JP5379374B2 - 赤外線検出器 - Google Patents

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本発明は、人体検知などに用いる赤外線検出器に関するものである。
従来から、人体検知などに用いる赤外線検出器が種々提供されており、このような赤外線検出器では、人体より放射された赤外線の変化量を検出する熱検出素子(赤外線検出素子、熱線検出素子ともいう)として、焦電効果を利用した焦電素子がよく用いられている。
この種の赤外線検出器としては、人体の動作により発生した赤外線をレンズにより焦電素子の受光部に集光させ、赤外線の変化に応じて発生する焦電素子の分極による信号を電流電圧変換回路で電圧信号に変換した後、バンドパスアンプで所定の周波数帯域を選択的に増幅し、予め閾値を設定しているウィンドウコンパレータから”H”レベルまたは”L”レベルの検出信号を出力するものが提案されている。このような赤外線検出器の検出信号は、防犯用の侵入検知や、照明などの負荷制御に利用されている。
特許文献1には、図14(a)〜(c)に示すように、樹脂成型品で製作される3次元回路ブロック(MID基板)100に、焦電素子からなる熱検出素子110とバンドパスアンプやウィンドウコンパレータを構成する電子回路素子120を実装し、キャップ130とステム140からなるパッケージ内に収納して封止することにより、小型化を図った赤外線検出器Aが開示されている。なお、図14(b),(c)中150は外部回路との接続に使用される端子ピン(つまり、電源供給用の端子ピン、グラウンド用の端子ピン、検出信号出力用の端子ピン)、131は赤外線を熱検出素子110に入射させるためにキャップ130に設けられた赤外線通過窓で、この赤外線通過窓131には所定の周波数域の赤外線のみを通過させるバンドパス型の光学フィルタ160が装着される。
3次元回路ブロック100は、表立面と裏立面とを形成した縦方向に起立する縦長のブロックとなっており、立面には電子回路素子120を実装し、上部には熱検出素子110の熱絶縁をとるための空間を作る凹部101を一体形成し、熱検出素子110は凹部101を跨ぐ形で3次元回路ブロック100に実装される。凹部101によって、赤外線を受光する熱検出素子110の部位と3次元回路ブロック100とが接触しないようになるから、熱検出素子110が赤外線を受光したときに赤外線のエネルギが逃げず、感度を高めることができる。
また、特許文献1に示すものでは、図14(b),(c)に示すように、金属製のキャップ130と、ステム140からなるパッケージ(CANパッケージ)内に熱検出素子110および3次元回路ブロック100を収納することによって、熱検出素子110および3次元回路ブロック100を外来ノイズからシールドしている。これは、熱検出素子110の電荷は非常に微小であるから、アンプなどを利用して非常に大きな増幅を行う必要があり、熱検出素子110の出力に僅かでもノイズが入ると、上記アンプによってノイズも増幅され、本来の信号とノイズとの区別が困難となってしまうためである。
特許第3211074号公報(特に、段落〔0018〕〜〔0021〕、および図6〜図13参照)
上述した特許文献1に示す赤外線検出器Aでは、3次元回路ブロック100に熱検出素子110を浮かすための凹部101を直接形成しているため、部品点数削減や低コスト化が図れる。また、特許文献1に示す赤外線検出器Aは、熱検出素子110とバンドパスアンプの入力部までの距離を短くすることができるため、外来ノイズが入り難くなり、ノイズに強い構成となる。さらに、熱検出素子110と3次元回路ブロック100を金属製のキャップ130とステム140からなるパッケージ内に収納しているから、外来ノイズに非常に強い構成が実現できるという利点がある。また、バンドパスアンプやウィンドウコンパレータをIC化することも可能となるから、一層の小型化が図れる。
しかしながら、この特許文献1に示す赤外検出器Aでは、3次元回路ブロック100が縦長で起立して表立面と裏立面とを形成した回路部に電子部品やICを実装しているため、パッケージが縦長になってしまう。
そのため、特許文献1に示す赤外線検出器Aでは、当該赤外線検出器Aを取り付ける機器の厚みが制限されるために、薄型化が困難になり、このような機器を小型化、薄型化したいという要請には十分に応えることができていなかった
ここで、3次元回路ブロック100を小型化して赤外線検出器Aの大きさを全体的に小さくしようとした場合、以下の2つの問題があった。
1つ目は、電子回路要素を実装するための回路スペースが不足するという問題である。つまり上述の3次元回路ブロック100では、上記表立面および上記裏立面を形成した部分を電子回路要素実装用の回路スペースとしているが、3次元回路ブロック100を単純に小型化すると、当然に上記回路スペースが狭くなり、十分なスペースを確保することができなくなってしまう。そのため、単純に3次元回路ブロック100を小型化することができなかった。
2つ目は、熱検出素子110と検出信号の出力部(検出信号出力用の端子ピン)または電源供給用の入力部(電源供給用の端子ピン)との距離が近くなることに起因する問題である。つまり熱検出素子110の電荷の変化は非常に微弱なため、後段の回路(上記の例ではバンドパスアンプ)では、フェムトアンペアレベルの電流変化を数百ミリボルトレベルに増幅して出力しており、また供給される電源電圧には、商用電源からの重畳ノイズや携帯電話からの輻射ノイズなどの外来(外乱)ノイズも重畳されているから、検出信号出力用の端子ピンや電源供給用の端子ピンと熱検出素子との距離が近付くと、これらの間で容量結合が生じ、これによって、発振現象や周波数特性の劣化などの現象が発生し、検出感度が劣化してしまうという問題が生じる。そのため、熱検出素子110と検出信号の出力部または電源供給用の入力部とを十分に離す必要があり、これが小型化の妨げとなっていた。
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、その目的は、小型化、薄型化が図れ、しかも検出感度の劣化を防止できる赤外線検出器を提供することにある。
上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、熱検出素子および当該熱検出素子用の駆動回路を構成する電子回路要素を有した回路ブロックと、当該回路ブロックが取り付けられるステムおよびステムとの間に回路ブロックを収納する形でステムに被着されるキャップからなる金属製のパッケージとを備え、回路ブロックは、電子回路要素の少なくとも一部が埋設された第1の樹脂層と、第1の樹脂層におけるステム側とは反対側にシールド層を介して設けられた第2の樹脂層とを有し、第2の樹脂層におけるシールド層側とは反対側の一面からなる熱検出素子用の搭載面には、熱絶縁用の凹所が形成され、熱検出素子は、熱絶縁用の凹所を跨ぐ形で上記搭載面に実装され、キャップにおいて熱検出素子と対向する部位には、採光用の窓孔が形成され、キャップには、導電性を有する材料から
なり赤外線を透過させるフィルタが窓孔を閉塞するとともに、キャップと導通可能な形で取り付けられた赤外線検出器であって、パッケージに収納された回路ブロックの駆動回路と外部回路とを電気的に接続する端子ピンは、ステムにおける第1の樹脂層側とは反対面と、上記搭載面との間を貫通する形に複数本設けられ、上記搭載面には、シールド用の導体パターンが形成されており、上記導体パターンは、複数本の上記端子ピンのうち上記駆動回路の検出信号出力用の端子ピンのみの周辺に形成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、電子回路要素を第1の樹脂層に埋設しているので、立設方向の小型化の障害となっていた電子回路要素を実装するためのスペース(実装面積)確保することができるから、3次元回路ブロックを用いる従来例に比べて大幅な小型化、薄型化を図ることができる。しかも熱検出素子の熱絶縁用の凹所を第2の樹脂層に直接的に形成しているから、部品点数削減や低コスト化が図れ、その上、電子回路要素を実装する回路基板として微細なファインピッチの回路を一般の回路基板の形成方法で形成できるプリント基板や薄い銅箔を使用した基板を用いて、回路ブロックをプレスによって容易に製造可能な多層基板構造とすることができる。また、端子ピンは熱検出素子の搭載面において回路ブロックと電気的に接続されるから、熱検出素子と回路ブロックとの接合(熱検出素子の回路ブロックへの実装)と、端子ピンと回路ブロックとの接合とを同じ工程で行うことができて、工程数を削減することができる上に、各接合状態の検査を目視により行うことができて製造工程での検査が容易になり、製造コストを低減することができる(ローコスト化が図れる)。また、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間にシールド層を介在することで、電子回路要素で発生したノイズが熱検出素子の検出出力に重畳されることを防止することができる。
さらに、ステムおよびキャップにより構成した金属製のパッケージに回路ブロックを収納し、キャップの窓孔を導電性を有するフィルタで閉塞するとともに、当該フィルタとキャップとを電気的に接続しているから、外来ノイズの影響を低減できるとともに、熱検出素子と端子ピンとがパッケージ内の空間部を経由して容量結合してしまうことを抑制することができ、その上、搭載面にシールド用の導体パターンを設けているので、熱検出素子と端子ピンとの容量結合をさらに抑制することが可能となり、検出感度の劣化を防止することができ、耐ノイズ性を向上することができる。つまり、熱検出素子と、検出信号出力用の端子ピンとの容量結合を導体パターンによるシールド効果によって防ぐことができ、その結果感度劣化の防止や耐ノイズ性の向上が図れる。特に、検出信号出力用の端子ピンは容量結合によって熱検出素子に与える影響が大きいため、検出信号出力用の端子ピンと熱検出素子との容量結合を防止することで、より一層の感度劣化の防止が図れる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記導体パターンは、上記端子ピンにおける上記熱検出素子側とは反対側を除いて上記端子ピンを囲う形に形成されていることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、最もシールドが必要である端子ピンと熱検出素子との間に、導体パターンが設けられているから、導体パターンのシールド性能の低下を抑制しながらも、導体パターンを配置する部位の省スペース化が図れ、回路ブロックの小型化が図れ、しかも、導体パターンが設けられていない端子ピンにおける熱検出素子側とは反対側において端子ピンと回路ブロックとの接続を行うことで、この接続に使用する導電性接着剤などによって端子ピンと導体パターンとが短絡してしまうことを抑制できる。
請求項3の発明では、請求項1または2の発明において、上記導体パターンの電位はグラウンド電位であることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、回路上最も良く使用されるグラウンドに導体パターンを接続するだけでよいから、導体パターンの配線作業が容易であり、容量結合を防止することができる。
請求項4の発明では、請求項1または2の発明において、上記導体パターンの電位は所定の定電位であることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、容量結合を防止することができる。
請求項5の発明では、請求項1または2の発明において、上記導体パターンの電位は上記熱検出素子用の基準電位であることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、容量結合を防止することができ、しかも、熱検出素子に基準電位を与えるための電極は、回路ブロックの搭載面に形成されるものであるから、同じ搭載面に形成される導体パターンとの接続が容易に行える。
請求項6の発明では、請求項1〜5のうちいずれか1項の発明において、上記熱検出素子は、焦電体を検出用電極と基準電位用電極とで挟み込んでなる複数のセンシングエレメントを有し、複数のセンシングエレメントのうち上記端子ピンに最も近いセンシングエレメントは、焦電体に対して基準電位用電極が上記第2の樹脂層側とは反対側に位置していることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、パッケージ内の空間部により端子ピンと検出用電極とが容量結合してしまうことを防止できる。
請求項7の発明では、請求項1〜5のうちいずれか1項の発明において、上記熱検出素子は、焦電体を検出用電極と基準電位用電極とで挟み込んでなる複数のセンシングエレメントを有し、複数のセンシングエレメントのうち上記端子ピンに最も近いセンシングエレメントは、焦電体に対して基準電位用電極が上記第2の樹脂層側に位置していることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、第2の樹脂層により端子ピンと検出用電極とが容量結合してしまうことを防止できる。
請求項8の発明では、請求項1〜7のうちいずれか1項の発明において、上記導体パターンを絶縁部で被覆していることを特徴とする。
請求項8の発明によれば、端子ピンと回路ブロックとの接続に使用する導電性接着剤などによって端子ピンと導体パターンとが短絡してしまうことを防止できる。
本発明は、電子回路要素を第1の樹脂層に埋設しているので、3次元回路ブロックを用いる従来例に比べて大幅な小型化、薄型化を図ることができるという効果を奏し、さらに、シールド用の導体パターンにより熱検出素子と端子ピンとの容量結合を抑制することができるから、検出感度の劣化を防止することができ、耐ノイズ性を向上することができるという効果を奏する。
上記効果に加えて、本発明は、熱検出素子の熱絶縁用の凹所を第2の樹脂層に直接的に形成したことにより部品点数削減や低コスト化を図ることがで、回路ブロックをプレスによって容易に製造可能な多層基板構造とすることができ、熱検出素子と回路ブロックとの接合(熱検出素子の回路ブロックへの実装)と端子ピンと回路ブロックとの接合とを同じ工程で行うことができて工程数を削減することができ、各接合状態の検査を目視により行うことができて製造工程での検査が容易になり、回路ブロック3を金属製のパッケージに収納するにあたりキャップの窓孔を導電性を有するフィルタで閉塞するとともに当該フィルタとキャップとを電気的に接続しているから外来ノイズの影響を低減でき、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に介在させたシールド層により電子回路要素で発生したノイズが熱検出素子の検出出力に重畳されることを防止できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態の赤外線検出器Aは、図1(a)〜(c)に示すように、熱検出素子1および当該熱検出素子用の駆動回路(図5参照)を構成する電子回路要素(チップ)を有した回路ブロック3と、当該回路ブロック3が固定されるステム4およびステム4との間に回路ブロック3を収納する形でステム4に被着されるキャップ5からなる金属製のパッケージとを備えている。なお、以下の説明では、説明の簡略化のために、ステム4において回路ブロック3が取り付けられる側(図1(a)における上側)を赤外線検出器Aの上側と規定する。
熱検出素子1は、図2および図3に示すように、焦電体10を検出用電極11と基準電位用電極12とで挟み込んでなる複数(本実施形態では4つ)のセンシングエレメント1aを有する、所謂クワッド型のものである。なお、以下の説明では、4つのセンシングエレメント1aを区別するために、必要に応じて符号1a〜1aで表す。
焦電体10は、焦電材料(一例としてはPZT)により略正方形の板状に形成されており、その厚み方向における両面それぞれに、検出用電極11と、基準電位用電極12が2つずつ形成されている。2つの検出用電極11と、2つの基準電位用電極12とは、2×2のマトリクス状に配列され、同種の電極11,12は焦電体10の対角線上に位置している(図2(a)においては、左上および右下に検出用電極11が位置し、左下および右上に基準電位用電極12が位置している)。また、図2(a),(b)に示すように、焦電体10の厚み方向一面側の検出用電極11は厚み方向他面側の基準電位用電極12と、厚み方向他面側の検出用電極11は厚み方向一面側の基準電位用電極12と、厚み方向においてそれぞれ重なる形に設けられている。そして、本実施形態における熱検出素子1においては、センシングエレメント1a,1aでは、図3(a)に示すように、検出用電極11が焦電体10の上側、基準電位用電極12が焦電体10の下側に位置し、センシングエレメント1a,1aでは、図3(b)に示すように、検出用電極11が焦電体10の下側、基準電位用電極12が焦電体10の上側に位置している。
焦電体10の厚み方向における両面それぞれの一辺(図2(a),(b)における左辺)には、検出用電極11と接続される検出用端子13が形成され、上記一辺とは反対側の他辺(図2(a),(b)における右辺)には、基準電位用電極12と接続される基準電位用端子14が形成されている。なお、各電極11,12および端子13,14は、スパッタ法などにより形成している。また、図2および図11以外では各電極11,12および端子13,14の図示を省略し、さらに、図2(b)および図11(b)では、図示の簡略化のために、厚み方向一面側の各電極11,12および端子13,14の図示を省略している。
本実施形態における熱検出素子1では、検出用端子13と基準電位用端子14との間に、4つのセンシングエレメント1aが並列接続されている。なお、熱検出素子1は、上記の例に示すものに限られるものではなく、例えば2つのセンシングエレメント1aからなる直列回路を並列接続したものや、センシングエレメント1aを2つ備えた所謂デュアル型のものであってもよい。なお、熱検出素子1としては、焦電材料を利用したものの他に、サーモパイルやボロメータなどを利用したものを採用することができる。
回路ブロック3は、図4に示すように、ガラスエポキシ基板などを用いて後述するステム4の搭載部4aの外径と同程度の外径を有する円盤状に形成された回路基板30を有している。回路基板30は、その厚み方向一面側(図2における上面側)に、電子回路要素となるチップ状の電子部品20が実装され、厚み方向他面側(図2における下面側)に、電子回路要素となる集積回路(以下、「IC」と略称する)21が実装されるようになっており、回路基板30の厚み方向両面それぞれには、上述した電子回路要素とともに熱検出素子1用の駆動回路を構成するための配線パターン(図示せず)が形成されている。なお、チップ状の電子部品20はリフロー半田付けなどにより回路基板30に実装され、IC21はフリップチップ実装により回路基板30に実装されている。
上記駆動回路は、図5に示すように、熱検出素子1の基準電位用電極12に与える基準電位(本実施形態では2V)を生成するとともに熱検出素子1の検出出力(グラウンドレベルに対して正、負のいずれかの方向のレベルを持つ検出出力)を増幅する電流増幅回路30aと、電流増幅回路30aの出力からノイズ成分を除去するためのバンドパスフィルタ30bと、バンドパスフィルタ30bから出力される検出出力のレベルと所定の閾値とを比較することで、”H”レベルあるいは”L”レベルの電圧からなる検出信号(図10参照)を出力するウィンドウコンパレータ30cとで構成されている。なお、人体検知を行う場合には、一般的に、1Hzくらいがピークの周波数応答が持たせられる。
回路基板30の厚み方向一面側には、第1の樹脂層31が設けられ、回路基板30の厚み方向一面側に実装されたチップ状の電子部品2は、第1の樹脂層31に埋設されることになる。第1の樹脂層31における回路基板30側(ステム4側)とは反対側には、シールド部32が設けられる。
このシールド部32は、回路基板30と同サイズの円形のガラスエポキシ基板などの絶縁基板32aの表面(図4における上面)にシールド層32bを形成したものである。さらに詳しく説明すると、シールド部32は、熱検出素子1の検出出力と電流増幅回路30aとの容量結合などによる発振現象を防ぐための金属箔(一例としては銅箔)からなるシールド層32bを絶縁基板32aの表面(本実施形態では、図4における上面に形成しているが、下面に形成してもよいし、上下両面に設けるようにしてもよい)に形成したものであり、グラウンド電位もしくは何らかの特定の電位を持たせることで、シールドとして作用する。なお、シールド層32bは、絶縁基板32aにおいて後述する貫通孔3aおよびスルーホール3bが形成される場所を避けて形成されている。なお、シールド部32としては、絶縁基板32aにシールド層32bを形成したものに限らず、シールド層32bを第1の樹脂層31にメッキなどにより直接的に形成したものであってもよい。
シールド部32の表面側(シールド部32における第1の樹脂層31側とは反対側)には、第2の樹脂層33が設けられ、この第2の樹脂層33におけるシールド部32側とは反対側の一面が、熱検出素子1を搭載する搭載面33aとして用いられる。
本実施形態における回路ブロック3は、上述のように回路基板30に積層された第1の樹脂層31と、第1の樹脂層31に積層されたシールド部32と、シールド部32に積層された第2の樹脂層33とからなる多層構造の基板ユニットを有し、この基板ユニットでは、回路基板30に実装されたチップ状の電子部品20が第1の樹脂層31に内蔵され(埋め込まれ)るので、回路ブロック3全体の薄型化が図れる。
このような基板ユニットには、3つの端子ピン(電源供給用の端子ピン、グラウンド用の端子ピン、検出信号出力用の端子ピン)6それぞれが貫挿される貫挿孔3aが厚み方向に貫設されるとともに、焦電素子1(焦電素子1の検出用端子13および基準電位用端子14)と上記駆動回路を接続するための貫通孔配線(図示せず)を形成するためのスルーホール3bが設けられている。また、基板ユニットには、シールド部32のシールド層32bを所定の電位部位に接続するためのスルーホール(図示せず)が設けられている。
回路ブロック3の搭載面33aにおける中央部には、図1(b)および図6に示すように、長円孔状の凹所33bが設けられている。また、搭載面33aにおける凹所33bの短手方向両縁部それぞれには、熱検出素子1の検出用端子13と接続されるランド33cおよび基準電位用端子14と接続されるランド33dがそれぞれ形成されている。そのため、熱検出素子1は凹所33bをその短手方向において跨ぐ形で搭載面33aに実装され、このとき、熱検出素子1の各センシングエレメント1aは、搭載面33aとは接触しないようになっている。この凹所33bにより、熱検出素子1の熱線検知部(受光面)となるセンシングエレメント1aと回路ブロック3の第2の絶縁層33との間に熱絶縁のための空気層が確保され、非常に感度の高い測定が可能となる。なお、これらランド33c,33dは、それぞれ対応するスルーホール3b内の貫通配線に接続されており、これによって、駆動回路と熱検出素子1が接続される。
ところで、搭載面33aにおける各貫挿孔3aの開口周縁には、端子ピン接合用のランド33eがそれぞれ形成されている。また、搭載面33aには、シールド用の導体パターン33fが設けられている。この導体パターン33fは、検出信号出力用の端子ピン6に対応するランド(図6における下側のランド)33eを、当該ランド33eにおける熱検出素子1側とは反対側(図6における下側)を除く三方で囲む形のコ字形に形成されている。なお、ランド33c〜33eおよび導体パターン33fは図1(a)では図示を省略している。
次に、上述した回路ブロック3の製造方法について図7を参照して簡単に説明する。まず、図7(a)に示すように、予めチップ状の電子部品20を実装しておいた回路基板30の厚み方向一面(図7(a)における上面)に、第1の樹脂層31の基礎となる有機グリーンシート34を複数枚(図示例では3枚)重ねて配置する。ここで有機グリーンシート34は、Bステージ(半硬化)状態のエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂にシリカ(SiO)などの無機フィラーを高充填(例えば85wt%)したものにより回路基板30と同サイズの円形のシート状に形成されており、高い伸びと引張強度を持ち、常温では強靱性があって破れ難いという特性を有している。なお、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、シアネート樹脂などを用いることができ、また無機フィラーとしては、シリカの他に、酸化アルミニウム(Al)や、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、もしくはこれらを2種類以上混合したものを用いることができる。
回路基板30に第1の樹脂層31の基礎となる有機グリーンシート34を重ねた後には、この有機グリーンシート34上にシールド部32を載置し、さらにその後にシールド部32上に第2の樹脂層33の基礎となる有機グリーンシート34を複数枚(本実施形態では2)重ねて配置する。ここで、第2の樹脂層33による容量結合を防止するためには、第2の樹脂層33の厚みを薄くすることが効果的であり、一般には、0.3mm以下とすることが好ましいため、第2の樹脂層33の集みが0.3mm以下となるように、有機グリーンシート34の厚みや枚数を設定する。
このように、回路基板30上に、第1の樹脂層31の基礎となる有機グリーンシート34、シールド部32、第2の樹脂層33の基礎となる有機グリーンシート34とを順次重ねてなる積層体を、プレスの金型内に投入し、その後に真空引きしながら加熱(例えば100℃)して有機グリーンシート34を熱溶解させ、所定の圧力(例えば3Mpa)で一定時間加圧する。このとき、回路基板30上のチップ状の電子部品20の凹凸および電子部品20と回路基板30との隙間に、溶解した有機グリーンシート34が流れ込むことになる。上記一定時間加圧した後は、所定の温度(有機グリーンシート34を構成する熱硬化性樹脂の硬化温度、エポキシ樹脂の場合、175℃)まで昇温して完全硬化させる。
これによって、図7(b)に示すように、チップ状の電子部品20を内蔵した第1の樹脂層31が回路基板30と一体に形成され、また第1の樹脂層31における回路基板30側とは反対側には、第2の樹脂層33が一体に形成され、第1の樹脂層31と第2の樹脂層33との間には、シールド部32(シールド層32a)が介在されることになり、電子回路要素2の一部であるチップ状の電子部品20が埋設された第1の樹脂層31と、第1の樹脂層31におけるステム4側とは反対側にシールド層32bを介して設けられた第2の樹脂層33とを有する回路ブロック3が得られる。なお、プレスの金型に凹所33bを形成するための凸部(図示せず)を設けておけば、凹所33bを同時に形成することができる。
上述したように回路基板30、第1の樹脂層31、シールド部32、第2の樹脂層32を一体化した後には、ルータなどを利用して、貫挿孔3aやスルーホール3bが形成される。その後には、搭載面33aに無電解メッキなどにより導電層(図示せず)を形成するとともに、貫挿孔3aおよびスルーホール3bの内面に層間接続用(貫通孔配線用)のスルーホールメッキを施し、このメッキ後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して導電層の一部を除去することで、ランド33c〜33eおよび導体パターン33fなどを形成して、図4に示す構成を得る。
ステム4は、金属材料(例えば、SPCやコバールなど)により円盤状に形成されている。ステム4の中央部はその周辺部より厚み方向一面側(図1(a)における上側)に突出しており、この突出した中央部が回路ブロック3を搭載する前述の搭載部4aとなる。この搭載部4aには、端子ピン6が挿通される複数(本実施形態では3つ)の挿通孔4bが形成されている。端子ピン6は、パッケージに収納された回路ブロック3の駆動回路と外部回路とを電気的に接続するためのものであって、導電性を有する材料により、ステム4における第1の樹脂層31側とは反対面(図1(a)における下面)と搭載面33aとの間を貫通することができる長さの丸棒状に形成されている。本実施形態の赤外線検出器Aでは、電源供給用の端子ピン6(以下、必要に応じて符号6Aで示す)と、グラウンド用の端子ピン6(以下、必要に応じて符号6Bで示す)と、検出信号出力用の端子ピン6(以下、必要に応じて符号6Cで示す)との3本の端子ピン6を用いている。
ところで、端子ピン6Bに対応する挿通孔4bの内径は端子ピン6Bの外径よりやや大きく設定されており、端子ピン6Bを当該挿通孔4bに挿入した後に、端子ピン6Bは導電性接着剤(銀ペーストなどの導電性ペースト)を用いてステム4に固定され、ステム4と電気的に接続される。一方、端子ピン6A,6Cに対応する挿通孔4bは、端子ピン6に対応する挿通孔4bよりも内径が大きく設定してあり、端子ピン6A,6Cそれぞれを対応する挿通孔4bに挿通させた状態で、端子ピン6A,6Cと挿通孔4bとの隙間をガラスなどの絶縁性を有する封止材7で封止することで、端子ピン6A,6Cはステム4と電気的に絶縁された状態で、ステム4に固定される。
回路ブロック3は、図1(a)に示すように、スペーサ8をステム4との間に介在する形で、ステム4に取り付けられる。スペーサ8は、回路ブロック3とステム4との間に、回路基板30に実装したIC21を収納するためのスペースを確保するためのものである。このようなスペーサ8は、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であって、円盤状に形成されている。スペーサ8の中央部には、略矩形状の開口8aが形成されており、この開口8a内に、回路基板30に実装されたIC21が収納されることになる。また、スペーサ8には、端子ピン6それぞれが挿通される挿通孔8bがその厚み方向に貫設されている。
キャップ5は、金属材料(例えば、SPCやコバールなど)により厚み方向一面(図1(a)における下面)が開口した円形の箱状(一方の開口端が閉塞された円筒状)に形成されている。キャップ5の内径は、ステム4の中央部の外径よりやや大きくなっており、これによってステム4の搭載部4aがキャップ5内に挿入される。このようなキャップ5とステム4とで囲まれた空間部に、回路ブロック3が収納される。
キャップ5の厚み方向他壁部(図1(a)における上壁部)の中央部には、矩形状の窓孔5aが開口されている。窓孔5aはパッケージ内に光を取り入れるため(採光用)のものであって、熱検出素子1をキャップ5外部に臨ませることが可能な大きさに形成されている。また、キャップ5の厚み方向一面側の開口縁部には、円形状の鍔部5bが形成されている。鍔部5bの外径はステム4の外径と同程度の大きさであり、キャップ5をステム4に被着した際には、鍔部5bがステム4の上記周辺部に当接される。
このようなキャップ5には、窓孔5aを閉塞する形でフィルタ9が取り付けられる。フィルタ9は、特定の周波数域の赤外線だけを透過させるバンドパス型の光学フィルタであって、ここで赤外線検出器Aの使用用途が人体検知の場合には、フィルタ9として、おおよそ4μm以上の波長の光を透過し、それより波長が短い赤外線をカットするようなものを用いる。フィルタ9は、導電性を有する材料、例えば、半導体(一例としては不純物をドープした低抵抗のシリコン基板)や、導体を用いて形成されている。このフィルタ9は、キャップ5と導通可能となるように、導電性接着剤(一例としては銀ペースト)を用いてキャップ5に接合されている。つまり、キャップ5には、導電性を有する材料からなり赤外線を透過させるフィルタ9が窓孔5aを閉塞するとともに、キャップ5と導通可能な形で取り付けられている。なお、フィルタ9にオーミック接続した電極(図示せず)を設け、当該電極とキャップ5とを電気的に接続することで、フィルタ9とキャップ5とが導通するようにしてもよい。
このようなステム4およびキャップ5からなるパッケージには、回路ブロック3が次のようにして収納される。
すなわち、ステム4の搭載部4a上にスペーサ8を介して回路ブロック3を搭載するとともに回路ブロック3とスペーサ8、およびスペーサ8と搭載部4aとを接着剤などで接合する。このとき、スペーサ8の開口8aにはIC21が収納される。
また、端子ピン6は、スペーサ8の挿通孔8bおよび回路ブロック3の貫挿孔3aを貫通し、その一端部(図1(a)における上端部)が回路ブロック3の搭載面33aより突出することになる。
回路ブロック3をステム4上に搭載固定した後には、第2の樹脂層33の凹所33bの両側のランド33c,33d間に熱検出素子1を橋渡し、この状態で熱検出素子1の検出用端子13をランド33cに、基準電位用端子14をランド33dにそれぞれ導電性接着材により接続する(熱検出素子1は、熱絶縁用の凹所33bを跨ぐ形で搭載面33aに実装される)。このとき、熱検出素子1は、図3(b)に示すように、焦電体10に対して基準電位用電極12が第2の樹脂層33側とは反対側(つまりフィルタ9側)に位置しているセンシングエレメント1aが、複数のセンシングエレメント1aのうち検出信号出力用の端子ピン6Cに最も近い位置に位置するように配置される。図示例では、センシングエレメント1aが、検出信号出力用の端子ピン6Cに最も近接している。
また、熱検出素子1の実装作業と同時に、第2の樹脂層33の搭載面33aに突出した各端子ピン6の先端部を導電性接着剤35により貫挿孔3aの開口周縁のランド33eに接合し、端子ピン6と回路ブロック3とを電気的に接続する。
以上により、熱検出素子1の検出用端子13はランド33cおよびスルーホール3bの貫通孔配線を経由して、基準電位用端子14はランド33cおよびスルーホール3bの貫通孔配線を経由してそれぞれ回路ブロック3の駆動回路に接続され、各端子ピン6は貫挿孔3aの貫通孔配線を経由して回路ブロック3の駆動回路に接続され、これによって、図5に示す回路構成が得られる。そして、この赤外線検出器Aでは、電源供給用の端子ピン6Aとグラウンド用の端子ピン6Bとを介して外部から動作電源の供給を受け、検出信号出力用の端子ピン6Cとグラウンド用の端子ピン6Bとで外部へ検出信号を出力することが可能となる。
熱検出素子1および端子ピン6の接合が終了した後、これらの接合状態の検査を目視により行った後、キャップ5をステム4に被着する。キャップ5は、ステム4の搭載部4aがキャップ5内に入り込むとともに、鍔部5bがステム4の上記周辺部に当接する形で、ステム4に被着される。キャップ5のステム4への固定は、鍔部5bをステム4の上記周辺部に溶接することによって行われ、これによって、パッケージ内が気密に封止される。以上により、図1(c)に示す赤外線検出器Aが得られる。
以上述べた本実施形態の赤外線検出器Aによれば、電子回路要素2のチップ状の電子部品20を第1の樹脂層31に埋設しているので、立設方向の小型化の障害となっていた電子回路要素2を実装するためのスペース(実装面積)の確保することができるから、3次元回路ブロック100(図14参照)を用いる上記の従来例に比べて大幅な小型化、薄型化を図ることができる。
しかも熱検出素子1の熱絶縁用の凹所33bを第2の樹脂層33に直接的に形成しているから、部品点数削減や低コスト化が図れ、その上、電子回路要素2を実装する回路基板30として微細なファインピッチの回路を一般の回路基板の形成方法で形成できるプリント基板や薄い銅箔を使用した基板を用いて、回路ブロック3をプレスによって容易に製造可能な多層基板構造とすることができる。
また、端子ピン6は熱検出素子1の搭載面33aにおいて回路ブロック3と電気的に接続されるから、熱検出素子1と回路ブロック3との接合(熱検出素子1の回路ブロック3への実装)と、端子ピン6と回路ブロック3との接合とを同じ工程で行うことができて、工程数を削減することができる上に、各接合状態の検査を目視により行うことができて製造工程での検査が容易になり、製造コストを低減することができる(ローコスト化が図れる)。
加えて、第1の樹脂層31と第2の樹脂層33との間にシールド層32bを介在することで、電子回路要素2で発生したノイズが熱検出素子1の検出出力に重畳されることを防止することができる。
さらに、ステム4およびキャップ5により構成した金属製のパッケージに回路ブロック3を収納し、キャップ5の窓孔5aを導電性を有するフィルタ9で閉塞するとともに、当該フィルタ9とキャップ5とを電気的に接続している(導通可能としている)から、外来ノイズの影響を低減できる。
本実施形態の赤外線検出器Aのように、搭載面33aから端子6が突出している場合、ここで、熱検出素子1と端子ピン6とがパッケージ内の空間部を経由して容量結合してしまうおそれがあるが、フィルタ9として導電性を有するものを用い、キャップ5とフィルタ9とを電気的に接続したことによって、このような容量結合の静電容量を低くすることができる。
図8に示すグラフは、フィルタ9と熱検出素子1との距離t(図9参照)と、容量結合により生じた静電容量の大きさとの関係を示すグラフであり、フィルタ9と熱検出素子1との距離が短いほうが、より容量結合の影響を少なくできることがわかる。
ここで、容量結合による静電容量が0.02fF以下であれば、図10(a)に示すように、検出信号にチャタリングは生じないが、静電容量が0.02fFを越えると、図10(b)に示すように、検出信号にチャタリングが生じるおそれがある。
図8中のAは、シールド用の導体パターン33fがない場合を示し、Bは本実施形態のように駆動回路の検出信号出力用の端子ピン6Cの周辺に導体パターン33fを形成した場合を示しており、図8に示すグラフから明らかなように、導体パターン33fを設けたほうが、容量結合の静電容量を全体的に低くできていることがわかる。
図8においてAで示すグラフでは、フィルタ9と熱検出素子1との距離を0.4mm以下に抑えなければ、チャタリングを有効に防止することができないが、図8においてBで示すグラフでは、フィルタ9と熱検出素子1との距離を0.9mm以下に抑えれば、チャタリングを有効に防止することができる。
したがって、本実施形態のように導体パターン33fを設けることによって、熱検出素子1と、検出信号出力用の端子ピン6Cとの容量結合を導体パターン33fによるシールド効果によってさらに抑制することができるようになって、感度劣化の防止、耐ノイズ性の向上が図れる。特に、検出信号出力用の端子ピン6Cは容量結合によって熱検出素子1に与える影響が大きいため、検出信号出力用の端子ピン6Cと熱検出素子1との容量結合を抑制することで、より一層の感度劣化の防止が図れる。
また、本実施形態の赤外線検出器Aでは、導体パターン33fは、端子ピン6Cにおける熱検出素子1側とは反対側を除いて端子ピン6Cを囲う形に形成されている。このようにすれば、最もシールドが必要である端子ピン6Cと熱検出素子1との間に、シールド用の導体パターン33fが設けられているから、導体パターン33fのシールド性能の低下を抑制しながらも、導体パターン33fを配置する部位の省スペース化が図れ、回路ブロック3の小型化が図れ、しかも、導体パターン33fが設けられていない端子ピン6Cにおける熱検出素子1側とは反対側において端子ピン6Cと回路ブロック3との接続を行うことで、この接続に使用する導電性接着剤などによって端子ピン6Cと導体パターン33fとが短絡してしまうことを抑制できる。
さらに、本実施形態の赤外線検出器Aでは、導体パターン33fの電位は熱検出素子用の基準電位としているので、導体パターン33fによって容量結合を防止することができるようになり、しかも、熱検出素子1に基準電位を与えるための電極となるランド33dは、回路ブロック3の搭載面33aに形成されるものであるから、同じ搭載面33aに形成される導体パターン33fとの接続が容易に行えるという利点がある。
本実施形態では、熱検出素子1の複数のセンシングエレメント1a〜1aのうち、導体パターン33fが周辺に設けられた端子ピン6Cに最も近いセンシングエレメント1aは、焦電体10に対して基準電位用電極12が第2の樹脂層33側とは反対側(つまりフィルタ9側)に位置している。そのため、この基準電位用電極12がシールドとして作用し、パッケージ内の空間部により端子ピン6Cと検出用電極11とが容量結合してしまうことを防止できる。
ところで、熱検出素子1としては、図11(a),(b)に示すものを採用することができる。図11に示す熱検出素子1は、図2に示すものと同様に、焦電体10を検出用電極11と基準電位用電極12とで挟み込んでなる複数(図示例では4つ)のセンシングエレメント1aを有する、所謂クワッド型のものであり、検出用電極11と基準電位用電極12との配置位置が図2に示すものと異なっている。
すなわち、図11に示す熱検出素子1では、図2に示すものと検出用電極11と基準電位用電極12との位置が入れ替わっている(図11(a)においては、左上および右下に基準電位用電極12が位置し、左下および右上に検出用電極11が位置しており、図11(b)においては、左上および右下に検出用電極11が位置し、左下および右上に基準電位用電極12が位置している)。そのため、図11に示す熱検出素子1においては、センシングエレメント1a,1aでは、図3(b)に示すように、検出用電極11が焦電体10の下側、基準電位用電極12が焦電体10の上側に位置し、センシングエレメント1a,1aでは、図3(a)に示すように、検出用電極11が焦電体10の上側、基準電位用電極12が焦電体10の下側に位置している。
そのため、図11に示す熱検出素子1を用いた赤外線検出器Aでは、複数のセンシングエレメント1a〜1aのうち導体パターン33fが周辺に設けられた端子ピン6Cに最も近いセンシングエレメント1aは、焦電体10に対して基準電位用電極12が第2の樹脂層33側(焦電体10におけるフィルタ9側とは反対側)に位置している。
この場合、基準電位用電極12がシールドとして作用し、第2の樹脂層33により端子ピン6Cと検出用電極11とが容量結合してしまうことを防止できる。
また、図12に示すように、導体パターン33f全体を絶縁性を有する材料(一例としてはエポキシ樹脂)により形成したレジストからなる絶縁部33gで被覆するようにしてもよい。このようにすれば、端子ピン6と回路ブロック3との接続に使用する導電性接着剤35などによって端子ピン6と導体パターン33fとが短絡してしまうことを防止でき、組立作業が非常に楽に行えるようになる。
以上述べた本実施形態の赤外線検出器Aでは、導体パターン33fの電位を熱検出素子1の基準電位としているが、図13に示すように、導体パターン33fをグラウンド用の端子6Bに電気的に接続して、導体パターン33fの電位をグラウンド電位とするようにしてもよい。なお、図13は導体パターン33fの構成のみが上記の例と異なっているから説明は省略する。また、図13においては端子ピン6Cに対応するランド33eを省略している。
このように導体パターン33fの電位をグラウンド電位とすれば、回路上最も良く使用されるグラウンドに導体パターン33fを接続するだけでよいから、導体パターンの配線作業が容易になり、容量結合を防止することができる。また、グラウンド電位を利用した際には、熱検出素子1の基準用電位を利用する場合に比べれば、熱検出素子1に悪影響を及ぼすおそれがないという利点がある。
また、導体パターン33fの電位を基準電位とすることやグラウンド電位とすることが困難である場合には、導体パターン33fに安定した電位を与えるための電位付与回路(図示せず)を構成し、当該電位付与回路に導体パターン33fを接続することで、導体パターン33fの電位を電位付与回路の所定の定電位(安定した電位)としてもよく、この場合においても、容量結合を抑制することができる。また、導体パターン33fに電位を与えるための電位付与回路を別途設けるにあたっては、このような電位付与回路を、導体パターン33fとの接続が行いやすい場所に設けることで、導体パターン33fとの接続の容易化が図れる。また、導体パターン33fは、いずれの回路に接続されていなくても、シールド性能を発揮して、容量結合を抑制することができる。
なお、本実施形態では、検出信号出力用の端子ピン6Cの周辺に導体パターン33fを設けているが、導体パターン33fは、その他の端子ピン6の周辺にも設けるようにしてもよい。また、本実施形態は、あくまでも本発明の技術的思想を適用した一形態に過ぎず、本発明をこの実施形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での設計変更などは当然に行える。
本発明の一実施形態の赤外線検出器を示し、(a)は分解斜視図、(b)はキャップを外した状態の斜視図、(c)は斜視図である。 同上における熱検出素子を示し、(a)は上面図、(b)は上面側から見た透視図である。 同上における熱検出素子の部分断面図である。 同上における回路ブロックの概略断面図である。 同上の回路構成図である。 同上の赤外線検出器のキャップを外した状態における平面図である。 同上における回路ブロックの製造工程の説明図である。 熱検出素子とフィルタとの距離と静電容量との関係を示すグラフである。 同上の説明図である。 同上の検出信号の時間変化を示すグラフである。 同上における熱検出素子の他例を示し、(a)は上面図、(b)は上面側から見た透視図である。 同上の他例の赤外線検出器のキャップを外した状態における平面図である。 同上の他例の赤外線検出器のキャップを外した状態における平面図である。 従来例の赤外線検出器を示し、(a)は3次元回路ブロックの分解斜視図、(b)はキャップを外した状態の斜視図、(c)は斜視図である。
符号の説明
1 熱検出素子
1a(1a〜1a) センシングエレメント
2 電子回路要素
3 回路ブロック
4 ステム
5 キャップ
5a 窓孔
6(6A,6B,6C) 端子ピン
9 フィルタ
10 焦電体
11 検出用電極
12 基準電位用電極
20 電子部品
31 第1の樹脂層
32b シールド層
33 第2の樹脂層
33a 搭載面
33b 凹所
33f 導体パターン
33g 絶縁部
A 赤外線検出器

Claims (8)

  1. 熱検出素子および当該熱検出素子用の駆動回路を構成する電子回路要素を有した回路ブロックと、当該回路ブロックが取り付けられるステムおよびステムとの間に回路ブロックを収納する形でステムに被着されるキャップからなる金属製のパッケージとを備え、
    回路ブロックは、電子回路要素の少なくとも一部が埋設された第1の樹脂層と、第1の樹脂層におけるステム側とは反対側にシールド層を介して設けられた第2の樹脂層とを有し、
    第2の樹脂層におけるシールド層側とは反対側の一面からなる熱検出素子の搭載面には、熱絶縁用の凹所が形成され、
    熱検出素子は、熱絶縁用の凹所を跨ぐ形で上記搭載面に実装され、
    キャップにおいて熱検出素子と対向する部位には、採光用の窓孔が形成され、
    キャップには、導電性を有する材料からなり赤外線を透過させるフィルタが窓孔を閉塞するとともに、キャップと導通可能な形で取り付けられた赤外線検出器であって、
    パッケージに収納された回路ブロックの駆動回路と外部回路とを電気的に接続する端子ピンは、ステムにおける第1の樹脂層側とは反対面と、上記搭載面との間を貫通する形に複数本設けられ、上記搭載面において回路ブロックと電気的に接続され、
    上記搭載面には、シールド用の導体パターンが形成されており、
    上記導体パターンは、複数本の上記端子ピンのうち上記駆動回路の検出信号出力用の端子ピンのみの周辺に形成されていることを特徴とする赤外線検出器。
  2. 上記導体パターンは、上記端子ピンにおける上記熱検出素子側とは反対側を除いて上記端子ピンを囲う形に形成されていることを特徴とする請求項1記載の赤外線検出器。
  3. 上記導体パターンの電位はグラウンド電位であることを特徴とする請求項1または2記載の赤外線検出器。
  4. 上記導体パターンの電位は所定の定電位であることを特徴とする請求項1または2記載の赤外線検出器。
  5. 上記導体パターンの電位は上記熱検出素子用の基準電位であることを特徴とする請求項1または2記載の赤外線検出器。
  6. 上記熱検出素子は、焦電体を検出用電極と基準電位用電極とで挟み込んでなる複数のセンシングエレメントを有し、
    複数のセンシングエレメントのうち上記端子ピンに最も近いセンシングエレメントは、焦電体に対して基準電位用電極が上記第2の樹脂層側とは反対側に位置していることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載の赤外線検出器。
  7. 上記熱検出素子は、焦電体を検出用電極と基準電位用電極とで挟み込んでなる複数のセンシングエレメントを有し、
    複数のセンシングエレメントのうち上記端子ピンに最も近いセンシングエレメントは、焦電体に対して基準電位用電極が上記第2の樹脂層側に位置していることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載の赤外線検出器。
  8. 上記導体パターンを絶縁部で被覆していることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の赤外線検出器。
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