JP5371337B2 - 洗い場 - Google Patents

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Description

本発明は、浴室で人がその上に位置して身体等を洗う洗い場に関する。
一般的な洗い場はFRP(Fiber Reinforced Plastics)からなる洗い場パンを有して構成されており、その表面は撥水性及び親油性である。このような洗い場では、使用後に表面に存在していた水がその表面張力によって球状になりやすく、それによって水捌けが悪く、時間が経っても表面が乾き難いという問題が指摘されていた。
そのため、例えば特許文献1では、FRPからなる基材の表面に親水性塗料からなる塗膜を形成し、洗い場の表面を水接触角が40〜70°の親水性にする技術を提案している。この洗い場では、表面が親水性であることから、使用後の水が表面で広がりやすく、それによって表面が乾燥しやすくなる。
特開2004−156269号公報
しかし、上記従来の洗い場において、表面が乾燥しやすいとともに、より汚れ難いことが好ましいというさらなる要求が求められている。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、表面が乾燥しやすいとともに、より汚れ難い洗い場を提供することを解決すべき課題としている。
従来の洗い場の汚れは、トリグリセリドを主成分とする人の皮脂やケラチンを主成分とする人の垢等、疎水性の成分がその原因である。表面が親水性の洗い場では、これらの疎水性の成分が付着しやすいことから、たとえ表面が乾燥しやすくても、その成分が取れ難く、かつその成分によって成長したカビの菌糸が表面から取れ難かったのである。また、撥水性の表面は必ずしも撥油性であるとは限らず、また親水性の表面が必ずしも親油性であるとは限らず、親水性でありながら撥油性の表面は存在する。こうして、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の洗い場は、表面が親水性かつ撥油性である洗い場であって、
前記親水性は、前記洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、前記表面からの高さ10cmから0.04mLの水滴を該表面に自然落下させた場合において、該水滴が該表面で広がった広がり面の水平方向の最長の長さが8.3mm以上であり、
前記撥油性は、該洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、オレイン酸からなる1μLの油滴を該表面に存在させ、この状態で該洗い場を水中に保持した場合の該油滴の接触角である油接触角が42°以上であることを特徴とする。
本発明の洗い場は、表面が親水性であることから、従来と同様、使用後の水が表面で広がりやすく、それによって表面が乾燥しやすい。また、この洗い場は、表面が撥油性でもあることから、人の皮脂や垢等の疎水性の成分が付着し難く、水とともに排出される。このため、カビの菌糸も成長し難い。
なお、洗い場には、石鹸やシャンプーの成分も存在し得る。石鹸の主成分は脂肪酸ナトリウム、石鹸カスの主成分は脂肪酸カルシウムであり、シャンプーの主成分は界面活性剤である。石鹸やシャンプーの主成分は親水性の成分であることから、水とともに表面から排出されやすい。また、たとえ石鹸やシャンプーの主成分が表面に残ったとしても、カビの菌糸は成長しない。
したがって、本発明の洗い場は、表面が乾燥しやすいとともに、より汚れ難いものとなっている。
親水性は、一般的には1μLの水滴を大気中の常温下で表面に存在させた場合のその水滴の接触角である水接触角で表現されることが多いが、この水接触角による親水性の規定は、洗い場では早期の乾燥が要求されることから、微量の水滴による早期の乾燥との相関性がない。このため、洗い場の親水性は、洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、表面からの高さ10cmから0.04mLの水滴をその表面に自然落下させた場合において、その水滴がその表面で広がった広がり面の水平方向の最長の長さによって規定されることが好ましい。洗い場の保持は、洗い場から切断された一部の保持であってもよい(以下、同様。)。滴下後、1分等、一定時間の時間の経過を待って測定することが好ましい。水滴がその時間によって洗い場の表面性状に馴染み、再現性が高まるからである。大気中での水滴の広がり面は、洗い場の表面の凹凸によって必ずしも円形にならず、楕円形や歪な形状になる。例えば、大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さは、広がり面が円形であれば直径であり、広がり面が楕円形であれば長径であり、広がり面が歪な形状であればより長い方の長さである。発明者らの試験結果によれば、その大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さが8.3mm以上であることが好ましい。親水性は、その大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さが9.2mm以上であることがより好ましい。
また、発明者らの試験結果によれば、洗い場の撥油性はオレイン酸によって評価されることが好ましい。オレイン酸が洗い場の汚れに近い挙動を示すからである。
また、発明者らの試験結果によれば、洗い場の撥油性は大気中及び/又は水中で求めることが好ましい。大気中での撥油性は大気中での油のこびり付きに影響するからである。また、水中での撥油性は水中での油の浮出し性に影響するからである。
大気中での撥油性は、洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、オレイン酸からなる1μLの油滴をその表面に存在させた場合のその油滴の接触角である油接触角によって規定されることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、その大気中での油接触角が40°以上であることが好ましい
また、大気中での撥油性は、洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、表面からの高さ2cmから0.02mLのオレイン酸からなる油滴をその表面に自然落下させた場合において、その油滴がその表面で広がった広がり面の水平方向の最長の長さによって規定されることが好ましい。この場合も、滴下後、1分等、一定時間の時間の経過を待つことが好ましい。大気中での油滴の広がり面も、洗い場の表面の凹凸によって必ずしも円形にならず、楕円形や歪な形状になる。発明者らの試験結果によれば、その大気中での油滴の広がり面の水平方向の最長の長さが7.3mm以下であることが好ましい
一方、水中での撥油性は、洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、オレイン酸からなる1μLの油滴をその表面に存在させ、この状態で洗い場を水中に保持した場合の油滴の接触角である油接触角によって規定されることが好ましい。この場合も、滴下後、1分等、一定時間の時間の経過を待つことが好ましい。発明者らの試験結果によれば、撥油性は、その大気中での油接触角が40°以上であることが好ましい。油接触角は協和界面科学社製の接触角計CA−Xを用いた。
なお、水中での撥油性は、洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、オレイン酸からなる1μLの油滴をその表面に存在させ、この状態で洗い場を水中に保持した場合において、その油滴がその表面で広がった広がり面の水平方向の最長の長さによって規定されることも可能である。
本発明の洗い場は、基材と、この基材の表面に形成された塗膜とを備えた洗い場パンによって具体化可能である。基材は、従来と同様のFRP、PP(ポリプロピレン)等からなり得る。塗膜は、マトリックスと、このマトリックス中に分散された親水性及び撥油性を有する機能材料とを有し得る。
発明者らの試験結果によれば、マトリックスは水酸基と反応する塗料原料からなり、機能材料は水酸基含有フッ素化合物であることが好ましい。水酸基含有フッ素化合物の水酸基が親水性を呈し、フッ素が撥油性を呈する。マトリックスはその水酸基含有フッ素化合物の水酸基とほどよく好適に反応し、耐久性を確保しながら水酸基含有フッ素化合物の水酸基及びフッ素による親水性及び撥油性を発揮させる。発明者らの試験結果によれば、このような塗料原料としては、従来からも使用され、耐久性に優れたウレタン系であることが好ましい。
また、塗膜は、マトリックス中に分散され、表面に凹凸を付与する骨材粒子を有することが好ましい。骨材粒子によって洗い場が滑り難くなる。また、骨材粒子によって洗い場の表面積が増加し、水の表面張力を破壊して親水性がより高くなる。骨材粒子は中実であることが強度確保の点で好ましい。
塗膜の表面粗さRaは4μm以上、14μm以下にされていることが汚染防止性の点で好ましい。本願において、塗膜の表面粗さRaは、触針式表面粗さ計(ミツトヨ製Suftest SJ-400)を用い、JIS1994の基準でR曲線を測定し、GAUSSフィルターをかけた後のデータを使用した値である。その際の条件は、評価長さが12.5mm、λcが2.5mm、λsが8μm、測定速度が0.5mm/秒である。
より好ましくは、塗膜の表面に30〜120μmの凹凸が付与されていることが滑り難く、親水性、汚染防止性の点で好ましい。本願において、塗膜の表面の凹凸は、対象物の断面をマイクロスコープによって100倍で観測し、幅1cmの範囲内で高低差を実測した値である。
そのための骨材粒子の好ましい平均粒径は50〜160μmである。本願において、平均粒径は、粒度分布測定装置(光学系はMicrotrack社製9320-HRA(X100)、循環機はMicrotrack社製ASVR、循環溶液はピロリン酸ナトリウム0.2%水溶液60mL/分)を用いた体積平均粒径に基づく値である。
また、骨材粒子は塗料原料100質量部に対して10〜40質量部含まれていることが好ましい。骨材粒子としては、人の触感の低下を伴わないナイロン、アクリル系又はウレタン系の粒子を採用することができる。ナイロン又はアクリル系の粒子であることがより好ましい。また、粒子は、球形等の定形のものに限られず、不定形のものであってもよいが、角がないものであることが好ましい。球形の粒子がより好ましい。球形の粒子を用いた場合、洗い場の手触り感がよく、滑り難いとともに、汚れが落ち易い。球形は真球でなくてもよい。
以下、試験1〜3に基づいて本発明を説明する。
(試験1)
図1に示すように、FRPの試験片からなる基材1を複数個用意した。FRPのマトリックスは不飽和ポリエステルである。基材1の表面は、図2〜4に示すように、滑らかな格子状に形成されている。
格子を形成する各山3は底面4から盛り上がっている。各山3と底面4との境界は一辺a(23mm)の略正方形にされている。各山3間には底面4によって間隔b(2mm)が空けられている。各山3は底面4から高さc(1.8mm)を有している。各山3の4隅にはアールR1(1mm)が形成されている。
各山3の上面は、対辺を接続する円筒状をなす面3aと、面3aの軸方向の両端側で面3aと円弧状の稜線3bで繋がり、各辺に対して傾斜する面3bとにより構成されている。面3aは、底面4側で底面4に対してα(9°)傾斜し、アールR2(57mm)で円弧状に湾曲している。各稜線3にはアールR3(5mm)が形成されている。各面3cは底面4に対してβ(13.5°)傾斜している。面3a及び両面3cの周りには、底面4との境界に幅1.5mmの面3dが形成されている。面3dは、面3a及び面3cとの間にアールR4(3.5mm)を有し、底面4との間にアールR5(3mm)を有している。前後左右で隣り合う山3は水平方向で90°ずれている。
そして、一部の基材1はそのまま試験品とし、他の各基材1の表面には種々の塗料をスプレーによって塗布し、80°Cで30分間加熱した後、40°Cで3日養生した。塗料は、主成分が市販のウレタン系塗料原料であり、このウレタン系塗料原料100質量部に対して骨材粒子としてのナイロンの粒子が25質量部含まれている。骨材粒子は平均粒径80μmの真球形をなす中実のアクリル粒子である。こうして、表1及び表2に示す試験品1〜34を得た。各試験品1〜34は、従来と同様に洗い場パンとして採用され得るものである。表中、油接触角は大気中でのものを示し、大気中での水滴の広がり面の水平方向の長さは最長の長さを示す。測定は同一検体に対して5回ずつ行い、平均値を算出した(以下、同様である。)。
試験品1〜28、33、34は、基材1がFRPであり、ウレタン系塗料原料に対して機能材料A〜Oを表1及び表2に示す質量部添加した塗料を用いたものである。
より詳細には、機能材料Aは、パーフルオロアルキル基を有するアクリルモノマーと、ポリエチレングリコールを有するアクリルモノマーとをランダム共重合させたMn(数平均分子量)=2000〜4000のアクリルオリゴマーである。
機能材料B、Cは、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物である。機能材料Bは「大日本インキ化学工業(株)製F−444(100%)」であり、機能材料Cは「大日本インキ化学工業(株)製F−445(100%)」である。
機能材料D〜Fは、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマーで、水酸基をもたない化合物である。機能材料Dは「大日本インキ化学工業(株)製F−482(20%)」であり、機能材料Eは「大日本インキ化学工業(株)製F−483(20%)」であり、機能材料Fは「大日本インキ化学工業(株)製F−487(100%)」である。
機能材料Gは、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマーである(「大日本インキ化学工業(株)製MCF−350SF(100%))。
機能材料H〜Kは、フッ素モノマーと親水性モノマーと親油モノマーとの共重合(アクリルランダム共重合)体である。機能材料Hは「大日本インキ化学工業(株)製F−470(100%)」であり、機能材料Iは「大日本インキ化学工業(株)製F−477(30%)」であり、機能材料Jは「大日本インキ化学工業(株)製F−478(100%)」であり、機能材料Kは「大日本インキ化学工業(株)製F−479(100%)」である。
機能材料L〜Nは、フッ素モノマーと親水性モノマーとの共重合(アクリルランダム共重合)体である。機能材料Lは「大日本インキ化学工業(株)製F−480SF(100%)」であり、機能材料Mは「大日本インキ化学工業(株)製F−484(20%)」であり、機能材料Nは「大日本インキ化学工業(株)製F−486(30%)」である。
機能材料Oは、フッ素モノマーと親水性モノマーと親油モノマーとの共重合(アクリルランダム共重合)体である「大日本インキ化学工業(株)製F−471(100%)」である。
以上のように、機能材料A、L〜Nは水酸基含有フッ素化合物である。
これら試験品1〜28、30〜34は、基材1と、この基材1の表面に形成された塗膜2とからなる。試験品1〜28、33、34の塗膜2は、図5及び図6に示すように、ウレタン系塗料原料からなるマトリックス21と、マトリックス21中に分散された機能材料22及び骨材粒子23とを有している。
試験品1、2は、骨材粒子23によって塗膜2の表面粗さRaが6〜12μmとされていた。すなわち、特定位置の表面粗さRaは4〜14μmであり、20箇所における表面粗さRaの平均が6〜12μmであった。
また、試験品1、2は、骨材粒子23によって塗膜2の表面に60〜80μmの凹凸が付与されている。すなわち、試験品1、2の断面をマイクロスコープによって100倍で観測し、幅1cmの範囲内で高低差を実測したところ、30〜120μmであった。そして、試験品1、2の観測位置を20箇所変え、各箇所の高低差の平均を求めたところ、60〜80μmであった。
また、試験品1、2では、マトリックス21中には機能材料22が存在し、特に表面に多くの機能材料22が存在していると考えている。試験品1、2、15〜27では、図6に示すように、水酸基22aとフッ素22bとが存在すると考えている。
試験品29は基材1そのものである。試験品30は、基材1がFRPであり、ウレタン系塗料原料のみを塗布して塗膜2を形成したものである。試験品31は、基材1がFRPであり、ウレタン系塗料原料に市販のシリコン系撥水剤を10質量部添加した塗料を用いたものである。試験品32は、基材1がFRPであり、ウレタン系塗料原料にシリケートとしてのメチルシリケート53A(コルコート製)を表2に示す質量部添加した塗料を用いたものである。
各試験品1〜34について、70°Cの熱水に1時間浸漬を行う処理を行い、大気中での油接触角(°)、大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さ(mm)、水捌け性及び水中での油浮出性の評価を行った。
大気中での油接触角は、洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、オレイン酸からなる1μLの油滴を各試験品1〜34の表面に存在させた場合の静的な油滴の接触角である。大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さは、各試験品1〜34を大気中の常温下で水平に保持し、表面からの高さ10cmから0.04mLの水滴を各表面に自然落下させた場合において、水滴が各表面で広がった広がり面の水平方向の最長の長さである。
水捌け性は、25°C、湿度50%で200mm角の各試験品に対して500mLの水道水をかけ、5分後に目視で水の残存量を評価した。評価は、全体に水が薄く残りながらはける場合を○、溝にわずかに水が残るが、はける場合を△、水平方向の最短の長さ1cm以上の水たまりができる場合は×とした。なお、水平方向の最短の長さとは、残った水が円形であれば直径であり、残った水が楕円形であれば短径であり、残った水が歪な形状であれば、水滴の外接円の中心を通るように水滴外形上の2点を結んだ際に最も短い長さである。
水中での油浮出し性は、オレイン酸0.2mLを各試験品上に落下させ、水中に静かに浸漬させ、5分後、オレイン酸の試験品上の状態を目視で確認した。油が試験品にわずかに残るが、浮き出す場合は○、油が水には浮き出さないが、わずかな力を加えると除去できる場合を△、油が試験品になじむ場合を×と評価した。これらの結果も表1及び表2に示す。また、大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さと大気中での油接触角との関係を図7に示す。
また、各試験品1〜34について、70°Cの熱水に100時間浸漬を行う耐久処理を行い、上記と同様の大気中での油接触角の評価を行った。これらの結果も表1及び表2に示す。
表1及び表2並びに図7の結果から、表面が親水性及び撥油性である試験品2、33、34は、表面が乾燥しやすいとともに、汚れがお掃除の時に水と一緒に取れることがわかる。これらの試験品は、表面が親水性であることから、従来と同様、使用後の水が表面で広がりやすく、それによって表面が乾燥しやすいからである。また、これらの試験品は、表面が撥油性でもあることから、人の皮脂や垢等の疎水性の成分が付着し難く、お掃除の時に水とともに排出され、カビの菌糸も成長し難いと予想されるからである。また、これらの試験品では、図5に示すように、塗膜2に骨材粒子23が分散されているため、滑り難いとともに、親水性がより高くなる。
特に、試験品2、33、34は、大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さが8.3mm以上の親水性を有し、かつ大気中での油接触角が40°以上の撥油性を有するため、より本発明の効果が大きいことが確信される。ただ、試験品33、34は耐久後における大気中での油接触角が小さく、耐久性に劣る。機能材料が水酸基含有フッ素化合物ではないからである。
したがって、ウレタン系塗料原料を採用し、機能材料として水酸基含有フッ素化合物を採用し、かつ大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さが8.3mm以上の親水性と、大気中での油接触角が40°以上の撥油性とを表面が有する試験品2が最も好ましいことがわかる。図6に示すように、水酸基含有フッ素化合物の水酸基22aが親水性を呈し、フッ素22bが撥油性を呈し、ウレタン系塗料原料が水酸基22aとほどよく好適に反応し、フッ素分子が表面に露出することで疎水性の汚れや水アカをはじくため、ウレタン系塗料原料の耐久性を確保しながら水酸基22a及びフッ素22bによる親水性及び撥油性を発揮させると考えられるからである。
特に、試験品2は、表面に水が存在する状態では親水性が支配的となり、水とともに種々の汚れを排出することが可能であった。また、この試験品2は、乾燥状態では撥油性が支配的となり、汚れが取れやすかった。
(試験2)
上記試験1は試験片による基礎試験であるため、実際の洗い場パンに具体化した試験2を行った。
洗い場パンの基材1はFRPからなり、その表面には試験1と同一の凹凸が形成されている。市販のウレタン系塗料原料と機能材料Aと骨材粒子23とを用い、表3に示す配合で塗料を5種類調合した。骨材粒子23は真球形をなす中実のアクリル粒子である。各塗料に添加した骨材粒子23の平均粒径も表3に示す。
そして、硬化後の塗料の膜厚が60μm程度となるように基材1にスプレー塗装を行った。塗装後、80°Cで60分間加熱した後、40°Cで3日間養生し、試験品36〜40の洗い場パンとした。試験品35は塗装なしの洗い場パンであり、試験品36は機能材料Aを添加しない塗料を塗布した洗い場パンである。
洗い場パンの実使用を想定した乾燥性試験として、10°C、50%の湿度に設定した環境試験室において、各洗い場パンを用いて浴槽、壁及び天井からなるユニットバスを組み付けた。
後述の乾燥性を確認した後、各洗い場パンからサンプル片を切り出し、各サンプル片について、大気中での油接触角(静的)、大気中での油滴の広がり面の長さ、大気中での撥油性、水中での油接触角、水中での油浮出性、大気中での水滴の広がり面の長さ及び乾燥性の評価を行った。
大気中での油滴の広がり面の長さは、各試験品35〜40を大気中の常温下で水平に保持し、表面からの高さ2cmから0.02mLのオレイン酸からなる油滴をその表面に自然落下させ、1分間放置した後、その油滴がその表面で広がった広がり面の水平方向の最長の長さである。この大気中での油滴の広がり面の長さが7.3mm以下であれば大気中での撥油性を○とし、その長さが7.3mmを超えておればその撥油性を×と評価した。
また、水中での油接触角は、各試験品35〜40を大気中の常温下で水平に保持し、オレイン酸からなる1μLの油滴をその表面に存在させて1分間放置した後、この状態で洗い場を水中に保持した場合の油滴の接触角である。この水中での油接触角が40°以上であれば水中での油浮出性を○とし、その水中での接触角が40°未満であればその油浮出性を×と評価した。
そして、20Lの40°Cの湯を各洗い場パン全体にかけ、8時間後に各洗い場パンの中央部の水が乾燥しているか否かを確認し、乾燥性の試験とした。また、各試験品35〜40について、70°Cの熱水に100時間浸漬を行う耐久処理を行い、上記と同様の大気中での油接触角の評価を行った。これらの結果を表4に示す。
表4に示すように、試験品35、36の洗い場パンは、大気中での油接触角が比較的小さく、かつ大気中での油滴の広がり面の長さも比較的大きいため、大気中での撥油性が悪く、皮脂汚れがこびり付きやすい。また、試験品35、36の洗い場パンは、水中での油接触角が比較的小さく、油の浮出し性が悪く、皮脂汚れを水によって洗い流し難い。また、試験品35、36の洗い場パンは、大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さも比較的小さいため、乾燥性も悪い。
一方、試験品37〜40の洗い場パンは、大気中での油接触角が比較的大きく、かつ大気中での油滴の広がり面の長さも比較的小さいため、大気中での撥油性に優れ、皮脂汚れがこびり付き難い。また、試験品37〜40の洗い場パンは、水中での油接触角が比較的大きく、油の浮出し性に優れ、皮脂汚れを水によって洗い流し易い。また、試験品37〜40の洗い場パンは、大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さも大きいため、水が残り難く、乾燥性が高い。このため、これらは洗い場パンとして有益であることがわかる。
上記のように、お風呂の汚れの原因は、身体から出る皮質汚れ(油分)がほとんどである。これを栄養源にカビやヌメリ汚れが発生する。試験品37〜39の洗い場パンでは、図8に模式的に示すように、撥油及び親水機能をもった特殊な塗料2を基材1に施しているため、身体から出る皮脂汚れが固着し難く、また水を流すことで汚れが取れやすくなっている。塗料2には機能材料Aが含まれ、機能材料Aは、水酸基からなる親水基22aと、フッ素からなる撥油基22bとを有している。
図9に示すように、入浴中、洗髪やシャワーで皮脂汚れ5が発生する場合を考える。使用後は、図10に示すように、乾いた状態となるが、撥油基22bがあるため、表面と皮脂汚れ5とが強く固着し難い。そして、お掃除時に水を流すと、図11に示すようになる。この状態では、親水基22aがあるため、水6が皮脂汚れ5の間に入る。そして、水6の勢いや、図12に示すように、スポンジ7で軽くこするだけで皮脂汚れ5が取れやすくなる。
(試験3)
表5及び表6に示すように、試験品41〜47の洗い場パンによって試験3を行った。試験品42〜47では、表5に示すように、ウレタン系塗料原料に機能材料Aを添加しつつ、洗い場パンの表面の親水性をもう少し向上させるため、試験1の試験品32で用いたシリケートをウレタン系塗料原料に混合した。試験品41は試験品32と同一である。他の条件は試験2と同様である。各洗い場パンについて、試験2と同様の評価を行った。結果を表6に示す。
表6に示すように、試験品46、47の洗い場パンは、大気中での油接触角が40°以上であり、また大気中での油滴の広がり面の長さが7.3mm以下であるため、大気中での撥油性に優れ、皮脂汚れがこびり付き難い
また、試験品46、47の洗い場パンは、大気中での水滴の広がり面の長さが8.3mmを超え、乾燥性に優れる。
発明者らは、親水性かつ撥油性を有する本発明の洗い場の表面について、以下のように考えている((株)INAX掛樋論)。すなわち、空気、油脂及び水はそれぞれ図13に示すような表面自由エネルギー(γ)を有している。樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、超親水剤、陶器類等の材料も図13に示すような表面自由エネルギーを有している。材料と水とのエネルギー差により材料が親水性又は撥水性を示し、材料と油脂とのエネルギー差により材料が親油性又は撥油性を示す。つまり、材料の親水性、親油性、撥水性及び撥油性は表面自由エネルギーの差の大小によって決定される。
例えば、樹脂について見れば、樹脂のエネルギーは油脂類のエネルギーとほぼ同等であり、樹脂と空気とのエネルギーの差は樹脂と水とのエネルギーの差より小さい。このため、樹脂は空気中でも水中でも親油性となる。
PTFEについて見れば、PTFEのエネルギーは空気のエネルギーに近く、PTFEと水との間やPTFEと脂肪類との間より、PTFEと空気との間のエネルギーの差は小さい。このため、PTFEは撥水性かつ撥油性である。
一方、超親水剤や陶器類について見れば、これらのエネルギーは水のエネルギーに近く、これらと空気や脂肪類とのエネルギーの差は大きい。このため、これらは親水性かつ親油性である。
本発明の洗い場は、機能材料Aが空気のエネルギーに近い撥水基と水のエネルギーに近い親水基とを有しているため、親水性かつ撥油性である。
以上において、本発明を試験品に即して説明したが、本発明は上記試験品に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
本発明は、ユニットバスの洗い場パン等に利用可能である。
試験品の模式断面図である。 試験品の基材の拡大平面図である。 図2のIII−III矢視側面図である。 図2のIV−IV矢視側面図である。 試験品の塗膜の拡大模式断面図である。 試験品のマトリックスの拡大模式断面図である。 各試験品における大気中での水滴の広がり面の水平方向の最長の長さと大気中での油接触角との関係を示すグラフである。 試験品37〜39の洗い場パンを模式で示す断面斜視図である。 試験品37〜39の洗い場パンの模式断面図である。 試験品37〜39の洗い場パンの模式断面図である。 試験品37〜39の洗い場パンの模式断面図である。 試験品37〜39の洗い場パンの模式断面図である。 材料の表面自由エネルギーを示すグラフである。
符号の説明
1…基材
2…塗膜
21…マトリックス
22…機能材料
22a…水酸基、親水基
22b…フッ素、撥油基
23…骨材粒子
5…皮脂汚れ
6…水
7…スポンジ

Claims (6)

  1. 表面が親水性かつ撥油性である洗い場であって、
    前記親水性は、前記洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、前記表面からの高さ10cmから0.04mLの水滴を該表面に自然落下させた場合において、該水滴が該表面で広がった広がり面の水平方向の最長の長さが8.3mm以上であり、
    前記撥油性は、該洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、オレイン酸からなる1μLの油滴を該表面に存在させ、この状態で該洗い場を水中に保持した場合の該油滴の接触角である油接触角が42°以上であることを特徴とする洗い場。
  2. 洗い場を大気中の常温下で水平に保持し、オレイン酸からなる1μLの油滴を該表面に存在させた場合の該油滴の接触角である油接触角が40°以上である請求項1記載の洗い場。
  3. 基材と、該基材の表面に形成された塗膜とを備えた洗い場パンからなり、
    該塗膜は、マトリックスと、該マトリックス中に分散された親水性及び撥油性を有する機能材料とを有する請求項1又は2のいずれか1項記載の洗い場。
  4. 前記マトリックスは水酸基と反応する塗料原料からなり、前記機能材料は水酸基含有フッ素化合物である請求項記載の洗い場。
  5. 前記塗料原料はウレタン系である請求項記載の洗い場。
  6. 前記塗膜は、前記マトリックス中に分散され、前記表面に凹凸を付与する骨材粒子を有する請求項3乃至5のいずれか1項記載の洗い場。
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