図1は、タレットパンチプレス1の概略構成を示す図である。
タレットパンチプレス1はフレーム3を備えている。また、タレットパンチプレス1には、板状のワークWを支持するテーブル5と、ワークWの位置決めを行うワーク位置決め装置7とが設けられていると共に、複数のパンチ(図示せず)またはタッピングユニット(タッピング金型)を設置可能な円板状の上部タレット(回転中心軸CL1を中心にして回転位置決め自在な上部タレット)9と、パンチやタッピングユニットに対応する下部位置に、複数のダイ(図示せず)または孔付きダイを設置自在な円板状の下部タレット11とを具備したタレット装置13が設けられている。
また、フレーム3には、上部タレット9のタッピングユニットやパンチを打撃する(下方向に力を加える)ストライカ15とラム本体17が昇降自在に設けられている。上部タレット9の半径方向に並んだパンチまたはタッピングユニットを選択的に打撃するために、ストライカ15とラム本体17との間には、ストラカ移動機構19が設けられている。
また、フレーム3の上部には、タッピングユニットを回転駆動するためのタッピングユニット回転駆動手段(図1では図示せず)が設けられている。
続いて、タッピング用アダプタ21等について説明する。
図2は、上部タレット9に、タッピング用アダプタ21と、タッピングユニット回転駆動手段を構成するタッピングユニット回転駆動用アダプタ23とを設置した状態を示す斜視図である。
図3は、タッピングユニット回転駆動用アダプタ23の概略構成を示す透視斜視図であり、図4は、タッピングユニット回転駆動用アダプタ23の概略構成を示す斜視図(図3とは別のアングルから見た斜視図)である。
図5は、タッピング用アダプタ21の概略構成を示す透視斜視図であり、図6は、ダイ27と、タッピング用アダプタ21に設置されるタッピング金型25との斜視図である。
図7は、タッピング金型(タッピングツール)25の概略構成を示す断面図であり、図8は、図7におけるVIII−VIII断面を示す図である。
図9は、タッピング用アダプタ21等の概略構成を示す平面図であり、図10は、図9におけるIX−IX断面を示す図である。
タッピング用アダプタ21は、タレットパンチプレス1の上部タレット9の上面に設置されて使用されるものであり、リングギヤ29とギヤホルダ31とを備えて構成されている。
リングギヤ29は、この内部にタッピング金型25を装着自在(着脱自在)なように構成されている。ギヤホルダ31は、上部タレット9に装着自在(着脱自在)なように構成されている。ギヤホルダ31を上部タレット9に装着した状態では、ギヤホルダ31に設置されているリングギヤ29が、タレットパンチプレス1の上部タレット9に予め形成されているパンチ装着部33に対応した箇所に、位置するようになっている。
リングギヤ29は、1つのギヤホルダ31に対して少なくとも2つ(複数;図5や図9では4つ)設置されている。各リングギヤ29の歯部は、各リングギヤ29の回転中心軸CL2の延伸方向ではお互いが離れている(図10参照)。一方、リングギヤ29の回転中心軸CL2の延伸方向から見ると、2つのリングギヤ29のうちの1つのリングギヤ29(たとえばリングギヤ29A)の歯部の先端部側の一部と、2つのリングギヤ29のうちの他の1つのリングギヤ29(たとえばリングギヤ29D)の歯部の先端部側の一部とが、お互いに重なっている(図9参照)。ギヤホルダ31には、各リングギヤ29と噛み合っている1つの中間ギヤ35が設けられている。
タッピング金型25は、前述したようにタッピング用アダプタ21に装着自在なように構成されており、筒状体37と回転体39とを備えて構成されている(図7参照)。
筒状体37の内周には、マスターネジ(雌ネジ)41が形成されている。筒状体37は、タッピング用アダプタ21が上部タレット9に設置されたときに、リングギヤ29の貫通孔と上部タレット9の装着部33とに、回転を規制された状態で挿入されて設置されるようになっている。
回転体39は、タップ保持機構を備えタップ43を装着自在(着脱自在)なように構成されている。回転体39の外周には、筒状体37のマスターネジ41に螺合するマスターネジ(雄ネジ)45が形成されている。回転体39は、このマスターネジ45が筒状体37のマスターネジ41に螺合して筒状体37の内側に設置されるようになっている。また、タッピング用アダプタ21が上部タレット9に設置されタッピング金型25(筒状体37)がリングギヤ29の貫通孔と上部タレット9の装着部33とに設置された状態で、回転体39がリングギヤ29の回転によって回転すると、回転体39(タップ43)がこの回転中心軸CL2の延伸方向に移動する(マスターネジ41,45の螺合により移動する)ようになっている。
タッピング金型25には、回転規制手段47が設けられている。回転規制手段47は、上部タレット9とタッピング用アダプタ(上部タレット9に設置されているタッピング用アダプタ)21とからタッピング金型25を取り外したときに、筒状体37に対する回転体39の回転を規制するためのものである。なお、タッピング用アダプタ21が上部タレット9に設置された状態で、タッピング金型25をリングギヤ29の貫通孔と上部タレット9の装着部33とに設置すると、回転規制手段47が作用しなくなり、筒状体37に対して回転体39が回転できるように構成されている。
また、タッピング金型25では、タッピング用アダプタ21が上部タレット9に設置されタッピング金型25がリングギヤ29の貫通孔と上部タレット9の装着部33とに設置されたときに、タッピング用アダプタ21および上部タレット9に対して、回転体39とこの回転体39に設置されているタップ43とが、電気的に絶縁されるように構成されている。
タッピング金型25等についてさらに詳しく説明する。
リングギヤ29は、中央部にタッピング金型25が装着される円柱状の貫通孔を備えて円筒状に形成されており、外周にたとえば平歯車の歯部が形成されている。
上部タレット9は、円板状に形成されている。上部タレット9のパンチ装着部33は、上部タレット9の厚さ方向を貫通しているたとえば円柱状の貫通孔を備えて構成されている。
リングギヤ29が設置されているギヤホルダ31を上部タレット9に装着した場合、リングギヤ29の回転中心軸CL2が上部タレット9の厚さ方向に延伸し、上部タレット9の装着部33の貫通孔とリングギヤ29の貫通孔とが、上部タレット9の厚さ方向から見たときに、お互いにほぼ重なっている。そして、上部タレット9の貫通孔の中心軸とリングギヤ29の貫通孔の中心軸CL2とがお互いに一致している。さらに、リングギヤ29を支持しているギヤホルダ31に設けられている貫通孔21Aも、上部タレット9の厚さ方向から見たときに、上部タレット9の装着部33の貫通孔とリングギヤ29の貫通孔とにほぼ重なっている(図10参照)。
各リングギヤ29は、ギヤホルダ31への取付け位置が異なっているもののほぼ同形状に形成されている。各リングギヤ29の歯幅は、ギヤホルダ31の高さの半分の値よりも小さくなっており、たとえば、1/3〜1/5程度になっている。中間ギヤ35の歯数は、たとえば、リングギヤ29の歯数よりも少なくなっている。中間ギヤ35の歯幅は、リングギヤ29の歯幅の2倍よりも大きくギヤホルダ31の高さよりも小さくなっている。
そして、各リングギヤ29と中間ギヤ35とをギヤホルダ31に設置した状態では、上下方向(各ギヤ29,35の回転中心軸CL2の延伸方向)において、最も上側に存在している1つのリングギヤ29の歯部の上端が、中間ギヤ35の歯部の上端と同じところに位置しており、最も下側に存在している他の1つのリングギヤ29の歯部の下端が、中間ギヤ35の歯部の下端と同じところに位置している。さらに、中間ギヤ35の歯部の上端は、ギヤホルダ31の上端よりも低いところに位置しており、中間ギヤ35の歯部の下端は、ギヤホルダ31の下端よりも高いところに位置している。
さらに説明すると、円板状の上部タレット9は、たとえば、この厚さ方向が上下方向になるようにして設置されており、前述したように、上下方向に延びた中心軸CL1を回転中心にしてインデックス位置決め自在になっている。
上部タレット9の装着部33を構成する円柱状の複数の貫通孔は、上下方向に延びて上部タレット9に形成されている。また、各貫通孔は、上部タレット9の径方向で1列もしくは多列になっており、上部タレット9の周方向で所定の間隔をあけて設けられている。タッピング用アダプタ21が設置されていない状態では、パンチ加工を行うパンチ等を装着部33に設置自在になっている。
ここで、本実施形態では、すでに理解されるように、上部タレット9がこの厚さ方向がたとえば上下方向になるようにして設置されているものとする。したがって、上部タレット9の装着部33を構成する貫通孔の中心軸CL2やリングギヤ29の回転中心軸CL2は、上下方向に延びていることになる。
また、タッピング用アダプタ21は、たとえば、4つのリングギヤ29(29A,29B,29C,29D)を備えており、上部タレット9に設けられた4つの貫通孔(装着部33を構成する各貫通孔;上部タレット9の径方向でお互いが隣接しかつ上部タレット9の周方向でお互いが隣接している各貫通)が設けられている箇所で、上記各貫通孔覆うようにして上部タレット9の上側に一体的に設置されて使用されるものとする。なお、リングギヤ29等の数が4つ以外の複数であってもよい。
ギヤホルダ31は、下部フレーム49と上部フレーム51とを備えて構成されている。各リングギヤ29は、ベアリング53を介してギヤホルダ31に回転自在(軸CL2を回転中心にして回転自在)に支持されている。なお、リングギヤ29が設置されたギヤホルダ31(タッピング用アダプタ21)を上部タレット9に、ボルト等の締結具を用いて一体的に設置した状態では、上部タレット9の4つの各貫通孔の中心軸と、4つのリングギヤ29の各中心軸CL2とはお互いに一致している。
タッピング金型25は、前述したように、筒状体37と回転体39とを備えて構成されている。筒状体37は、円筒状のアウタホルダ55と円筒状のゲージナット57とを備えて構成されている。
タッピング金型25が上部タレット9の装着部33やタッピング用アダプタ21に設置された状態では、アウタホルダ55は、リフタスプリング59により上部タレット9に対して上方向に付勢されている(図10参照)。また、上記設置された状態では、上部タレット9の貫通孔の下部に設けられたキー61とアウタホルダ55の外周下部に設けられたキーミゾ63とがお互いに係合することにより、アウタホルダ55は、軸CL2を中心にして回転しないようになっている。すなわち、アウタホルダ55は、上部タレット9に対して上下方向にのみ移動自在になっている。
アウタホルダ55の内側であって高さ方向の中間部には、マスターネジ41が形成されているゲージナット57が設けられている。ゲージナット57は、リフタスプリング65によりアウタホルダ55に対して上方向に付勢されている。また、ゲージナット57の外周にはキーミゾ67が形成されており、このキーミゾ67がアウタホルダ55に設けられているキー69と係合することにより、ゲージナット57は、軸CL2を中心にして回転しないようになっている。すなわち、ゲージナット57は、アウタホルダ55に対して上下方向にのみ移動自在になっている。
回転体39は、下側が円筒状に形成され上側が円柱状に形成されているシャフト(ラム)71と、タップ43を着脱自在なタップ保持機構(タップ保持機構は、円柱状のタップ保持体73を備えて構成されている)と、下側が円筒状に形成され上側が円柱状に形成されているシャフト支持体75と、円板状に形成されている下側押圧体支持体77と、リング状に形成されている上側押圧体支持体79と、円板状に形成されている押圧体81と、円筒状に形成されているインナホルダ83と、リング状に形成されている駆動ブロック85とを備えて構成されている。なお、シャフト71の下部には、カバー部材74がねじ部72により設けられており、タップ保持体73ごとにタップ43を容易に着脱自在になっている。
インナホルダ83と駆動ブロック85とは、お互いが一体的に固定されている。インナホルダ83と駆動ブロック85とは、インナホルダ83がアウタホルダ55の上部内側に入り込み駆動ブロック85がアウタホルダ55の上方に突出するようにして、ベアリング87を介してアウタホルダ55に回転自在(軸CL2を中心にして回転自在)に支持されている。
駆動ブロック85の外周には、溝89が形成されており、この溝89内には、リリースレバ91が軸93を中心にして回動自在に設けられている。タッピング金型25が、上部タレット9やタッピング用アダプタ21に設置されていない状態では、リリースレバ91が圧縮コイルバネ95等の弾性体で付勢されて、リリースレバ91の一部が、アウタホルダ55の上端に形成された溝97に入り込み、アウタホルダ55に対してインナホルダ83と駆動ブロック85とが回転しないようになっている。一方、タッピング金型25を上部タレット9とタッピング用アダプタ21とに設置すると、リリースレバ91の他の一部が、ギヤホルダ31やリングギヤ29の内壁に押されて回動し、リリースレバ91の前記一部が、アウタホルダ55の上端に形成された溝97から出て、アウタホルダ55に対してインナホルダ83と駆動ブロック85とが回転することができるようになっている。
シャフト71の内部下側には、タップ保持機構(タップ保持体73)が設けられている。タップ保持体73は、このタップ保持体73の外周に形成されているキー溝99が、シャフト71に設けられているキー101に係合することにより、シャフト71に対して回転しないようになっており、タップ保持体73が上下方向で所定の距離だけ移動するようになっている。また、タップ保持体73は、圧縮コイルバネ103等の弾性体で下方向に付勢されている。なお、図7に示す状態は、シャフト71に対してタップ保持体73(タップ43)が最も下方に位置している。
シャフト71は、この下側でベアリング107を介してアウタホルダ55に支持されており、アウタホルダ55に対して回転自在(軸CL2を中心にして回転自在)になっていると共に、アウタホルダ55に対して上下方向で移動自在になっている。なお、図7に示す状態は、アウタホルダ55に対してシャフト71が最も上方に位置している。
また、シャフト71の下端には、リング状の鍔部109が形成されている。この鍔部109の上下方向の寸法(厚さ)は小さくなっている。鍔部109には溝(切り欠き)111が形成されており、この溝111が、アウタホルダ55に設けられているキー(ピン)113に係合することにより、図7に示す状態では、アウタホルダ55に対してシャフト71が回転しないようになっている。なお、図7に示す状態からアウタホルダ55に対してシャフト71が僅かに下降すると、鍔部109の溝111がアウタホルダ55のキー113から外れて、シャフト71がアウタホルダ55に対して回転できるようになっている。
シャフト71の上下方向の中間部の外周には、マスターネジ45が形成されており、このマスターネジ45がゲージナット57のマスターネジ41と螺合している。したがって、ゲージナット57に対してシャフト71が回転すれば、シャフト71(タップ43)が回転しながらゲージナット57に対して上下方向に移動するようになっている。
シャフト71の上側の部位は、シャフト支持体75の内部に入り込んでいる。また、シャフト71の上部には、キー115が設けられており、このキー115が、シャフト支持体75に設けられたキー溝117に係合することによって、シャフト支持体75に対してシャフト71が回転しないようになっていると共に、シャフト支持体75に対してシャフト71が上下方向に移動できるようになっている。
シャフト支持体75の下端は、スラストベアリング120等のベアリングを介して、ゲージナット57に対して回転自在に支持されている。なお、図7に示す状態において、押圧体81に下方向の力が加わると、この加えられた力は、ベアリング119、下側押圧体支持体77、シャフト支持体75、ベアリング120を伝わって、ゲージナット57に伝達され、リフタスプリング65が縮み、ゲージナット57(シャフト71)が下方向に移動するようになっている。
シャフト支持体75は、この下側がインナホルダ83の内部に入り込んでおり、シャフト支持体75は、インナホルダ83に対して上下方向で移動できるようになっている。また、シャフト71の上部に設けられているキー115が、インナホルダ83の内周に設けられているキー溝121にも係合できるようになっている。
すなわち、図7に示す状態では、シャフト71の上部に設けられているキー115が、インナホルダ83のキー溝121の上部でこのキー溝121から離れているが、図7に示す状態で、押圧体81に下方向の力が加わると、インナホルダ83に対してシャフト支持体75やシャフト71が下降し、シャフト71の上部に設けられているキー115が、インナホルダ83のキー溝121に係合し、シャフト71下部のキー溝111がアウタホルダ55のキー113から離れ、インナホルダ83(駆動ブロック85)の回転によって、シャフト71(シャフト支持体75やタップ43)が回転するようになっている。また、マスターネジ41,45が螺合しているので、シャフト71の回転によって、シャフト71(タップ43)が下降するようになっている。
シャフト支持体75の上端には、下側押圧体支持体77が一体的に設けられている。下側押圧体支持体77の上方に、押圧体81が前述したスラストベアリング119等のベアリングを介して回転自在に設けられている。また、下側押圧体支持体77の上部周辺には、リング状の上側押圧体支持体79が一体的に設けられており、この上側押圧体支持体79によって押えられることによって押圧体81が下側押圧体支持体77から上方に離れることを防止している。
なお、各押圧体支持体77,79の外径は、リングギヤ29の内径やギヤホルダ31の貫通孔21Aの内径よりも僅かに小さくなっている。そして、タッピング金型25を、上部タレット9の装着部33やタッピング用アダプタ21に設置した状態で、ストライカ15で下方に押圧されることにより、各押圧体支持体77,79や押圧体81が、リングギヤ29の内側やギヤホルダ31の貫通孔21Aの内側に入り込むようになっている。
また、駆動ブロック85やアウタホルダ55の外径は、上部タレット9の装着部33の貫通孔の内径やリングギヤ29の内径やギヤホルダ31の貫通孔21Aの内径よりも僅かに小さくなっており、タッピング金型25を、上部タレット9の装着部33やタッピング用アダプタ21に挿入させて設置することができるようになっている。
駆動ブロック85の外周には、キー(ピン)123が突出して設けられており、このキー123が、リングギヤ29の内周に形成されているキー溝125に入り込んで係合し(図10参照)、リングギヤ29が回転すると、駆動ブロック85が回転するようになっている。
なお、ギヤホルダ31の貫通孔21Aの内側にも、駆動ブロック85のキー123が入り込める溝127が形成されている。図10の左側に位置しているタッピング金型25の駆動ブロック85のキー123は、ギヤホルダ31の貫通孔21Aに設けられている溝127に係合しているので、図10の左側のリングギヤ29が回転しても駆動ブロック85は回転しないが、押圧体81が下方に押されることによって図10の左側の駆動ブロック85が下方に移動しこのキー123がリングギヤ29のキー溝125に係合し、リングギヤ29の回転により駆動ブロック85が回転するようになっている。
図10の右側に示すタッピング金型25では、駆動ブロック85のキー123がリングギヤ29の内側に形成されているキー溝125に係合しているので、図10に示した状態のままでも、リングギヤ29の回転により駆動ブロック85が回転するようになっている。さらに、図10の右側に示すタッピング金型25では、押圧体81が下方に押されて駆動ブロック85が下方に移動しても、駆動ブロック85のキー123はリングギヤ29のキー溝125に係合し続けるようになっている。
さらに、図10に示す状態において、押圧体81が下方に押されると、シャフト支持体75やシャフト71も下方に移動し、シャフト71の下部のキー溝111がアウタホルダ55のキー113から外れ、シャフト71の上部に設けられているキー115がインナホルダ83のキー溝121と係合し、リングギヤ29(駆動ブロック85やインナホルダ83)の回転力がシャフト71(タップ43)に伝達され、シャフト71が回転しつつ下方に移動するようになっている。
ここで、タッピング用アダプタ21についてさらに説明する。
4つのリングギヤ29のうちで、対角線上にある一対のリングギヤ(図9に示す左下のリングギヤ29Aと図9の示す右上のリングギヤ29C)の各歯部は、図10の右側に示すリングギヤ29Aのように上方に位置している。また、4つのリングギヤ29のうちで、他の対角線上にある一対のリングギヤ(図9に示す左上のリングギヤ29Bと図9の示す右下のリングギヤ29D)の各歯部は、図10の左側のリングギヤ29Dのように下方に位置している。また、中間ギヤ35は、平面視において、図9に示すように4つのリングギヤ29の内側に位置している。
また、上部タレット9の上部であって、タッピング用アダプタ21内側(上部タレット9の周方向で内側)近傍には、タッピングユニット回転駆動用アダプタ23が設けられている。回転駆動用アダプタ23には、たとえば、複数の(たとえば2つの)回転入力軸129(129A,129B)が設けられており、この2つの回転入力軸129は、歯車列131を介して出力ギヤ133に連動連結されている。そして、2つの入力軸129のうちの一方の入力軸に、タレットパンチプレス1に設けられているアクチュエータ(図示せず)から回転力が入力されることによって、出力ギヤ133が回転するようになっている。出力ギヤ133は、図9に示すように、4つのリングギヤ29の内の1つのリングギヤ29Cに噛合している。
これにより、回転入力軸129に回転力が入力されると、各リングギヤ29が、たとえば、お互いが等しい回転角速度で同方向に回転するようになっている。
また、アウタホルダ55、駆動ブロック85、リリースレバ91、キー123、各押圧体支持体77,79が、電気を通さない絶縁体で構成されているか、もしくは、アウタホルダ55、駆動ブロック85、リリースレバ91、キー123、各押圧体支持体77,79の表面が絶縁性の皮膜で覆われている。そして、タッピング金型25が、ギヤホルダ31の貫通孔とリングギヤ29の貫通孔と上部タレット9の装着部33とに設置されたときに、タッピング用アダプタ21および上部タレット9に対して回転体39(タップ43)が、電気的に絶縁されるように構成されている。
次に、タレットパンチプレス1の動作について説明する。
図11〜図13は、タレットパンチプレス1の動作を示す図である。
まず、初期状態として、図10に示すように、上部タレット9やストライカ15や下孔加工がされているワークWが所定の位置決めされており、タッピング金型25の回転体39は上昇端に位置しており、タッピングユニット回転駆動用アダプタ23への回転力の入力はされていないものとする。
上記初期状態において、図示しない制御装置の制御の下、タレットパンチプレス1のストライカ15が下降して、図11の右側に示すタッピング金型25の回転体39を下方に押すと、各リフタスプリング59,65が縮み、右側のタッピング金型25の回転体39が下降する。
続いて、タッピングユニット回転駆動用アダプタ23を介して回転体39を回転させると、リフタスプリング65が縮み、図12の右側に示すように、タップ43でワークWにタッピング加工をする。
この後、タッピングユニット回転駆動用アダプタ23を介して回転体39を逆回転させ、図11に示す状態にして、次のタップ加工をすべくワークWを移動位置決めし、この移動位置決め後に前記次のタップ加工を行う。
上述した動作をタイムチャートで示すと図13(a)のようになる。
なお、1つのタップ加工をした後、回転体39を逆回転させ、図11に示す状態にして、この後、タレットパンチプレス1のストライカ15を上方に移動し、図10に示す状態にしてから次のタップ加工を行うようにしてもよい(図13(b)参照)。
なお、上記動作の説明では、4つのタッピング金型のうちでリングギヤ29Aに設置されているタッピング金型を用いてタップ加工する場合を例に掲げて説明しているが、リングギヤ29Dに設置されているタッピング金型等他のタッピング金型25を使用してワークWにタップ加工を行うようにしてもよい。
タレットパンチプレス1によれば、上部タレット9に装着自在になっているタッピング用アダプタ21を、上部タレット9に設置すればタッピング金型25を上部タレット9に設置して使用することができ、一方、タッピング用アダプタ21を上部タレット9から取り外してあれば上部タレット9にパンチ金型を設置して使用することができるので、1台のタレットパンチプレス1で多様な加工に対応することが容易になる。
また、タッピング用アダプタ21によれば、各リングギヤ29がお互いに重なっている部分が存在しているので、この重なっている部分に応じてタッピング用アダプタ21を小型化することができ、省スペース化をはかることができる。
ところで、タッピング用アダプタ21は、タッピング金型専用のアダプタでなくパンチ金型のアダプタとして兼用して使用することができるようになっている。
すなわち、前述したように、タッピング用アダプタ21を取り外して、上部タレット9に直接パンチ金型を設置することで、多様な加工に対応できるようになっているが、これ以外にタッピング用アダプタ21を取り外すことなくタッピング金型25に代えてパンチ金型をタッピング用アダプタ21に挿入して設置することもできるようになっている。
この際(タッピング金型25に代えてパンチ金型をこのタッピング用アダプタ21に挿入して設置する際)には、パンチ金型にはリングギヤ29の内周に形成されるキー溝125に係合するピン123が設けられていないので、リングギヤ29を回転してもパンチ金型には回転力が伝達されずしたがって回転せず、所定の角度での所定の金型形状の打ち抜きが出来るようになっている。
また、たとえば、タッピング用アダプタ21の4つのステーションの内2つにタッピング金型を、他の2つにパンチ金型を挿入するようなタップと打ち抜きの兼用としても使用でき、多様な加工に対応できるようになっている。すなわち、タッピング用アダプタ21の複数のステーションの内のいくつかのステーションにタッピング金型を設置し、他のいくつかのステーションにパンチ金型を挿入するようにしてもよい。
また、タッピング金型25を上部タレット9から取り外した状態ときにタッピング金型25の回転体39が回転しないので、タッピング金型25を上部タレット9に設置する際、タッピング金型25の筒状体37に対する回転体39の回転角度(位相)を合わせる必要がなくなり、上部タレット9へのタッピング金型25の設置が容易になる。
また、タッピング金型25を上部タレット9に装着した際、上部タレット9に対してタッピング金型25の回転体39とこの回転体39に設置されているタップ43とが、上部タレット9から電気的に絶縁されるので、たとえば、ワークWへのタップ加工をするときに、タッチセンサを使用して、ワークWにタップ43が接触したことを検出することができる。