JP5374143B2 - 感光性樹脂組成物及び被エッチング基体の製造方法 - Google Patents
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また、プロセス上、ラインの汚染を防ぐために、エッチング液として用いた酸性やアルカリ性の溶液を洗浄・乾燥させる工程が剥離工程前に必要となる。一般的に、純水洗浄の後、エアブローにより乾燥を行うが、エアブロー工程において、密着性が十分でなくパターンが剥がれてしまうと、結局、(ゴミとなって)ライン汚染の要因となるので好ましくない。
まず、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、酸基含有アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との反応により生成したアルカリ可溶性樹脂(A)と、3官能以上の多官能モノマー(B)と、窒素含有単官能モノマー(C)と、光重合開始剤(D)とを含有する。
本発明の感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂(以下、「(A)成分ともいう。)は、酸基含有アクリル系樹脂(a1)に由来する酸基の一部と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)に由来するエポキシ基とを反応させて、活性エネルギー線による硬化に必要な脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)に由来する不飽和基を導入したものである。
それぞれの成分は、次の通りである。
酸基含有アクリル系樹脂(以下、「(a1)成分」ともいう。)としては、エチレン性不飽和結合を有する酸と、(メタ)アクリル酸のエステル類、ビニル芳香族化合物、アミド系不飽和化合物、ポリオレフィン系化合物等のモノマーから選ばれる1種又は2種以上とを共重合させて得られた共重合体を用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、(無水)マレイン酸等のエチレン性不飽和結合を有する酸を必須成分とし、これに、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のアミド系不飽和化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のポリオレフィン系化合物のモノマー、及び(メタ)アクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学製品)、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート等のその他のモノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーを共重合させた共重合体が挙げられる。
脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(以下、「(a2)成分」ともいう。)としては、一分子中に一つのエチレン性不飽和基と脂環式エポキシ基とを有する化合物が好ましい。具体的には、例えば、下記式(I)〜(XV)により表される化合物が挙げられる。
(A)成分は、(a1)成分と(a2)成分とを反応させて、(a1)成分中に不飽和基を導入することにより調製される。具体的には、例えば、(a1)成分の不活性有機溶剤溶液と(a2)成分とを約20〜120℃で、約1〜5時間反応させることにより調製される。不活性有機溶剤としては、特に限定されないが、アルコール類、エステル類、脂肪族又は芳香族炭化水素類が挙げられる。(a1)成分と(a2)成分との比率は、(a1)成分の合成に用いたモノマーの種類に応じて変えることができるが、(a1)成分に対する(a2)成分の割合が15モル%以上であることが好ましい。(a1)成分に対する(a2)成分の割合が15モル%以上であれば、(A)成分を含有する感光性樹脂組成物を硬化させて得られた樹脂パターンに対して、良好なエッチング耐性を付与することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、3官能以上の多官能モノマー(以下、「(B)成分」ともいう。)を含む。ここで、「3官能以上の多官能モノマー」とは、光重合開始剤の存在下で光の照射により付加重合可能なエチレン性の二重結合を1分子中に3個以上有するモノマー成分という意味である。本発明の感光性樹脂組成物は、このような多官能のモノマー成分を含むことにより、架橋密度が高く薬品耐性に優れた樹脂パターンを形成する。
本発明の感光性樹脂組成物は、窒素含有単官能モノマー(以下、「(C)成分」ともいう。)を含む。単官能モノマーとは、1個のエチレン性不飽和基を有するモノマーを意味する。本発明の感光性樹脂組成物が単官能である(C)成分を含むことにより、樹脂パターン内部の架橋密度が過剰に高くなることが防止され、樹脂パターンの膜に柔軟性やアルカリ剥離液に対する良好な剥離性を付与することができる。また、(C)成分は単官能であり、かつ分子内に窒素原子を有するものであるので、(C)成分が重合反応によって樹脂分子に取り込まれると、(C)成分に含まれる窒素原子は、樹脂パターン内部に含まれる樹脂の主鎖に対して外側を向くように配置される。このため、(C)成分に含まれる窒素原子は、基材上の金属膜との接着を向上させるために利用されることとなり、樹脂パターンと基材上の金属膜との密着性が向上する。
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(以下、「(D)成分」ともいう。)としては、特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、チオール基を有する化合物を増感剤(以下、「(E)成分ともいう。)として含んでもよい。(E)成分は、紫外線が照射されるとエン−チオール反応によりSラジカルを発生させる。Sラジカルによる重合反応は、酸素阻害の影響を受けずに感光性樹脂組成物の硬化を促進させるので、現像におけるパターンの残膜率を向上させ、樹脂パターンの薬品耐性を向上させることができる。このような(E)成分として、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)等のエステル類;2−メルカプトエタノール、1−チオグリセロール、グリセロールモノチオグリコレート、4−メルカプトフェノール等のアルコール類;チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、メルカプトイソ酪酸、メソ−2,3−ジメルカプトイソ酪酸、チオサリチル酸等のカルボン酸類;2−アミノエタンチオール、2−アミノベンゼンチオール、4−アミノベンゼンチオール等のアミン類;及びシステイン等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記各成分の他に、各種モノマー成分を含有させることができる。このようなモノマー成分としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられ、1個のエチレン性不飽和基を有する単官能モノマー(ただし(C)成分を除く)と、2個のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーとが挙げられる。これらの成分は、重合反応性やモノマーの粘度等、感光性樹脂組成物に要求される特性に合わせて1種又は2種以上が適宜選択して使用される。このようなモノマー成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して80質量部以下であることが好ましく、1〜60質量部であることがより好ましい。上限値以下とすることにより、樹脂パターンの内部で十分な架橋密度が維持され、酸性やアルカリ性のエッチング液への耐性を向上させることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、塗布性の改善、粘度調整のため、有機溶剤を含むことが好ましい。この有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、その他の成分として、必要に応じて消泡剤、界面活性剤等の添加剤を含有させることができる。消泡剤としては、特に限定されず、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられる。
次に、上記本発明の感光性樹脂組成物を使用した被エッチング基体の製造方法について説明する。上記感光性樹脂組成物を使用した被エッチング基体の製造方法も本発明の一つである。本発明の被エッチング基体の製造方法は、(1)基体上に上記本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、感光性樹脂層を形成する工程と、(2)前記感光性樹脂層を選択的に露光した後、現像して樹脂パターンを形成する露光・現像工程と、(3)前記樹脂パターンをマスクとし、前記基体を選択的にエッチングするエッチング工程と、(4)剥離液を用いて前記樹脂パターンを剥離する剥離工程と、を含む。なお、本発明において「基体」とは、ガラス等の基板上にエッチングの対象となる膜が形成されたものを意味する。エッチングの対象となる膜としては、金属膜が例示される。
基体を作成するための基板としては、多くの場合ガラス基板が使用される。ガラス基板には、エッチングの対象となる金属膜が蒸着法あるいはスパッタリング法等により形成され、エッチングの対象となる基体が作製される。金属膜を形成する金属には、金属の他、導電性を有する金属酸化物等が含まれ、例えば、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Cu、Pd、Ag等の金属、これらの金属の合金、In2O3−SnO2等の金属酸化物、ポリシリコン等の半導体等が挙げられる。金属膜は単層でもよいが、本発明は、エッチング条件の異なる複数の金属膜からなる複合金属膜を選択的にエッチングすることが可能である点も特徴の一つである。このような複合金属膜としては、第1のCr(クロム)層、Cu(銅)層、第2のCr層が形成されたCr/Cu/Cr積層膜が例示される。
上記エッチング後、ライン汚染を防ぐために必要に応じて、洗浄工程・乾燥工程を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温で純水により10〜300秒間基板を洗浄して行い、乾燥工程については、エアブローを使用して、エアブロー圧(0.1〜5kg/cm2程度)を適宜調整し行えばよい。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ成分や、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、又はこれらの混合溶液に溶解させたものが挙げられる。上記の剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、パドル法等により剥離してもよい。
表1及び表2に従い、実施例1〜14及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物を調製した。表1に記載された各成分は、以下の通りである。なお、アルカリ可溶性樹脂(A)は、45質量%のDPGME(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)溶液を作製して感光性樹脂組成物の調製に使用した。表1及び表2に記載した数値は、質量部を表す。ここで、表1においてアルカリ可溶性樹脂(A−1又はA−2)100質量部とは、アルカリ可溶性樹脂の固形分が100質量部であるという意味である。
A−1:サイクロマーACA Z250(ダイセル化学工業株式会社製、質量平均分子量20000、酸価101.7mgKOH/g、酸基含有アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との反応により生成した下記式(2)、式(3)及び式(4)で表される構成単位からなる樹脂である。)
A−2:ベンジルメタクリレート及びメタクリル酸の共重合体(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=80:20(質量比)、質量平均分子量60000)
B−1:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、6官能モノマー)
B−2:CN9006(サートマー社製、ウレタンアクリレート、6官能モノマー)
C−1:アクリロイルモルホリン
B’−1:2−フェノキシエチルアクリレート
B’−2:イソボルニルアクリレート
IR369:イルガキュア369(チバスペシャリティケミカルズ社製)
EAB−F:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土ヶ谷化学工業株式会社製)
E−1:トリメチロールプロパントリメルカプトプロピオネート
スパッタリング法により、第2のCr層/Cu層/第1のCr層が積層されたガラス基板(厚さ1.8mm)を作製し、評価基板とした。評価基板において、第2のCr層及び第1のCr層がそれぞれ最表面及び最下層に位置し、それらの中間にCu層が位置する。各層の厚さは、第2のCr層が100nm、Cu層が2.0μm、第1のCr層が50nmである。この評価基板に対して、スピンコーターを用いて感光性樹脂組成物を塗布し、65℃で6分間乾燥して2.5μmの膜厚を有する感光性樹脂層を有する評価基板を得た。次いで、これらの感光性樹脂層にネガマスクを介して露光量25mJ/cm2(増感剤を含む組成物)または50mJ/cm2(増感剤を含まない組成物)で紫外線(光源:超高圧水銀灯)を選択的に照射し、現像液として0.25質量%の炭酸ナトリウム溶液を用いて30℃にて120秒間スプレー現像することにより樹脂パターンを形成し、純水洗浄、エアブロー乾燥した。その後、形成された樹脂パターンに対して露光量300mJ/cm2で紫外線(光源:超高圧水銀灯)を照射して後露光を施した。
実施例1〜14及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物のそれぞれについて、上記のように、2.5μmの膜厚の樹脂パターンを有する評価用基板を作製し、エッチングを行って現像後の残膜率、薬液に対する耐性(エッチング耐性)、エッチング終了後の洗浄・エアブロー工程後のパターン密着性、エッチング終了後の樹脂パターンの剥離に要した時間、及び樹脂パターン剥離後の残渣の有無を評価した。評価結果を表3及び表4に示す。なお、各項目の評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
感光性樹脂層を露光してスプレー現像した後の樹脂パターン膜の残存率により評価した。
○:光硬化した樹脂パターンの現像後の残膜率が90%以上
△:光硬化した樹脂パターンの現像後の残膜率が50%以上、90%未満
×:光硬化した樹脂パターンの現像後の残膜率が50%未満
第2のCr層、Cu層及び第1のCr層のエッチング工程終了後における樹脂パターンの剥離状態を観察することにより評価した。
◎:エッチング工程終了後の樹脂パターンの剥離が観察されない。
○:エッチング工程終了後の樹脂パターンの剥離が殆ど観察されない。
△:エッチング工程中に、樹脂パターンの一部(面積率で30%未満)に剥がれが発生した。
×:エッチング工程中に、樹脂パターンの大部分(面積率で30%以上)に剥がれが発生した。
エッチング工程終了後、純水による洗浄(23℃にて、60秒間)及びエアガンによるエアブロー乾燥を行った後のパターン密着性を評価した。
◎:露光量25mJ/cm2、ライン幅20μmピッチ80μmのパターン寸法において、パターン剥離は観測されず密着している。
○:露光量50mJ/cm2以下、ライン幅30μmピッチ90μmのパターン寸法において、パターン剥離は観測されず密着している。
×:露光量25mJ/cm2以下、ライン幅30μmピッチ90μmのパターン寸法において、パターン剥離がみられる。
エッチング工程終了後、純水による洗浄(23℃にて、60秒間)およびエアガンによるエアブロー乾燥を行った後の、パターン直線性を以下の基準で評価した。なお、評価に使用したパターンの寸法は、ライン幅30μmピッチ90μmである。
○:パターンの波うち形状がみられず、直線性が高い。
△:パターンに若干の波うち形状がみられる。
×:パターンに波うち形状がみられ、直線性が低い。
エッチング工程終了後、アルカリ性の剥離液による樹脂パターンの剥離に要した時間により評価した。
○:剥離に要した時間が120秒以下
×:剥離に要した時間が120秒を超える
アルカリ性の剥離液による樹脂パターンの剥離後において、基板上に残存する樹脂パターンの残渣を観察して評価した。
○:剥離後に樹脂パターンの残渣が存在しない。
△:剥離後に樹脂パターンが僅かに残存する。
×:剥離後に樹脂パターンが大量に残存する。
ところで、既に述べたように、多官能モノマーを大量に使用すると、樹脂内部の架橋密度が向上するので、薬品耐性の面では有利だが、剥離性の面で不利となる。この点、本発明の感光性樹脂組成物のように窒素含有単官能モノマーを使用することにより、樹脂内部の架橋密度を過剰に高くすることなく、樹脂パターンに薬品耐性及び密着性を付与することができるので、薬品耐性及び密着性と、剥離性という、相反する性能を両立することができることがわかる。
Claims (7)
- 酸基含有アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との反応により生成したアルカリ可溶性樹脂(A)と、3官能以上の多官能モノマー(B)と、窒素含有単官能モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、を含有する感光性樹脂組成物。
- 前記窒素含有単官能モノマー(C)の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 前記多官能モノマー(B)が6官能以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
- 前記多官能モノマー(B)の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して110〜300質量部であることを特徴とする請求項3記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、増感剤(E)を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
- 基体上に請求項1から5のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物を塗布し、感光性樹脂層を形成する工程と、
前記感光性樹脂層を選択的に露光した後、現像して樹脂パターンを形成する露光・現像工程と、
前記樹脂パターンをマスクとし、前記基体を選択的にエッチングするエッチング工程と、
剥離液を用いて前記樹脂パターンを剥離する剥離工程と、を含むことを特徴とする被エッチング基体の製造方法。 - 前記基体は、基板上に第1のCr層、Cu層、第2のCr層が順次形成されたものであり、
前記エッチング工程は、酸性のエッチング液を用いて前記第2のCr層を選択的にエッチングする工程と、酸性のエッチング液を用いて前記Cu層を選択的にエッチングする工程と、アルカリ性のエッチング液を用いて前記第1のCr層を選択的にエッチングする工程と、を含むことを特徴とする請求項6記載の被エッチング基体の製造方法。
Priority Applications (2)
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