JP5373463B2 - 透過型電子顕微鏡の自動最適合焦点調整装置 - Google Patents

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本発明は透過型電子顕微鏡(TEM)の自動最適合焦点調整装置に関し、更に詳しくは観察倍率の制限の影響を小さくし高精度で自動合焦点が可能な透過型電子顕微鏡の自動最適合焦点調整装置に関する。
従来、透過型電子顕微鏡は主に大学や研究所の材料研究分野や一部の生物・医療分野で使用されてきた。一方、近年、ナノテクノロジーが急速に発展してきている。このため、今まで多くの分野で使用されてきた走査型電子顕微鏡(SEM)では分解能の面で限界が生じ、透過型電子顕微鏡が使用される機会が増えてきた。前述の大学や研究所に加え、多くの企業でも透過型電子顕微鏡の利用が増え、生物・医療分野での需要も高まっている。
近年では、半導体や液晶・有機EL基板などフラットパネル分野でその断面の形態観察、寸法測長、各種分析などの用途で使用される機会が急増している。特に、半導体分野ではその微細化に伴い、透過型電子顕微鏡への期待が高まってきている。このような状況の中、透過型電子顕微鏡ユーザが急速に増加しているが、必ずしも透過型電子顕微鏡の操作に習熟しているわけではない。
特に、走査型電子顕微鏡(走査透過型電子顕微鏡)ユーザから透過型電子顕微鏡ユーザに移行した場合、透過型電子顕微鏡像の合焦点判定に戸惑う場合が多く、正確な合焦点判定には経験が必要である。これは、原理上の問題であるが、走査型電子顕微鏡では、観察対象物のエッジ(構造物の境界面)近傍ではエッジ効果により合焦点で最も良いコントラストが得られるが、透過型電子顕微鏡では、最も良いコントラストが得られない。このため、最適な合焦点位置を特定するには多くの経験が必要である。
従来、透過型電子顕微鏡における自動合焦点調整として、ビーム(電子線)傾斜法が用いられてきた(例えば特許文献1,特許文献2参照)。電子線傾斜法は、試料上部に設けられた偏向器を用いて、電子線を僅かに傾斜させながら試料に照射し、傾斜の前後の画像の位置ズレ量が最小となる対物レンズ電流値の条件を見い出す手法である。画像の位置ズレ量は、例えば計算機上でパターンマッチングを行なうことにより求めることができる。
図5は透過型電子顕微鏡の構成例を示す図である。電子線源1から放出された電子線EBは、加速管2を通過する際に、加速管2内の高電界により高速に加速される。その後、照射系レンズ群3により電子線EBの電流量が調整され対物レンズ8内の試料7に照射される。試料7を通過した電子線EB’は、結像系レンズ群10により像を拡大結像され、蛍光板12に投影される。
蛍光板12に投影された像は、ミラー13を介してCCDカメラ14に入り像信号に変換され、画像信号処理ユニット15を介して計算機16内のメモリ16aに像信号データとして記憶される。該画像信号処理ユニット15は、その内部にA/D変換器を具備しており、入力された画像信号をデジタルデータに変換する機能を有している。この像信号は透過電子線像としてモニタ17に出力することもできる。また、試料表面上で電子線EBを細かく絞って対物レンズ8の上部の偏向器4,5で走査することにより、試料7を透過した電子線EB’を試料下部の明暗視野走査像検出器11で検出することにより、走査透過像を得ることもできる。
計算機16には操作部18が接続されており、各種のデータやコマンドを入力するようになっている。計算機16はレンズ制御部19に制御信号を与え、該レンズ制御部19によりレンズ電源20の出力が制御されて、透過型電子顕微鏡の各レンズに与えられる。6は試料7の上部に設けられた2次電子検出器で、その出力は画像信号処理ユニット15に入っている。9は対物レンズ8の下部に設けられた制限視野絞りである。
ここで、電子線傾斜法の原理について図6を用いて説明する。図6について、図5と同一のものは、同一の符号を付して示す。対物レンズ8の上部に設置されている偏向器4により電子線を傾斜させる。偏向制御はレンズ制御部19(図5参照)などを用いて電流値、或いは電圧値を制御して行なう。
これにより、実線で示した電子線傾斜(実線30)と、破線で示した電子線傾斜(破線31)を実現することができる。この電子線傾斜角は光軸21に対してθであり、実線30と破線31は光軸21に対して軸対称である。以下、実線30の電子線傾斜を+傾斜、破線31の電子線傾斜を−傾斜という。また、図6中の結像系レンズ群10はブラックボックスで表しているが、実際は図5に示すような多段の中間レンズ・結像レンズから構成されている。
今、図6中の実線32が+傾斜の拡大像、破線33が−傾斜の拡大像を示すものとする。デフォーカス状態では、拡大像32,33は一致しないため、+傾斜と−傾斜を周期的に変化させると、蛍光板12上で拡大像が位置ズレする。一方、合焦点状態では、+傾斜と−傾斜を周期的に変化させても拡大像32,33は一致するので、蛍光板12上で拡大像の位置ズレは生じない。
以上の原理により、+傾斜と−傾斜を周期的に変化させながら拡大像の位置ズレを最小となるように対物レンズの設定値などを調整し、合焦点調整を行なうことができる。対物レンズの設定値等は、操作部18(図5参照)から入力することができる。上述の合焦点調整は自動で行なうこともできる。例えば、図5のミラー13に投影された像をCCDカメラ14で取得し、計算機16による制御により合焦点位置を設定することができる。
CCDカメラ14で取得した透過電子線像は、画像信号処理ユニット15を介して計算機16に入力される。該計算機16では、電子線傾斜の方向を変える前後の透過電子線像のパターンマッチングを行ない、その位置ズレ量を算出する。位置ずれ量が基準値以下になるまで上述の動作を繰り返す。この位置ズレ量が基準値以下の状態を合焦点位置とする。この時、対物レンズ8の設定は、計算機16よりレンズ制御部19,レンズ電源20を介して設定される。この一連の動作が電子線傾斜法による自動合焦点調整方法である。
従来のこの種の装置としては、対物レンズのレンズ電流値をステップ状に変化させながら、その各ステップにおいて、ワブラーにより試料への入射角を変化させ、この入射角変化の前後における二つの試料像をテレビカメラで撮像して、それぞれ別の画像メモリ,に記憶させ、両記憶像を同時に読み出して画像の画像内容としての一致度を演算器により演算し、両像の一致度が良好と判定された時点で、上記対物レンズのレンズ電流値変化を停止させる装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、元画像に対して、X方向に並行なフィルタによるX側エッジ成分抽出処理と、画像のY方向に平行なフィルタによるY側エッジ成分抽出処理との2つの処理を別々に行ない、それぞれにノイズ低減フィルタ適用や、数値規格化などの処理を行なうことにより、X方向,Y方向のエッジ成分を表す2次元数値行列とを独立に求め、この2種の行列のそれぞれの総和を元画像におけるX側とY側それぞれの焦点評価量とする装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
特開平9−171792号公報(段落0015、図1,図2) 特開平2005−63678号公報(段落0047〜0056、図4,図5)
電子線傾斜法による自動合焦点調整方法では、以下に示すような問題点がある。
1)高倍率での調整が困難である。これは、倍率が高すぎると像のズレ量が大きすぎるため、像がCCDカメラの視野外になる場合があり、その場合、像の正確なパターンマッチングができない。
2)パターンマッチングを行なうため、パターンマッチングに適さない観察構造物では精度が得られにくい。
1),2)の理由により、後述する実施例1の透過電子線像のエッジを評価して最適合焦点位置を算出する手法が検討されている。しかしながら、対物レンズの励磁変化による明るさ変動などの要因で最適合焦点位置以外の部分を最適合焦点位置と判定される場合が多い。これは、透過電子線像は最適合焦点位置で最もコントラストが弱くなるが、明るさ変動などの要因でその他の部分でもコントラストが弱くなる場合があるためである。そのため、このような偽合焦点位置を最適合焦点位置の判定条件から除外する手法が必要である。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、最適合焦点位置を確実に検出することができる透過型電子顕微鏡の自動最適合焦点調整装置を提供することを目的としている。
本発明は前記した課題を解決するために、以下のような構成をとっている。
)請求項記載の発明は、電子線源から出射された電子線を集束する照射系レンズ群試料を照射する電子線を偏向させる偏向器、試料を透過した電子線による透過電子線像の焦点を調整する対物レンズと、該対物レンズの後段に配置され、透過電子線像を蛍光板に拡大結像させる結像系レンズ群と、前記蛍光板に結像された透過電子線像を撮像するカメラと、該カメラで撮像された透過電子線像を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された透過電子線像を読み出して所定の画像処理を行なう画像処理装置を有する透過型電子顕微鏡において、前記画像処理装置は、対物レンズの励磁の設定値を異ならせて撮像した複数の透過電子線像を前記記憶手段から読み出して、それぞれの透過電子線像についてエッジ評価値を算出し、算出した複数のエッジ評価値のプロットに基づいてフィッティング関数f(x)を求め、そのフィッティング関数f(x)を1次微分し、その1次微分した関数f’(x)の最小極小値と最大極大値の範囲を真の合焦点位置の範囲として絞り込み、その範囲内でフィッティング関数f(x)が傾き0である位置を最適合焦点位置とすることを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、電子線源から出射された電子線を集束する照射系レンズ群と、試料を照射する電子線を偏向させる偏向器と、試料を透過した電子線による透過電子線像の焦点を調整する対物レンズと、該対物レンズの後段に配置され、透過電子線像を蛍光板に拡大結像させる結像系レンズ群と、前記蛍光板に結像された透過電子線像を撮像するカメラと、該カメラで撮像された透過電子線像を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された透過電子線像を読み出して所定の画像処理を行なう画像処理装置を有する透過型電子顕微鏡において、 前記画像処理装置は、対物レンズの励磁の設定値を異ならせて撮像した複数の透過電子線像を前記記憶手段から読み出して、それぞれの透過電子線像についてエッジ評価値を算出し、算出した複数のエッジ評価値のプロットに基づいてフィッティング関数f(x)を求め、そのフィッティング関数f(x)を1次微分し、その1次微分した関数f’(x)を更に微分して関数f’’(x)を求め、求めた関数f’’(x)の極大値をとる位置を最適合焦点位置とすることを特徴とする。
本発明は、以下のような効果を奏する。
)請求項記載の発明によれば、画像処理装置が対物レンズの励磁の設定値を異ならせて撮像した複数の透過電子線像を前記記憶手段から読み出して、それぞれの透過電子線像についてエッジ評価値を算出し、算出した複数のエッジ評価値のプロットに基づいてフィッティング関数f(x)を求め、そのフィッティング関数f(x)を1次微分し、その1次微分した関数f’(x)の最小極小値と最大極大値の範囲を真の合焦点位置の範囲として絞り込み、その範囲内でフィッティング関数f(x)が傾き0である位置を最適合焦点位置とすることで、最適合焦点位置を確実に検出することができる透過型電子顕微鏡の自動最適合焦点調整装置を提供することができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、画像処理装置が対物レンズの励磁の設定値を異ならせて撮像した複数の透過電子線像を前記記憶手段から読み出して、それぞれの透過電子線像についてエッジ評価値を算出し、算出した複数のエッジ評価値のプロットに基づいてフィッティング関数f(x)を求め、そのフィッティング関数f(x)を1次微分し、その1次微分した関数f’(x)を更に微分して関数f’’(x)を求め、求めた関数f’’(x)の極大値をとる位置を最適合焦点位置とすることで、透過型電子顕微鏡の自動最適合焦点調整装置を提供することができる。
本発明の自動合焦点調整方法を示すフローチャートである。 各焦点の光線図とその蛍光板に投影された場合の透過像を示す図である。 エッジ評価値の生データとそのフィッティング結果を示す図である。 本発明による合焦点位置判定の説明図である。 透過型電子顕微鏡の構成例を示す図である。 電子線傾斜法の原理の説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施例1)
図5に示す透過型電子顕微鏡の全体構成図を用いて本発明を説明する。図示しないが、試料は精密ステージと試料を固定するホルダによりX,Y,Z,回転,2軸傾斜を行なうこともできる。試料移動は、計算機16により制御可能である。ユーザは、トラッカボールや計算機のGUIから任意の位置に試料を移動することができる。
電子線源1から放出された電子線EBは、加速管2を通過する際に、加速管2内の高電界により高速に加速される。その後、照射系レンズ群3により電子線EBの電流量が調整され対物レンズ8内の試料7に照射される。試料を透過した透過電子線EB’は、結像系レンズ群10により像を拡大され、蛍光板12に投影される。
蛍光板12に投影された透過電子線像は、CCDカメラ14を用いて像信号に変換される。この像信号は、画像信号処理ユニット15に入力され、ノイズが除去された後A/D変換器(図示せず)によりデジタル画像データに変換され、計算機16内のメモリ16aに像信号データとして保存される。更に、計算機16からCCDカメラ14の各種条件変更も操作部18からの入力に従い、画像信号処理ユニット15を介して行なうことができる。メモリ16aに記憶された像信号は、必要に応じて、透過電子線像としてモニタ17に出力することもできる。
更に、上述の系において、試料7の面上で電子線EBを細かく絞って対物レンズ8の上部の偏向器4,5により走査することにより、試料を透過した電子線EB’を試料下部の明暗視野走査像検出器11で検出することにより走査透過像を取得したり、試料表面から放出された2次電子を試料上方に設置された2次電子検出器6で検出することにより、2次電子像を取得したりすることができる。但し、本発明ではこの明暗視野走査像や2次電子像を対象としてはいない。
オペレータは、操作部18のトラッカボールやGUIを利用して試料7を観察したい位置に移動させる。その後、Z位置調整,光軸の調整,像の明るさ調整,非点収差の補正などを行なう。これらの調整は、自動調整機能が搭載されている装置であれば、自動で行なうことができる。その後、本発明の自動合焦点調整を開始することができる。自動合焦点調整機能は、計算機16のGUI上、または操作部18の自動合焦点調整ボタンを押すと開始される。
自動合焦点調整が開始されると、図1に示すフローで調整が行われる。図1は自動合焦点調整方法を示すフローチャートである。但し、このフローチャートは一例であり、必ずしもこのフローで処理する必要はない。先ず、自動合焦点調整で必要なシステムパラメータを読み込んだ後(S1)、システムパラメータで決められている対物レンズ8の励磁変化幅、変化ステップ毎に各透過電子線像を取得する(S2)。
ここで、対物レンズ8の応答速度を速くしたり、ヒステリシスの影響を小さくしたりする目的で、小型対物レンズ(対物補助レンズ)を設置することも可能である。上述の対物レンズ8の制御は対物補助レンズで代用することができる。ところで、透過電子線像は、図5に示すCCDカメラ14で撮影され、画像信号処理ユニット15を経て計算機16内のメモリ16aに記憶される。
この時、取得する画像枚数に特に制限はないが、画像枚数を増加することにより、最適合焦点を算出する精度が向上する。また、取得した透過電子線像は、図2に示すようになる。図2は各焦点の光線図とその蛍光板に投影された場合の透過像を示す図である。(a)がアンダーフォーカス、(b)がジャストフォーカス、(c)がオーバフォーカスである。ジャストフォーカス(最適合焦点)では、最も構造物のエッジコントラストが弱くなるが、ジャストフォーカスから離れるに従い、即ちオーバーフォーカス,アンダーフォーカス側に対物レンズ8の設定を変化すると、構造物のエッジコントラストが強くなる。
計算機16のメモリ16a内に記憶された透過電子線像は、計算機16により読み出されて各透過電子線別に画像処理が行なわれ、観察領域の構造物境界面のエッジ抽出が行なわれる(S3,特許文献2参照)。また、精度向上のため、ノイズ除去処理を行なうことも有用である(S4,特許文献2参照)。エッジ抽出では、画像のX方向,Y方向別に処理が行われる。但し、処理時間などの制約がある場合は、精度はやや犠牲になるがX方向又はY方向のどちらか一方のみでもよい。エッジ抽出に用いる画像処理方法については特に限定しないが、例として特許文献2に記載されているような方法が考えられる。
計算機16は、上述の信号処理された透過電子線像のエッジの量を評価する(S5)。エッジ量を評価する手法は様々な手法が考えられるが、ここではその一例を紹介する。透過電子線像はCCDカメラ14を用いて取得し、グレイスケールデータとして扱う。データの量が0であれば黒、値が大きくなるに従って白に近づく。値の最大値は、CCDカメラ14の仕様やA/D変換器によって異なる。
人が透過電子線像中のエッジ部分として認識するためには、この黒と白の差、即ちコントラストが大きい場合である。従って、(1)式のように透過電子線像中の注目画素とその隣の画素の差分を全ての画素について求め、その積算値を算出する。この積算値をここでは、エッジ評価値とする。
ここで、Iは透過電子線像,M及びNは透過電子線像サイズ,i,jは透過電子線像中の画素位置である。
エッジ部分が多い透過電子線像はこの評価値が大きくなり、逆にエッジが少ない場合は、評価値が小さくなる。最適合焦点位置の算出精度向上のために、エッジ量の評価もX方向,Y方向の両方を行なうこともできる。これは(1)式の計算方向を変更するだけで、算出することができる。ここで、エッジ評価値は、取得した画像全てに対して算出する。上述の処理は、透過電子線像を取得する処理(対物レンズの制御を含む)と画像処理を平行処理し、短時間処理を行なうことも可能である。
(1)式を用いたエッジ評価値は一例にすぎない。また、取得した透過電子線像の特定領域のみのエッジ評価値を算出し、時間短縮を図ってもよいが、精度の観点からできるだけ透過電子線像全体からエッジ評価値を算出した方が望ましい。
自動合焦点調整は、短時間で行なうことが望ましい。そのための一つの方法として、上述の対物レンズの励磁を変化させながら透過電子線像を取得する回数(サンプリングポイント)を減らす方法が挙げられる。しかしながら、サンプリングポイントを減らすと最適合焦点位置の算出精度の劣化に直結する。そのため、得られたエッジ評価値の生データをフィッティングする(S6)。
フィッティングの方法については、ここでは言及しないが、精度が高くなる方法を用いることが望ましい。図3はエッジ評価値の生データとそのフィッティング結果を示す図である。図の横軸はサンプリングポイント、縦軸はエッジ評価値である。図のf1が生データのエッジ評価値を示す関数、f2がフィッティング結果をとった関数である。フィッティング結果関数f2は、生データのエッジ評価値を示す関数f1をなだらかになぞったものである。フィッティング結果を示す特性を算出するには、例えば最小二乗法等を用いることができるが、これに限るものではない。精度が高くなる方法を用いることが望ましい。図3に示すように、エッジ評価値が最も小さくなるサンプリングポイントが最適合焦点位置となる(S7)。図の例では、サンプリングポイント6あたりに最適合焦点位置があることが分かる。
エッジ評価値の生データで最適合焦点位置を算出する場合は、最小値を示すサンプリングポイントが最適合焦点位置となる。また、フィッティング曲線から最適合焦点位置を算出する場合は、その関数の最小値となる時のサンプリングポイント計算で算出できるので、その値を最適合焦点位置とする。
上述したように、エッジ評価値は、透過電子線像のX方向,Y方向の両方から算出することができる。X方向,Y方向両方から最適合焦点位置を算出する場合は、各々、上述の手法で最適合焦点位置を算出し、XとYの中点を最終的な最適合焦点位置とする。
このように、本発明によれば、計算機16がメモリ16aに記憶されている透過電子線像を読み出してエッジ評価値を算出し、算出したエッジ評価値のプロットからフィッティングを行なってフィッティング関数を求め、この関数の最小値を最適合焦点位置とすることで、最適合焦点位置を確実に検出することができる。
一方、上述の自動合焦点位置の判定において、対物レンズ8の励磁変化による透過電子線像全体の輝度変化により、エッジ評価値の最小値が偽合焦点位置となる場合がある。この場合、上述の手法では最適な合焦点位置を判定できず、精度が低下する。このような場合の例を図4に示す。
図4は本発明による合焦点位置判定の説明図である。(a)は生データとフィッティング曲線を、(b)は1次微分曲線を、(c)は2次微分曲線をそれぞれ示している。図4の場合、対物レンズ8の励磁変化に対する透過電子線像全体の輝度が変化することにより、最適合焦点位置(サンプリングポイント10付近)より弱励磁側(サンプリングポイント20付近)にエッジ評価値が最小となっている。このような場合、上述の手法では偽合焦点位置(例えばサンプリングポイント20)が最適合焦点位置と判定される。そこで、以下に示す手法により偽合焦点位置を最適合焦点位置と判定する確率を低減させ、自動合焦点調整の高精度で行えるようにする。
フィッティングにより得られる関数f(x)を1次微分(f’(x))し、真の合焦点位置の範囲を絞り込み、偽合焦点位置を探索対象外とする。図4から明らかなように、フィッティング曲線は、最適合焦点付近で下に凸となり、その両端の傾き(変化)が大きくなる。この傾きの変化を評価するためフィッティング曲線を1次微分する。1次微分曲線は、フィッティング曲線の傾きを表す。即ち、f’(x)の極値となるx位置は、フィッティング曲線の傾きが最大となる位置を示す。
極値は2つ以上存在する場合があるが、最適合焦点位置はフィッティング曲線の傾き(変化)が大きい部分の間にあることがほとんどである。これは、最適合焦点近傍では、透過電子線像内のエッジ変化が顕著であるためである。最適合焦点位置が離れるに従い、エッジ変化は小さくなる。以上より、極小値のうち最小となる極小値と極大値のうち最大となる極大値の間に最適な合焦点位置が存在する確率が高いため、この範囲を最適合焦点位置の新探索範囲とする。
新探索範囲の強励磁側は必ず極小値,弱励磁側は必ず極大値となる。これは、最適合焦点位置は関数f(x)上では必ず下に凸であるため、関数f’(x)上で、かつ新探索範囲内の極小値となるxは負の傾きが最大となる位置を示し、最適合焦点位置の強励磁側を表す。また、関数f’(x)上でかつ新探索範囲内の極大値となるxは正の傾きが最大となる位置を示し、最適合焦点位置の弱励磁側を表す。
ところで、新探索範囲内でf’(x)=0となるx位置はフィッティング曲線では傾き0となる位置なので、最適合焦点位置付近であることが推測される。このx位置を最適合焦点位置と判定することができる。図の1次微分曲線の新探索範囲の中点付近が最適合焦点位置と判定することができる。
このように本発明によれば、フィッティング曲線の1次微分から最適合焦点位置の範囲を求めることができる。高精度を求めるのであれば、より変化に敏感な2次微分(f"(x))を求め、新探索範囲内の極大値をとるxを算出することにより最適合焦点位置を判定することができる。図では、サンプリングポイントの10の位置が最適合焦点位置であることを示している。このように、本発明によれば、フィッティング曲線を2次微分することで、最適合焦点位置を求めることができる。
以上説明したように、最適合焦点付近では、急激にエッジが変化する特徴を1次微分によって数値化し、その変化率の大きい領域を新探索範囲にすることで種々の要因で発生する偽合焦点位置を探索範囲から除外することができ、最適合焦点位置の算出精度を向上させることができる。更に、2次微分によって、最適合焦点付近の微小な変化を反映してより高精度に最適な合焦点位置を算出することができる。
一方、対物レンズの励磁変化による透過電子線像全体の輝度変化が顕著な場合は、全てのサンプリングポイントの透過電子線データの平均輝度を算出し、各透過電子線像の平均輝度との差分を補正することにより、全てのサンプリングポイントの透過電子線像の平均輝度を同じにする。この補正を行なっても、透過電子線像のエッジ情報はほとんど失われることはなく、本発明では各透過電子線像のエッジ情報の相対比較を行なうので、問題はない。以上の補正を行なうことにより、対物レンズの大きな励磁変化によって発生する透過電子線像の輝度変化で生じる自動合焦点調整の精度劣化を最小限に留めることができる。
計算機16は、算出した最適合焦点位置となる対物レンズ設定値を算出し、その値をレンズ制御部19に伝送する。一方、一部の生体試料などでは、最適合焦点位置ではほとんどコントラストが得られない場合がある。このため、僅かにデフォーカスしてコントラストを得る手法をとられることがある。
その場合、算出した最適合焦点位置にオフセットを与える値を予めシステムパラメータメータに設定しておき、計算機16は、最適合焦点位置にそのオフセットを加算して対物レンズ8の設定値をレンズ制御部19に伝送する。その後、レンズ電源を経て、対物レンズに最適な対物レンズ設定値が設定される。以上のようなオフセット機能は、例えばGUIにスイッチを設けるなどして、必要な観察条件や試料の時のみ実行できるようにする。また、上述の自動合焦点調整方法において、上述の処理を複数回繰り返すことにより調整精度を高めることができる。調整回数は、操作部18からシステムパラメータを入力して設定することができる。
(実施例2)
図示しないが、試料7は精密ステージと試料を固定するホルダによりX,Y,Z,回転,2軸傾斜を行なうこともできる。試料移動は、計算機16により制御可能である。ユーザはトラッカボールや計算機のGUIから任意の位置に試料を移動することができる。
実施例1に関し、一連の自動合焦点調整において、自動合焦点調整をレシピなどのようなプログラムで設定された特定条件を満たした時に開始する。具体例として、レシピ動作で試料7の観察位置に移動し、種々の調整後、自動で合焦点調整を行なう。ここでの自動合焦点調整は実施例1と同じであり、その開始トリガが異なる。ここでは、レシピに限定せず、事前に決められた条件を満たすと自動的に合焦点調整が開始されることを想定している。
以上説明した本発明の効果を列挙すると以下の通りである。
1)観察倍率に関係なく高精度で自動合焦点調整が可能である。その理由は、透過電子線像に何らかの構造物があれば合焦点調整が可能であり、高倍率観察時の位相コントラストなどの影響を受けにくいためである。
2)対物レンズの励磁変化などに基づく輝度変化による偽合焦点が発生する場合でも、高精度で自動合焦点調整が可能である。その理由は、エッジ評価値をフィッティング後、微分計算を用いることにより、偽合焦点調整位置を探索範囲から除外し、真の合焦点を導くことができるためである。
1 電子線源
2 加速管
3 照射系レンズ群
4 第1偏向器
5 第2偏向器
6 2次電子検出器
7 試料
8 対物レンズ
9 制限視野絞り
10 結像系レンズ群
11 明暗視野走査像検出器
12 蛍光板
13 ミラー
14 CCDカメラ
15 画像信号処理ユニット
16 計算機
16a メモリ
17 モニタ
18 操作部
19 レンズ制御部
20 レンズ電源
EB 電子線
EB’ 透過電子線

Claims (2)

  1. 電子線源から出射された電子線を集束する照射系レンズ群試料を照射する電子線を偏向させる偏向器、試料を透過した電子線による透過電子線像の焦点を調整する対物レンズと、該対物レンズの後段に配置され、透過電子線像を蛍光板に拡大結像させる結像系レンズ群と、前記蛍光板に結像された透過電子線像を撮像するカメラと、該カメラで撮像された透過電子線像を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された透過電子線像を読み出して所定の画像処理を行なう画像処理装置を有する透過型電子顕微鏡において、
    前記画像処理装置は、対物レンズの励磁の設定値を異ならせて撮像した複数の透過電子線像を前記記憶手段から読み出して、それぞれの透過電子線像についてエッジ評価値を算出し、
    算出した複数のエッジ評価値のプロットに基づいてフィッティング関数f(x)を求め、
    そのフィッティング関数f(x)を1次微分し、その1次微分した関数f’(x)の最小極小値と最大極大値の範囲を真の合焦点位置の範囲として絞り込み、その範囲内でフィッティング関数f(x)が傾き0である位置を最適合焦点位置とする
    ことを特徴とする透過型電子顕微鏡の自動最適合焦点調整装置
  2. 電子線源から出射された電子線を集束する照射系レンズ群と、試料を照射する電子線を偏向させる偏向器と、試料を透過した電子線による透過電子線像の焦点を調整する対物レンズと、該対物レンズの後段に配置され、透過電子線像を蛍光板に拡大結像させる結像系レンズ群と、前記蛍光板に結像された透過電子線像を撮像するカメラと、該カメラで撮像された透過電子線像を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された透過電子線像を読み出して所定の画像処理を行なう画像処理装置を有する透過型電子顕微鏡において、
    前記画像処理装置は、対物レンズの励磁の設定値を異ならせて撮像した複数の透過電子線像を前記記憶手段から読み出して、それぞれの透過電子線像についてエッジ評価値を算出し、
    算出した複数のエッジ評価値のプロットに基づいてフィッティング関数f(x)を求め、
    そのフィッティング関数f(x)を1次微分し、その1次微分した関数f’(x)を更に微分して関数f’’(x)を求め、求めた関数f’’(x)の極大値をとる位置を最適合焦点位置とする
    ことを特徴とする透過型電子顕微鏡の自動最適合焦点調整装置
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