JP5369999B2 - 車両 - Google Patents

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本発明は、少なくとも左右一対の車輪と、左右一対の車輪を支持するリンク機構とを備える車両に関するものである。
特に、旋回性能を向上して、安定した旋回を行うことができるとともに、乗員の負担を軽減して、快適性を確保することができる車両に関するものである。
近年、エネルギ資源の枯渇問題に鑑み、車両の省燃費化が強く要求されている。その一方で、車両の低価格化等から、車両の保有者が増大し、1人が1台の車両を保有する傾向にある。そのため、例えば、4人乗り車両を運転者1人のみが運転することで、エネルギが無駄に消費されるという問題点があった。車両の小型化による省燃費化としては、車両を1人乗りの三輪車又は四輪車として構成する形態が最も効率的であるといえる。
しかし、走行状態によっては、車両の安定性が低下してしまうことがある。そこで、車体を横方向に傾斜させることによって、旋回時の車両の安定性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2008−155671号公報
しかしながら、前記従来の車両においては、旋回性能を向上させるために、車体を旋回方向内側に傾斜させることができるようになっているが、車体を傾斜させる操作が困難であり、旋回性能が低いので、乗員が不快に感じたり、不安を抱いたりしてしまうことがある。
本発明は、前記従来の車両の問題点を解決して、乗員の重心移動を検出すると、乗員による操舵(だ)入力が行われる前に車体傾斜を開始するようにして、旋回操作が容易で、車体を容易に傾斜させることができ、車体の安定を維持することができ、また、旋回性能を向上させることができるとともに、乗り心地がよく、安定した走行状態を実現することができる安全性の高い車両を提供することを目的とする。
そのために、本発明の車両においては、互いに連結された操舵部及び駆動部を備える車体と、前記操舵部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を操舵する操舵輪と、前記駆動部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を駆動する駆動輪と、乗員の重心移動を検出する重心移動検出手段と、乗員が要求する前記車体の要求旋回量を検出する要求旋回量検出手段と、前記駆動部を旋回方向に傾斜させる傾斜用アクチュエータ装置と、該傾斜用アクチュエータ装置を制御して車体の傾斜を制御する制御装置とを有する車両であって、前記制御装置は、前記乗員の重心移動が検出されると、要求旋回量の入力前に車体の傾斜を開始させて車体を所定の角度傾斜させ、前記要求旋回量の絶対値が閾値以下である場合には、車体の傾斜を元に戻す
請求項1の構成によれば、旋回操作が容易で、車体を容易に傾斜させることができ、車体の安定を維持することができ、乗員にとって、操縦性及び快適性が向上する。また、所定の角度を十分に小さく設定することによって、乗員は違和感を感じることがない。
本発明の実施の形態における車両の構成を示す図である。 本発明の実施の形態におけるリンク機構の構成を示す要部拡大図であり図1におけるA−A矢視図である。 本発明の実施の形態における車両の上面図である。 本発明の実施の形態における重心移動検出センサの作動状態を示す図であり図3におけるB−B矢視図である。 本発明の実施の形態における重心移動検出センサが近接センサである場合の作動状態を示す図である。 本発明の実施の形態における車体傾斜時の重心移動検出センサの作動状態を示す図である。 本発明の実施の形態における傾斜角の時間変化を説明する図である。 本発明の実施の形態における車両の旋回制御処理の動作の概略を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における重心移動検出センサの初期値設定の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における車両の旋回制御処理の動作の詳細を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における車両の構成を示す図、図2は本発明の実施の形態におけるリンク機構の構成を示す要部拡大図であり図1におけるA−A矢視図である。なお、図1において、(a)は正面図、(b)は左側面図である。
図において、10は、本実施の形態における車両であり、車体の駆動部としての本体部20と、乗員が搭乗して操舵する操舵部としての搭乗部11と、車体の前方において幅方向の中心に配設された前輪である操舵輪としての車輪12Fと、後輪として後方に配設された駆動輪である左側の車輪12L及び右側の車輪12Rとを有する。さらに、車体を左右に傾斜させる、すなわち、リーンさせるためのリーン機構、すなわち、車体傾斜機構として、左右の車輪12L及び12Rを支持するリンク機構30と、該リンク機構30を作動させるアクチュエータとしての傾斜用アクチュエータ装置25とを有する。なお、前記車両10は、前輪が左右2輪であって後輪が1輪の三輪車であってもよいし、前輪及び後輪が左右2輪の四輪車であってもよいが、本実施の形態においては、図に示されるように、前輪が1輪であって後輪が左右2輪の三輪車である場合について説明する。
旋回時には、左右の車輪12L及び12Rの路面18に対する角度、すなわち、キャンバー角を変化させるとともに、搭乗部11及び本体部20を含む車体を旋回内輪側へ傾斜させることによって、旋回性能の向上と乗員の快適性の確保とを図ることができるようになっている。すなわち、前記車両10は車体を横方向(左右方向)にも傾斜させることができる。なお、図に示される例においては、車輪12L及び12Rは路面18に対して直立している、すなわち、キャンバー角が0度になっている。
前記リンク機構30は、左側の車輪12L及び該車輪12Lに駆動力を付与する電気モータ等から成る左側の回転駆動装置51Lを支持する左側の縦リンクユニット33Lと、右側の車輪12R及び該車輪12Rに駆動力を付与する電気モータ等から成る右側の回転駆動装置51Rを支持する右側の縦リンクユニット33Rと、左右の縦リンクユニット33L及び33Rの上端同士を連結する上側の横リンクユニット31Uと、左右の縦リンクユニット33L及び33Rの下端同士を連結する下側の横リンクユニット31Dと、本体部20に上端が固定され、上下に延在する中央縦部材21とを有する。また、左右の縦リンクユニット33L及び33Rと上下の横リンクユニット31U及び31Dとは回転可能に連結されている。さらに、上下の横リンクユニット31U及び31Dは、その中央部で中央縦部材21と回転可能に連結されている。なお、左右の車輪12L及び12R、左右の回転駆動装置51L及び51R、左右の縦リンクユニット33L及び33R、並びに、上下の横リンクユニット31U及び31Dを統合的に説明する場合には、車輪12、回転駆動装置51、縦リンクユニット33及び横リンクユニット31として説明する。
そして、駆動用アクチュエータ装置としての前記回転駆動装置51は、いわゆるインホイールモータであって、固定子としてのボディが縦リンクユニット33に固定され、前記ボディに回転可能に取り付けられた回転子としての回転軸が車輪12の軸に接続され、前記回転軸の回転によって車輪12を回転させる。なお、前記回転駆動装置51は、インホイールモータ以外の種類のモータであってもよい。
また、前記傾斜用アクチュエータ装置25は、電気モータ等を含む回転式の電動アクチュエータであって、固定子としての円筒状のボディと、該ボディに回転可能に取り付けられた回転子としての回転軸とを備えるものであり、前記ボディが取付フランジ22を介して本体部20に固定され、前記回転軸がリンク機構30の上側の横リンクユニット31Uに固定されている。なお、傾斜用アクチュエータ装置25の回転軸は、本体部20を傾斜させる傾斜軸として機能し、中央縦部材21と上側の横リンクユニット31Uとの連結部分の回転軸と同軸になっている。そして、傾斜用アクチュエータ装置25を駆動して回転軸をボディに対して回転させると、本体部20及び該本体部20に固定された中央縦部材21に対して上側の横リンクユニット31Uが回動し、リンク機構30が作動する、すなわち、屈伸する。これにより、本体部20を傾斜させることができる。なお、傾斜用アクチュエータ装置25は、その回転軸が中央縦部材21に固定されていてもよい。
前記搭乗部11は、本体部20の前端に連結部24を介して連結される。該連結部24は、搭乗部11と本体部20とを所定の方向に相対的に変位可能に連結する機能を有し、例えば、本体部20を搭乗部11に対して上下方向及び水平方向(旋回方向)に揺動可能に連結する機能を有する。
また、前記搭乗部11は、座席11a、フットレスト11b、風よけ部11c及び荷台11dを備える。前記座席11aは、車両10の走行中に乗員が着座するための部位である。また、前記フットレスト11bは、乗員の足部を支持するための部位であり、座席11aの前方側(図1(b)における左側)下方に配設される。
そして、座席11aの前方には、操縦装置41が配設されている。該操縦装置41には、操舵装置としてのハンドルバー41a、速度メータ等のメータ、インジケータ、スイッチ等の操縦に必要な部材が配設されている。乗員は、前記ハンドルバー41a及びその他の部材を操作して、車両10の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、旋回半径等)を指示する。なお、乗員が要求する車体の要求旋回量を検出するための手段である操舵装置として、ハンドルバー41aに代えて他の装置、例えば、ステアリングホイール、ジョグダイヤル、タッチパネル、押しボタン等の装置を操舵装置として使用することもできる。また、操縦装置41は、操舵装置としてのハンドルバー41aの操舵量を検出するエンコーダ等の操舵量検出器を備える。本実施の形態においては、要求旋回量として操舵装置の操舵量を検出する。
さらに、搭乗部11の後方若しくは下方又は本体部20には、図示されないバッテリ装置が配設されている。該バッテリ装置は、回転駆動装置51及び傾斜用アクチュエータ装置25のエネルギ供給源である。また、搭乗部11の後方若しくは下方又は本体部20には、図示されない制御装置、インバータ装置等が収納されている。さらに、本体部20には、加速度センサ等の各種センサを収容したセンサ収容ケース55が配設されている。
なお、車輪12Fは、サスペンション装置(懸架装置)の一部である前輪フォーク17を介して搭乗部11に接続されている。前記サスペンション装置は、例えば、一般的なオートバイ、自転車等において使用されている前輪用のサスペンション装置と同様の装置であり、前記前輪フォーク17は、例えば、スプリングを内蔵したテレスコピックタイプのフォークである。そして、一般的なオートバイ、自転車等の場合と同様に、乗員によるハンドルバー41aの操作に応じて操舵輪としての車輪12Fは舵角を変化させ、これにより、車両10の進行方向が変化する。
また、本実施の形態における車両10は、図示されない制御装置としての車体制御システムを有する。該車体制御システムは、一種のコンピュータシステムであり、操縦装置41、回転駆動装置51、傾斜用アクチュエータ装置25、操舵量検出器等に接続されている。さらに、前記車体制御システムには、乗員の重心移動を検出するための後述される重心移動検出センサ56が接続されている。また、前記車体制御システムは、車輪12の回転速度を検出する図示されない車輪回転計及び車体の傾斜角度を検出する図示されない車体傾斜角度計にも接続され、車両10のすべての動作を統括的に制御する。具体的には、乗員の重心移動が検出されると、要求旋回量の入力前に車体の傾斜を開始させる。
次に、前記重心移動検出センサ56について詳細に説明する。
図3は本発明の実施の形態における車両の上面図、図4は本発明の実施の形態における重心移動検出センサの作動状態を示す図であり図3におけるB−B矢視図、図5は本発明の実施の形態における重心移動検出センサが近接センサである場合の作動状態を示す図、図6は本発明の実施の形態における車体傾斜時の重心移動検出センサの作動状態を示す図である。なお、図4〜6において、(a)は重心が移動していない状態を示す図、(b)は重心が右側に移動した状態を示す図である。
本実施の形態においては、乗員の重心移動を検出するための重心移動検出センサ56が、図3に示されるように、搭乗部11の座席11aに配設されている。重心移動検出センサ56は、車体の右側に配設された右側重心移動検出センサ56Rと、車体の左側に配設された左側重心移動検出センサ56Lとを含み、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値に基づいて、乗員の左右方向への重心移動を検出する。なお、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lを統合的に説明する場合には、重心移動検出センサ56として説明する。また、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lは、各々、複数であってもよいが、ここでは、各々単数である場合についてのみ説明する。
図4に示される例において、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lは、荷重検出センサ、面圧センサ、ロードセル等の荷重を直接計測するセンサから成り、乗員が座席11aに着座していることによって生じる座席11aの右側及び左側にかかる荷重を、各々、検出する。
そして、図4(a)に示されるように、乗員の重量がM〔kg〕であって、その重心が座席11a上の左右の中心に位置する場合、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lが受ける荷重は、矢印Cで示されるように、互いに等しい。したがって、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値は、ともに、Mg/2〔N〕となる。
しかし、乗員の重心が左右いずれか一方に移動すると、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値が相違するので、これにより、乗員の重心の移動を検出することができる。
図4(b)には、乗員の重心が右方向に移動した例が示されている。この場合、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lが受ける荷重は、矢印Cで示されるように、不均一となる。そして、右側重心移動検出センサ56Rの検出値MR〔N〕が左側重心移動検出センサ56Lの検出値ML〔N〕よりも大きくなる。これにより、乗員の重心が右方向へ移動したことが検出される。
なお、乗員が座席11aから腰を浮かせた姿勢となることも考えられる。このような場合にも乗員の重心移動を検出するために、重心移動検出センサ56をフットレスト11bに配設することができる。これにより、乗員の足を通してフットレスト11bにかかる荷重の変化を検出することができる。なお、重心移動検出センサ56は、必要に応じて、座席11a及びフットレスト11bの両方に配設してもよいし、座席11aのみに配設してもよいし、フットレスト11bのみに配設してもよい。
また、重心移動検出センサ56は、必ずしも、荷重を直接計測するセンサから成るものである必要はなく、近接センサ、接触センサ等のように対象物との距離を検出するセンサから成るものであってもよい。この場合、図5に示されるように、板状の下側部材57Dと、その上方に左右に揺動可能に配設された板状の上側部材57Uとの間に右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lを配設する。なお、57Cは、左右の中心において下側部材57Dを揺動可能に支持する揺動軸部材であり、58は揺動軸部材57Cの左右両側に配設されたばね部材であり、互いに等しい付勢力を発生する。
そして、図5(a)に示されるように、乗員の重心が左右の中心に位置する場合、上側部材57Uと右側重心移動検出センサ56Rとの距離、及び、上側部材57Uと左側重心移動検出センサ56Lとの距離は、互いに等しい。したがって、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値は、等しくなる。
しかし、乗員の重心が左右いずれか一方に移動すると、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値が相違するので、これにより、乗員の重心の移動を検出することができる。
図5(b)には、乗員の重心が右方向に移動した例が示されている。この場合、上側部材57Uと右側重心移動検出センサ56Rとの距離が、上側部材57Uと左側重心移動検出センサ56Lとの距離よりも短くなる。そして、右側重心移動検出センサ56Rは、上側部材57Uの近接又は接触を検出する。これにより、乗員の重心が右方向へ移動したことが検出される。
また、重心移動検出センサ56の検出方向が車体の軸心方向と平行なので、車体が左右に傾斜しているときであっても、重心移動検出センサ56の検出値に基づいて、乗員の左右方向への重心移動を検出することができる。
例えば、図6(a)に示されるように、車体の軸心が鉛直線に対して右方向に角度θだけ傾斜しているときでも、乗員の重心が座席11a上の左右の中心に位置する場合、乗員の重量の軸心方向の成分は、座席11a上の左右の中心に作用するので、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lが受ける荷重は、矢印Cで示されるように、互いに等しい。なお、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値は、ともに、Mgcos η/2〔N〕となる。
しかし、乗員の重心が左右いずれか一方に移動すると、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値が相違するので、これにより、乗員の重心の移動を検出することができる。
図6(b)には、乗員の重心が右方向に移動した例が示されている。この場合、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lが受ける荷重は、矢印Cで示されるように、不均一となる。そして、右側重心移動検出センサ56Rの検出値MR〔N〕が左側重心移動検出センサ56Lの検出値ML〔N〕よりも大きくなる。これにより、乗員の重心が右方向へ移動したことが検出される。
次に、前記構成の車両10の動作について説明する。ここでは、旋回制御処理の動作についてのみ説明する。まず、旋回制御処理の動作の概略について説明する。
図7は本発明の実施の形態における傾斜角の時間変化を説明する図、図8は本発明の実施の形態における車両の旋回制御処理の動作の概略を示すフローチャートである。なお、図7において、(a)は比較例を示し、(b)は本実施の形態を示している。
旋回制御処理が開始されると、車体制御システムは、まず、重心入力による制御を行う(ステップS1)。具体的には、重心移動検出センサ56の検出値に基づいて、乗員の重心の左右への移動が発生したか否かを判断する。そして、重心の移動が発生した場合には、乗員に旋回意思があるものとして、車両傾斜Aを行い(ステップS2)、重心の移動した方向に車両10を所定の角度A度だけ傾斜させる。なお、旋回制御処理は、車両10の電源が投入されている間、車体制御システムによって繰り返し(例えば、0.2〔ms〕間隔で)実行される処理であり、旋回時において、旋回性能の向上と乗員の快適性の確保とを図る処理である。
ここで、角度A度は、あらかじめ設定された値であって、通常の旋回制御処理において、ハンドルバー41aから入力された操舵量、すなわち、要求旋回量に基づいて決定される車両10の傾斜角度、すなわち、リーン角の最小値よりも小さな値であり、例えば、1度程度である。
続いて、車体制御システムは、操舵入力による制御を行う(ステップS3)。この場合、通常の旋回制御処理と同様に、ハンドルバー41aから入力された操舵量、すなわち、操舵入力としての要求旋回量に基づいて決定された傾斜角度になるように、傾斜用アクチュエータ装置25を駆動制御して車両10を傾斜させる。つまり、操舵角より車両傾斜制御を行って(ステップS4)、処理を終了する。該車両傾斜制御は、要求旋回量に基づいて決定される目標傾斜角に追従する制御である。
これにより、図7(b)に示されるように、乗員に旋回意思がある、と判断した時点で車両傾斜を開始させ、角度A度まで傾斜させるので、乗員によるハンドルバー41aの操作が開始される前に、すなわち、要求旋回量の入力(操舵入力の発生)前に、車体が傾斜し始める。したがって、乗員は、違和感を感じることなく、車両10を旋回させる操作を行うことができる。つまり、乗員が重心を旋回方向に移動させた時点で車体の旋回内側への傾斜を開始させるので、旋回走行時の操作感覚が、二輪車のような車体を傾斜させる車両の操作感覚に似たものとなり、操作性が自然で良好なものとなる。
これに対し、重心入力による制御を行わない場合には、図7(a)に示されるように、乗員によるハンドルバー41aの操作が開始されてから、すなわち、要求旋回量が入力されてから(操舵入力が発生してから)車体が傾斜し始めることになる。二輪車のような車体を傾斜させる車両の旋回操作においては、一般的に、乗員は、まず、重心を旋回方向に移動させ、続いて、ハンドル等を操作する。したがって、旋回意思の発露としての重心移動を行っても、ハンドルバー41aの操作が開始されるまで、車体傾斜が開始されないと、乗員はタイムラグを感じ、車両10の旋回操作に違和感を感じてしまう。
次に、前記重心移動検出センサ56の初期値設定の動作について詳細に説明する。なお、これ以降は、説明の都合上、重心移動検出センサ56が荷重を直接計測するセンサから成るものである場合についてのみ説明する。
図9は本発明の実施の形態における重心移動検出センサの初期値設定の動作を示すフローチャートである。
一般的に、車両10が直進している際、乗員の重心は、図4(a)に示されるように、座席11a上の左右の中心に位置すると考えることができるが、乗員が荷物等を背負ったり、肩に掛けたりしているとき、乗員の姿勢が斜めになっているとき等には、車両10が直進していても、乗員の重心が左右いずれかに偏倚(い)することがある。この場合には、図4(b)に示されるように、右側重心移動検出センサ56Rの検出値MR〔N〕と左側重心移動検出センサ56Lの検出値ML〔N〕とが等しくならない。この場合、旋回を開始する際には、重心が左右いずれかに偏倚した状態から、乗員の重心が旋回方向に移動することとなるので、重心が左右いずれかに偏倚した状態を初期状態として把握しておく必要がある。そこで、本実施の形態においては、重心移動検出センサ56の初期値設定をおこなうようになっている。
旋回制御処理が開始されると、車体制御システムは、まず、重心の検出を行う(ステップS11)。具体的には、右側重心移動検出センサ56Rの検出値MR〔N〕及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値ML〔N〕を取得する。
続いて、車体制御システムは、各重心移動検出センサ56の検出値を初期値として設定し(ステップS12)、処理を終了する。この場合、図4(b)に示されるように、検出値MR〔N〕と検出値ML〔N〕とが等しくなくても、検出値MR〔N〕及び検出値ML〔N〕を、それぞれ、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの初期値MRI〔N〕及び初期値MLI〔N〕として設定する。
次に、旋回制御処理の動作の詳細について説明する。
図10は本発明の実施の形態における車両の旋回制御処理の動作の詳細を示すフローチャートである。
まず、車体制御システムは、重心の検出を行う(ステップS21)。具体的には、右側重心移動検出センサ56Rの検出値MR〔N〕及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値ML〔N〕を取得する。
続いて、車体制御システムは、検出値を初期値と比較する(ステップS22)。具体的には、右側重心移動検出センサ56Rの検出値MR〔N〕及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値ML〔N〕を、初期値MRI〔N〕及び初期値MLI〔N〕と比較し、重心移動の有無を判断する。
そして、右側重心移動検出センサ56Rの検出値MR〔N〕及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値ML〔N〕が初期値MRI〔N〕及び初期値MLI〔N〕と異なる場合には、乗員が重心を移動した、すなわち、重心移動があったと判断し、車体制御システムは、重心入力による車両傾斜を行う(ステップS23)。具体的には、乗員に旋回意思があるものとして、重心の移動した方向に車両10を角度A度だけ傾斜させる。
前述のように、角度A度は、あらかじめ設定された値であって、通常の旋回制御処理において、ハンドルバー41aから入力された操舵量、すなわち、要求旋回量に基づいて決定される車両10の傾斜角度、すなわち、リーン角の最小値よりも小さな値である。また、後述するように、乗員による操舵がなされない場合には傾斜を元に戻すこととなるが、その場合でも、乗員に違和感を与えない程度に小さな値である。具体的には、角度A度は、1度程度であることが望ましい。
続いて、車体制御システムは、操舵角を計測する(ステップS24)。具体的には、操舵量検出器が計測した要求旋回量としてのハンドルバー41aの操舵量、すなわち、車輪12Fの操舵軸の回転角θを取得する。なお、θの値は、直進時の操舵軸の角度が基準値としてのゼロであり、右側に旋回するように操舵軸が回転すると正であり、左側に旋回するように操舵軸が回転すると負であるものとする。
そして、車体制御システムは、回転角θの絶対値をBと比較する(ステップS25)。ここで、Bはあらかじめ設定された境界値であり、操縦装置41の遊び、又は、がたつきの範囲を示す値であり、例えば、0.5度程度である。
比較の結果、回転角θの絶対値がB以下の場合、すなわち、|θ|≦Bの場合には、ハンドルバー41aの操舵量が微小であるから、操縦装置41の遊びの範囲であって、乗員は操舵を意図していない、と考えられるので、直進状態となるようにする。つまり、車輪12Fの舵角を変化させず、かつ、リンク機構30を作用させずに車体を直立に維持する、すなわち、リーン角制御を行わないようにする。
そこで、車体制御システムは、車両傾斜を戻す(ステップS26)。つまり、ステップS23において、重心の検出結果に基づき、乗員に旋回意思があるものとして、重心の移動した方向に車両10を角度A度だけ傾斜させたのであるが、操舵角を計測した結果、乗員に旋回意思がないと考える方が妥当であることが判明したので、角度A度だけ傾斜を元に戻す制御を実行する。
そして、車体制御システムは、初期値を再設定して(ステップS27)、旋回制御処理を終了する。具体的には、ステップS21における重心の検出によって取得された検出値MR〔N〕及び検出値ML〔N〕を、それぞれ、右側重心移動検出センサ56R及び左側重心移動検出センサ56Lの初期値MRI〔N〕及び初期値MLI〔N〕として設定する。
なお、前述のように、旋回制御処理は、車両10の電源が投入されている間、車体制御システムによって繰り返し実行される。
また、回転角θの絶対値をBと比較して、回転角θの絶対値がBより大きい場合、すなわち、|θ|>Bの場合には、乗員は操舵を意図していると考えられるので、車体制御システムは、リーン角制御を行い(ステップS28)、旋回制御処理を終了する。
なお、リーン角制御におけるリーン角、すなわち、車体の傾斜角は、旋回半径と車速とから求めることができる。すなわち、操舵角をθ1 とし、車輪12Fと車輪12L及び12Rとの軸距離(ホイールベース)をLとし、旋回半径をRとすると、アッカーマン・ジャントウの理論により、次の式(1)の関係が成立する。
R=L/sin θ1 ・・・式(1)
また、リーン角をθ2 とし、車速をVとし、重力加速度をgとすると、二輪車のリーン角の計算に使用される基本的な式として、次の式(2)の関係が成立する。
R=V2 /g/tan θ2 ・・・式(2)
そして、前記式(2)に従って求められるリーン角に基づいて傾斜用アクチュエータ装置25を駆動制御し、車両10の傾斜角度を制御する。
一方、検出値を初期値と比較して、右側重心移動検出センサ56Rの検出値MR〔N〕及び左側重心移動検出センサ56Lの検出値ML〔N〕が初期値MRI〔N〕及び初期値MLI〔N〕と等しい場合には、乗員が重心を移動しなかった、すなわち、重心移動がなかったと判断し、車体制御システムは、操舵角を計測する(ステップS29)。
続いて、車体制御システムは、回転角θの絶対値をBと比較し(ステップS30)、回転角θの絶対値がB以下の場合、すなわち、|θ|≦Bの場合には、旋回制御処理を終了する。
また、回転角θの絶対値がBより大きい場合、すなわち、|θ|>Bの場合、車体制御システムは、リーン角制御を行い(ステップS31)、旋回制御処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、乗員の重心移動を検出すると、乗員に旋回意思があると判断して、乗員によるハンドルバー41aの操作が開始される前に、車両10を角度A度まで傾斜させるようになっている。これにより、乗員は、違和感を感じることなく、車両10を旋回させる操作を行うことができる。
なお、その後も、乗員によるハンドルバー41aの操作が行われない場合には、乗員に旋回意思がないものとして、車両10の傾斜を元に戻すようになっている。この場合、角度A度が十分に小さく設定されているので、傾斜を元に戻しても、乗員は違和感を感じることがない。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、少なくとも左右一対の車輪と、左右一対の車輪を支持するリンク機構とを備える車両に利用することができる。
10 車両
11 搭乗部
12F、12R、12L 車輪
20 本体部
25 傾斜用アクチュエータ装置

Claims (1)

  1. 互いに連結された操舵部及び駆動部を備える車体と、
    前記操舵部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を操舵する操舵輪と、
    前記駆動部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を駆動する駆動輪と、
    乗員の重心移動を検出する重心移動検出手段と、
    乗員が要求する前記車体の要求旋回量を検出する要求旋回量検出手段と、
    前記駆動部を旋回方向に傾斜させる傾斜用アクチュエータ装置と、
    該傾斜用アクチュエータ装置を制御して車体の傾斜を制御する制御装置とを有する車両であって、
    前記制御装置は、前記乗員の重心移動が検出されると、要求旋回量の入力前に車体の傾斜を開始させて車体を所定の角度傾斜させ、前記要求旋回量の絶対値が閾値以下である場合には、車体の傾斜を元に戻すことを特徴とする車両。
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