JP5372308B2 - 流体抵抗減少組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、流体抵抗減少剤組成物、流体抵抗減少剤組成物の製造方法および、炭化水素流の流体抵抗を減少させる方法に関する。
流体、例えば液体炭化水素が導管を通して送られるときには、流体流から生じる摩擦が、供給点からの距離と共に増加する圧力低下を引き起こす。そのような摩擦損はまた流体抵抗と呼ばれるが、これは導管を通す流体輸送に必要とされるエネルギーおよび装置の費用を増加させる。
流体抵抗を減らすために、種々のポリマー物質が流体中の添加剤として使用されてきた。適当な物質は、オレフィンのポリマー(ホモポリマーおよびコポリマー)、特に非常に高分子量の非結晶性の、C3〜C30α-オレフィンの炭化水素可溶性ポリマーであった。流体抵抗減少ポリマー物質の貯蔵、輸送および供給を促進するために、それらは種々の形態で提供された。
乾燥固体ポリマーのほかに、粉砕ポリマーのスラリーが使用されたが、それは時間と共に凝集する傾向がある。凝集防止剤でコーティングされたポリマー粒子は、他方では、供給されるべき炭化水素流体中に限られた溶解性を有する。ポリマーの溶液およびゲルは、配送および注入のために特別な装置を必要とする。それらはまた、最大濃度として10重量%のポリマーに限定され、これは便利ではない。
国際特許出願公開WO97/01582号は、溶媒中でα-オレフィンを重合し、得られたポリマー溶液に、ポリマーを小さい粒子として沈殿させる非溶媒を添加し、得られたスラリーから上澄溶媒および非溶媒を分離し、および、追加の非溶媒を添加するか、および/または溶媒を蒸発させることによりさらに溶媒の量を減らすことによって作られる流体抵抗減少剤組成物を開示する。この文献において使用される溶媒は典型的にはケロセン、ジェット燃料ならびにパラフィンおよびイソパラフィン溶媒である。典型的な非溶媒は、C2〜C61価アルコールおよび多価アルコール、エーテル、ケトンおよびエステルである。また、凝集防止剤、例えば高級脂肪酸の金属塩は、ポリマーの重量の25〜75%の量で添加することができる。
国際特許出願公開WO98/16586号は、ポリ-α-オレフィンの粒子を、例えば脂肪酸ろう(モノエステル)、脂肪酸の金属塩または脂肪酸アミドである非凝集(分割)剤でコーティングすることによって作られた流体抵抗減少剤組成物を開示する。次に、コーティングされたポリ-α-オレフィン粒子は、<C141価アルコール、<C14グリコールならびにポリプロピレンおよびポリエチレングリコールエーテル中に分散される。
流体抵抗減少ポリマーが、アルコール、エーテル、ケトンおよびエステル中に分散される上記の技術的解決はなお、分散媒が、流体抵抗が減ぜられるべき炭化水素流体と相溶性でないという不都合を有する。
発明が解決しようとする課題
本発明の目的は、有効であり、かつ導管を通して供給されるべき炭化水素流体と相溶性である流体抵抗減少剤組成物を提供することである。また、この組成物は、十分に高い濃度を有していなければならず、製造および取り扱いが容易でなければならない。組成物の原料は、安価でかつ容易に入手可能でなければならない。
課題を解決するための手段
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、分散物を含む炭化水素流体抵抗減少剤組成物の製造方法であって、該分散物が、
(a) 1〜60%の、炭化水素流体抵抗を減少することができるポリマー、および
(b) 40〜99%の、天然脂肪または天然油
(両方とも(a)および(b)を合わせた重量に基づく)
から形成され、該ポリマーが、Mw>3x10 g/モルを有する炭化水素可溶性のαオレフィンポリマーでありかつ炭化水素ゲルの形態であることを特徴とする方法を提供することにより、ここで達成された。
好ましくは、分散物はまた
(c)0.1〜50%の添加剤、最も好ましくは分散安定化剤
((a)、(b)および(c)の重量に基づく)
を含む。
有利には、成分(a)、(b)および(c)は、全流体抵抗減少剤組成物の少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも約90%を形成する。3成分がすべて存在するときには、上記限界は、0.5〜59.4%の成分(a)、20〜98%の成分(b)および0.1〜50%の成分(c)((a)、(b)および(c)を合わせた重量に基づく)になる。
分散物とは、分散された相の粒子は結合しないが、分散媒によって互いに離れている系を意味する(Rompps Chemie-Lexicon, 7. Aufl. (1973), 2. Teil, 875)。
上記したように、流体抵抗を減らすことができる高分子量の非結晶性ポリマーはそれ自体、従来よく知られており、当業者は、どのようにそれを選択するか知っている。好ましいポリマーは、高分子量(Mw>3x105g/モル)のC2〜C30オレフィンポリマーであって、本質的に非結晶性で、炭化水素可溶性で、かつ炭化水素の流体抵抗を減らすことができるものである。それらは、該オレフィンのホモポリマーまたはコポリマーであることができ、それによって、コモノマーは別のオレフィン[欧州特許出願第0,223,889号、第3頁、第38-44行参照(引用することにより本明細書に組み入れられる)]または、例えばジビニルモノマー、例えばジビニルベンゼンまたはジビニルシロキサン[米国特許第5,276,116号、第2欄、1.45、第3欄、1.4参照(引用することにより本明細書に組み入れられる)]であることができる。いうまでもないが、コポリマーは、ターポリマーを包含する、1つより多いタイプの繰り返し単位を含むポリマーである(アルガー(Alger),M. S. M., Polymer Science Dictionary, 1990, Elsevier Appl. Sci., 第86頁)。
好ましくは該ポリマーは、超高分子量(UHMW、Mw>3x106g/モル)の非結晶性C3〜C30α-オレフィンポリマー、より好ましくはUHMWのC4〜C20α-レフィンポリマー、最も好ましくはUHMWのC5〜C12α-オレフィンポリマーである。そのようなポリマーは例えば国際特許出願公開WO97/01582号において使用されており(引用することにより本明細書に含まれる)、これは、第5頁第5-12行において、10x106g/モルの高分子量を有し、FLO(商標)で始まる商品名を有していて、ベーカー パフォーマンス ケミカルズ社(Baker Performance chemicals, Inc.)の1部門のベーカー ピペリン プロダクツ(Baker Pipeline Products)により販売されている、ポリα-オレフィンを挙げている。
このように、本発明のポリα-オレフィンは当業者に容易に選択される。それらはまた、例えばマック アンド マック(Mack and Mack)らの方法(引用することにより本明細書に含まれる)により、容易に製造することができる。米国特許第4,415,714号明細書の第11-18欄の実施例、米国特許第4,358,572号明細書の第7-10欄および米国特許第4,289,679号明細書の第4欄参照。ここではα-オレフィンは、塩化チタン、電子供与体およびアルキルアルミニウム助触媒を含むチーグラー-ナッタ系の存在下で重合され、重合は約20%転化率より下で止められる。そのようなポリマーは炭化水素流体に溶解性であり、流体抵抗減少剤として働く。
典型的なα-オレフィンホモポリマーは、ポリブテン-1、ポリヘキセン-1、ポリオクテン-1、ポリデセン-1、ポリヘキサデセン-1およびポリエイコセン-1である。典型的なα-オレフィンコポリマーは、プロペン-ドデセン-1コポリマー、ブテン-1-ドデセン-1コポリマー、ブテン-1-デセン-1コポリマー、ヘキセン-1-ドデセン-1コポリマー、オクテン-1-テトラデセン-1コポリマー、ブテン-1-デセン-1-ドデセン-1コポリマー、プロペン-ヘキセン-1-ドデセン-1コポリマー等である。好ましいポリマーは、ポリヘキセン-1、ポリオクテン-1、ポリデセン-1、ポリドデセン-1、ポリテトラデセン-1、プロペン-ドデセン-1コポリマー、ブテン-1-デセン-1コポリマー、ブテン-1-ドデセン-1コポリマーおよびヘキセン-1-ドデセン-1コポリマーである。特に好ましくは、ポリヘキセン-1およびポリオクテン-1である。
炭化水素流体のための流体抵抗減少剤として働くポリマーのほかに、特許請求した組成物は、天然脂肪または天然油を含む。好ましくは、脂肪油を含む−1。選択することができる脂肪または脂肪油は、植物もしくは動物の固体、半固体または液体の生成物であり、化学的に、偶数の炭素原子数を有する高級脂肪酸のグリセリンエステルの混合物から本質的になる(Rompps Chemie-Lexicon, 7. Aufl. (1973), 2. Teil, 1101)。当然、単一のグリセリンエステルおよび合成のグリセリンエステル混合物をまた本発明のために選択することができる。対応する合成の脂肪または脂肪油がまた、特許請求の保護範囲内にある。
従来、天然の脂肪および天然の脂肪油は主要な個々の脂肪酸に従ってさらに分けられる。かくして、本発明において使用することができる脂肪は、ラウリン酸-ミリスチン酸脂肪様のココナツ脂肪、パルミチン酸脂肪様のヤシ脂肪およびステアリン酸脂肪様のココアバターである。しかしながら、脂肪は24〜47℃の温度でのみ溶融するので、炭化水素流体への分散、注入および分配のためには、加熱しなければならない。
したがって、脂肪に対して脂肪油が好ましい。典型的脂肪油は、パルミチン酸油、例えばヤシ油、オレイン酸-リノール酸油、例えばオリーブ油、リノレン酸油、例えば亜麻仁油、紫蘇油および麻実油ならびにエルカ酸油、例えば菜種油およびマスタード油である。好ましい油は、本質的な量のラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸および/またはミリスチン酸に基づくか、またはこれらを含むものである。そのような油は、大豆油、ヒマワリ油、亜麻仁油、紫蘇油、麻実油、菜種油およびマスタード油であり、最も好ましくは、亜麻仁油および菜種油である。また他の油、例えばトールオイル(脂肪酸および樹脂酸、例えばアビエチン酸に基づく)を本発明のために選択することができる。本発明のために選択することができる脂肪および油については、ウルマンズ エンサイクロペディー デル テクニシェン ヘミー(Ulmanns Encyclopadie der Technischen Chemie), 3. Aufl., 7. Band, 477-482頁(引用することにより本明細書に組み入れられる)参照。
ポリマーは、単に機械的に脂肪または油中に分散することができるが、分散安定化剤の添加が好ましい。好ましい分散安定化剤は、分散剤、例えば乳化剤および他の凝集防止剤である。本発明のためには、ポリマーと脂肪または脂肪油との間に適当な境界層活動を確立する慣用の乳化剤を容易に選択することができる。そのような乳化剤は、ウルマンズ エンサイクロペディー デル テクニシェン ヘミー(Ulmanns Encyclopadie der Technischen Chemie), 3. Aufl., 6. Band, 504-507頁(引用することにより本明細書に組み入れられる)により与えられる。他の有用な凝集防止剤は、脂肪酸の非石鹸金属(例えばZn)塩から選択することができる。
しかしながら、好ましい乳化剤は0/W 油/水タイプのアニオン性活性種、例えば石鹸および石鹸様の物質である。なおさらに好ましくは、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム石鹸である。最も好ましくは、まさに脂肪または脂肪油の主成分が基づいている脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属石鹸である。そのような有用な分散安定化剤は、例えば亜麻仁油または菜種油のナトリウム塩である。
本発明の流体抵抗減少組成物の分散物は、分散安定化剤が存在するときには、(a)、(b)および(c)を合わせた重量に基づいて、0.5〜59.4%の成分(a)、20〜98%の成分(b)および0.1〜50%の成分(c)を含む。上記参照。
好ましくは、該ポリマー(a)の該分散物中の量は、(a)、(b)および(c)を合わせた重量に基づいて5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、最も好ましくは約20〜約30重量%である。
独立して、該天然脂肪または天然油(b)の該分散物中の量は、(a)、(b)および(c)を合わせた重量に基づいて、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%、最も好ましくは70〜80重量%である。
さらには、独立して、該分散安定化剤(c)の該分散物中の量は、(a)、(b)および(c)を合わせた重量に基づいて、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%、最も好ましくは2〜3重量%である。
特許請求された組成物はまた、その特性を改善する他の成分を含むことができる。
上記した流体抵抗減少剤組成物の他に、本発明はまた、流体抵抗減少剤組成物の製造方法に関する。従来技術によれば、有用な流体抵抗減少剤組成物の製造は、ほとんど容易な課題であるとわかった。上記したように、ポリマー粒子は凝集する傾向があり、低い溶解性を有し、または希薄すぎるかもしくは相溶性でない組成物を形成する。
これらの問題は、本質的に、分散物が、(a)先に記載した1〜60%の先に記載した流体抵抗を減らすことができるポリマーおよび(b)先に記載した40〜99%の先に記載した脂肪または脂肪油(両方のパーセンテージは(a)および(b)を合わせた重量に基づいて計算される)から形成されることを特徴とする方法によって、ここで解決された。
分散物は、単に機械的手段によって形成することができるが、分散物が、(a)該量の該ポリマー、(b)該量の該脂肪または脂肪油および(c)先に記載した0.1〜50%の先に記載した添加剤、好ましくは分散安定化剤から形成される((a)、(b)および(c)を合わせた重量に基づいて計算される)ならそれが好ましい。
ポリマー(a)、脂肪または脂肪油(b)および分散安定化剤(c)は本質的に、特許請求した流体抵抗減少剤組成物のための対応する成分(a)、(b)および(c)の記載に関して上記したように選択される。
有利には、該ポリマーは、炭化水素ゲルの形態で提供される。例えば、ゲルは、1〜20重量%、好ましくは約2〜約10重量%の該ポリマーを含むことができ、残部は本質的に炭化水素であり、存在するなら残留モノマーを含む。典型的には、α-オレフィン炭化水素を20%より下の転化率に重合するときに、ゲルが形成される。
ポリマーゲルと天然脂肪または天然油とを接触させる前または接触中に好ましくは、崩壊装置、好ましくはフレーカー(flaker)等を通して供給することによって崩壊させ、薄片またはペレットの大きさは、好ましくは0.1〜6.0mm、最も好ましくは0.5〜3.0mmである。便利なフレーカーはギアポンプであり、それによってギアが小片を切断し、小片はその後、該薄片またはペレットの形態で出てくる。好ましくはゲルは成分の分散のための装置の循環ギアポンプの吸引側に供給され、それによって該ゲルの崩壊が、それが該脂肪または油(および分散安定化剤)中へ分散されると同時に起こる。
特許請求された方法は、崩壊したゲルと脂肪もしくは脂肪油とを予備接触させて、またはさせないで行うことができる。
本発明の1つの実施態様に従えば、該ポリマーは、それが最終的に天然脂肪または天然油中に分散される前に、該天然脂肪または天然油と少なくとも1度予備接触され、かつそれから分離される。好ましくは、予備接触する脂肪または油は、ポリマーが最終的に分散されるのと同じ脂肪または油である。予備接触は有利には室温で行われ、該ポリマーゲルと該脂肪または油との予備接触重量比は、好ましくは1:0.5〜1:10、最も好ましくは1:2〜1:4である。
予備接触後、ポリマーは濃縮される。濃縮は好ましくはポリマーを脂肪または油から、ふるい、フィルター、サイクロン等を用いて重量測定的に(gravimietrically)または遠心分離によって、最も好ましくは減圧ろ過によって分離することにより行われ、その後、ポリマーは該脂肪または油中に分散される。その量は、上記した組成物を達成するような量である。分散は好ましくは、ポリマーを供給するための供給ギアポンプおよび循環ギアポンプおよびポリマー/脂肪または脂肪油混合物を再循環するための戻しパイプを含む分散ミキサーによって行われる。典型的な温度は40〜150℃、好ましくは50〜100℃である。典型的分散時間は2〜100時間、好ましくは10〜50時間である。
ポリマーを該脂肪または脂肪油と予備接触させ、かつそれに分散させた後、不必要な脂肪または脂肪油を、好ましくは篩い分けによって、最も好ましくは40〜100μmのふるいを用いた篩い分けによって除去することができる。次に、該分散安定化剤を添加する。好ましくは撹拌下で、より好ましくは激しい撹拌下で、最も好ましくは均質化装置、例えば逆止弁および再循環を備えたギア付きポンプを含むものによって、添加される。最後に、形成された混合物は0.5〜10時間、好ましくは約2〜約6時間、例えばブレードミキサー(blade mixer)を用いて50〜200rpmにて撹拌することができる。
本発明の別の実施態様に従えば、該ポリマーは予備接触されないが、直接に該脂肪または脂肪油および該分散安定化剤の混合物と接触される。次に、ポリマーは通常、高められた温度、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜100℃で混合することによって、該脂肪または油中に分散され、それによって、最も好ましくは、ポリマーはゲルの形態になる。予備接触の実施態様の最後におけるように、最終的な撹拌を行うことができる。上記参照。
分散安定化剤は好ましくは石鹸であり、より好ましくは、該脂肪または脂肪油をアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基と反応させることにより、最も好ましくは、分散媒として使用される脂肪または脂肪油を一部ケン化することによって、その場(in situ)で製造されたものであり、かくして、脂肪または脂肪油および分散安定化剤の混合物を形成する。
特許請求された流体抵抗減少剤組成物およびその製造の他に、本発明はまた、炭化水素流の流体抵抗を減少する方法に関する。この方法は:
A. 上記生成物の記載に従うか、または上記方法の記載に従って製造された流体抵抗減少剤組成物を提供すること、
B. 流体抵抗減少剤組成物を、炭化水素が流れているかまたは流れる導管に供給すること
からなる工程によって特徴づけられる
好ましくは、流体抵抗減少剤組成物は、約1〜200ppm、好ましくは10〜100ppm、最も好ましくは20〜80ppmの量で供給される。
以下の実施例は、他に示されなければ、部およびパーセントは重量に基づくものであるが、本発明を説明するためにのみ提供される。
測定方法
流体抵抗減少剤組成物(以後、DRAと呼ぶ)を特徴づけるために使用される方法はざっと、物性(乾燥物量、粘度)および実際の性能特性(DPT、DFT、Visco50)へとさらに分けることができる。
ゲル試料の乾燥物量は、加熱室で蒸発させることによりゲル溶媒を除去することによって決定される。ポリマーの他に、ゲルは他の固体をほとんど含まないので、乾燥物量は、生成物のポリマー含量を与える。ゲルの乾燥物量は、使用の部位で達成される性能が流体に溶解したポリマーの量に依存する限りにおいて、著しい物性である。すなわち、流体に等しい重量または体積の別の生成物を供給したときに、最も有効な剤が、大きい乾燥物量を有する生成物と共に供給される。
粘度は、異なる剪断速度(例えば0.5、1、2.5、5、10、20、50および100rpm)を使用するブルックフィールド粘度計により測定される動的粘度(cP)である。
DPT(=Δ圧力対時間)は、寿命分析である。試験されるべき試料は、ギアポンプによって維持される溶媒循環系に供給される。出口圧を測定することによって、試料の溶解を追跡することができ、その後、試料が次々にポンプを通過するにつれて流体抵抗減少効果の徐々の消失を追跡することができる。DPT測定においては、パーセントDPTに特に注意が払われ、これは参照圧と測定中の瞬間圧との間の差を合計することによる積分として得られる。流体抵抗減少は、以下の等式を用いて計算できる:
[数1]
%流体抵抗減少率=(p0−ps)/p0 x 100
ここで、p0は、流体抵抗減少剤なしの試験流体が試験ラインを通ってポンプでくみ上げられたときに生じる、測定された低下であり、psは、流体抵抗減少剤を含む試験流体が試験ラインを通ってポンプでくみ上げられたときに生じる、測定された圧力低下である。
DFT(Δ力対時間)は、激しく撹拌される炭化水素溶媒におけるDRAの効率を測定するのに使用される。測定においては、流体抵抗減少の記録されたパーセントがDRAの効率を表し、これが良いと、それだけ%流体抵抗減少率が大きくなる。C0は、測定の条件下で最大の効率の67%に達するのに必要とされるDRAの量(ppmで表す)を示す。
Visco 50試験は、試料の動的粘度の測定に基づく。DRAの50ppm溶液が調製され、その粘度が、純溶媒の粘度と比較される。Visco 50試験の結果は、DRAの溶解度ならびに炭化水素流体の粘弾性特性を変えるその能力についての情報を含む。Visco 50値が大きいとそれだけDRAが良いと考えられる。
製造
1.装置
装置
- 分散装置は、加熱ジャケットおよび循環撹拌器を備えた円錐形の底の容器からなっていた。容器のカバーは、流出物の除去のための接続を有する水冷カラムを有していた。それはまた、流出気体の液化のための別の冷却器を有していた。
- 別の循環ギアポンプおよび戻しパイプが、分散装置の底に接続された。
- もう1つ別の供給ギアポンプが、ポリマーゲルを脂肪油(および分散安定化剤)中に注入するために備えられた。
- 真空ポンプが、例えば接触段階の間およびその後のろ過のために備えられた。
- 無段階速度回転制御を有するステーター-ロータータイプの均質化装置がまた使用された。
2. 予備接触法
5〜10%(各実施例参照)のポリマーを含むゲルが与えられた。次に、ゲルを脂肪油(実施例では菜種油を使用した)に添加し、該ポリマーゲルと該脂肪油との間の重量比は1:2〜1:4(各実施例参照)であった。接触温度は20℃であった。予備接触後、予備接触しているゲル/脂肪油混合物を減圧ふるい(vacuum sieve)に移し、そこで、ポリマーゲル粒子を脂肪油から分離した。
予備接触および分離後、最終的な量の新たな脂肪油を、分離したポリマーゲル粒子に、分散装置中で添加した。ゲルの量は、ポリマー(乾燥物量)対脂肪または脂肪油の重量比1:3〜1:9(各実施例参照)に対応していた。その後、ゲル/脂肪油混合物を70℃にて18時間混合した。
混合後、過剰の脂肪油を、88μmのフィルターを用いて、ろ過によって除去し、最終的な量のポリマーおよび脂肪油(20〜30%のポリマーおよび70〜80%の脂肪油、実施例による)を与えた。除去後、最終的な量(2〜3%、実施例による)の分散安定化剤を添加し、最終的混合物を、実験室用のホモジナイザー(ギアポンプ/逆止弁/再循環)によって均質化した。均質化後、実験室用の撹拌器を用いて4時間、分散物をなお撹拌した。
3. 分散安定化剤の製造を含む、直接接触法
分散安定化剤として、適当な量の亜麻仁脂肪油およびそのナトリウム塩(モル比例えば20:80)を、室温で互いに混合する。あるいは、亜麻仁油および50%NaOH溶液を約80℃で互いに混合して、同じモル比を有する亜麻仁油/ナトリウム塩(石鹸)混合物を形成する。高められた温度で、可能性のある揮発性不純物を蒸発によって取り除く。該混合物を、記載した分散装置中に保持する。
次に、温度を約60℃に調節し、供給ギアポンプを開始させる。供給ギアポンプを通してポリマーゲルを供給し、小さいノズルを通して、亜麻仁油およびそのナトリウム塩の該混合物の循環流へと送る。供給を、装置の循環ギアポンプの吸引側で行った後、ポリマーゲルを0.5〜3.0mmの小さいペレットに切断し、これは熱混合物中に容易に分散される。ゲルペレットをすばやく加熱し、それによって、炭化水素ゲル溶媒が蒸発により除去される。ゲルの供給は、所望の組成(例えば請求の範囲参照)が達成されるまで続けられる。
分散後、生成物は、上記した実験室用のホジモジナイザーによって最終的に均質化される。
実施例
実施例1(予備接触法)
4.5kgのα-オレフィンに基づくポリマーゲルを供給することによって、分散物の製造を開始し、そのポリマー含量は、室温で、11kgの菜種油中に6.5重量%であった。得られたゲル/油混合物を減圧篩い分けし、処理したゲル粒子をさらなる処理のために回収した。ポリマーゲル粒子に、1.8kgの純菜種油を添加し、得られた混合物を70℃にて18時間混合した。混合後、過剰の菜種油を88μmのふるいにより除去した後、30gの菜種油のナトリウム塩を分散安定化剤として添加し、混合物を実験室用のホジモジナイザーを用いて均質化した。最後に、分散物をブレードスタラー(blade stirrer)にて4時間混合した。
生成物の分析
減圧ろ過後のポリマー/油混合物の重量は1.401kgであった。70℃にて混合後のポリマー/油混合物の重量は1.192kgであった。最終的な分散物のポリマー含量は24.4%であった。DPT値は31.7%であり、DR値は29.0%であり、C0値は5.7であり、Visko 50値は0.234であった。
実施例2(予備接触法)
1.8kgのα-オレフィンに基づくポリマーゲルを供給することによって、分散物の製造を開始し、そのポリマー含量は、室温(20℃)で、5.5kgの菜種油中に6.5重量%であった。得られたゲル/油混合物を減圧篩い分けし、処理したゲル粒子をさらなる処理のために回収した。ポリマーゲル粒子に、0.9kgの純菜種油を添加し、得られた混合物を70℃にて18時間混合した。同時に、ゲルに存在する炭化水素を蒸発により除去し、再使用のために回収した。混合後、過剰の菜種油を88μmのふるいにより除去した後、20gの菜種油のナトリウム塩を分散安定化剤として添加し、混合物を実験室用のホジモジナイザーを用いて5分間均質化した。最後に、分散物をブレードスタラー(blade stirrer)にて4時間混合した。
生成物の分析
減圧篩い分け後のポリマー/油混合物の重量は1.031kgであった。70℃にて混合後のポリマー/油混合物の重量は0.5kgであった。最終的な分散物のポリマー含量は25.8%であった。DPT値は31.4%であり、DR値は28.7%であり、C0値は7.8であり、Visko 50値は0.152であった。
実施例3(直接接触法)
1850gの亜麻仁油および10gの50%NaOH液を、真空によって、分散装置の容器に供給した。撹拌しながら温度を80℃に上げた。添加した化合物を、温度および真空度を維持しながら1時間反応させた。
次に、温度を60℃に調節し、ギア循環ポンプを開始させた。循環ポンプは、混合物を容器から戻しパイプを通って容器へと戻して循環させた。次に、2mm供給ギアポンプを開始させ、18,700gの流体抵抗減少ポリマーゲルを、それによって、2mmのノズルを通して、循環ポンプの吸引側にゆっくりと供給した。循環ポンプは、供給されたポリマーゲルを0.5〜3mm長さの小片に切断し、この小片は、油および安定化剤の熱混合物中に分散された。
炭化水素溶媒の蒸発が止まった後、分散物を最終的に均質化した。
分析
均質分散物の乾燥物量は約24%であった。流体抵抗減少特性をDPT装置で試験し、粘度を50ppm溶液から測定した。DPT値は34.5%であり、DR値は25.5%であり、C0値は7.2であり、Visko 50値は0.159であった。
実施例4
分散物の製造において、流体抵抗減少ポリマーゲルNecadd 547(商標)を使用した。ポリマーの重合においては、モノマーとしてヘキンのみを使用し、溶媒は使用しなかった。
100リットルの大豆油に、30リットルの該Necadd 547(商標)を供給した。ゲルの供給は、剥片化装置(flaking apparatus)によって行い、そこではゲルが、小さい薄片の形態で20℃の油流と接触される。油/ゲル混合物を直接、スチームジャケットを備えたディスパーサー(disperser)に移動させ、そこで混合物は80℃に加熱され、ヘキセンが減圧によって除去された。モノマーの除去に4時間かかった。
その後、混合物をタンクに移した。減圧ふるいにて過剰の油を混合物から除去し、200gの安定化剤ES 2を添加し、実験室用のホモジナイザー(ギアポンプ/逆止弁/再循環、均質化時間5分間)にて均質化を行った。ミキサーは、100rpmのパドルミキサー(paddle mixer)であった。
減圧篩い分け後、ポリマー/油混合物の重量は3.2kgであった。最終分散物のポリマー含量は25%であった。
分析
DPT値は32.3%であり、DR値は25.0%であり、C0値は8.0であり、Visko 50は0.216であり、粒径は、D 50μm312,D 90μm 594およびD 10μm86であった。

Claims (25)

  1. 分散物を含む炭化水素流体抵抗減少剤組成物の製造方法であって、該分散物が、
    (a) (a)および(b)を合わせた重量に基づいて1〜60%の、炭化水素流体抵抗を減少することができるポリマー、および
    (b) (a)および(b)を合わせた重量に基づいて40〜99%の、天然脂肪または天然油
    から形成され、該ポリマーが、Mw>3x10 g/モルを有する炭化水素可溶性のαオレフィンポリマーでありかつ炭化水素ゲルの形態であることを特徴とする方法。
  2. ゲルが、1〜20重量%の該ポリマーを含む請求項1記載の方法。
  3. 該ゲルが、崩壊装置を通して供給されることによって崩壊されたものである請求項1または2記載の方法。
  4. 該ゲルが、該天然脂肪または天然油中へと崩壊されたものである請求項3記載の方法。
  5. 該分散物が、
    (c) (a)、(b)および(c)を合わせた重量に基づいて0.1〜50%の、分散安定化剤又は他の添加剤
    を含む請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 該天然脂肪または天然脂肪油が、その主成分がラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸および/またはミリスチン酸に基づく天然脂肪または脂肪油である請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  7. 該脂肪油が、大豆油、ヒマワリ油、亜麻仁油、紫蘇油、麻実油、菜種油およびマスタード油から選択される請求項記載の方法。
  8. 該分散安定化剤が、石鹸およびO/Wタイプのアニオン性乳化剤を包含する乳化剤である請求項5〜のいずれか1項記載の方法。
  9. 該分散安定化剤が、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム石鹸である請求項記載の方法。
  10. 該ポリマーの該分散物中の量が5〜50重量%である請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  11. 該天然脂肪または天然油の該分散物中の量が50〜95重量%である請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 該分散安定化剤の該分散物中の量が0.5〜10重量%である請求項5〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 該ポリマーが、それが天然脂肪または天然油中に分散される前に、該脂肪または油と少なくとも1度予備接触され、かつそれから分離される請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 該予備接触の天然脂肪または天然油は、ポリマーがその中に分散されるのと同じ脂肪または油である請求項13記載の方法。
  15. 該ポリマーゲルが天然脂肪または天然油の流れと予備接触される請求項13または14記載の方法。
  16. 該予備接触において、該ポリマーゲルと該天然脂肪または天然油との間の重量比が、1:0.5〜1:10である請求項15記載の方法。
  17. 該予備接触後、ポリマー分散物が濃縮される請求項1316のいずれか1項記載の方法。
  18. 該予備接触および濃縮後、ポリマー分散物が、該天然脂肪または天然脂肪油中に再分散される請求項1317のいずれか1項記載の方法。
  19. ポリマーを該天然脂肪または天然脂肪油中に分散後、該分散安定化剤が添加される請求項5〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. 該分散安定化剤が撹拌下に添加される請求項19記載の方法。
  21. ポリマーおよび天然脂肪または天然油が接触され、かつ分散安定化剤と接触された後、形成された混合物が0.5〜10時間撹拌される請求項5〜20のいずれか1項記載の方法。
  22. 該ポリマーが、該天然脂肪または天然油および該分散安定化剤の混合物と接触される請求項5〜12のいずれか1項記載の方法。
  23. 高められた温度で混合することにより、ポリマーが該天然脂肪または天然油中に分散される請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
  24. 該天然脂肪または天然脂肪油を、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムの塩基と反応させることによって分散安定化剤がその場(in situ)で製造され、脂肪または脂肪油および分散安定化剤の混合物を形成する請求項5〜23のいずれか1項記載の方法。
  25. A. 請求項1〜24のいずれか1項記載の方法に従って製造された流体抵抗減少剤組成物を用意すること、
    B. 該流体抵抗減少剤組成物を、炭化水素が流れているかまたは流れるであろう導管に供給すること
    により炭化水素流の流体抵抗を減少させる方法であって、流体抵抗減少剤組成物が、該炭化水素の量に関して1〜200ppmの量で供給されることを特徴とする方法。
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