JP5617652B2 - 車両 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも左右一対の車輪を有する車両に関するものである。
近年、エネルギ資源の枯渇問題に鑑み、車両の省燃費化が強く要求されている。その一方で、車両の低価格化等から、車両の保有者が増大し、1人が1台の車両を保有する傾向にある。そのため、例えば、4人乗りの車両を運転者1人のみが運転することで、エネルギが無駄に消費されるという問題点があった。車両の小型化による省燃費化としては、車両を1人乗りの三輪車又は四輪車として構成する形態が最も効率的であるといえる。
しかし、走行状態によっては、車両の安定性が低下してしまうことがある。そこで、車体を横方向に傾斜させることによって、旋回時の車両の安定性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−88742号公報
しかしながら、前記従来の車両においては、旋回性能を向上させるために、車体を旋回方向内側に傾斜させることができるようになっているが、車体を傾斜させている状態で強くブレーキをかけると、車体が不安定となり、乗員が不快に感じたり、不安を抱いたりしてしまうことがある。
本発明は、前記従来の車両の問題点を解決して、旋回外側への遠心力と重力とが釣り合うような角度になるように車体の傾斜角度を制御するとともに、車速の上限値を算出し、算出された上限値以下になるように車速を制御することによって、左右に旋回しているときであっても、横方向の加速度成分がゼロとなり、車体及び乗員には車体の縦方向軸線と平行な方向の力が作用するので旋回性能を向上させることができるとともに、ブレーキをかけても、車体の安定を維持することができ、乗員が違和感を感じることがなく、乗り心地がよく、安定した走行状態を実現することができる安全性の高い車両を提供することを目的とする。
そのために、本発明の車両においては、互いに連結された操舵(だ)部及び駆動部を備える車体と、前記操舵部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を操舵する操舵輪と、前記駆動部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を駆動する駆動輪と、前記車体に作用する横加速度を検出する横加速度センサと、車速を検出する車速検出手段と、前記操舵部又は駆動部を旋回方向に傾斜させるリンク機構と、該リンク機構を作動させる傾斜用アクチュエータ装置と、該傾斜用アクチュエータ装置を制御して前記車体の傾斜を制御する制御装置とを有し、該制御装置は、前記横加速度センサが検出する横加速度に基づく傾斜制御を行うとともに、最大減速度で減速した場合であっても、停止するまでの時間内に前記車体の傾斜角を安定傾斜角にまで復帰させることが可能であるように、車速を制御する車両であって、前記制御装置は、最大減速度で減速した場合であっても、停止するまでの時間内に前記車体の傾斜角を安定傾斜角にまで復帰させることが可能な車速の上限値を、重力加速度、ヨーレート、及び、最大減速度で減速した場合に安定傾斜角まで戻すことができる出発角度に基づいて算出し、前記上限値を超えないように車速を制御する
請求項1の構成によれば、車速を適切に制御するので、走行状態が不安定になることを効果的に防止することができ、より安全性の高い車両を提供することができる。また、走行状態が不安定になることを極めて効果的に防止することができる。
請求項及びの構成によれば、走行状態が不安定にならない安定傾斜角の値を適切に判断することができる。
本発明の実施の形態における車両の構成を示す右側面図である。 本発明の実施の形態における車両のリンク機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態における旋回走行時の車体の傾斜動作を説明する図である。 本発明の実施の形態における車体傾斜制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態における旋回走行時の車体の傾斜動作を説明する力学モデルを示す図である。 本発明の実施の形態における横加速度演算処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における車両の傾斜制御処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態におけるリンクモータ制御処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における車体の重心に作用する加速度を説明する図である。 本発明の実施の形態における上限車速演算処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における駆動輪制御処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における駆動モータ制御処理の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における車両の構成を示す右側面図、図2は本発明の実施の形態における車両のリンク機構の構成を示す図、図3は本発明の実施の形態における旋回走行時の車体の傾斜動作を説明する図である。なお、図3において、(a)は直立状態の背面図、(b)は傾斜状態の背面図である。
図において、10は、本実施の形態における車両であり、車体の駆動部としての本体部20と、乗員が搭乗して操舵する操舵部としての搭乗部11と、車体の前方において幅方向の中心に配設された前輪である操舵輪としての車輪12Fと、後輪として後方に配設された駆動輪である左側の車輪12L及び右側の車輪12Rとを有する。さらに、前記車両10は、車体を左右に傾斜させる、すなわち、リーンさせるためのリーン機構、すなわち、車体傾斜機構として、左右の車輪12L及び12Rを支持するリンク機構30と、該リンク機構30を作動させるアクチュエータである傾斜用アクチュエータ装置としてのリンクモータ25とを有する。なお、前記車両10は、前輪が左右二輪であって後輪が一輪の三輪車であってもよいし、前輪及び後輪が左右二輪の四輪車であってもよいが、本実施の形態においては、図に示されるように、前輪が一輪であって後輪が左右二輪の三輪車である場合について説明する。
旋回時には、左右の車輪12L及び12Rの路面18に対する角度、すなわち、キャンバ角を変化させるとともに、搭乗部11及び本体部20を含む車体を旋回内輪側へ傾斜させることによって、旋回性能の向上と乗員の快適性の確保とを図ることができるようになっている。すなわち、前記車両10は車体を横方向(左右方向)にも傾斜させることができる。なお、図2及び3(a)に示される例においては、左右の車輪12L及び12Rは路面18に対して直立している、すなわち、キャンバ角が0度になっている。また、図3(b)に示される例においては、左右の車輪12L及び12Rは路面18に対して右方向に傾斜している、すなわち、キャンバ角が付与されている。
前記リンク機構30は、左側の車輪12L及び該車輪12Lに駆動力を付与する電気モータ等から成る左側の回転駆動装置51Lを支持する左側の縦リンクユニット33Lと、右側の車輪12R及び該車輪12Rに駆動力を付与する電気モータ等から成る右側の回転駆動装置51Rを支持する右側の縦リンクユニット33Rと、左右の縦リンクユニット33L及び33Rの上端同士を連結する上側の横リンクユニット31Uと、左右の縦リンクユニット33L及び33Rの下端同士を連結する下側の横リンクユニット31Dと、本体部20に上端が固定され、上下に延在する中央縦部材21とを有する。また、左右の縦リンクユニット33L及び33Rと上下の横リンクユニット31U及び31Dとは回転可能に連結されている。さらに、上下の横リンクユニット31U及び31Dは、その中央部で中央縦部材21と回転可能に連結されている。なお、左右の車輪12L及び12R、左右の回転駆動装置51L及び51R、左右の縦リンクユニット33L及び33R、並びに、上下の横リンクユニット31U及び31Dを統合的に説明する場合には、車輪12、回転駆動装置51、縦リンクユニット33及び横リンクユニット31として説明する。
そして、駆動用アクチュエータ装置としての前記回転駆動装置51は、いわゆるインホイールモータであって、固定子としてのボディが縦リンクユニット33に固定され、前記ボディに回転可能に取り付けられた回転子としての回転軸が車輪12の軸に接続され、前記回転軸の回転によって車輪12を回転させる。なお、前記回転駆動装置51は、インホイールモータ以外の種類のモータであってもよい。
また、前記リンクモータ25は、電気モータ等を含む回転式の電動アクチュエータであって、固定子としての円筒状のボディと、該ボディに回転可能に取り付けられた回転子としての回転軸とを備えるものであり、前記ボディが取付フランジ22を介して本体部20に固定され、前記回転軸がリンク機構30の上側の横リンクユニット31Uに固定されている。なお、リンクモータ25の回転軸は、本体部20を傾斜させる傾斜軸として機能し、中央縦部材21と上側の横リンクユニット31Uとの連結部分の回転軸と同軸になっている。そして、リンクモータ25を駆動して回転軸をボディに対して回転させると、本体部20及び該本体部20に固定された中央縦部材21に対して上側の横リンクユニット31Uが回動し、リンク機構30が作動する、すなわち、屈伸する。これにより、本体部20を傾斜させることができる。なお、リンクモータ25は、その回転軸が本体部20及び中央縦部材21に固定され、そのボディが上側の横リンクユニット31Uに固定されていてもよい。
また、リンクモータ25は、リンク機構30のリンク角の変化を検出する図示されないリンク角センサを備える。該リンク角センサは、リンクモータ25においてボディに対する回転軸の回転角を検出する回転角センサであって、例えば、レゾルバ、エンコーダ等から成る。前述のように、リンクモータ25を駆動して回転軸をボディに対して回転させると、本体部20及び該本体部20に固定された中央縦部材21に対して上側の横リンクユニット31Uが回動するのであるから、ボディに対する回転軸の回転角を検出することによって、中央縦部材21に対する上側の横リンクユニット31Uの角度の変化、すなわち、リンク角の変化を検出することができる。
なお、リンクモータ25は、回転軸をボディに対して回転不能に固定する図示されないロック機構を備える。該ロック機構は、メカニカルな機構であって、回転軸をボディに対して回転不能に固定している間には電力を消費しないものであることが望ましい。前記ロック機構によって、回転軸をボディに対して所定の角度で回転不能に固定することができる。
前記搭乗部11は、本体部20の前端に図示されない連結部を介して連結される。該連結部は、搭乗部11と本体部20とを所定の方向に相対的に変位可能に連結する機能を有していてもよい。
また、前記搭乗部11は、座席11a、フットレスト11b及び風よけ部11cを備える。前記座席11aは、車両10の走行中に乗員が着座するための部位である。また、前記フットレスト11bは、乗員の足部を支持するための部位であり、座席11aの前方側(図1における右側)下方に配設される。
さらに、搭乗部11の後方若しくは下方又は本体部20には、図示されないバッテリ装置が配設されている。該バッテリ装置は、回転駆動装置51及びリンクモータ25のエネルギ供給源である。また、搭乗部11の後方若しくは下方又は本体部20には、図示されない制御装置、インバータ装置、各種センサ等が収納されている。
そして、座席11aの前方には、操縦装置41が配設されている。該操縦装置41には、操舵装置としてのハンドルバー41a、速度メータ等のメータ、インジケータ、スイッチ等の操縦に必要な部材が配設されている。乗員は、前記ハンドルバー41a及びその他の部材を操作して、車両10の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、旋回半径等)を指示する。なお、乗員が要求する車体の要求旋回量を出力するための手段である操舵装置として、ハンドルバー41aに代えて他の装置、例えば、ステアリングホイール、ジョグダイヤル、タッチパネル、押しボタン等の装置を操舵装置として使用することもできる。
なお、車輪12Fは、サスペンション装置(懸架装置)の一部である前輪フォーク17を介して搭乗部11に接続されている。前記サスペンション装置は、例えば、一般的なオートバイ、自転車等において使用されている前輪用のサスペンション装置と同様の装置であり、前記前輪フォーク17は、例えば、スプリングを内蔵したテレスコピックタイプのフォークである。そして、一般的なオートバイ、自転車等の場合と同様に、乗員によるハンドルバー41aの操作に応じて操舵輪としての車輪12Fは舵角を変化させ、これにより、車両10の進行方向が変化する。
具体的には、前記ハンドルバー41aは、図示されない操舵軸部材の上端に接続され、操舵軸部材の下端には前輪フォーク17の上端が接続されている。前記操舵軸部材は、上端が下端よりも後方に位置するように斜めに傾斜した状態で、搭乗部11が備える図示されないフレーム部材に、回転可能に取り付けられている。また、前輪である車輪12Fの車軸と後輪である左右の車輪12L及び12Rの車軸との距離、すなわち、ホイールベースはLH である。
さらに、車両10は、後述されるスロットルグリップ35を操縦装置の一部として備える。該スロットルグリップ35は、一般的なオートバイ等において使用されているスロットルグリップと同様の部材であり、ハンドルバー41aの一端に回転可能に取り付けられ、その回転角度、すなわち、スロットル開度に応じて、車両10を加速するような走行指令を入力する装置である。さらには、スロットルグリップ35を通常の四輪自動車と同様にアクセルペダルに置き換えることも可能である。この場合、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度に応じて、車両10を加速するような走行指令を入力することになる。
また、車輪12Fの車軸を支持する前輪フォーク17の下端には、車両10の走行速度である車速を検出する車速検出手段としての車速センサ54が配設されている。該車速センサ54は、車輪12Fの回転速度に基づいて車速を検出するセンサであり、例えば、エンコーダ等から成る。
本実施の形態において、車両10は横加速度センサ44を有する。該横加速度センサ44は、一般的な加速度センサ、ジャイロセンサ等から成るセンサであって、車両10の横加速度、すなわち、車体の幅方向としての横方向(図3における左右方向)の加速度を検出する。
車両10は、旋回時に車体を旋回内側に傾斜させて安定させるので、車体を傾斜させることによって、旋回時の旋回外側への遠心力と重力とが釣り合うような角度になるように制御される。このような制御を行うことによって、例えば、路面18が進行方向と垂直な方向(進行方向に対する左右方向)に傾斜していたとしても、常に車体を水平に保つことが可能になる。これにより、車体及び乗員には、見かけ上、常に重力が鉛直下向きにかかっていることになり、違和感が低減され、また、車両10の安定性が向上する。
そこで、本実施の形態においては、傾斜する車体の横方向の加速度を検出するために、横加速度センサ44を車体に取り付け、横加速度センサ44の出力がゼロとなるようにフィードバック制御を行う。これにより、旋回時に作用する遠心力と重力とが釣り合う傾斜角まで、車体を傾斜させることができる。また、進行方向と垂直な方向に路面18が傾斜している場合でも、車体が鉛直になる傾斜角となるように制御することができる。なお、前記横加速度センサ44は、車体の幅方向の中心、すなわち、車体の縦方向軸線上に位置するように配設されている。
しかし、横加速度センサ44が1つであると、不要加速度成分をも検出してしまうことがある。例えば、車両10の走行中、路面18の窪(くぼ)みに左右の車輪12L及び12Rのいずれか一方のみが落下する場合があり得る。この場合、車体が傾斜するので、横加速度センサ44は、周方向に変位し、周方向の加速度を検出することになる。つまり、遠心力や重力に直接由来しない加速度成分、すなわち、不要加速度成分が検出されてしまう。
また、車両10は、例えば、車輪12L及び12Rのタイヤ部分のように弾性を備え、ばねとして機能する部分を含み、また、各部材の接続部等に不可避的なガタが含まれる。そのため、横加速度センサ44は、不可避的なガタやばねを介して車体に取り付けられていると考えられるので、ガタやばねの変位によって生じる加速度をも不要加速度成分として検出してしまう。
このような不要加速度成分は、車体傾斜制御システムの制御性を悪化させる可能性がある。例えば、車体傾斜制御システムの制御ゲインを大きくすると、不要加速度成分に起因する制御系の振動、発散等が発生するので、応答性を向上させようとしても制御ゲインを大きくすることができなくなってしまう。
そこで、本実施の形態においては、横加速度センサ44が複数であって、互いに異なる高さに配設されている。図1及び3に示される例において、横加速度センサ44は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの2つであって、第1横加速度センサ44aと第2横加速度センサ44bとは互いに異なる高さ位置に配設されている。第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの位置を適切に選択することで、効果的に不要加速度成分を取り除くことができる。
具体的には、図3(a)に示されるように、第1横加速度センサ44aは、搭乗部11の背面において、路面18からの距離、すなわち、高さがL1 の位置に配設されている。また、第2横加速度センサ44bは、搭乗部11の背面又は本体部20の上面において、路面18からの距離、すなわち、高さがL2 の位置に配設されている。なお、L1 >L2 である。そして、旋回走行時に、図3(b)に示されるように、車体を旋回内側(図において右側)に傾けた状態で旋回すると、第1横加速度センサ44aは、横方向の加速度を検出して検出値a1 を出力し、第2横加速度センサ44bは、横方向の加速度を検出して検出値a2 を出力する。なお、車体が傾く際の傾斜運動の中心、すなわち、ロール中心は、厳密には路面18よりわずかに下方に位置するが、実際上は、概略路面18と等しい位置であると考えられる。
前記第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bは、ともに、十分に剛性の高い部材に取り付けられることが望ましい。また、L1 とL2 との差は、小さいと検出値a1 及びa2 の差が小さくなるので、十分に大きいこと、例えば、0.3〔m〕以上、とすることが望ましい。さらに、前記第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bは、ともに、リンク機構30よりも上方に配設されることが望ましい。さらに、車体がサスペンション等のばねで支持されている場合、前記第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bは、ともに、いわゆる「ばね上」に配設されることが望ましい。さらに、前記第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bは、ともに、前輪である車輪12Fの車軸と後輪である車輪12L及び12Rの車軸との間に配設されることが望ましい。さらに、前記第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bは、ともに、可能な限り乗員の近くに配設されることが望ましい。さらに、前記第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bは、ともに、上側から観て進行方向に延在する車体の中心軸上に位置すること、すなわち、進行方向に関してオフセットされないことが望ましい。
本実施の形態においては、車体の旋回運動の角速度、すなわち、車体のヨー角速度を検出するヨー角速度検出手段としてのヨーレートセンサ44eが配設されている。具体的には、前記ヨーレートセンサ44eは、例えば、座席11aとフットレスト11bとの間に配設される。
なお、前記ヨーレートセンサ44eは、一般的なヨーレートセンサであって、例えば、ジャイロセンサを、路面18と平行な面内での回転角速度を検出することができるように取り付けたものである。
また、本実施の形態における車両10は、制御装置の一部としての車体傾斜制御システムを有する。該車体傾斜制御システムは、一種のコンピュータシステムであり、ECU(Electronic Control Unit)等から成る傾斜制御装置を備える。該傾斜制御装置は、プロセッサ等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、スロットルグリップ35、第1横加速度センサ44a、第2横加速度センサ44b、ヨーレートセンサ44e、車速センサ54、リンクモータ25及び回転駆動装置51に接続されている。そして、前記傾斜制御装置は、リンクモータ25を作動させるためのトルク指令値及び回転駆動装置51を作動させるためのトルク指令値を出力する。
前記傾斜制御装置は、旋回走行の際には、フィードバック制御を行い、車体の傾斜角度が、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出する横加速度の値がゼロとなるような角度になるように、リンクモータ25を作動させる。つまり、旋回外側への遠心力と重力とが釣り合って、横方向の加速度成分がゼロとなるような角度になるように、車体の傾斜角度を制御する。これにより、車体及び搭乗部11に搭乗している乗員には、車体の縦方向軸線と平行な方向の力が作用することとなる。したがって、車体の安定を維持することができ、また、旋回性能を向上させることができる。
また、前記傾斜制御装置は、車速の上限値を算出し、算出された上限値以下になるように車速を制御する。これにより、走行中にブレーキをかけたとき、すなわち、減速したときにも、車体の安定を維持することができる。また、乗員が違和感を感じることがなく、乗り心地が向上する。
次に、前記車体傾斜制御システムの構成について説明する。
図4は本発明の実施の形態における車体傾斜制御システムの構成を示すブロック図である。
図において、46は傾斜制御装置としての傾斜制御ECUであり、走行指令装置の1つとしてのスロットルグリップ35、第1横加速度センサ44a、第2横加速度センサ44b、ヨーレートセンサ44e、車速センサ54、インホイールモータである回転駆動装置51及びリンクモータ25に接続されている。また、前記傾斜制御ECU46は、演算部48、傾斜制御部47、リンクモータ制御部42、駆動輪制御部49及び駆動モータ制御部50を備える。
ここで、前記演算部48は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出した横加速度に基づいて合成横加速度を算出する。そして、前記傾斜制御部47は、演算部48が算出した合成横加速度に基づいて制御値としての速度指令値を演算して出力する。さらに、前記リンクモータ制御部42は、傾斜制御部47が出力した速度指令値に基づいてリンクモータ25を作動させるための制御値としてのトルク指令値を出力する。
また、前記演算部48は、車速の上限値を算出する。そして、前記駆動輪制御部49は、演算部48が算出した車速の上限値、及び、スロットルグリップ35の回転角度、すなわち、スロットル開度に基づいて駆動輪制御値を算出して出力する。さらに、前記駆動モータ制御部50は、駆動輪制御部49が出力した駆動輪制御値に基づいて回転駆動装置51を作動させるためのトルク指令値を出力する。
次に、前記構成の車両10の動作について説明する。まず、旋回走行における車体傾斜制御処理の動作の一部である横加速度演算処理の動作について説明する。
図5は本発明の実施の形態における旋回走行時の車体の傾斜動作を説明する力学モデルを示す図、図6は本発明の実施の形態における横加速度演算処理の動作を示すフローチャートである。
旋回走行が開始されると、車体傾斜制御システムは車体傾斜制御処理を開始する。姿勢制御が行われることで、車両10は、リンク機構30によって、旋回走行時には、図3(b)に示されるように、車体を旋回内側(図において右側)に傾けた状態で旋回する。また、旋回走行時には、旋回外側への遠心力が車体に作用するとともに、車体を旋回内側に傾けたことによって重力の横方向成分が発生する。そして、演算部48は、横加速度演算処理を実行し、合成横加速度aを算出して傾斜制御部47に出力する。すると、該傾斜制御部47は、フィードバック制御を行い、合成横加速度aの値がゼロとなるような制御値としての速度指令値を出力する。そして、リンクモータ制御部42は、傾斜制御部47が出力した速度指令値に基づいてトルク指令値をリンクモータ25に出力する。
なお、車体傾斜制御処理は、車両10の電源が投入されている間、車体傾斜制御システムによって繰り返し所定の制御周期TS (例えば、5〔ms〕)で実行される処理であり、旋回時において、旋回性能の向上と乗員の快適性の確保とを図る処理である。
なお、図5において、44Aは車体において第1横加速度センサ44aの配設された位置を示す第1センサ位置であり、44Bは車体において第2横加速度センサ44bの配設された位置を示す第2センサ位置である。
第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する加速度は、〈1〉旋回時に車体に作用する遠心力、〈2〉車体を旋回内側に傾けたことによって発生する重力の横方向成分、〈3〉左右の車輪12L及び12Rのいずれか一方のみが路面18の窪みに落下することによる車体の傾斜、ガタやばねの変位等により第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが周方向に変位することによって生じる加速度、並びに、〈4〉リンクモータ25の作動又はその反作用により第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが周方向に変位することによって生じる加速度、の4つであると考えられる。これら4つの加速度のうち、前記〈1〉及び〈2〉は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの高さ、すなわち、L1 及びL2 と無関係である。一方、前記〈3〉及び〈4〉は、周方向に変位することによって生じる加速度であるから、ロール中心からの距離に比例する、すなわち、概略L1 及びL2 に比例する。
ここで、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する〈3〉の加速度をaX1及びaX2とし、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する〈4〉の加速度をaM1及びaM2とする。また、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する〈1〉の加速度をaT とし、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する〈2〉の加速度をaG とする。なお、前記〈1〉及び〈2〉は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの高さに無関係なので、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの検出値は等しい。
そして、左右の車輪12L及び12Rのいずれか一方のみが路面18の窪みに落下することによる車体の傾斜、ガタやばねの変位等による周方向の変位の角速度をωR とし、その角加速度をωR ’とする。また、リンクモータ25の作動又はその反作用による周方向の変位の角速度をωM とし、その角加速度をωM ’とする。なお、角速度ωM 又は角加速度ωM ’は、リンク角センサの検出値から取得することができる。
すると、aX1=L1 ωR ’、aX2=L2 ωR ’、aM1=L1 ωM ’、aM2=L2 ωM ’となる。
また、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出して出力する加速度の検出値をa1 及びa2 とすると、a1 及びa2 は、4つの加速度〈1〉〜〈4〉の合計であるから、次の式(1)及び(2)で表される。
1 =aT +aG +L1 ωR ’+L1 ωM ’ ・・・式(1)
2 =aT +aG +L2 ωR ’+L2 ωM ’ ・・・式(2)
そして、式(1)から式(2)を減算すると、次の式(3)を得ることができる。
1 −a2 =(L1 −L2 )ωR ’+(L1 −L2 )ωM ’ ・・・式(3)
ここで、L1 及びL2 の値は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの高さであるから既知である。また、ωM ’の値は、リンクモータ25の角速度ωM の微分値であるから既知である。すると、前記式(3)の右辺においては、第1項のωR ’の値のみが未知であり、他の値はすべて既知である。したがって、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの検出値a1 及びa2 から、ωR ’の値を得ることが可能である。つまり、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの検出値a1 及びa2 に基づいて、不要加速度成分を取り除くことができる。
車体傾斜制御システムが車体傾斜制御処理を開始すると、演算部48は、横加速度演算処理を開始し、まず、第1横加速度センサ値a1 を取得するとともに(ステップS1)、第2横加速度センサ値a2 を取得する(ステップS2)。そして、演算部48は、加速度差Δaを算出する(ステップS3)。該Δaは次の式(4)によって表される。
Δa=a1 −a2 ・・・式(4)
続いて、演算部48は、ΔL呼出を行うとともに(ステップS4)、L2 呼出を行う(ステップS5)。前記ΔLは次の式(5)によって表される。
ΔL=L1 −L2 ・・・式(5)
続いて、演算部48は、合成横加速度aを算出する(ステップS6)。なお、合成横加速度aは、横加速度センサ44が1つである場合における横加速度センサ値aに相当する値であって、第1横加速度センサ値a1 と第2横加速度センサ値a2 とを合成した値であり、次の式(6)及び(7)によって得られる。
a=a2 −(L2 /ΔL)Δa ・・・式(6)
a=a1 −(L1 /ΔL)Δa ・・・式(7)
理論上は、式(6)によっても式(7)によっても、同じ値を得ることができるが、周方向の変位によって生じる加速度はロール中心からの距離に比例するので、実際上は、ロール中心により近い方の横加速度センサ44、すなわち、第2横加速度センサ44bの検出値であるa2 を基準にすることが望ましい。そこで、本実施の形態においては、式(6)によって合成横加速度aを算出することとする。
最後に、演算部48は、傾斜制御部47へ合成横加速度aを送出して(ステップS7)、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、第1横加速度センサ44aと第2横加速度センサ44bとを互いに異なる高さ位置に配設し、第1横加速度センサ値a1 と第2横加速度センサ値a2 とを合成した合成横加速度aを算出し、該合成横加速度aの値がゼロとなるように、フィードバック制御を行って車体の傾斜角度を制御する。
これにより、不要加速度成分を取り除くことができるので、路面状況の影響を受けることがなく、制御系の振動、発散等の発生を防止することができ、車体傾斜制御システムの制御ゲインを大きくして制御の応答性を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、横加速度センサ44が2つである場合について説明したが、横加速度センサ44は、複数であって互いに異なる高さに配設されていれば、3つ以上であってもよく、いくつであってもよい。
次に、リンクモータ制御部42へ速度指令値を出力するための傾斜制御処理の動作について説明する。
図7は本発明の実施の形態における車両の傾斜制御処理の動作を示すフローチャートである。
傾斜制御処理において、傾斜制御部47は、まず、演算部48から合成横加速度aを受信する(ステップS11)。
続いて、傾斜制御部47は、aold 呼出を行う(ステップS12)。aold は、前回の車体傾斜制御処理実行時に保存された合成横加速度aである。なお、初期設定においては、aold =0とされている。
続いて、傾斜制御部47は、制御周期TS を取得し(ステップS13)、aの微分値を算出する(ステップS14)。ここで、aの微分値をda/dtとすると、該da/dtは次の式(8)によって算出される。
da/dt=(a−aold )/TS ・・・式(8)
そして、傾斜制御部47は、aold =aとして保存する(ステップS15)。つまり、今回の車体傾斜制御処理実行時に取得した横加速度センサ値aをaold として、記憶手段に保存する。
続いて、傾斜制御部47は、第1制御値UP を算出する(ステップS16)。ここで、比例制御動作の制御ゲイン、すなわち、比例ゲインをCP とすると、第1制御値UP は次の式(9)によって算出される。
P =CP a ・・・式(9)
続いて、傾斜制御部47は、第2制御値UD を算出する(ステップS17)。ここで、微分制御動作の制御ゲイン、すなわち、微分時間をCD とすると、第2制御値UD は次の式(10)によって算出される。
D =CD da/dt ・・・式(10)
続いて、傾斜制御部47は、第3制御値Uを算出する(ステップS18)。該第3制御値Uは、第1制御値UP と第2制御値UD との合計であり、次の式(11)によって算出される。
U=UP +UD ・・・式(11)
最後に、傾斜制御部47は、第3制御値Uを速度指令値としてリンクモータ制御部42へ出力して(ステップS19)、処理を終了する。
次に、リンクモータ25へトルク指令値を出力するためのリンクモータ制御処理の動作について説明する。
図8は本発明の実施の形態におけるリンクモータ制御処理の動作を示すフローチャートである。
リンクモータ制御処理において、リンクモータ制御部42は、まず、傾斜制御部47から第3制御値Uを受信する(ステップS21)。
続いて、リンクモータ制御部42は、リンク角センサが検出したリンク角センサ値ηに基づいて、リンク機構30のリンク角の角速度Δηを算出する(ステップS22)。
また、リンクモータ制御部42は、Δηの値を演算部48等から取得することができるときは、前記ステップS22の動作を省略することもできる。
続いて、リンクモータ制御部42は、制御誤差を算出する(ステップS23)。ここで、制御誤差をεとすると、該εは、次の式(12)によって算出される。
ε=U−Δη ・・・式(12)
なお、Uは傾斜制御部47から受信した第3制御値Uである。
続いて、リンクモータ制御部42は、モータ制御比例ゲインGMPを取得する(ステップS24)。該モータ制御比例ゲインGMPの値は、実験等に基づいて設定された値であり、あらかじめ記憶手段に格納されている。
続いて、リンクモータ制御部42は、リンクモータ25を作動させるためのトルク指令値を算出する(ステップS25)。ここで、トルク指令値をUT とすると、該UT は次の式(13)によって算出される。
T =GMPε ・・・式(13)
最後に、リンクモータ制御部42は、トルク指令値UT をリンクモータ25へ出力して(ステップS26)、処理を終了する。
次に、車速の上限値を算出し、算出された上限値以下になるように車速を制御するための上限車速演算処理の動作について説明する。
図9は本発明の実施の形態における車体の重心に作用する加速度を説明する図、図10は本発明の実施の形態における上限車速演算処理の動作を示すフローチャートである。なお、図9において、(a)は左側面図、(b)は上面図である。
本実施の形態においては、傾斜制御装置は、車体を傾斜させて旋回走行を行っている際に減速した場合であっても車体の安定を維持することができるように、車速の上限値を算出し、算出された上限値以下になるように車速を制御する。前述のように、本実施の形態における車両10は、前輪が一輪であって後輪が左右二輪の三輪車である。この場合、ブレーキをかけた時、すなわち、減速時には車体が不安定になる。そして、旋回走行時に減速した場合、図9に示されるように、車両10の重心Mの高さhと減速度とによって、横方向の安定余裕、すなわち、横加速度の余裕値が決まる。
該横加速度の余裕値は、水平面内において、車両10の重心Mの位置が制御可能な所定の範囲、すなわち、安定範囲に留まることが可能な横加速度の最大値である。なお、前記重心Mは、車両10のみならず、搭乗している乗員及び搭載されている積載物をも含む全体の重心である。
前記所定の範囲は、各車輪12の接地点を結ぶ線分によって外延が画定された範囲であり、各車輪12の接地点を結ぶ線分によって形成された多角形である。該多角形は、車両10が四輪車である場合には四角形であり、車両10が三輪車である場合には三角形である。本実施の形態において、前記多角形は、図9(b)に示されるように、前輪である車輪12Fの接地点と、後輪である左右の車輪12L及び12Rの接地点とを頂点とする二等辺三角形Kである。
一定の車速での走行時において、重心前後位置、すなわち、車輪12Fの接地点から重心Mまでの距離の水平成分はl1 であり、横加速度の余裕値はa1 であるとする。これに対し、減速度1〔G〕で減速すると、矢印Nで示されるように重心Mが前方に移動し、重心前後位置はl2 となり、横加速度の余裕値はa2 にまで減少してしまう。
そこで、車両10の減速時において想定される最大減速度が1〔G〕であるとすると、横加速度の値がa2 となる車体の傾斜角度を「想定される最悪の条件下で倒れない最大の傾斜角度」と定義する。
ところで、「リンクモータが出力し得る最大角加速度」は、近似的に横加速度の値がa2 となる車体の傾斜角度での重心Mに作用する重力の分力となる。例えば、a2 =0となる場合、すなわち、減速時に重心Mが前輪である車輪12Fの接地点よりも前方に位置する場合、「リンクモータが出力し得る最大角加速度」は0となる。仮に、リンクモータ25が「リンクモータが出力し得る最大角加速度」以上の角加速度を発生させたとすると、車体が傾斜せずに左側の車輪12Lが宙に浮くこととなるので、車体の安定性が著しく低下してしまう。
また、「リンク角の制限値」は、現在の車速で走行中に想定される最大減速度で減速した場合、車両10が停止するまでの時間内に「想定される最悪の条件下で倒れない最大の傾斜角度」まで戻すことができる車体の傾斜角度の出発角度である。換言すると、該出発角度から「リンクモータが出力し得る最大角加速度」でリンクモータ25を作動させて「想定される最悪の条件下で倒れない最大の傾斜角度」に到達した時に、車速がちょうど0になる、ということである。
上限車速演算処理において、演算部48は、まず、θN を算出する(ステップS31)。ここで、θN は、「想定される最悪の条件下で倒れない最大の傾斜角度」としての安定傾斜角であり、次の式(14)によって算出される。
sin θN =W(l−haDec /g)/2hLH ・・・式(14)
なお、hは、重心Mの高さ、すなわち、路面18から重心Mまでの距離である。そして、lは、重心前後位置、すなわち、車輪12Fの接地点から重心Mまでの距離の水平成分である。また、Wは、トレッド、すなわち、後輪である左右の車輪12L及び12Rの接地点間の距離である。さらに、aDec は、想定される最大の減速度であり、正の実数である。
前記式(14)は、車両10が、前輪が一輪であって後輪が左右二輪の三輪車である場合に使用される式であり、車両10が、前輪が左右二輪であって後輪が一輪の三輪車である場合、安定傾斜角θN は次の式(15)によって算出される。
sin θN =W(LH −l+haDec /g)/2hLH ・・・式(15)
また、車両10が、前輪及び後輪が左右二輪の四輪車である場合、前輪のトレッドと後輪のトレッドとの間に大きな差がないときには、θN は次の式(16)によって算出される。
sin θN =W/2h ・・・式(16)
なお、車両10が、前輪及び後輪が左右二輪の四輪車である場合、前輪のトレッドと後輪のトレッドとの間に大きな差があるときには、右前輪の接地点と右後輪の接地点とを結ぶ線分及び左前輪の接地点と左後輪の接地点とを結ぶ線分を延長した直線の交差点を、仮想車輪接地点として、該仮想車輪接地点が車体よりも進行方向前方にあれば前記式(14)によって算出し、車体よりも進行方向後方にあれば前記式(15)によって算出する。
続いて、演算部48は、リンク機構30のリンク角の角加速度d2 η/dt2 を算出する(ステップS32)。
続いて、演算部48は、最大リンク角ηLim を算出する(ステップS33)。該最大リンク角ηLim は、「リンク角の制限値」であり、前述のように、現在の車速で走行中に想定される最大減速度で減速した場合、車両10が停止するまでの時間内に「想定される最悪の条件下で倒れない最大の傾斜角度」まで戻すことができる車体の傾斜角度の出発角度である。前記最大リンク角ηLim は次の式(17)によって算出される。
ηLim =(d2 η/dt2 )(ν/aDec 2 /2+θN
=(ν/aDec 2 gsin θN /2h+θN ・・・式(17)
ここで、νは、車速センサ54が検出した車速である。
なお、車両10が、前輪及び後輪が左右二輪の四輪車である場合であって前輪のトレッドと後輪のトレッドとの間に大きな差がないときには、θN の算出にaDec を使用しないが、最大リンク角ηLim の算出には、前記式(17)を使用する。
続いて、演算部48は、算出した最大リンク角ηLim がリンク角制限値ηMax 未満であるか否か、すなわち、ηLim <ηMax であるか否かを判断する(ステップS34)。なお、リンク角制限値ηMax は、実際のリンク角が取り得る最大値であって、リンク機構30の構造によって定まる値である。
そして、ηLim <ηMax である場合、演算部48は、最大リンク角ηLim の値をリンク角制限値ηMax の値とする。すなわち、ηLim =ηMax とする(ステップS35)。なお、ηLim <ηMax でない場合には、算出した最大リンク角ηLim の値をそのまま採用する。
続いて、演算部48は、車速の上限値としての上限車速νS を算出する(ステップS36)。ここで、上限車速νS は、次の式(18)によって算出される。
νS =(g/|ω|)tan ηLim ・・・式(18)
なお、ωは、ヨーレートセンサ44eが検出したヨーレートである。前記式(18)においては、演算エラーを抑制するために、ω=0の場合には、十分に小さな値をωに適用する。
最後に、演算部48は、駆動輪制御部49へ上限車速νS 及び車速センサ54が検出した車速νを送出し(ステップS37)、処理を終了する。
次に、駆動輪制御値を出力するための駆動輪制御処理の動作について説明する。
図11は本発明の実施の形態における駆動輪制御処理の動作を示すフローチャートである。
駆動輪制御処理において、駆動輪制御部49は、まず、演算部48が出力した上限車速νS を取得するとともに(ステップS41)、車速センサ値、すなわち、車速センサ54が検出した車速νを取得する(ステップS42)。さらに、駆動輪制御部49は、スロットルグリップ35の回転角度、すなわち、スロットル開度thを取得する(ステップS43)。
続いて、駆動輪制御部49は、制御ゲインGを算出する(ステップS44)。該制御ゲインGは、次の式(19)によって算出される。
G=(ν−ν S )A ・・・式(19)
ここで、Aは、0〜1の任意の値であり、車両10の構造に応じて決定されるチューニング定数である。
続いて、駆動輪制御部49は、算出した制御ゲインGがゼロ未満であるか否か、すなわち、G<0であるか否かを判断する(ステップS45)。
そして、G<0でない場合、駆動輪制御部49は、th* (1−G/A)をスロットル開度thとする(ステップS46)。すなわち、th=th* (1−G/A)とする。なお、G<0である場合には、取得したスロットル開度thをそのまま使用する。
続いて、駆動輪制御部49は、スロットル開度thがゼロより大きいか否か、すなわち、th>0であるか否かを判断する(ステップS47)。
そして、th>0でない場合、駆動輪制御部49は、スロットル開度thをゼロとする(ステップS48)。すなわち、th=0とする。なお、th>0である場合には、取得したスロットル開度thをそのまま使用する。
続いて、駆動輪制御部49は、算出した制御ゲインGがチューニング定数Aより小さいか否か、すなわち、G<Aであるか否かを判断する(ステップS49)。
そして、G<Aでない場合、駆動輪制御部49は、ブレーキフラグebを1とする(ステップS50)。すなわち、ブレーキフラグebを立てて、eb=1とする。なお、G<Aである場合には、ブレーキフラグebを立てない。すなわち、eb=0のままにしておく(ステップS51)。
最後に、駆動輪制御部49は、駆動モータ制御部50へスロットル開度th及びブレーキフラグebを送出し(ステップS52)、処理を終了する。
次に、回転駆動装置51を作動させる制御値としてのトルク指令値を出力するための駆動モータ制御処理の動作について説明する。
図12は本発明の実施の形態における駆動モータ制御処理の動作を示すフローチャートである。
駆動モータ制御処理において、駆動モータ制御部50は、まず、駆動輪制御部49からブレーキフラグebを取得し(ステップS61)、ブレーキフラグebが立っているか否か、すなわち、eb=1であるか否かを判断する(ステップS62)。
そして、eb=1でない場合、駆動モータ制御部50は、駆動輪制御部49からスロットル開度thを取得する(ステップS63)。また、eb=1である場合、駆動モータ制御部50は、スロットル開度thの値をゼロに設定する(ステップS64)。
続いて、駆動モータ制御部50は、最大トルク指令値τWmax呼出を行う(ステップS65)。最大トルク指令値τWmaxは、車輪12を駆動するモータである回転駆動装置51に駆動モータ制御部50が送信するトルク指令値τW の最大値であって、あらかじめ設定され、記憶手段に保存されている。
続いて、駆動モータ制御部50は、トルク指令値τW を算出する(ステップS66)。トルク指令値τW は、次の式(20)によって算出される。
τW =τWmaxth ・・・式(20)
最後に、駆動モータ制御部50は、トルク指令値τW を回転駆動装置51へ出力して(ステップS67)、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、車速νの上限値としての上限車速νS を算出し、車速νが上限車速νS を超えることがないように制御する。具体的には、横加速度センサ44が検出する横加速度に基づくフィードバック制御を行うとともに、最大減速度で減速した場合であっても、停止するまでの時間内に車体の傾斜角を安定傾斜角θN にまで復帰させることが可能であるように、車速νを制御する。
このように、リンク機構30のリンク角ηを制限することなく、車速νを制御するので、走行状態が不安定になることを効果的に防止することができる。したがって、より安全性の高い車両10を提供することができる。
また、最大減速度で減速した場合であっても、停止するまでの時間内に車体の傾斜角を安定傾斜角θN にまで復帰させることが可能な上限車速νS を算出し、上限車速νS を超えないように車速νを制御する。すなわち、「リンク角の制限値」である最大リンク角ηLim を実現する車速νである上限車速νS を超えないように車速νを制御する。したがって、走行状態が不安定になることを極めて効果的に防止することができる。
さらに、安定傾斜角θN は、車体に作用する横加速度及び最大減速度によって移動する重心Mの位置が制御可能な範囲を外れない傾斜角であり、制御可能な範囲は、水平面内において車輪12の接地点を結ぶ線分によって形成された多角形である。したがって、走行状態が不安定にならない安定傾斜角θN の値を適切に判断することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、少なくとも左右一対の車輪を有する車両に利用することができる。
10 車両
11 搭乗部
12F、12L、12R 車輪
20 本体部
25 リンクモータ
30 リンク機構
44 横加速度センサ
44a 第1横加速度センサ
44b 第2横加速度センサ
54 車速センサ

Claims (3)

  1. 互いに連結された操舵部及び駆動部を備える車体と、
    前記操舵部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を操舵する操舵輪と、
    前記駆動部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を駆動する駆動輪と、
    前記車体に作用する横加速度を検出する横加速度センサと、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記操舵部又は駆動部を旋回方向に傾斜させるリンク機構と、
    該リンク機構を作動させる傾斜用アクチュエータ装置と、
    該傾斜用アクチュエータ装置を制御して前記車体の傾斜を制御する制御装置とを有し、
    該制御装置は、前記横加速度センサが検出する横加速度に基づく傾斜制御を行うとともに、最大減速度で減速した場合であっても、停止するまでの時間内に前記車体の傾斜角を安定傾斜角にまで復帰させることが可能であるように、車速を制御する車両であって、
    前記制御装置は、最大減速度で減速した場合であっても、停止するまでの時間内に前記車体の傾斜角を安定傾斜角にまで復帰させることが可能な車速の上限値を、重力加速度、ヨーレート、及び、最大減速度で減速した場合に安定傾斜角まで戻すことができる出発角度に基づいて算出し、前記上限値を超えないように車速を制御することを特徴とする車両。
  2. 前記安定傾斜角は、前記車体に作用する横加速度及び前記最大速度によって移動する重心位置が制御可能な範囲を外れない傾斜角である請求項1に記載の車両。
  3. 前記制御可能な範囲は、水平面内において前記車輪の接地点を結ぶ線分によって形成された多角形である請求項に記載の車両。
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