JP5380105B2 - 蓄電池用ブッシング鋳込み成形体 - Google Patents
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Description
この種の鉛ブッシング鋳込み電槽蓋は、鉛ブッシングと合成樹脂製の成形蓋との熱膨張係数の大きい相違があるばかりでなく、該鉛ブッシングに配設された各環状突起は水平に突出しているので、これら環状突起間の成形蓋の成形肉部の水平方向への変形が自由であるから、温度の上昇や下降の変化や外部からの衝撃を受けると、該ブッシングとその外周の成形肉部との間、即ち、界面は分離し易く、液密性が劣化し、電解液が該界面を滲み上がり外部へ漏れ出る問題、即ち、液リークの問題がある。この課題を解決するため、出願人は先に特開昭56-159054号公報において電池蓋装置に関する発明を提案した。
この発明は、鉛ブッシング鋳込み蓋成形体を製造した後に、新たに、上記の外端の水平突鍔2bを斜め方向から加圧して蓋面に圧密着せしめ、内向き傾斜突鍔とする加工工程を追加して始めて液リークが防止されたブッシング鋳込み蓋成形体が製造できるものであるから、その煩わしい追加の加圧工程を要し生産効率が悪く、製造コストの増大をもたらす。また、その加圧工程において、その外端の突鍔を加圧したときに誤って外周に隣接する成形蓋部(ボス部)上部を変形、損傷する惧れがある。
本発明は、上記特許文献1の発明の上記課題を解消し、上記の煩わしい追加の加工工程を不要とし、通常のブッシング鋳込み成形法により鉛ブッシング鋳込み蓋成形体を製造した時点で、上記の熱衝撃等による液リークが防止された安価で且つ良質のブッシング鋳込み蓋成形体が簡単且つ迅速に得られる蓄電池用ブッシングを提供すること、この本発明の蓄電池用ブッシングを用い通常の鋳込み成形法により、直ちに、上記の液リークが防止されたブッシング鋳込み蓋成形体を提供することに在る。
更に本発明は、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の蓄電池用ブッシングを蓋又は電槽の成形用金型の下型内に突設した棒状支承コアに嵌合し、該棒状支承コアのテーパー状の傾斜周面と該ブッシングの内周面に形成された凹面との間に空間が形成された状態に設置し、上型と下型を閉じ該ブッシングを固定した状態で該ブッシングの外周面を囲繞する成形用空間内に溶融合成樹脂を加圧注入充填し、その加圧力で該ブッシングの該凹面を形成された筒状壁部を該空間側へ弯曲させ、これに伴い斜め下向きに傾斜した環状突起と斜め上向きに傾斜した環状突起により両環状突起間に充填の成形肉を係合挟持して成ることを特徴とするブッシング鋳込み成形体に存する。
請求項2に係る発明によれば、金型内に設置した請求項1に係るブッシングを下型に設置したとき、その内周面に形成した該凹面と棒状支承コアのテーパー状の傾斜周面との間に空間が形成されるので、成形用空間内に加圧流入充填した溶融合成樹脂の加圧力で該ブッシングの筒状壁部を該空間側に弯曲せしめることができ、その結果、斜め下向きに傾斜した環状突起と斜め上向きに傾斜した環状突起との間に、成形体の成形肉を係合挟持したブッシング鋳込み成形体が得られるので、その保存中、或いは蓄電池の蓋又は電槽として用いた高温と低温に変化する熱衝撃を受けても、ブッシングとその外周の成形体との界面が分離しないので、液リークが防止され、且つ成形肉に損傷のない良好な状態の蓋成形体や電槽成形体が容易、迅速且つ円滑、且つ高能率に生産でき、上記特許文献1の発明の課題が解消される。
図1は、本発明の実施形態の1例の蓋又は電槽の成形時に鋳込まれる鉛蓄電池などの蓄電池用ブッシング1を示す。該ブッシング1は鉛又は鉛合金を材料とし、周知の鋳造法により鋳造される。該ブッシング1は、中心軸線上に極柱を挿通する挿通孔2を有する筒状体3、図示では全長21mmの円筒の筒状体と、該筒状体3の中央から下部に位置する外周面から水平に且つ互いに所望の間隔d、図示の例では1.50mmの間隔dを存し、平行に突出する複数個の、図示の例では、4個を配設された環状突起4,4,…とから成る。図示の例では、最下段の環状突起4の肉厚は3.0mmとし、他の3個の各環状突起4の肉厚は1.0mmとし、且つ最上段の環状突起4は、その上面は、該筒状体3の外周面から水平に且つ該環状突起4より外方に突出し肉厚3.5mmの突鍔5と一体に形成されている。更に、該筒状体3は、該突鍔5より上方に突出する上端筒状壁部6を有し、その外径は、該環状突起4,4,…と同じ外径を有し、該挿通孔2を囲繞する内周面はラッパ状に開拡する傾斜面とし、該挿通孔2に極柱P(図2に仮想線で示す)を挿通したとき、その上端筒状壁部6の内周にブッシング1との溶接や外部端子の溶接を行うに適した溶融金属充填用環状空間7を形成するようにした。以上のブッシング1の形態は、従来のブッシングの形態と変わりがない。
該凹面8の形状は任意であるが、図示の例では、該筒状壁部3aの内周面を垂直壁面8aと該垂直壁面8aの上端から上方に至るに従い漸次小径となる傾斜壁面8bとによりへの字状に屈曲した凹面8に形成した。而して、図2に仮想線で示した極柱Pを本発明の該ブッシング1の挿通孔2に挿通したとき、該極柱Pの下部に形成したテーパー状部の傾斜周面Paと該ブッシング1の該凹面8との間に空間S、図示の例では、略三角形の空間Sが形成されるようにした。筒状壁部3aの肉厚はほぼ2.5mmである。
尚、該筒状体3の外周面に設けた該突鍔5の位置に対応する筒状壁部3bは内方に突出し、挿通される予定の極柱、Pの上部の円柱部の垂直壁面に摺接挿通するに適した内径を有する垂直壁面8cとし、その垂直壁面8cは、その下端において前記のへの字状凹面8の該傾斜面8bに連なるものとした。
図示の例では、該ブッシング1の挿通孔2に挿通される予定の極柱Pはその下部のみをテーパー状に形成したものを示したが、その全長をテーパー状としたものを挿通するようにしても良い。この場合は、図示しないが、周知のように、該ブッシングの筒状体の垂直壁面は、その高さ全長に亘り該極柱のテーパー状周面に摺接するテーパー状の傾斜周面に形成したものを使用する。
図3に示すように、本発明のブッシング1を上型10aと下型10bとから成る合わせ金型10内に挟持固定する。更に詳細には、下型10bの上面に開口する凹部の底面から突設する図2に仮想線で示した極柱Pと同じ形状の棒状の支承コア11に該ブッシング1をその挿通孔2の垂直壁面8cと筒状壁部3aの下部で嵌合した状態に設置する。この状態において、該支承コア11の下部のテーパー状の傾斜周面11aは、該ブッシング1のへの字状凹面8と対面し、これらの間に断面三角形の環状空間Sが形成され、該コア11の上部は垂直円柱でその垂直周面は該ブッシング1の筒状体3の中間筒状壁部3bの垂直壁面8cを内側から支承した状態となる。この設置状態から、上型10aを、その下面が該ブッシング1の突鍔5の上面に当接した状態に下型10bに対し閉じ、該上型10aの下面に開口した凹部内に下型10bから上方に突出するブッシング1の上端筒部と該支承コア11の上端部を夫々嵌合、圧接し、かくして、該ブッシング1を該上型10a及び下型10bにより挟持固定した状態とする。かくして、12は、閉じられた上型10aと下型10bとの間と該ブッシング1に配設された環状突起4,4,…及び該突鍔5が収容された該凹部空間に連通する溶融合成樹脂注入路を示す。
かくして得られたブッシング鋳込み蓋成形体Aは、そのブッシング1の複数の環状突起4,4,…は水平に対し斜め上向き又は斜め下向きに変形しているので、該筒状壁3と該環状突起4,4,…と固化された溶融樹脂aとの界面を、電解液が滲み上がることが防止される。これに加え、特に、中間に位置する斜め下向きの環状突起4と斜め上向きの環状突起4とで形成された成形肉部a′は、その先端から基部にかけて漸次細幅となる台形状に形成された成形肉部a′を係合挟持しているので、このブッシング鋳込み蓋成形体Aの保存中、又はこれを蓋として用いた蓄電池の保存中、又は使用中に、高温と低温の熱衝撃を受けても該ブッシング1の環状突起4,4と台形の成形肉部a′との分離が更に強固に防止される。従って、全体として、該ブッシング1と該成形蓋との界面を通しての電解液のリークは確実に防止される。そのうえ、本発明によれば、特許文献1の課題であるブッシング鋳込み蓋成形体を製造後、加圧により傾斜突鍔に加工する工程を要件とする無駄を省くことができ、従って、容易に高能率に且つ安価にブッシング鋳込み蓋成形体を製造できる。また、該ブッシング1の外周を被包する蓋の成形体部分は、成形時のままの良好な状態を保つことができる。
2 極柱挿通孔
3 ブッシングの筒状体
3a 筒状壁部
4 環状突起
8 凹面
8a 垂直壁面
8b 傾斜壁面
10 金型
10a 上型
10b 下型
11 棒状支承コア
11a テーパー状傾斜周面
S 空間部
A 本発明のブッシング鋳込み蓋成形体
Claims (1)
- 中心軸線上に極柱を挿通する挿通孔を有する筒状体の外周面から水平に且つ互いに平行に突出した複数個の環状突起を配設して成る鉛又は鉛合金で鋳造された蓄電池用ブッシングにおいて、該筒状体の内周面に、前記の配設された環状突起が存する位置と対応する部位に凹面を形成した蓄電池用ブッシングを蓋又は電槽の成形用金型の下型内に突設した棒状支承コアに嵌合し、該棒状支承コアのテーパー状の傾斜周面と該ブッシングの内周面に形成された凹面との間に空間が形成された状態に設置し、上型と下型を閉じ該ブッシングを固定した状態で該ブッシングの外周面を囲繞する成形用空間内に溶融合成樹脂を加圧注入充填し、その加圧力で該ブッシングの該凹面を形成された筒状壁部を該空間側へ弯曲させ、これに伴い斜め下向きに傾斜した環状突起と斜め上向きに傾斜した環状突起により両環状突起間に充填の成形肉を係合挟持して成ることを特徴とする蓄電池用ブッシング鋳込み成形体。
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