JP5377264B2 - 作業機用エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、例えば刈払機等の作業機に用いられるエンジンに関する。
従来、作業機用のエンジンには、燃料としてガソリンが広く用いられていたが、近年における環境問題や燃料コストの問題に鑑みて、作業機用のエンジンにおいてもバイオマスエタノールが用いられるようになってきている。こうした背景には、例えば特許文献1に示すような従来周知のエンジンに大きな変更を必要としないことや、特許文献2に示すように、糖化係バイオマスやデンプン系バイオマスさらにはセルロース系バイオマスといった種々の原料からエタノールの生成が可能になったという実態がある。
特開平10−288020号公報 特開2004−261696号公報
しかしながら、バイオマスエタノールの生成技術はまだまだ歴史が浅く、その生成過程で分解されなかった物質がバイオマスエタノール中に残留してしまうことがある。
また、近年では、環境問題や食糧問題の観点から、農作物の非食部分や、木材、古紙等の廃棄物系バイオマスであるセルロース系バイオマスを原料とするバイオマスエタノールが注目されている。こうしたセルロース系バイオマスを原料とするバイオマスエタノールの生成においては、前処理としてリグニンの分離除去が必要となる等、糖質系あるいはデンプン系バイオマスを原料とする場合と異なる処理が要求される。そのため、セルロース系バイオマスを原料とするバイオマスエタノールの生成には技術的課題もまだまだ多い。したがって、現在の生成技術により、セルロース系バイオマスを原料として生成されるバイオマスエタノール中には、その生成過程で分解されなかった物質、特にはセルロース類が見受けられる。
こうした燃料を作業機用エンジンに用いると、本来、生成過程で分解されるべき物質がエンジンの部品内に侵入して付着してしまい、燃料の流通が阻害されるなど種々の問題が生じてしまう。
本発明は、バイオマスエタノール中に残留する特有の物質によって特段の問題が生じることのない作業機用のエンジンを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、混合気を吸入して爆発させる燃焼室と、前記燃焼室で発生する爆発圧力によって往復動するピストンと、前記ピストンに連係され、前記ピストンの往復運動を回転運動に変換して出力するクランクシャフトと、バイオマスエタノールが含まれる燃料を貯留するフューエルタンクと、前記フューエルタンクから導かれた燃料を空気に混合して混合気を生成する気化器と、前記フューエルタンクから前記混合気が生成されるまでの燃料の流通過程に設けられ、燃料中に混入する不純物を段階的に除去する1次フィルタおよび2次フィルタと、前記フューエルタンクの燃料を前記気化器に供給する吸入通路と、を備え、前記気化器は、前記フューエルタンクから燃料を吸入するために作動するポンプ室を備え、前記吸入通路が前記ポンプ室に連通し、前記1次フィルタが前記フューエルタンク内において、前記吸入通路の端部に配置され、前記2次フィルタが、前記吸入通路における前記ポンプ室の上流側に配置され、少なくとも前記2次フィルタは、前記バイオマスエタノールの生成過程で分解されずに残留した物質を除去可能であり、前記2次フィルタが、微細な濾過孔が形成され、かつ、燃料の流通方向に立体的に繊維体が入り組む金属繊維からなる。
好適には、前記2次フィルタは前記吸入通路において前記フューエルタンクの外方に位置する部分に設けられる、とよい。
好適には、前記作業機用エンジンは、携帯式の作業機に用いられる、とよい。
好適には、前記気化器は、正圧と負圧とが交互作用して波動運動するダイヤフラムを備え、前記ダイヤフラムの波動運動により前記フューエルタンクから前記ポンプ室へ燃料を吸入する、とよい。
本実施形態の4サイクルエンジンの正面側の断面図である。 本実施形態の4サイクルエンジンの側面側の断面図である。 本実施形態の気化器の断面図である。 本実施形態のスロットルバルブの開度を示す図である。 本実施形態の2次フィルタの分解図である。
図1は、刈払機に用いられる4サイクルエンジンの正面側の断面図、図2は側面側の断面図である。
図1および図2に示すように、4サイクルエンジン1は、シリンダブロック2にピストン4を往復動自在に収容している。このシリンダブロック2の長手方向の一端側(図中上方)にはシリンダヘッド6が一体的に設けられており、これらシリンダブロック2、シリンダヘッド6およびピストン4の上面によって燃焼室8が形成される。
シリンダブロック2の長手方向の他端側(図中下方)には、オイルパン10が固定されており、シリンダブロック2とオイルパン10とによってクランクケース12が構成されている。
このクランクケース12の内部にはクランク室14が形成されており、このクランク室14から両端が突出するようにクランクシャフト16が回転自在に支持されている。このクランクシャフト16は、コンロッド18によってピストン4に連結されており、ピストン4の往復運動がコンロッド18を介してクランクシャフト16の回転運動に変換されることとなる。
なお、クランクケース12の内部には、各機関を潤滑するための潤滑油を貯留する油溜室20が設けられている。この油溜室20は、図示のようにシリンダブロック2に形成された仕切壁2aによってクランク室14から仕切られ、密閉された空間となっている。これにより、刈払機のような携帯式の作業機において、使用の際に天地が逆になったり横向きになったりしても、油溜室20から潤滑油が飛散しないようにしている。
また、図2に示すように、クランクケース12には連通路22が形成されている。この連通路22は、一端を油溜室20に開口させ、他端をクランク室14においてクランクシャフト16の周囲に臨ませている。連通路22における油溜室20側の開口には、可撓性を有するパイプ24が接続されている。パイプ24の先端には錘26が設けられており、4サイクルエンジン1が傾いたとしても、潤滑油の液面の変位にパイプ24が追従して、油溜室20内の潤滑油を確実に吸入することができるようにしている。
また、クランクシャフト16には、その回転過程で連通路22とクランク室14とを連通する潤滑油路16aが形成されており、クランク室14に生じる負圧作用によって、油溜室20内の潤滑油が、パイプ24、連通路22および潤滑油路16aを介してクランク室14に導かれるようにしている。クランク室14に導かれた潤滑油は、クランクシャフト16の回転によって主にクランクウェッブ等から方々に飛散し、ピストン4やクランク室14内の各種の部品を潤滑することとなる。このとき、クランク室14内に飛散した潤滑油は、その一部がミスト化されて後述する側室50や動弁室52に不図示の通路を介して導かれるようにしており、これによって側室50や動弁室52内に設けられた各種の部品も潤滑されるようにしている。なお、側室50や動弁室52に導かれた潤滑油は、ピストン4の昇降作用によって生じる負圧作用により、不図示の戻り通路から再びクランク室14内に戻される。そして、仕切壁2aには、クランク室14から油溜室20への潤滑油の流通のみを許容する一方向弁28が設けられている。この一方向弁28は、クランク室14内の昇圧作用によって開弁するとともに、各種の部品を潤滑した潤滑油を油溜室20に戻すこととなる。
そして、上記シリンダヘッド6には、後述する気化器100で生成された混合気を燃焼室8に導く吸気ポート30、および燃焼室8で生成された排ガスを排気マフラ32に導く排気ポート34が形成されている。また、シリンダヘッド6には、燃焼室8に対して吸気ポート30を開閉する吸気バルブ36および排気ポート34に対して燃焼室8を開閉する排気バルブ38が設けられている。これら吸気バルブ36および排気バルブ38は、動弁機構40によって開閉する。
図2に示すように、本実施形態においては、動弁機構40をいわゆるOHV型動弁機構としている。この動弁機構40は、主な構成部品としてクランクシャフトギヤ42、カムシャフト44、ロッカーアーム46,48等を有している。クランクシャフトギヤ42およびカムシャフト44は、シリンダブロック2およびクランクケース12に沿って形成される側室50に設けられており、ロッカーアーム46,48は、シリンダヘッド6よりも図中さらに上方に形成される動弁室52に設けられている。
上記のクランクシャフトギヤ42は、側室50においてクランクシャフト16と一体となって回転する。上記のカムシャフト44には、側室50においてクランクシャフトギヤ42と噛み合い、クランクシャフト16の1/2回転でカムシャフト44を回転させるカムシャフトギヤ44aが設けられている。さらに、カムシャフト44には、当該カムシャフト44と一体回転するカム44bが設けられている。このカム44bには、プッシュロッド54の一端が接触しており、カム44bの回転によってプッシュロッド54が長手方向に移動するようにしている。プッシュロッド54の他端は、上記のロッカーアーム46,48に接続されており、プッシュロッド54の移動にともなってロッカーアーム46,48は揺動することとなる。そして、ロッカーアーム46,48の揺動によって、それぞれ吸気バルブ36および排気バルブ38が押し下げられ、これによって吸気ポート30および排気ポート34が開閉することとなる。
吸気バルブ36は、ピストン4が上死点から下死点まで移動する吸入工程において開弁する。この吸入工程では、燃焼室8において容積拡大にともなって生じる負圧の作用により、吸気ポート30から燃焼室8内に混合気が吸入することとなる。このように、燃焼室8に吸入される混合気を生成するのが気化器100である。この気化器100は、フューエルタンク56から導かれた燃料を、エアクリーナを通過した空気に混合して混合気を生成している。
すでに説明したように、使用中に天地が逆になったり横向きになったりするおそれがあることを考慮し、本実施形態においては、いずれの方向でも使用できるように、気化器100をダイヤフラム式の構成としている。以下に、図3を用いて気化器100の構成について説明する。
図3に示すように、気化器100は気化器本体102を備えている。気化器本体102には、クランク室14に連通するパルス通路104が形成されており、このパルス通路104をポンプダイヤフラム106の一方の側(図中上面)に臨ませている。このポンプダイヤフラム106の他方の側(図中下面)には、ポンプ室108が形成されている。ポンプ室108には、インレットバルブ110を介してフューエルインレット112が連通し、アウトレットバルブ114およびニードルバルブ116を介してダイヤフラム室118が連通している。なお、フューエルインレット112は、後述する吸入管200および吸入パイプ62を介してフューエルタンク56に接続されている(図1参照)。
クランク室14内では、容積変化にともなって正圧および負圧の交互作用が生じ、この圧力変化がパルス通路104を介してポンプダイヤフラム106に作用する。これにより、ポンプダイヤフラム106は波動運動することとなる。そして、ポンプダイヤフラム106の運動によってポンプ室108側に負圧が作用すると、アウトレットバルブ114が閉じられたままインレットバルブ110が開弁し、フューエルインレット112からポンプ室108に燃料が吸入される。これに対して、ポンプダイヤフラム106の運動によってポンプ室108側に正圧が作用すると、インレットバルブ110が閉じられたままアウトレットバルブ114が開弁し、ポンプ室108からダイヤフラム室118に燃料が吐出される。
ダイヤフラム室118は、メタリングダイヤフラム120によって背圧室122と区画されている。背圧室122にはエンジンの負圧が作用しており、メタリングダイヤフラム120は、エンジンの負圧とダイヤフラム室118との圧力差によって作動することとなる。このメタリングダイヤフラム120は、コントロールレバー124を介して上記のニードルバルブ116に接続されており、このメタリングダイヤフラム120の作動によってニードルバルブ116が開閉するようにしている。具体的には、ダイヤフラム室118が燃料で一杯になると、ダイヤフラム室118が昇圧し、メタリングダイヤフラム120が背圧室122側に作動する。このとき、コントロールレバースプリング126の弾性力により、コントロールレバー124は、その一端(図中左側)が押し下げられるとともに、他端(図中右側)が押し上げられるように回動する。こうしたコントロールレバー124の回動動作によって、ニードルバルブ116が押し上げられ、ポンプ室108とダイヤフラム室118の連通が遮断されることとなる。
また、気化器本体102には、シリンダヘッド6に形成された吸気ポート30と、不図示のエアクリーナとを接続する通路128が形成されている。この通路128は、上流側(エアクリーナ側)を大径部128aとし、下流側(吸気ポート30側)を大径部128aよりも小径のベンチュリ部128bとしており、このベンチュリ部128bに、その開度を変位させるスロットルバルブ130が設けられている。このスロットルバルブ130は、その回転軸を通路128に直交させており、回転レバー130aを操作することによって図中上下方向にスライドしながら回転し、その回転量によってベンチュリ部128bの開度が変位するようにしている。
また、このスロットルバルブ130には、アジャスタスクリュ132が設けられている。このアジャスタスクリュ132は、スロットルバルブ130に対して螺子式に止められており、そのスクリュ先端132aを通路128の中心近傍まで延伸させている。アジャスタスクリュ132をスロットルバルブ130に対して一方(締め付け方向)に回転させると、アジャスタスクリュ132のスクリュ先端132aは、図中下方に移動してベンチュリ部128bへの突出量を増す。これとは逆に、アジャスタスクリュ132をスロットルバルブ130に対して他方(戻し方向)に回転させると、アジャスタスクリュ132のスクリュ先端132aは、図中上方に移動してベンチュリ部128bへの突出量を少なくする。
また、気化器本体102には、アジャスタスクリュ132に対向するようにノズル134が設けられており、このノズル134のノズル先端134aに、アジャスタスクリュ132のスクリュ先端132aが挿入されている。
さらに、ノズル134には、通路128に開口する孔134bが形成されており、この孔134bに連通する基端134cを、ダイヤフラム室118に臨ませている。なお、孔134bとダイヤフラム室118との間には、メインジェット136およびメインチェックバルブ138が設けられている。
そして、吸気バルブ36が開くと、スロットルバルブ130の開度に応じた流量の空気が、エアクリーナから吸気ポート30に向かって通路128内を通過する。このとき、ベンチュリ部128bにおいて空気の流速が増し、ノズル134近傍の負圧作用によって、ダイヤフラム室118から燃料が吸い上げられる。ダイヤフラム室118から吸い上げられた燃料は、孔134bから通路128に吸い出される。このようにして混合気が生成され、この混合気が吸気ポート30を介して燃焼室8に導かれることとなる。なお、空気に混合される燃料の量は、スロットルバルブ130の開度すなわち空気の流量に応じて、次のように制御される。
まず、回転レバー130aが図3に示す位置にあるときには、図4(a)に示すように、スロットルバルブ130によってベンチュリ部128bの開度が絞られており、僅かな空気が通路128を通過する。この状態が4サイクルエンジン1のアイドル状態となるが、このときに孔134bから吸い出される燃料の量は、アジャスタスクリュ132の回転によって調節することができる。つまり、アジャスタスクリュ132を一方(締め付け方向)に回転させると、スクリュ先端132aがベンチュリ部128bに突出して孔134bの開度が小さくなる。よって、孔134bから吸い出される燃料の量が少なくなり、混合気を薄めることができる。これとは逆に、アジャスタスクリュ132を戻し方向に回転させると、スクリュ先端132aがベンチュリ部128bから退避して孔134bの開度が大きくなる。よって、孔134bから吸い出される燃料の量が多くなり、混合気を濃くすることができる。このように、アジャスタスクリュ132を調節することで、アイドル状態における混合気の濃度を調節することが可能となる。
上記のアイドル状態から回転レバー130aを回転させると、図4(b)に示すように、スロットルバルブ130が回転軸方向にスライドしながら回転し、ベンチュリ部128bの開度が大きくなって、通路128を通過する空気の流量が増す。このとき、スロットルバルブ130と一体となってアジャスタスクリュ132も図3において上方にスライドする。したがって、スクリュ先端132aが上方に引き上げられて孔134bの開度が大きくなり、通路128に吸い出される燃料の量が上記のアイドル状態に比べて多くなる。
そして、上記の状態からさらに回転レバー130aを回転させると、図4(c)に示すように、スロットルバルブ130が回転軸方向にさらにスライドしながら回転し、ベンチュリ部128bの開度が最大となる。また、スクリュ先端132aがさらに上方に引き上げられるため、孔134bの開度もさらに大きくなるが、このときに通路128に吸い出される燃料の量はメインジェット136の径によって制御されることとなる。
なお、図3に示すように、気化器本体102には、手動で圧縮および膨張が可能に構成され、その操作によってダイヤフラム室118に負圧を生じさせるプライマポンプ140が設けられている。このプライマポンプ140を操作すると、ダイヤフラム室118が負圧になるため、フューエルタンク56からダイヤフラム室118内に燃料が吸い上げられる。このとき、メインチェックバルブ138は、ノズル134を介して通路128からダイヤフラム室118へ空気が流入するのを防ぐように機能している。そして、吸い上げられた燃料はダイヤフラム室118からオーバーフローパイプ142を介してフューエルタンク56に戻される。
ここで、図1に示すように、気化器100とフューエルタンク56とは、吸入管200および戻り管202によって接続されている。
より具体的には、フューエルタンク56は、断面を略コ字形に形成されており、クランクケース12を覆うように配置されている。フューエルタンク56において、気化器100と対面する部分にはキャップ嵌め込み孔58が形成されており、このキャップ嵌め込み孔58にキャップ60が嵌め込まれている。キャップ60は、戻り管202を圧入固定した状態で貫通させている。戻り管202は、一端を気化器100のオーバーフローパイプ142に圧入固定され、他端をフューエルタンク56内に位置させている。これにより、プライマポンプ140の操作によってダイヤフラム室118に吸い上げられた燃料は、オーバーフローパイプ142および戻り管202を介してフューエルタンク56に戻されることとなる。
また、キャップ60は、吸入パイプ62を圧入固定した状態で貫通させている。この吸入パイプ62は可撓性を有するものであり、一方の端部62aは、後述する接続部材204を介して吸入管200に接続され、他方の端部62bは、フューエルタンク56内に位置している。吸入パイプ62は、戻り管202に比べて長く、フューエルタンク56の奥にまで進入可能としている。また、吸入パイプ62の端部62bには、燃料内の不純物を取り除くための1次フィルタ64が設けられており、気化器100に燃料が導かれる際に、吸入パイプ62に不純物が進入しないようにしている。1次フィルタ64の周囲には錘66が設けられており、4サイクルエンジン1が傾いたとしても、燃料の液面の変位に吸入パイプ62が追従するようにしている。これにより、4サイクルエンジン1がいずれの方向に傾いた場合にも、フューエルタンク56内の燃料が確実に吸入されることとなる。
吸入パイプ62および吸入管200は、図5に示すように、接続部材204を介して接続される。すなわち、接続部材204は、中空の筒体204aと、この筒体204aに螺子止めによって固定される蓋体204bとによって構成される。筒体204aには、圧入や接着剤等によって吸入管200が固定されており、これと同様に、蓋体204bには、吸入パイプ62の端部62aが固定されている。蓋体204bには貫通孔が形成されており、この蓋体204bを筒体204aに螺子止めすることにより、吸入パイプ62と吸入管200とが連通することとなる。
また、筒体204a内には、2次フィルタ206と、この2次フィルタ206を蓋体204b側から筒体204a側に押し付けるスプリング208とが設けられている。2次フィルタ206の側面の面積は、吸入管200の開口面積よりも大きく、スプリング208の弾性力によって2次フィルタ206が吸入管200の開口部全面に押し付けられることにより、吸入される燃料が確実に2次フィルタ206を通過するようにしている。
この2次フィルタ206は、バイオマスエタノールの生成過程で分解されずに残留してしまった物質(例えば、セルロース類。以下、「非分解物質」という)の除去を目的とするものである。つまり、フューエルタンク56から気化器100に燃料が導かれる過程では、まず、1次フィルタ64によって燃料中に混入したゴミ等の不純物が除去される。1次フィルタ64によって不純物が除去された燃料は、さらに2次フィルタ206を通過することとなるが、この2次フィルタ206を燃料が通過する過程で、燃料(バイオマスエタノール)中に含まれる非分解物質が除去されるようにしている。本実施形態においては、2次フィルタ206として、微細な濾過孔が形成され、かつ、燃料の流通方向に立体的に繊維体が入り組む性質を有する金属繊維を用いているが、耐熱性、耐食性等を考慮するとステンレス鋼繊維を用いることがより望ましい。
上記のように、1次フィルタ64と2次フィルタ206とによって、燃料中の不純物を段階的に除去する本実施形態によれば、気化器100への燃料の流通がすぐに阻害されたり、フィルタを頻繁に交換または洗浄したりしなければならないといった煩わしさを生じることなく、確実に不純物を除去することが可能となる。
すなわち、1次フィルタ64によって除去することができなかったセルロース類等の非分解物質を、2次フィルタ206によって除去することができる。
気化器100においては、理論空燃費を実現するために、メインジェット136やノズル134の径を詳細に設計する必要があるが、こうした部位にセルロース類等の非分解物質が付着し続けると径が小さくなってしまい、理論空燃費を実現できなくなってしまう。本実施形態のように、不純物の付着によって影響が及ぼされる部位よりも上流側に2次フィルタ206を設けることにより、こうした特段の問題が生じるのを防ぐことが可能となる。
なお、1次フィルタ64も2次フィルタ206と同様の材質で構成し、非分解物質を1次フィルタ64においても除去するようにしても構わない。ただし、1次フィルタ64によってセルロース類等の非分解物質と他の物質とをまとめて除去しようとすると、1次フィルタ64が目詰まりを生じやすくなるおそれがある。そのため、1次フィルタ64の濾過孔を2次フィルタ206の濾過孔に比べて粗くするとともに、1次フィルタ64によって、主に非分解物質よりも大きな不純物を除去し、非分解物質は主に2次フィルタ206によって除去するようにすることがより望ましい。
このようにした場合には、2次フィルタ206は、1次フィルタ64に比べて濾過孔が微細であるため、交換や洗浄の頻度が多くなる可能性がある。そこで、本実施形態によれば、2次フィルタ206の交換や洗浄の頻度を考慮して、フューエルタンク56と気化器100との流通過程、より詳細には、フューエルタンク56の外方であって、しかも、気化器本体102の外方に着脱容易に2次フィルタ206を設けるようにしている。つまり、2次フィルタ206は、1次フィルタ64よりも下流であって、混合気が生成される前に燃料を濾過することができる位置であれば、その配置や段階は特に限定されない。したがって、2次フィルタ206はフューエルタンク56内に設けてもよいし、気化器100内に設けてもよい。
しかしながら、上記のように交換や洗浄の頻度が高くなるおそれがある2次フィルタ206を、気化器本体102やフューエルタンク56等、他の部品の内部に設けてしまうと、その交換作業や洗浄作業が煩雑になってしまう。本実施形態のように、フューエルタンク56の外方であって、しかも、気化器本体102の外方に着脱容易に2次フィルタ206を設ければ、交換作業や洗浄作業が容易となり、上記のような煩雑さを解消することができる。
なお、本実施形態においては、本発明を4サイクルエンジンに適用した場合について説明したが、本発明は2サイクルエンジンにも適用可能である。
また、本発明を適用可能な作業機は、クランクシャフト16に接続されて、クランクシャフト16の回転動力によって作動するもの全てが含まれる。
また、本実施形態におけるフューエルタンク56や気化器100、あるいはピストン4やクランクシャフト16といった燃焼系や駆動系等の各構成部品の形状や配置等は一例に過ぎず、本実施形態の構成に限定されるものではない。
また、本実施形態は、バイオマスエタノールを燃料として用いた場合に特に有利な作用効果をもたらすものであって、ガソリン等の他の燃料を用いることを妨げるものではない。また、本実施形態の作用効果は、バイオマスエタノールの原料によって限定されることはない。
また、本実施形態においては、2次フィルタ206を金属鋼線によって構成したが、濾過孔の大きさ等、バイオエタノールの生成過程で分解されずに残留してしまう物質を除去することができるものであれば、その材質や形状等は特に限定されない。
また、本実施形態においては、特に1次フィルタ64と2次フィルタ206との関係について説明したが、フィルタは2つに限らず、3つ以上設けることとしても構わない。いずれにしても、多段階にフィルタを設けた場合には、非分解物質を、少なくとも上流側から2つ目以降の1つまたは2以上のフィルタによって除去することができればよい。
4 ピストン
8 燃焼室
16 クランクシャフト
56 フューエルタンク
64 1次フィルタ
100 気化器
206 2次フィルタ

Claims (4)

  1. 混合気を吸入して爆発させる燃焼室と、
    前記燃焼室で発生する爆発圧力によって往復動するピストンと、
    前記ピストンに連係され、前記ピストンの往復運動を回転運動に変換して出力するクランクシャフトと、
    バイオマスエタノールが含まれる燃料を貯留するフューエルタンクと、
    前記フューエルタンクから導かれた燃料を空気に混合して前記混合気を生成する気化器と、
    前記フューエルタンクから前記混合気が生成されるまでの燃料の流通過程に設けられ、燃料中に混入する不純物を段階的に除去する1次フィルタおよび2次フィルタと、
    前記フューエルタンクの燃料を前記気化器に供給する吸入通路と、
    を備え、
    前記気化器は、前記フューエルタンクから燃料を吸入するために作動するポンプ室を備え、前記吸入通路が前記ポンプ室に連通し、
    前記1次フィルタが前記フューエルタンク内において、前記吸入通路の端部に配置され、
    前記2次フィルタが、前記吸入通路における前記ポンプ室の上流側に配置され、
    少なくとも前記2次フィルタは、前記バイオマスエタノールの生成過程で分解されずに残留した物質を除去可能であり、
    前記2次フィルタが、微細な濾過孔が形成され、かつ、燃料の流通方向に立体的に繊維体が入り組む金属繊維からなる、
    作業機用エンジン。
  2. 前記2次フィルタは、前記吸入通路において前記フューエルタンクの外方に位置する部分に設けられる請求項1記載の作業機用エンジン。
  3. 携帯式の作業機に用いられる、
    請求項1または2記載の作業機用エンジン。
  4. 前記気化器は、
    正圧と負圧とが交互作用して波動運動するダイヤフラムを備え、前記ダイヤフラムの波動運動により前記フューエルタンクから前記ポンプ室へ燃料を吸入する、
    請求項1から3のいずれか一項記載の作業機用エンジン。
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