JP5381410B2 - 強誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゾルゲル法等により製作した原料溶液を塗布焼成して、PZT膜、SBT膜等の強誘電体薄膜を形成する方法に関する。
PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やSBT(タンタル酸ビスマスストロンチウム)等の強誘電体は、ペロブスカイト型結晶構造を有し、キャパシタや強誘電体メモリ(FeRAM)等のデバイスへの応用が期待されている。これら強誘電体からなる薄膜の成膜法としてゾルゲル法、MOD(Metal Organic Decomposition)法、あるいはこれらを併用した方法など、CSD(Chemical Solution Deposition)法と呼ばれる化学溶液堆積法がある(特許文献1,2参照)。
ゾルゲル法は、金属アルコキシドからなるゾルを加水分解・重縮合反応により、流動性を失ったゲルとし、このゲルを加熱焼成して酸化物とする方法であり、基板(ウエハー)上に膜を形成する技術としては、基板を原料溶液に浸漬するディップコート法、ロールコート法、基板を回転させながら原料溶液を供給して成膜するスピンコート法等がある。このうち、特にスピンコート法の場合、基板の外周端部で膜が厚くなり易く、基板の裏面にも回り込む現象が生じ易い。
このようなゾルゲル法等(以下ではCSD法と総称し、その溶液をCSD溶液と称す)による塗布方法の場合、一回で塗布する膜厚が厚すぎると、熱処理後の膜にクラックが入りやすいという問題がある。このクラックで剥がれた膜がパーティクルとなり、デバイスの歩留まりが低下する原因となり得るため、基板の外周端部の膜は熱処理する前に除去するという方法が取られる。また、PZT等の鉛系ペロブスカイト型酸化物を形成する場合には、PZTの下部層としてPt等が使われるが、基板端部ではSiOが剥き出しの構造のものもよく使われており、PZTとSiOとが接触する場合には、PZTは薄くてもクラックが発生し易く、この場合も基板の外周端部は熱処理する前に膜を除去するという方法が取られる。
基板の外周端部の膜を除去する方法として、原料溶液を塗布した後に、基板を回転させながら基板の外周端部に有機溶剤を接触させて膜を取り除くエッジビードリンス(EBR)と称する方法がある。
特許文献3及び特許文献4は、基板表面に形成したフォトレジスト層をEBRで除去する方法について示されており、その除去のためのリンス液としてシンナー組成物が用いられている。
特開2001−72926号公報 特開2002−29752号公報 特表2005−227770号公報 特開2007−324393号公報
ところで、CSD法で形成した膜に有機溶剤を噴射してEBRを施す場合、噴射領域近傍の膜断面形状の制御が非常に難しく、部分的に膜が厚くなった箇所では加熱処理後においてクラックが発生し、また前記クラックの発生に伴って局部的に膜剥がれが生じることがあり、パーティクルの原因となっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、基板の外周端部の膜をクラックや局部剥がれを生じることなく除去して、パーティクルの発生を防止することを目的とする。
本発明の強誘電体薄膜の製造方法は、強誘電体薄膜形成用の有機金属化合物を含有するCSD溶液を基板に塗布してゲル状塗膜を形成する工程と、基板を回転させながら外周端部に水を噴射又は滴下して、前記ゲル状塗膜の外周端部を除去する工程と、前記外周端部について除去された後の前記ゲル状塗膜を加熱処理して強誘電体薄膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
CSD溶液による塗布膜の一部を除去する場合、一般的には、そのCSD溶液に使用されている溶媒を用いるものと考えられる。このCSD溶液の溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール等が使用されているが、CSD溶液を塗布した後に、基板の外周端部の塗布膜の除去のために、外周端部にメタノール、エタノール、ブタノール等の溶媒を噴射又は滴下すると、噴射又は滴下領域近傍において加熱処理後にクラックや局部剥がれが生じ易い。
その原因としては次のように考えられる。すなわち、これらメタノール、エタノール、ブタノール等の溶媒はCSD溶液によるゲル状塗膜に噴射又は滴下されると、ゲル状塗膜に浸透し、その浸透により溶けた膜の一部が遠心力で半径方向外方に向けて引き剥がされる。このとき、溶媒の半径方向内方への浸透と、溶けた膜の半径方向外方への伸びとが相互に影響し合い、両者の作用力のばらつき等により、噴射又は滴下領域近傍の膜厚が不均一になり、そのため加熱処理後に噴射又は滴下領域近傍にクラックや局部剥がれが生じるものと想定される。
これに対して、このゲル状塗膜を水によって除去すると、水は膜への浸透力が小さいため、噴射又は滴下した箇所から半径方向外方位置の膜が部分的に厚くなることがなく、クラックや局部剥がれを防止することができる。
本発明の強誘電体薄膜の製造方法において、前記CSD溶液がPbを含有するペロブスカイト型酸化物薄膜を形成するためのものであるとすることができる。
本発明の強誘電体薄膜の製造方法において、前記CSD溶液がBiを含有する層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を形成するためのものであるとすることができる。
本発明の強誘電体薄膜の製造方法において、前記CSD溶液が、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールから選ばれる1種または2種以上の溶媒Aと、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールから選ばれる1種または2種以上の溶媒Bとを含有するものとすることができる。
本発明の強誘電体薄膜の製造方法によれば、基板にCSD溶液を塗布した後、回転する基板に水を噴射又は滴下して外周端部のゲル状塗膜を除去することにより、噴射又は滴下した箇所から半径方向外方位置の膜が部分的に厚くなることがなく、クラックや局部剥がれを防止することができる。
本発明の実施形態において基板を回転させながら外周端部の膜を除去している状態を概略的に示す断面図である。 本発明の実施例の方法で形成した強誘電体薄膜の外周端部付近の(a)が表面顕微鏡写真、(b)が表面形状測定器で測定した表面形状図である。 比較例の方法で形成した強誘電体薄膜の外周端部付近の(a)が表面顕微鏡写真、(b)が表面形状測定器で測定した表面形状図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
この強誘電体薄膜の製造方法は、PZT、PLZTなどのPbを含有するペロブスカイト型酸化物薄膜、SBT、SBTNなどのBiを含有する層状ペロブスカイト形酸化物薄膜を製造する場合に好適であり、有機金属化合物を含有するCSD溶液を基板に塗布してゲル状塗膜を形成する工程(CSD溶液塗布工程)と、この基板を回転させながら外周端部に水を噴射又は滴下して、この外周端部のゲル状塗膜を除去する工程(EBR工程)と、この外周端部について除去された後のゲル状塗膜を加熱処理して強誘電体薄膜を形成する工程(加熱処理工程)とを有する。
<CSD溶液>
使用されるCSD溶液について説明しておくと、このCSD溶液は、金属化合物を溶媒により溶解し、安定化剤等を添加したものであり、例えば、PLZT用、SBTN用として以下のものがある。
PLZT用CSD溶液としては、その原料金属化合物には、鉛化合物及びランタン化合物としては酢酸塩(酢酸鉛、酢酸ランタン)などの有機酸塩並びにジイソプロポキシ鉛などのアルコキシド、チタン化合物としては、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラi−ブトキシチタン、テトラt−ブトキシチタン、ジメトキシジイソプロポキシチタンなどのアルコキシドが好ましいが、有機酸塩又は有機金属錯体も使用できる。ジルコニウム化合物はチタン化合物と同様である。2種類以上の成分金属を含有する複合化した金属化合物であってもよい。微量のドープ元素を含有させてもよい。
一方、SBTN用のCSD溶液の原料金属化合物には、Sr有機金属化合物としてSrイソプロポキシド、Srブトキシド等のアルコキシド、2−エチルヘキサン酸Sr等のカルボン酸塩等が挙げられる。Sr有機金属化合物はSrジエチレングリコラート又はSrトリエチレングリコラートであっても良く、従ってこの場合には、溶媒としてのジエチレングリコール又はトリエチレングリコールに金属Srを添加して加熱下反応させることにより、Srジエチレングリコラート又はSrトリエチレングリコラートを生成させても良い。Bi有機金属化合物としては2−エチルヘキサン酸Bi、Ta有機金属化合物としてはTaジエチレングリコラート又はTaトリエチレングリコラート、Nb有機金属化合物としてはNbジエチレングリコラート又はNbトリエチレングリコラートが用いられる。
有機溶媒(溶媒A)としては、プロピレングリコール及び/又はトリエチレングリコールを用いるが、プロピレングリコールの単独溶媒、トリエチレングリコールの単独溶媒、プロピレングリコールとトリエチレングリコールとの混合溶媒、プロピレングリコールと他の有機溶媒との混合溶媒、トリエチレングリコールと他の有機溶媒との混合溶媒、プロピレングリコールとトリエチレングリコールと他の有機溶媒との混合溶媒等のいずれでも良い。
この有機溶媒と各有機金属化合物を、所望の金属成分濃度となるように、適当な比率で混合する。また、溶液の均質化のために加熱還流することが行われる。
このようにして得られた溶液を塗布に適した濃度及び濡れ性とするために、適当な溶媒(溶媒B)を使用して濃度調整する。その有機溶媒としては、一般的には、アルコール類(例えばエタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、カルボン酸(例えば酢酸、2−エチルヘキサン酸)、炭化水素(n−ヘキサン、n−オクタン)等が挙げられるが、好ましくは毒性が低いエタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが望ましい。
なお、溶液中の有機金属化合物の合計濃度は、金属酸化物換算量で0.1〜20重量%程度とするのが好ましい。
また、原料溶液中に必要に応じて安定化剤としてβ−ジケトン類(例えば、アセチルアセトン、ヘプタフルオロブタノイルピバロイルメタン、ジピバロイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等)、ケトン酸類(例えば、アセト酢酸、プロピオニル酢酸、ベンゾイル酢酸等)などを、金属に対するモル比で0.2〜3倍程度配合してもよい。
<CSD溶液塗布工程>
基板にCSD溶液を塗布することにより、基板の全面にゲル状塗膜を形成する。
基板材料としては、シリコンウエハ(単結晶)、および白金、ニッケルなどの金属類、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)又はコバルト酸ランタンストロンチウム((LaxSr1-x)CoO3)などのぺロブスカイト型導電性酸化物などの被膜を有した、シリコン、ガラス、アルミナ、石英などの基板が挙げられる。
CSD溶液を基板上に塗布する場合、スピンコート法が一般的であるが、噴霧塗布、浸漬塗布など他の塗布法も適用可能である。
<EBR工程>
図1(a)に示すように、CSD溶液を塗布した後のゲル状塗膜1が形成された基板2を回転させながら、その外周端部に上方のノズル3から水Wを噴射又は滴下することにより、図1(b)に示すようにゲル状塗膜1の外周端部を除去する。この場合、基板の回転速度としては、例えば、1000〜3000rpmである。噴射又は滴下の位置は、除去対象の位置に対応して適宜設定すればよい。例えば、基板の外周縁5mmから半径方向外側を除去する場合、その基板の外周縁から半径方向内方に5mmの位置に水を噴射又は滴下し、その噴射又は滴下位置の外側の5mmの範囲の膜を除去する。噴射又は滴下量としては、塗膜の厚さ等から適宜に設定すればよく、除去対象の範囲に存在するゲル状塗膜を洗い流すのに十分な量であればよい。上記の回転速度であれば2〜5秒間水を噴射又は滴下し続ければ十分である。
また、このEBR工程においては、外周端部のゲル状塗膜1が流れ易いように、基板2を回転させながら、必要に応じて、ノズル3を半径方向外方に移動させるようにしてもよい。
<加熱処理工程>
加熱処理工程は、さらに乾燥工程、仮焼工程、結晶化アニール工程から構成される。
(乾燥工程)
外周端部を除去した後のゲル状塗膜を乾燥させ、溶媒を除去する。この乾燥温度は溶媒の種類によっても異なるが、通常は80〜200℃程度であり、好ましくは100〜180℃の範囲でよい。但し、原料溶液中の金属化合物を金属酸化物に転化させるための次工程の加熱の際の昇温中に、溶媒は除去されるので、塗膜の乾燥工程は必ずしも必要とされない。
(仮焼工程)
その後、仮焼工程として、塗布した基板を加熱し、有機金属化合物を完全に加水分解又は熱分解させて金属酸化物に転化させ、金属酸化物からなる膜を形成する。この加熱は、一般に加水分解の必要なゾルゲル法では水蒸気を含んでいる雰囲気、例えば、空気又は含水蒸気雰囲気(例えば、水蒸気を含有する窒素雰囲気)中で行われ、熱分解させるMOD法では含酸素雰囲気中で行われる。加熱温度は、金属酸化物の種類によっても異なるが、通常は150〜550℃の範囲であり、好ましくは、300〜450℃である。加熱時間は、加水分解及び熱分解が完全に進行するように選択するが、通常は1分ないし1時間程度である。
ゾルゲル法等の場合は、1回の塗布で、ペロブスカイト型酸化物薄膜に必要な膜厚とすることは難しい場合が多いので、必要に応じて、上記のCSD溶液塗布から仮焼までの工程を繰返すことによりCSD溶液を重ね塗りし、その塗布の都度、外周端部についてゲル状塗膜を除去しながら、所望の膜厚の金属酸化物の膜を得る。
(結晶化アニール工程)
このようして得られた塗布膜は、非晶質であるか、結晶質であっても結晶性が不十分であるので、分極性が低く、強誘電体薄膜として利用できない。そのため、最後に結晶化アニール工程として、その金属酸化物の結晶化温度以上の温度で焼成して、ペロブスカイト型の結晶構造を持つ結晶質の金属酸化物薄膜とする。なお、結晶化のための焼成は、最後に一度で行うのではなく、各塗布した塗膜ごとに、上記の仮焼に続けて行ってもよいが、高温での焼成を何回も繰返す必要があるので、最後にまとめて行う方が経済的には有利である。
この結晶化のための焼成温度は通常は500〜800℃の比較的低い温度で良く、例えば550〜700℃である。従って、基板としては、この焼成温度に耐える程度の耐熱性を有するものを使用する。結晶化のための焼成(アニール)時間は、通常は1分から1時間程度であり、焼成雰囲気は特に制限されないが、通常は空気又は酸素である。
このようにして形成されたペロブスカイト型酸化物薄膜は、基板の上に均一に形成され、その外周端部においてもクラックや局部剥がれがなく、したがって、パーティクルの付着のない強誘電体薄膜を得ることができる。
前述したようにPZT等の鉛系ペロブスカイト型酸化物のように、基板表面のPt層に対して外周端部にSiOが剥き出しの構造のものの場合、このSiOの上に塗布されたPZTにクラックが発生し易いため、このSiOの範囲の膜を除去する方法として有効である。この場合、SiOの範囲の内周縁よりわずかに内側に水を噴射又は滴下すればよい。
次に、Pb含有ペロブスカイト型酸化物としてPLZT、Bi含有層状ペロブスカイト型酸化物としてSBTNの薄膜をそれぞれ形成して、基板の外周端部の膜を除去し、その表面を観察した。
Pb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜(PLZT)用のCSD溶液としては以下の組成のものを用いた。
鉛原料として酢酸鉛3水和物、ランタン原料として酢酸ランタン1.5水和物、ジルコニウム原料としてジルコニウムn−ブトキシド、チタン原料としてチタンテトライソプロポキシドを用い、溶媒Aと、ZrとTiの合計モル数の2倍量のアセチルアセトンを安定化剤として混合し、150℃で1時間、窒素雰囲気の中で還流した。その後150℃で減圧蒸留し、副生成物をはじめとした低沸点有機物を除去し、溶媒Bで酸化物換算で10wt%となるように希釈し、各種Pb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜用CSD溶液を得た。表1にPLZT組成、溶媒A、溶媒Bを記す。
Bi含有層状ペロブスカイト型酸化物(SBTN)用のCSD溶液としては以下の組成のものを用いた。
ビスマス原料として2−エチルヘキサン酸ビスマス、ストロンチウム原料として2−エチルヘキサン酸ストロンチウム、タンタル原料としてタンタルペンタエトキシド、ニオブ原料としてニオブペンタエトキシドを用い、溶媒Aと、TaとNbの合計モル数の2.5倍量の2―エチルヘキサン酸を安定化剤として混合し、150℃で1時間、窒素雰囲気の中で還流した。その後150℃で減圧蒸留し、副生成物をはじめとした低沸点有機物を除去し、溶媒Bで酸化物換算で10wt%となるように希釈し、各種Bi含有層状ペロブスカイト型酸化物薄膜用CSD溶液を得た。表2にSBTN組成、溶媒A、溶媒Bを記す。
これらCSD溶液を用いて、Pb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜(PLZT薄膜)、Bi含有層状ペロブスカイト型酸化物(SBTN)薄膜を形成した。基板としては直径が4インチのSi基板の表面にSiO膜を熱酸化により厚さ500nm形成し、その上に外周端部から半径方向内側3mmまでの領域を除きスパッタ法にてPt膜を形成したPt(200nm)/SiO(500nm)/Si基板とした。
(Pb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜)
まず、予備実験として、表1の溶液A1〜A6を用い、4インチPt/SiO/Si基板上に2ml噴射し、スピン条件として500rpm×3sec回転した後、3000rpm×15sec回転して基板の全面にコーティングした。その後350℃に加熱したホットプレート上に基板を載せて5分間加熱し、有機物の熱分解を行い、鉛含有酸化物膜を得た。この操作を繰り返し、計6回塗布を行った後、急速熱処理装置RTA(Rapid Thermal Annealing)により700℃で5分焼成を行いPb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜を得た。
この実験に使用した基板の最外周部はPtがコーティングされておらず、いずれもPLZT薄膜がSiOと直接接触している部分は焼成後にクラックが発生した。
次に、実施例1として、同じPt/SiO/Si基板上に、上記予備実験の方法と同様にして、溶液A1〜A6をスピンコートした後、Pb含有膜とSiOの焼成時の反応を避けるため、基板をスピンコーターで2500rpmで回転させながら、基板の外周端部から半径方向内側5mmの位置に水を噴射してゲル状塗膜を溶解するEBR処理を行った。この基板を上記予備実験と同様にホットプレートに載せて加熱し、外周端部がエッチングされて除去された状態の鉛含有酸化物膜を得た。予備実験と同様にこの操作を繰り返し、計6回CSD溶液の塗布を行って、都度EBR処理を行った後、RTAにより700℃で5分焼成を行いPb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜を得た。
得られたサンプルは、Pb含有膜端部にはクラックや膜剥がれは全く発生していなかった。
次に、比較例1として、EBR用溶剤として、水の代わりにn−ブタノールを使うこと以外は全て実施例1と同様にして、Pb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜を得た。得られたサンプルのPb含有膜端部には、クラックや膜剥がれが発生した。
(Bi含有層状ペロブスカイト型酸化物薄膜)
Bi含有層状ペロブスカイト型酸化物薄膜の場合も、実施例2として、Pb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜の場合と同様にして、表2の溶液B1〜B6を4インチPt/SiO/Si基板上にスピンコートした後、基板の外周端部での厚膜化によるクラックを避けるため、基板をスピンコーターで2500rpmで回転させながら、基板の外周端部から半径方向内側5mmの位置に水を噴射してゲル状塗膜を溶解し、EBR処理を行った。この基板をPb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜の場合と同様にホットプレート上で加熱し、外周端部がエッチングされた状態のBi含有酸化物薄膜を得た。Pb含有ペロブスカイト型酸化物薄膜の場合と同様にこの操作を繰り返し、計6回CSD溶液の塗布を行って、都度EBR処理を行った後、RTAにより800℃で5分焼成を行いBi含有層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を得た。
得られたサンプルは、Bi含有膜端部にはクラック、膜剥がれは全く発生していなかった。
また、比較例2として、EBR用溶剤として、水の代わりにn−ブタノールを使うこと以外は全て実施例2と同様にして、Bi含有層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を得た。得られたサンプルのBi含有膜端部には、クラック、膜剥がれが発生した。
次に、このようにして得られたサンプルについて、米国Veeco Instruments社製の触針式表面形状測定器Dektakを使用して表面の段差を確認したところ、比較例1及び比較例2とも、強誘電体薄膜の外周縁部に1000〜1500μmの幅の範囲で数百nm程度の凹凸が確認されたが、実施例1及び実施例2のものは100nm以下の微細な段差が認められるだけで、極めて平滑な表面であった。図2に、実施例1の薄膜の表面顕微鏡写真と、表面形状測定器による測定結果とを示した。図3には比較例1の同様の結果を示した。これらの図の比較でも明らかな通り、比較例のものは、膜の界面付近(図3に2本の破線で示す間の領域)でクラック等による凹凸が目立っているが、実施例のものは極めて平滑な表面状態であることがわかる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態ではPLZT膜、SBTN膜を中心に説明したが、CSD法により成膜される他の強誘電体薄膜を形成する場合にも適用することができる。
1 ゲル状塗膜
2 基板
3 ノズル
W 水

Claims (4)

  1. 強誘電体薄膜形成用の有機金属化合物を含有するCSD溶液を基板に塗布してゲル状塗膜を形成する工程と、基板を回転させながら外周端部に水を噴射又は滴下して、前記ゲル状塗膜の外周端部を除去する工程と、前記外周端部について除去された後の前記ゲル状塗膜を加熱処理して強誘電体薄膜を形成する工程とを有することを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
  2. 前記CSD溶液がPbを含有するペロブスカイト型酸化物薄膜を形成するためのものであることを特徴とする請求項1記載の強誘電体薄膜の製造方法。
  3. 前記CSD溶液がBiを含有する層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を形成するためのものであることを特徴とする請求項1記載の強誘電体薄膜の製造方法。
  4. 前記CSD溶液が、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールから選ばれる1種または2種以上の溶媒Aと、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールから選ばれる1種または2種以上の溶媒Bとを含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の強誘電体薄膜の製造方法。
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