実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜5を用いて説明する。図4(a)は二つの扉部とそれぞれに対応するアンテナ部を有するRFIDリーダ構成図、図4(b)は一つの扉部とその内外にアンテナ部を有するRFIDリーダ構成図、図5(a)は図4(a)に示すRFIDリーダが設置された管理エリアの模式図、図5(b)は図4(b)に示すRFIDリーダが設置された管理エリアの模式図であり、図1〜5において、1は複数の管理エリアごとに少なくとも一つずつ設けられる仕切り手段のうち、複数の管理エリアの一つである一の管理エリアを仕切る一の仕切り手段である扉部、2は扉部1を制御し、扉部1を開錠させる接点制御部、3はタグIDごとに扉部1の開錠の許可・不許可判定を行い、その判定に基づき、接点制御部2へ扉部1の開錠の指令を行う認証部、4は認証部3が行う許可・不許可判定の参照となる、タグIDごとに扉1の開錠の許可、不許可を定義したタグID情報、及び、タグIDごとの複数の管理エリアにおける入退室の状態を示すタグ状態情報、を記憶し、認証部3がタグIDに対して許可判定を下したときに、認証部3が許可判定を下したタグIDを有するRFIDタグは一の管理エリア内に存在するとしてタグ状態情報を更新する情報記憶部、5は一の管理エリア以外の管理エリア内におけるタグ状態情報を外部から受信して情報記憶部3へ送り、情報記憶部3にタグ状態情報を更新させるタグ状態通信部、6は有線又は無線によりタグ状態通信部5と外部とを繋ぐタグ状態通信線である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1〜5において、7は通行者などの生体又は物品に添付された一のRFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する一のRFIDタグからの返信波を受信するアンテナ部であり、扉部1若しくは扉部1の近傍に設けられるものである。なお、アンテナ部7が形成された扉部1の近傍部分を含めて、扉部1として解釈してもよい。つまり、扉部と扉部の近傍部分とを合わせて扉部1として解釈してもよい。また、扉部1は、ゲートなどの門であってもよい。その場合、接点制御部2はゲート1を制御し、開門させることになる。なお、扉部1がゲートの場合は、入退室と称するよりも、入退場と称した方が、よりよいが、本実施の形態では、簡略化のために、入退室(入室,退室)と入退場(入場,退場)とをまとめて、入退室(入室,退室)と称する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1〜5において、8はアンテナ部7を制御し、返信波が有する一のRFIDタグのタグIDを認証部3に送るリーダ通信部、9は情報記憶部4が記憶するタグID情報を更新するために外部と接続される定義情報通信部、10は定義情報通信部9と接続されたホストコンピュータ(ホスト、サーバ、PC)、11は定義情報通信部9とホストコンピュータ10とを接続するタグID情報通信線、12は接点制御部2,認証部3,情報記憶部4,タグ状態情報通信部5,リーダ通信部8,定義情報通信部9から構成されるRFIDリーダ(通信制御器)である。なお、RFIDリーダはRFIDタグの情報(タグID)を読み取るだけでなく、RFIDタグに情報の書き込むことが可能であるRFIDリーダライタで代用してもよい。また、RFIDリーダ12とアンテナ部7とが一体であってもよいし、RFIDリーダ12と扉部1とが一体であってもよい。さらに、RFIDリーダ12,アンテナ部7,扉部1が一体であってもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1〜5において、13は一の管理エリアの入口側を仕切る一の仕切り手段である扉部(入口)、14は扉部(入口)13若しくは扉部(入口)13の近傍に設けられ、通行者などの生体又は物品に添付された一のRFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する一のRFIDタグからの返信波を受信するアンテナ部(入口)、15は一の管理エリアの出口側を仕切る一の仕切り手段である扉部(出口)、16は扉部(出口)15若しくは扉部(出口)15の近傍に設けられ、通行者などの生体又は物品に添付された一のRFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する一のRFIDタグからの返信波を受信するアンテナ部(出口)である。扉(入口)13及び扉(出口)15とは、扉1と同様の構成である。アンテナ部(入口)14及びアンテナ部(出口)16とは、アンテナ部7と同様の構成である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。アンテナ部16は管理エリア内に設置していることを示すために、点線で外形を記している。
図1〜5において、17は一の管理エリアの入口側を仕切る一の仕切り手段である扉部、18は扉部17の外側若しくは扉部17の外側の近傍に設けられ、通行者などの生体又は物品に添付された一のRFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する一のRFIDタグからの返信波を受信するアンテナ部(外側)、19はは扉部17の内側若しくは扉部17の内側の近傍に設けられ、通行者などの生体又は物品に添付された一のRFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する一のRFIDタグからの返信波を受信するアンテナ部(内側)である。扉17は、扉1と同様の構成である。アンテナ部(外側)18及びアンテナ部(内側)19とは、アンテナ部7と同様の構成である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。アンテナ部19は管理エリア内に設置していることを示すために、点線で外形を記している。
図2及び3において、12a〜12dはRFIDリーダ12と同等の機能を持つRFIDリーダであり、各RFIDリーダライタ12a〜12dの基本構成は、RFID12と同様に、それぞれ、接点制御部2(2a〜2d),認証部3(3a〜3d),情報記憶部4(4a〜4d),タグ状態情報通信部5(5a〜5d),リーダ通信部8(8a〜8d),定義情報通信部9(9a〜9d)からなる。そして、RFID12a〜12dはタグ状態通信線6により接続されている。なお、タグ状態通信線6を含めて、RFID12a〜12dによりRFIDリーダ装置20を形成している。図3においては、RFIDリーダ装置20は、タグ状態通信部5a〜5dとタグ状態通信線6と以外の構成要素を省略している。また、RFID12a〜12dには、ホストコンピュータ10も接続されている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
次に実施の形態1に係る入退室管理システムを構成するRFID装置20における一台のRFIDリーダ12の基本動作について説明する。図1に示すRFIDリーダ12により入退室管理が行われている複数の管理エリアにおける「ある管理エリア」(一の管理エリア)を用い、生体又は物品に添付されたRFIDタグを通行者が所有する「あるRFIDタグ」(一のRFIDタグ)とし、その通行者が管理エリアに入場する場合の動作を例に説明を進める。通行者は、扉部1を介して、管理エリアに入場するときは、通行者がアンテナ部7のビーム照射範囲にRFIDタグが入るように歩行する。そして、アンテナ部7により、通行者のRFIIDタグのタグIDを読み取られると、認証部3は、RFIDタグのタグIDが情報記憶部4に記憶されたタグID情報で管理エリアに入室許可と定義され、かつ、情報記憶部4に記憶されたタグ状態情報にからRFIDタグが、扉部1を介して一の管理エリアと隣り合うエリアが管理エリア(二の管理エリア)である場合(複数の管理エリアに、扉部1を介して隣り合う一の管理エリアと二の管理エリアとが存在する場合)は、管理エリア(一の管理エリア)内、又は、複数の管理エリアのうち、二の管理エリア以外の管理エリア内に存在しないときに接点制御部2を介して扉部1を開錠させ、二の管理エリアが複数の管理エリアにない場合は、複数の管理エリア内のいずれかの管理エリア内に存在しないときも接点制御部2を介して扉部1を開錠させる。
RFIDタグのタグIDが情報記憶部4に記憶されたタグID情報で管理エリアに入室許可と定義されていない場合は、通行者の管理エリアの入場を許可せずに、扉部1を開錠することはない。その代わりに入室不許可の旨を通行者に報知するディスプレイやランプなどの報知手段を扉部1又は扉部1の近傍に形成し、通行者に入室不許可を報知してもよい。もちろん、前述の入室が許可された場合でも、接点制御部2により扉部1を開錠させるとともに、報知手段で入室許可の旨を通行者に報知してもよい。また、RFIDタグのタグIDが情報記憶部4に記憶されたタグID情報で管理エリアに入室許可と定義されている場合でも、認証部3は、情報記憶部4に記憶されたタグ状態情報にからRFIDタグが、扉部1を介して管理エリアと隣り合う管理エリア(二の管理エリア)が複数の管理エリアにある場合は、管理エリア内、又は、複数の管理エリアのうち、二の管理エリア以外の管理エリア内に存在するときは、入室不許可と判定し、二の管理エリアが複数の管理エリアにない場合は、複数の管理エリア内のいずれかの管理エリア内に存在するときも入室不許可と判定する。
これは、タグID情報で管理エリアに入室を許可されたタグIDでも、判定しようとしている管理エリア以外の管理エリアに入室した状態のままで、退室していない状態、つまり、入室履歴はあるが退室履歴が無い状態では、不正な入室である可能性があり、入室を許可するわけにはいかないということに起因しており、このような状態をタグIDごとの複数の管理エリアにおける入退室の状態を示す情報であるタグ状態情報を利用することにより回避することができる。管理エリアへの入室許可の判定を、生体又は物品に添付され、この生体又は物品を識別するタグIDを有するRFIDタグにより行うときに、不正な入室を排除できるという効果がある。なお、タグ状態情報と並び、入室の許可・不許可の判定の指標となるタグID情報は、RFIDリーダ12に形成された定義情報通信部9を介して、ホストコンピュータから得ることができるが、情報記憶部4に記憶したタグID情報を更新する必要があるときに、定義情報通信部9を介して、ホストコンピュータ10にアクセスすればよいので、常時通信する必要はない。また、ホストコンピュータ10との接続がなくとも、情報記憶部4に記憶したタグID情報を、外部メモリ又は外部機器をRFIDリーダ12に接続、或いは、PCやPDAをローカルでRFIDリーダ12に接続するなどして更新してもよいことはいうまでない。
ここまでが、RFIDリーダ12の一台の基本動作であるが、RFIDリーダ装置20を構成する複数のRFIDリーダ12が保有するタグ状態情報を共有しなければ不正な入室を防げない。若しくは、複数のRFIDリーダ12が個々にタグ状態情報を記憶していてもよいが、システムの運用上問題の無い程度のタイムラグで最新のタグ状態情報に更新されていなければ、不正な入室を防げない(以下、システムの運用上問題の無い程度のタイムラグで最新のタグ状態情報に更新する場合も、タグ状態情報を共有している場合と同等なものとして説明する)。そこで、実施の形態1に係る入退室管理システムは、以下のような方法でタグ状態情報の共有(更新)を行う。扉部1を介して管理エリアと隣り合う二の管理エリアが複数の管理エリアに存在する場合は、タグ状態情報から、RFIDタグのタグIDが、二の管理エリア以外のいずれかの複数の管理エリアへの入室許可の判定がなされていない状態、又は、退室許可の判定がなされている状態であれば、扉部1を介して管理エリアへの入室許可と判定し、扉部を介して管理エリアと隣り合う二の管理エリアが複数の管理エリアに存在しない場合は、タグ状態情報から、RFIDタグのタグIDが、いずれかの複数の管理エリアへの入室許可の判定がなされていない状態、又は、退室許可の判定がなされている状態であれば、扉部1を介して管理エリアへの入室許可と判定し、扉部1を介した管理エリアへの入室許可の判定を行うRFIDリーダ12から、このRFIDリーダ12以外の複数のRFIDリーダ12へRFIDタグのタグIDが管理エリアへの入室許可の判定を報知して、複数のRFIDリーダ12間で共有するタグ状態情報を更新する。
図2は、上記の方法を実行するための一構成例である。図2及び3に記載のRFID装置20は、実施の形態1に係る入退室管理システムを構成するもので、図1に記載のRFIDリーダ12が4台接続された状態を示すものである。もちろん、RFIDリーダ装置20は、RFIDリーダ12が2台以上接続されておればよい。後述のRFIDリーダ12が複数のアンテナ部を有する場合は、RFIDリーダ装置20は、RFIDリーダ12が1台以上接続されておればよい場合もある。図2及び3に示すように、タグ状態通信線6を介して、タグ状態通信部5a,タグ状態通信部5b,タグ状態通信部5c,タグ状態通信部5dが接続されており、RFIDリーダ12a,RFIDリーダ12b,RFIDリーダ12c,RFIDリーダ12dのいずれの認証部でタグ状態情報が更新されても、タグ状態通信部5a〜5dとタグ状態通信線6との通信により、RFIDリーダ12a〜2d間でタグ状態情報を共有することができる。
ホストコンピュータ10は、このタグ状態情報の共有とは切り離されており、RFIDリーダ装置20内でタグIDの判定が行うことができる。なお、タグ状態情報をホストコンピュータ10で確認するようにしてもよい。この場合は、常時通信する必要のない定義情報通信部9a〜9dのいずれかからタグ状態情報を得るようにするなどが考えられるが、認証部での判定処理に影響を与えない構成であれば、これに限るものではない。以上のような構成により、管理エリアの扉への通行者が携帯するRFIDタグのRFIDリーダから取得したタグIDを、RFIDリーダ12が記憶しているタグID情報、タグ状態情報を参照し、入退室の可否を判定し、扉制御することにより通行者の入室を許可することができる。例えば、タグIDを取得したRFIDリーダがRFIDリーダ12cであった場合は、認証部3cによる入退室の可否判定により、可と判定された場合は、接点制御部2cが扉部1cを制御して、扉部1cを開錠する。扉部1cがゲートなどの門であれば、接点制御部2cが開門させる。
これまでは、管理エリアに入室する際の場合を説明したが、退室の場合も同様で以下の通りの方法となる。管理エリアからの退室許可の判定を、生体又は物品に添付され、この生体又は物品を識別するタグIDを有するRFIDタグにより行うとき、二の管理エリアが複数の管理エリアに存在する場合は、タグ状態情報から、RFIDタグのタグIDが、管理エリアに入室許可の判定がなされておれば、管理エリアからの退室許可と判定して、管理エリアからの退室許可の判定を行うRFIDリーダ12から、このRFIDリーダ12以外の複数のRFID12リーダへRFIDタグのタグIDが管理エリアからの退室許可の判定及び二の管理エリアへの入室許可の判定を報知して、複数のRFIDリーダ12で共有するタグIDごとの複数の管理エリアにおける入退室の状態を更新する。これは、管理エリアから退室する扉が二の管理エリアと繋がるものを利用した場合である。つまり、扉部1から退室する場合である。管理エリアから退室する扉が二の管理エリアと繋がるものを利用しない場合と、二の管理エリアが複数の管理エリアに存在しない場合は、複数のRFIDリーダ12が共有する複数の管理エリアにおける入退室の状態から、RFIDタグのタグIDが、管理エリアに入室許可の判定がなされておれば、管理エリアからの退室許可と判定して、管理エリアからの退室許可の判定を行うRFIDリーダ12から、このRFIDリーダ12以外の前記複数のRFIDリーダ12へRFIDタグのタグIDが管理エリアからの退室許可の判定を報知して、複数のRFIDリーダ12で共有するタグIDごとの複数の管理エリアにおける入退室の状態を更新する。
このような構成なので実施の形態1に係る入退室管理システムは、管理エリアの扉への通行者が携帯するRFIDタグのRFIDリーダ12から取得したタグIDを、RFIDリーダ12にて認証を行い、該認証結果情報を別に設置する複数のRFIDリーダ12に送信することと、受信した該認証結果情報を基にタグ状態情報を更新することが可能となる。なお、扉部1を介して管理エリアと隣り合う二の管理エリアがある場合は、管理エリアから扉部1を介して退室する場合は、二の管理エリアへの入室となることはいうまでもない。つまり、一の管理エリア(管理エリア)と二の管理エリアとが逆転させて考えると、今までの説明した入退室管理システムの説明が適用できる。
なお、扉部1にはアンテナ部7が一つに設置されており、扉部1を介して、通行者が入退場するためには、通行者が入室しようとしているのか、退室しようとしているのかを検出する必要がある(対して、後述する図4及び図5に記載のRFIDリーダ12では、一方通行に制限する場合や、両方向通行であるが、扉部を内外にそれぞれアンテナ部を形成しており、通行者が入室しようとしているのか、退室しようとしているのかを検出する必要は必ずしもない)。検出の方法は、通行者の移動方向や位置を検知することなどが考えられる。移動方向の検知は、複数回に亘って質問波をアンテナ部7から送信し、RFIDタグからの返信波の強度の変化により検出したり、アンテナ部7のアンテナ素子を複数にして、アレイアンテナを形成し、質問波のビームを走査したりすることが想定される。また、別途、移動方向を検出するためのセンサを実施の形態1に係る入退室管理システムに組み込んでもよい。
以上、図1〜3を用いて実施の形態1に係る入退室管理システムを説明したが、図1〜3に記載のシステムでは、扉部1に一つのアンテナ部7を形成し、入退室管理を実行すること前提に説明を行ってきた。ここでは、入室と退室とを別のアンテナ部により行う場合に関する構成の例を、図4及び5を用いて説明する。まず、図4(a)及び図5(a)に記載のRFIDリーダ12は、一台のRFIDリーダ12で管理エリアの扉部13と扉部14とを管理するのものである。図5(a)は管理エリアへの入退室が一方通行である場合を示したものであり、管理エリアの入口を仕切っている扉部14の近傍で、管理エリアと反対側にアンテナ部14を形成し、管理エリアの出口を仕切っている扉部16の近傍で、管理エリアの内部にアンテナ部16が形成されている。次に、図4(b)及び図5(b)に記載のRFIDリーダ12は、RFIDリーダ12で管理エリアの扉部17とを管理するのものである。
図5(b)は管理エリアへの入退室が両方向通行である場合を示したものであり、管理エリアの入口を仕切っている扉部17の近傍で、管理エリアと反対側にアンテナ部18を形成し、扉部17の近傍で、管理エリアの内部にアンテナ部19が形成されている。扉部17における管理エリアへの入退室の許可・不許可の判定とは、扉部1に関して説明した入退室と同じである。但し、入室の際にタグIDを得るために質問波をRFIDタグに送信し、RFIDタグから返信波を受信するのは、アンテナ部18である。また、退室の際にタグIDを得るために質問波をRFIDタグに送信し、RFIDタグから返信波を受信するのは、アンテナ部19である。この点では、アンテナ部7の一つで扉部1を介した入退室を管理する場合と異なるが、アンテナ部7が複数のアンテナ(アンテナ部14,アンテナ部16)から構成さていると考えることもできる。
図4(a)及び図5(a)に記載のRFIDリーダ12により、入退室が管理される管理エリアには扉部が二つある。その二つの扉部は、扉部13が入室専用となり、扉部15は退室専用となる。扉部13における管理エリアへの入室の許可・不許可の判定と扉部15における管理エリアからの退室の許可・不許可の判定とは、扉部1に関して説明した入室・退室とは基本的に同じである。異なる点は、前述の通り、一方通行である点である。そこで、扉部13又は扉部14、若しくは、扉部13及び扉部14に、アンテナ部7若しくは、アンテナ部18,アンテナ部19を設置して、両方向通行が可能な扉部と一方向通行が可能な扉部とを管理エリアに一つずつ設置、若しくは、両方向通行が可能な扉部を管理エリアに二つ設置していもよい(もちろん、扉部の設置数はこれらに限るものではない)。但し、一台のRFIDリーダ12により入退室が管理される管理エリアに、扉部が2枚以上である場合や一つの扉部にアンテナ部が複数ある場合は、リーダ通信部8若しくは認証部3が、どのアンテナ部から得た返信波(タグID)あるかを識別できる識別手段をリーダ通信部8若しくは認証部3に設ける必要がある(図示は省略する)。
この識別手段がRFIDリーダ12に装備されておれば、扉部13又は扉部15を介して管理エリア(一の管理エリア)と隣り合う二の管理エリアが複数の管理エリアにある場合や、扉部13を介して管理エリア(一の管理エリア)と隣り合う三の管理エリアが複数の管理エリアにある場合及び扉部13又は扉部15を介して管理エリア(一の管理エリア)と隣り合う四の管理エリアが複数の管理エリアにある場合でも、実施の形態1に係る入退室管理システムが実施できる。複数のアンテナ(アンテナ部7、15、16、18、19など)が、複数の管理エリアの異なる管理エリアにそれぞれ少なくとも一つ設置することにより、RFIDリーダ装置20におけるRFIDリーダ12の数を減じることができる。もちろん、一台のRFIDリーダで2以上の扉部を管理し、入退室の許可・不許可の判定を行う場合は、RFIDリーダ12の情報記憶部4には、一台のRFIDリーダ12が管理対象とする扉部とその扉部に仕切られた管理エリアとにおけるタグ状態情報を全て保存しておく必要がある。
この入退室管理システムに係る入退室管理方法に使用するRFIDリーダ12に焦点を当てて説明すると、RFIDリーダ12は、RFIDタグと無線で通信し、RFIDタグのタグIDを取得するアンテナ部7、15、16、18、19と、このアンテナ部が取得したタグIDの入退室許可の判定を行う認証部3と、前記アンテナ部が取得したタグIDを認証部3が入退室許可の判定を行うときに参照する、タグIDごとに許可又は不許可を定義されたタグID情報、及び、タグ状態情報を記憶し、認証部3がタグIDを入退室許可の判定をおこなったときにタグ状態情報を更新する情報記憶部4と、この情報記憶部4に接続され、タグ状態情報が更新されたときに、その更新されたタグ状態情報を、RFIDリーダ装置20を構成する他のRFIDリーダ12に送信するタグ状態情報通信部5とを有し、タグ状態情報通信部5は、「他のRFIDリーダ12」が更新したタグ状態情報を「他のRFIDリーダ12」のタグ状態情報通信部5から受信し、RFIDリーダ12の情報記憶部4へ送り、それに基づいて、RFIDリーダ12の情報記憶部4が、記憶しているタグ状態情報を更新するものであるといえる。RFIDリーダ12をRFIDリーダ12aと仮定し、図2を引き合いに出して説明すると、「他のRFIDリーダ12」は、RFIDリーダ12b,RFIDリーダ12c,RFIDリーダ12dのいずれかに対応することが分かる。
実施の形態2.
実施の形態1に係る入退室管理システムでは、「エリア管理情報」と「タグ状態情報」とをまとめて、タグ状態情報として説明したが、この実施の形態2では、タグ状態情報を「エリア管理情報」と「タグ状態情報」とに分けて説明する。発明の実施の形態2について図6〜12を用いて説明する。図6はRFIDリーダ12の構成図(一部)であり、RFIDリーダ12を構成する情報記憶部4,タグ状態情報通信部5,定義情報通信部9のみを記しており、他の構成要素は、実施の形態1で説明したものと同等であるので省略する。図6〜13において、21は情報記憶部4が記憶しているタグID情報のテーブルであるタグIDテーブル、22は情報記憶部4が記憶しているタグ状態情報のうち、RFIDタグがどの管理エリアに入室中か退室済みを記したテーブルであるタグ状態テーブル、23は情報記憶部4が記憶しているタグ状態情報のうち、管理エリアの扉部の設置数や設置位置を記したテーブルであるエリア管理テーブル(X扉なし)、同じく、24は情報記憶部4が記憶しているタグ状態情報のうち、管理エリアの扉部の設置数や設置位置を記したテーブルであるエリア管理テーブル(X扉あり)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
実施の形態1では、タグ状態情報は、タグIDごとに、どのタグID(タグIDを有するRFIDタグを所持した通行者)が、どの管理エリアに居るのか、それとも管理エリア内に居ないのか、管理エリア内に居る場合は、その管理エリアが扉部(扉部1など)を介して、別の管理エリア(二の管理エリア)と直接繋がっているのか、それとも、管理エリアが扉部を介して管理エリア外に繋がっているのかなどのタグIDの所在と管理エリア(複数の管理エリア)の環境とを総じて記憶した情報であったが、前述の通り、実施の形態2では、タグIDの所在を「タグ状態情報」、管理エリア(複数の管理エリア)の環境を「エリア管理情報」として情報記憶部4に記憶した場合のRFIDリーダ12(RFIDリーダ装置20)を用いた入退室管理システムについて説明する。実施の形態2に係る入退室管理システムの基本的な動作や構成は、実施の形態1に係る入退室管理システムと同等であるので説明は省略する。したがって、実施の形態2に係る入退室管理システムは、管理エリアの扉部への通行者が携帯するRFIDタグのRFIDリーダから取得したタグIDを、RFIDリーダ12が記憶しているタグID情報、エリア管理情報、タグ状態情報を参照し、入退室の可否を判定し、扉制御することにより通行者の入室を許可することができる。例えば、図2において、タグIDを取得したRFIDリーダがRFIDリーダ12dであった場合は、認証部3dによる入退室の可否判定により、可と判定された場合は、接点制御部2dが扉部1dを制御して、扉部1dを開錠する。扉部1dがゲートなどの門であれば、接点制御部2dが開門させる。
図6に示す情報記憶部12には、タグIDテーブル(タグID情報管理テーブル)21、タグ状態テーブル22、エリア管理テーブル23が記憶されている。タグIDテーブル21には、実施の形態1で説明したタグID情報が記録されている。タグID情報を更新する際には、定義情報通信部9(ホストコンピュータ10の場合は、タグID情報通信線11も介在する)を介して、ホストコンピュータ10又は外部メモリ又は外部機器から更新されたタグID情報を入手すればよい。タグ状態テーブル22にはタグ状態情報が記録され、エリア管理テーブル23にはエリア管理情報が記録されている。タグ状態情報を更新する際には、タグ状態情報通信部5(タグ状態通信線6も介在する)を介して、更新されたタグ状態情報を入手すればよい。なお。エリア管理情報の更新は、定義情報通信部9又はタグ状態情報通信部5のいずれから入手してもよいが、エリア管理情報の更新の頻度が多い場合は、タグ状態情報通信部5(タグ状態通信線6も介在する)を利用したほうがよい場合もある。詳細は後述する。
図7に記載のテーブルは、タグIDテーブルの一例である。図7のタグIDテーブル21は、RFIDタグがタグα,タグβ,タグγの三種類あることを示しており、さらに、図7から三種類のRFIDタグには、それぞれ別のタグIDが付与されていることが分かる。図7では、三種類のRFIDタグが示されているが、RFIDタグ内のメモリ容量が許す範囲であって、ID番号数や桁数の設定により、使用できるRFIDタグの数を自由に設定できることはいうまでもない。入退室管理システムが稼動した後にでも、前述したような手法で、タグIDテーブルの更新が可能であり、この更新には、タグIDの追加や削減も含まれている。また、このタグIDテーブルを管理エリアごと、又は、扉部ごとに設定してもよいが、本実施の形態2では、図7に記載のものだけで説明を行う。
図8に記載のテーブルは、タグ状態テーブル22の一例である。図8のタグ状態テーブル22は、タグαとタグγとの管理エリアへの入退室状況が時間ごとに記録されている。なお、タグβは、いずれの管理エリアにも入室していない状態である。また、タグαは、入室後に退室しているので、タグ状態テーブル22において、履歴を削除して、タグγのように、いずれの管理エリアにも入室していない状態としてもよいし、RFIDタグごとの最新の履歴だけを残してもよい。このように最新の履歴だけを残す場合は、タグγは、いずれの管理エリアにも入室していない状態をテーブルに明記してもよい。また、例えば、タグIDテーブル21の更新に基づき、タグαが削除された場合は、タグ状態テーブル22からタグαを削除すればよい。しかし、タグIDテーブル21の更新に基づき、タグγが削除された場合は、タグ状態テーブル22からタグγを削除してしまうと、タグγを持つ通行者(物品)が、管理エリア(後述のX室)から退室できなくなることにあるので、タグIDテーブル21とタグ状態テーブル22との連携が必要となる。仮に、タグIDテーブル21の更新が正当なもので、タグ状態テーブル22との連携が、前述のタグγのように取れない場合は、タグγを持つ通行者(物品)をX室に閉じ込めて、ホストコンピュータ10、若しくは、他のRFIDリーダ12に、その旨を通報するシステムを構築してもよい。もちろん、単に、タグIDテーブル21とタグ状態テーブル22との間に不整合があると、ホストコンピュータ10、若しくは、他のRFIDリーダ12に、報知するシステムでもよい。
図9は、実施の形態2に係る入退室管理システムにおける複数の管理エリアの模式図であり、管理エリアとしては、X室,Y室,Z室の三つがある。つまり、X室,Y室,Z室が複数の管理エリアとなる。X室は、A扉又はB扉を介して管理エリア外に繋がっている。また、Y室は、C扉を介して管理エリア外に繋がり、D扉を介してZ室と繋がっている。同じく、Z室は、D扉を介してY室と繋がっている。Y室とZ室との関係は、実施の形態1で説明した管理エリア(一の管理エリア)と二の管理エリアとの関係と同様であり、D扉は扉部(扉部1又は扉部17)となる。つまり、図9に記載の複数の管理エリアは、D扉を介してY室と隣り合うZ室があるといえる。なお、図9に記載の複数の管理エリアを図2に記載のRFIDリーダ装置20で管理する場合は、例えば、扉部1aをD扉、扉部1bをC扉、扉部1cをB扉、扉部1dをA扉として対応付けると理解し易い。また、後述する図10に記載した各管理エリアへの入退室の方向(入室又は退室)に関しては、実施の形態1で説明した通行者の移動方向や位置を検知することにより判断できるので、説明は省略する。
図10に記載のテーブルは、図9に記載された複数の管理エリアを、それぞれの管理エリアの扉を介した入退室方向の分類と、それぞれの管理エリアにおける扉の外にあるエリアが管理エリアなのか管理エリア外(外)なのかの行き先エリアを記したものである。例えば、A扉から入室した場合は、入室先の管理エリアがX室であり、A扉から退室した場合は、退室先の管理エリア外であることが分かる。もちろん、X室から退室する場合は、その前にX室に入室している必要があることは言うまでもない。また、Z室はD扉からのみ入退室することが可能であるので、D扉からZ室に入室した場合はZ室に入室する前は、Y室にいたことになる。したがって、図10に示すエリア管理テーブルにおいて、D扉に関しては、行き先エリアにおける入室はZ室となり、行き先エリアにおける退室はY室となる。
次に実施の形態2に係る入退室管理システムの動作を図11及び12に記載のフローチャートを用いて説明する。図11に付された<SA1>〜<SA8>は、フローチャート上の各処理ステップを示している。同じく、図12に付された<SB1>〜<SB4>もフローチャート上の各処理ステップを示している。また、図11に記載の<SA5>及び<SA6>の二つのステップの詳細が、図12のフローチャートの処理(<SB1>〜<SB4>の四つのステップ)となる。このステップがグローバルアンチパスバック判定である。図11及び12に記載のフローチャートは、複数の管理エリアの入退室を管理する複数のRFIDリーダ12のうち、一台の処理を示している。したがって、説明する符号は、図1に記載のRFIDリーダ12及びホストコンピュータ10のものを使用する。扉部1のアンテナ部7にRFIDタグを所持した通行者が近づくと、アンテナ部から電波が送信され、通行者所持のRFIDタグが、その電波を受信し、電波からコマンド信号(入退室管理であるのでは、RFIDタグにタグIDを報知せよとの指令)を復調して、自身のタグIDを電波でアンテナ部7に返信する。アンテナ部7は、検知したRFIDタグのタグIDをRFIDリーダ12(リーダ通信部8)へ送信する。ホストコンピュータ10は、入退室管理ステムの管理者が作成したタグIDテーブル21、エリア管理テーブル23等の定義情報をRFIDリーダ12または別に設置するRFIDリーダ12へ送信する。このような構成で扉部1を通過する際の判定手順(認証手順)を説明する。なお、前述の通り、一つの管理エリアに一台のRFIDリーダ12を対応させて入退室を管理するだけでなく、一台のRFIDリーダ12で二以上の管理エリアの入退室を管理してよい。
図11は判定手順(認証手順)を示すフローチャートである。RFIDタグを携行する通行者が扉部1に近づくとアンテナ部がRFIDタグのタグIDを検出(SA1)する。アンテナ部7によって検出したRFIDタグのタグIDがRFIDリーダ12のリーダ通信部8にて受信(SA2)される。リーダ通信部8は受信したタグIDを認証部3に送り、情報記憶部4のタグIDテーブル21から一致するタグIDを検索(SA3)する。タグIDテーブル21に一致するタグIDが存在した場合(SA4)には、グローバルアンチパスバック判定(SA5)を行う。
図12はグローバルアンチパスバック判定手順のフローチャートである。情報記憶部4のタグ状態テーブル22から受信したタグIDに対応するID番号を検索し、最新日時に通行した扉と方向の情報を取得(SB1)する。次に、タグ状態テーブル22から取得した受信タグの最新通行情報を元に、エリア管理テーブル23を検索(SB2)し、判定対象のタグIDを有するRFIDタグを所持している通行者がいる現在エリア(いずれかの管理エリア又は管理エリア外)を取得する。取得した通行者の現在エリアと通行者が通行したい通行要求エリアと現在エリアとが扉部を介して隣り合っているのかを照合(SB3)し、一致した場合にグローバルアンチパスバック判定OK(SB4)とし、受信タグの認証を有効とする。一致しなかった場合は不正通行と判断し、グローバルアンチパスバック判定NGとする。
認証部3は受信したタグIDの判定結果を情報記憶部4とタグ状態情報通信部5と接点制御部2に通知(SA7)する。判定結果を元に情報記憶部3はタグ状態テーブル22を更新し、タグ状態情報通信部5は別に設置するRFIDリーダ12に判定結果を送信する。接点制御部2が扉部1に対して接点信号を出力し、開錠処理(SA8)を行う。ここでは扉部1に対して接点制御によって開錠する場合について説明したが、扉部1に加えて信号灯やブザー等の接点信号で制御可能である機器を扱ってもよい。また、RFIDリーダ12が別に設置するRFID12から判定結果情報を受信した場合、タグ情報通信部5を介して情報記憶部4に判定結果情報が送信され、タグ状態テーブル22を更新する。入退室管理システムの管理者は、タグ状態テーブル22を確認することによってタグIDを携行するユーザの滞在エリアを特定することが可能になる。つまり、管理エリアの扉への通行者が携帯するRFIDタグのRFIDリーダから取得したタグIDを、RFIDリーダ12にて認証を行い、該認証結果情報と、RFIDリーダ12が記憶しているエリア管理情報とから通行者の滞在する管理エリア(管理エリア外)を特定することもできる。
次に、図11及び図12に記載の入退室管理システムのフローチャートを図2に記載のRFID管理装置20(図2中では、RFIDリーダ12a〜12dを指す)及びホストコンピュータ10で実施した場合の説明を行う。なお、各テーブルと複数の管理エリアは、図7〜10に記載のものである。A扉〜D扉と扉部1a〜1dとの対応は、図9に記載の通りである。タグγを携行する通行者が扉部1d(A扉)に近づくとアンテナ部7dがRFIDタグのタグID「333333」を検出(SA1)する。アンテナ部7dによって検出したRFIDタグのタグIDがRFIDリーダ12dのリーダ通信部8dにて受信(SA2)される。リーダ通信部8dは受信したタグIDを認証部3dに送り、情報記憶部4dのタグIDテーブル21から一致するタグIDを検索(SA3)する。タグIDテーブル21にID番号「333333」に一致するタグIDが存在するので(SA4)、グローバルアンチパスバック判定(SA5)を行う。
情報記憶部4dのタグ状態テーブル22から受信したタグID「333333」に対応するID番号を検索し、最新日時に通行した扉と方向の情報である扉部1c(B扉)からX室に入室する方向に移動したとの情報を取得(SB1)する。次に、タグ状態テーブル22から取得した受信タグの最新通行情報を元に、エリア管理テーブル23を検索(SB2)して、X室に居るとの情報を取得する。取得した通行者の現在エリアと通行者が通行したい管理エリア外とX室とが扉部1dを介して隣り合っているのかを照合(SB3)し、一致したので、グローバルアンチパスバック判定OK(SB4)とし、受信タグの認証を有効とする。認証部3dは受信したタグID「333333」(タグγ)の扉部1dにおける判定結果を情報記憶部4dとタグ状態情報通信部5dと接点制御部2dに通知(SA7)する。判定結果を元に情報記憶部3dはタグ状態テーブル22を更新し、タグ状態情報通信部5dは別に設置するRFIDリーダ12a〜12cに判定結果を送信する。接点制御部2dが扉部1dに対して接点信号を出力し、開錠処理(SA8)を行う。このようにして、タグγを所持する通行者がX室から管理エリア外に扉部1dを介して移動できる。
以上のように、情報記憶部4(4a〜4d)に、タグIDテーブル21だけなく、タグ状態テーブル22とエリア管理テーブル23とを記憶させて、タグ状態テーブル22とエリア管理テーブル23を複数の管理エリアの管理するRFIDリーダ間で共有させるので、タグ状態情報の変化に柔軟に対応できるだけでなく、エリア管理情報の変化にも柔軟に対応できる。例えば、図11に示す管理エリアであるX室が多目的ホールのような場所であるとき、使用する用途によってはX室内に簡易の仕切り板(壁)を設け、X室をX1室とX2室の二室に分けて使用する場合も考えられ、仕切り板によって分断されたX1室とX2室の行き来させたいが入退室管理もしたい場合が例として考えられる。これは、エリア管理情報の変更の頻度が高い場合といえる。この場合は、エリア管理情報の入手(更新)は、タグ状態情報通信部5(タグ状態通信線6も介在する)を利用したほうがよい。つまり、タグ状態情報と同様に複数のRFIDリーダ12間で共有することにすれば、上記のような、エリア管理情報がたびたび変更される可能性が高い多目的ホールなどが管理エリア内にあっても、前述のX1室とX2室を入退室管理システムに容易に組み込むことができる。なお、仕切り板にX扉を設けずに、単にX室を互いに行き来できないX1室とX2室に分ける場合も、同じように、入退室管理システムに容易に組み込むことができることはいうまでもない。また、X1室とX2室とを仕切る仕切り板を外して、X室を復旧させる場合も、入退室管理システムに容易に組み込むことができることはいうまでもない。
図13を用いて上記のような場合の説明を行う。図13は、実施の形態2に係る入退室管理システムにおける複数の管理エリアの模式図であり、管理エリアとしては、X1室,X2室,Y室,Z室の四つがある。つまり、X1室,X2室,Y室,Z室が複数の管理エリアとなる。図9に記載された複数の管理エリアの模式図におけるX室が、X扉が形成された仕切り板で、X1室とX2室とに区切った点以外は、図13に記載された複数の管理エリアと図9に記載された複数の管理エリアとは、同等の内容を示しているので、ここでは、主に、X1室とX2室との説明を行い、他の室(管理エリア)の説明は省略する。X1室は、B扉を介して管理エリア外に繋がり、X扉を介してX2室と繋がっている。同じく、X2室は、X扉を介してX1室と繋がり、A扉を介して管理エリア外に繋がっている。X1室とX2室との関係は、実施の形態1で説明した管理エリア(一の管理エリア)と二の管理エリアとの関係と同様であり、X扉は扉部1x(構造は、扉部1又は扉部17などが想定される)となる。つまり、図13に記載の複数の管理エリアは、X扉を介してX1室と隣り合うX2室があるといえる。なお、図13は、X扉の設置・撤去が自由に行えることを示すために、X扉とその近傍を点線で示している。
図13において、X扉を介したX1室とX2室との関係は、D扉を介したY室とZ室との関係と同様であるが、Z室に関しては、D扉からのみ外部(この場合は管理エリアであるY室のみを指す)に退室できるが、X1室,X2室に関しては、ともに各室に二つずつ扉がある。したがって、図13に記載された複数の管理エリアのエリア管理テーブルは、図14に示すように、図13に記載された複数の管理エリアを、それぞれの管理エリアの扉を介した入退室方向の分類と、それぞれの管理エリアにおける扉の外にあるエリアが管理エリアなのか管理エリア外(外)なのかの行き先エリアを記したものである。例えば、A扉から入室した場合は、入室先の管理エリアがX2室であり、A扉から退室した場合は、退室先の管理エリア外であることが分かる。もちろん、X2室から退室する場合は、その前にX2室に入室している必要があることは言うまでもない。また、X2室に入室している状態であれば、A扉だけでなく、X扉からX1室へ入室することもできる。同様に、X1室に入室している状態であれば、B扉からX1室を退室して管理エリア外に行くだけでなく、X扉からX2室へ入室することもできる。
図14に記載のエリア管理テーブルは、図9に記載のエリア管理テーブルと異なり、一つの扉(この場合はX扉)に関して、入退室方向(この場合は、X1室からX2室及びX2室からX1室の二方向)に応じて、二つの条件がエリア管理テーブルに設定される。これは、図14では、X扉(その1)とX扉(その2)に対応する。図13に記載した各管理エリアへの入退室の方向(入室又は退室)に関しては、実施の形態1で説明した通行者の移動方向や位置を検知することにより判断できるので、説明は省略する。さらに、仕切り板(壁)の設置・撤去により、X室→X1室及びX2室又はX1室及びX2室→X室のレイアウトの変更時に、X室を管理するRFIDリーダ12(RFIDリーダ12c又はRFIDリーダ12d)の情報記憶部4(情報記憶部4c又は情報記憶部4d)は、エリア管理テーブルを、エリア管理テーブル23→エリア管理テーブル24又はエリア管理テーブル24→エリア管理テーブル23のように変更を行えばよい。さらに、エリア管理情報(エリア管理テーブル)の変更(更新)は、ホストコンピュータ10から定義情報通信部9(定義情報通信部9c又は定義情報通信部9d)を経由して指示してよいが、エリア管理情報の共有は、タグ状態通信部5(タグ状態通信部5c又はタグ状態通信部5d)により、タグ状態通信線6を介して行う。また、新たに設置されたX扉の入退室管理は、RFIDリーダ12c又はRFIDリーダ12dで行えばよいが、X扉の設置に合わせて新たなRFIDリーダを入退室管理システムに組み込んでもよい。以下の説明では、RFIDリーダ12cにより、X扉の入退室管理を行うこととする。なお、X扉の入退室方向を一方に限定した場合、エリア管理テーブル24は、X扉(その1)又はX扉(その2)のいずれか一つ(一行)となる。
次に、図13に記載の複数の管理エリアを図11及び図12に記載の入退室管理システムのフローチャートを図2に記載のRFID管理装置20(図2中では、RFIDリーダ12a〜12dを指す)及びホストコンピュータ10で実施した場合の説明を行う。タグIDテーブルは図7に記載のもの、タグ状態テーブル22は図8に記載のもの、エリア管理テーブルは図14に記載のものである。A扉〜D扉,X扉と扉部1a〜1d,扉部1xとの対応は、図13に記載の通りである。タグγを携行する通行者が扉部1x(X扉)に近づくとアンテナ部7x(扉部1xにおけるX1室側の通行者のタグIDを取得するために設置されたアンテナ部)がRFIDタグのタグID「333333」を検出(SA1)する。アンテナ部7xによって検出したRFIDタグのタグIDがRFIDリーダ12cのリーダ通信部8cにて受信(SA2)される。リーダ通信部8cは受信したタグIDを認証部3cに送り、情報記憶部4cのタグIDテーブル21から一致するタグIDを検索(SA3)する。タグIDテーブル21にID番号「333333」に一致するタグIDが存在するので(SA4)、グローバルアンチパスバック判定(SA5)を行う。
情報記憶部4cのタグ状態テーブル22から受信したタグID「333333」に対応するID番号を検索し、最新日時に通行した扉と方向の情報である扉部1c(B扉)からX1室に入室する方向に移動したとの情報を取得(SB1)する。次に、タグ状態テーブル22から取得した受信タグの最新通行情報を元に、エリア管理テーブル24を検索(SB2)して、X1室に居るとの情報を取得する。取得した通行者の現在エリアと通行者が通行したい扉1xのアンテナ部7xの読み取りエリアを照合(SB3)し、一致するので、グローバルアンチパスバック判定OK(SB4)とし、受信タグの認証を有効とする。認証部3cは受信したタグID「333333」(タグγ)の扉部1xにおける判定結果を情報記憶部4cとタグ状態情報通信部5cと接点制御部2cに通知(SA7)する。判定結果を元に情報記憶部3cはタグ状態テーブル22を更新し、タグ状態情報通信部5cは別に設置するRFIDリーダ12a,12b,12dに判定結果を送信する。接点制御部2cが扉部1xに対して接点信号を出力し、開錠処理(SA8)を行う。このようにして、タグγを所持する通行者がX1室からX2室に扉部1xを介して移動できる。
実施の形態1及び2に係る発明によれば、複数のRFIDリーダ12間でタグ状態テーブルを最新の状態で共有することによって、入退室管理サーバ(ホストコンピュータ10)とアクセスすることなく、個別のRFIDリーダ12においてグローバルアンチパスバックの判定が可能となり、扉の前で認証待ちする時間が省けて利便性が向上する可能性が高まる。さらに、管理エリアのレイアウト変更にも柔軟に対応できるので、入退室管理を行う管理エリアの場所や形状の制約が少ないという効果も奏する。