JP5371834B2 - 配線回路構造体およびそれを用いた半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子を接続し得る主面を持った配線回路層を有する配線回路構造体に関するものであり、また、それを用いた半導体装置の製造方法に関するものであって、特に、該配線回路層の表裏の主面が共に接着面となっているものに関する。
シリコン半導体を用いたICや、有機半導体を用いた有機EL素子など、種々の半導体材料にて構成される半導体素子(以下、単に「素子」とも言う)は、通常、ウェハ基板面に素子をマトリクス状に多数繰り返して形成した後、ダイシングによって個々の素子である半導体チップ(ベアチップとも呼ばれる)へと分断することによって製造される。
以下の説明では、ウェハ基板上に半導体素子が形成された段階(ダイシング前の段階)のものを「半導体ウェハ」とも呼び、そのようなダイシング前の状態を「ウェハ状態」とも呼んで説明する。また、ダイシングされた半導体チップを、単に「チップ」とも呼び、そのようなダイシング後の状態を「チップ状態」とも呼んで説明する。
半導体素子には、該素子の高機能化等のために、基本的な素子構造に加えて、さらに、種々の配線構造がウェハ状態の段階で作り込まれる。そのような配線構造としては、例えば、再配線層(Redistribution Layer)や、ウェハ基板を貫通して素子側面と裏面とを電気的に連絡する導通路(スルーホールビア)などが挙げられる。
例えば、特許文献1では、アルミニウム電極(半導体素子構造として素子に含まれる電極パッド)を形成した後、その上に、絶縁層、Cuめっき層などを順次形成して再配線層を形成している。
配線構造が加えられ、チップへと分断されたものは、単なる電極が露出しただけの元の素子に比べて、外部導体(外部回路など)との接続や実装を容易とする接続用導体を備えた1つの半導体装置となっている。
例えば、再配線層を設けることによって、素子のアルミニウム電極と、該素子を実装するための外部の回路上の導体とを、両者のサイズやピッチが互いに異なっていても、容易に接続することができる。
また、ウェハ基板を板厚方向に貫通する導通路を設けることによって、ウェハ基板の裏面に接続端子を形成することができる。
特開2000−243754号公報
本発明者は、半導体素子に付加される上記のような配線層について検討し、該配線層に関連する製造コストに、さらに改善し得る余地があることを見出し、本発明が解決すべき課題とした。
即ち、再配線層を半導体ウェハ上に直接的に形成する加工は、半導体ウェハ1枚毎に再配線層を構築して行かねばならないために手間がかかっている。従来では特に問題とはされていなかったが、本発明者は、このような再配線層の形成に製造コストを低減する余地があることに着目した。また、形成した再配線層の品質が不良であった場合には、たとえ半導体ウェハが良品であっても、既に半導体ウェハに対して再配線層が一体的に形成されているために、該半導体ウェハをも一緒に廃棄しなければならず、製造コストを高くしている。
本発明の課題は、本発明者が着目した上記問題を解消し、半導体素子に付与される再配線層の製造コストをより低くすると共に、両面に素子を接続し得る新たな該再配線層の構造を提供し、かつ、それを用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
本発明は、次の特徴を有するものである。
(1)金属製支持基板上に配線回路層が剥離可能に積層された構造を有する配線回路構造体であって、
配線回路層は、配線部分と絶縁性部分とを有し、
配線回路層の表裏両方の主面のうち、一方の主面を第一の主面と呼び、他方の主面を第二の主面と呼ぶとして、少なくとも第一の主面は、半導体素子を接続し得る面となっており、第二の主面は、前記金属製支持基板が剥離可能に積層された面であり、
配線回路層は、第一の主面の側に第一接着剤層を有し、第二の主面の側に第二接着剤層を有し、これら接着剤層によって両方の主面は接着面となっており、少なくとも第一の主面には、半導体素子の電極を接続し得るように第一の接続用導体部が露出しており、該接続用導体部は、配線部分の一部であるか、または、導通路を通じて該配線部分に接続された導体であり、
第一接着剤層の接着剤は熱硬化性樹脂組成物からなり、第二接着剤層の接着剤はマレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物からなり、第二接着剤層の接着剤の硬化温度が第一接着剤層の接着剤の硬化温度よりも高くなるように両層の接着剤が選択されている、
前記配線回路構造体。
(2)第二接着剤層の熱硬化性樹脂組成物中のマレイミドの含有量が、該熱硬化性樹脂組成物に含まれる有機成分の3〜50重量%である、上記(1)記載の配線回路構造体。
(3)配線回路層の第二の主面には、第二の半導体素子の電極を接続し得るように、第二の接続用導体部が露出しており、第二の接続用導体部は、配線部分の一部であるか、または、導通路を通じて該配線部分に接続された導体であり、
金属製支持基板を剥離することによって、第二の主面に第二の半導体素子を接続し得る構成となっている、上記(1)または(2)記載の配線回路構造体。
(4)金属製支持基板と配線回路層との間に剥離層が形成されており、それによって金属製支持基板が剥離層と共に配線回路層から剥離可能となっている、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の配線回路構造体。
(5)剥離層が、ポリイミド、金属、金属酸化物、および、無機酸化物から選ばれる1つの材料からなる層である、上記(4)に記載の配線回路構造体。
(6)配線回路層が、接続される半導体素子にとって再配線層として機能するものである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の配線回路構造体。
(7)少なくとも第一の主面に接続される半導体素子がウェハ状態の半導体素子であって、配線回路層が、ウェハ中の各半導体素子に個々に接続され得る構成となっている、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の配線回路構造体。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の配線回路構造体を用い、該配線回路構造体に含まれる配線回路層の少なくとも第一の主面に半導体素子を接着すると共に、該素子の電極をその主面に露出している接続用導体部に接続する素子接続工程を有し、
素子接続工程の後、金属製支持基板を配線回路層から剥離する剥離工程を有することを特徴とする、
半導体装置の製造方法。
(9)配線回路構造体が、上記(3)に記載の配線回路構造体であって、
さらに、第二の素子接続工程を有し、該第二の素子接続工程において、上記剥離工程によって露出した第二の主面に、第二の半導体素子を接着すると共に、該第二の半導体素子の電極を第二の接続用導体部に接続する、上記(8)記載の製造方法。
本発明の配線回路構造体は、半導体素子とは別個に作製した再配線層であると言うことができる。本発明の製造方法では、本発明の配線回路構造体を用い、その配線回路層に半導体素子を接続し、金属製支持基板を剥離して半導体装置を得る。
再配線層を配線回路構造体として別途製造することによって、ロール・トウ・ロールにて、多数のウェハを包含し得る大面積のものが大量に容易に製造できるので、個々の半導体ウェハの上に直接的に再配線層を形成する場合と比べて、製造コストはより低くなる。
本発明の配線回路構造体は、金属製支持基板が配線回路層に剥離可能に付与されているので、配線回路層に適度な剛性が与えられ、該配線回路層を半導体ウェハに積層するまでの取り扱い性が良好であり、製造コストの改善に寄与する。
本発明によれば、良品の配線回路構造体のみを選択して素子(特にウェハ状態の素子)に接続することができるようになり、良品の素子を無駄に廃棄することが無くなる。
また、本発明では、配線回路層の両方の主面を接着面としているので、第一の主面に素子を接続すると、接着面(第二の主面)を持った半導体装置が得られ、外部の回路への実装に有用である。また、配線回路層の両方の主面に、素子を接続し得るように接続用導体部を設けておき、金属製支持基板を剥離して露出する第二の主面にも素子を接続すれば、素子の実装密度が向上する。
本発明では、両方の接着面を構成する第一接着剤層および第二接着剤層に対して、次の条件を与えており、それによって、両方の接着面への素子や外部回路の接続状態をより良好にしている。
(a)第一接着剤層の接着剤を熱硬化性樹脂組成物とし、第二接着剤層の接着剤をマレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物とし、第二接着剤層の接着剤の硬化温度が第一接着剤層の接着剤の硬化温度よりも高くなるように両層の接着剤を選択する。
マレイミドは、他の熱硬化性樹脂と比較して、硬化条件として、より高温かつより長時間を必要とする。従って、マレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物は、マレイミドを含有しないものと比較して、硬化温度が高くなる。
即ち、上記(a)の条件によって、先に第一接着剤層に半導体素子を接着する際の硬化のために加熱を行っても、その加熱によって第二接着剤層が硬化するということがないので、第一の主面、第二の主面への対象物の接着を順番に行うことが可能になり、また、熱硬化性の接着面(第二の主面)を持った半導体装置を提供することが可能になる。
尚、第一の接着剤層に先に素子を接着すれば、金属製支持基板を剥離しても、素子の剛性によって、第二の主面に第二の素子や外部回路を接着する時の作業性が損われない。
このように、上記(a)の条件によれば、取り扱い性が向上し、順次的な組み立て加工が容易になる。
図1は、本発明による配線回路構造体の内部構造を例示する図である。尚、ハッチングは、領域を区別するために適宜加えている(他の図も、同様である)。 図2は、配線回路層の内部における導体の接続構造のバリエーションを例示する図である。 図3は、本発明の配線回路構造体の製造工程の一例を示す図である。 図4は、本発明の配線回路構造体の製造工程の一例を示す図であって、図3の製造工程の後の工程を示す図である。 図5は、本発明の配線回路構造体の製造工程の他の例を示す図である。 図6は、本発明の配線回路構造体の製造工程の他の例を示す図であって、図3の製造工程の後の工程を示す図である。 図7は、本発明による配線回路構造体を用いた半導体装置の製造方法の概要を説明する図である。同図では、配線回路層の内部に存在する第一接着剤層、第二接着剤層は、詳細には描いていない。
以下に、具体例に沿って、本発明による製造方法を説明する。尚、本発明で用いている「上」、「上面」など、上下を示す語句は、あくまで層や素子の積層方向の位置関係を説明するためのものであって、半導体装置の実際の上下の姿勢や、配線回路構造体と半導体素子との互いの上下の位置関係を限定するものではない。
本発明で言う「ウェハ状態の半導体素子」とは、ウェハ基板上に半導体素子がマトリクス状に多数形成された半導体ウエハだけでなく、半導体ウエハ中の多数の素子に対して品質検査を行ない、個々のチップへと一旦ダイシングした後、良品であったチップのみをウェハ基板と同形状のシート上に再配列したものをも含む。以下、「ウェハ状態の半導体素子」を「ウェハ状素子」とも呼んで説明する。
本発明の配線回路構造体に接続される半導体素子は、1つのチップであってもよいが、ウェハ状素子が好ましい態様である。ウェハ状素子を接続する場合、当該配線回路構造体もまた、個々の配線回路層がウェハ状に集合したものとなる。ウェハ状素子とウェハ状の配線回路構造体とは、互いに接続された後、個々の半導体装置へと分断される。
ウェハ状の配線回路構造体中に含まれる個々の配線回路層の配列パターンは、ウェハ状素子中の素子の配列パターンに対応し、個々の素子と配線回路層とが接続可能となっていればよい。
ウェハ状の配線回路構造体全体としての外周形状は、ウェハ状素子と同一またはそれに対応した形状、複数のウェハ状素子を包含し得るさらに大面積の形状(単品のシート状、ロールから送りだされた帯状など)、個々のウェハ状素子内の素子集合領域と同一またはそれに対応した形状などであってもよい。
ウェハ状の配線回路構造体とウェハ状素子とを位置決めするための付加的な構成や、取り扱い性を良好にし得る工夫は、適宜加えればよい。
本発明による配線回路構造体は、図1(a)、(b)に例示するように、金属製支持基板1の上に配線回路層20が剥離可能に積層された構造を有する。配線回路層20の表裏両方の主面(20A、20B)のうち、一方の主面20Aを第一の主面と呼び、他方の主面20Bを第二の主面と呼ぶ。
配線回路層20は、図1(a)に示すように、配線部分(具体的には、回路パターンとして形成された導体層)23と、その周囲を全体的に覆っている絶縁性部分(20a、20b、20c)とを少なくとも有する。配線回路層20の両主面のうち、少なくとも第一の主面20Aは、半導体素子を接続し得る面となっており、第二の主面20Bは、金属製支持基板1が剥離可能に積層された面である。第一の主面20Aには、素子の電極を接続し得るように第一の接続用導体部21が露出している。第一の接続用導体部21は、第一の主面20Aに形成された配線部分23の一部であってもよいし、同図の例のように導通路24を通じて層内の配線部分23に接続された導体であってもよい。
配線回路層20は、絶縁性部分として、第一の主面20Aの側に第一接着剤層20aを有し、第二の主面20Bの側に第二接着剤層20bを有し、それら接着剤層によって両方の主面は接着面となっている。
第一接着剤層20aの接着剤は、熱硬化性樹脂組成物からなり、第二接着剤層20bの接着剤は、マレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物からなり、第二接着剤層20bの接着剤の硬化温度が、第一接着剤層の接着剤の硬化温度よりも高くなるように、両接着剤が選択されて組み合わせられている。
配線回路層は、接続される素子の再配線層として機能する。配線回路層の両面に素子を接続する場合には、該配線回路層は、両方の素子の共通の再配線層として機能する。
配線回路層の内部構造、導体の接続構造は、特に限定はされないが、有用な基本構造としては、図1に例示する構造が挙げられる。
図1の構造では、絶縁層20は、第一接着剤層20aと、ベース絶縁層20cと、第二接着剤層20bとを有する積層構造となっている。図1(a)に示す例では、導体層は単層23であり、図2(b)に示す例では、導体層は、配線回路層の厚さ方向に関して二層(23a、23b)に分離した状態となっている。
第一の主面20Aには、素子の電極との接続のための第一の接続用導体部21が設けられている。また、第二の主面20Bには、外部回路の導体(当該半導体装置を実装すべき外部回路のパッド等)との接続や、第二の素子との接続のための第二の接続用導体部22が形成されていることが好ましい。これら第一、第二の接続用導体部21、22は、絶縁層内20に設けられた導体層(23、23a、23b)へと接続されている。
第一、第二の接続用導体部21、22は、導体層を通じて特定のもの同士が互いに接続されていてもよいし、互いに分離した別系統の回路に接続されていてもよく、それらの回路パターンや接続パターンは、実際の素子の機能や電極の役割に応じて種々決定してよい。
図1(a)に示す例では、絶縁層20の内部に導体層23が所定の接続パターンにて形成されており、該導体層23から第一の主面20Aへ延びた導通路(金属柱)24の先端部が第一の接続用導体部21となっており、該導体層23から第二の主面20Bへ延びた導通路(金属柱)25の先端部が第二の接続用導体部22となっている。図の例では、それぞれの導通路の先端部には、電気的な接続をより好ましく行い耐食性を高めるための金属膜が形成されている。
図1(a)に示す例では、ベース絶縁層20cの上面に導体層23が形成され、それを覆って第一接着剤層20aが形成されており、この積層構造によって導体層23は絶縁層20の内部に埋没している。
図1(b)に示す例では、導体層は、素子側の導体層23aと、金属製支持基板側の導体層23bとを有している。これら導体層23aと23bとは、互いに間隔をおいて設けられ、それら両層間の所定位置に設けられた導通路26がこれら導体層を接続している。 図1(b)に示す態様では、導体層23bがベース絶縁層20c内に埋没しており、導体層23aが、図1(a)に示す態様と同様に、ベース絶縁層20cの上面に設けられ、その上を接着剤層20aが覆っている。
導体層を、2層以上、多層に形成する手順としては、例えば、ベース絶縁層を上下の複数層に分け、先ず、最下層側のベース絶縁層を形成し、その上に第一の導体層を形成し、それを覆って第二のベース絶縁層を形成して第一の導体層を埋没させ、第二のベース絶縁層の上面の所定の位置に開口を設けて第一の導体層を露出させ、該開口を導体材料で充填して導通路とし、第二のベース絶縁層の上面に第二の導体層を形成するというステップを、必要回数だけ繰り返すといった手順が例示される。
図1のような典型的な構造例以外に、例えば、図2(a)に示すように、特定の第一の接続用導体部21a、21b同士が互いに接続された構造や、逆に、1つの第一の接続用導体部が複数の第二の接続用導体部と接続された構造(図示せず)、また、図2(b)に示すように、特定の第一の接続用導体部21a、21b同士が層内で互いに接続されているだけで、下面の第二の接続用導体部とは接続されていない構造など、その接続構造のパターンは用途に応じて自由に変更し、組合せてよい。
配線回路層内の配線(層内を横方向に延びる導体層)は、上述のように単層または複数層であってもよい。
第一、第二の接続用導体部の好ましい態様として設けられる前記金属膜の形成方法は、メッキが好ましく、該金属膜の材料としては、銅、金、銀、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステン、ルテニウムなどの単独金属、またはこれら2種類以上からなる合金などが挙げられる。これらの中でも好ましい材料としては、金、錫、ニッケルなどが挙げられ、下地層をNiとし、表層をAuとする2層構造などが好ましい金属膜の態様として挙げられる。
図1(a)、(b)の例において、金属製支持基板1に対して、第二の接続用導体部22の位置に開口(貫通孔)を設けることによって、該接続用導体部22の先端部を第二の主面20Bから突起させることが可能となる。
配線回路層の絶縁性部分としての絶縁層は、図1に示した(接着剤層20a/ベース絶縁層20c/接着剤層20b)のような3層構造であることが好ましい。ベース絶縁層20cは、絶縁層の機械的強度を担い、かつ、回路パターン形成のベースとなる層である。
また、絶縁層は、2つの接着剤層だけからなる2層構造であってもよいし、前記3層構造にさらなる絶縁層が加えられた4層以上の多層構造であってもよい。
配線回路層の絶縁層にベース絶縁層が含まれる場合、その材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの公知の合成樹脂や、それらの樹脂と、合成繊維布、ガラス布、ガラス不織布、並びに、TiO2、SiO2、ZrO2や鉱物、粘土などの微粒子との複合した樹脂などが挙げられる。特に、金属製支持体層を剥離した後、より薄く、より大きな機械的強度を有し、より好ましい電気的特性(絶縁特性など)を有するフレキシブルな絶縁層となる点からは、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ガラス布複合エポキシ樹脂が好ましい材料として挙げられる。
ベース絶縁層の厚さは、3〜50μmが好ましい。
上記したように、本発明では、第一接着剤層20aおよび第二接着剤層20bは、いずれも熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、第二接着剤層20bの接着剤は、マレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物となっている。そして、両方の接着剤は、〔第二接着剤層20bの接着剤の硬化温度〕が、〔第一接着剤層20aの接着剤の硬化温度〕よりも高くなるよう選択され、これによって、第一接着剤層20aに素子を先に接着しても、その硬化の際の加熱によって第二接着剤層20bが硬化しないようになっている。
接着剤層の厚さは、それぞれ、1〜100μmが好ましい。
第一接着剤層の接着剤に用いられる熱硬化性樹脂組成物の成分としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド樹脂などが好ましいものとして挙げられる。また、これらの樹脂を混合したものであってもよい。
尚、エポキシ系樹脂としては、特に限定はされないが、熱可塑性樹脂またはゴムまたはエラストマーなどとブレンドしたエポキシ樹脂や、シリカハイブリッド、ナノ粒子分散型エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、アクリル系樹脂としては、特に限定はされないが、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレートなどが挙げられる。
第二接着剤層の接着剤は、マレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物である。
この熱硬化性樹脂組成物に含まれるマレイミドとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノール A ジフェニルエーテル ビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサンなどが挙げられる。
第二接着剤層の接着剤の熱硬化性樹脂組成物に含まれるマレイミド以外の成分としては、上記した第一接着剤層の接着剤の熱硬化性樹脂組成物の成分として挙げた、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂組成物が好ましいものとして挙げられる。
第一接着剤層の接着剤の好ましい硬化温度は、100℃〜150℃であり、それよりも高く設定される第二接着剤層の接着剤の好ましい硬化温度は、170℃〜220℃であり、両者の硬化温度の差は、30℃以上を確保することが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が最も好ましい温度差である。両者の硬化温度の差異の達成可能な上限は、100℃程度である。
第二接着剤層の接着剤である熱硬化性樹脂組成物の有機成分中のマレイミドの含有量は、3〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。該熱硬化性樹脂組成物の有機成分中のマレイミドの含有量が3重量%より少ないと、第一接着剤層の接着剤よりも硬化温度が低くなる場合があり、一方、マレイミドの含有量が50重量%より多いと、硬化物が脆くなり十分な接着力が得られない場合がある。
金属製支持基板上に配線回路層を形成する方法には、セミアディティブ法や、サブトラクティブ法など、従来公知の回路基板やインターポーザの製造技術を適用してもよい。
金属製支持基板上に配線回路層を形成することにより、製造工程中、寸法安定性が良好となり、また、薄い配線回路層の取り扱い性が良好となる。
セミアディティブ法によって配線回路層内に導体層や導通路を形成する場合には、図3〜図5に示すように、導体層や導通路となるべき部分の壁面に金属材料を良好に堆積させるための種膜(金属薄膜)23aを予めスパッタリングによって形成しておくことが好ましい。そのような種膜の材料としては、例えば、銅、金、銀、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステン、ルテニウムなどの単独金属、またはこれら2種類以上からなる合金などが用いられる。
図1に示す導体層(23、23a、23b)、導通路(24、25、26)の材料としては、例えば、銅、金、銀、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステン、ルテニウムなどから選ばれる単独金属や、または、これらを成分とする合金(例えば、はんだ、ニッケル−錫、金−コバルトなど)が挙げられる。これらのなかでも、電解メッキまたは無電解メッキ可能な金属が好ましく用いられる。導体層の回路パターンの形成容易性、および、電気的特性が優れている点からは、銅が好ましい材料として挙げられる。
導体層の厚さは、特に限定はされないが、1〜50μmの範囲で適宜選択すればよい。また、導通路は円柱状が好ましい形状であって、その直径は5〜500μm、好ましくは、5〜300μmである。
金属製支持基板の材料は、特に限定はされないが、銅または、銅を主体とする銅合金、ニッケルまたはニッケルを主体とするニッケル合金、ニッケルと鉄を主な成分とする合金、ステンレスなどが好ましい材料として挙げられる。
半導体ウェハとの線膨張係数の差を小さくするために、ニッケルと鉄を主な成分とする合金(例えば、42アロイ)を用いることが好ましい。
金属製支持基板の厚さは、材料の剛性にもよるが、10μm〜200μm程度が好ましく、20μm〜80μm程度がより好ましい。
金属製支持基板の厚さが10μmを下回ると、該金属製支持基板に折れやシワが生じやすくなり、ロールプロセスでの取り扱い性が低下する。また、金属製支持基板の厚さが200μmを上回ると、その剛性によって巻き径が大きくなり、ロールプロセスでの取り扱いが困難となり、エッチングによる加工も困難となる。
金属製支持基板と配線回路層とをよりスムーズに剥離するためには、両者の間に剥離層を介在させる構造が好ましい。剥離層は、配線回路層からは容易に剥離し、金属製支持基板からは剥離し難いように形成し、該剥離層が金属製支持基板と一体的に配線回路層から剥がれるようにすることが好ましい。
剥離層の材料としては、有機物(シリコーン樹脂、ポリイミドなど)、無機物(金属、金属酸化物、無機酸化物など)が挙げられる。前記無機物としては、Ag、Ti、W、Ni、SiO2などが例示される。
配線回路層の製造工程や、該配線回路層を半導体ウェハに接続する際の高熱条件を考慮すると、シリコーン樹脂は劣化する場合があるので、ポリイミドや前記無機物がより好ましい材料である。
剥離層をポリイミド層とする場合、その厚さは0.1〜10μmが好ましく、配線回路層全体の反りを防止するためには、0.1〜5μmがより好ましい。
剥離層を前記無機物からなる層とする場合、その厚さは、1〜100nmが好ましく、配線回路層全体の反りを防止するためには、1〜50nmがより好ましい。
剥離層をポリイミド層とする場合の該層の形成方法としては、溶液を塗工する方法、電着法やCVD法によって堆積させる方法、または、別途形成したポリイミドフィルムをラミネートする方法などが挙げられる。また、剥離層を、金属、金属酸化物、無機酸化物などの無機物からなる層とする場合の該層の形成方法としては、電解めっき法、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
第二の主面に第二の接続用導体部を形成し、第二の素子を接続する場合、該素子は、ウェハ状態が好ましいが、分断されたチップ状態であってもよい。第二の接続用導体部は、第一の接続用導体部と同様、該配線回路層が有する配線部分の一部であるか、または、導通路を通じて該配線部分に接続されているものであればよい。
当該配線回路構造体が接続されるべき半導体素子は、配線回路層に積層され得、その接続用導体部に接続し得るものであればよい。例えば、単一の発光素子のような単純な構造のものやそれを集合させたアレイ、有機半導体素子、IC、種々の演算回路を集積したプロセッサ、メモリー、フォトセンサー、イメージセンサーなどの従来公知の素子の他、マルチチップモジュール、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems;機械要素部品、センサー、アクチュエータ、電子回路などを基板上に集積化したデバイス)などが挙げられる。
半導体素子を形成するためのウェハ基板は、シリコンなどの半導体結晶基板の他、絶縁性の結晶基板、ガラス基板、有機化合物からなる基板など、半導体素子のためのあらゆる基板であってよい。これらの基板のなかでも、最も汎用的なものはシリコン結晶基板(シリコンウェハ)である。
素子の電極には、金スタッドバンプやアンダーバンプメタル(UBM)などが形成される。該UBMとしては、無電解めっきにより形成されるNi/Au層(Niが下地側である。他も同様であり、積層の下地側を先に記載している)や、スパッタリング法によるTi/Cu層、Ti/W/Cu層、Ti/Ni/Cu層などが挙げられる。
素子の電極と配線回路層の接続用導体部とを接続する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、Au−Au接合、Auスタッドバンプ−はんだ接合、はんだバンプ接合、Agペーストを用いた接合、ACF(異方導電性フィルム)やNCF(非導電性フィルム)を用いた接合が挙げられる。ファインピッチに対応するために、Auスタッドバンプ−はんだ接合が好適に用いられる。また、素子と配線回路層との間に、バンプ高さなどの為に間隙が生じる場合には、アンダーフィル材料などを充填してもよい。
また、ウェハ基板に、該基板を厚さ方向に貫通するスルーホールビア(導通路)が設けられ、半導体素子の電極が、該スルーホールビアを通じてウェハ基板の裏面側へと連絡し得る構造となっている場合には、配線回路層をウェハ基板の裏面側に積層し、配線回路層の接続用導体部を該スルーホールビアの端子に接続してもよい。また、その場合には、配線回路層を、ウェハ基板の裏面側ではなく、素子側において、素子の電極とスルーホールビアとを接続するために用いてもよく、裏面側および素子側の両方に配線回路層を積層してもよい。
当該配線回路構造体は、金属製支持基板上に配線回路層を剥離可能に形成することによって得られる。
当該配線回路構造体の好ましい製造方法としては、大きくは、2つの方法を挙げることができる。1つは、図3〜図4に示すように、金属製支持基板1上に単純に配線回路層2を剥離可能に積層する方法である。他の1つは、図5〜図6に示すように、仮の基板として第二の金属製支持基板1Aを用意し、その上に配線回路層2の全部の層または一部の層を剥離可能に積層し、さらにその上に金属製支持基板(第一の金属製支持基板と呼ぶ)1を剥離可能に積層した後、第二の金属製支持基板1Aを剥離して、配線回路層2を完成させ、結果として、金属製支持基板1と配線回路層2との剥離可能な積層体を得る方法である。
前者の方法では、露出している第一の主面を剥離ライナーで覆い、半導体素子との接続に臨んで該剥離ライナーを剥がして用いてもよい。
第二の金属製支持基板には、第一の金属製支持基板について上記した同様の材料、寸法のものを用いてよい。
以下に、当該配線回路構造体の好ましい製造方法の具体例を示す。いずれも、配線回路層の両面に素子を接続し得る態様を製造する例である。
〔当該配線回路構造体の第一の製造例〕
図3(a)に示すように、金属製支持基板1上に剥離層5を全面に形成する。
図3(b)に示すように、剥離層5の上面に、マレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物からなる第二接着剤層20bを形成する。
第二接着剤層20bの上面に、ベース絶縁層20cを形成する。
図3(c)に示すように、第二接着剤層20b、ベース絶縁層20cの積層体に対して、第二の素子を接続するための第二の接続用導体部を形成すべき位置に、開口h1を形成し、該開口の底に剥離層5を露出させる。
開口部内に露出している剥離層5の表面に、めっきによって、金膜222、ニッケル膜221を順次形成する。金膜は、第二の接続用導体部の表面の金属膜となる。
さらに、図3(d)に示すように、クロム、銅の順にスパッタリングを施して、種膜23aを形成し、導体層23、導通路25を形成する。
種膜のうちの銅層は、導通路および導体層の銅と一体化するので、図3(c)では、種膜23aをクロムからなる一層のように描いている。図4〜図6も同様である。
その後、導体層23の無い部分の種膜(導体層からはみ出した種膜)を除去する。
導通路を形成すべき部分以外をめっきレジストにて全面的に覆い(図示せず)、電解銅めっきにより、図4(e)に示すように、導通路(金属柱)24を形成する。
上記めっきレジストを除去し、図4(f)に示すように、露出した導体層23および導通路24を埋没させるように、熱硬化性樹脂からなる第一接着剤層20aを形成し、導通路24の上端面が接続用導体部として接着剤層上面に露出するように、該接着剤層をエッチングする。
図4(f)に示すように、導通路24の上面に、電解めっきにより、ニッケル膜211金膜212を順次形成し、本発明の配線回路構造体を得る。
〔当該配線回路構造体の第二の製造例〕
本例では、図5、図6に示すように、仮の基板として第二の金属製支持基板1Aを用意し、その上に配線回路層の一部の層(ベース絶縁層20c、配線部分23〜25、マレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物からなる第二接着剤層20b)を剥離可能に積層し、さらにその上に第一の金属製支持基板1を剥離可能に積層した後、第二の金属製支持基板1Aを剥離し、第一接着剤層20aを形成して、金属製支持基板1と配線回路層2との剥離可能な積層体を得る。
図5、図6に沿ったより具体的な製作手順は、下記実施例1に示している。
次に、本発明の配線回路構造体を用いた半導体装置の製造方法を説明する。
当該製造方法は、図7に工程の概要を示すように、本発明の配線回路構造体を用いる。同図の例では、半導体素子3Aはウェハ状素子であって、当該配線回路構造体もそれに対応してウェハ状である。
当該製造方法では、先ず、図7(a)、(b)に示すように、素子接続工程において、当該配線回路構造体の配線回路層2の少なくとも第一の主面20Aに、半導体素子3Aを加熱によって接着すると共に、該素子の電極31を該主面20Aに露出している接続用導体部21に接続する。そして、剥離工程では、図7(c)に示すように、金属製支持基板1を配線回路層2から剥離し、半導体装置4を得る。
尚、図7(a)では、接続用導体部21や電極31などを実際よりも大きく突き出しているように描いているが、これは位置を明確に示すためである。また、図7(b)では、接続用導体部21、電極31のそれぞれの突起を省略して描いている。実際の工程においても、半導体素子と配線回路層とは加圧によって隙間無く密着する。
この段階では、半導体装置は、ウェハの形態となっているため、これをさらにダイシングして、個々のチップ状の半導体装置を得る。また、金属製支持基板を剥離した配線回路層に対して、ダイシング前に、ハンダボールを付与するといった加工を施してもよい。
図3、図4の例では、配線回路層の第二の主面20Bに、第二の素子を接続するための第二の接続用導体部が設けられている。その場合の両主面20A、20Bへのそれぞれの素子3A,3Bの接続は、例えば、次のように行われる。
先ず、図4(f)に示す配線回路構造体の配線回路層の第一の主面20A(図の上面)に、アライナー、ボンディング装置を用いて、半導体ウェハ3Aを貼り合せ、第一接着剤層20aの硬化を行った後、剥離層5と金属製支持基板1とを除去する(図4(g))。
次に、図4(h)に示すように、剥離によって露出した第二接着剤層の接着面(第二の主面20B)に、半導体ウェハ3Bを、上記と同様にしてアライメントして、貼り合せた後、第二接着剤層20bの硬化を行って半導体装置を得、さらに、ダイシングによって、個々のチップ状の半導体装置へと分断する。
本願発明による配線回路構造体を実際に製作し、かつ、第一接着剤層、第二接着剤層のそれぞれの接着剤の組成を種々変更し、第一の主面、第二の主面への素子の接続状態を評価した。
配線回路構造体の製作手順は、上記説明において、図5、図6に沿って例示したとおり、第二の金属製支持基板を用い、その上に、ベース絶縁層、配線部分、第二接着剤層を形成し、その上に第一の金属製支持基板を剥離可能に積層した後で、第二の金属製支持基板を剥離し、その剥離面に第一接着剤層を形成するという手順とした。
実施例1
配線回路構造体の製作手順を、具体的に示す。
〔第二の金属製支持基板上への第二の剥離層の形成〕
図5(a)に示すように、第二の金属製支持基板1Aとして厚さ25μmのステンレス箔(SUS304)を用い、その上に、スパッタリング法にて厚さ25μmのTiから成る第二の剥離層5Aを全面に形成した。
〔絶縁層中のベース絶縁層の形成〕
図5(b)に示すように、第二の剥離層5Aの上に、感光性ポリアミック酸(3,4’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンとを反応させて得たもので、感光剤を含有する)を用いて、ポリイミド層(ベース絶縁層)20cを形成した。厚さは10μmである。
該ベース絶縁層20cに対して、第二の素子を接続するための第二の接続用導体部を形成すべき位置に、レーザー加工によって開口h2を形成し、該開口の底に第二の剥離層(Ti層)5Aを露出させた。開口形状は、直径100μmの円形である。
〔種膜、下側の導通路の一部、導体層の形成〕
図5(c)に示すように、クロム、銅の順にスパッタリングを施して、種膜23aを形成し、電解銅めっきにより下側の導通路の一部25および所定の配線パターンとされた導体層23を形成した。
その後、導体層23の無い部分の種膜(導体層からはみ出した種膜)を除去した。
〔上側の導通路の形成〕
導通路を形成すべき部分以外をめっきレジストにて全面的に覆い(図示せず)、電解銅めっきにより、図5(d)に示すように、直径80μm、高さ15μmの導通路(金属柱)24を形成した。
〔第二接着剤層の形成〕
上記めっきレジストを除去し、図5(e)に示すように、露出した導体層23および導通路24を埋没させるように、マレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物のメチルエチルケトン溶液を塗布し、乾燥させることによって、マレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物から成る第二接着剤層20bを形成した。この第二接着剤層を構成する材料の詳細は、各実施例の第二接着剤層を構成する材料の詳細と共に、一括して後述する。
次に、導通路24の上端面が第二の接続用導体部として第二接着剤層の上面(第二の主面20B)に露出するように、該接着剤層をアルカリ性溶液にてエッチングした。第二接着剤層の厚さは5μmである。
〔導通路24の上面への金属膜の形成〕
図5(e)に示すように、導通路24の上面に、電解めっきにより、ニッケル膜211(厚さ2μm)、金膜212(厚さ0.5μm)を順次形成した。めっき加工は、レジストを用いて行った。
〔金属製支持基板の貼付〕
別工程にて、第二の金属製支持基板1Aと同様の厚さ25μmのステンレス箔(SUS304)を用意し、これを金属製支持基板1として、その上にスパッタリング法にて厚さ25μmのTiから成る剥離層5を全面に形成した。
この金属製支持基板1と剥離層5からなる2層の積層体を、図6(f)に示すように、
上記で形成した第二接着剤層20aの上面(第二の主面20B)に圧着した。
〔第二の金属製支持基板の剥離、導通路の形成〕
図6(g)に示すように、第二の剥離層5Aと第二の金属製支持基板1Aとを除去した。剥離によって露出したベース絶縁体層の図の下面には、開口h2の底に形成したクロム種膜の下面が露出した。これを除去した後、さらに、めっきレジストを用いて、電解銅めっきにより、図6(g)に示すように、直径100μm、高さ15μmの下側の導通路(金属柱)25を形成した。
〔第一接着剤層の形成〕
上記めっきレジストを除去し、図6(h)に示すように、露出したベース絶縁体層20cおよび導通路25を埋没させるように、熱硬化性樹脂からなる第一接着剤層20aを形成した。この第一接着剤層の塗布方法は、上記した第二接着剤層の塗布方法と同様である。また、第一接着剤層を構成する材料の詳細は、各実施例の第一接着剤層を構成する材料の詳細と共に、一括して後述する。
次に、図の導通路25の下端面が接続用導体部として接着剤層の下面に露出するように、該接着剤層をアルカリ性溶液にてエッチングした。該接着剤層の厚さは5μmである。
〔接続用導体部の表面への金属膜の形成〕
図6(h)に示すように、接続用導体部の表面に、電解めっきにより、ニッケル膜221(厚さ2μm)、金膜222(厚さ0.5μm)を順次形成し、本発明の配線回路構造体を得た。めっき加工にはレジストを用いたが、説明を省略する。
〔半導体ウェハへの接続〕
上記で得た配線回路構造体の配線回路層の両面に、半導体ウェハを接続した。
半導体ウェハは、該ウェハ中の素子の数が240個、1つの素子中の電極パッド数が240個、各パッドは直径80μmの円形であって、各パッド上には直径60μmの金スタッドバンプが形成されている。
配線回路層の第一の主面20Aに、イーヴィグループ社製のアライナー、ボンディング装置を用いて、アライメントを行い、真空度3Pa、温度100℃、1.5g/バンプの圧力にて、半導体ウェハ3Aを貼り合せた後、140℃にて第一接着剤層を硬化させた後、剥離層5と第二接着剤層20bとの界面での剥離によって、剥離層5と金属製支持基板1とを除去した。次に、剥離によって露出した第二の主面20Bに、半導体ウェハ3Bを、上記と同様にしてアライメントして貼り合わせ、175℃にて第二接着剤層の硬化を行ない、配線回路層2の両面に半導体ウェハ3A、3Bが接続されたウェハ状の半導体装置を得た。さらに、このウェハ状の半導体装置を、ダイシングによって個々のチップ状の半導体装置へと分断した。
両方の素子の接着状態は、他の実施例品に対する評価と共に、後述する。
実施例2〜7
第一接着剤層、第二接着剤層のそれぞれの接着剤層の組成を変更したこと、およびそれによって、両主面へ素子を接着する際のそれぞれの硬化温度が変わったこと以外は、上記実施例1と全く同様にして、6種類の配線回路構造体のサンプルを製作した。
〔実施例1〜7の、第一接着剤層、第二接着剤層の材料の詳細〕
上記実施例1〜7において形成した、それぞれの第一接着剤層、第二接着剤層の材料の成分とその硬化温度を下記表1に示す。
表中の各成分の数値は、重量部である。また、表中のマレイミド含有比率は、各熱硬化性樹脂組成物中の有機成分全体に占めるマレイミドの比率(重量%)である。
Figure 0005371834
上記表1中の各成分(マレイミドA、マレイミドB、...、無機フィラー)は、それぞれ次のとおりである。
マレイミドA:3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド
マレイミドB:ビスフェノールA ジフェニルエーテル ビスマレイミド
エポキシA:エポキシ当量が140のナフタレン型エポキシ樹脂
エポキシB:エポキシ当量が168の多官能芳香族エポキシ樹脂
エポキシC:エポキシ当量が185のビスフェノールA型のエポキシ樹脂
エポキシD:エポキシ当量が450の変性ビスフェノールA型のエポキシ樹脂
フェノールA:フェノール基当量175のフェノールノボラック樹脂
フェノールB:フェノール基当量107のフェノールノボラック樹脂
フェノールC:フェノール基当量105のフェノールノボラック樹脂
熱可塑性樹脂:重量平均分子量100000、ガラス点移転が−10℃のアクリルポリマー
無機フィラー:平均粒径5.8μmの球状シリカ
硬化温度は、各接着剤層の熱硬化性樹脂組成物を用いて、JIS K7244−4に準拠して試験片を作製し、動的粘弾性測定装置を用いて、波数1Hz、昇温速度10℃/分で測定し、粘度が極小値の10倍になった時の温度を硬化温度とした。
表1に示すように、実施例1〜7の全ての試料において、第一接着剤層の硬化温度よりも、第二接着剤層の硬化温度が十分に高くなっていることがわかる。
各実施例で製作された半導体装置の両面の素子は、順番に加熱による接着を行ったにもかかわらず、いずれも、配線回路層に対して十分な強度で接着されており、好ましい両面実装体となっていた。
本発明の製造方法によって、半導体素子に対してより安価に再配線層を付与することができ、しかも、再配線層が不良であるために良品の半導体素子までもが廃棄されるということがなくなった。また、配線回路層の両面の接着剤層がいずれも熱硬化型樹脂組成物でありながら、一方の主面に素子を加熱して接着した後、他方の主面にも素子を加熱して接着することが可能になり、実装密度をより高めることもできるようになった。
1 金属製支持基板
2 配線回路層
20A 第一の主面
20a 第一接着剤層
20B 第二の主面
20b 第二接着剤層
21 第一の接続用導体部
21 第一の接続用導体部
22 第二の接続用導体部

Claims (7)

  1. 金属製支持基板上に配線回路層が剥離可能に積層された構造を有する配線回路構造体であって、
    金属製支持基板と配線回路層との間には剥離層が形成されており、それによって金属製支持基板が剥離層と共に配線回路層から剥離可能となっており、
    配線回路層は、配線部分と絶縁性部分とを有し、
    配線回路層の表裏両方の主面のうち、一方の主面を第一の主面と呼び、他方の主面を第二の主面と呼ぶとして、少なくとも第一の主面は、半導体素子を接続し得る面となっており、第二の主面は、前記金属製支持基板が剥離可能に積層された面であり、
    配線回路層は、第一の主面の側に第一接着剤層を有し、第二の主面の側に第二接着剤層を有し、これら接着剤層によって両方の主面は接着面となっており、少なくとも第一の主面には、半導体素子の電極を接続し得るように第一の接続用導体部が露出しており、該接続用導体部は、配線部分の一部であるか、または、導通路を通じて該配線部分に接続された導体であり、
    第一接着剤層の接着剤は熱硬化性樹脂組成物からなり、第二接着剤層の接着剤はマレイミドを含有する熱硬化性樹脂組成物からなり、第二接着剤層の接着剤の硬化温度が第一接着剤層の接着剤の硬化温度よりも高くなるように両層の接着剤が選択されている、
    前記配線回路構造体。
  2. 第二接着剤層の熱硬化性樹脂組成物中のマレイミドの含有量が、該熱硬化性樹脂組成物に含まれる有機成分の3〜50重量%である、請求項1記載の配線回路構造体。
  3. 配線回路層の第二の主面には、第二の半導体素子の電極を接続し得るように、第二の接続用導体部が露出しており、第二の接続用導体部は、配線部分の一部であるか、または、導通路を通じて該配線部分に接続された導体であり、
    金属製支持基板を剥離することによって、第二の主面に第二の半導体素子を接続し得る構成となっている、請求項1または2記載の配線回路構造体。
  4. 剥離層が、ポリイミド、金属、金属酸化物、および、無機酸化物から選ばれる1つの材料からなる層である、請求項に記載の配線回路構造体。
  5. 配線回路層が、接続される半導体素子にとって再配線層として機能するものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の配線回路構造体。
  6. 少なくとも第一の主面に接続される半導体素子がウェハ状態の半導体素子であって、配線回路層が、ウェハ中の各半導体素子に個々に接続され得る構成となっている、請求項1〜のいずれか1項に記載の配線回路構造体。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の配線回路構造体を用い、該配線回路構造体に含まれる配線回路層の少なくとも第一の主面に半導体素子を接着すると共に、該素子の電極をその主面に露出している接続用導体部に接続する素子接続工程を有し、
    素子接続工程の後、金属製支持基板を配線回路層から剥離する剥離工程を有することを特徴とする、
    半導体装置の製造方法。
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