以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
《全体構成》
図1は、本発明が適用されたインクジェット印刷装置の全体構成を示す概略図である。
同図に示すインクジェット印刷装置10は、枚葉の用紙(メディア)Pに水性インク(水を溶媒に含むインク)を用いてインクジェット方式で印刷する印刷装置であり、用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの印刷面(表面)に所定の処理液を付与する処理液塗布部30と、用紙Pの印刷面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴をインクジェットヘッドで打滴して、カラー画像を描画する画像記録部40と、用紙Pに打滴されたインク滴を乾燥させるインク乾燥部50と、用紙Pに記録された画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70とを備えて構成される。
処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、搬送ドラム31、41、51、61が備えられている。用紙Pは、この搬送ドラム31、41、51、61によって、処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部を搬送される。
各搬送ドラム31、41、51、61は、用紙幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、反時計回りに回転する。)。各搬送ドラム31、41、51、61の周面にはグリッパGが備えられており、用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。本例では、各搬送ドラム31、41、51、61の周面2箇所(180°間隔)にグリッパGが備えられており、1回転で2枚の用紙を搬送できるように構成されている。
また、各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、多数の吸着穴が形成されており、用紙Pは、この吸着穴から裏面を真空吸着されて、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に保持される。なお、本例では、真空吸着により用紙Pを保持する構成としているが、静電吸着により用紙Pを保持する構成とすることもできる。
処理液塗布部30と画像記録部40の間、画像記録部40とインク乾燥部50の間、インク乾燥部50と定着部60の間には、それぞれ渡し胴80、90、100が配置されている。用紙Pは、この渡し胴80、90、100によって、各部の間を搬送される。
各渡し胴80、90、100は、枠体で構成された渡し胴本体81、91、101と、その渡し胴本体81、91、101に備えられたグリッパGとで構成される。渡し胴本体81、91、101は、用紙幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、時計回りに回転する。)。これにより、グリッパGが同一円周上を回転する。用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。なお、本例では、一対のグリッパGが回転軸を挟んで対称位置に配置されており、1回転で2枚の用紙を搬送できるように構成されている。
各渡し胴80、90、100の下部には、用紙Pの搬送経路に沿って円弧状のガイド板83、93、103が配設されている。渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、このガイド板83、93、103に裏面(印刷面の反対側の面)をガイドされながら搬送される。
また、各渡し胴80、90、100の内部には、渡し胴80によって搬送される用紙Pに向けて熱風を吹き出すドライヤ84、94、104が配置されている(本例では、用紙Pの搬送経路に沿って3台配置されている。)。各渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、その搬送過程でドライヤ84、94、104から吹き出された熱風が印刷面に吹き当てられる。
なお、ドライヤ84、94、104は、熱風を吹き出して加熱する構成に代えて、赤外線ヒータ等から熱を放射して加熱する構成としてもよい(いわゆる輻射による加熱でもよい)。
給紙部20から給紙された用紙Pは、搬送ドラム31→渡し胴80→搬送ドラム41→渡し胴90→搬送ドラム51→渡し胴100→搬送ドラム61の順で搬送され、最後に回収部70で回収される。この給紙部20から回収部70で回収されるまでの間に用紙Pは所要の処理が施されて、印刷面に画像が記録される。
なお、用紙Pは、搬送ドラム31、41、51、61には、印刷面が外側に向くようにして搬送され、渡し胴80、90、100には、印刷面が内側に向くようにして搬送される。
以下、本実施の形態のインクジェット印刷装置10の各部の構成について詳説する。
<給紙部>
給紙部20は、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とを備えており、枚葉の用紙Pを処理液塗布部30に1枚ずつ連続的に給紙する。
給紙装置21は、図示しないマガジンにスタックされた用紙Pを上側から順に1枚ずつ給紙トレイ22に給紙する。
給紙トレイ22は、給紙装置21から給紙された用紙Pを渡し胴23に向けて送り出す。
渡し胴23は、給紙トレイ22から送り出された用紙Pを受け取り、所定の搬送経路に沿って搬送して、処理液塗布部30の搬送ドラム31に受け渡す。
なお、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、用紙(メディア)Pには、インクジェット専用紙ではない汎用の印刷用紙が用いられる。
<処理液塗布部>
処理液塗布部30は、用紙Pの印刷面に所定の処理液を付与する。
図2は、処理液塗布部30の構成を示す概略図である。同図に示すように、処理液塗布部30は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「処理液塗布ドラム」という。)31と、その処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液を付与する処理液塗布装置300と、処理液塗布ドラム31の外周面を清掃する処理液塗布ドラム清掃装置400とを備えて構成される。
処理液塗布ドラム31は、給紙部20の渡し胴23から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを搬送する。
処理液塗布装置300は、処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を塗布する。この処理液塗布装置300、処理液をローラ塗布する塗布ユニット302と、その塗布ユニット302を処理液塗布ドラム31に対して進退移動させる塗布ユニット進退駆動アクチュエータ(図示せず)と、塗布ユニット302に処理液を供給する処理液供給ユニット304とで構成される。
塗布ユニット302は、図2に示すように、主として、塗布ローラ310と、その塗布ローラ310の外周面に所定の厚さで処理液を付与する処理液付与ローラ320と、処理液付与ローラ320に付与する処理液を貯留する処理液槽330と、処理液付与ローラ320に付与された処理液の厚さを計量する計量ブレード340とで構成される。
塗布ローラ310は、用紙幅に対応して形成される。この塗布ローラ310は、塗布装置本体フレーム306に取り付けられる。塗布装置本体フレーム306は、図示しない軸受を介して塗布ローラ310を回動自在に支持する。塗布装置本体フレーム306には、この塗布ローラ310を回転駆動する塗布ローラ回転駆動モータ312が設けられる。
処理液付与ローラ320は、アニロックスローラで構成され、塗布ローラ310と同じ長さで形成される。この処理液付与ローラ320は、塗布装置本体フレーム306に設けられた図示しない可動支持部に取り付けられて、処理液付与ローラ320と平行に配置される。
塗布装置本体フレーム306に設けられる可動支持部(図示せず)は、塗布ローラ310に対して進退移動自在に設けられており、処理液付与ローラ320を回動自在に支持するとともに、塗布ローラ310に対して進退移動自在に支持する。この可動支持部には、処理液付与ローラ320を回転駆動する処理液付与ローラ回転駆動モータ(図示せず)が設けられる。また、塗布装置本体フレーム306には、この可動支持部を塗布ローラ310に向けて進退移動させることにより、処理液付与ローラ320を塗布ローラ310に対して進退移動させる処理液付与ローラ進退駆動アクチュエータ(図示せず)が設けられる。
このように塗布ローラ310に対して進退移動自在に設けられた処理液付与ローラ320は、図4(a)に示すように、所定の当接位置に移動することにより、その外周面が塗布ローラ310の外周面に当接する。また、図4(b)に示すように、所定の退避位置に移動することにより、塗布ローラ310から離間する。
なお、本例では、処理液付与ローラ320を塗布ローラ310に対して進退移動自在に設けることにより、処理液付与ローラ320と塗布ローラ310とを当接/離間させることができるようにしているが、塗布ローラ310を処理液付与ローラ320に対して進退移動自在に設けることにより、処理液付与ローラ320と塗布ローラ310とを当接/離間させることができるように構成することもできる。また、その双方を移動させることにより、当接/離間させることができるように構成することもできる。
処理液槽330は、上部が開口した皿状に形成される。この処理液槽330は、塗布装置本体フレーム306に取り付けられて、処理液付与ローラ320の下部に水平に配置される。処理液付与ローラ320は、この処理液槽330に処理液が貯留されると、その下面部分が処理液の中に浸漬される。これにより、処理液付与ローラ320が回転すると、その外周面に処理液が付与される。
計量ブレード340は、処理液付与ローラ320と同じ長さのブレードで形成される。この計量ブレード340は、塗布装置本体フレーム306に取り付けられて、処理液付与ローラ320の外周に当接される。塗布装置本体フレーム306は、処理液付与ローラ320に対する当接量を調整可能に計量ブレード340を支持する。処理液槽330に貯留された処理液の中を通過することによって処理液が付与された処理液付与ローラ320の外周面は、塗布ローラ310に当接する前にこの計量ブレード340によって不要な処理液が取り除かれ、所定の厚さに計量される。
塗布ユニット302は、以上のように構成される。この塗布ユニット302は、塗布ローラ310と処理液塗布ドラム31とが平行になるようにして、処理液塗布ドラム31の搬送経路上に配置される(本例では右斜め上方位置に配置される。)。
塗布ユニット進退駆動アクチュエータ(図示せず)は、塗布ユニット302を処理液塗布ドラム31に対して進退移動させる。図3に示すように、塗布ユニット302は、この塗布ユニット進退駆動アクチュエータに駆動されて、塗布位置と待機位置との間を移動する。そして、同図(a)に示すように、塗布位置に移動することにより、塗布ローラ310が処理液塗布ドラム31の外周面に当接される。また、同図(b)に示すように、待機位置に移動することにより、塗布ローラ310が処理液塗布ドラム31の外周面から離間する。
処理液供給ユニット304は、処理液槽330に処理液を供給排出する。この処理液供給ユニット304は、処理液が貯留された処理液タンク350と、その処理液タンク350と処理液槽330とを繋ぐ処理液供給配管352と、処理液供給配管352を介して処理液タンク350に貯留された処理液を処理液槽330に送液する処理液供給ポンプ354と、処理液供給配管352を開閉する処理液供給バルブ356と、廃液を回収する廃液タンク360と、その廃液タンク360と処理液槽330とを繋ぐ処理液回収配管362と、処理液回収配管362を介して処理液槽330に貯留された処理液を廃液タンク360に送液する処理液回収ポンプ364と、処理液回収配管362を開閉する処理液回収バルブ366とを備えて構成される。
処理液槽330は、処理液供給口(図示せず)を介して処理液供給配管352と接続される。処理液供給ポンプ354と処理液供給バルブ356は、この処理液供給配管352の途中に設置される。処理液供給バルブ356を開け、処理液供給ポンプ354を駆動することにより、処理液タンク350に貯留された処理液が、処理液供給配管352を介して処理液槽330に送液され、処理液槽330に処理液が貯留される。処理液槽330には、液量センサ(図示せず)が設けられており、液量が不足すると、補充される。
また、処理液槽330は、処理液回収口(図示せず)を介して処理液回収配管362と接続される。処理液回収ポンプ364と処理液回収バルブ366は、この処理液回収配管362の途中に設置される。処理液回収バルブ366を開け、処理液回収ポンプ364を駆動することにより、処理液槽330に貯留された処理液が、処理液回収配管362を介して廃液タンク360に回収される。
処理液塗布装置300は、以上のように構成される。塗布ローラ310は、塗布ローラ回転駆動モータ312を駆動することにより回転し、この回転する塗布ローラ310を処理液付与ローラ320に当接させることにより、処理液付与ローラ320が回転する。そして、処理液付与ローラ320が回転することにより、処理液付与ローラ320の外周面に処理液が付与され、計量ブレード340で計量された後、塗布ローラ310の外周面に転写される。これにより、塗布ローラ310の外周面に一定の厚さで処理液が付与される。
また、このように処理液が付与された塗布ローラ310は、塗布ユニット302を塗布位置に移動させることにより、処理液塗布ドラム31の外周面に押圧当接される。これにより、処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面(表面)に処理液が塗布される。
なお、この塗布ユニット302の進退移動は、用紙Pの搬送に同期して行われる。すなわち、用紙Pが通過するタイミングに合わせて、塗布位置に移動される。これにより、用紙Pに適切に処理液を塗布することができる。
そして、このような処理液を事前に付与してインクを打滴することにより、フェザリングやブリーディング等を抑止でき、高品位な印刷を行うことができる。
処理液塗布ドラム清掃装置400は、処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pが通過しない領域に設置され(本例では処理液塗布ドラム31の下部に設置)、処理液塗布ドラム31の外周面を清掃する。この処理液塗布ドラム清掃装置400は、図2に示すように、主として、ワイパーブレード410と、そのワイパーブレード410を処理液塗布ドラム31に対して進退移動させて、処理液塗布ドラム31の外周面に当接/離間させるワイパーブレード進退駆動アクチュエータ(図示せず)と、ワイパーブレード410で除去した余剰処理液などの廃液を回収する回収皿420とで構成される。
ワイパーブレード410は、柔軟性のある材質で構成され、処理液塗布ドラム31の幅に対応して形成される。柔軟な材質で構成することにより、処理液塗布ドラム31の表面に付着した処理液が、低粘度かつ微量(〜数10μm程度の厚さ)であっても確実に除去することができる。ワイパーブレード410は、清掃装置本体フレーム402に揺動自在に支持された揺動フレーム412の先端に取り付けられる。揺動フレーム412は、その基端部に揺動軸を有しており、この揺動軸が図示しない軸受を介して清掃装置本体フレーム402に揺動自在に支持される。ワイパーブレード410は、この揺動フレーム412を揺動させることにより、処理液塗布ドラム31の外周面に対して進退移動する(図3参照)。
ワイパーブレード進退駆動アクチュエータ(図示せず)は、清掃装置本体フレーム402に設けられており、揺動フレーム412を揺動させて、ワイパーブレード410を処理液塗布ドラム31に対して進退移動させる。これにより、ワイパーブレード410が、処理液塗布ドラム31の外周面に当接/離間する。
回収皿420は、上部が開口した皿状に形成される。この回収皿420は、清掃装置本体フレーム402に取り付けられて、ワイパーブレード410の下部に水平に配置される。ワイパーブレード410によって処理液塗布ドラム31から除去された余剰処理液などの廃液は、この回収皿420に自重で落下して回収される。
回収皿420には、図示しない廃液配管を介して、廃液槽(図示せず)が接続される。回収皿420で回収された廃液は、廃液配管を介して廃液槽に回収される。
処理液塗布ドラム清掃装置400は、以上のように構成される。処理液塗布ドラム31を清掃する場合は、処理液塗布ドラム31を回転させて、ワイパーブレード410を処理液塗布ドラム31の外周面に押圧当接させる。これにより、処理液塗布ドラム31の外周面上に付着した余剰処理液などの廃液がワイパーブレード410で掻き取られ、処理液塗布ドラム31の外周面が清掃される。ワイパーブレード410で掻き取られた廃液は、自重で落下して回収皿420で回収される。
なお、この処理液塗布ドラム清掃装置400による処理液塗布ドラム31の清掃は、印刷中に常時行われるものではなく、必要に応じて適時行われる。
また、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、この処理液塗布ドラム清掃装置400を利用して、処理液塗布装置300のリセット動作が行われる。この点については、後に詳述する。
処理液塗布部30は、以上のように構成される。この処理液塗布部30において、用紙Pは処理液塗布ドラム31に保持されて所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で処理液塗布装置300から印刷面に処理液が付与される。印刷面に処理液が付与された用紙Pは、その後、所定位置で処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の搬送ドラム41に受け渡される。
ここで、上記のように、渡し胴80には、その内部にドライヤ84が設置されており、ガイド板83に向けて熱風が吹き出されている。用紙Pは、この渡し胴80によって処理液塗布部30から画像記録部40に搬送される過程で印刷面に熱風が吹き当てられて、印刷面に付与された処理液が乾燥される(処理液中の溶媒成分が蒸発除去される。)。
<画像記録部>
画像記録部40は、用紙Pの印刷面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この画像記録部40は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「画像記録ドラム」という。)41と、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの印刷面を押圧して、用紙Pの裏面を画像記録ドラム41の周面に密着させる用紙押さえローラ42と、用紙押さえローラ42を通過した用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出センサ43と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kとを備えて構成されている。
画像記録ドラム41は、渡し胴80から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。
用紙押さえローラ42は、画像記録ドラム41の用紙受取位置(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)の近傍に設置されており、図示しない押圧機構によって押圧力が付与されて、画像記録ドラム41の周面に押圧当接されている。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、この用紙押さえローラ42を通過することによりニップされ、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
用紙浮き検出センサ43は、用紙押さえローラ42を通過した用紙Pの浮き(画像記録ドラム41の外周面からの一定以上の浮き)を検出する。この用紙浮き検出センサ43は、たとえば、レーザ投光器とレーザ受光器とで構成される。レーザ投光器は、画像記録ドラム41の一端から他端に向けて画像記録ドラム41の軸と平行なレーザ光を画像記録ドラム41の外周面から所定高さの位置に投光する。レーザ受光器は、画像記録ドラム41を挟んでレーザ投光器と対向して配置され、レーザ投光器から投光されたレーザ光を受光する。用紙押さえローラ42を通過した用紙Pに一定以上の浮きが生じていると、レーザ投光器から投光されたレーザ光が用紙Pに遮られ、レーザ受光器で受光されなくなる。用紙浮き検出センサ43は、このレーザ受光器でのレーザ光の受光の有無を検出して、用紙Pの浮きを検出する。
4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙浮き検出センサ43の後段に配されており、用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔で配置されている。このインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成されており、そのノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出する。
画像記録部40は、以上のように構成される。この画像記録部40において、用紙Pは画像記録ドラム41によって所定の搬送経路を搬送される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押さえローラ42でニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。次いで、用紙浮き検出センサ43によって、浮きの有無が検出され、その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が印刷面に打滴されて、印刷面にカラー画像が描画される。
ここで、本例のインクジェット印刷装置10では、各色ともにインク中に熱可塑性樹脂が分散された水性インクが使用される。このような水性インクを用いた場合であっても、上記のように、用紙Pには所定の処理液が付与されているので、フェザリングやブリーディング等を起こすことなく、高品位な印刷を行うことができる。
画像が描画された用紙Pは、渡し胴90に受け渡され、渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡される。なお、上記のように、渡し胴90には、その内部にドライヤ94が設置されており、ガイド板93に向けて熱風が吹き出されている。インクの乾燥処理は、後段のインク乾燥部50で行われるが、用紙Pは、この渡し胴90による搬送時にも乾燥処理が施される。
なお、図示されていないが、この画像記録部40には、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのメンテナンスを行うメンテナンス部が備えられており、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、必要に応じてメンテナンス部に移動して、所要のメンテナンスを受けることができるように構成されている。
<インク乾燥部>
インク乾燥部50は、画像記録後の用紙Pに残存する液体成分を乾燥させる。このインク乾燥部50は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「インク乾燥ドラム」という。)51と、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに対して乾燥処理を施すインク乾燥装置52とを備えて構成されている。
インク乾燥ドラム51は、渡し胴90から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。
インク乾燥装置52は、たとえば、ドライヤで構成され(本例では用紙Pの搬送経路に沿って配設された3台のドライヤで構成)、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに向けて熱風(たとえば、80℃)を吹き付けることにより、インクを乾燥させる(用紙上に存在する液体成分を蒸発させる。)。
インク乾燥部50は、以上のように構成される。このインク乾燥部50において、用紙Pはインク乾燥ドラム51によって搬送される。そして、その搬送過程で印刷面にインク乾燥装置52から熱風が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される。
インク乾燥装置52を通過した用紙Pは、その後、所定位置でインク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。
なお、上記のように、渡し胴100には、その内部にドライヤ104が設置されており、ガイド板103に向けて熱風が吹き出されている。したがって、用紙Pは、この渡し胴100での搬送時にも乾燥処理が施される。
<定着部>
定着部60は、用紙Pを加熱加圧して、印刷面に画像記録された画像を定着させる。この定着部60は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「定着ドラム」という。)61と、定着ドラム61によって搬送される用紙Pに加熱加圧処理を施すヒートローラ62、63と、印刷後の用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、印刷された画像を撮像するインラインセンサ64とを備えて構成されている。
定着ドラム61は、渡し胴100から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。
ヒートローラ62、63は、用紙Pの印刷面に付与されたインクを加熱加圧することにより、インク中に分散された熱可塑性樹脂を溶着して、インクを皮膜化させる。また、これと同時に用紙Pに生じたコックリング、カール等の変形を矯正する。各ヒートローラ62、63は、定着ドラム61とほぼ同じ幅で形成されており、内蔵するヒータによって所定温度に加熱される。また、各ヒートローラ62、63は、図示しない加圧手段によって、定着ドラム61の周面に所定の押圧力で押圧当接される。用紙Pは、このヒートローラ62、63を通過することにより、ヒートローラ62、63によって加熱加圧される。
インラインセンサ64は、温度計、湿度計、CCDラインセンサ等を備え、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、用紙Pに印刷された画像を撮像する。このインラインセンサ64の検出結果に基づいて、装置の異常やヘッドの吐出不良等がチェックされる。
定着部60は、以上のように構成される。この定着部60において、用紙Pは定着ドラム61によって搬送され、その搬送過程で印刷面にヒートローラ62、63が押圧当接されて、加熱加圧される。これにより、インク中に分散された熱可塑性樹脂が溶着されて、インクが皮膜化される。また、これと同時に用紙Pに生じた変形が矯正される。
定着処理が施された用紙Pは、この後、所定位置で定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。
<回収部>
回収部70は、一連の印刷処理が行われた用紙Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、用紙Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された用紙Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とを備えて構成されている。
定着部60で定着処理された用紙Pは、定着ドラム61から排紙コンベア72に受け渡され、その排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に回収される。
《制御系》
図5は、本実施の形態のインクジェット印刷装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、インクジェット印刷装置10は、システムコントローラ200、通信部201、画像メモリ202、搬送制御部203、給紙制御部204、処理液付与制御部205、画像記録制御部206、インク乾燥制御部207、定着制御部208、回収制御部209、操作部210、表示部211等を備えている。
システムコントローラ200は、インクジェット印刷装置10の各部を統括制御する制御手段として機能するとともに、各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ200は、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ200が、実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
通信部201は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
画像メモリ202は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ200を通じてデータの読み書きが行われる。通信部201を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、この画像メモリ202に格納される。
搬送制御部203は、処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部における用紙Pの搬送手段である搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動を制御する。
すなわち、各搬送ドラム31、41、51、61を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各搬送ドラム31、41、51、61に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
同様に各渡し胴80、90、100を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各渡し胴80、90、100に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
また、各搬送ドラム31、41、51、61には、用紙Pを周面に吸着保持する機構が備えられているので、その吸着保持機構の駆動を制御する(本実施の形態では、用紙Pを真空吸着するので、負圧発生手段としての真空ポンプの駆動を制御する。)。
また、各渡し胴80、90、100には、ドライヤ84、94、104が備えられているので、その駆動(加熱量と送風量)を制御する。
この搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動は、システムコントローラ200からの指令に応じて制御される。
給紙制御部204は、システムコントローラ200からの指令に応じて給紙部20を構成する各部(給紙装置21、渡し胴23等)の駆動を制御する。
処理液付与制御部205は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液塗布部30を構成する各部(処理液塗布装置300、処理液塗布ドラム清掃装置400等)の駆動を制御する。
画像記録制御部206は、システムコントローラ200からの指令に応じて画像記録部40を構成する各部(用紙押さえローラ42、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K等)の駆動を制御する。
インク乾燥制御部207は、システムコントローラ200からの指令に応じてインク乾燥部50を構成する各部(インク乾燥装置52等)の駆動を制御する。
定着制御部208は、システムコントローラ200からの指令に応じて定着部60を構成する各部(ヒートローラ62、63、インラインセンサ64等)の駆動を制御する。
回収制御部209は、システムコントローラ200からの指令に応じて回収部70を構成する各部(排紙コンベア72等)の駆動を制御する。
操作部210は、所要の操作手段(たとえば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備えており、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ200に出力する。システムコントローラ200は、この操作部210から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
表示部211は、所要の表示装置(たとえば、LCDパネル等)を備えており、システムコントローラ200からの指令に応じて所要の情報を表示装置に表示させる。
上記のように、用紙に記録する画像データは、ホストコンピュータから通信部201を介してインクジェット印刷装置10に取り込まれ、画像メモリ202に格納される。システムコントローラ200は、この画像メモリ202に格納された画像データに所要の信号処理を施してドットデータを生成し、生成したドットデータに従って画像記録部40の各インクジェットヘッドの駆動を制御することにより、その画像データが表す画像を用紙に記録する。
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット印刷装置10で使用するインクの各色のインク量データに変換する処理である(本例では、C、M、Y、Kの各色のインク量データに変換する。)。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。
システムコントローラ200は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を用紙に記録する。
《印刷動作》
次に、上記のインクジェット印刷装置10による印刷動作について概説する。
システムコントローラ200から給紙装置21に給紙指令が出力されると、給紙装置21から給紙トレイ22に用紙Pが給紙される。給紙トレイ22に給紙された用紙Pは、渡し胴23を介して処理液塗布部30の処理液塗布ドラム31に受け渡される。
処理液塗布ドラム31に受け渡された用紙Pは、処理液塗布ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で処理液塗布装置300を通過して、印刷面に処理液が付与される。
処理液が付与された用紙Pは、処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡され、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の画像記録ドラム41に受け渡される。そして、その渡し胴80による搬送過程で渡し胴80の内部に設置されたドライヤ84から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に付与された処理液が乾燥される。
渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押さえローラ42を通過することにより、用紙押さえローラ42にニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kを通過して、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからCMYKの各色のインク滴が打滴され、印刷面にカラー画像が描画される。画像が描画された用紙Pは、その後、画像記録ドラム41から渡し胴90に受け渡される。
渡し胴90に受け渡された用紙Pは、その渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50のインク乾燥ドラム51に受け渡される。そして、その搬送過程で渡し胴90の内部に設置されたドライヤ94から印刷面に熱気が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される。
インク乾燥ドラム51に受け渡された用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程でインク乾燥装置52から熱風が印刷面に吹き付けられて、印刷面に残存する液体成分が乾燥される。
乾燥処理された用紙Pは、インク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡され、所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の定着ドラム61に受け渡される。そして、その渡し胴100による搬送過程で渡し胴100の内部に設置されたドライヤ104から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に付与されたインクが、さらに乾燥される。
定着ドラム61に受け渡された用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程でヒートローラ62、63に加熱加圧されて、印刷面に画像記録された画像が定着される。その後、用紙Pは、定着ドラム61から回収部70の排紙コンベア72に受け渡され、排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に排紙される。
以上のように、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、用紙Pをドラム搬送し、その搬送過程で用紙Pに対し、処理液の付与、処理液の乾燥、インク滴の打滴、乾燥、定着の各処理を施して、用紙Pに所定の画像を記録する。
《塗布ローラのリセット動作》
<第1の実施の形態>
上記のように、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、処理液を塗布ローラ310でローラ塗布する。
ローラ塗布方式では、印刷動作間の待機時間が長いと、処理液槽330に貯留された処理液から水分が蒸発し、塗布ローラ310の外周面に結露が発生するという問題がある。また、何らかの要因で印刷動作が強制停止すると、用紙Pに塗布されなかった処理液が、塗布ローラ310の外周面上に残留するという問題がある。そして、このような結露や処理液の残留が生じた塗布ローラ310で処理液の塗布を行うと、塗布ムラが発生し、高品位な印刷を安定して行うことができないという問題がある。
そこで、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、印刷動作を開始する際、処理液塗布部30において、所定のリセット動作を行い、塗布ローラ310の表面状態をリセットする。
以下、この塗布ローラ310のリセット動作について説明する。
まず、一連の印刷動作の流れについて説明する。
図6は、印刷ジョブの処理の手順を示すフローチャートである。
印刷ジョブが入力されると(ステップS10)、まず、印刷準備動作(サイクルアップ)が行われる(ステップS11)。すなわち、各部において、可動部の正規位置への移動や温調などの所要の準備動作が行われる(たとえば、インクジェットヘッドの移動やヒータの加熱など)。この印刷準備動作の完了後、給紙動作が開始され(ステップS12)、印刷動作が開始される(ステップS13)。すなわち、給紙部20から用紙Pが順次給紙され、その給紙される用紙Pに対して順次印刷処理が行われる。そして、入力された印刷ジョブに対する予定数量の印刷が完了すると、印刷ジョブが完了する(ステップS14)。
塗布ローラ310のリセット動作は、印刷を開始する前の印刷準備動作中に行われる。
図7は、塗布ローラのリセット動作の手順を示すフローチャートである。また、図8は、リセット動作時における塗布ユニット302と処理液塗布ドラム清掃装置400の状態を示す図である。
図8(a)に示すように、初期状態において、塗布ユニット302は、処理液塗布ドラム31から離間しており、かつ、処理液付与ローラ320が塗布ローラ310から離間している。また、ワイパーブレード410も処理液塗布ドラム31から離間している。
塗布ローラ310のリセット動作は、印刷準備動作の開始指令と同時に実行される。すなわち、印刷準備動作の開始指令と同時にリセット動作の指示が与えられる。システムコントローラ200は、所定の制御プログラムに従って、このリセット動作を実行する。
印刷準備動作の開始指令が出力されると、まず、処理液塗布ドラム31が回転駆動される(ステップS20)。ここでの処理液塗布ドラム31の回転速度は、たとえば、実際の印刷時の回転速度と同じである。
次に、空塗り動作とドラム清掃動作が開始される(ステップS21)。すなわち、図8(b)に示すように、処理液が付与された塗布ローラ310が、処理液塗布ドラム31の外周面に押圧当接されて、処理液を処理液塗布ドラム31の外周面に空塗りする動作が開始される。また、これとほぼ同時にワイパーブレード410が処理液塗布ドラム31の外周面に押圧当接されて、処理液塗布ドラム31の外周面を清掃する動作が開始される。
なお、空塗り動作は、まず、塗布ローラ310に処理液を付与する動作から行われる。この動作は、塗布ローラ310及び処理液付与ローラ320を回転させ、その回転する処理液付与ローラ320を塗布ローラ310の外周面に当接させることにより行われる。すなわち、処理液付与ローラ320を回転させることにより、その処理液付与ローラ320の外周面に処理液が連続的に付与されるので、この処理液が付与された処理液付与ローラ320の外周面を塗布ローラ310の外周面に当接させることにより、処理液付与ローラ320の外周面に付与された処理液が、塗布ローラ310の外周面に連続的に転写されて、塗布ローラ310の外周面に連続的に処理液が付与される。
このようにして外周面に処理液が付与された塗布ローラ310を用紙Pがない状態で回転する処理液塗布ドラム31の外周面に押圧当接させる。これにより、処理液塗布ドラム31の外周面に処理液が空塗りされる。
ワイパーブレード410の当接は、塗布ローラ310の当接とほぼ同時に行われる。これにより、塗布ローラ310で処理液塗布ドラム31の外周面に処理液が空塗りされる一方、その空塗りされた処理液が、ワイパーブレード410の設置部で処理液塗布ドラム31の外周面から掻き落とされる。
このように、空塗りと同時に処理液塗布ドラム31の清掃を行うことにより、常にクリーンな面に処理液を空塗りすることができ、塗布ローラ310に処理液が再付着するのを防止することができる。
空塗り動作とドラム清掃動作は連続して行われる。そして、この空塗り動作が継続して行われることにより、次第に塗布ローラ310上の処理液の濃度が規定の濃度に整えられるとともに、塗布ローラ310上の処理液の厚さが規定の厚さに整えられる。すなわち、塗布ローラ310がリセットされる。
空塗りを開始してから処理液塗布ドラム31が所定回数回転すると、空塗り動作が終了される(ステップS22)。すなわち、図8(c)に示すように、処理液塗布ドラム31の外周面から塗布ローラ310が離間される。これにより、処理液塗布ドラム31の外周面への処理液の空塗りが停止される。
なお、塗布ローラ310は、処理液塗布ドラム31から離間させた後、処理液付与ローラ320から離間させた状態で待機する。これにより、塗布ローラ310に余剰処理液が付着するのを防止することができる。
空塗りを終了してから更に処理液塗布ドラム31が所定回数(少なくとも1回以上)回転すると、ドラム清掃動作が終了される(ステップS23)。すなわち、処理液塗布ドラム31の外周面からワイパーブレード410が離間される。これにより、処理液塗布ドラム31の状態もリセットされる。
以上一連の動作によって、塗布ローラ310のリセット動作が完了する。そして、このリセット動作により、塗布ローラ310は、表面の状態が確実にリセットされ、塗布の開始当初から規定の塗布条件(濃度、厚さ)で用紙Pに処理液を塗布することができるようになる。また、処理液塗布ドラム31についても、表面の状態が確実にリセットされるので、処理液の裏写りなどを起こすことなく、用紙Pの搬送を行うことができる。
なお、上記のように、リセット動作は印刷準備動作中に実行される。したがって、空塗りを行う回数(処理液塗布ドラム31の回転数)、及び、空塗り終了後に行うドラム清掃の回数は、印刷準備動作中に実行可能な回数に設定される。たとえば、印刷準備動作に要する時間を60秒前後と設定すると、この印刷準備動作中にリセット動作が完了するように、空塗りの回転数、ドラム清掃の回転数が設定される。一例として、空塗りの回数は10回程度、ドラム清掃の回数は20回程度(空塗り終了後、更に10回程度)に設定することが好ましい。これにより、塗布ローラ310の状態を十分にリセットすることができるとともに、空塗りした処理液を十分に除去することができる。
以上説明したように、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、印刷直前に処理液を処理液塗布ドラム31に空塗りして、塗布ローラ310の状態をリセットする。この際、処理液塗布ドラム31を清掃しながら空塗りするので、塗布ローラ310に処理液が再付着することがなく、確実に塗布ローラ310の状態をリセットすることができる。また、処理液塗布ドラム31の状態もリセットすることができるので、印刷開始当初から用紙Pに処理液の付着などを生じさせることなく、用紙Pの搬送を行うことができる。
また、装置の印刷準備動作中にリセット動作を行うので、装置を効率よく稼動させることができる。
なお、本実施の形態では、印刷準備動作中にリセット動作を自動的に実行するようにしているが、オペレータからの指示に応じて適時実行できるようにしてもよい。
また、リセット動作時に行う空塗りの回数、及び、空塗り後に継続して行うドラム清掃の回数についても、オペレータが任意に設定できるようにしてもよい。この場合、空塗りの回数は、確実に塗布ローラ310の表面状態をリセットできる回数に設定され、また、ドラム清掃の回数は、空塗りされた処理液を確実に除去できる回数に設定される。
また、リセット動作時における処理液塗布ドラム31の回転速度は、印刷時よりも速い速度又は遅い速度に設定してもよく、また、オペレータが任意に設定できるようにしてもよい。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、リセット動作時に最初にドラム清掃を開始し、ドラム清掃を一定回数実施した後、空塗りを開始する。
なお、リセット動作が印刷準備動作中に行われる点は上述した第1の実施の形態と同じである。したがって、ここではリセット動作の手順についてのみ説明する。
図9は、塗布ローラのリセット動作の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。また、図10は、そのリセット動作時における塗布ユニット302と処理液塗布ドラム清掃装置400の状態を示す図である。
初期状態において、塗布ユニット302は、処理液塗布ドラム31から離間しており、かつ、処理液付与ローラ320が塗布ローラ310から離間している。また、ワイパーブレード410も処理液塗布ドラム31から離間している(図8(a)参照)。
印刷準備動作の開始指令が出力されると、まず、処理液塗布ドラム31が回転駆動される(ステップS30)。ここでの処理液塗布ドラム31の回転速度は、たとえば、実際の印刷時の回転速度と同じである。
次に、ドラム清掃動作が開始される(ステップS31)。すなわち、図10(a)に示すように、ワイパーブレード410が処理液塗布ドラム31の外周面に押圧当接されて、処理液塗布ドラム31の外周面を清掃する動作が開始される。これにより、処理液塗布ドラム31の外周面が清掃される。
ドラム清掃動作を開始してから処理液塗布ドラム31が所定回数(少なくとも1回以上)回転すると、次に空塗り動作が開始される(ステップS32)。すなわち、図10(b)に示すように、処理液が付与された塗布ローラ310が、処理液塗布ドラム31の外周面に押圧当接されて、処理液を処理液塗布ドラム31の外周面に空塗りする動作が開始される。
ここで、上記のように、ドラム清掃動作が先行して実施されているため、処理液塗布ドラム31の表面は全面がクリーンな状態になっている。したがって、空塗りは、全面がクリーンな状態の処理液塗布ドラム31に行うことができる。これにより、効率よく表面の状態を整えることができる。
空塗りを開始してから処理液塗布ドラム31が所定回数回転すると、空塗り動作が終了される(ステップS33)。すなわち、図10(c)に示すように、処理液塗布ドラム31の外周面から塗布ローラ310が離間される。これにより、処理液塗布ドラム31の外周面への処理液の空塗りが停止される。
空塗りを終了してから更に処理液塗布ドラム31が所定回数回転すると、ドラム清掃動作が終了される(ステップS34)。すなわち、処理液塗布ドラム31の外周面からワイパーブレード410が離間される。これにより、処理液塗布ドラム31の状態もリセットされる。
以上一連の動作によって、塗布ローラ310のリセット動作が完了する。
このように、本実施の形態では、最初にドラム清掃を開始し、ドラム清掃を一定回数実施した後、空塗りを開始する。これにより、当初からクリーンな状態の処理液塗布ドラム31に空塗りすることができ、塗布ローラ310の表面の状態を効率よく整えることができる。すなわち、何らかの原因によって印刷動作が緊急停止したような場合(たとえば、用紙詰まり、緊急停止指令(緊急停止ボタンの押下)など)、処理液が処理液塗布ドラム31に付着することがあり、このままリセット動作を開始すると、処理液塗布ドラム31に付着した処理液が、塗布ローラ310に再付着し、塗布ローラ310の表面をリセットするのに時間がかかることがあるが、先行してドラム清掃を実施し、処理液塗布ドラム31の表面をクリーンにしてから空塗りを行うことにより、処理液の再付着を確実に防止でき、効率よく塗布ローラ310の表面をリセットすることができる。
なお、本実施の形態のリセット動作も印刷準備動作中に実施されるので、空塗り前に実施するドラム清掃動作の回数、空塗りの回数、空塗り終了後のドラム清掃の回数は、印刷準備動作中に実行可能な回数に設定される。
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、印刷動作が異常停止(緊急停止を含む)した場合にのみ所定のリセット動作を行う。
図11は、インクジェット印刷装置の動作を示すフローチャートであり、同図(a)は、正常に印刷が完了したときの動作、同図(b)は、異常停止したときの動作を示している。
同図(a)に示すように、印刷動作を開始し、その印刷動作が正常に終了すると、次の印刷動作を開始するまで、塗布ローラ310は所定の待機運転を実施する(ステップS40〜S43)。
この塗布ローラ310の待機運転(ステップS42)は、図12に示すように、塗布ローラ310を処理液塗布ドラム31から離間させるとともに、処理液付与ローラ320を塗布ローラ310から離間させ、一定速度で回転させることにより行われる。これにより、処理液槽330から蒸発する水分によって、塗布ローラ310に結露が生じるのを防止することができる。
このように、正常に印刷動作が終了した場合は、次の印刷動作が開始するまで、塗布ローラ310は所定の待機運転を実施する。
一方、同図(b)に示すように、印刷動作を開始後(ステップS50)、何らかの原因で印刷が緊急停止すると(ステップS51)、その印刷再開時にリセット動作が実施される(ステップS52〜S53)。
すなわち、何らかの原因で印刷が異常停止すると、これを検知し(たとえば、ソフト上で検知する。)、印刷動作を停止する(ステップS51)。そして、その停止原因を修復し、再び印刷指令が出されると(ステップS52)、リセット指令が与えられ、その印刷再開時にリセット動作が実施される(ステップS53)。
ここでのリセット動作は、上記第2の実施の形態で説明したリセット動作が実行される。すなわち、まず、ドラム清掃動作を開始し、処理液塗布ドラム31の外周面を清掃した後、空塗り動作を開始する。そして、所定回数空塗りを行った後、所定回数ドラム清掃動作を行って、リセット動作を完了する。
この後、給紙動作を再開し、印刷動作を再開する。そして、印刷が終了した後は、次の印刷の開始まで、塗布ローラ310は所定の待機運転を実施する(ステップS54〜S56)。
このように印刷動作が異常停止した場合にのみ所定のリセット動作を行うことにより、空塗り動作の実行回数を減らすことができ、処理液の消費を抑えることができる。
なお、上記の例では、第2の実施の形態で説明した方法でリセット動作を行っているが、第1の実施の形態で説明した方法でリセット動作を行うようにしてもよい。ただし、緊急停止した場合は、処理液塗布ドラム31に処理液が付着している可能性が高いので、第2の実施の形態で説明した方法でリセット動作を行うことが好ましい。
また、緊急停止した場合において、印刷再開時に印刷準備動作が実行される場合には、この印刷準備動作中にリセット動作を行うようにすることが好ましい。これにより、効率よく装置を稼動させることができる。
《処理液塗布部の他の実施の形態》
〈処理液塗布部の他の実施の形態(1)〉
図13は、処理液塗布部の他の実施の形態(1)の構成を示す概略図である。
同図に示すように、本実施の形態の処理液塗布部30Aは、処理液塗布ドラム清掃装置400にドラム洗浄液供給装置430が備えられている。
なお、このドラム洗浄液供給装置430が備えられている点以外は、上述した実施の形態の処理液塗布部30の構成と同じなので、ここでは、このドラム洗浄液供給装置430の構成及び作用についてのみ説明する。
〈構成〉
ドラム洗浄液供給装置430は、スプレーノズル432と、そのスプレーノズル432に洗浄液を供給して、洗浄液を噴射させるドラム洗浄用洗浄液供給ユニット434とで構成される。
スプレーノズル432は、処理液塗布ドラム31の幅に対応して形成される。このスプレーノズル432は、清掃装置本体フレーム402に取り付けられ、ワイパーブレード410の前段(処理液塗布ドラム31の回転方向に対して上流側)に設置される。また、その吹出口が処理液塗布ドラム31の外周面に対向するようにして、処理液塗布ドラム31と平行に設置される。
ドラム洗浄用洗浄液供給ユニット434は、スプレーノズル432にドラム洗浄用の洗浄液を供給する。このドラム洗浄用洗浄液供給ユニット434は、洗浄液が貯留されたドラム洗浄液タンク434Aと、そのドラム洗浄液タンク434Aとスプレーノズル432とを繋ぐドラム洗浄液供給配管434Bと、ドラム洗浄液供給配管434Bを介してドラム洗浄液タンク434Aに貯留された洗浄液をスプレーノズル432に送液するドラム洗浄液供給ポンプ434Cと、ドラム洗浄液供給配管434Bを開閉するドラム洗浄液供給バルブ434Dを備えて構成される。
スプレーノズル432から洗浄液を噴射する場合は、ドラム洗浄液供給バルブ434Dを開け、ドラム洗浄液供給ポンプ434Cを駆動する。これにより、ドラム洗浄液タンク434Aに貯留された洗浄液が、スプレーノズル432に送液され、スプレーノズル432の吹出口から洗浄液が噴き出される。これにより、処理液塗布ドラム31の外周面に洗浄液が供給される。
ドラム洗浄液供給装置430は、以上のように構成される。なお、スプレーノズル432から洗浄液を供給すると、スプレーノズル432等から洗浄液が滴下する場合があるので、回収皿420は、このスプレーノズル432等から滴下する洗浄液を回収できるように設置される。
〈動作〉
以上のように構成されるドラム洗浄液供給装置430は、ワイパーブレード410によるドラム清掃動作に連動して作動する。
すなわち、ドラム清掃動作の開始指令が与えられると、ドラム洗浄用洗浄液供給ユニット434が稼動され、スプレーノズル432から処理液塗布ドラム31に向けて洗浄液が噴射される。これにより、処理液塗布ドラム31の外周面に洗浄液が供給される。
この洗浄液は、ワイパーブレード410の前段位置で処理液塗布ドラム31に付与されるため、ワイパーブレード410をウェット化でき、効率よく処理液塗布ドラム31を清掃することができる。
なお、使用する洗浄液は特に限定されないが、たとえば、純水を使用することができる。また、より洗浄効果を高める場合には、界面活性剤を付与した純水を用いることが好ましい。
このように、本実施の形態の処理液塗布部30Aによれば、ドラム清掃時にワイパーブレード410をウェット化して処理液塗布ドラム31を清掃することができるので、処理液塗布ドラム31を効率よく清掃することができる。
〈処理液塗布部の他の実施の形態(2)〉
図14は、処理液塗布部の他の実施の形態(2)の構成を示す概略図である。
同図に示すように、本実施の形態の処理液塗布部30Bは、処理液槽330に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット308が備えられている。
なお、この洗浄液供給ユニット308が備えられている点以外は、上述した実施の形態の処理液塗布部30の構成と同じなので、ここでは、この洗浄液供給ユニット308の構成及び作用についてのみ説明する。
〈構成〉
図14に示すように、洗浄液供給ユニット308は、洗浄液が貯留された洗浄液タンク370と、その洗浄液タンク370と処理液槽330とを繋ぐ洗浄液供給配管372と、洗浄液供給配管372を介して洗浄液タンク370に貯留された洗浄液を処理液槽330に送液する洗浄液供給ポンプ374と、洗浄液供給配管372を開閉する洗浄液供給バルブ376とを備えて構成される。
洗浄液供給配管372は、処理液供給配管352の途中に接続され、この処理液供給配管352を介して、洗浄液タンク370が処理液槽330に接続される。洗浄液供給ポンプ374と洗浄液供給バルブ376は、この洗浄液供給配管372の途中に設置される。洗浄液供給バルブ376を開け、洗浄液供給ポンプ374を駆動することにより、洗浄液タンク370に貯留された洗浄液が洗浄液供給配管372を介して処理液槽330に送液される。
〈作用〉
処理液槽330に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット308を備えることにより、処理液槽330を洗浄できる。また、処理液槽330に洗浄液を貯留した状態で空塗り動作及びドラム清掃動作を行うことにより、塗布ローラ310、処理液付与ローラ320、及び、処理液塗布ドラム31の洗浄を行うことができる。以下、この洗浄液を用いた空塗り動作(クリーニング動作)について説明する。
まず、処理液槽330に貯留されている処理液を廃棄する。すなわち、処理液回収バルブ366を開け、処理液回収ポンプ364を駆動する。これにより、処理液槽330に貯留された処理液が、廃棄される。
次に、処理液槽330に洗浄液を供給する。すなわち、洗浄液供給バルブ376を開け、洗浄液供給ポンプ374を駆動する。これにより、洗浄液タンク370に貯留された洗浄液が処理液槽330に供給される。
処理液槽330を洗浄する場合は、洗浄液の貯留と廃棄を繰り返し実施する。これにより、処理液槽330が濯ぎ洗浄され、処理液槽330に残留した処理液を効率よく除去することができる。
このように、必要に応じて処理液槽330の濯ぎ洗浄をした後、処理液槽330に洗浄液を貯留する。
次に、リセット動作を実施する。まず、処理液塗布ドラム31を回転駆動する。次に、空塗り動作とドラム清掃動作を実施する。すなわち、洗浄液が付与された塗布ローラ310を処理液塗布ドラム31の外周面に当接させて、洗浄液を処理液塗布ドラム31の外周面に空塗りする。また、これとほぼ同時にワイパーブレード410を処理液塗布ドラム31の外周面に当接させ、処理液塗布ドラム31の外周面を清掃する。
なお、空塗り動作は、まず、塗布ローラ310に洗浄液を付与する動作から行われる。この動作は、塗布ローラ310及び処理液付与ローラ320を回転させ、その回転する処理液付与ローラ320を塗布ローラ310の外周面に当接させることにより行われる。すなわち、処理液付与ローラ320を回転させることにより、その処理液付与ローラ320の外周面に洗浄液が連続的に付与されるので、この洗浄液が付与された処理液付与ローラ320の外周面を塗布ローラ310の外周面に当接させることにより、処理液付与ローラ320の外周面に付与された洗浄液が、塗布ローラ310の外周面に転写されて、塗布ローラ310の外周面に連続的に洗浄液が付与される。
このようにして外周面に洗浄液が付与された塗布ローラ310を用紙Pがない状態で回転する処理液塗布ドラム31の外周面に押圧当接させる。これにより、処理液塗布ドラム31の外周面に洗浄液が空塗りされる。
ワイパーブレード410の当接は、塗布ローラ310の当接とほぼ同時に行われる。これにより、塗布ローラ310で処理液塗布ドラム31の外周面に洗浄液が空塗りされる一方、その空塗りされた洗浄液が、ワイパーブレード410の設置部で処理液塗布ドラム31の外周面から掻き落とされる。
空塗り動作とドラム清掃動作は連続して行われる。そして、この空塗り動作とドラム清掃動作を継続して行うことにより、塗布ローラ310、処理液付与ローラ320、及び、処理液塗布ドラム31が清掃される。
洗浄液の空塗りは所定回数実施し、空塗りの終了後、所定回数ドラム清掃を実施して、リセット動作を完了する。
この後、処理液槽330から洗浄液を廃棄し、処理液を充填する。
このように、洗浄液を用いてリセット動作を行うことにより、塗布ローラ310、処理液付与ローラ320、及び、処理液塗布ドラム31を清掃することができる。
なお、この洗浄液を用いたリセット動作は、任意のタイミングで実施できるようにすることが好ましい。すなわち、オペレータの指示に応じて実施できるようにすることが好ましい(操作部210からオペレータが指示)。
また、インクジェット印刷装置10の電源オフ時に自動的に実施するようにしてもよい。すなわち、電源オフの指示が与えられると、上記の洗浄液を用いたリセット動作を実施し、電源をオフするようにする。これにより、塗布ローラ310、処理液付与ローラ320、処理液槽330、及び、処理液塗布ドラム31をクリーンな状態にして装置を休止させることができる。また、これにより、次回起動時に、塗布ローラ310、処理液付与ローラ320、処理液槽330、及び、処理液塗布ドラム31がクリーンな状態で起動することができ、スムーズに印刷動作を開始させることができる。
なお、上記の例では、洗浄液を用いたリセット動作時に洗浄液の空塗り動作とほぼ同時にドラム清掃動作を実施するようにしているが、ドラム清掃動作を先行して実施するようにしてもよい(上記第2の実施の形態のリセット動作参照)。また、洗浄液の空塗り動作を先行して複数回実施し、その後、ドラム清掃動作を実施するようにしてもよい。
また、使用する洗浄液は特に限定されないが、たとえば、純水を使用することができる。また、より洗浄効果を高める場合には、界面活性剤を付与した純水を用いることが好ましい。
<その他の実施の形態>
上記実施の形態では、ドラムの外周面に巻き掛けられて搬送される用紙(裏面全面がドラムに支持された用紙)の表面に塗布ローラを当接させて、用紙の表面に処理液を塗布する装置に本発明を適用した場合を例に説明したが、たとえば、用紙の裏面をカウンターローラで支持し、このカウンターローラで支持された用紙の表面に塗布ローラを当接させて、用紙の表面に処理液を塗布する装置(カウンターローラと塗布ローラとの間に用紙を通過させて、用紙の表面に処理液を塗布する構成の装置)にも同様に本発明を適用することができる。
また、上記一連の実施の形態では、本発明を汎用の印刷用紙に水性インクを用いて印刷するインクジェット印刷装置に適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。汎用の印刷用紙以外のメディアにインクジェット方式で記録する装置にも同様に適用することができる。また、水性インク以外のインクを用いて記録する装置にも同様に適用することができる。