)の矢印で示すドア閉時の空気の流れが生じ、車室19内の空気が車室19外に排出される。このように、ドアが閉まるとダンパ32が開状態になって、車室19内圧力の上昇を緩和する。
ドアが閉じた後、圧力が緩和されると、ダンパ32は、自重でヒンジ32aを中心に車室19側に回動し、ダンパ32の下端部がダンパ受け部38aに接触して静止する。その結果、ダンパ32が閉状態、つまり、図8(b)中のαの状態になって車室19が密閉状態になる。
車両10外側から車室19に向かってダンパ32に圧力が加わったときにも、ダンパ32はヒンジ32aを中心として車室19側に回動しようとするが、そのときもダンパ32の下端部がダンパ受け部38aに接触して静止する。その結果、ダンパ32は閉状態となり、車室19が密閉状態になる。
図9、10及び11は、透過膜を有する天井部分を備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。図9(a)に示す車両10は、天井部分に設けられた透過膜13を有している。図9(b)、図10及び図11は、車両10の天井部分の実施形態を示す拡大図である。
図9(b)に示されるように、車両10の天井部分は、車両10の外部に面する外壁22と車室19に面する内壁24とを有し、外壁22と内壁24は間隔を空けて配置されている。内壁24が、空調対象空間としての車室19を形成する隔壁の一部を構成している。透過膜13は、内壁24の天井部分に形成された開口を塞いで設けられている。内壁24、透過膜13及び外壁22に囲まれた空洞70が形成されている。
外壁22及び内壁24は、鉄、アルミニウム、ガラスのような、実質的に気体を透過させない材料から形成されている。
外気導入口26は、車両10の進行方向側から空洞70へ外気を導入するために外壁22によって形成された孔である。外気排出口28は、空洞70へ導入した外気を車両10の進行方向反対側へ排出するために外壁22によって形成された孔である。外気導入口26及び外気排出口28は、車両10の横方向を長手方向とする略四角形状の細長い形状の孔である。外気排出口28の長手方向及び短手方向の長さは、車種や空洞70に導入する外気の量によって決定される。
透過膜13は、外壁22側の面が外気導入口26から空洞70へ導入された外気と接し、外壁22とは反対側の面が車室19内の空気と接するように配置されている。
透過膜13は、車両10の内壁24の一部を略四角形状の開口が形成されるように切り取り、形成された開口に透過膜13をはめ込み、はめ込まれた透過膜13の周囲を補強材で補強する方法により、天井部分に取り付けられる。透過膜13の周囲を補強する補強材のうち、車両10の進行方向側の補強材を前方補強材12a、車両10の進行方向とは反対側の補強材を後方補強材12bという。
内壁24の天井部分の開口、すなわち透過膜13の形状は略四角形状である必要は必ずしもなく、天井の形状などに合わせて他の形状、例えば、円形、台形、又は複数の直線及び/又は曲線によって形成される複雑な形状であってもよい。
図10は、外気導入口26及び外気排出口28から空洞70への水滴の浸入を防ぐ手段、又は車室19内の酸素濃度に応じて空洞70に外気を導入する手段を採用した実施形態に係る車両の天井部分を示す模式図である。
図10(a)に示す実施形態においては、空洞70への水滴の浸入を防ぐ手段として前部開閉扉27a及び後部開閉扉27cが設けられている。前部開閉扉27aは、車両10の進行方向において、外気導入口26よりも後方、かつ、透過膜13よりも前方の位置に設けられたヒンジ27bによって外壁22に対して固定されている。後部開閉扉27cは、車両10の進行方向において外気排出口28よりも前方、かつ、透過膜13よりも後方の位置に設けられたヒンジ27dによって外壁22に対して固定されている。
前部開閉扉27a及び後部開閉扉27cは、外気の圧力を受けたときに、それぞれヒンジ27b,27dを中心として回動することにより開閉する。車両10が走行すると外気導入口26から導入された外気は前部開閉扉27aに当たる。すると、前部開閉扉27aの外気導入口26側の面には外気によって圧力が生じるので、その圧力によって前部開閉扉27aが開く。その結果、外気導入口26から空洞70内に外気が導入される。車両10が停止すると、外気導入口26から外気が導入されないため、前部開閉扉27aの外気導入口26側の面には圧力が発生しないので、前部開閉扉27aは閉じる。後部開閉扉27cも前部開閉扉27aと同じように空洞70へ導入される外気によって開閉する。
前部開閉扉27aが開いたときの最大角度θは、前部開閉扉27aが最大に開いたときに前部開閉扉27aの下端部分が透過膜13よりも車両10の進行方向側に位置するように決められる。このようにすれば、前部開閉扉27aに外気が当たって前部開閉扉27aが最大角度θまで開いた場合であっても、前部開閉扉27aに外気に含まれる水滴が当たって、その水滴が図中下方に滴下しても透過膜13の表面に付着することがない。その結果、透過膜13の透過性能の低下が防止される。
図10(b)の実施形態においては、空洞70への水滴の浸入を防ぐ手段として、複数の堰が設けられている。すなわち、外気導入口26と透過膜13との間に前部堰27eが配置され、透過膜13と外気排出口28との間に後部堰27fが配置されている。
前部堰27eは、略四角形状の細長い一対の板材から構成され、それらは車両10の進行方向に前後に配置されている。一対の板材は、その長手方向が車両10の車幅方向に向くように取り付けられている。外気導入口26側に配置された板材は、内壁24との間に隙間が空くように外壁22の車室内側の面に取り付けられている。透過膜13側に配置された板材は、外壁22との間に隙間が空くように内壁24の車室外側の面に取り付けられている。各板材の長手方向の長さは、水滴の透過膜13への浸入を防ぐために、透過膜13の車両10の車幅方向の長さよりも若干長くなっている。
後部堰27fは、1枚の板材から構成されている。後部堰27fは、外気排出口28を形成する外壁22内側の端部に、車両10の進行方向に向かって傾斜するように取り付けられている。後部堰27fの長手方向の長さも透過膜13の車両10の車幅方向の長さより大きい。
空洞70へ導入される外気に含まれる水滴は、前部堰27eを構成する板材のうち外気導入口26側の板材により除去され、内壁24の外面上に滴下し、内壁24の外面上を伝わってドレインから車両10の外部へ排出される。外気導入口26側の板材によって除去し切れずに残った水滴は、透過膜13側の板材で除去され、内壁24の外面を伝わってドレインから車両10の外部へ排出される。その結果、外気導入口26から空洞70への水滴の浸入が十分に防止される。
外気排出口28から外気が排出されるため、外気排出口28への外気の流入に伴う水滴の浸入は起こり難いが、車両10を形成する外板からの雨粒などの跳ね返りにより水滴が空洞70に侵入する場合があり、これを防ぐために後部堰27fが設けられている。
このように、外気導入口26や外気排出口28から空洞70へ水滴が浸入することがなくなるので、空洞70に設置された透過膜13の表面に水滴が付着することがない。透過膜13の表面に水滴が付着しなくなるので、透過膜13の透過性能の低下が抑制される。
図10(c)に示す実施形態においては、車室19内の酸素濃度に応じて空洞70に外気を導入する手段として、前部ファン29a、後部ファン29b、酸素センサ18及び制御部90が設けられている。
前部ファン29a及び後部ファン29bは、外気を導入する旨の外気導入指令に基づき空洞70へ導入する外気の量を調整可能とするために用いられる。前部ファン29aは、外気導入口26と透過膜13との間の位置において空洞70を塞ぐように設けられている。後部ファン29bは、外気排出口28と透過膜13との間の位置において空洞70を塞ぐように設けられている。
図9(a)に示すように、酸素センサ18は車両10のダッシュボードに埋め込まれている。酸素センサ18によって、車室19内の酸素濃度が検出される。
図9(a)に示すように、制御部90は、車両10のダッシュボード内部に格納されている。制御部90は、酸素センサ18により検出された車室19内の酸素濃度が所定の濃度である場合に、外気を導入する旨の外気導入指令を前部ファン29a及び後部ファン29bへ出力する部材である。制御部90はCPU(Central Processing Unit)、ORM(Object/Relational Mapping)、RAM(Random Access Memory)、I/O(Input/Output)等から構成されている。
酸素センサ18で検出された酸素濃度は制御部90へ送られる。制御部90では、酸素センサ18から送られてきた酸素濃度から、酸素が所定の濃度以下であるか否かが判定される。酸素が所定の濃度以下であると判定された場合には、前部ファン29a及び後部ファン29bに外気導入指令が出力され、外気が空洞70へ導入される。逆に、制御部90において、酸素が所定の濃度を超えていると判定された場合には、前部ファン29a及び後部ファン29bに外気導入指令が出力されない。
前部ファン29a及び後部ファン29bは、制御部90からの指令を受けると作動し、単に外気導入口26が設けられているだけの場合よりも外気をより多く空洞70内に導入する。
図10(c)の実施形態によれば、車室19内の酸素濃度が所定の値以下のときだけ空洞70へ外気が導入される。したがって、炭化水素等を一定量含んだ外気が透過膜13に接する機会が最小限に抑制される。これにより、炭化水素等の透過膜13への吸着又は吸収が進行しにくくなって、透過膜13の選択分離性能の劣化が遅くなる。つまり、透過膜13を長寿命化することができる。
酸素センサ18に代えて二酸化炭素センサを用いて、車室19内の二酸化炭素濃度が高くなったときに前部ファン29a及び後部ファン29bを作動させて外気を空洞70へ導入するようにしてもよい。あるいは、微小固体成分の濃度を検出するセンサや微小固体成分の個数をカウントするセンサを用いて、それらの濃度に応じて外気を空洞70内に導入するようにしてもよい。
酸素、二酸化炭素及び炭化水素等に関して、外気導入の基準としての「所定の濃度」は、車室19内の快適性が保たれるように設定される。所定の濃度は、酸素、二酸化炭素及び炭化水素等の、濃度が測定される成分の種類によって異なる。
図11(a)に示すように、内壁24の天井部分に多数の穴を開け、穴の開いた部分を覆うように透過膜13を設置してもよい。このとき、開けられた多数の穴が全て透過膜13で覆われ、かつ、透過膜13の周囲を補強するための補強材12a,12bを内壁24に密着させる。これにより、外気導入口26から導入された外気が直接車室19内に進入することが防がれる。
図11(b)に示すように、粗大な塵などを除去するためのフィルタ36を透過膜13の車室とは反対側に設けてもよい。また、図11(c)に示すように、内壁24の天井部分に形成された開口を塞ぐようにメッシュ状の補強材134を配置し、その表面に透過膜13を配置してもよい。
図12は、透過膜を有するフロントガラス部分を備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。図12の(a)が車両全体を表す図であり、(b)がフロントガラス部分の拡大図である。
透過膜13は、車両10のフロントガラス130の下部に形成された略長方形の開口を塞ぐように配置されている。
カバー112は、透過膜13の車両外部側において透過膜13と対向配置されている。カバー112と透過膜13との間には空洞70が空けられている。カバー112は、透過膜13を水滴から遮断するために設けられる。カバー112は、車両10の正面から見て略長方形の形状を有しており、車両10の側方から見てフロントガラス130に沿って湾曲した形状を有する。カバー112の長手方向及び短手方向の長さは透過膜13の長手方向及び短手方向の長さよりも若干長く、カバー112によって透過膜13の全体が覆われている。透過膜13の大きさ、つまり、長手方向及び短手方向の長さは、車両10の車種や空洞70に導入する外気の量によって決定される。
カバー112及び透過膜13の車両進行方向側の端部によって、空洞70へ外気を導入するための外気導入口126が形成されている。カバー112の車両進行方向とは反対側の端部及びフロントガラス130の車両進行方向側の端部によって、空洞70に導入された外気を排出するための外気排出口128が形成されている。
外気導入口126及び外気排出口128は、車両10の車幅方向にその長手方向を向けた略長方形の細長い孔である。これらの長手方向及び短手方向の長さは、車種や空洞70に導入する外気の量によって決定される。
カバー112の外気導入口126の近傍部分に前部堰127aが取り付けられている。空洞70内に位置する部分のフロントガラス130の外表面に後部堰127bが取り付けられている。
前部堰127aは、略長方形の細長い板材であり、その長手方向が車両10の車幅方向に向くようにカバー112に取り付けられている。前部堰127aは、透過膜13よりも車両進行方向側に配置されている。前部堰127aの長手方向の長さは、水滴の透過膜13への浸入を防止するために、透過膜13の車両10の車幅方向の長さよりも若干長くなっている。空洞70へ導入される外気に含まれる水滴は、前部堰127aにより除去され、車両10のボディ外面上に滴下し、ボディの外面上を伝わってドレインから車両10の外部へ排出される。
後部堰127bは、前部堰127aと同様の板材から構成されている。後部堰127bも透過膜13の車両10の車幅方向の長さ以上の長さを有している。後部堰127bによって、フロントガラス130の外表面を伝わって空洞70に浸入しようとする水滴が遮断され、遮断された水滴はドレインにより車両10の外部へ排出される。
図13は、透過膜を有するリアウィンドウを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。図13の(a)は車両10全体を表す図であり、(b)、(c)及び(d)は車両10のリアウィンドウの拡大図である。
図13(b)に示されるリアウィンドウ139は、板状の多孔質ガラス132と、多孔質ガラス132の車室19側の面上に積層された透過膜13と、透過膜13の車室19側の面上に積層されたメッシュ状の補強材134とから構成されている。多孔質ガラス132全体において細孔が形成されており、多孔質ガラス132は車室19内外の双方向へ空気を透過させる機能を有している。透過膜13は、多孔質ガラス132の車室19側の全面に密着した状態で装着されている。
多孔質ガラス132が空気を透過する機能を有していることから、車両10が走行中、外気をブロワなどで車室19内へ導入しなくても、透過膜13を介した空調によって車室19内における酸素及び二酸化炭素の濃度を外気と同程度の濃度に保つことができる。ブロワを作動させる必要がないので、車載バッテリに対する負荷を低減することができる。
図13(c)に示すように、メッシュ状の補強材134と透過膜13との間に防塵用のフィルタ36を挿入してもよい。これにより、車室19内の埃などが透過膜13に付着することが防止される。また、図13(d)に示すように、対向配置された2枚の多孔質ガラス132a,132bの間に透過膜13が挟み込まれていてもよい。
図14は、透過膜を有するサンルーフを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。図14の(a)はサンルーフ及びその近傍部分を示す図であり、(b)はサンルーフが装着された車両の一部を示す斜視図である。
図14に示すサンルーフ138は、板状の多孔質ガラス132と、多孔質ガラス132の車室側の面上に積層された透過膜13と、複数の穴が開けられた内壁24とから構成される。外気は多孔質ガラス132の外表面に沿って車両進行方向からその反対方向へ向かって流れる。このとき、多孔質ガラス132及び透過膜13を外気が透過する。
図15は、透過膜を有するピラーを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。図15に示す車両10においては、実質的に空気を通さないアルミやガラスなどにより構成された車室壁で囲まれた空調対象空間としての車室19が形成されている。車室19外のトランクやエンジンルームには外気が進入する。
車両10は、車室19を形成する部材の一部として、フロントピラー50、センターピラー52及びリアピラー54を備えている。フロントピラー50は、車室19前部のフロントガラスの両端部分に設けられている。センターピラー52は、車両10前後方向のほぼ中央部に設けられている。リアピラー54は、車室19後部のリアウィンドウの両端部分に設けられている。各ピラーのうち少なくとも一つが透過膜を有する。
車両10には図示しないエアコンが備えられている。このエアコンは、内気循環モードのみを備えている。
図16は、透過膜を有するピラーを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。図16の(a)はピラーを備える車両全体を表す図であり、(b)はピラーの拡大図である。
図16(a)に示すように、車両10は、フロントピラー50、センターピラー52、及びリアピラー54を備えている。各ピラーはほぼ同じ構造を有しているため、センターピラー52を例としてその詳細を以下に説明する。
図16(b)に示すように、センターピラー52は、楕円形状の上端部52e及び下端部52fを有する円柱状の中空部材55と、中空部材55内に設けられた透過膜13とから構成される。透過膜13は、中空部材55内部の空間を車室外側と車室内側の2室に分割するように、中空部材55の長軸方向に沿って配置されている。透過膜13の上端部が中空部材55の上端部52eに対して接着剤によって固定され、透過膜13の下端部が中空部材55の下端部52fに対して接着剤によって固定されている。透過膜13は、図16(b)に示されるように平板状である必要は必ずしもなく、例えば蛇腹状の形状を有していてもよい。
中空部材55の車室外側の面には、外気取入れ口52a及び外気排出口52bが形成されている。中空部材55の車室内側の面には、内気取入れ口52c及び内気排出口52dが形成されている。外気取入れ口52aは中空部材55の下部に位置し、外気排出口52bは中空部材55の上部に位置する。内気取入れ口52cは中空部材55の上部に位置し、内気排出口52dは中空部材55の上部に位置している。外気取入れ口52aからセンターピラー52内部に取り入れられ、外気排出口52bから排出される外気と、内気取入れ口52cから取り入れられ、内気排出口52dから排出される内気とは、透過膜13によって隔てられている。
透過膜13の車室19外側の表面上には温度センサ60が設けられている。また、中空部材55内の車室内側の室にはファン56aが設けられ、中空部材55内の車室外側の室にはファン56bが設けられている。ファン56a,56bは、外気取入れ口52aから外気排出口52bに至る外気導入経路及び内気取入れ口52cから内気排出口52dに至る内気循環経路に設置されている。
温度センサ60は、透過膜13の表面温度を電気信号に変換して出力する。熱電対やペルチェ素子などを温度センサ60として用いることができる。
ファン56a,56bは、温度センサ60で計測した透過膜13の表面温度が所定の温度に達した場合に作動する。ファンの作動により外気取入れ口52aから外気、内気取入れ口52cから内気を取り入れて、透過膜13を空冷する。
図17は、透過膜を有する床部を備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。図17の(a)は車両10全体を表す図であり、(b)は床部150の拡大図である。図17に示す車両10は、実質的に空気を通さないアルミやガラスなどにより構成された車室壁で囲まれた空調対象空間としての車室19を形成している。車室19外のトランクやエンジンルームには外気が進入する。
図17(b)に示すように、床部150は、車室19に面する床板152と、床板152の車室外側において床板152と対向配置された外板154とを有している。床板152及び外板154の両端部には、側板153a及び153bがそれぞれ取り付けられている。床板152、外板154、側板153a及び側板153bによって空洞70が形成されている。
透過膜13は、空洞70を車室外側と車室内側の2室に分割するように、床部150の長手方向に沿って配置されている。透過膜13の一方の端部が側板153aに対して接着剤又はシール材によって固定され、透過膜13の他方の端部が側板153bに対して接着剤又はシール材によって固定されている。透過膜13は、図17(b)に示されるように平板状である必要は必ずしもなく、例えば蛇腹状の形状を有していてもよい。
床板152には、車室19内側から空洞70内へ内気を取り入れるための内気取入れ口152a及び空洞70内へ取り入れた内気を車室19内側へ排出する内気排出口152bが形成されている。内気取入れ口152aは、車両10進行方向に対して運転席よりも前方、具体的には、運転者の足下に配置されている。内気排出口152bは、車両10進行方向に対して運転席よりも後方、具体的には後部座席の直前の位置に配置されている。
外板154には、車室19外側から空洞70内へ外気を取り入れるための外気取入れ口154c及び空洞70内へ取り入れた外気を車室19外側へ排出する外気排出口154dが形成されている。外気取入れ口154cは、車両10進行方向に対して運転席よりも前方、具体的には、運転者の足下に配置されている。また、外気排出口154dは、車両10進行方向に対して運転席よりも後方、具体的には後部座席の直前の位置に配置されている。
透過膜13の車室19外側の表面上には温度センサ60が設けられている。空洞70において、車室内側の室にファン156aが設けられ、車室外側の室にファン156bが設けられている。ファン156aは、内気取入れ口152aから内気排出口152bに至る内気循環経路に設置されている。ファン156bは、外気取入れ口154cから外気排出口154dに至る外気導入経路に設置されている。
温度センサ60は、透過膜13の表面温度を電気信号に変換して出力する。熱電対、白金抵抗体、サーミスタなどを温度センサ60として用いることができる。
ファン156a,156bは、温度センサ60で計測した透過膜13の表面温度が所定の温度となった場合に作動する。ファンの作動により外気取入れ口154cから外気、内気取入れ口152aから内気を取り入れて、透過膜13を空冷する。
車両10には図示しないエアコンが備えられている。このエアコンは、内気循環モードのみを備えている。
図18〜22は、透過膜を有するドアを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。図18(a)、図19(a)及び図21(a)は、車両全体を表す図であり、図18(b)、図19(b)、図20、図21(b)及び図22はドアを車両の車幅方向に切った概略断面図である。図18(c)は透過膜の表面を示す模式図である。図18(d)はドアの内装材の拡大図である。
図18(a)に示される車両10はドア140を備えている。図18(b)に示すように、ドア140は、車室外側に面する外壁50aと、車室内側に面する内装材164と、内装材164の車室外側の面上に積層された透過膜13と、外壁50aの略中心線上の上部に取り付けられた窓ガラス80とから主として構成される。外壁50a及び内装材164によって、ドア140内部に空洞70が形成されている。
外壁50a上部の窓ガラス80近傍の位置に外気取入れ口52aが形成され、外壁50aの下部に外気排出口52bが形成されている。外気取入れ口52aは、車室19外側から外気を取り入れるために窓ガラス80よりも車室外側に位置している孔である。外気排出口52bは、外気取入れ口52aから取り入れた外気を車室外側へ排出するために窓ガラス80よりも車室外側に位置している孔である。
透過膜13は、内装材164の車室外側に密着して配置されている。透過膜13は、酸素及び二酸化炭素を濃度の高い方から低い方へ透過させるとともに、炭化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物及びSPMを遮断する機能を有している。透過膜13は、図18(c)に示すように、車室19外側から導入される外気の流れる方向に沿う溝を形成する蛇腹状の形状を有している。透過膜13が蛇腹状であることにより、大きな表面積が確保される。透過膜13の表面積が大きければ、酸素や二酸化炭素の交換量が増えるので、車室19内の酸素や二酸化炭素の濃度が変化したときに、それらの濃度を短時間で一定の値に戻すことができる。
内装材164は、車室19に面しており、空気を透過させる材料から形成されている。内装材164は、例えば、無機化合物又は有機化合物を多孔質状、繊維状、薄膜状又はそれらを複合した複合形状に成形して得られる部材である。内装材164においては、数10ナノメートル〜数100ナノメートルの孔径を有する細孔が形成されていることが好ましい。
図18(d)に多孔質状の内装材を示す。内装材164内部の細孔の壁面に脱臭材17が担持されている。脱臭材17は、加熱触媒による脱臭材であり、銅、マンガン、白金、ニッケル、鉄、タンタル、アルミニウム及びチタンからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素を含む酸化物である。内装材164としての多孔質体の孔径は、選択透過膜へのガス供給の妨げにならなければ、特に制限されないが、数10〜数100μmが好ましい。
ドア140においては、外気取入れ口52aから取り入れられた外気が、透過膜13の車室19外側の面に接触してから外気排出口52bから排出される。一方、車室19内の空気においては、乗員の呼吸などにより二酸化炭素の濃度が高くなり、酸素濃度は低くなる。車室19内の酸素濃度が外気の酸素濃度よりも低くなると、車室19外から車室19内へ透過膜13を介して酸素が供給される。また、二酸化炭素濃度が外気の濃度よりも高くなると、車室19内から車室19外へ透過膜13を介して二酸化炭素が排出される。
車両10走行中には、外気取入れ口52aから取り入れられる外気の量が増えるので、車両10走行中には、透過膜13の車室19外側の面に外気が当たり続ける。つまり、透過膜13の車室19外側の面には、一定濃度の酸素、二酸化炭素及びSPMを含む外気が供給され続ける。したがって、車両10走行中には、外気をブロワなどで車室19内へ導入しなくても、透過膜13によって車室19内の酸素及び二酸化炭素の濃度を外気と同程度に保つことができる。そして、ブロワを作動させる必要がないので、車載バッテリに対する負荷を低減することができる。
更に、内装材164に脱臭材17が担持されていることにより、透過膜13を透過して透過膜13の車室内側に至った外気に悪臭成分が含まれていたときに、脱臭材17によりその悪臭成分が除去される、したがって、車室19内への悪臭成分の進入が防止されて、車室19内側を快適に保つことができる。
図19(b)に示す実施形態に係るドア140は、透過膜13の車室外側に密着して装着された除塵フィルタ14を有している。除塵フィルタ14は、透過膜13の細孔よりも大きな孔が形成された材料から構成されている。例えば、防塵フィルタ14は、活性炭素繊維、樹脂繊維及び帯電繊維などの繊維によって形成された不織布又は編物である。
樹脂繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン又はアクリルが用いられる。これらは単独で又は2種以上を組合わせて用いられる。
帯電繊維には、外部の電極からイオンを強制的に打ち込むエレクトロ・エレクトレット法を用いてポリプロピレンなどのポリマーの繊維を帯電させたエレクトレット繊維がある。帯電繊維のポリマーとしては、ポリプロピレンの他に、テフロン、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン類、ポリスチレン誘導体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルハライト、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、及びポリカーボネートなどを用いることができる。
帯電繊維の帯電法として、エレクトロ・エレクトレット法の他に、電界下で紫外線などを照射するフォト・エレクトレット法、高分子ポリマーに応力を加えて塑性流動させるメカノ・エレクトレット法、温度を上昇させた状態で高分子ポリマーの高電界を印加するサーモ・エレクトレット法、温度を上昇させ磁場をかけるマグネット・エレクトレット法、γ線などの電磁波を照射するラジオ・エレクトレット法を使用することができる。
透過膜13の車室外側に除塵フィルタ14が設けられているので、透過膜13に接触する外気から粗大な粉塵が除去される。したがって、透過膜13の車室外側の面に粉塵が付着することがないので、透過膜13の透過性能の低下が抑制される。
図20(a)に示す実施形態に係るドア140は、透過膜13の車室外側に密着して設けられた防湿材16を有している。防湿材16により、透過膜13の車室外側の面に接触する外気に含まれる湿気が除去される。
防湿材16としては、例えば、吸水性ポリマー、綿状パルプ、給水紙、シリカゲル、酸化カルシウム、酸化マグネシウム若しくは塩化カルシウムを多孔質体と混合させたもの、または、電解質ポリマー及び親水性ポリマーのような吸水性ポリマーから構成される。吸水性ポリマーには、アクリル重合体、ビニルアルコール及びアクリル酸ポリマーがある。
防湿材16を用いることにより、透過膜13の車室外側の面に接触する外気に含まれる湿気を除去することができるので、透過膜13表面への水分の付着が防止される。したがって、透過膜13の透過性能の低下が抑制される。また、透過膜13を介して水分が車室19内に浸入することが防止されるので、窓ガラス80のくもりを防止することができる。なお、「湿気を除去する」とは、湿気を完全になくすということではなく、湿度が許容範囲に保たれるように湿気を除去することを意味する。
図20(b)に示す実施形態に係るドア140は、透過膜13の車室外側に設けられた送風機118を有している。送風機118により、外気取入れ口52aから取り入れた外気が透過膜13の車室外側の表面に供給される。言い換えると、送風機118により、車室外側の外気が透過膜13に対して送風される。これにより、透過膜13の車室外側の面に対して、一定の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を有する新たな外気が当たり続ける。したがって、車室19内の酸素及び二酸化炭素の濃度が変化しても短時間でも一定値に戻すことができる。
図21(b)に示す実施形態に係るドア140の場合、外壁50aの外気取入れ口52aが、外壁50aの下部において外気排出口52bよりも上方に設けられている。シート状の補強材12及び補強材12上に積層された透過膜からなる積層体が、外気取入れ口52a及び外気排出口52bが配置される室が形成されるように、外気取入れ口52a上部から外壁50aの下部にかけて、斜めに配置されている。積層体は、透過膜13が車室外側に位置する向きで配置されている。この積層体によって空洞70が2室に分割されている。補強材12により透過膜13が補強されているため、透過膜13が薄い場合でも破損するおそれが少なくなる。
補強材12の径は、数10〜数100ナノメータであることが好ましい。補強材12は、多孔質形状、繊維形状、薄膜形状又はこれらの複合形状であってもよい。補強材12は有機系高分子、無機化合物又は炭素を含む材料から形成されている。
補強材12、例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PEFなど)、ガラス(たとえば繊維状)、セルロースから選ばれる少なくとも1種の材料から構成される。補強材12は多孔体のような高次構造を有している。
透過膜13の車室外側近傍の外壁50a上に蓄熱体15が設けられている。蓄熱体15は、外部から供給される太陽光の輻射熱等の熱を蓄え、蓄えた熱により透過膜13を加熱する。畜熱体15は、透過膜13や補強材12よりも熱伝導性の高い材料から形成されている。具体的には、畜熱体15は、ハニカム構造のセラミック、または、無機塩類水和物、パラフィン若しくはワックスを多孔質体に担持させた材料から形成される。
透過膜13の酸素及び二酸化炭素の透過量は、温度の上昇に伴って増加する。透過膜13が畜熱体15によって加熱されて温度が上昇し、酸素及び二酸化炭素の透過量が増加すれば、車室19外側と車室19内側との間の酸素及び二酸化炭素の交換速度が速くなる。これにより、車室19内の酸素及び二酸化炭素の濃度の急激な変化が抑制されて、車室19内の快適性を保つことができる。
図22(a)に示す実施形態に係るドア140は、透過膜13の車室外側に積層された防湿材16を有する。防湿材16によって透過膜13の車室外側の面に接触する外気に含まれる湿気を除去することができるので、透過膜13の表面に水分が付着することが防止される。したがって、透過膜13の透過性能の劣化が抑制される
図22(b)に示す実施形態に係るドア140は、補強材12の車室内側の面上に積層された送風機118を有している。送風機118により、外気取入れ口52aから取り入れた外気が透過膜13の車室外側の表面に供給される。
以上説明したような空調システムを備える車両によれば、SPM等の大気中の浮遊物質の車室への流入を防止することができ、且つ車内にSPM等の浮遊物質が存在する場合にはそれを除去することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<シリコーン変性シクロオレフィンポリマーの合成>
(合成例1)
攪拌子、温度計、冷却管を備えた500mL三つ口フラスコにノルボルネン−2−イルトリス(トリメチルシロキシ)シラン20g(0.51mmol)とトルエン180gとを混合し40℃に昇温した。これにビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド12mg(0.015mmol)をトルエン4gに溶解した溶液を添加して、40℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度は上昇し、20分後エチルビニルエーテル1gを加えることで重合を停止した。重合溶液を大量のメタノールに注いで沈殿物を凝集させ、粉砕洗浄後、濾別し、70℃で5時間減圧乾燥して、白色固体のシリコーン変性シクロオレフィンポリマーを得た。得られたポリマーの収量は19gであり、数平均分子量(Mn)は550,000であった。これをシリコーン変性シクロオレフィンポリマーAとする。
(合成例2)
合成例1で重合触媒であるビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリドの添加量を12mgから8mg(0.010mmol)に変更した以外は合成例1と同様の操作を行い、白色固体のシリコーン変性シクロオレフィンポリマーを得た。得られたポリマーの収量は18.5gであり、Mnは810,000であった。これをシリコーン変性シクロオレフィンポリマーBとする。
(合成例3)
合成例1で重合触媒であるビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリドの添加量を12mgから4mg(0.0049mmol)に変更した以外は合成例1と同様の操作を行い、白色固体のシリコーン変性シクロオレフィンポリマーを得た。得られたポリマーの収量は18.0gであり、Mnは1,400,000であった。これをシリコーン変性シクロオレフィンポリマーCとする。
1.非対称膜の作製
参考例1
高分子材料としてのポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)(PTMSP)と、フィラーとしてのメソポーラスシリカ粒子(MPS)をテトラヒドロフラン(THF)に投入して、非対称膜作成用の混合液を準備した。PTMSP及びメソポーラスシリカ粒子の合計の濃度は混合液全体質量を基準として2.5質量%とした。また、MPSの質量比はPTMSP100質量部に対して100質量部とした。
テフロン板上に厚さ540μmの枠を置き、その枠内に上記混合液を流し入れた。その後25℃にて2秒間乾燥して、表層部に緻密層を形成させた。次いで、全体を凝固溶媒である水に浸漬したところ、テフロン板側に多孔質層が形成された。すなわち、多孔質層及び緻密層を有する非対称膜(膜厚:20μm)が形成された。図23は得られた非対称膜の切断面を45°斜め上から観察したSEM像である。メソポーラスシリカ粒子は多孔質層内に分散していた。また、緻密層の膜厚は約0.03μmであった。
参考例2
MPSに代えてナノポーラスシリカ粒子(NPS)を用いたことの他は参考例1と同様にして非対称膜を作製した。
参考例3
MPSに代えて球状のシリカ粒子である「NanoTek SiO」(登録商標、シーアイ化成社製、細孔なし、粒径(中心値):25nm、表面性状:親水性)を用い、その質量比をPTMSP100質量部に対して100質量部としたことの他は参考例1と同様にして非対称膜を作製した。
参考例4
MPSに代えて球状シリル化シリカ粒子である「X−24−9163A」(信越化学工業社製、粒径(中心値):110nm)を用い、その質量比をPTMSP100質量部に対して100質量部としたことの他は参考例1と同様にして非対称膜を作製した。
参考例5
MPSの質量比をPTMSP100質量部に対して300質量部としたことの他は参考例1と同様にして非対称膜を作製した。
参考例6
「NanoTek SiO」の質量比をPTMSP100質量部に対して300質量部とした他は参考例3と同様の非対称膜形成用の混合液を調製した。テフロン板上に厚さ540μmの枠を置き、その枠内にメッシュ体(材質:PET、開口率:45%、開口径:85μm)を敷き、そこに上記混合液をメッシュ体の厚みで流延した。その他は参考例1と同様にして非対称膜を作製した。
参考例7
凝固溶媒として水に代えてメタノールを用いたことの他は参考例6と同様にして非対称膜を作製した。
参考例8
凝固溶媒として水に代えてアセトンを用いたことの他は参考例6と同様にして非対称膜を作製した。
参考例9
「NanoTek SiO」に代えて「X−24−9163A」を用い、凝固溶媒として水に代えてメタノールを用いたことの他は参考例6と同様にして非対称膜を作製した。
参考例10
「NanoTek SiO」300質量部に代えて、「NanoTek SiO」150質量部及び「X−24−9163A」150質量部を用い、凝固溶媒として水に代えてメタノールを用いたことの他は参考例6と同様にして非対称膜を作製した。
実施例11
高分子材料としてのシリコーン変性シクロオレフィンポリマーAと、THF及びメチルアルコール(THFの15wt%)の混合溶媒で溶解して固形分3質量%に調整した溶液に、シリコーン変性シクロオレフィンポリマーA100質量部に対して、フィラーとしての「NanoTek SiO」100質量部を配合し、非対称膜作成用の混合液を準備した。
ガラス板状に、非対称膜の基材となるメッシュ体(材質:PET、開口率:45%、開口長:85μm□、厚み:64μm)を敷き、そのメッシュ体の両側に100μmのスペーサーシートを配置した。そこに上記混合液を、バーコーターを用いて、メッシュ体の厚みに流延した。その後、25℃にて3秒間乾燥して、表層部に緻密層を形成させた。次いで、全体を凝固溶媒であるメタノールに浸漬したところ、ガラス板側に多孔質層が形成させた。すなわち、メッシュ体を基材とした多孔質層及び緻密層を有する非対称膜が形成された。
実施例12
シリコーン変性シクロオレフィンポリマーAに代えてシリコーン変性シクロオレフィンポリマーBを用いたことの他は実施例11と同様にして非対称膜を作製した。
実施例13
シリコーン変性シクロオレフィンポリマーAに代えてシリコーン変性シクロオレフィンポリマーCを用いたことの他は実施例11と同様にして非対称膜を作製した。
実施例14
「NanoTek SiO」に代えて「NanoTek SiO」をポリエチレングリコール(PEG)で処理したシリカ粒子を用いたことの他は実施例13と同様にして非対称膜を作製した。
実施例15
「NanoTek SiO」の質量比をシリコーン変性シクロオレフィンポリマーC100質量部に対して11質量部としたことの他は実施例13と同様にして非対称膜を作製した。
実施例16
「NanoTek SiO」の質量比をシリコーン変性シクロオレフィンポリマーC100質量部に対して25質量部としたことの他は実施例13と同様にして非対称膜を作製した。
実施例17
「NanoTek SiO」の質量比をシリコーン変性シクロオレフィンポリマーC100質量部に対して72質量部としたことの他は実施例13と同様にして非対称膜を作製した。
実施例18
「NanoTek SiO」の質量比をシリコーン変性シクロオレフィンポリマーC100質量部に対して300質量部としたことの他は実施例13と同様にして非対称膜を作製した。
実施例19
「NanoTek SiO」の質量比をシリコーン変性シクロオレフィンポリマーC100質量部に対して400質量部としたことの他は実施例13と同様にして非対称膜を作製した。
比較例1〜3
メソポーラスシリカ粒子を用いなかったことの他は参考例1と同様の混合液を準備した。そして、緻密層形成のための乾燥時間を比較例1では300秒、比較例2では120秒、比較例3では2秒としたことの他は参考例1と同様にして、非対称膜を形成させた。図24は比較例3の非対称膜の切断面を45°斜め上から観察したSEM像である。
比較例4
「NanoTek SiO」を用いなかったことの他は参考例7と同様にして非対称膜を作製した。
比較例5
「NanoTek SiO」を用いなかったことの他は実施例13と同様にして非対称膜を作製した。図25は比較例5の非対称膜の切断面を45°斜め上から観察したSEM像である。

*高分子材料100質量部に対する値
2.評価
(1)気体透過係数
(差圧法)
上記で得られた非対称膜について、気体透過率測定装置(GTRテック社製、型番:GTR−20XAMDE)を用い、下記の測定条件で、酸素及び窒素についての気体透過係数(P(O)及びP(N))を測定した。得られた気体透過係数(P(O)及びP(N))を非対称膜の膜厚(L)で除して気体透過速度(P(O)/L及びP(N)/L)を算出した。また、分離比α(=(P(O)/(P(N))も算出した。得られた結果を表3及び4に示す。
測定条件
温度 :23±2℃
膜の下流の圧力:約0.0013atm
膜の上流の圧力:1.05〜1.20atm
膜間の圧力差 :1.05〜1.20atm
(等圧法)
上記で得られた非対称膜について、等圧気体透過率測定装置(デンソー社製、図27参照)を用い、下記の測定条件で、酸素及び二酸化炭素についての気体透過係数(P(O)及びP(CO))を測定した。得られた気体透過係数(P(O)及びP(CO))を非対称膜の膜厚(L)で除して気体透過速度(P(O)/L及びP(CO)/L)を算出した。また、分離比α(=(P(O)/(P(CO))も算出した。得られた結果を表3及び4に示す。
本評価装置での初期環境は、事前に酸素、二酸化炭素の濃度を調整したボンベ(例えば、酸素濃度:20.5%、二酸化炭素:4000ppm)から評価チャンバー内にガスを入れ、初期濃度環境を作った。評価チャンバー外側は、大気空気(酸素濃度:20.8〜20.9%、二酸化炭素:400〜600ppm)である。なお、膜設置部には仕切り板(図示せず)が備えられており、評価開始前に膜は仕切り板により外気と遮断されている。膜評価は、下記の測定条件下、膜設置部の仕切り板を取り除くことで開始され、評価チャンバー内外のガス交換を行った。すなわち、評価チャンバー内の2成分のガス濃度の変化から、酸素及び二酸化炭素についての気体透過速度を測定した。対象ガスの膜に対する流れ方向は、酸素は外から内へ、二酸化炭素は内から外へ流れる初期濃度環境とした。評価チャンバー内及び外の酸素及び二酸化炭素の濃度は、酸素センサー(チノー社製、型番:MG1200)と二酸化炭素センサー(ヴァイサラ社製、型番:GMP343)により測定し、データロガ(チノー社製、型番:KIDS ver6)に記録した。
測定条件
温度 :23±2℃
膜間の圧力差 :なし
膜間のガス分圧差:酸素0.0013〜0.0066atm、二酸化炭素0.0001〜0.0011atm
(3)SPM遮断率
ナノ粒子発生装置(Palas社製、型番:GFG−1000)が接続されたA層と、粒子カウンター(TSI社製、型番:SMPS−3034)が接続されたB層とが、膜サンプルがセットされるホルダーを介して連結されている測定装置(図26参照)を用いて、以下の手順でSPM遮断率を測定した。
i)ナノ粒子発生装置により10〜500nmの粒径を有するカーボン粒子を発生させ、これをA層内に貯める。
ii)非対称膜のサンプルをサンプルホルダー(膜面積:最大で16cm)にセットし、サンプルホルダーとB層の間のバルブV1を閉じ、A層とB層との差圧が1kPaとなるまでB層を減圧する。
iii)バルブV1を開き、B層内が大気圧に戻る際に透過するガスに乗せてカーボン粒子を膜に供給し、膜を透過したカーボン粒子をB層に貯める。
iv)B層内のカーボン粒子の濃度を、粒子カウンターを用いて計測する。
v)以下の式に基づいてSPM遮断率を算出する。
SPM遮断率[質量%] = 100×{(Cin−Cout)/Cin}
(Cin:A層での粒子濃度[μg/mL]、Cout:B層での粒子濃度[μg/mL])
表3に示されるように、参考例1〜8の非対称膜の酸素及び窒素の分離比αは0.85〜1の範囲内にあることからクヌーセン流が支配的であると言うことができる。これら参考例の非対称膜はフィラーを用いなかった比較例1〜4の非対称膜に対して明らかに高い気体透過性を示した。同時に、これら非対称膜はSPMを十分に遮断することが可能であることが確認された。
また、表4に示されるように、実施例11〜19の非対称膜の分離比は1.00〜1.70の範囲内であり、フィラーを用いなかった比較例5の非対称膜に対して明らかに高い気体透過性を示した。同時に、これら非対称膜はSPMを十分に遮断することが可能であることが確認された。
非対称膜の一実施形態を示す断面図である。 緻密層の一部を拡大した模式断面図である。 緻密層の一部を拡大した模式断面図である。 空調システムを備える車両の一実施形態を示す概略断面図である。 透過膜を有するエアコンユニットの一実施形態を示す模式断面図である。 透過膜を有する透過部材の一実施形態を示す斜視図である。 透過膜を有する透過部材の一実施形態を示す斜視図である。 透過膜を有する圧力調整用換気装置の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有する天井部分を備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有する天井部分を備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有する天井部分を備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するフロントガラス部分を備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するリアウィンドウを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するサンルーフを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するピラーを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するピラーを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有する床部を備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するドアを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するドアを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するドアを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するドアを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 透過膜を有するドアを備える車両の一実施形態を示す概略構成図である。 参考例1で作製した非対称膜のSEM像である。 比較例3で作製した非対称膜のSEM像である。 比較例5で作製した非対称膜のSEM像である。 SPM遮断率の測定装置を示す図である。 等圧気体透過率測定装置を示す図である。
符号の説明
3…多孔質層、5…緻密層、10…車両、11…車室壁、12…補強材、12a…前方補強材、12b…後方補強材、13,13a,13b…非対称膜(透過膜)、14…防塵フィルタ、15…蓄熱体、16…防湿材、17…脱臭材、19…車室、18…酸素センサ、21…高分子層、22…外壁、23…フィラー、24…内壁、25…空隙、26…外気導入口、27a…前部開閉扉、27b,27d…ヒンジ、27c…後部開閉扉、27e…前部堰、27f…後部堰、28…外気排出口、29a…前部ファン、29b…後部ファン、30…エアコンユニット、32…ダンパ、32a…ヒンジ、35…エアコンユニットケース、35a…外気導入口、35b…内気導入口、35c…開口部、36…フィルタ、37…送風ファン、38…筐体、40,40a,40b…透過部材、42a,42b…支持体、50…フロントピラー、50a…外壁、52…センターピラー、52a…外気取入れ口、52b…外気排出口、52c…内気取入れ口、52d…内気排出口、52e…上端部、52f…下端部、54…リアピラー、55…中空部材、56a,56b…ファン、60…温度センサ、70…空洞、80…窓ガラス、90…制御部、110…圧力調整用換気装置、112…カバー、118…送風機、122…ボディ、126…外気導入口、127a…前部堰、127b…後部堰、128…外気排出口、130…フロントガラス、132,132a,132b…多孔質ガラス、134…補強材、138…サンルーフ、140…ドア、150…床部、152…床板、152a…内気取入れ口、152b…内気排出口、153a…側板、154…外板、154c…外気取入れ口、154d…外気排出口、156a,156b…ファン、164…内装材。

Claims (6)

  1. 多孔質層及びこれに隣接する緻密層を有し前記多孔質層及び前記緻密層が高分子材料によって形成されている非対称膜であって、
    前記多孔質層及び/又は前記緻密層がフィラーを含み、
    前記高分子材料がシリコーン変性シクロオレフィンポリマーである、非対称膜。
  2. 前記フィラーの含有量が、当該非対称膜に含まれる高分子材料100質量部に対して11質量部以上である、請求項記載の非対称膜。
  3. 23±2℃、膜間の圧力差1.05〜1.20atmにおける酸素透過係数P(O)及び窒素透過係数P(N)の比が下記式(1)を満足する、請求項1又は2に記載の非対称膜。
    0.85<P(O)/P(N)<1 ・・・(1)
  4. 23±2℃、膜間の圧力差がない条件における酸素透過係数P(O)及び二酸化炭素透過係数P(CO)の比が下記式(3)を満足する、請求項1〜のいずれか一項に記載の非対称膜。
    0.719<P(O)/P(CO)<1.70・・・(3)
  5. 前記多孔質層及び前記緻密層のうち少なくとも一方が含浸されている、又は前記多孔質層上若しくは前記緻密層上に積層されているメッシュ体を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の非対称膜。
  6. 空調対象空間への気体の供給及び/又は空調対象空間からの気体の排出が行われる膜として請求項1〜のいずれか一項に記載の非対称膜を備える、空調システム。
JP2008268743A 2007-10-29 2008-10-17 非対称膜及びこれを用いた空調システム Active JP5383146B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008268743A JP5383146B2 (ja) 2007-10-29 2008-10-17 非対称膜及びこれを用いた空調システム
DE112008002904.0T DE112008002904B4 (de) 2007-10-29 2008-10-27 Asymmetrische Membran und Verwendung der asymmetrische Membran in einem Klimatisierungssystem
PCT/JP2008/069460 WO2009057557A1 (ja) 2007-10-29 2008-10-27 非対称膜及びこれを用いた空調システム
US12/740,144 US8394183B2 (en) 2007-10-29 2008-10-27 Asymmetric membrane and air-conditioning system using the same
CN2008801081865A CN101801510B (zh) 2007-10-29 2008-10-27 非对称膜及使用该非对称膜的空调系统

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007280839 2007-10-29
JP2007280839 2007-10-29
JP2008268743A JP5383146B2 (ja) 2007-10-29 2008-10-17 非対称膜及びこれを用いた空調システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009131833A JP2009131833A (ja) 2009-06-18
JP5383146B2 true JP5383146B2 (ja) 2014-01-08

Family

ID=40864292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008268743A Active JP5383146B2 (ja) 2007-10-29 2008-10-17 非対称膜及びこれを用いた空調システム

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8394183B2 (ja)
JP (1) JP5383146B2 (ja)
CN (1) CN101801510B (ja)
DE (1) DE112008002904B4 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2620205B1 (en) 2007-02-28 2018-11-07 Hollingsworth & Vose Company Waved filter media
US8257459B2 (en) 2007-02-28 2012-09-04 Hollingsworth & Vose Company Waved filter media and elements
JP5281970B2 (ja) * 2009-06-30 2013-09-04 信越ポリマー株式会社 空調システム
CN101985085B (zh) * 2010-11-04 2013-06-26 浙江大学 聚酯平板微孔膜及其制备方法
WO2012066567A2 (en) 2010-11-18 2012-05-24 Behr India Limited Leak proof modular heating, ventilation and air conditioning (hvac) housing assembly
JP5469132B2 (ja) * 2010-12-06 2014-04-09 信越ポリマー株式会社 リーファーコンテナ
JP5849889B2 (ja) * 2011-08-02 2016-02-03 株式会社デンソー 空調システム
JP6035967B2 (ja) 2012-08-03 2016-11-30 スズキ株式会社 車両用バッテリパック
JP2014129998A (ja) 2012-11-30 2014-07-10 Akira Ishibashi 壁ならびに高清浄部屋システムおよびその製造方法ならびに建築物
US10441909B2 (en) 2014-06-25 2019-10-15 Hollingsworth & Vose Company Filter media including oriented fibers
US10449474B2 (en) 2015-09-18 2019-10-22 Hollingsworth & Vose Company Filter media including a waved filtration layer
US10561972B2 (en) 2015-09-18 2020-02-18 Hollingsworth & Vose Company Filter media including a waved filtration layer
JP6836587B2 (ja) * 2015-10-09 2021-03-03 オーワイ ハルトン グループ リミテッド フィルタ装置の方法およびシステム
JP6970522B2 (ja) * 2017-04-27 2021-11-24 川崎重工業株式会社 空気浄化システム
US20190016195A1 (en) * 2017-07-11 2019-01-17 Minnie Stinson Battery operated air controller system in motor vehicles
DE102019110563B3 (de) * 2019-04-24 2020-08-20 Dr. Ing. H.C. F. Porsche Aktiengesellschaft Kfz-Klimaleitungs-Ventilanordnung
KR20210075476A (ko) * 2019-12-13 2021-06-23 주식회사 엘지에너지솔루션 벤팅부가 부착된 파우치형 전지셀 및 이의 제조방법

Family Cites Families (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60132605A (ja) * 1983-12-21 1985-07-15 Sanyo Chem Ind Ltd 非対称膜の製造法
US4822382A (en) * 1987-11-02 1989-04-18 Union Carbide Corporation Composite membranes, their manufacture and their use
JPH02222715A (ja) * 1989-02-23 1990-09-05 Toray Ind Inc 非対称構造の膜及びその製造方法
JPH057749A (ja) 1991-04-15 1993-01-19 Nitto Denko Corp 含フツ素ポリイミド系複合膜あるいは非対称膜、これらの製造方法及びこれらを使用した気体分離・濃縮方法
JP3171947B2 (ja) 1991-09-03 2001-06-04 ダイセル化学工業株式会社 ポリアクリロニトリル共重合体選択透過膜およびその製造方法
JP3198429B2 (ja) 1992-12-16 2001-08-13 株式会社ニコン 露光装置及び気体濃度測定方法
JPH06210146A (ja) * 1993-01-19 1994-08-02 Dainippon Ink & Chem Inc 中空糸不均質膜及びその製法
JP3212492B2 (ja) 1994-12-01 2001-09-25 信越化学工業株式会社 シリコーンオイル組成物
US5919583A (en) * 1995-03-20 1999-07-06 E. I. Du Pont De Nemours And Company Membranes containing inorganic fillers and membrane and electrode assemblies and electrochemical cells employing same
JPH09285723A (ja) 1996-04-22 1997-11-04 Nippon Sanso Kk ポリエーテルスルホン非対称膜およびその製造方法
JPH119976A (ja) * 1997-06-20 1999-01-19 Nitto Denko Corp 不飽和炭化水素の分離膜および分離方法
JP3992345B2 (ja) * 1998-01-05 2007-10-17 日東電工株式会社 分離膜およびこれを用いたオレフィンの分離方法
CN1141169C (zh) 1999-01-21 2004-03-10 制膜有限公司 整体不对称聚烯烃膜
US6461702B2 (en) 1999-03-15 2002-10-08 River Ranch Fresh Foods-Salinas, Inc. Coated membrane with an aperture for controlled atmosphere package
US6316684B1 (en) * 1999-09-01 2001-11-13 Membrane Technology And Research, Inc. Filled superglassy membrane
DE10039596C2 (de) * 2000-08-12 2003-03-27 Omg Ag & Co Kg Geträgerte Metallmembran, Verfahren zu ihrer Herstellung und Verwendung
US6503295B1 (en) * 2000-09-20 2003-01-07 Chevron U.S.A. Inc. Gas separations using mixed matrix membranes
US20020056371A1 (en) * 2000-09-27 2002-05-16 Hawkeye Enterprises, Llc Membrane system and method for separation of gases
JP3865046B2 (ja) 2001-05-08 2007-01-10 信越化学工業株式会社 無溶剤型ポリイミドシリコーン系樹脂組成物
AU2003220048A1 (en) * 2002-03-05 2003-09-22 Eltron Research, Inc. Hydrogen transport membranes
JP4273833B2 (ja) * 2002-10-28 2009-06-03 株式会社デンソー 空調システム
WO2006007096A2 (en) * 2004-06-24 2006-01-19 North Carolina A & T University An ultrahigh-selectivity oxygen enrichment filled elastomeric silicone polymer membrane incorporating nanofillers
US7669719B2 (en) * 2006-07-05 2010-03-02 General Electric Company Membrane structure and method of making
US8394181B2 (en) * 2006-12-28 2013-03-12 Shin-Etsu Polymer Co., Ltd. Selectively permeable material, method for producing selectively permeable membrane structure, selectively permeable membrane structure, and air conditioning system
JP5281970B2 (ja) * 2009-06-30 2013-09-04 信越ポリマー株式会社 空調システム

Also Published As

Publication number Publication date
US20100294132A1 (en) 2010-11-25
DE112008002904T5 (de) 2010-12-02
DE112008002904B4 (de) 2018-10-31
JP2009131833A (ja) 2009-06-18
US8394183B2 (en) 2013-03-12
CN101801510B (zh) 2013-04-10
CN101801510A (zh) 2010-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5383146B2 (ja) 非対称膜及びこれを用いた空調システム
JP4912290B2 (ja) 選択透過材料及び空調システム
JP5281970B2 (ja) 空調システム
JP5849889B2 (ja) 空調システム
Yin et al. Polymer-matrix nanocomposite membranes for water treatment
US7749312B2 (en) Air conditioning system
JP4273833B2 (ja) 空調システム
JP5149593B2 (ja) 選択透過材料及び空調システム
JP2008030697A (ja) 車両用空調システム
JP4682951B2 (ja) 圧力調整用換気装置
JP4770631B2 (ja) 車両用空調システム
JP4682950B2 (ja) 車両用空調システム
JP2010005514A (ja) 選択透過材料及び空調システム
JP2007290690A (ja) 空調システム
CN109429493A (zh) 车内空间净化装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110808

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130903

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131001

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5383146

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250