JP5371652B2 - 車両用開閉蓋のロックシステム - Google Patents

車両用開閉蓋のロックシステム Download PDF

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Description

本発明は、車両に設けられた収容空間を開閉する開閉蓋のロックシステムに関する。
自動二輪車などの車両には、小物入れ、ヘルメットケース、キーシリンダなど収容空間が設けられることが多く、特に外部からアクセスできるような位置に設けられている場合は、その収容空間を開閉する開閉蓋を設けるとともに、開閉蓋の開放を制限するロック装置を設けるのが望ましい。特許文献1では、ロック装置と車両のメインスイッチが連動しており、メインスイッチが通電していないときはロック装置によって開閉体(開閉蓋)がロックされ、メインスイッチが通電しているときにはロックが解除されるように構成されたロックシステムが提案されている。
特開2004−36186号公報
ところが、特許文献1に記載のシステムでは、開閉蓋のロックは開閉体を係止する係止部の移動を制限することによって行われるため、誤って開閉体が開いたままメインスイッチを切ると、開閉体を閉めることができないという問題があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、ロック装置がロック状態であっても、開閉蓋を閉めることができる車両用開閉蓋のロックシステムを提供することを目的としている。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、本発明に係る車両用開閉蓋のロックシステムは、車体に設けられた収容空間を開閉する開閉蓋と、前記開閉蓋が前記収容空間を閉鎖する位置にある状態で前記開閉蓋を係止し、係止位置と非係止位置との間で動作可能な係止部材と、前記係止部材を係止位置から非係止位置に動作させるよう手動操作により動作する係止解除操作部と、前記係止部材の動作を許容しつつ、前記係止解除操作部の動作を規制するロック装置と、を備えていることを特徴とする。
かかる構成によれば、ロック装置が、係止部材の動作を許容しつつ、係止解除操作部の動作を規制するため、開閉蓋の係止が可能でありながら、係止解除操作部による開閉蓋の係止解除を禁止することができる。
また、上記の車両用開閉蓋のロックシステムにおいて、前記係止解除操作部は、操作者により押される押圧部と、前記押圧部と一体的に設けられて前記押圧部が押されると前記係止部材を係止位置から非係止位置に動作させるカム部と、前記押圧部と一体的に設けられた干渉部とを有し、前記ロック装置は、前記干渉部の動作軌道を横切る位置と前記干渉部の動作軌道から退避する位置との間で移動可能なストッパを有し、前記横切る位置にある前記ストッパと前記干渉部とが互いに干渉することで前記係止解除操作部の動作を規制するように構成してもよい。
かかる構成によれば、干渉部とストッパとが干渉さえすれば係止解除操作部の動作を規制できるため、ストッパの位置決めに高い精度は要求されず、組立てや調整を容易に行うことができる。
また、上記の車両用開閉蓋のロックシステムにおいて、前記ストッパが前記干渉部の動作軌道に対して直交する方向に移動するように構成してもよい。
かかる構成によれば、ストッパの停止位置が多少ずれても、ストッパと干渉部との距離にほとんど影響は無いため、例えばストッパのスライド方向が干渉部の移動方向と同じ場合に比べて組立てや調整が容易である。
また、上記の車両用開閉蓋のロックシステムにおいて、前記ストッパを上下で挟むように設けられた一対の案内部をさらに備え、前記ストッパは板状に形成されており、前記両案内部には、前記干渉部の動作軌道上に貫通孔がそれぞれ形成されるようにしてもよい。
かかる構成によれば、貫通孔で干渉部の案内をすることができる。また、案内部によりストッパが上下で挟まれているため、ストッパの変形を防止できる。
また、上記の車両用開閉蓋のロックシステムにおいて、前記ロック装置は、進退可能な出力軸を有するアクチュエータと、前記ストッパと前記アクチュエータとの間に介在して、前記出力軸の進退による動力を方向を変えて前記ストッパに伝えるリンク機構とを含むようにしてもよい。
かかる構成によれば、出力軸で干渉部を規制する場合に比べて、アクチュエータの配置、出力軸の移動量などを容易に設定することができる。
また、上記の車両用開閉蓋のロックシステムにおいて、前記係止部材を前記係止位置の方向へ付勢する付勢部材をさらに備え、前記係止部材は前記付勢部材とは反対側に傾斜面を有し、前記開閉蓋の裏面には被係止部を有する係合部が形成され、前記開閉蓋が前記収容空間を開放する開放位置から前記収容空間を閉鎖する閉鎖位置に向かって移動するとき、前記係合部が前記係止部材の前記傾斜面に当接して前記係止部材を前記非係止位置へ作動させ、前記開閉蓋が前記閉鎖位置に達すると、前記係止部材が前記付勢部材に付勢されて前記係合部に向けて移動し、前記係止部材が前記被係止部を係止するように構成してもよい。
かかる構成によれば、開閉蓋の係止が可能でありながら、係止解除操作部による開閉蓋の係止解除を禁止することができる。
また、上記の車両用開閉蓋のロックシステムにおいて、前記係止解除操作部の動作を規制するロック状態と前記係止解除操作部の動作を許容する非ロック状態との間で前記ロック装置を動作させる制御装置をさらに備え、前記制御装置は、車両の状態が予め定めるロック条件を満足すると前記ロック装置をロック状態とし、満足しなければ前記ロック装置を非ロック状態とするように構成してもよい。
かかる構成によれば、所定の条件に従って自動でロック装置がロック状態になるため、手動でロック装置をロック状態にする必要はない。
また、上記の車両用開閉蓋のロックシステムにおいて、前記係止解除操作部の動作を規制するロック状態と前記係止解除操作部の動作を許容する非ロック状態との間で前記ロック装置を動作させる電気アクチュエータをさらに備え、前記電気アクチュエータは、非通電状態で前記ロック装置を前記ロック状態とし、通電状態で前記ロック装置を前記非ロック状態とするように構成してもよい。
かかる構成によれば、必要なときにのみアクチュエータに電源を供給するため、電力消費を減らすことができる。
また、上記の車両用開閉蓋のロックシステムにおいて、前記車体には、開口を有する物入れケースが設けられ、前記開閉蓋は、前記開口を開閉自在に閉鎖するようにしてもよい。
かかる構成によれば、小物入れケースの開口を閉鎖可能でありながら、小物入れケースの開口の開放を禁止することができる。
本発明によれば、ロック装置がロック状態のとき、開閉蓋の係止が可能でありながら、係止解除操作部による開閉蓋の係止解除を禁止することができる。よって、ロック装置がロック状態であっても、開閉蓋を閉めることができる車両用開閉蓋のロックシステムを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るロックシステムのうち機械要素部分の縦断面図である。 本発明の第1実施形態に係る開閉蓋及び小物入れケースの左側面図である(ただし、係合部など一部は省略されている)。 本発明の第1実施形態に係る係止部材を示した図であって、(a)が平面図、(b)が左側面図、(c)が背面図である。 本発明の第1実施形態に係る係止解除操作部を示した図であって、(a)が左側面図であり、(b)が(a)におけるIV−IV線断面図である。 本発明の第1実施形態に係るストッパを示した図であって、(a)が平面図、(b)が左側面図である。 本発明の第1実施形態に係るロックシステムのブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る開閉蓋の係合部、係止部材、係止解除部材、及びストッパの斜視図であって、開閉蓋が閉鎖位置にあるときの図である。 本発明の第2実施形態に係るロックシステムのうち機械要素部分の縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係るロックシステムのブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る押ボタンを含む係止解除操作部の概略背面断面図であり、(a)が独立型の押しボタンを採用した場合の図であり、(b)が一体型の押しボタンを採用した場合の図である。
以下、本発明に係る車両用開閉蓋のロックシステムの実施形態について図を参照しながら説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、図1乃至図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両用開閉蓋のロックシステム100の各構成要素について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るロックシステム100は、開閉蓋1と、係止部材2と、係止解除操作部3と、ロック装置4と、制御装置5(図6参照)と、を備えている。さらに上記のロック装置4は、ストッパ6と、リンク機構7と、アクチュエータ8と、を有している。以下、各構成要素について順に説明する。なお、説明中、「前」というときは図1に示すロックシステム100の紙面左側を指し、以下同様に「後」は紙面右側、「上」は紙面上側、「下」は紙面下側、「右」は紙面奥側、「左」は紙面手前側をそれぞれ指すものとする。
開閉蓋1は、収容空間の開閉を行う部材である。なお、本実施形態に係る開閉蓋1は、自動二輪車に設けられた小物入れケース9内部の収容空間99を開閉するものとする。別の言い方をすれば、自動二輪車に設けられた小物入れケース9は開口を有し、開閉蓋1はこの開口を開閉する。図1及び図2に示すように、開閉蓋1は、小物入れケース9の開口を覆う板状の蓋本体10と、蓋本体10から裏面に垂直な方向に伸びて先端側に係止孔12が形成されている係合部11と、蓋本体10に連結される支持部13とを有している。支持部13は、小物入れケース9の前方において左右方向に伸びる支軸15に回転可能に連結されており、開閉蓋1はこの支軸15を回転軸として回転することで、閉鎖位置(収容空間99を閉鎖する位置)から開放位置(収容空間99を開放する位置)へ移動し、また、開放位置から閉鎖位置へ移動する。
さらに、支持部13は、支軸15を中心として広がる扇状の扇部16と、扇部16から蓋本体10まで伸びる鉤(かぎ)状のアーム部17と、を有している。アーム部17は、扇部16のうち蓋本体10とは反対側にあたる部分から、扇部16の円弧部分の外側を通り、蓋本体10に伸びている。扇部16の円弧部分にはギアが形成されており、このギアはケース本体14の側面に設けられたギアダンパー18と噛み合っている。ギアダンパー18は回転速度を抑えることができるため、ギアダンパー18と扇部16のギアが噛み合うことにより、開閉蓋1の開閉はゆっくり静かに行われる。本実施形態において、アーム部17は、迂回して扇部16と蓋本体10とを連結しているが、これは既存のギアを使用することで製造コストを抑えるためである。例えば、扇部16と蓋本体10とを直線的に連結すると、扇部16が大きくなってしまう。また、小物入れの設計変更に応じてギアを新たに設計する必要がある。これに対して、上記の構成を採ることにより、例えば小物入れケース9の設計変更があったとしても、ギアの変更なしにアーム部17の大きさを変更することにより対応することができる。また、図2は開閉蓋1の左側面のみを図示しているが、右側面も同様の支持部13を有している。
係止部材2は、開閉蓋1を係止する部材である。図3(a)に示すように、係止部材2は先端中央が内部に向かって切り欠かれており、断面U字状の案内溝19が形成されている。また、図3(b)に示すように、案内溝19の左右両側に位置する突出部20には、その前方部分に斜め上方に面する第1傾斜面21が形成されている。さらに、係止部材2の左右両側の一部が外方に突出して側部22を形成しており、この側部22は前方部分に斜め上方に面する第2傾斜面23を有している。また、図3(c)に示すように、係止部材2の背面には、押しスプリング24を収容するスプリング穴25が形成されており、組立て時にはスプリング穴25に押しスプリング24が挿入される(図1参照)。
係止解除操作部3は、係止部材2が開閉蓋1を係止している状態を解除するための部材である。図4に示すように、係止解除操作部3は、押圧部27と、干渉部28と、カム部29と、支持板30とを有している。押圧部27は、係止解除操作部3の上面に位置しており、操作者によって押圧される部分である。干渉部28は、丸棒状に形成されており、押圧部27から下方に突出している。カム部29は、押圧部27から下方に伸びるとともに、下端面が傾斜する板状の形状を有している。またカム部29は、干渉部28の左右2箇所に位置している。支持板30は、係止解除操作部3のさらに左右外側に位置しており、ハウジング26内の案内孔(図示せず)に沿って移動して、係止解除操作部3を上下方向に安定して移動させる機能を有している。
ストッパ6は、係止解除操作部3の動作を規制するための部材である。図5に示すように、ストッパ6は平板状の平板部31と、平板部31の後方下側に位置する関節部32とから構成されている。平板部31には先端から内部に向かって切り欠かれた切欠部33が形成され、関節部32には左右方向に伸びる支軸部34が形成されている。
リンク機構7は、アクチュエータ8の動力をストッパ6に伝える機構である。図1に示すように、リンク機構7は、ホルダ40と、略L字状に形成されるリンク41と、引張スプリング42と、を有している。ホルダ40は、ハウジング26に固定されるとともに、斜め下後方に伸びて、先端付近に位置する支軸受け孔43によりリンク41の支軸44を支持している。リンク41は、略水平方向に伸びる水平部45と、略鉛直方向に伸びる鉛直部46とを有している。鉛直部46の先端付近には長孔形状又は楕円形状の連結孔37が形成されており、ストッパ6の支軸部34(図6参照)を回転可能に支持している。引張スプリング42は、一端が前方のハウジング26に取り付けられているとともに、他端がリンク41の鉛直部46に取り付けられている。これにより、引張スプリング42は、支軸44を回転軸としてリンク41を回転方向(図1では反時計方向)へ付勢する。なお、本実施形態に係るリンク機構7は一例であって、他の動力伝達構造を採用しても良い。
アクチュエータ8は、ストッパ6の動力源となる装置である。本実施形態に係るアクチュエータ8は、作動電源からの電流を加えることにより内部のソレノイド(図示せず)を励磁して、出力軸47を進退させる。アクチュエータ8に電流が加わっている(通電している)間は出力軸47が前進した状態を維持し(図1では上方へ移動し)、作動電源48からの電流が途絶えると出力軸47が後退する(図1では下方へ移動する)。また、リンク41は引張スプリング42によって付勢され、その下面が出力軸47に当接している。これにより、アクチュエータ8に通電するとリンク41は時計回りに回転し、アクチュエータ8への通電を止めるとリンク41は反時計回りに回転する。
制御装置5は、アクチュエータ8の作動を制御する装置である。図6に示すように、作動電源48とアクチュエータ8とが接続されており、作動電源48からアクチュエータ8に電流が供給できるように構成されている。また作動電源48との間には制御装置5が制御する第1スイッチ49が設けられている。これにより、第1スイッチ49がオンのときに電流が供給され、オフのときに電流が遮断される。また、制御装置5は車体の速度センサ50、及びメインスイッチのオン・オフセンサ51から信号を受信し、これらの信号に基づいて(つまり、車両の状態に基づいて)予め定めた所定の条件を満足するか否かを判定し、第1スイッチ49のオン・オフを決定する。
次に、図7を参照して、開閉蓋1の開閉動作について説明する。
まず、各構成要素の動作方向を確認する。
開閉蓋1の動作方向は、図7に示す範囲に限れば略上下方向である。開閉蓋1は、支軸15を回転軸として回転するからである(図2参照)。以下、開閉蓋1の動作方向に関し、開閉蓋1が開放位置へ向かう方向を開放方向Aとし、閉鎖位置へ向かう方向を閉鎖方向Bとする。
係止部材2の動作方向は、前後方向である。図1に示すように、ハウジング26には係止部材2を収容する空間が形成されており、係止部材2はその空間内を前後方向に移動するからである。なお、係止部材2は、押しスプリング24により前方に付勢されている。以下、係止部材2の動作方向に関し、係合部11に向かう方向(前方)を係止方向Cとし、係合部11から離れる方向(後方)を非係止方向Dとする。
係止解除操作部3の動作方向は、上下方向である。支持板30(図5参照)によって、上下方向に移動するよう案内されるからである。以下、係止解除操作部3の動作方向に関し、係止部材2に向かう方向(下方)を解除方向Eとする。
ストッパ6の動作方向は、前後方向である。図1に示すように、ハウジング26にはストッパ6を上下で挟むように一対の案内部26a、26bが設けられており、ストッパ6は上側の案内部26aと下側の案内部26bの間で前後方向にスライドするからである。以下、ストッパ6の動作方向に関し、干渉部28の動作軌道(詳しくは後述する)を横切る位置に向かう方向(前方)をロック方向Gとし、干渉部28の動作軌道から退避する位置に向かう方向(後方)を非ロック方向Hとする。
続いて、開閉蓋1を閉鎖する作動について説明する。すなわち、開閉蓋1が開放位置から図7に示す閉鎖位置に至るまでの動作について説明する。開閉蓋1が開放位置から閉鎖方向Bに移動すると、開閉蓋1の係合部11の下端が係止部材2の第1傾斜面21に当接する。第1傾斜面21は前方斜め上方に面するように傾斜している(第1傾斜面21は係止方向C側の部分が非係止方向D側の部分に比べ閉鎖方向B側に位置するよう傾斜している)ため、係合部11が閉鎖方向Bに移動するにしたがって、係止部材2は徐々に後方に押されて非係止方向Dに移動する。係合部11がさらに閉鎖方向Bに移動して、係止孔12の下端が係止部材2の先端よりも下方に達すると(図7に図示する閉鎖位置まで移動すると)、係止部材2は押しスプリング24に付勢されてロック方向Gに移動し、係止孔12内に進入する(以下、このときの係止部材2の位置を「係止位置」と呼ぶ)。このとき、係止部材2が係合部11を係止するため、開閉蓋1は開放方向Aへの移動ができなくなる。つまり、開閉蓋1は閉鎖される。
続いて、開閉蓋1を開放する動作について説明する。すなわち、図7に示す閉鎖位置から開放位置に至るまでの動作について説明する。図7に示すように、係止部材2は押しスプリング24に付勢されて第2傾斜面23がカム部29の下端面に当接するとともに、カム部29の下端面が後方斜め下方に傾斜し(カム部29の下端面は係止方向C側の部分が非係止方向D側の部分に比べ解除方向E側に位置するよう傾斜し)、第2傾斜面23が前方斜め上方に傾斜している(第2傾斜面23は係止方向C側の部分が非係止方向D側の部分に比べ解除方向E側に位置するよう傾斜している)。そのため、操作者によって係止解除操作部3(押圧部27)が解除方向Eに押されると、係止部材2はカム部29の下端面から力を受けて非係止方向Dに移動する。これにより、係止部材2が係止孔12の外側に位置することになり(係止孔12から離反し)、係止部材2による開閉蓋1の係止が解除される(以下、この係止部材2の位置を「非係止位置」と呼ぶ)。そして、開閉蓋1を開放方向Aへ付勢する装置を有する場合はその装置により、そのような装置を有していない場合には使用者によって手動で開閉蓋1を開放することができる。つまり、開閉蓋1は開放される。
なお、図7では干渉部28がストッパ6付近にまで達しているが、これは図1に示すように、ストッパ6の上下に位置する案内部26a、26bには、干渉部28の動作軌道上に位置する貫通孔35、36がそれぞれ形成されており、干渉部28がこの貫通孔35、36を貫通しているからである。また、干渉部28は、係止部材2の案内溝19を貫通するため、干渉部28は係止部材2に干渉することもない。
続いて、開閉蓋1のロック方法について説明する。開閉蓋1のロックは、ストッパ6をロック方向Gへ移動させ、干渉部28の動作軌道を横切る位置(図4に図示する位置よりも前方の位置)に位置させることにより行う。このとき、平面視において干渉部28はストッパ6の切欠部33よりも後方に位置し、例えば図6に符号Yを付した位置に位置する。これにより、係止解除操作部3を解除方向Eに移動させようとしても、干渉部28がストッパ6に干渉するため、係止解除操作部3を解除方向Eに移動することができず、開閉蓋1を開放状態にすることができない。つまり、開閉蓋1はロックされる。
続いて、開閉蓋1のロック解除方法について説明する。開閉蓋1のロック解除は、ストッパ6の非ロック方向Hへスライドさせ、干渉部28の動作軌道から退避する位置(図4に図示する位置)に位置させることにより行う。このとき、平面視において干渉部28はストッパ6の切欠部33に位置し、例えば図6に符号Xを付した位置に位置する。これにより、係止解除操作部3が解除方向Eに移動しても、干渉部28はストッパ6に干渉せず、係止解除操作部3を解除方向Eに移動させて、開閉蓋1を開放状態にすることができる。つまり、開閉蓋1のロックは解除される。
次に、図1及び図6を参照して、制御装置5の制御によるストッパ6の作動について説明する。
まず、ストッパ6をロック方向Gへ移動させる動作について説明する。制御装置5は、所定の条件を満足するか否かを判定し、第1スイッチ49をオフにする(図6参照)。具体的には、車両のメインスイッチがオフの場合や、車両のメインスイッチがオンであっても車体速度が一定以上である場合は、第1スイッチ49をオフにする。第1スイッチ49がオフになると、作動電源48からの電流が途絶え、アクチュエータ8が非通電状態となる。ここで図1に戻り、アクチュエータ8が非通電状態になると、アクチュエータ8の出力軸47は後退し(下方に移動し)、引張スプリング42の付勢力によってリンク41が支軸44を回転軸として回転(図1では反時計回転)する。これによって、リンク38の鉛直部46の先端は前方へ移動し、ストッパ6はロック方向Gへ移動する。
続いて、ストッパ6を非ロック方向Hへ移動させる動作について説明する。制御装置5は、所定の条件を満足するか否かを判定し、第1スイッチ49をオンにする(図6参照)。具体的には、車両のメインスイッチがオンの状態で、かつ、車体速度が一定以下である場合に第1スイッチ49をオンにする。第1スイッチ49がオンになると、作動電源48から電流が流れてアクチュエータ8が通電状態となる。アクチュエータ8が通電状態になると、出力軸47が前進し(上方に移動し)、リンク38の水平部45の下面を押し上げ、リンク38が支軸44を回転軸として回転する(図1では時計回転)。このとき、リンク38の鉛直部46の先端は後方へ移動し、これに連結されたストッパ6も非ロック方向Hへ移動する。
以上が、本実施形態に係る車両用開閉蓋のロックシステム100の各構成要素及び各動作の説明である。上述のように、本実施形態における開閉蓋1の開放の阻止(開閉蓋1のロック)は、係止部材2の動作を制限するのではなく、係止解除操作部3の動作を規制することにより行われる。また、係止部材2の後方には干渉するような部材もなく、開閉蓋1の閉鎖に必要な係止部材2の非係止方向Dへの移動は確保されている。つまり、ロック装置4は、係止部材の動作を許容しつつ、係止解除操作部の動作を規制しているのである。そのため、本実施形態によれば、開閉蓋1が開放位置にあるとき、誤ってロック装置4をロック状態(係止解除操作部3の動作を規制する状態)にしてしまったとしても、閉鎖蓋1を閉鎖することができる。
また、本実施形態では、アクチュエータ8とストッパ6との間にリンク41を設けている。そのため、アクチュエータ8の位置や大きさが変更になったとしても、リンク41の大きさや形状を変更することで対応できる。つまり、出力軸47によってリンク41を直接作動させる場合に比べ、アクチュエータ8の配置や出力軸の移動量などを容易に設定することができる。なお、本実施形態のように、リンク41を用いてアクチュエータ8(出力軸47)による鉛直方向の運動をストッパ6の水平方向の運動に変換させるのが望ましい。かかる構成によれば、アクチュエータ8をストッパ6の下方に位置させてロック装置4全体をコンパクトに構成することができる。
また、本実施形態ではアクチュエータ8が非通電状態のときロック装置4がロック状態になるよう構成されている。かかる構成によれば、必要なときにのみアクチュエータ8に電流が供給されるため、省電力化を図ることができる。
また、アクチュエータ8の出力軸47とリンク41の水平部45を可動可能に連結する構成とし、引張スプリング42を省略してもよい。
また、本実施形態に係る係止解除操作部3のカム部29は、係止部材2を左右から挟むように左右方向の2箇所に配設されている。これによりカム部29が左右方向に変位するのを防止することができ、また干渉部28が左右方向に変位するのも防止することができる。
また、本実施形態に係る干渉部28は、その周面に係止部材2の案内溝19(図7参照)や貫通孔35、36(図1参照)など複数の部分が面するように構成されており、特に、貫通孔35の外部は筒状に形成されている。これにより、作業者によって干渉部28が解除方向Eに押圧され、ストッパ6に強く押し当てられたとしても、軸が傾く等の変形を防止することができる。また、干渉部28は前後方向(水平方向)から力がかかったとしても貫通孔35、36等により強固に支持される。そして、係止位置では、係止部材2と貫通孔35とが接触する。これによって貫通孔35は、係止部材2が係止方向Cへ過大に移動しないよう規制する規制部材(ストッパ)の役割を果たすことができる。かかる構成によれば、貫通孔35とは別に規制部材(ストッパ)を設ける場合に比べ、構造を単純化することができる。
また、図5に示すように、ストッパ6には干渉部28が貫通する部分として貫通孔ではなく切欠部33が形成されている。そのため、貫通孔を形成する場合に比べて高い寸法精度は要求されず、製造が比較的容易である。
また、図1に示すように、本実施形態に係るストッパ6は、干渉部28の軸に垂直な内面を有する案内部26a、26bによって挟まれている。これにより、干渉部28の解除方向Eへの移動によってストッパ6が強く押されたとしても、ストッパ6が大きく変形することはない。
また、以上では、ロックシステム100の開閉蓋1が小物入れに用いられる場合について説明したが、開閉蓋1は、ヘルメットケースやキーシリンダなど他の収容空間に用いられてもよい。
(第2実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る車両用開閉蓋のロックシステム200について説明する。図8に示すように、本実施形態に係るロックシステム200は、リンク41に連結される引張スプリング42(図1参照)に代えて、リンク機構207のリンク41に板ばね部52が形成されている点で、第1実施形態に係るロックシステム100と構成が異なる。
本実施形態に係るリンク41は板ばね部52を有している。板ばね部52は、水平部45の先端から前方に伸びるように形成されており、その先端の上面がハウジング26に当接している。これにより、アクチュエータ8の出力軸47が前進すると(上方に移動すると)、リンク41は回転(図8では時計方向に回転)し、出力軸47が後退すると板ばね部52の付勢力によってリンク41が逆方向へ回転(図8では反時計方向に回転)する。このように、本実施形態によれば、板ばね部52が第1実施形態に係る引張スプリング42と同様に機能し、同様の作用効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、板ばね部52を含むリンク41は一体に成形できることから、第1実施形態の場合に比べ、引張スプリング42の分だけ部品点数を減らすことができる。
(第3実施形態)
次に、図9及び図10を参照して、本発明の第3実施形態に係る車両用開閉蓋のロックシステム300について説明する。図9に示すように、本実施形態に係るロックシステム300は、作動電源48からアクチュエータ8の間に第1スイッチ49のみならず第2スイッチ53が設けられている点で、第1スイッチ49のみが設けられている第1実施形態に係るロックシステム100と構成が異なる。
第1スイッチ49及び第2スイッチ53は、作動電源48とアクチュエータ8の間において直列に配置されている。そのため、制御装置5が第1スイッチ49をオンにしても、第2スイッチ53がオンにならなければ、アクチュエータ8には電流が供給されない。また、本実施形態では、第2スイッチ53のオン・オフが、係止解除操作部3に連動する押しボタン54によって行われる。これにより、開閉蓋1を開けるための押しボタン54が押されたときに限り、ロック装置4は非ロック状態になる。かかる構成によれば、アクチュエータ8に必要なときだけ通電することになるため、省電力化を図ることができる。また、第2スイッチ53の操作を係止解除操作部3の操作とは別に行う場合に比べ、操作が容易となる。
次に、押しボタン54の具体的な構成について説明する。以下では、独立型の押しボタン54a(図10(a)参照)と、一体型の押しボタン54b(図10(b)参照)について説明するが、いずれのタイプの押しボタンを採用しても良い。
独立型の押しボタン54aは、図10(a)に示すように、両接点56、57を内蔵する押しボタンである。この独立型の押しボタン54aは、係止解除操作部3の押圧部27に設けられた取付孔55に取り付けられている。両接点56、57の間にはクッション層60が挿入されており、このクッション層60には両接点56、57を対面させる開口部が形成されている。そのため、操作者によって係止解除操作部3が下方に押されると、押しボタン54aも下方に移動し、下方の接点57の下端部分がハウジング26に接触する。これにより下方の接点57が上方の接点に対して押し上げられた状態となり、クッション層60の開口部を介して両接点56、57が接触する。
一方、一体型の押ボタンは、図10(b)に示すように、係止解除操作部3が一部を構成する押ボタンである。押圧部27の裏面に一方の接点となる上接点板58が設けられており、その下方にクッション層60を挟んで、上面に他方の接点となる下接点板59を有する固定板61が設けられている。クッション層60には上接点版58と下接点板59を対面させる開口部が複数形成されている。また、下接点板59には下方に突出する押し棒62が取り付けられている。かかる構成の場合、操作者によって係止解除操作部3が下方に押されると、押し棒62がハウジング26に接触し、これにより下接点板59は上接点板58に対して押し上げられた状態となり、両接点板58、59がクッション層60の開口部を介して接触する。さらに、一体型の押しボタン54bによれば、係止解除操作部3(押圧部27)の表面に隙間等が生じないため、独立型の押しボタン54aに比べ防水性を高めることができる。
なお、以上では、図9に示すように、押しボタン54によって第2スイッチ53を操作する場合について説明したが、押しボタン54が押されたときの信号が制御装置5に送信されるようにしてもよい。つまり、制御装置5が、車体の状態が所定の条件を満足し、かつ、押しボタン54が押されたと判定したとき制御装置5が第1スイッチ49をオンにするように構成してもよい。
以上、本発明に係る第1実施形態乃至第3実施形態について図を参照して説明したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
本発明によれば、ロック装置がロック状態であっても、開閉蓋を閉めることができる車両用開閉蓋のロックシステムを提供することができる。よって、車両用開閉蓋のロックシステムの技術分野において有益である。
100、200、300 ロックシステム
1 開閉蓋
2 係止部材
3 係止解除操作部
4 ロック装置
5 制御装置
6 ストッパ
7 リンク機構
8 アクチュエータ
9 小物入れケース
11 係合部
12 係止孔
21 第1傾斜面
26a、26b 案内部
27 押圧部
28 干渉部
29 カム部
35、36 貫通孔
47 出力軸
48 作動電源
49 第1スイッチ
53 第2スイッチ
54 押しボタン
99 収容空間

Claims (8)

  1. 車体に設けられた収容空間を開閉する開閉蓋と、
    前記開閉蓋が前記収容空間を閉鎖する位置にある状態で前記開閉蓋を係止し、係止位置と非係止位置との間で動作可能な係止部材と、
    前記係止部材を係止位置から非係止位置に動作させるよう手動操作により動作する係止解除操作部と、
    前記係止部材の動作を許容しつつ、前記係止解除操作部の動作を規制するロック装置と、を備え
    前記係止解除操作部は、操作者により押される押圧部と、前記押圧部と一体的に設けられて前記押圧部が押されると前記係止部材を係止位置から非係止位置に動作させるカム部と、前記押圧部と一体的に設けられた干渉部とを有し、
    前記ロック装置は、前記干渉部の動作軌道を横切る位置と前記干渉部の動作軌道から退避する位置との間で移動可能なストッパを有し、前記横切る位置にある前記ストッパと前記干渉部とが互いに干渉することで前記係止解除操作部の動作を規制することを特徴とする車両用開閉蓋のロックシステム。
  2. 前記ストッパが前記干渉部の動作軌道に対して直交する方向に移動可能に構成されている、請求項1に記載の車両用開閉蓋のロックシステム。
  3. 前記ストッパを上下で挟むように設けられた一対の案内部をさらに備え、
    前記ストッパは板状に形成されており、
    前記両案内部には、前記干渉部の動作軌道上に貫通孔がそれぞれ形成されている、請求項1又は2に記載の車両用開閉蓋のロックシステム。
  4. 前記ロック装置は、
    進退可能な出力軸を有するアクチュエータと、
    前記ストッパと前記アクチュエータとの間に介在して、前記出力軸の進退による動力を方向を変えて前記ストッパに伝えるリンク機構とを有する、請求項1乃至3のうちいずれか一の項に記載の車両用開閉蓋のロックシステム。
  5. 前記係止部材を前記係止位置の方向へ付勢する付勢部材をさらに備え、
    前記係止部材は前記付勢部材とは反対側に傾斜面を有し、
    前記開閉蓋の裏面には被係止部を有する係合部が形成され、
    前記開閉蓋が前記収容空間を開放する開放位置から前記収容空間を閉鎖する閉鎖位置に向かって移動するとき、前記係合部が前記係止部材の前記傾斜面に当接して前記係止部材を前記非係止位置へ作動させ、前記開閉蓋が前記閉鎖位置に達すると、前記係止部材が前記付勢部材に付勢されて前記係合部に向けて移動し、前記係止部材が前記被係止部を係止する、請求項1乃至4のうちいずれか一の項に記載の車両用開閉蓋のロックシステム。
  6. 前記係止解除操作部の動作を規制するロック状態と前記係止解除操作部の動作を許容する非ロック状態との間で前記ロック装置を動作させる制御装置をさらに備え、
    前記制御装置は、車両の状態が予め定めるロック条件を満足すると前記ロック装置をロック状態とし、満足しなければ前記ロック装置を非ロック状態とする請求項1乃至5のうちいずれか一の項に記載の車両用開閉蓋のロックシステム。
  7. 前記係止解除操作部の動作を規制するロック状態と前記係止解除操作部の動作を許容する非ロック状態との間で前記ロック装置を動作させる電気アクチュエータをさらに備え、
    前記電気アクチュエータは、非通電状態で前記ロック装置を前記ロック状態とし、通電状態で前記ロック装置を前記非ロック状態とする請求項1乃至5のうちいずれか一の項に記載の車両用開閉蓋のロックシステム。
  8. 前記車体には、開口を有する物入れケースが設けられ、
    前記開閉蓋は、前記開口を開閉自在に閉鎖する請求項1乃至7のいずれか一の項に記載の車両用開閉蓋のロックシステム。
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