図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶シャッタX1の概略構成を表す平面図である。図2は、図1に示す液晶シャッタX1を表す断面図であり、(a)は図1のIIa−IIa線に沿った断面図であり、(b)は図1のIIb−IIb線に沿った断面図であり、(c)は図1のIIc−IIc線に沿った断面図である。
液晶シャッタX1は、液晶LC、第1基板10と、第2基板20と、封止部材30と、シャッタ用電極40と、加熱用電極50と、配向膜60,61と、偏光素子70,71と、を備えている。なお、図3は、図1に示す液晶シャッタX1の第1基板10側の構成を表す平面図であり、図4は、図1に示す液晶シャッタX1の第2基板20側の構成を表す平面図である。
液晶LCは、電気的、光学的、力学的、あるいは磁気的な異方性を示し、固体の規則性と液体の流動性を併せ持つ部材である。液晶LCとしては、ネマティック液晶、コレステリック液晶、およびスメクティック液晶などが挙げられるが、中でも応答速度の観点からスメクティック液晶に強誘電性機能を持たせた強誘電性液晶が好ましい。液晶LCの駆動方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Place-Switching)方式、およびOCB(Optically Compensated Bend)方式などが挙げられるが、中でも応答速度の観点からOCB方式が特に好ましい。
第1基板10は、シャッタ用電極40の一部、加熱用電極50、配向膜60、および偏光素子70を支持するとともに、液晶LCを封止するのに寄与する部材である。第1基板10は、その少なくとも一部が透光性を有する構造とされている。第1基板10の構成材料としては、例えば透光性ガラスおよび透光性プラスチックが挙げられる。
第2基板20は、シャッタ用電極40の一部、配向膜61、および偏光素子71を支持するとともに、液晶LCを封止するのに寄与する部材である。第2基板20は、その少なくとも一部が透光性を有する構造とされている。第2基板20の構成材料としては、例えば透光性ガラスおよび透光性プラスチックが挙げられる。
封止部材30は、第1基板10と第2基板20との間に液晶LCを封止するのに寄与する部材である。本実施形態において封止部材30は、第1基板10と第2基板20とを所定間隔で離間した状態で接合する役割も担っている。封止部材30の構成材料としては、例えば絶縁性樹脂などの絶縁材料および導電性粒子を含有してなるシール樹脂などの導電性樹脂材料が挙げられる。
本実施形態において封止部材30は、主体部31および閉塞部32を有している。主体部31は、第1基板10と第2基板20との間における液晶LCの封止、および、第1基板10と第2基板20との接合を主体的に行う部位であり、第1基板10と第2基板20との間に液晶LCを注入するための注入口31aを有している。閉塞部32は、注入口31aを塞ぐ役割を担うものである。本実施形態における主体部31および閉塞部32の構成材料としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、およびアリル系樹脂などが挙げられるが、閉塞部32の構成材料としては液晶と混合した状態における硬化性の観点からアリル系樹脂が特に好ましい。また、主体部31と閉塞部32との構成材料は異なる材料を採用してもよいが、表示ムラの発生を抑制する観点から同じ材料を採用するのが好ましい。
シャッタ用電極40は、液晶LCに所定の電圧を印加する役割を担う部材であり、透光性を有する構造とされている。シャッタ用電極40の構成材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)および酸化錫などの透光性導電部材が挙げられる。
本実施形態においてシャッタ用電極40は、第1電極部41と、第2電極部42と、第1配線導体43と、第2配線導体44とを有している。本実施形態において第1電極部41は、第1基板10の上面10a側に位置しており、液晶シャッタとして有効に機能する範囲(以下、「シャッタ有効範囲」という)の略全体にわたって形成されている。本実施形態において第1電極部41の平面視形状は、デットスペースを低減する観点から略矩形状とされているが、これには限られず、略円形状などでもよい。本実施形態において第2電極部42は、第1電極部41に対向するように第2基板20の下面20a側に位置しており、シャッタ有効範囲の略全体にわたって形成されている。本実施形態において第2電極部42の平面視形状は、デットスペースを低減する観点から略矩形状とされているが、これには限られず、略円形状などでもよい。本実施形態において第1配線導体43は、AB方向に沿って延びるように第1基板10の上面10a側に形成されており、一端部が封止部材30により取り囲まれた領域外に位置し、他端部が第1電極部41と連結されている。本実施形態において第2配線導体44は、AB方向に沿って延びるように第2基板20の下面20a側に形成されており、一端部が封止部材30により取り囲まれた領域外に位置し、他端部が第2電極部42と連結されている。また、本実施形態において第2配線導体44の少なくとも一部は、加熱用電極50に対向配置されている。このような構成によると、第2配線導体44をより効果的に加熱することができるため、第2配線導体44を介しての放熱を抑制することができる。なお、図3および図4では、第1電極部41と第1配線導体43との境界、および、第2電極部42と第2配線導体44との境界を点線で示している。
加熱用電極50は、液晶LCに熱を供給する役割を担う部材である。本実施形態において加熱用電極50は、平面視コ字状の角部を有する構成とされているが、このような構成には限られず、例えば平面視U字状のように実質的に角部のない構成としてもよい。加熱用電極50の構成材料としては、例えばITO、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウムネオジウム(AlNd)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)などが挙げられるが、中でも電源電流を低減する観点からアルミニウムあるいは銀が好ましい。本実施形態において加熱用電極50は、単層構造とされているが、このような構成には限られず、積層構造としてもよい。また、積層構造とする場合において、各層の構成材料を同じものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。
本実施形態において加熱用電極50は、並列配線部510を有しており、平面視においてシャッタ用電極40の第1電極部41(シャッタ有効範囲)を取り囲むように形成されている。並列配線部510は、複数(本実施形態では4つ)の配線511,512,513,514を電気的に並列配置してなる部位であり、封止部材30によって規定される封止領域内に位置している。各配線511,512,513,514の単位長さあたりの体積(配線厚さが実質的に均一であれば配線幅)は、該各配線511,512,513,514の長さが長いほど大きくなるように構成されているが、各配線511,512,513,514を流れる電流の大きさのバラツキをより低減する観点から該各配線511,512,513,514の電気抵抗が実質的に等しくなるように構成するのが特に好ましい。
配向膜60,61は、規則性が小さい液晶LCの液晶分子を所定方向に配向させる役割を担うものである。本実施形態において配向膜60は、シャッタ用電極40の第1電極部41などが形成された第1基板10の上面10a側に形成されている。本実施形態において配向膜61は、シャッタ用電極40の第2電極部42などが形成された第2基板20の下面20a側に形成されている。配向膜60,61の構成材料としては、ポリイミド樹脂などが挙げられる。また、配向膜60,61の厚さは、必要に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.02μm以上0.1μm以下に設定される。なお、本実施形態において配向膜60,61は、液晶LCが存在する範囲全体に形成されているが、このような構成には限られず、少なくとも第1電極部41および第2電極部42の全体が被覆されるように形成されていればよい。
偏光素子70,71は、所定の振動方向の光を選択的に透過させる役割を担うものである。偏光素子70,71の構成材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素あるいは染料などを染み込ませたものを一軸方向に延伸したフィルムなどが挙げられる。本実施形態において偏光素子70は、第1基板10の下面10b側に形成されている。本実施形態において偏光素子71は、第2基板20の上面20b側に形成されている。また、本実施形態において偏光素子70は、偏光素子71の軸方向(この軸方向と平行な振動方向の光を選択的に透過させる)に対して実質的に直交するように配置されている。このような構成によると、偏光素子70,71を透過する光のシャッタ機能を発揮するうえで好適である。なお、偏光素子70と第1基板10との間や偏光素子71と第2基板20との間には、必要に応じて位相差フィルムなどを配置してもよい。
本実施形態に係る液晶シャッタX1は、液晶LCに熱を供給するための加熱用電極50を有しているため、低温環境化においても液晶LCを所定温度まで加熱することができ、ひいては低温環境下における液晶LCの応答速度の低下を緩和することができる。
また、液晶シャッタX1の加熱用電極50は、複数の配線511,512,513,514を電気的に並列配置してなる並列配線部510を有している。加えて、並列配線部510を構成する各配線511,512,513,514の単位長さあたりの体積(配線厚さが実質的に均一であれば配線幅)は、該各配線511,512,513,514の長さが長いほど大きい。そのため、液晶シャッタX1では、並列配線部510を構成する各配線511,512,513,514の電気抵抗差を小さくすることができ、ひいては該各配線511,512,513,514を流れる電流の大きさのバラツキを低減することができる。したがって、液晶シャッタX1では、加熱用電極50の劣化に起因する信頼性の低下を抑制することができる。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る液晶シャッタX2の概略構成を表す平面図である。図6は、図5に示す液晶シャッタX2を表す断面図であり、(a)は図5のVIa−VIa線に沿った断面図であり、(b)は図5のVIb−VIb線に沿った断面図であり、(c)は図5のVIc−VIc線に沿った断面図である。図7は、図5に示す液晶シャッタX2の第1基板10側の構成を表す平面図であり、図8は、図5に示す液晶シャッタX2の第2基板20側の構成を表す平面図である。液晶シャッタX2は、加熱用電極50に代えて加熱用電極50Aを採用する点において液晶シャッタX1と異なる。液晶シャッタX2の他の構成については、液晶シャッタX1に関して上述したのと同様である。
加熱用電極50Aは、液晶LCに熱を供給する役割を担う部材である。本実施形態において加熱用電極50Aは、平面視コ字状の角部を有する構成とされている。加熱用電極50Aの構成材料としては、上述の加熱用電極50と同様のものが挙げられる。本実施形態において加熱用電極50Aは、単層構造とされているが、このような構成には限られず、積層構造としてもよい。また、積層構造とする場合において、各層の構成材料を同じものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。
本実施形態において加熱用電極50Aは、並列配線部510Aを有しており、平面視においてシャッタ用電極40の第1電極部41(シャッタ有効範囲)を取り囲むように形成されている。並列配線部510Aは、複数(本実施形態では4つ)の配線511A,512A,513A,514Aを電気的に並列配置してなる部位であり、平面視において封止部材30による封止領域内の角部50Aaにのみ位置している。各配線511A,512A,513A,514Aの単位長さあたりの体積(配線厚さが実質的に均一であれば配線幅)は、該各配線511A,512A,513A,514Aの長さが長いほど大きくなるように構成されているが、各配線511A,512A,513A,514Aを流れる電流の大きさのバラツキをより低減する観点から該各配線511A,512A,513A,514Aの電気抵抗が実質的に等しくなるように構成するのが特に好ましい。なお、本実施形態において角部50Aaは、図7に示すように、加熱用電極50Aにおいて点線により区切られた部分である。
本実施形態に係る液晶シャッタX2は、液晶LCに熱を供給するための加熱用電極50Aを有しているため、低温環境化においても液晶LCを所定温度まで加熱することができ、ひいては低温環境下における液晶LCの応答速度の低下を緩和することができる。
また、液晶シャッタX2の加熱用電極50Aは、角部50Aaにのみ並列配線部510Aを有している。そのため、液晶シャッタX2では、加熱用電極50Aを発熱させる場合に特に高温になり易い角部50Aaにおいて、並列配線部510Aを構成する各配線511,512,513,514を流れる電流の大きさのバラツキを低減することができる。したがって、液晶シャッタX2では、加熱用電極50Aの劣化に起因する信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、液晶シャッタX2では、角部50Aa以外の部位において加熱用電極50AがスリットSを有していないため、シャッタ有効範囲における温度均一性を高めつつ、液晶LCをより効果的に加熱することが可能となる。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る液晶シャッタX3の概略構成を表す平面図である。図10は、図9に示す液晶シャッタX3を表す断面図であり、(a)は図9のXa−Xa線に沿った断面図であり、(b)は図9のXb−Xb線に沿った断面図であり、(c)は図9のXc−Xc線に沿った断面図である。図11は、図9に示す液晶シャッタX3の第1基板10側の構成を表す平面図であり、図12は、図9に示す液晶シャッタX3の第2基板20側の構成を表す平面図である。液晶シャッタX3は、加熱用電極50に代えて加熱用電極50Bを採用する点において液晶シャッタX1と異なる。液晶シャッタX3の他の構成については、液晶シャッタX1に関して上述したのと同様である。
加熱用電極50Bは、液晶LCに熱を供給する役割を担う部材である。本実施形態において加熱用電極50Bは、平面視コ字状の角部を有する構成とされているが、このような構成には限られず、例えば平面視U字状のように実質的に角部のない構成としてもよい。加熱用電極50Bの構成材料としては、上述の加熱用電極50と同様のものが挙げられる。本実施形態において加熱用電極50Bは、2層以上積層してなる積層構造であればよい。
本実施形態において加熱用電極50Bは、第1基板10の上面10a側に位置しており、シャッタ用電極40の第1電極部41(シャッタ有効範囲)を取り囲むように形成されている。また、本実施形態において加熱用電極50Bは、第1抵抗層51Bと第2抵抗層52Bとの積層構造である。第1抵抗層51Bは、第2抵抗層52B上に位置しており、封止部材30による封止領域内に並列配線部510Bを有している。並列配線部510Bは、複数の配線511B,512B,513B,514Bを電気的に並列配置してなる部位である。各配線511B,512B,513B,514Bの単位長さあたりの体積(配線厚さが実質的に均一であれば配線幅)は、該各配線511B,512B,513B,514Bの長さが長いほど大きくなるように構成されているが、各配線511B,512B,513B,514Bを流れる電流の大きさのバラツキをより低減する観点から該各配線511B,512B,513B,514Bの電気抵抗が実質的に等しくなるように構成するのが特に好ましい。第2抵抗層52Bは、第1基板10の上面10aに位置しており、第1抵抗層51Bより電気抵抗が大きくなるように構成されている。第1抵抗層51Bの構成材料と第2抵抗層52Bの構成材料との組合せとしては、並列配線部510Bの形成領域において第2抵抗層52Bの電気抵抗が第1抵抗層51Bの電気抵抗より大きくなるように構成されていれば特に限定されるものではないが、信頼性および製造効率の観点から、第1抵抗層51Bとしてアルミニウムを含んでなるものを採用し、第2抵抗層52Bとして酸化インジウムスズを含んでなるものを採用するのが好ましい。
本実施形態に係る液晶シャッタX3は、液晶LCに熱を供給するための加熱用電極50Bを有しているため、低温環境化においても液晶LCを所定温度まで加熱することができ、ひいては低温環境下における液晶LCの応答速度の低下を緩和することができる。
また、液晶シャッタX3の加熱用電極50Bは、複数の配線511B,512B,513B,514Bを電気的に並列配置してなる並列配線部510Bを有している。加えて、並列配線部510Bを構成する各配線511B,512B,513B,514Bの単位長さあたりの体積(配線厚さが実質的に均一であれば配線幅)は、該各配線511B,512B,513B,514Bの長さが長いほど大きい。そのため、液晶シャッタX3では、並列配線部510Bを構成する各配線511B,512B,513B,514Bの電気抵抗差を小さくすることができ、ひいては該各配線511B,512B,513B,514Bを流れる電流の大きさのバラツキを低減することができる。したがって、液晶シャッタX3では、加熱用電極50Bの劣化に起因する信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、液晶シャッタX3では、加熱用電極50Bが第1抵抗層51Bと第2抵抗層52Bとの積層構造であるのに加え、並列配線部510Bが第1抵抗層51Bによって構成されているため、加熱用電極50Bにおける温度均一性を高めつつ、液晶LCをより効果的に加熱することが可能となる。
図13は、本発明の第4の実施形態に係る液晶シャッタX4の概略構成を表す平面図である。図14は、図13に示す液晶シャッタX4を表す断面図であり、(a)は図13のXIVa−XIVa線に沿った断面図であり、(b)は図13のXIVb−XIVb線に沿った断面図であり、(c)は図13のXIVc−XIVc線に沿った断面図である。図15は、図13に示す液晶シャッタX4の第1基板10側の構成を表す平面図であり、図16は、図13に示す液晶シャッタX4の第2基板20側の構成を表す平面図である。液晶シャッタX4は、加熱用電極50に代えて加熱用電極50Cを採用する点において液晶シャッタX1と異なる。液晶シャッタX4の他の構成については、液晶シャッタX1に関して上述したのと同様である。
加熱用電極50Cは、液晶LCに熱を供給する役割を担う部材である。本実施形態において加熱用電極50Cは、平面視コ字状の角部を有する構成とされているが、このような構成には限られず、例えば平面視U字状のように実質的に角部のない構成としてもよい。加熱用電極50Cの構成材料としては、上述の加熱用電極50と同様のものが挙げられる。本実施形態において加熱用電極50Cは、2層以上積層してなる積層構造であればよい。
本実施形態において加熱用電極50Cは、第1基板10の上面10a側に位置しており、シャッタ用電極40の第1電極部41(シャッタ有効範囲)を取り囲むように形成されている。また、本実施形態において加熱用電極50Cは、第1抵抗層51Cと第2抵抗層52Cとの積層構造である。第1抵抗層51Cは、第1基板10の上面10aに位置しており、封止部材30による封止領域内に並列配線部510Cを有している。並列配線部510Cは、複数の配線511C,512C,513C,514Cを電気的に並列配置してなる部位である。各配線511C,512C,513C,514Cの単位長さあたりの体積(配線厚さが実質的に均一であれば配線幅)は、該各配線511C,512C,513C,514Cの長さが長いほど大きくなるように構成されているが、各配線511C,512C,513C,514Cを流れる電流の大きさのバラツキをより低減する観点から該各配線511C,512C,513C,514Cの電気抵抗が実質的に等しくなるように構成するのが特に好ましい。第2抵抗層52Cは、第1抵抗層51C上および各配線511C,512C,513C,514C間に位置しており、第1抵抗層51Cより電気抵抗が大きくなるように構成されている。第1抵抗層51Cの構成材料と第2抵抗層52Cの構成材料との組合せとしては、並列配線部510Cの形成領域において第2抵抗層52Cの電気抵抗が第1抵抗層51Cの電気抵抗より大きくなるように構成されていれば特に限定されるものではないが、信頼性および製造効率の観点から、第1抵抗層51Cとしてアルミニウムを含んでなるものを採用し、第2抵抗層52Cとして酸化インジウムスズを含んでなるものを採用するのが好ましい。
本実施形態に係る液晶シャッタX4は、液晶LCに熱を供給するための加熱用電極50Cを有しているため、低温環境化においても液晶LCを所定温度まで加熱することができ、ひいては低温環境下における液晶LCの応答速度の低下を緩和することができる。
また、液晶シャッタX4の加熱用電極50Cは、複数の配線511C,512C,513C,514Cを電気的に並列配置してなる並列配線部510Cを有している。加えて、並列配線部510Cを構成する各配線511C,512C,513C,514Cの単位長さあたりの体積(配線厚さが実質的に均一であれば配線幅)は、該各配線511C,512C,513C,514Cの長さが長いほど大きい。そのため、液晶シャッタX4では、並列配線部510Cを構成する各配線511C,512C,513C,514Cの電気抵抗差を小さくすることができ、ひいては該各配線511C,512C,513C,514Cを流れる電流の大きさのバラツキを低減することができる。したがって、液晶シャッタX4では、加熱用電極50Cの劣化に起因する信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、液晶シャッタX4では、加熱用電極50Cが第1抵抗層51Cと第2抵抗層52Cとの積層構造であるのに加え、並列配線部510Cが第1抵抗層51Cによって構成され且つ各配線511C,512C,513C,514Cに第2抵抗層52Cが存在しているため、加熱用電極50Cにおける温度均一性を高めつつ、液晶LCをより効果的に加熱することが可能となる。
図17は、液晶シャッタX1を備えるカメラモジュールYの概略構成を表す断面図である。カメラモジュールYは、液晶シャッタX1と、光学レンズ系90と、受光素子91と、筐体92とを備えている。なお、本実施形態に係るカメラモジュールYでは、液晶シャッタX1を用いて説明するが、液晶シャッタX1に代えて液晶シャッタX2,X3,X4を採用してもよい。
光学レンズ系90は、被写体からの光を受光素子91に集光する役割を担うものである。本実施形態において光学レンズ系90は、1つのレンズにより構成されているが、透過する光の収差を補正する目的などにより更に他のレンズを追加して複数のレンズによる構成としてもよい。光学レンズ系90を構成するレンズの構成材料としては、例えば、ガラスと、アクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂などの透明樹脂とが挙げられる。
受光素子91は、光学レンズ系90により集光された光を電気信号などに変換する役割を担うものである。受光素子91としては、例えばCCDイメージセンサおよびCMOSイメージセンサなどの光電変換素子が挙げられる。
筐体92は、液晶シャッタX1、光学レンズ系90、および受光素子91を収容する役割を担うものである。筐体92の構成材料としては、例えばポリカーボネート樹脂などの樹脂と、Alなどの金属と、ステンレス(SUS)などの合金とが挙げられる。
本発明に係るカメラモジュールYは、液晶シャッタX1を備えていることから、上述した液晶シャッタX1と同様の効果を享受することができる。
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
液晶シャッタX1では、加熱用電極50として平面視コ字状のものが採用されているが、これに代えて、例えば図18に示すような加熱用電極50Dを採用してもよい。このような構成によると、シャッタ用電極40における第1配線導体43と加熱用電極50Dとの間の離間距離が、該第1配線導体43と加熱用電極50との間の離間距離に比べて小さくすることができるため、第1配線導体43をより効果的に加熱することができる。つまり、加熱用電極50Dを採用した液晶シャッタX1では、第1配線導体43を介しての放熱をより抑制することができる。なお、液晶シャッタX2,X3,X4においても同様の構成を採用することが可能であり、それによって同様の効果を得ることができる。
液晶シャッタX1,X2,X3,X4において加熱用電極50,50A,50B,50Cとして積層構造を採用する場合、各層間にCr含有層を更に設けてもよい。特に、第1層としてAl含有層を採用し、第2層としてITO含有層を採用する場合において、第1層と第2層との間にCr含有層を設けるのが好ましい。このような構成によると、第1層と第2層との間における絶縁性を過剰に高めることなく、密着性を高めることができる。