図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、充放電可能なマスタバッテリ50と、マスタバッテリ50からの電力を昇圧してインバータ41,42に供給するマスタ側昇圧回路55と、マスタバッテリ50とマスタ側昇圧回路55との接続や接続の解除を行なうシステムメインリレー56と、充放電可能なスレーブバッテリ60,62と、スレーブバッテリ60,62からの電力を昇圧してインバータ41,42に供給するスレーブ側昇圧回路65と、スレーブバッテリ60,62の各々とスレーブ側昇圧回路65との接続や接続の解除を各々に行なうシステムメインリレー66,67と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70と、を備える。以下、説明の都合上、マスタ側昇圧回路55およびスレーブ側昇圧回路65よりインバータ41,42側を高電圧系といい、マスタ側昇圧回路55よりマスタバッテリ50側を第1低電圧系といい、スレーブ側昇圧回路65よりスレーブバッテリ60,62側を第2低電圧系という。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出する図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなどが入力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して、最終的には車両の駆動輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42やマスタ側昇圧回路55を介してマスタバッテリ50と電力のやりとりを行なうと共にインバータ41,42やスレーブ側昇圧回路65を介してスレーブバッテリ60,62と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを接続する電力ライン(以下、高電圧系電力ラインという)54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。
マスタ側昇圧回路55およびスレーブ側昇圧回路65は、周知の昇降圧コンバータとして構成されている。マスタ側昇圧回路55は、マスタバッテリ50にシステムメインリレー56を介して接続された電力ライン(以下、第1低電圧系電力ラインという)59と前述の高電圧系電力ライン54とに接続され、マスタバッテリ50の電力を昇圧してインバータ41,42に供給したりインバータ41,42に作用している電力を降圧してマスタバッテリ50を充電したりする。スレーブ側昇圧回路65は、スレーブバッテリ60にシステムメインリレー66を介して接続されると共にスレーブバッテリ62にシステムメインリレー67を介して接続された電力ライン(以下、第2低電圧系電力ラインという)69と高電圧系電力ライン54とに接続され、スレーブバッテリ60,62のうちスレーブ側昇圧回路65に接続されているスレーブバッテリ(以下、接続スレーブバッテリという)の電力を昇圧してインバータ41,42に供給したりインバータ41,42に作用している電力を降圧して接続スレーブバッテリを充電したりする。なお、高電圧系電力ライン54の正極母線と負極母線とには平滑用のコンデンサ57が接続されており、第1低電圧系電力ライン59の正極母線と負極母線とには平滑用のコンデンサ58が接続されており、第2低電圧系電力ライン69の正極母線と負極母線とには平滑用のコンデンサ68が接続されている。
モータMG1,MG2およびマスタ側昇圧回路55およびスレーブ側昇圧回路65は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流,コンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ57aからの電圧(高電圧系の電圧)VH,スレーブ側昇圧回路65の高電圧系電力ライン54側の端子に取り付けられた電流センサ65aからのスレーブ側電流Ibs,コンデンサ58の端子間に取り付けられた電圧センサ58aからの電圧(第1低電圧系の電圧)VL1,コンデンサ68の端子間に取り付けられた電圧センサ68aからの電圧(第2低電圧系の電圧)VL2などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号やマスタ側昇圧回路55のスイッチング素子へのスイッチング制御信号,スレーブ側昇圧回路65のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
マスタバッテリ50とスレーブバッテリ60,62とは、いずれもリチウムイオン二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、マスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62を管理するのに必要な信号、例えば、マスタバッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb1,マスタバッテリ50の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib1,マスタバッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tb1,スレーブバッテリ60,62の各々の端子間に設置された電圧センサ61a,63aからの端子間電圧Vb2,Vb3,スレーブバッテリ60,62の各々の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサ61b,63bからの充放電電流Ib2,Ib3,スレーブバッテリ60,62にそれぞれ取り付けられた温度センサ61c,63cからの電池温度Tb2,Tb3などが入力されており、必要に応じてマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、マスタバッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ib1の積算値に基づいてマスタバッテリ50の蓄電量E1の蓄電容量RC1に対する割合である蓄電割合SOC1を演算したり、演算した蓄電割合SOC1と電池温度Tb1とに基づいてマスタバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win1,Wout1を演算したりすると共に、スレーブバッテリ60,62を管理するために、電流センサ61b,63bにより検出された充放電電流Ib2,Ib3の積算値に基づいてスレーブバッテリ60,62の蓄電量E2,E3の蓄電容量RC2,RC3に対する割合である蓄電割合SOC2,SOC3を演算したり、演算した蓄電割合SOC2,SOC3と電池温度Tb2,Tb3とに基づいてスレーブバッテリ60,62の入出力制限Win2,Wout2,Win3,Wout3を演算したりしている。また、バッテリECU52は、演算した蓄電割合SOC1,SOC2,SOC3にそれぞれの蓄電容量RC1,RC2,RC3を乗じて得られる蓄電量E1,E2,E3の和(E1+E2+E3)のマスタバッテリ50,スレーブバッテリ60,62の全蓄電容量(RC1+RC2+RC3)に対する割合である全体蓄電割合SOCも演算している。なお、マスタバッテリ50の入出力制限Win1,Wout1は、電池温度Tb1に基づいて入出力制限Win1,Wout1の基本値を設定し、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win1,Wout1の基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。図2にマスタバッテリ50の電池温度Tb1と入出力制限Win1,Wout1との関係の一例を示し、図3にマスタバッテリ50の蓄電割合SOC1と入出力制限Win1,Wout1の補正係数との関係の一例を示す。スレーブバッテリ60,62の入出力制限Win2,Wout2,Win3,Wout3は、マスタバッテリ50の入出力制限Win1,Wout1と同様に設定することができる。さらに、実施例では、マスタバッテリ50,スレーブバッテリ60,62は、蓄電容量RC1,RC2,RC3が同一(以下、まとめて蓄電容量RCと表わすことがある)のものを用いるものとした。
第2低電圧系には、スレーブ側昇圧回路65に対してスレーブバッテリ60,62と並列に充電器90が接続されると共にこの充電器90に車両側コネクタ92が接続されている。車両側コネクタ92は、車外の電源である交流の外部電源(例えば、家庭用電源(AC100V)など)100に接続された外部電源側コネクタ102を接続可能に形成されている。充電器90は、第2低電圧系と車両側コネクタ92との接続や接続の解除を行なう充電用リレーや、外部電源100からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ,AC/DCコンバータにより変換した直流電力の電圧を変換して第2低電圧系に供給するDC/DCコンバータなどを備える。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,などが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、システムメインリレー56,66,67への駆動信号,充電器90への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであるから、両者を合わせてエンジン運転モードとして考えることができる。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や予め設定された充電ポイントで車両をシステム停止した後に外部電源側コネクタ102と車両側コネクタ92とが接続されると、充電器90内の充電用リレーをオンとし、システムメインリレー56,66,67のオンオフとマスタ側昇圧回路55やスレーブ側昇圧回路65,充電器90内のAC/DCコンバータやDC/DCコンバータの制御とにより、外部電源100からの電力を用いてマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62を満充電や満充電より低い所定の充電状態(例えば、蓄電割合SOC1,SOC2,SOC3が80%や85%の状態)にする。このようにしてマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62が充分に充電されている状態でシステム起動(イグニッションオン)されて走行する際には、マスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62からの電力を用いて電動走行によってある程度の距離(時間)を走行することが可能となる。しかも、実施例のハイブリッド自動車20では、マスタバッテリ50に加えてスレーブバッテリ60,62を備えるから、マスタバッテリ50だけを備えるものに比して電動走行によって走行する走行距離(走行時間)を長くすることができる。そして、バッテリ50の充電後にシステム起動したときには、図4に例示する走行モード設定ルーチンに示すように、システム起動されたときの全体蓄電割合SOCがある程度の電動走行が可能な全体蓄電割合SOCとして予め設定された閾値Sev(例えば40%や50%など)以上のときには全体蓄電割合SOCがエンジン22の始動を十分に行なうことができる程度に設定された閾値Shv(例えば27%や30%など)未満に至るまでモータ運転モードによる走行(電動走行)を優先して走行する電動走行優先モードを走行モードとして設定して走行し(ステップS100〜S140)、システム起動したときの蓄電割合SOCが閾値Sev未満のときやシステム起動されたときの全体蓄電割合SOCが閾値Sev以上であってもその後に全体蓄電割合SOCが閾値Shv未満に至った以降はエンジン運転モードによる走行(ハイブリッド走行)を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを走行モードとして設定して走行する(ステップS150)。
実施例のハイブリッド自動車20では、電動走行優先モードにより走行するときには、ハイブリッド用電子制御ユニット70によって実行される図5に例示する接続状態設定ルーチンにより、マスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62の接続状態を切り替える。接続状態設定ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、システム停止時に外部電源100からの電力を用いて充電器90によりマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62が充分に充電されている状態でシステム起動(イグニッションオン)されたときには、システムメインリレー56,66をオンとして第1接続状態(マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60とモータMG1,MG2側とが接続されると共にスレーブバッテリ62とモータMG1,MG2側との接続が解除される状態)にする(ステップS200)。続いて、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1に比してスレーブバッテリ60の蓄電割合SOC2が迅速に低下するようモータECU40によってマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御しながら電動走行優先モードによって走行し、スレーブバッテリ60の蓄電割合SOC2が所定蓄電割合Sref2(例えば、20%や25%,30%など)未満に至ると(ステップS210,S220)、第1接続状態からシステムメインリレー66をオフとすると共にシステムメインリレー67をオンとして第2接続状態(マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ62とモータMG1,MG2側とが接続されると共にスレーブバッテリ60とモータMG1,MG2側との接続が解除される状態)に切り替える(ステップS230)。そして、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1が所定蓄電割合Sref1(例えば、30%や35%,40%など)以下になるタイミングとスレーブバッテリ62の蓄電割合SOC3が所定蓄電割合Sref3(例えば、20%や25%,30%など)以下になるタイミングとが同一になり且つそのタイミングで全体蓄電割合SOCが閾値Shv未満になるようモータECU40によってマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御しながら電動走行優先モードによって走行し、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1が所定蓄電割合Sref1未満に至ると共にスレーブバッテリ62の蓄電割合SOC3が所定蓄電割合Sref3未満に至るタイミングで全体蓄電割合SOCが閾値Shv未満になると(ステップS240、S250)、第2接続状態からシステムメインリレー67をオフとしてスレーブ遮断状態(マスタバッテリ50とモータMG1,MG2側とが接続されると共にスレーブバッテリ60,62の両方とモータMG1,MG2側との接続が解除される状態)に切り替えて(ステップS260)、本ルーチンを終了する。スレーブ遮断状態では、車両に要求される要求パワーに基づいてエンジン22を間欠運転しながらハイブリッド走行優先モードによって走行する。
図6は、電動走行優先モードにより一様に電動走行したときのマスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62の蓄電割合SOC1,SOC2,SOC3,全体蓄電割合SOC,モータMG1,MG2側に接続されているバッテリ全体の出力制限である接続全体出力制限Woutco,走行モードの時間変化の一例を示す説明図である。ここで、接続全体出力制限Woutcoは、第1接続状態のときにはマスタバッテリ50の出力制限Wout1とスレーブバッテリ60の出力制限Wout2との和であり、第2接続状態のときにはマスタバッテリ50の出力制限Wout1とスレーブバッテリ62の出力制限Wout3との和であり、スレーブ遮断状態のときにはマスタバッテリ50の出力制限Wout1である。図示するように、時間t1の走行開始から第1接続状態によりマスタバッテリ50とスレーブバッテリ60とから放電されてスレーブバッテリ60の蓄電割合SOC2がマスタバッテリ50の蓄電割合SOC1に比して迅速に低下してスレーブバッテリ60の蓄電割合SOC2が閾値Sref2未満に至ると(時間t2)、第1接続状態から第2接続状態に切り替えられ、マスタバッテリ50とスレーブバッテリ62とから放電されてマスタバッテリ50の蓄電割合SOC1が閾値Sref1未満に至ると共にスレーブバッテリ62の蓄電割合SOC3が閾値Sref3未満に至るタイミングで全体蓄電割合SOCが閾値Shv未満に至ると(時間t3)、第2接続状態からスレーブ遮断状態に切り替えられると共に電動走行優先モード(EV優先モード)からハイブリッド走行優先モード(HV優先モード)に切り替えられる。
次に、実施例のハイブリッド自動車20における駆動制御について説明する。図7は電動走行優先モードにより走行するときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される電動走行優先駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図8はハイブリッド走行優先モードにより走行するときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるハイブリッド走行優先駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。以下、順に説明する。
図7の電動走行優先駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62の蓄電割合SOC1,SOC2,SOC3,マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62の出力制限Wout1,Wout2,Wout3,図5の接続状態設定ルーチンにより設定された接続状態など制御に必要なデータを入力し(ステップS300)、入力した出力制限Wout1,Wout2,Wout3と接続状態とに基づいてモータMG1,MG2側に接続されているバッテリから出力可能な最大電力である接続全体出力制限Woutcoを設定する(ステップS305)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1は電流センサ51bにより検出された充放電電流Ib1の積算値に基づいて演算されたものを、スレーブバッテリ60の蓄電割合SOC2は電流センサ61bにより検出された充放電電流Ib2の積算値に基づいて演算されたものを、 スレーブバッテリ62の蓄電割合SOC3は電流センサ63bにより検出された充放電電流Ib3の積算値に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。さらに、マスタバッテリ50の出力制限Wout1はマスタバッテリ50の電池温度Tb1と蓄電割合SOC1とに基づいて設定されたものを、スレーブバッテリ60の出力制限Wout2はスレーブバッテリ60の電池温度Tb2と蓄電割合SOC2とに基づいて設定されたものを,スレーブバッテリ62の出力制限Wout3はスレーブバッテリ62の電池温度Tb3と蓄電割合SOC3とに基づいて設定されたものを,それぞれバッテリECU52から通信により入力するものとした。さらに、接続全体出力制限Woutcoは、マスタバッテリ50の出力制限Wout1と接続スレーブバッテリの出力制限Wouts(第1接続状態のときにはスレーブバッテリ60の出力制限Wout2、第2接続状態のときにはスレーブバッテリ62の出力制限Wout3)との和を設定するものとした。なお、実施例では、電動走行優先モードのときにはスレーブ遮断状態にならないが、スレーブ遮断状態のときにはマスタバッテリ50の出力制限Wout1を設定すればよい。
続いて、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と走行のために車両に要求される走行用パワーPdrv*とを設定すると共に(ステップS310)、接続全体出力制限Woutcoをエンジン22を始動するための閾値Pstartに設定する(ステップS320)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図9に要求トルク設定用マップの一例を示す。走行用パワーPdrv*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと損失としてのロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができる。
そして、エンジン22が運転中であるか或いは運転停止中であるかを判定し(ステップS330)、エンジン22が運転停止中であるときには、設定した走行用パワーPdrv*が閾値Pstart以下であるか否かを判定し(ステップS340)、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart以下であるときには、電動走行を継続すべきと判断し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に(ステップS350)、要求トルクTr*にトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを加えて更に減速ギヤ35のギヤ比Grで除してモータMG2から出力すべきトルク指令Tm2*を次式(1)により計算し(ステップS384)、接続全体出力制限Woutcoとトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との差分をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2のトルク制限Tm2maxを次式(2)により計算し(ステップS386)、仮トルクTm2tmpを式(3)によりトルク制限Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS388)、後述の目標スレーブ側電力設定処理により目標スレーブ側電力Pbs*を設定すると共に(ステップS390)、マスタバッテリ50の出力制限Wout1に所定のマージンΔW(例えば、3kwや5kwなど)を加えたものを補正後出力制限Wout1moとして設定し(ステップS392)、トルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,接続全体出力制限Woutco,補正後出力制限Wout1moをモータECU40に送信して(ステップS394)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,接続全体出力制限Woutco,補正後出力制限Wout1moを受信したモータECU40は、これらを用いて、後述のモータ制御ルーチンにより、モータMG1,MG2とマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御する。いま、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart(接続全体出力制限Woutco)以下であるときを考えているから、こうした制御により、モータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。電動走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図10に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。ここで、式(1)は、図10の共線図から容易に導くことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (1)
Tm2max=(Woutco-Tm1*・Nm1)/Nm2 (2)
Tm2*=min(Tm2tmp,Tm2max) (3)
ステップS340で走行用パワーPdrv*が閾値Pstartより大きいと判定されると、エンジン22を始動する(ステップS370)。ここで、エンジン22の始動は、モータMG1からトルクを出力すると共にこのトルクの出力に伴って駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクをモータMG2によりキャンセルするトルクを出力することによりエンジン22をクランキングし、エンジン22の回転数Neが所定回転数(例えば1000rpm)に至ったときに燃料噴射制御や点火制御などを開始することにより行なわれる。なお、このエンジン22の始動の最中も接続全体出力制限Woutcoの範囲内で要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2の駆動制御が行なわれる。即ち、モータMG2から出力すべきトルクは、基本的には、要求トルクTr*をリングギヤ軸32aに出力するためのトルクとエンジン22をクランキングする際にリングギヤ軸32aに作用するトルクをキャンセルするためのトルクとの和のトルクとなる。
エンジン22を始動すると、モータMG1,MG2側に接続されているバッテリ全体の蓄電割合SOCである接続全体蓄電割合SOCcoと接続全体蓄電割合SOCcoを管理するための管理中心である接続全体管理中心Sccoとに基づいて充放電要求パワーPb*(充電側を正とする)を設定すると共に(ステップS372)、走行用パワーPdrv*と充放電要求パワーPb*との和としてエンジン22から出力すべき要求パワーPe*を設定する(ステップS374)。ここで、接続全体蓄電割合SOCcoは、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1および蓄電容量RC1と接続スレーブバッテリの蓄電割合SOCsおよび接続スレーブバッテリの蓄電容量RCsとを用いて次式(4)により計算することができる。実施例では、マスタバッテリ50,スレーブバッテリ60,62を同一の蓄電容量RCとしたから、接続全体割合SOCcoは、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1と接続スレーブバッテリの蓄電割合SOCsとの平均値に等しい。また、接続全体管理中心Sccoは、いま電動走行優先モードで走行しているときを考えているから、例えば、第1接続状態または第2接続状態でエンジン22の運転停止中に走行用パワーPdrv*が閾値Pstartより大きくなったとき(電動走行からハイブリッド走行に切り替わるとき)の接続全体蓄電割合SOCcoを用いればよい。さらに、充放電要求パワーPb*は、実施例では接続全体蓄電割合SOCcoと接続全体管理中心Sccoと充放電要求パワーPb*との関係を予め定めて充放電要求パワー設定用マップとして記憶しておき、接続全体蓄電割合SOCcoが与えられるとマップから対応する充放電要求パワーPb*を導出して設定するものとした。充放電要求パワー設定用マップの一例を図10に示す。実施例では、図示するように、接続全体管理中心Sccoを中心とした若干の不感帯を設け、接続全体蓄電割合SOCcoが接続全体管理中心Sccoから不感帯を超えて大きくなると放電側の充放電要求パワーPb*(負の値)が設定され、接続全体蓄電割合SOCcoが接続全体管理中心Sccoから不感帯を超えて小さくなると充電側の充放電要求パワーPb*(正の値)が設定される。
SOCco=(SOC1・RC1+SOCs・RCs)/(RC1+RCs) (4)
こうして要求パワーPe*を設定すると、要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定してエンジンECU24に送信する(ステップS380)。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図12に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などの制御を行なう。
続いて、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG2の回転数Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(5)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とに基づいて式(6)によりモータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*を計算する(ステップS382)。式(5)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図13に示す。図中、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。式(5)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。ここで、式(6)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(6)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/ρ (5)
Tm1*=ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (6)
そして、モータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS384〜S388)、目標スレーブ側電力Pbs*を設定すると共に(ステップS390)、補正後出力制限Wout1moを設定し(ステップS392)、トルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,接続全体出力制限Woutco,補正後出力制限Wout1moをモータECU40に送信して(ステップS394)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、エンジン22から要求パワーPe*を効率よく出力して、接続全体出力制限Woutcoの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
こうしてエンジン22からの動力を用いての走行を開始すると、次回このルーチンが実行されたときにはステップS330でエンジン22は運転中であると判定されるから、走行用パワーPdrv*を閾値Pstartからマージンとしての所定パワーαを減じた値と比較する(ステップS360)。ここで、所定パワーαは、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart近傍のときにエンジン22の始動と停止とが頻繁に生じないようにヒステリシスを持たせるためのものであり、適宜設定することができる。走行用パワーPdrv*が閾値Pstartから所定パワーαを減じた値以上のときには、エンジン22の運転を継続すべきと判断し、ステップS372〜S394の処理を実行して本ルーチンを終了する。一方、走行用パワーPdrv*が閾値Pstartから所定パワーαを減じた値未満のときには、エンジン22の運転を停止し(ステップS362)、ステップS350,S384〜S394の処理を実行して本ルーチンを終了する。
図8のハイブリッド走行優先駆動制御ルーチンは、走行モードとしてハイブリッド走行優先モードが設定されたときに実行される。このルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1,マスタバッテリ50の出力制限Wout1,接続状態など制御に必要なデータを入力し(ステップS400)、入力した出力制限Wout1を接続全体出力制限Woutcoとして設定し(ステップS405)、図9の要求トルク設定用マップを用いて要求トルクTr*を設定すると共に要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと損失としてのロスLossとの和として走行用パワーPdrv*を設定する(ステップS410)。
次に、接続全体蓄電割合SOCcoと接続全体管理中心Sccoとに基づいて図11の充放電要求パワー設定用マップを用いて充放電要求パワーPb*を設定し(ステップS412)、走行用パワーPdrv*と充放電要求パワーPb*との和としてエンジン22から出力すべき要求パワーPe*を設定する(ステップS415)。実施例では、ハイブリッド走行優先モードによって走行するときには、スレーブ遮断状態で走行するものとしたから、上述したように、接続全体蓄電割合SOCcoはマスタバッテリ50の蓄電割合SOC1を用いればよく、接続全体管理中心Sccoは電動走行優先モードからハイブリッド走行優先モードに切り替わるときのマスタバッテリ50の蓄電割合SOC1(閾値Sref1)を用いればよい。
続いて、エンジン22を効率よく運転することができる最小のパワーより若干大きなパワーとして予め設定されたパワーPhvをエンジン22を始動するための閾値Pstartに設定し(ステップS420)、エンジン22が運転中であるか或いは運転停止中であるかを判定し(ステップS430)、エジン22が運転停止中であるときには、要求パワーPe*が閾値Pstart以下であるか否かを判定し(ステップS440)、要求パワーPe*が閾値Pstart以下であるときには、電動走行すべきと判断し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS450)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いて上述の式(1)によりモータMG2の仮トルクTm2tmpを計算し(ステップS484)、接続全体出力制限Woutcoとトルク指令Tm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1とモータMG2の回転数Nm2とを用いて式(2)によりモータMG2のトルク制限Tm2maxを計算し(ステップS486)、仮トルクTm2tmpを式(3)によりトルク制限Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS488)、後述の目標スレーブ側電力設定処理により目標スレーブ側電力Pbs*を設定すると共に(ステップS490)、マスタバッテリ50の出力制限Wout1に所定のマージンΔW(例えば、3kwや5kwなど)を加えたものを補正後出力制限Wout1moとして設定し(ステップS492)、トルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,接続全体出力制限Woutco,補正後出力制限Wout1moをモータECU40に送信して(ステップS494)、本ルーチンを終了する。なお、通常、パワーPhvとしては、マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62の出力制限Wout1,Wout2,Wout3のそれぞれよりも小さい値が用いられる。こうした制御により、接続全体出力制限Woutcoの範囲内でモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
ステップS440で要求パワーPe*が閾値Pstartより大きいと判定されると、エンジン22を始動し(ステップS470)、要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ライン(図12参照)とに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定してエンジンECU24に送信し(ステップS480)、上述した式(5)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に式(6)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算し(ステップS482)、モータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS484〜S488)、目標スレーブ側電力Pbs*を設定すると共に(ステップS490)、補正後出力制限Wout1moを設定し(ステップS492)、トルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,接続全体出力制限Woutco,補正後出力制限Wout1moをモータECU40に送信して(ステップS494)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、エンジン22から要求パワーPe*を効率よく出力して、接続全体出力制限Woutcoの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
こうしてエンジン22からのパワーを用いての走行を開始すると、次回このルーチンが実行されたときにはステップS430でエンジン22は運転中であると判定され、要求パワーPe*を閾値Pstartからマージンとしての所定パワーγを減じた値と比較する(ステップS460)。ここで、所定パワーγは、前述の所定パワーαと同様に、要求パワーPe*が閾値Pstart近傍のときにエンジン22の始動と停止とが頻繁に生じないようにヒステリシスを持たせるためのものである。なお、所定パワーγは、所定パワーαと同一の値としてもよいし、所定パワーαとは異なる値としてもよい。要求パワーPe*が閾値Pstartから所定パワーγを減じた値以上のときには、エンジン22からのパワーを用いての走行を継続すべきと判断し、ステップS480〜S494の処理を実行して本ルーチンを終了する。一方、要求パワーPe*が閾値Pstartから所定パワーγを減じた値未満のときには、エンジン22の運転を停止し(ステップS462)、ステップS450,S484〜S494の処理を実行して本ルーチンを終了する。
以上、図7の電動走行優先駆動制御ルーチンや図8のハイブリッド走行優先駆動制御ルーチンについて説明した。実施例では、上述したように、第1接続状態または第2接続状態のときには電動走行優先モードが走行モードとして設定されており、スレーブ遮断状態のときにはハイブリッド走行優先モードが走行モードとして設定されている。また、上述したように、通常、パワーPhvとしては、マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62の出力制限Wout1,Wout2,Wout3のそれぞれよりも小さい値が用いられるから、電動走行優先モードが走行モードとして設定されているときには、ハイブリッド走行優先モードが走行モードとして設定されているときに比して電動走行が許容されやすくなる。したがって、電動走行優先モードが走行モードとして設定されているときには、マスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62の蓄電割合SOC1,SOC2,SOC3が小さくなるまで電動走行しやすくすることができる。
次に、図7の電動走行優先駆動制御ルーチンや図8のハイブリッド走行優先駆動制御ルーチンにおける目標スレーブ側電力Pbs*の設定について、図14に例示する目標スレーブ側電力設定処理を用いて説明する。目標スレーブ側電力設定処理では、まず、接続状態を判定し(ステップS500)、スレーブ遮断状態のときには、スレーブバッテリ60,62の両方とモータMG1,MG2側との接続が解除されているため、目標スレーブ側電力Pbs*に値0を設定して(ステップS550)、本ルーチンを終了する。
一方、第1接続状態または第2接続状態のときには、電動走行するかハイブリッド走行するかを判定し(ステップS510)、電動走行すると判定したときには、マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62の蓄電割合SOC1,SOC2,SOC3からそれぞれ閾値Sref1,Sref2,Sref3を減じて蓄電割合差ΔSOC1,ΔSOC2,ΔSOC3を計算すると共に(ステップS512)、接続状態と蓄電割合差ΔSOC1,ΔSOC2,ΔSOC3とに基づいて、マスタバッテリ50とモータMG1,MG2側との間でやりとりする電力と接続スレーブバッテリ(第1接続状態のときにはスレーブバッテリ60、第2接続状態のときにはスレーブバッテリ62)とモータMG1,MG2側との間でやりとりする電力との和に対する接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間でやりとりする電力の割合である分配比Drを計算する(ステップS514)。この場合の分配比Drは、具体的には、第1接続状態のときには蓄電割合差ΔSOC1,ΔSOC2,ΔSOC3に基づいて次式(7)により計算し、第2接続状態のときには蓄電割合差ΔSOC1,ΔSOC3に基づいて式(8)により計算するものとした。このように分配比Drを計算するのは、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1が閾値Sref1未満に至るタイミングをスレーブバッテリ62の蓄電割合SOC3が閾値Sref3未満に至るタイミングと同一のものとすると共にそのタイミングで全体蓄電割合SOCが閾値Shv未満に至るようにするためである。
Dr=(ΔSOC2+ΔSOC3)/(ΔSOC1+ΔSOC2+ΔSOC3) (7)
Dr=ΔSOC3/(ΔSOC1+ΔSOC3) (8)
ステップS510でハイブリッド走行すると判定したときには、接続状態とマスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62の蓄電割合SOC1,SOC2,SOC3とに基づいて分配比Drを設定する(ステップS516)。この場合の分配比Drは、第1接続状態のときには、マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60の蓄電割合SOC1,SOC2とマスタバッテリ50の蓄電割合SOC1を管理するための管理中心Sc1とスレーブバッテリ60の蓄電割合SOC2を管理するための管理中心Sc2とに基づいて、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1が管理中心Sc1に基づいて管理される(管理中心Sc1近傍になる)と共にスレーブバッテリ60の蓄電割合SOC2が管理中心Sc2に基づいて管理される(管理中心Sc2近傍になる)よう設定し、第2接続状態のときには、マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ62の蓄電割合SOC1,SOC3とマスタバッテリ50の管理中心Sc1とスレーブバッテリ62の蓄電割合SOC3を管理するための管理中心Sc3とに基づいて、マスタバッテリ50の蓄電割合SOC1が管理中心Sc1に基づいて管理されると共にスレーブバッテリ60の蓄電割合SOC3が管理中心Sc3に基づいて管理される(管理中心Sc3近傍になる)よう設定するものとした。なお、管理中心Sc1,Sc2,Sc3は、電動走行からハイブリッド走行に切り替わるときのマスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62の蓄電割合SOC1,SOC2,SOC3を用いることができる。
こうしてステップS514またはステップS516で分配比Drを設定すると、モータMG1,MG2の消費電力として計算される想定消費電力(以下、メインECU想定消費電力Pm1*という)を次式(9)により計算する(ステップS520)。ここで、メインECU想定消費電力Pm1*は、モータMG2のトルク指令Tm2*が上述の式(1)〜(3)を用いて設定されることから、接続全体出力制限Woutco(第1接続状態のときには出力制限Wout1と出力制限Wout2との和、第2接続状態のときには出力制限Wout1と出力制限Wout3との和)以下になる。
Pm1*=Tm1*・Nm1+Tm2*・Nm2 (9)
続いて、分配比DrをメインECU想定消費電力Pm1*に乗じたものを接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間でやりとりすべき電力としての目標スレーブ側電力Pbs*として計算し(ステップS530)、目標スレーブ側電力Pbs*が接続スレーブバッテリの出力制限Wouts(第1接続状態のときには出力制限Wout2、第2接続状態のときには出力制限Wout3)以下であるか否かを判定すると共に(ステップS540)、メインECU想定消費電力Pm1*から目標スレーブ側電力Pbs*を減じた電力(Pm1*−Pbs*)がマスタバッテリ50の出力制限Wout1以下であるか否かを判定し(ステップS542)、目標スレーブ側電力Pbs*が接続スレーブバッテリの出力制限Wouts以下であると共に電力(Pm1*−Pbs*)がマスタバッテリ50の出力制限Wout1以下であるときには、そのまま本ルーチンを終了する。ここで、電力(Pm1*−Pbs*)は、接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間で目標スレーブ側電力Pbs*がやりとりされたときにマスタバッテリ50とモータMG1,MG2側との間でやりとりされると想定される電力を意味する。
ステップS540で目標スレーブ側電力Pbs*が接続スレーブバッテリの出力制限Woutsより大きいときには、出力制限Woutsを目標スレーブ側電力Pbs*に再設定して(ステップS544)、本ルーチンを終了し、ステップS542で電力(Pm1*−Pbs*)がマスタバッテリ50の出力制限Wout1より大きいときには、メインECU想定消費電力Pm1*とマスタバッテリ50の出力制限Wout1とに基づいて次式(10)により目標スレーブ側電力Pbs*を再計算して(ステップS546)、本ルーチンを終了する。上述したように、メインECU想定消費電力Pm1*が接続全体出力制限Woutco(Wout1+Wouts)以下になることから、ステップS544やステップS546の処理は、マスタバッテリ50とモータMG1,MG2側との間でやりとりされる電力としてのマスタ側電力Pbmがマスタバッテリ50の出力制限Wout1以下になると共に接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間でやりとりされる電力としてのスレーブ側電力Pbsが接続スレーブバッテリの出力制限Wouts以下になるよう目標スレーブ側電力Pbs*を再設定する処理になる。
Pbs*=Pbs*+((Pm1*-Pbs*)-Wout1)=Pm1*-Wout1 (10)
次に、ハイブリッド用電子制御ユニット70からトルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,補正後出力制限Wout1mo,接続全体出力制限Woutcoを受信したモータECU40によって実行される図15に例示するモータ制御ルーチンについて説明する。
モータ制御ルーチンが実行されると、モータECU40の図示しないCPUは、ハイブリッド用電子制御ユニット70から受信したトルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,補正後出力制限Wout1mo,接続全体出力制限Woutco,接続状態を入力すると共にモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,電圧センサ57aからの高電圧系の電圧VH,電流センサ65aからのスレーブ側電流Ibsを入力する(ステップS600)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものを入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、接続全体出力制限Woutcoとトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との差分をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2のトルク制限Tm2maxを上述の式(2)により計算し(ステップS610)、モータMG2のトルク指令Tm2*を次式(11)によりトルク制限Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を再設定し(ステップS612)、入力したトルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共に再設定したトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行ない(ステップS614)、入力したモータMG1のトルク指令Tm1*およびモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2と再設定したモータMG2のトルク指令Tm2*とに基づいて式(12)によりモータMG1,MG2の消費電力として計算される想定消費電力(以下、モータECU想定消費電力Pm2*という)を計算する(ステップS620)。こうして計算されるモータECU想定消費電力Pm2*は、接続全体出力制限Woutco以下になる。トルク指令Tm1*,Tm2*は、ハイブリッド用電子制御ユニット70によってメインECU想定消費電力Pm1*が接続全体出力制限Woutco以下になる範囲で設定されたものであるから、ハイブリッド用電子制御ユニット70とモータECU40との間の通信に要する時間に基づく通信遅れなどを考慮しなければ、理論上、ハイブリッド用電子制御ユニット70で計算したトルク指令Tm1*,Tm2*を用いてモータMG1,MG2を制御したときにモータMG1,MG2の消費電力Pmは接続全体出力制限Woutco以下になる。しかし、実際には、ハイブリッド用電子制御ユニット70とモータECU40との間に通信遅れなどが生じるため、ハイブリッド用電子制御ユニット70でトルク指令Tm1*,Tm2*を設定するときのモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2とモータECU40でモータMG1,MG2を制御するときのモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2とが乖離してメインECU想定消費電力Pm1*とモータECU想定消費電力Pm2*とが異なる場合がある。このことを考慮して、実施例では、モータECU40で、モータECU想定消費電力Pm2*が接続全体出力制限Woutco以下になる範囲でモータMG2のトルク指令Tm2*を再設定するものとした。これにより、モータMG1,MG2の消費電力Pmを接続全体出力制限Woutco以下にすることができる。
Tm2*=min(Tm2*,Tm2max) (11)
Pm2*=Tm1*・Nm1+Tm2*・Nm2 (12)
続いて、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*と回転数Nm1,Nm2とに基づいて目標電圧VH*を設定する(ステップS630)。ここで、目標電圧VH*は、第1実施例では、モータMG1の目標動作点(トルク指令Tm1*,回転数Nm1)でモータMG1を駆動できる電圧とモータMG2の目標動作点(トルク指令Tm2*,回転数Nm2)でモータMG2を駆動できる電圧とのうち大きい方の電圧を設定するものとした。
次に、接続状態を調べ(ステップS640)、スレーブ遮断状態のときには、高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*になるようマスタ側昇圧回路55のスイッチング素子をスイッチング制御すると共に(ステップS660)、接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間でやりとりされる電力としてのスレーブ側電力Pbs(=VH・Ibs)が目標スレーブ側電力Pbs*になるようスレーブ側昇圧回路65のスイッチング素子をスイッチング制御して(ステップS662)、本ルーチンを終了する。この場合、目標スレーブ側電力Pbs*が値0であるため、スレーブ側昇圧回路65を駆動停止する。
ステップS640で第1接続状態または第2接続状態のときには、ステップS600で入力した目標スレーブ側電力Pbs*をモータECU想定消費電力Pm2*から減じた電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1mo以下であるか否かを判定する(ステップS650)。ここで、電力(Pm2*−Pbs*)は、ハイブリッド用電子制御ユニット70における電力(Pm1*−Pbs*)と同様に、接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間で目標スレーブ側電力Pbs*がやりとりされたときにマスタバッテリ50とモータMG1,MG2側との間でやりとりされると想定される電力を意味する。電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1mo以下のときには、目標スレーブ側電力Pbs*を再設定せず、高電圧系の電圧VHと目標電圧VH*とに基づいてマスタ側昇圧回路55を制御すると共に(ステップS660)、スレーブ側電力Pbs(=VH・Ibs)とステップS600で入力した目標スレーブ側電力Pbs*とに基づいてスレーブ側昇圧回路65を制御して(ステップS662)、本ルーチンを終了する。この場合、高電圧系の電圧VHを目標電圧VH*近傍にすることができると共にマスタバッテリ50とモータMG1,MG2側との間でやりとりされる電力としてのマスタ側電力Pbmをマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1mo以下にすることができ、ステップS600で入力される目標スレーブ側電力Pbs*は出力制限Wouts以下であるから、接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間でやりとりされる電力としてのスレーブ側電力Pbsを接続スレーブバッテリの出力制限Wouts以下にすることができる。
ステップS650で電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1moより大きいときには、マスタバッテリ50とモータMG1,MG2側との間で補正後出力制限Wout1moを超える電力がやりとりされると想定されると判断し、モータECU想定消費電力Pm2*から補正後出力制限Wout1moを減じた電力を目標スレーブ側電力Pbs*に再設定し(ステップS652)、高電圧系の電圧VHと目標電圧VH*とに基づいてマスタ側昇圧回路55を制御すると共に(ステップS660)、スレーブ側電力Pbs(=VH・Ibs)と再設定した目標スレーブ側電力Pbs*とに基づいてスレーブ側昇圧回路65を制御して(ステップS662)、本ルーチンを終了する。この場合、高電圧系の電圧VHを目標電圧VH*近傍にすることができると共にマスタ側電力Pbmをマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1moにすることができ、上述したように、モータECU想定消費電力Pm2*は接続全体出力制限Woutco以下であるから、スレーブ側電力Pbsを接続スレーブバッテリの出力制限Wouts以下にすることができる。
ここで、ハイブリッド用電子制御ユニット70からモータECU40に、マスタバッテリ50および接続スレーブバッテリの出力制限Wout1ではなく、マスタバッテリ50および接続スレーブバッテリの補正後出力制限Wout1moを送信する理由について説明する。上述したように、ハイブリッド用電子制御ユニット70とモータECU40との間の通信に要する時間に基づく通信遅れなどにより、ハイブリッド用電子制御ユニット70で用いるモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2とモータECU40で用いるモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2との乖離によってメインECU想定消費電力Pm1*とモータECU想定消費電力Pm2*(≦Woutco)とが異なる場合があり、この場合、ハイブリッド用電子制御ユニット70で設定した目標スレーブ側電力Pbs*をそのまま用いてスレーブ側昇圧回路65を制御すると、マスタ側電力Pbmが出力制限Wout1を超えることがある。マスタバッテリ50の劣化を抑制するためには、マスタ側電力Pbmが出力制限Wout1を過度に超えることは抑制する必要があるが、マスタ側電力Pbmが出力制限Wout1を僅かに超えただけのときなどには、制御の簡素化(目標値の不必要な再設定の回避など)のために、ハイブリッド用電子制御ユニット70で設定した目標スレーブ側電力Pbs*をできるだけ用いてスレーブ側昇圧回路65を制御するよう望まれることがある。これらを考慮して、実施例では、接続全体出力制限Woutco以下のモータECU想定消費電力Pm2*から目標スレーブ側電力Pbs*を減じた電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1mo以下のときには、ハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した目標スレーブ側電力Pbs*を用いてスレーブ側昇圧回路65を制御し、電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1moより大きいときには、モータECU想定消費電力Pm2*から補正後出力制限Wout1moを減じた電力を目標スレーブ側電力Pbs*として再設定すると共に再設定した目標スレーブ側電力Pbs*を用いてスレーブ側昇圧回路65を制御するものとした。これにより、電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の出力制限Wout1より大きいときに目標スレーブ側電力Pbs*を再設定するものに比して、モータECU40での目標スレーブ側電力Pbs*の再設定を抑制することができる。また、マスタバッテリ50からの補正後出力制限Wout1moを超えた出力および接続スレーブバッテリからの出力制限Woutsを超えた出力を抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、モータECU40から通信により受信したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を用いて得られるメインECU想定消費電力Pm1*が接続全体出力制限Woutco以下になる範囲でモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、マスタバッテリ50の出力制限Wout1に所定のマージンΔWを加えたものを補正後出力制限Wout1moとして設定し、トルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,補正後出力制限Wout1mo,出力制限Wout1と出力制限Woutsの和としての接続全体出力制限WoutcoをモータECU40に送信し、モータECU40は、計算したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を用いて得られるモータECU想定消費電力Pm2*が接続全体出力制限Woutco以下になる範囲でトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御し、マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60がモータMG1,MG2側に接続されスレーブバッテリ62がモータMG1,MG2側に接続されない第1接続状態またはマスタバッテリ50およびスレーブバッテリ62がモータMG1,MG2側に接続されスレーブバッテリ60がモータMG1,MG2側に接続されない第2接続状態のときにおいて、ハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した目標スレーブ側電力Pbs*をモータECU想定消費電力Pm2*から減じた電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1mo以下のときには、目標電圧VH*とハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した目標スレーブ側電力Pbs*とに基づいてマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御し、電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1moより大きいときには、モータECU想定消費電力Pm2*から補正後出力制限Wout1moを減じた電力を目標スレーブ側電力Pbs*に再設定すると共に目標電圧VH*と再設定した目標スレーブ側電力Pbs*とに基づいてマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御するから、電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の出力制限Wout1より大きいときに目標スレーブ側電力Pbs*を再設定するものに比してモータECU40での目標スレーブ側電力Pbs*の再設定を抑制して制御の簡素化を図ることができると共に、マスタバッテリ50からの補正後出力制限Wout1moを超えた出力および接続スレーブバッテリからの出力制限Woutsを超えた出力を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1moより大きいときには、モータECU想定消費電力Pm2*から補正後出力制限Wout1moを減じた電力(Pm2*−Wout1mo)を目標スレーブ側電力Pbs*に再設定するものとしたが、これに限られず、マスタバッテリ50とモータMG1,MG2側との間でやりとりされると想定される電力がハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した補正後出力制限Wout1mo以下になると共に接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間でやりとりされると想定される電力が上述の出力制限Wouts(または出力制限Woutsにマージンを加えた電力)に相当する電力以下になる範囲でスレーブ側目標電力Pbs*を再設定するものであればよく、例えば、マスタバッテリ50とモータMG1,MG2側との間でやりとりされると想定される電力が補正後出力制限Wout1moより若干小さい電力になると共に接続スレーブバッテリとモータMG1,MG2側との間でやりとりされる電力が出力制限Wouts(または出力制限Woutsにマージンを加えた電力)に相当する電力以下になる範囲でスレーブ側目標電力Pbs*を再設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、マスタバッテリ50の出力制限Wout1に所定のマージンΔWを加えたものを補正後出力制限Wout1moとして設定してモータECU40に送信するものとしたが、これに加えて、接続スレーブバッテリの出力制限Woutsに所定のマージンΔWs(例えば、3kwや5kwなど)を加えたものを補正後出力制限Woutsmoとして設定してこれを補正後出力制限Wout1moと共にモータECU40に送信するものとしてもよい。この場合、マージンΔWとマージンΔWsとは、同一の値を用いるものとしてもよいし、異なる値を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、マスタバッテリ50とスレーブバッテリ60,62とを同一の容量のリチウムイオン二次電池として構成したが、異なる蓄電容量のリチウム二次電池として構成したり、異なる蓄電容量で異なるタイプの二次電池として構成するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、一つのマスタバッテリ50と二つのスレーブバッテリ60,62とを備えるものとしたが、一つのマスタバッテリ50と三つ以上のスレーブバッテリとを備えるものとしてもよい。この場合、電動走行優先モードにより走行するときには、接続状態としてマスタバッテリ50をモータMG1,MG2側に接続すると共に三つ以上のスレーブバッテリを順次モータMG1,MG2側に接続するものとすればよい。また、一つのマスタバッテリと一つのスレーブバッテリとを備えるものとしてもよいし、複数のマスタバッテリと複数のスレーブバッテリとを備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、一つのマスタバッテリ50と二つのスレーブバッテリ60,62とを備え、電動走行優先モードにより走行するときには、第1接続状態としてマスタバッテリ50とスレーブバッテリ60とをモータMG1,MG2側に接続する状態とし、第2接続状態としてマスタバッテリ50とスレーブバッテリ62とをモータMG1,MG2側に接続する状態としたが、逆に、第1接続状態としてマスタバッテリ50とスレーブバッテリ62とをモータMG1,MG2側に接続する状態とし、第2接続状態としてマスタバッテリ50とスレーブバッテリ60とをモータMG1,MG2側に接続する状態としてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、電動走行優先モードにより走行するときには、接続全体出力制限Woutcoが設定される閾値Pstartと走行用パワーPdrv*との比較により、電動走行するかエンジン22からのパワーを用いて走行するかを切り替えるものとしたが、接続全体出力制限Woutcoが設定される閾値Pstartより小さい閾値と走行用パワーPdrv*との比較により、電動走行するかエンジン22からのパワーを用いて走行するかを切り替えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、充電器90を備えるものとしたが、充電器90を備えないものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図16の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図16における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すると共にモータMG2からの動力を減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図17の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、駆動輪39a,39bに接続れた駆動軸に変速機230を介してモータMGを取り付け、モータMGの回転軸にクラッチ229を介してエンジン22を接続する構成とし、エンジン22からの動力をモータMGの回転軸と変速機230とを介して駆動軸に出力すると共にモータMGからの動力を変速機230を介して駆動軸に出力するものとしてもよい。あるいは、図18の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、エンジン22からの動力を変速機330を介して駆動輪39a,39bに接続された車軸に出力すると共にモータMGからの動力を駆動輪39a,39bが接続された車軸とは異なる車軸(図18における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
実施例では、駆動軸32にプラネタリギヤ30を介して接続されたエンジン22およびモータMG1と、駆動軸32に接続されたモータMG2と、を備えるハイブリッド自動車20に適用するものとしたが、図19の変形例の電気自動車420に例示するように、走行用の動力を出力するモータMGを備える単純な電気自動車に適用するものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される動力出力装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた動力出力装置の形態としても構わない。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「電動機」に相当し、リチウムイオン二次電池として構成されたマスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62が「電池装置」に相当し、マスタ側昇圧回路55が「第1昇降圧回路」に相当し、スレーブ側昇圧回路65が「第2昇降圧回路」に相当し、モータECU40から通信により受信したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を用いて得られるメインECU想定消費電力Pm1*が接続全体出力制限Woutco以下になる範囲でモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、マスタバッテリ50の出力制限Wout1に所定のマージンΔWを加えたものを補正後出力制限Wout1moとして設定し、トルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,補正後出力制限Wout1mo,出力制限Wout1と出力制限Woutsの和としての接続全体出力制限WoutcoをモータECU40に送信する図7の電動走行優先駆動制御ルーチンや図8のハイブリッド走行優先駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「主制御手段」に相当し、計算したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を用いて得られるモータECU想定消費電力Pm2*が接続全体出力制限Woutco以下になる範囲でトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御し、マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60がモータMG1,MG2側に接続されスレーブバッテリ62がモータMG1,MG2側に接続されない第1接続状態またはマスタバッテリ50およびスレーブバッテリ62がモータMG1,MG2側に接続されスレーブバッテリ60がモータMG1,MG2側に接続されない第2接続状態のときにおいて、ハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した目標スレーブ側電力Pbs*をモータECU想定消費電力Pm2*から減じた電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1mo以下のときには、目標電圧VH*とハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した目標スレーブ側電力Pbs*とに基づいてマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御し、電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1moより大きいときには、モータECU想定消費電力Pm2*から補正後出力制限Wout1moを減じた電力を目標スレーブ側電力Pbs*に再設定すると共に目標電圧VH*と再設定した目標スレーブ側電力Pbs*とに基づいてマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御する図15のモータ制御ルーチンを実行するモータECU40が「電動機制御手段」に相当する。また、システムメインリレー56が「第1接続解除手段」に相当し、システムメインリレー66,67が「第2接続解除手段」に相当し、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当し、充電器90が「充電器」に相当する。
ここで、「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力するものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「電池装置」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたマスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60,62に限定されるものではなく、一つのマスタバッテリと三つ以上のスレーブバッテリとしたり、一つのマスタバッテリと一つのスレーブバッテリとしたり、複数のマスタバッテリと複数のスレーブバッテリとしたり、これらのバッテリをリチウムイオン二次電池以外の二次電池(例えばニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など)とするなど、少なくとも一つの二次電池を有する第1電池部と少なくとも一つの二次電池を有する第2電池部とを有するものであれば如何なるものとしても構わない。「第1昇降圧回路」としては、マスタ側昇圧回路55に限定されるものではなく、第1電池部の二次電池に接続された第1電池電圧系と電動機側の高電圧系との間で電圧の調整を伴って電力のやりとりを行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「第2昇降圧回路」としては、スレーブ側昇圧回路65に限定されるものではなく、第2電池部の二次電池に接続された第2電池電圧系と電動機側の高電圧系との間で電圧の調整を伴って電力のやりとりを行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「主制御手段」としては、モータECU40から通信により受信したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を用いて得られるメインECU想定消費電力Pm1*が接続全体出力制限Woutco以下になる範囲でモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、マスタバッテリ50の出力制限Wout1に所定のマージンΔWを加えたものを補正後出力制限Wout1moとして設定し、トルク指令Tm1*,Tm2*や目標スレーブ側電力Pbs*,補正後出力制限Wout1mo,出力制限Wout1と出力制限Woutsとの和としての接続全体出力制限WoutcoをモータECU40に送信するものに限定されるものではなく、電動機制御手段から受信した電動機の回転数を用いて想定される高電圧系の消費電力である主制御部想定消費電力が第1電池部の出力制限である第1電池部出力制限と第2電池部の出力制限である第2電池部出力制限との和である全体出力制限以下になる範囲で電動機の目標トルクを設定し、第1電池部の二次電池と高電圧系との間でやりとりされると想定される電力が第1電池部出力制限以下になると共に第2電池部の二次電池と高電圧系との間でやりとりされると想定される電力が第2電池部出力制限以下になる範囲で第2電池部の二次電池と高電圧系との間でやりとりすべき電力である目標第2電池部側電力を設定し、第1電池部出力制限にマージンを加えて補正後第1電池部出力制限を設定し、設定した電動機の目標トルクと設定した目標第2電池部側電力と設定した補正後第1電池部出力制限と全体出力制限とを電動機制御手段に送信するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機制御手段」としては、計算したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を用いて得られるモータECU想定消費電力Pm2*が接続全体出力制限Woutco以下になる範囲でトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御し、マスタバッテリ50およびスレーブバッテリ60がモータMG1,MG2側に接続されスレーブバッテリ62がモータMG1,MG2側に接続されない第1接続状態またはマスタバッテリ50およびスレーブバッテリ62がモータMG1,MG2側に接続されスレーブバッテリ60がモータMG1,MG2側に接続されない第2接続状態のときにおいて、ハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した目標スレーブ側電力Pbs*をモータECU想定消費電力Pm2*から減じた電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1mo以下のときには、目標電圧VH*とハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した目標スレーブ側電力Pbs*とに基づいてマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御し、電力(Pm2*−Pbs*)がマスタバッテリ50の補正後出力制限Wout1moより大きいときには、モータECU想定消費電力Pm2*から補正後出力制限Wout1moを減じた電力を目標スレーブ側電力Pbs*に再設定すると共に目標電圧VH*と再設定した目標スレーブ側電力Pbs*とに基づいてマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御するものに限定されるものではなく、検出した電動機の回転数を用いて想定される高電圧系の消費電力である電動機制御部想定消費電力が主制御手段から受信した全体出力制限以下になる範囲で主制御手段から受信した電動機の目標トルクに基づいて電動機を制御し、電動機制御部想定消費電力と主制御手段から受信した目標第2電池部側電力との差の電力が主制御手段から受信した補正後第1電池部出力制限以下のときには主制御手段から受信した目標第2電池部側電力と高電圧系の目標電圧とに基づいて第1昇降圧回路と第2昇降圧回路とを制御し、電動機制御部想定消費電力と主制御手段から受信した目標第2電池部側電力との差の電力が主制御手段から受信した補正後第1電池部出力制限より大きいときには第1電池部の二次電池と高電圧系との間でやりとりされると想定される電力が主制御手段から受信した補正後第1電池部出力制限以下になると共に第2電池部の二次電池と高電圧系との間でやりとりされると想定される電力が第2電池部出力制限または第2電池部出力制限にマージンを加えた補正後第2電池部出力制限に相当する電力以下になる範囲で目標第2電池部側電力を再設定すると共に再設定した目標第2電池部側電力と高電圧系の目標電圧とに基づいて第1昇降圧回路と第2昇降圧回路とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「第1接続解除手段」としては、システムメインリレー56に限定されるものではなく、第1電池部の二次電池の電動機側への接続および接続の解除を行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「第2接続解除手段」としては、システムメインリレー66,67に限定されるものではなく、第2電池部の二次電池の電動機側への接続および接続の解除を行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど、如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、複数の二次電池のうち電動機側に接続されている二次電池と電力のやりとりが可能で動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機であっても構わない。「遊星歯車機構」としては、動力分配統合機構30に限定されるものではなく、内燃機関の出力軸と発電機の回転軸と駆動軸との3軸に3つの回転要素が接続されたものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。