以下、図面に沿って、本発明の実施形態について説明する。なお、画像形成装置の構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成または作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略した。
(比較例)
図1は、本発明の比較例に係る画像形成装置200の概略を示す概略断面図である。図1の画像形成装置200は、フルカラー画像形成装置(複写機能、プリンタ機能、FAX機能を併せ持つ複合機)の一例である。図1に示されるように、画像形成装置200には、『中間転写体』としての中間転写ベルト7の回転方向(矢印R7方向)に沿って上流側から下流側にかけて4個の画像形成部(画像形成ステーション)Sa、Sb、Sc、Sdが配設されている。
各画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdは、この順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する画像形成部であり、それぞれ潜像担持体としてドラム形の電子写真感光体(以下「感光体ドラム」という。)1を備えている。
感光体ドラム1は、それぞれ矢印Ra、Rb、Rc、Rdの方向(図1中の時計回り)に回転駆動されるようになっている。各感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、『帯電手段』である一次帯電器2a、2b、2c、2d、『潜像形成手段』である露光装置3a、3b、3c、3dが配設される。さらに、各感光体ドラム1の周囲には、『現像手段』である現像装置100、『一次転写手段』である一次転写ローラ5a、5b、5c、5d、『帯電補助手段』である二次帯電器6a、6b、6c、6dが配設される。
一次転写ローラ5a〜5d、二次転写対向ローラ8、テンションローラ17、18には、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト7が掛け渡されている。中間転写ベルト7は、その裏面側から一次転写ローラ5a〜5dによって押圧されていて、その表面を感光体ドラム1に当接させている。これにより、感光体ドラム1と、中間転写ベルト7との間には、『一次転写部』である一次転写ニップT1a、T1b、T1c、T1dが形成されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラも兼ねる二次転写対向ローラ8の矢印R8方向の回転に伴って、矢印R7方向に回転するようになっている。この中間転写ベルト7の回転速度は、上述の各感光体ドラム1の回転速度(プロセススピード)とほぼ同じに設定されている。
中間転写ベルト7表面における、二次転写対向ローラ8に対応する位置には、『二次転写手段』である二次転写ローラ9が配設されている。二次転写ローラ9は、二次転写対向ローラ8との間に中間転写ベルト7を挟持しており、二次転写ローラ9と中間転写ベルト7との間には、『二次転写部』である二次転写ニップ部T2が形成されている。また、中間転写ベルト7表面における、テンションローラ17に対応する位置には、『中間転写体クリーナ』であるベルトクリーナ11が当接されている。
画像形成に供されるシートPは、給紙カセット10に積載された状態で収納されている。このシートPは、給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラ等を有する給搬送装置(いずれも不図示)によって、上述の二次転写ニップ部T2に供給されるようになっている。
シートPの搬送方向に沿っての二次転写ニップ部T2の下流側には、定着ローラ14とこれに加圧された加圧ローラ15とを有する定着装置13が配設されており、さらに定着装置13の下流側には、排紙トレイ(不図示)が配設されている。
上述構成の画像形成装置200においては、以下のようにして、シートP上にフルカラーのトナー像が形成される。まず、原稿を読み取るとマゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの成分による画像信号が決定される。続いて、感光体ドラム1は、感光体ドラム駆動モータ(不図示)によって矢印方向に所定のプロセススピードで回転駆動され、一次帯電器2a、2b、2c、2dによって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光体ドラム1は、露光装置3a、3b、3c、3dによって画像情報に基づく露光が行われ、露光部分の電荷が除去されて各色毎の静電潜像が形成される。
これら感光体ドラム1上の静電潜像は、現像装置100の現像スリーブ102を介してイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像として現像される。これら4色のトナー像は、一次転写ニップT1a、T1b、T1c、T1dにおいて、一次転写ローラ5a、5b、5c、5dにより、中間転写ベルト7上に順次に一次転写される。こうして、4色のトナー像が中間転写ベルト7上で重ね合わされる。感光体ドラム1上に残ったトナーは現像容器101の各々に回収される。
上述のようにして中間転写ベルト7上で重ね合わされた4色のトナー像は、シートPに二次転写される。給紙カセット10から給搬送装置によって搬送されたシートPは、レジストローラによって中間転写ベルト7上のトナー像にタイミングを合わせるようにして二次転写ニップ部T2に供給される。供給されたシートPには、二次転写ニップ部T2において、二次転写ローラ9により、中間転写ベルト7上の4色のトナー像が一括で二次転写される。
一方、4色のトナー像が二次転写されたシートPは、定着装置13に搬送され、ここで加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。トナー像定着後のシートPは、排出シートトレイ(不図示)上に排出される。以上で、1枚のシートPの片面(表面)に対するフルカラーの画像形成が終了する。
図2は、現像装置100の構成を上方から見た断面図である。図2に示すように、現像装置100は現像容器101を備える。現像装置100は、画像形成装置本体に対して着脱可能となっており、ユーザ交換もしくはサービスマン交換にて交換可能となっている。現像容器101の、『潜像担持体』である感光体ドラム1に近接対向する位置の開口部に非磁性の『現像剤担持体』である現像スリーブ102が設けられる。現像容器101の内部には、『第二室』である現像室101a及び『第一室』である撹拌室101bが互いに平行になるように区画される。現像室101a及び撹拌室101bの間は仕切り壁103で仕切られる。現像室101aの内部には、『第二搬送部材』である第2撹拌スクリュー104aが回転自在に取り付けられる。撹拌室101bの内部には、『第一搬送部材』である第1撹拌スクリュー104bが回転自在に取り付けられる。撹拌室101b及び現像室101aは二成分現像剤を収容可能に構成される。撹拌室101b及び現像室101aが連結されており、『循環経路』が形成される。
撹拌室101bから現像室101aへの現像剤の受け渡しは、連通部107b−aを介して、現像室101aから撹拌室101bへの現像剤の受け渡しは、連通部107a−bを介して、それぞれ行われる。現像室101a及び撹拌室101b内にはトナーと磁性キャリアが混合された二成分現像剤が収容される。撹拌室101b上流側上方には、トナー補給機構105(図15参照)が形成されている。不図示のトナーボトルに収容されたトナーは、不図示のトナー搬送経路を通じてトナー補給機構105まで搬送され、トナー補給口106を通過して撹拌室101b内に落下補給される。前述の第1撹拌スクリュー104bが回転すると、二成分現像剤は、矢印Aに示すように撹拌室101bの上流側から下流側に向かって搬送される。前述の第2撹拌スクリュー104aが回転すると、二成分現像剤は、矢印Bに示すように現像室101aの上流側から下流側に向かって搬送される。
現像装置100では、同一種のトナーおよび同一種のキャリアを用いた。ここで、トナー及びキャリアを用いた二成分現像剤においては、トナーの帯電量、及び、二成分現像剤中に含まれるトナーの割合(以下、『T/D』という。)には相関関係がある。トナーはキャリアとの接触摩擦により帯電することから、トナーはキャリアとの接触機会が多くなるほどに帯電量は大きくなる。T/Dが小さいほど、トナーの帯電量は大きくなる。このT/Dが異なる2通りの二成分現像剤を使用し、T/Dの最も低い二成分現像剤を現像室101aに封入し、それよりT/Dの高い二成分現像剤を撹拌室101bに封入する。
図3は、現像装置100の構成を上方から見た平面図である。図4は、図3のA−A線に沿う断面図である。図3に示されるように、各連通部107b−a、107a−bには『封止部材』である連通部シール部材51a、51bが貼付されている。こうした構成により、現像室101a及び撹拌室101bのそれぞれに充填されたT/Dの異なる二成分現像剤が装置立上げ以前に連通部107b−aあるいは連通部107a−bを介して混入することは防止される。そして、T/Dの異なる二成分現像剤同士は隔離された状態で現像容器101内に封入された状態を維持する。このように『封止部材』である連通部シール部材51a、51bによって、現像剤単位重量あたりのトナー比率が異なる現像剤が封止されることとなる。ここで、装置立上げとは以下のことをさす。即ち、新品の現像装置を画像形成装置本体に装着してから、画像形成装置が画像形成可能なスタンバイ状態になるまでの時間で、画像形成準備のために現像装置のスクリュー回転動作を行なう期間のことをいう。
また、図3に示されるように、トナー補給口106から、撹拌室101bに充填された二成分現像剤がトナー補給機構105に入ることを防止するために、撹拌室101bには、トナー補給機構105の下流近傍にトナー補給機構シール部材53を設ける。
図4に示されるように、現像スリーブ102及び第2撹拌スクリュー104aとの間には、『シール部材』である現像スリーブシール部材52が設けられる。こうした構成によれば、現像室101aに充填された二成分現像剤が、現像装置100の使用前に現像スリーブ102上に担持されたり、あるいは、現像容器101と現像スリーブ102との隙間から現像容器101の外部へと流出したりすることは防止される。現像スリーブ102及び第2撹拌スクリュー104aの間に現像スリーブシール部材52を設けることにより、出荷及び輸送時に現像剤Tが現像容器101の外へと漏出することは防止される。現像スリーブ102は、現像室101aの開口部101cに設けられることになる。
連通部シール部材51a、51bの開封直後の現像装置100の初期の立ち上げ動作開始時において、撹拌室101bに占められる現像剤よりも、現像室101aに占められる現像剤の方が『平均トナー比率』が低くなるように現像剤が封入されている。この場合に、二成分現像剤に対する平均トナー比率が最も低い二成分現像剤は、現像室101aに収容されることとなる。
『平均トナー比率』とは、『封止部材』が開封された場合に、『第一室』や『第二室』の各々の内部において、トナー及びキャリアが『第一搬送部材』や『第二搬送部材』で混ぜられた後に定まる現像剤単位重量当たりのトナーの比率の平均をいう。本発明では、『平均トナー比率』とは、現像装置の初期立ち上げ動作の終了時における現像剤単位重量当たりのトナーの比率の平均とする。したがって、連通部シール部材51a、51bが開封された場合に、撹拌室101bの内部でトナー及びキャリアが第1撹拌スクリュー104bで混ぜられたときに、撹拌室101bの内部で定まる二成分現像剤単位重量当たりのトナーの比率が該当する。また、連通部シール部材51a、51bが開封された場合に、現像室101aの内部でトナー及びキャリアが第2撹拌スクリュー104aで混ぜられたとき、現像室101aの内部で定まる二成分現像剤単位重量当たりのトナーの比率が該当する。
図5は、現像装置の初期の立ち上げ工程を示すフローチャートである。図5に示されるように、まず連通部シール部材51a、51b、現像スリーブシール部材52、トナー補給機構シール部材53が現像装置100から取り除かれる(ステップ101、『S101』、以下『ステップ』を単に『S』と表す。)。
次に、各シール部材51〜53が取り外された現像装置100を、画像形成装置本体に装着する(S102)。なお、現像装置100の装着と同時に、現像容器101の端部の現像剤補給口挿入部109に取り付けられた補給シャッター110が開く(図3参照)(S102)。
各色の現像装置100すべてを画像形成装置本体に装着した後、現像スリーブ102、第2撹拌スクリュー104a及び第1撹拌スクリュー104bの回転を同時に開始する(S103)。例えば、現像スリーブ102の回転数は250rpm、第2撹拌スクリュー104aの回転数は300rpm、第1撹拌スクリュー104bの回転数は400rpmに設定される。このように第1撹拌スクリュー104bの撹拌力は、第2撹拌スクリュー104aの撹拌力に比べて大きく設定される。
この条件で、現像スリーブ102、第2撹拌スクリュー104a及び第1撹拌スクリュー104bを120秒間回転させることにより、現像容器101に充填された二成分現像剤を十分撹拌混合し、現像装置100の初期立上げは終了となる(S104)。
各シール部材51〜53には、厚さ1mm程度のポリエステル樹脂の薄板を用いる。なお、各シール部材51〜53に用いられる材料および形状に関しては、本実施形態で述べるものに限らない。
ここで、本実施形態において使用した、トナーとキャリアによる二成分現像剤を説明する。本実施形態で使用した二成分現像剤のうち、キャリアはサブミクロンオーダーの磁性体微粒子を樹脂材料で結着させたもので、粒径が体積平均で35μmである。また、トナーは、スチレン−アクリルのような樹脂の母体に顔料を混合して着色し、粉砕および分級により粒度をそろえたものであり、粒径が体積平均で5.5μmである。
本実施形態で用いた現像装置100では、現像容器101に収容する初期二成分現像剤の容量は計240gであり、全体の二成分現像剤が均一に混合された後のT/Dが10%になることが望ましい。本実施形態においては、現像室101aにはT/Dが5.0重量パーセント(以下wt%)の現像剤を120g、撹拌室101bにはT/Dが15wt%の現像剤を120g充填した。
この場合には、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤として、T/Dが5.0wt%で重量が120gの二成分現像剤が当てはまる。この5.0(wt%)の二成分現像剤のトナーの重量は6gとなる。
一方で、15wt%で重量が120gの二成分現像剤では、トナーの重量は18gとなる。したがって、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤中のトナーの重量は、24gとなる。
前述のように、現像装置100の初期の立ち上げ動作にあたって、現像容器101の内部には、トナー及びキャリアの混合比が異なる複数の二成分現像剤が収容される。このうち、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤の重量は120gである。また、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤の重量は240gである。二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤の重量は、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤の重量の50%に当たる。なお、『二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤の重量』は、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤の重量の20%以上かつ50%以下に設定されれば良い。
前述のように、現像装置100の初期の立ち上げ動作にあたって、現像容器101の内部には、トナー及びキャリアの混合比が異なる複数の二成分現像剤が収容される。このうち、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤中のトナーの重量パーセント濃度は5.0wt%である。また、全ての二成分現像剤中のトナーの重量が24g、全ての二成分現像剤の重量が240gであることから、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤の重量パーセント濃度は、10wt%である。二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤中のトナーの重量パーセント濃度は、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤の重量パーセント濃度の50%に当たる。なお、『二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤中のトナーの重量パーセント濃度』は、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤の重量パーセント濃度の20%以上かつ50%以下に設定されれば良い。
本実施形態による現像装置100を、上述の方法により立上げ動作を行った。その際に、第2撹拌スクリュー104a、第1撹拌スクリュー104bによりT/Dの異なる二成分現像剤のT/Dが均一になり、かつ現像剤に含まれるトナーの帯電量(以下Q/M、単位:μC/g)が所望値(−30μC/g)になるかどうかの確認を行った。また比較のために、同一種のトナーとキャリアでT/Dが10wt%の二成分現像剤を240g作製し、現像室101aと撹拌室101bにそれぞれ120gずつ充填して、本実施形態における場合と同様の撹拌混合を行ない、トナー帯電量の変化を調べた。
図6は、撹拌混合時間に対する二成分現像剤のT/Dの変化を示すグラフである。装置立上げ開始時間を0(秒)とする二成分現像剤の混合時間を横軸に取り、第1撹拌スクリュー104b及び第2撹拌スクリュー104aの撹拌による現像スリーブ102に担持された二成分現像剤のT/Dの値を縦軸に取っている。なお、測定にあたって、現像スリーブ102の長手方向の中央部に担持されている二成分現像剤を用いた。
図6に示されるように、第1撹拌スクリュー104b及び第2撹拌スクリュー104aによって二成分現像剤が120秒間混合されると、現像スリーブ102上に担持される二成分現像剤のT/Dが所望の値である10wt%に収束した。
図7は、装置立上げ開始時点を0(秒)とする二成分現像剤の混合時間を横軸に取り、現像スリーブ102に担持された二成分現像剤中に含まれるトナーのQ/Mの値を縦軸に取り、混合時間に対するトナーのQ/Mの変化を表したグラフである。なお、測定にあたって、現像スリーブ102の長手方向の中央部に担持されている二成分現像剤を用いた。
またQ/Mの測定には、E−SPART Analyzer(ホソカワミクロン社製)を使用した。
図7に示されるように、トナーは負帯電性のため、Q/Mの値はマイナスであるが、以下、Q/Mは絶対値を用いて表記する。また、図7から、第1撹拌スクリュー104b及び第2撹拌スクリュー104aによって二成分現像剤が120秒間混合されると、現像スリーブ102上に担持される二成分現像剤のQ/Mが所望値である30μC/gに収束した。同時に、撹拌開始後からQ/Mの最低値は20μC/g以上であり、特に従来の方法では初期飛散の著しい装置立上げ直後の20秒前後の間において、初期現像剤のT/Dが均一な場合に比べて著しくQ/Mの値を引き上げることができていることが分かる。
本発明を実施することによって上述した効果が得られ、そのことにより画像形成装置本体内の初期トナー飛散が抑制されていることを確認した。表1は、上述の確認検討の際に、画像形成装置本体内における現像装置100周辺のトナー飛散の度合いを示す。表1から、本発明の方法が、装置立上げ直後のトナー飛散抑制に効果を発揮することが確認できる。
次に、現像装置100の内部の他の構成を含めて説明する。図15は、現像剤封入容器20を内包する現像装置100の概略を示す断面図である。図15に示されるように、現像装置100は、現像容器101の開口部101cに感光体ドラム1と対向して配置された現像スリーブ102を備える。現像スリーブ102の内部にはマグネットローラ21が固定される。現像装置100は、現像スリーブ102の上に担持される現像剤Tの層厚を規制する規制ブレード22、現像容器101の内部で現像剤Tを撹拌する第2撹拌スクリュー104a及び第1撹拌スクリュー104bを備える。また、現像装置100は、現像容器101の内部にトナー補給口106を通じてトナーを補給するトナー補給口106、トナー濃度センサ23、及び、現像剤封入容器20を備える。
現像剤封入容器20の底部には開口部20aが形成される。現像装置100の初期状態では、開口部20aは現像剤シール部材24で塞がれる。ユーザが現像剤シール部材24を引き抜くと、現像剤Tは現像容器101の撹拌室101bの内部に落下する。なお、図15は、現像剤シール部材24を引き抜いて、撹拌室101bの内部に現像剤Tを落下させた後の状態を示す。
現像容器101の内部の現像剤Tは、現像スリーブ102が回転するに伴って、第2撹拌スクリュー104a及び第1撹拌スクリュー104bによる撹拌及び搬送によって、マグネットローラ21のN2極で汲み上げられてS1極へと搬送される。その過程では、現像剤Tが規制ブレード22によって規制され、現像スリーブ102の上に薄層が形成される。このような薄層形成された現像剤Tがマグネットローラ21のN1極に搬送されると、磁気力によって穂立ち(磁気ブラシ)が形成される。この穂状に形成された現像剤Tによって感光体ドラム1上の静電潜像を現像して顕像化する。
その後、現像スリーブ102の上の現像剤Tは、現像スリーブ102の回転に伴って現像容器101の内部に戻される。現像剤Tは、第2撹拌スクリュー104a及び第1撹拌スクリュー104bによって撹拌及び搬送される。第2撹拌スクリュー104a及び第1撹拌スクリュー104bは、現像スリーブ102の長手方向に沿って形成される仕切り壁103によって仕切られる。仕切り壁103の長手方向の両端部及び現像容器101の間には通路(不図示)が形成されている。この通路を通して現像剤Tは第2撹拌スクリュー104a及び第1撹拌スクリュー104bの間で循環される。
そして、第2撹拌スクリュー104aの側に存在して画像形成に用いられた現像剤Tが第1撹拌スクリュー104bの側に送られ、第1撹拌スクリュー104bの現像剤搬送方向の上流側に設けられているトナー濃度センサ23によりトナー濃度が検出される。その検出結果に基づいて、トナー補給機構105からトナー補給口106を通して適正量のトナーが現像容器101内に補給される。これによって、現像剤Tのトナー濃度は常に一定に保たれる。
このような構成をとることで、ユーザー自身が上記の現像剤シール部材24を引き抜くことによって、現像剤Tを現像剤封入容器20から撹拌室101b内へ落下させて現像剤補給作業を行うことができる。そのために、ユーザー自身で現像装置100を含むプロセスカートリッジ(不図示)を容易に交換することができる。
さらに最近では、更なるユーザビリティの向上のために、初期二成分現像剤を、現像剤封入容器20を介さずに直接現像容器内に充填する方法もある。
(第1実施形態)
図8は本発明の第1実施形態に係る現像装置300の構成を示す平面図である。現像装置300が現像装置100と異なる点は、T/Dが異なる2通りの二成分現像剤が、すべて撹拌室101bに封入され、連通部107b−aを介して二成分現像剤が現像室101aへと送られ、現像スリーブ102上に担持させるという点である。2通りの二成分現像剤には、同一種のトナー及び同一種のキャリアが用いられた。その他、現像装置300の符号のうち、現像装置100と同一符号のものは現像装置100と同一に構成されることから、説明を適宜省略する。なお、図15を参照して前述した現像剤封入容器20、現像剤シール部材24、開口部20a、マグネットローラ21、規制ブレード22、トナー濃度センサ23、トナー補給口106等の構成は、現像装置300や後述する現像装置400にも適用される。ただし、その説明は前述したものを援用する。
図8に示されるように、現像装置300では、現像室101a及び撹拌室101bの間に、連通部107b−a及び連通部107a−bが形成される。連通部107b−a及び連通部107a−bは、現像容器101の内壁及び仕切り壁103の端部の間で形成される。連通部107b−aには連通部シール部材51aが貼付される。連通部107a−bには連通部シール部材51bが貼付される。T/Dの異なる2種類の二成分現像剤は、ともに撹拌室101bにのみ充填されている。このとき現像室101aの内部には、現像剤はキャリア、トナーともに存在しない。
比較例の現像装置100と同様に、撹拌室101bに充填された二成分現像剤がトナー補給口106からトナー補給機構105に入るのを防止するために、撹拌室101bには、トナー補給機構105の下流近傍にトナー補給機構シール部材53が設けられる。
また、撹拌室101bの下流端部と、トナー補給機構シール部材53との間には、T/Dの異なる2種類の二成分現像剤を仕切るための、『シール部材』である現像剤仕切り部材54が設けられる。例えば、現像剤仕切り部材54は、撹拌室101bの下流端部、及び、トナー補給機構シール部材53の中央位置に設けられる。このようにして撹拌室101bは、二成分現像剤の搬送方向の下流側に下流側撹拌室111aが区画され、二成分現像剤の搬送方向の上流側に上流側撹拌室111bが区画される。
現像剤仕切り部材54によって区切られた二成分現像剤を充填するための二つの空間のうち、下流側の空間(現像剤仕切り部材54及び撹拌室101b下流端部の間の空間)にはT/Dが5wt%の二成分現像剤が120g充填される。また、上流側の空間(トナー補給機構シール部材53及び現像剤仕切り部材54の間の空間)にはT/Dが15%の二成分現像剤が120g充填される。このように現像装置300の初期の立上げ動作開始前に、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤は、撹拌室101bに収容される。そして、現像装置300の初期の立上げ動作開始時に、現像剤シール部材54の除去により、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤が現像室101aに流入するようになっている。
図9は、現像装置300の初期の立上げ工程を示すフローチャートである。図9に示されるように、まず、現像剤仕切り部材54が現像装置300から取り除かれる(S201)。それから、連通部シール部材51a、51b、及び、トナー補給機構シール部材53が現像容器101から取り除かれる(S202)。
次に、現像剤仕切り部材54及び各連通部シール部材51a、51b、53が取り外された現像装置100を、画像形成装置本体に装着する(S203)。なお、現像装置100の装着と同時に、現像容器101の端部の現像剤補給口挿入部109に取り付けられた補給シャッター110が開く(S203)。
各色の現像装置100すべてを画像形成装置本体に装着した後、現像スリーブ102、第1撹拌スクリュー104b及び第2撹拌スクリュー104aの回転を同時に開始する(S204)。例えば、現像スリーブ102の回転数は250rpm、第1撹拌スクリュー104bの回転数は400rpm、第2撹拌スクリュー104aの回転数は300rpmに設定される。
この条件で、現像スリーブ102、第1撹拌スクリュー104b、第2撹拌スクリュー104aを120秒間回転させることにより、現像容器101に充填された現像剤を十分撹拌混合し、現像装置100の初期立上げは終了となる(S205)。
図10は、第1実施形態の現像装置300の変形例としての現像装置400の構成を示す断面図である。現像装置400では、現像室101aと撹拌室101bとの連通部107b−a、107a−bには、連通部シール部材51a、51bが貼付されており、T/Dの異なる2種類の二成分現像剤は、ともに撹拌室101bにのみ充填されている。このとき現像室101aの内部には、現像剤はキャリア、トナーともに存在しない。
比較例の場合と同様、撹拌室101bに充填された二成分現像剤がトナー補給口106からトナー補給機構105に入ることを防止するために、撹拌室101bには、トナー補給機構105の下流近傍にトナー補給機構シール部材53が設けられる(不図示)。
この第1実施形態の変形例としての現像装置400で特徴的なのは、撹拌室101bの下流端部とトナー補給機構シール部材53とに挟まれた空間には、第1撹拌スクリュー104bの直上に現像剤仕切り部材55が設けられる点である。こうした現像剤仕切り部材55により、上下でT/Dの異なる2種類の二成分現像剤が仕切られる。このようにして撹拌室101bは、室内の下側に下側撹拌室112aが区画され、室内の上側に上側撹拌室112bが区画される。そして、現像剤仕切り部材55によって区切られた二成分現像剤を充填するための二つの空間のうち、下側の下側撹拌室112aにはT/Dが5wt%の二成分現像剤が120g、上側の上側撹拌室112bにはT/Dが15%の二成分現像剤が120g充填される。
図11は、この第1実施形態の変形例としての現像装置400の初期の立上げ工程を示すフローチャートである。本実施の形態では、はじめに現像剤仕切り部材55が取り除かれる(S301)。次に連通部シール部材51a、51b、およびトナー補給機構シール部材53が現像容器101から取り除かれる(S302)。そして、現像剤仕切り部材55および各連通部シール部材51a、51b、53が取り外された現像装置400を、画像形成装置本体に装着する(S303)。なお、現像装置400装着と同時に、現像容器101端部の現像剤補給口挿入部109に取り付けられた補給シャッター110が開く(S303)。各色の現像装置100すべてを画像形成装置本体に装着した後、現像スリーブ102、第2撹拌スクリュー104a、第1撹拌スクリュー104bの回転を同時に開始する(S304)。本実施の形態においては、現像スリーブ102の回転数は250rpm、第2撹拌スクリュー104aの回転数は300rpm、第1撹拌スクリュー104bの回転数はそれぞれ400rpmに設定される。この条件で、現像スリーブ102、第2撹拌スクリュー104a、及び、第1撹拌スクリュー104bを120秒間回転させることにより、現像容器101に充填された二成分現像剤を十分撹拌混合し、現像装置400の初期立上げは終了となる。
第1実施形態で示した上記の2つの実施例においては、各連通部シール部材51、トナー補給機構シール部材53、および、現像剤仕切り部材54、55には、厚さ1mm程度のポリエステル樹脂の薄板を用いる。なお、それぞれに用いられる材料および形状に関しては、本実施形態で述べるものに限らない。なお、本実施形態において使用した二成分現像剤(トナー、キャリア)は、比較例で使用したものと同一種のものである。
本第1実施形態での2つの実施例の構成をとる現像装置を用いて、上述した装置立上げフローに基づいて比較例と同様の効果確認実験を行ったところ、それぞれの実施例において同様の結果が得られた。そのため、第1実施形態の方法でも、初期トナー飛散防止に効果を発揮することが明らかとなった。
(第2実施形態)
図12は本発明の第2実施形態に係る現像装置500の構成を示す平面図である。現像装置500が現像装置100、300、400と異なる点は、現像室101aと撹拌室101bとの仕切り壁103の上方に連通部108が設けられている点である。現像装置500では、同一種のトナーおよび同一種のキャリアを用いたT/Dが異なる2通りの二成分現像剤を、連通部108を介してT/Dの低い二成分現像剤を現像室101aへと送り、現像スリーブ102上に担持させる方式により、本発明の方法を具現化する。その他、現像装置500の符号のうち、現像装置100、300、400等と同一符号のものは現像装置100、300、400と同一に構成されることから、説明を適宜省略する。なお、図15を参照して前述した現像剤封入容器20、現像剤シール部材24、開口部20a、マグネットローラ21、規制ブレード22、トナー濃度センサ23、トナー補給口106等の構成は、現像装置500にも適用される。ただし、その説明は前述したものを援用する。
図13は、図12のC−C線に沿う断面図である。現像室101a及び撹拌室101bは連通部107b−a及び連通部107a−bで連通される。ただし、連通部107b−aには連通部シール部材51aが貼付される。また、連通部107a−bには連通部シール部材51bが貼付される。現像室101a及び撹拌室101bは連通部シール部材51a及び連通部シール部材51bで遮断される。T/Dの異なる2種類の二成分現像剤は、ともに撹拌室101bにのみ充填されている。このとき現像室101aの内部には、二成分現像剤はキャリア、トナーともに存在しない。
比較例と同様に、トナー補給口106から、撹拌室101bに充填された二成分現像剤がトナー補給機構105に入ることを防止するために、撹拌室101bには、トナー補給機構105の下流近傍にトナー補給機構シール部材53を設ける(不図示)。
撹拌室101bの下流端部とトナー補給機構シール部材53とに挟まれた空間には、上下でT/Dの異なる2種類の二成分現像剤を仕切るために、第1撹拌スクリュー104bの直上に現像剤仕切り部材55を設ける。このようにして撹拌室101bは、室内の上側に上側撹拌室113aが区画され、室内の下側に下側撹拌室113bが区画される。
また、仕切り壁103の上方には、現像室101a及び撹拌室01bを空間的に連通させる連通部108が確保される。この連通部108には『封止部材』である連通防止部材56が貼付される。
本実施例においては、現像剤仕切り部材55によって区切られた二成分現像剤を充填するための二つの空間のうち、下側にはT/Dが15wt%の二成分現像剤を120g、上側にはT/Dが5%の現像剤を120g充填する。このように現像装置500の初期の立上げ動作開始前に、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤は、撹拌室101bに収容される。そして、現像装置500の初期の立上げ動作開始時に、連通防止部材56の除去により、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤が現像室101aに流入するようになっている。
図14は、現像装置500の初期の立上げ工程を示すフローチャートである。図14に示されるように、まず、連通防止部材56が現像装置500から取り除かれる(S401)。そうすると、撹拌室101bの上側に充填されたT/Dの低い現像剤は、連通部108から現像室101a側へと流れ込む。
次に、現像剤仕切り部材55を現像容器101から取り除く(S402)。そして連通部シール部材51a、51b、およびトナー補給機構シール部材53を現像容器101から取り除く(S403)。このような手順を経ることにより、比較例とほぼ同様の初期状態を得ることができる。その後、まず連通防止部材56、現像剤仕切り部材55および各連通部シール部材51a、51b、トナー補給機構シール部材53が取り外された現像装置100を、画像形成装置本体に装着する(S404)。なお、現像装置500の装着と同時に、現像容器101端部の現像剤補給口挿入部109に取り付けられた補給シャッター110が開く(S404)。各色の現像装置500すべてを画像形成装置本体に装着した後、現像スリーブ102、第2撹拌スクリュー104a及び第1撹拌スクリュー104bの回転を同時に開始する(S405)。例えば、現像スリーブ102の回転数は250rpm、第2撹拌スクリュー104aの回転数は300rpm、第1撹拌スクリュー104bの回転数は400rpmに設定される。この条件で、現像スリーブ102および第2撹拌スクリュー104a、第1撹拌スクリュー104bを120秒間回転させることにより、現像容器101に充填された二成分現像剤を十分撹拌混合し、現像装置500の初期立上げは終了となる(S406)。
第2実施形態で示した実施例においては、各連通部シール部材51、トナー補給機構シール部材53および、現像剤仕切り部材54、および、連通防止部材56には、厚さ1mm程度のポリエステル樹脂の薄板を用いる。なお、それぞれに用いられる材料および形状に関しては、本実施形態で述べるものに限らない。なお、第2実施形態において使用した二成分現像剤(トナー、キャリア)は、比較例および第1実施形態で使用したものと同一種のものである。
第2実施形態での構成をとる現像装置500を用いて、比較例と同様の効果確認実験を行ったところ、同様の結果が得られた。そのため、第2実施形態の方法でも、初期トナー飛散防止に効果を発揮することが明らかとなった。
第1〜第2実施形態の発明によれば、現像装置100、300、400、500の初期の立上げ動作開始時において、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤に対する平均トナー比率が低い二成分現像剤が最初に現像スリーブ102上に担持される。平均トナー比率が低いと二成分現像剤の帯電量は高く設定される。その結果、現像装置100、300、400、500の初期の立ち上げ動作にあたって、トナーの飛散は抑制される。また、汚れや混色等の不具合が生じないで、品質の高い画像形成が実現される。
すなわち、トナーとキャリアを用いた二成分現像剤においては、トナーの帯電量と、二成分現像剤中に含まれるトナーの割合(T/D)には相関がある。トナーはキャリアとの接触摩擦により帯電する。そのため、トナーはキャリアとの接触機会が多くなるほど、帯電量が大きくなる。ゆえに、T/Dが小さいほど、トナー帯電量は大きくなる。
本発明は、上記の原理を利用したものである。装置立上げ時には、T/Dの低い二成分現像剤が優先的に現像スリーブに担持されるようにする。このとき、T/Dが低い二成分現像剤におけるT/Dを、トナーが飛散しない程度の平均帯電量となるように設定しておく。そうすることにより、立上げ直後に現像容器101外にさらされるトナーは平均帯電量が十分高く、ゆえにキャリアとの静電的付着力が強いため飛散を生じにくい。
現像装置300、400又は現像装置500によれば、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤が撹拌室101bに収容されるので、トナーが撹拌室101bで撹拌されて帯電量が大きくなってからトナーは現像室101aで撹拌される。
現像装置100によれば、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤が現像室101aに収容されることから、撹拌室101bから現像室101aへの二成分現像剤の移動の手間が省略できる。
『第一搬送部材』である第1撹拌スクリュー104bの撹拌力が『第二搬送部材』である第2撹拌スクリュー104aの撹拌力に比べて大きく設定される。そのために、現像室101aの内部よりも撹拌室101bの内部で二成分現像剤は強く撹拌される。トナーが現像室101aで撹拌される場合に比べて、トナーが撹拌室101bで撹拌される場合の方が、トナーは拡散し難い。
二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤中のトナーの重量が、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤の重量に対して20%以上かつ50%以下の割合に設定される。または、二成分現像剤に対するトナーの比率が最も低い二成分現像剤中のトナーの重量パーセント濃度は、現像容器101に収容される全ての二成分現像剤の重量パーセント濃度の20%以上かつ50%以下に設定される。また、その結果、トナーは従来よりも早く高い帯電量に調節される。
(第3の実施形態)
実施形態1〜2まではT/Dの異なる初期の現像剤をセットした形態を説明した。本実施系の更なる形態として、現像装置に格納されている初期の現像剤のT/Dは均一でありながら飛散を防止する別の形態について説明する。
先ず、図16は現像器700を上からみた平面図である。また、図16は現像装置と駆動手段、高圧印加手段や制御ユニットCPUとの関係がわかるブロック図とした。図17は図16のD−D方向からみた断面図である。初期現像剤のT/Dが均一である以外は、現像装置の部品構成は現像装置400とほぼ同じであるため、説明は省く。また、前記の形態と異なる箇所は、この後に現像装置の初期立上げ工程の説明と共に順を追って説明していく。
図18は現像装置700の初期立上げ工程のフローチャートである。図18に示されるように、まず本体に装着する(S501)。本体に装着され、初期立上げ信号がCPUに入力される。図16、17に示すように、現像装置は駆動手段であるモーターM1、M2、M3と接続され駆動できる。その駆動はCPUにより制御される。
次に連通部シール部材51a、51bはそれぞれ独立のモーターが用意されており、51a用のモーターM1と51b用のモーターM2により開封動作が行われる(S502)。当然ながら開封動作もCPUにより制御される。このように、シール部材が開封されることで現像スリーブに現像剤が供給可能な構成となっている。シール部材が取り除かれた後に、現像スリーブ102と第1搬送部材104bと第2搬送部材104aの回転を開始する(S503)。現像スリーブと第1、第2攪拌部材は駆動系列が連結されており、駆動手段モータM3により駆動する。CPUにより回転動作を120秒行い、現像装置の初期立ち上げ動作は終了となる。
初期の現像剤は、T/Dは一律10wt%の均一な状態なものを240g格納してある。また、現像スリーブ102の回転数は250rpm、第2撹拌スクリュー104aの回転数は300rpm、第1撹拌スクリュー104bの回転数は400rpmに設定制御されている。
ここで、(S503)から現像剤は攪拌部材により攪拌、搬送される。その際、現像室101aに搬送された現像剤はすぐに現像スリーブ102に担持されるわけではない。現像室101aの現像剤の量がある程度の高さになるまでは、第1と第2の攪拌スクリューにより搬送され現像室101aと攪拌室101bを循環する。循環する過程において、現像剤の摩擦帯電が行われる。よって、現像室101aの現像剤の量が十分となり現像スリーブに担持される時には、適切な帯電量となっている。そのため、飛散しない十分な帯電量であるので、装置立上げ直後のトナー飛散を抑制する事ができる。
次に第4の実施形態の変形例を述べる。図19に変形例における初期立上げ工程のフローチャートを示す。変形例はCPUによる制御を変更したものであり、現像装置の構成は前述の現像装置700のままでよい。
まず本体に装着する(S601)。本体では、図16、図17のように現像装置はモーターM1、M2、M3と接続され駆動される。シール部材の開封動作はCPUにより制御される。シール部材の開封動作は、モーターM1によりシール部材51aを半分取り除き(半開き状態)とし、モーターM2によりシール部材51bは全て取り除かれ、全開状態とする(S602)。
次にモーターM3により現像スリーブ、第1と第2の攪拌スクリューの駆動を開始する(S603)。シール部材51aが半開きであるため、現像室101aに搬送される現像剤の量は少なくなる。その分、攪拌室101bの中で攪拌される。攪拌室中の攪拌により帯電されるため、現像室に到達した現像剤の帯電量はより適切になっており、装置立上げ直後のトナー飛散を抑制する事ができる。
60秒後にモーターM1によりシール部材51aの残り半分取り除き全開状態とする(S604)。そして、モーターM3により現像スリーブ、第1と第2の攪拌スクリューを引き続き駆動を行い90秒後に停止する(S605)。上述のように、シール部材の開封動作を制御する事により、更にトナー飛散を防止することができる。即ち、シール部材51aは、開封動作の途中で開封動作を停止させ、その状態で、第1と第2の攪拌スクリューの駆動を開始する。そして、第1と第2の攪拌スクリューの駆動を開始させた後に、シール部材51aの残りの開封動作を完了させる。
尚、第1攪拌スクリューにより搬送されてきた現像剤が封止シート51aを押圧していく。そのため、封止シートを除去する力が大きくなる。最悪、封止シートを除去するための負荷が大きくなりすぎ、封止シート除去手段のギアやモーターの破損にもつながる。そのため、変形例では半開き状態に制御し、駆動系の破損を防止している。開封順番や開封度合いを制御する事によって、駆動系の破損防止と飛散防止との両立を図っている。また駆動手段のモータトルクをみながら封止部材の開封度合いを制御してもよい。
封止シール部材51a、51bの開封は、各々の駆動手段を設け、半開き状態などの制御を行ったが、単一の駆動手段からクラッチ等を用いて、封止シール部材の開封動作の制御を行ってもよい。また封止シールだけでなく、現像スリーブと攪拌スクリューの駆動手段M3も連結し、クラッチなどで駆動のOFF/ONを制御できれば、単一の駆動手段Mにて制御する事もできる。
尚、封止シート51a、51bは従来の現像器のように長手全域ではなく、図16のように長手の一部である。そのため、封止シートを除去する力も少なくて済む。また、封止シートの面積も小さいので、確実に現像剤を封止できることは言うまでもない。
変形例を含めた第3実施形態の構成をとる現像装置を用いて、上述した装置立上げフローに基づいて比較例と同様の効果確認実験を行ったところ、それぞれの実施例において同様の結果が得られた。そのため、第3実施形態の方法でも、初期トナー飛散防止に効果を発揮することが明らかとなった。
また、初期に格納する現像剤が均一なT/Dであるため、T/Dの異なる間を仕切る、仕切り部材が必要なく構成の簡略化ができる。さらに、本体外でユーザーやサービスマンが封止部材を除去するのではなく、本体内の駆動を用いて自動で封止部材を除去する構成である。そのため、ユーザービリティの高い現像装置を提供する事ができる。
更に、近年の高画質化に伴い現像装置内の現像スリーブ102と第2の攪拌スクリュー104a間の距離T1をできるだけ小さくして、第2の攪拌スクリュー104aから現像スリーブ102への現像剤の供給不足が起きないように、距離を小さくする事が望ましい。
背景技術でも説明したように、現像スリーブと第2の攪拌スクリューの間に封止部材を設けてしまうと、T1を小さくするのに限界がある。また封止部材を除去する際、現像スリーブを傷つける可能性がゼロではない。
本実施例では、現像スリーブ102と第2の攪拌スクリュー104aの間に封止構成がない。そのため、本実施例のT1は2mmであり、現像スリーブと第2攪拌スクリュー間の距離T1を近づける事ができ、初期立上げ時の飛散を防止するとともに更なる高画質化が可能となった。当然、現像スリーブを傷つける事もない。
また、現像室にある現像剤は、現像スリーブ内のマグネットの磁力により現像スリーブへひきつけられる。距離T1を近づける事により、マグネットの磁力を弱める事ができる。従来は、T1が2.5mmに対して、現像室の現像剤を現像スリーブにひきつける極のマグネット磁力(=以下、ひきつけ極)が600Gであった。それに対して、本実施例では、ひきつけ極を500G以下にできる。ここで、引きつけ極とは、現像スリーブ内の磁極のうち、現像スリーブと現像室内の搬送部材とが最近接する位置と現像スリーブの回転方向下流側で最近接する磁極のことをさす。
磁力を弱めることにより現像剤に対する負荷を減少させ、現像剤の劣化を防止する事ができる。
現像剤が劣化してくると、白地部へのかぶり画像が生じる。本実施形態では、マグネットの磁力を弱め、現像剤の劣化を必要最小限にする事によって、かぶり発生を防止する。よって、トナー飛散だけでなく、かぶりも防止し、高画質画像を長期にわたって提供できる。
また、本発明のように、現像室と攪拌室とを連絡する連絡路に封止部材を設けた構成とすることで、現像装置の運搬時に装置が傾けられても未帯電の現像剤が過剰に現像スリーブにコートされることを抑制することができる。このため、封止部材の開封時における現像装置からの現像剤の漏れや、開封後の現像スリーブの駆動時におけるトナー飛散を抑制することができる。
現像装置のみでも効果があるが、上述の現像装置をプロセスカートリッジにすれば、トナー飛散のメンテナンスフリーであるユーザビリティが高い現像装置を実現できる。また、クリーニング手段119Dの代わりに補助帯電手段を有していてもよい。補助帯電手段を有するクリーナレス構成の場合、転写残トナーが補助帯電手段や帯電手段を汚染するのを防止する必要がある。転写効率を高めるには現像剤の帯電量を適切に保つ手段が有効である。よって、汚染を防止するためには、現像剤の帯電量を適切に保つ必要がある。そのため、本発明は初期設置時から現像剤の帯電量を適切に保つ事ができ、クリーナレス構成においても飛散や帯電手段等の汚染による不具合画像の発生を防止することができる。
(第4実施形態)
更なる第4実施形態を説明する。図20は現像器500を上からみた平面図である。また、図20は現像装置と駆動手段、高圧印加手段や制御ユニットCPUとの関係がわかるブロック図とした。図21は図20のE−E方向からみた断面図である。初期現像剤のT/Dが均一である以外は、現像装置の部品構成は現像装置400とほぼ同じであるため、説明は省く。また、前記の形態と異なる箇所は、この後に現像装置の初期立上げ工程の説明と共に順を追って説明していく。
特に、現像装置500の封止シートの開封方法について以下に詳細を図20、21を用いながら説明する。封止シート51aは受け渡し部(攪拌室101bの現像剤搬送方向下流側に設けられ、現像室101aと連絡する第一連絡路)を封止している。本構成によれば、現像室101aと攪拌室101bは、もともと両者を仕切る仕切り壁(隔壁)があるため、上記受渡し部のみを封止することで、現像剤を攪拌室に封止することができる。従って、簡易な構成で封止できるとともに、開封する際に必要なトルクも少なくすることが可能である。また、封止シート51aの一端は、折り返された状態で巻き取り軸(回転軸)600に取り付けられている。巻き取り軸600は、現像器の長手方向に沿って回転可能に設けられている。封止シート51bも同様に受け渡し部(攪拌室101bの現像剤搬送方向上流側に設けられ、現像室101aと連絡する第二連絡路)を封止しつつ、一端が折り返された状態で巻き取り軸600に取り付けられている。さらに封止シート51bの一端は、折り返してから巻き取り軸600に取り付けられるまでの長さが封止シート51aよりも長くなるように取り付けられている。現像スリーブ102は駆動手段M5、第1と第2攪拌搬送部材は駆動手段M6、巻き取り軸600は駆動手段M4にそれぞれ接続され、CPUコントローラの指示によりそれぞれ独立制御して回転駆動する。駆動手段M4と巻き取り軸600との接続は2つの封止シート51a、51bの内、封止シート51aに近い位置で行われている。本実施例では、駆動手段M4と巻き取り軸600が、封止シートを開封するための駆動機構である。
図22に本実施形態における初期の立上げ工程のフローチャートを示す。そして、図23に本実施形態における初期の立上げ工程のタイミングチャートを示す。まず、現像装置を本体にセットする(S801)。次に、CPUコントローラの指示により駆動手段(駆動源)M4が回転し巻き取り軸600が回転する(S802)。
巻き取り軸600の回転により封止シート51a、51bが巻き取られていく。折り返しの長さが封止シート51aの方が短くなるように取り付けられているため、封止シート51aの封止部分が先に剥がれていく事により受け渡し部107b−aが開封し始める(S803)。遅れて封止シート51bの封止部分が剥がされ、受け渡し部107a−bが開封し始める(S804)。封止シート51aの端部が剥がれて巻き取り軸600に巻き取り終わると受け渡し部107b−aが完全に開封された状態になる(S806)。遅れて封止シート51bが巻き取り軸600に巻き取り終わると受け渡し部107a−bが完全に開封された状態になる(S807)。ここで、開封動作が完了した状態とは、封止シートが巻き取り軸に巻き取られて容器から完全に剥がされた状態のことをいう。尚、封止シートを容器から完全に剥がさないような場合は、画像形成を行う際の封止シート位置までに封止シートが剥がされた状態のことをいう。CPUコントローラの指示により駆動手段M4を停止させることで封止シートの巻き取りが完了する。巻き取るために、封止シート51a、51bは、厚さ0.1mm程度のポリエステルを含む薄板シート状の樹脂を用いた。なお、それぞれに用いられる材料および形状、タイミングに関しては、本実施形態で述べるものに限らない。
封止シートが開封され始めたら、CPUコントローラの指示により駆動手段M6により攪拌搬送部材が回転駆動される(S805)。攪拌搬送部材により現像剤が攪拌室101bから現像室101aへと循環搬送される。攪拌搬送部材を駆動する事により現像剤が十分に摩擦帯電する。その後、CPUコントローラの指示にて、駆動手段M5により現像スリーブ102が回転することで現像剤が現像スリーブにコートされて作像が可能な状態となる(S808)。現像スリーブの回転を30秒間行い、現像装置の立上げ工程は終了となる(S809)。
以上のように、封止シートの開封途中の時点で攪拌スクリューの駆動をはじめる。そのため、封止シートを完全に巻き取ってから攪拌スクリューを駆動させる場合に比べ、現像装置の立上げ時間を短縮する事ができる。
封止シートを剥がす際にかかる負荷は剥がし始めと剥がし終わりに高くなる傾向がある。そのため封止シートを複数同時に剥がす場合には剥がし始めと終わりのタイミングが異なるようにすることが望ましい。本実施例において封止シート51bを折り返してから巻き取り軸600に取り付けられるまでの長さが封止シート51aよりも長くなるように取り付けることで封止シートを剥がすタイミングが異なる。このため、巻き取り軸600にかかる負荷が分散し駆動手段M4に掛かる負荷が軽減されている。更に、本実施例では、攪拌室の現像剤搬送方向下流側を封止する封止シート51aの方が、攪拌室の現像剤搬送方向上流側を封止する封止シート51bよりも開封順序が先となるように構成されている。このため、ダウンタイム低減のために、封止シートが開封完了する前に攪拌室内の攪拌スクリューを駆動させても現像剤が搬送方向下流側で詰まってしまうことを抑制することができる。
変形例として、巻き取り軸の軸径を変更し、先に剥したい方の軸径を大きくする事もタイミングの時間差をつける手段の1つとなりうる。
ここで、巻き取り軸600に高い負荷か掛かった時に回転方向に捩れが発生する。駆動手段M4と巻き取り軸600の接続を封止シート51a、51bの内、先に剥がし始める封止シート51aに近い位置で行うことにより、捩れが発生した場合でも封止シート51aに対して封止シート51bは必ず遅れて剥がれ始める関係となる。このため、巻き取り軸の剛性によらず封止シート51aを封止シート51bよりも先に剥がすことが可能となる。よって、巻き取り軸を金属等の剛性の高い材料だけではなくモールドのように剛性の比較的低い材料を用いた場合にも本実施例を適用可能にすることができる。
上述のように現像スリーブと攪拌部材を別々に制御、駆動するのがより好ましいが、攪拌スクリュー部材と現像スリーブを同時に駆動しても、第4の実施形態と同等の構成であるので飛散防止の効果はある。そこで、変形例として、駆動手段もM4、M5、M6と複数の駆動手段を設けたが、巻き取り部材と現像スリーブ、攪拌部材の駆動系列を連動するように連結し、単一の駆動手段M10で駆動を行ってもよい。単一の駆動手段M10で駆動すれば、小型化や低コスト化をできる。
また、封止シール部材を単一のテープ部材で封止シール部材51aと51bをつながった形で構成し、上述のように51aを先に剥がれるようにしても同効果を得る事ができる。封止シールを巻き取る構成でなくても現像剤を封止できればよい。それぞれに用いられる材料および形状に関しては、本実施形態で述べるものに限らない。
更に、初期立上げ工程の時間を短縮し、更なるユーザビリティの向上もできる。上述の(S803)の工程において、例えば、第2撹拌スクリュー104aの回転数は300rpm、第1撹拌スクリュー104bの回転数は400rpmである。それを、第2撹拌スクリュー104aの回転数は600rpm、第1撹拌スクリュー104bの回転数は800rpmとする。回転数が早いので、単位時間当たりの現像剤の摩擦回数が増加し、帯電付与をより迅速に行うことができる。現像スリーブは回転していないので、飛散することはない。
本第4実施形態の変形例を含めた実施例の構成をとる現像装置を用いて、上述した装置立上げフローに基づいて比較例と同様の効果確認実験を行った。それぞれの実施例において同様の飛散防止の結果が得られた。そのため、第4実施形態の方法でも、初期トナー飛散防止に効果を発揮することが明らかとなった。本体外でユーザーやサービスマンが封止部材を除去するのではなく、本体内の駆動を用いて自動で封止部材を除去する構成とした。そのため、ユーザービリティの高い現像装置を提供する事ができる。
尚、本実施例では、現像室と攪拌室を連絡する連絡路を封止する構成を説明したが、例えば、現像室と攪拌室を仕切る仕切り壁に上記連絡路以外の開口部が設けられている場合は、上記開口部を封止する構成とすることができる。
また、封止部材は、共通の巻き取る軸で開封する構成を例に説明したが、ユーザやサービスマンが手動で引き抜くことで開封する構成でも良い。また、第一連絡路と第二連絡路をそれぞれ封止する複数の封止部材を設け、別々に開封する構成であっても良い。