JP5366982B2 - 導波モード共鳴を利用する角度センサ、システム、及び方法 - Google Patents

導波モード共鳴を利用する角度センサ、システム、及び方法 Download PDF

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Description

背景
本発明はセンサに関する。特に、本発明は、角度センサとして利用されるデバイスに関する。
関連技術の説明
角度センサは、角度方向および角運動を測定および監視するために、多種多様の用途に利用される。例えば、角度センサは、システムの特定の要素の向き及び/又は動きを監視および制御するために、制御システムで一般に利用される。角度センサを利用する用途は、宇宙船および人工衛星の姿勢/方位制御から製造中の基板の方向付けまでの範囲にわたる。そういうものだから、角度センサ及び角度検出は、家庭用電化製品、自動車、製造装置、ナビゲーションシステム、更に通信システム(例えば、アンテナ位置制御)のような装置およびシステムで一般に見出される。
一般に、角度センサ及び角度検出は、2つのカテゴリ、即ち絶対角度センサ/絶対角度検出、及び相対角度センサ/相対角度検出に分けられ得る。絶対角度センサ/絶対角度検出は、対象物の絶対的な向き(及び多くの場合、絶対位置)を測定する。絶対角度センサ又は絶対位置センサの例は、慣性基準系において対象物の加速度を測定する慣性センサである。一方、相対角度センサ/相対角度検出は、基準物体、角度または方向(例えば、基準角度)に対する対象物の相対角度または向きを測定する。光学角度センサは相対角度センサとして利用されることが多い。例示的な光学的相対角度センサは一般に、レーザ干渉法および/または基準光信号のコリメーション(視準)を利用する。
微小電子機械システム(MEMS)の慣性位置センサは、角度検出の用途で実証されている。残念ながら、MEMSデバイスは、製造および配置には非常に高いコストがかかることが多い。レーザ干渉法および平行光源を用いた角度検出は、同様にコストが高くつき、一般に正確な角度測定のために安定した(多くの場合、極めて安定した)動作状態を必要とする。コーナー反射器に基づいた非常に簡単な直角の入射角度検出器でさえも、環境要因に起因した反射器の表面状態の変化にいくぶん起因して、時間とともに劣化および較正のドリフトを受ける可能性がある。更に、これら技術は、集積回路(IC)への集積化中に、又は従来の製造技術が望まれる場合の製造中に問題を起こすことが多い。
概要
本発明の幾つかの実施形態において、角度センサが提供される。角度センサは、導波モード共鳴(GMR:guided-mode resonance)格子、及び共鳴プロセッサを含む。共鳴プロセッサは、GMR格子に入射する信号の入射角度を求める。共鳴プロセッサは、GMR格子の信号に対する導波モード共鳴応答から入射角度を求める。
本発明の他の実施形態において、角度検出システムが提供される。角度検出システムは、光信号を生成する光源を含む。角度検出システムは更に、導波モード共鳴(GMR)格子を含む。GMR格子は、GMR格子の表面に入射する光信号に対する導波モード共鳴応答をもたらす。角度検出システムは更に、導波モード共鳴応答を用いて、GMR格子の表面に対する光信号の入射角度を求める共鳴プロセッサを含む。求められた入射角度は、角度検出システムにより格納されること及び出力されることの一方または双方である。
本発明の他の実施形態において、入射角度を求める方法が提供される。入射角度を求める方法は、導波モード共鳴(GMR)格子を準備することを含む。入射角度を求める方法は更に、入射信号にさらされた際にGMR格子で生じた導波モード共鳴を検出することを含む。入射角度を求める方法は更に、導波モード共鳴の数および導波モード共鳴間のスペクトル距離の一方または双方から入射信号の入射角度を求めることを含む。導波モード共鳴は、入射信号に対するGMR格子の応答に存在する。
本発明の特定の実施形態は、上述した特徴に加えること及びそれらの代わりとなることの一方または双方である他の特徴を有する。本発明のこれら及び他の特徴は、以下の図面に関連して後述される。
本発明の実施形態に関する様々な特徴は、添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。添付図面において、同様の参照符号は、類似した構造要素を示す。
本発明の一実施形態による、角度センサのブロック図である。 本発明の一実施形態による、一次元(1D)のGMR格子の断面図である。 本発明の別の実施形態による、1DのGMR格子の横断面図である。 本発明の一実施形態による、二次元(2D)のGMR格子の斜視図である。 図1の角度センサに関連した導波モード共鳴の例示的なスペクトルのグラフである。 本発明の一実施形態による、角度検出システムのブロック図である。 本発明の一実施形態による、入射角度を求める方法の流れ図である。
詳細な説明
本発明の実施形態は、信号の入射角度を求めること、及び入射信号に対する平面の角度方向を求めることの一方または双方を容易にする。特に、平面は、導波モード共鳴(GMR)格子の表面である。信号によりGMR格子に生じた導波モード共鳴は、入射角度を求めるために利用される。本発明のGMRを用いた角度測定の実施形態は概して、高い感度、高い角度分解能、及び大きなダイナミックレンジを呈する。更に、GMRを用いた角度測定の実施形態は、信号の強度の変動により比較的影響されず、実施形態の一方または双方は、平面の何らかの物理的劣化に対して比較的回復力を持つことでき、例えば、比較的高いリフレッシュ速度(>1MHz)の能力がある。そういうものだから、GMRを用いた角度測定は、広範囲の様々な運用環境および運用条件において利用されることができ、並びに無数の応用形態において用途を見出すことができる。
GMRを用いた角度測定に利用されるGMR格子は、本質的に任意の表面上に又は表面内に一体化されることができ、概して当該表面上で比較的小さいフォームファクタ又は実装面積を利用する。特に、GMR格子は、以下に限定されないが、回路製作で使用されるマイクロリソグラフィー/ナノリソグラフィーを用いた表面パターニングを含む多数の従来の製造方法を用いて製作される。例えば、従来の半導体製造技術(例えば、CMOSと互換性のある製作プロセス)を利用して、集積回路(IC)の表面にGMR格子を形成することができる。そういうものだから、本発明の様々な実施形態のGMRを用いた角度測定を利用する角度センサは、IC上で従来の回路構成要素と容易に集積化され得る。更に、係る例示的な集積型角度センサは、例えば、現在利用可能な製造方法を用いて、1平方ミリメートル(mm)と同じくらい小さい表面実装面積内に実現され得る。
本明細書で使用される限り、「導波モード共鳴」は、回折格子のような位相整合素子により、導波路に励振された、及び導波路から同時に取り出された異常共鳴として定義される。回折格子に入射する励振信号または励振波(例えば、光)は、結合され、入射角度および信号波長の特定の組合せのような、幾つかの状況の下で導波路に共鳴モードのエネルギーとして本質的に、しかし通常一時的に「閉じ込め」られる。共鳴モードは、例えば、金属格子の表面上の表面波の励振(即ち、表面プラズモン)として、又は導波路の誘電体層の本体内の共鳴波(例えば、導波モード、又は擬似導波モード)として現れ得る。閉じ込められたエネルギーはその後、導波路から逃げて、格子により反射された信号、又は格子を透過した信号と強め合う及び弱め合うの一方または双方のように結合する。また、導波モード共鳴は、「漏洩共鳴(leaky resonance)」とも呼ばれることが多い。
本明細書で使用されるような「導波モード共鳴(GMR)格子」は、導波モード共鳴をサポートすることができる導波路と結合された任意の回折格子として定義される。また、GMR格子は、「共鳴格子導波路」及び「誘電体導波路格子」とも呼ばれ、知られている。例えば、光GMR格子は、表面層に形成された回折格子を有する誘電体スラブ導波路からなることができる。回折格子は、誘電体スラブの表面に形成された溝または隆起部を含むことができる。別の例において、GMR格子は、平坦な誘電体シートであり、その誘電体シートは、誘電体シート内に周期的に交互になった屈折率(例えば、位相格子)を有する。例示的な位相格子は、誘電体シート内に及び誘電体シートを貫通する周期的な穴の配列を形成することにより形成され得る。内部で導波モード共鳴を励振するGMR格子の表面に入射する信号は、GMR格子の入射表面から反射する反射信号(即ち、反射波)、又はGMR格子を通過して、GMR格子の入射表面の反対側の面を出る透過信号(即ち、透過波)の一方または双方として同時に取り出され得る。
様々な実施形態において、GMR格子は、一次元(1D)の格子または二次元の格子とすることができる。1DのGMR格子は、例えば、第1の方向(例えば、x軸に沿って)にだけ周期的である一組の平行で本質的に直線状の溝を含むことができる。2DのGMR格子の例は、誘電体スラブ又は誘電体シートの穴の配列を含み、この場合、穴は、2つの直交する方向に沿って(例えば、x軸とy軸の双方に沿って)、周期的に間隔をおいて配置される。GMR格子および導波モード共鳴に関する更なる説明は、例えば、Magnusson他による米国特許第5,216,680号、及びWawro他による米国特許第7,167,615号に見出されることができ、それらの双方は参照により本明細書に全体を組み込まれる。
GMR格子の特徴の中には、入射波の入射角度とGMR格子の応答との間の角度関係がある。応答は、反射応答または透過応答とすることができる。比較的浅い又は薄い誘電体層を含み、格子周期Λを有する1DのGMR格子を考察する。1D格子に対する入射波の自由空間波長λの関数としての平面波数ベクトルβは、式(1)の分散関係により与えられる。即ち、
β(λ)=neff(λ)2π/λ (1)
ここで、neff(λ)は、格子の導波モードの実効屈折率である。実効屈折率neff(λ)は、導波モードが1DのGMR格子内を伝搬する材料の屈折率の加重平均である。1DのGMR格子内の平面運動量の擬似導波モードと波長λの入射波(例えば、光線)との間の相互作用は、式(2)により、整数モードmに関して記述され得る。即ち、
β(λ、θ)=(2πn/λ)sin(θ)+2πm/Λ (2)
ここで、入射波は、屈折率nを有する媒体から入射し、入射角度θを有し、Λは1DのGMR格子の周期である。相互作用は、1DのGMR格子の導波モード共鳴応答を生じさせる。導波モード共鳴応答は、波長λと入射角度θの関数である。幾つかの実施形態において、導波モード共鳴応答は反射応答であるが、他の実施形態において導波モード応答は、1DのGMR格子の透過応答である。本明細書において、入射角度θは、入射波の主な入射方向とGMR格子の表面に平行な平面との間の角度として定義される。
例えば、入射波は、1D光GMR格子に入射する光信号とすることができる。係る入射光信号は、光信号が入射する表面からの反射光応答信号を生じることができる。代案として、入射光信号は1D光GMR格子を通過し、入射表面の反対側の面から出射し、透過光応答信号を生じる。入射角度は、入射表面に平行な平面と1D光GMR格子に到達する光信号からの方向との間の角度である。
導波モード共鳴応答は、反射応答または透過応答のスペクトル(例えば、光反射/透過スペクトル)内のスペクトル特性(例えば、スペクトルのピーク)として検出され得る。特に、特定の整数モードmのスペクトル特性は、関係βeff(λ)=|β(λ、θ)|を満たし、式(3)により与えられる反射/透過スペクトル内の波長λに位置する。
Figure 0005366982
式(3)から、m次モードのスペクトル特性が、式(4)により与えられる入射角度θの関数であるスペクトル距離Δλだけ離間された二つ一組で生じることが明らかである。
Figure 0005366982
式(4)から、直角の入射角度(即ち、θ=90度)の場合、スペクトル距離はゼロに等しく、たった1つの導波モード共鳴が存在することを示すことは明らかである。更に、式(4)から、スペクトル距離Δλは共鳴の絶対スペクトル位置、並びに入射波の強度または振幅に無関係であることは明らかである。実際には、所与の格子周期Λの場合、入射角度θ、入射媒体の屈折率n、及びモード次数mだけの関数であるスペクトル的特徴間のスペクトル距離Δλをもたらす共鳴分裂(resonance splitting)を生じる。
特に、スペクトル距離Δλは、格子の物理的構成(例えば、格子のタイプ、及び格子の実効屈折率neff)に無関係である。例えば、GMR格子の表面の酸化は、酸化されていない表面と比べて、酸化した表面の測定されたスペクトル距離Δλに影響を及ぼさない。そういうものだから、角度センサとしての格子の較正は、格子層の構成物の変化により影響を受けない。
本明細書において簡略化のために、基板またはスラブと基板/スラブ上の任意の層または構造との間の区別は、係る区別が適切な理解のために必要でない限り、行わない。同様に、全ての回折格子は、区別が適切な理解のために必要でない限り、総称的に表される。更に、本明細書で使用される限り、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、即ち1つ又は複数の意味を有することが意図されている。例えば、本明細書において、「層」は一般に、1つ又は複数の層を意味し、「層」は「層(単数または複数)」を意味する。また、本明細書において、「上側」、「下側」、「上部」、「下部」、「上へ」、「下へ」、「左」または「右」の任意の表現は、本明細書で制限することを意図されていない。更に、本明細書の例は、単に例示することが意図されて、説明の目的のために提供されており、制限のために提供されていない。
図1は、本発明の一実施形態による角度センサ100のブロック図を示す。角度センサ100は、信号102の入射角度を求める。角度センサ100は、角度センサ100の表面の平面から信号102の到来方向までを測定した角度としての入射角度を求める。様々な実施形態において、信号102は、広帯域信号(例えば、白色光)または周波数走査された狭帯域信号102(例えば、周波数走査された単色光)とすることができる。
一般に、信号102は、周波数範囲にわたって時間の関数として走査または掃引される。例えば、信号102は、光源(図1には示されず)からの光信号102からなることができ、光信号102は、以下に限定されないが、例えば白色光のような広帯域信号102である。別の例において、光信号102は、時間の関数として周波数走査された光信号102を生じる走査型連続波レーザにより生成され得る。幾つかの実施形態において、信号102は平行化(コリメート)され得る(例えば、平行光信号)。幾つかの実施形態において、光信号102は偏光され得る(例えば、偏光光信号)。
角度センサ100は、導波モード共鳴(GMR)格子を含む。一般に、GMR格子110は、導波モード共鳴をサポートすることができる任意の回折格子とすることができる。幾つかの実施形態において、GMR格子110は、平面誘電体導波路(例えば、誘電体スラブ又は誘電体シート)に結合された平面回折格子である。入射角度が測定される表面は、一般に回折格子を含むGMR格子110の平面である。
幾つかの実施形態において、GMR格子110は、格子周期Λの1D回折格子からなる。係る実施形態は、本明細書において、「1DのGMR格子」と呼ばれる。図2Aは、本発明の一実施形態による1DのGMR格子110の断面図を示す。図示されたように、1DのGMR格子110は、誘電体スラブ又は誘電体層114の上面層に形成された回折格子112を含む。回折格子112は、隆起部および溝の一方または双方とすることができる格子要素が例えば、格子周期Λで周期的に間隔をおいて配置されるように形成され得る。格子要素は、例えば鋳造(成形)またはエッチングにより機械的に形成され得る。代案として、格子要素は、誘電体スラブ114の表面に別の材料(例えば、誘電体または金属)を堆積およびパターンニングすることにより形成され得る。
図2Bは、本発明の別の実施形態による1DのGMR格子110の横断面図を示す。図2Bに示されるように、1DのGMR格子110の回折格子112は、誘電体スラブ114内に第1の誘電体材料および第2の誘電体材料の周期的に交互になっているストリップ(細長片)を含む。ストリップは、格子周期Λで周期的に間隔をおいて配置され、本質的に互いに平行である。幾つかの実施形態において、格子周期Λの方向(即ち、ストリップの交互になっている方向)に測定された幅は、或るストリップから次のストリップまで本質的に同じである。第1の誘電体材料の屈折率nは、第2の誘電体材料の屈折率nとは異なり、それにより格子周期Λの方向に沿って周期的に交互になっている屈折率がもたらされる。周期的に交互になっている屈折率は、誘電体スラブ114内に回折格子112を生じさせる。
1DのGMR格子110において、回折格子112の格子周期Λに本質的に直角(例えば、隆起部、溝、又は誘電体ストリップに直角)の入射角度が求められる。そういうものだから、1DのGMR格子110を含む角度センサ100は、単一の方向または軸(例えば、x軸)に対する信号102の入射角度を求めるために使用され得る。第2の(一般に直交する)方向または軸に対する入射角度を測定するために、第2の1DのGMR格子を用いた角度センサ100が利用され得る。例えば、座標系の主軸(例えば、デカルト座標系のx軸とy軸)に沿って互いに直交して方向付けられた2つの1DのGMR格子を用いた角度センサ100は、角度センサ100を含む平面の上の2πステラジアン半空間において任意の入射角度を求めるために利用され得る。
他の実施形態において、GMR格子110は、2D回折格子を含み、本明細書において2DのGMR格子110と呼ばれる。図3は、本発明の一実施形態による2DのGMR格子110の斜視図を示す。図示されたように、2DのGMR格子110の回折格子112は、誘電体スラブ114の表面層に形成された穴の2Dの周期的配列を含む。周期的に繰り返す屈折率の切れ目を誘電体スラブ114の表面層にもたらす当該穴の2Dの周期的配列は、2次元の周期Λを有する。周期的に繰り返す屈折率の切れ目は、回折格子112をもたらす。
例えば、誘電体スラブ114は、シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハーからなることができ、回折格子112はシリコン(Si)の表面にエッチングされた穴の正方格子からなることができる。この例において、穴は、約400ナノメートル(nm)の直径を有し、約25nmの深さまでエッチングされ得る。正方格子の穴の間隔または穴の周期Λは、約1.05ミクロン(μm)(即ち、ここではΛ=Λ=Λ)とすることができる。この例において、Siは、約50nmの厚みを有する層とすることができる。
穴として図3に示されているが、2D回折格子112は、2Dの周期的に繰り返される切れ目を導入するために、本質的に任意の手段により作成され得る。例えば、上述した穴は、誘電体スラブ114とは異なる屈折率の誘電体材料で充填され得る。別の例において、2D回折格子は、誘電体スラブ114の全厚みを完全に貫通して延在する穴または充填された穴(例えば、誘電体プラグ)により提供される。更に別の例において、突出する表面の特徴要素(例えば、隆起(バンプ))の配列が、2D回折格子として利用され得る。幾つかの実施形態において、周期的配列の第1の方向(例えば、x軸)における2D回折格子112の格子周期Λは、周期的配列の第2の方向(例えば、y軸)における格子周期Λとは異なってもよい。
図1を再び参照すると、角度センサ100は、共鳴プロセッサ120を更に含む。共鳴プロセッサ120は、信号102に対するGMR格子110の導波モード共鳴応答104から入射角度を求める。特に、共鳴プロセッサ120は、導波モード共鳴応答104から情報を取り出し、取り出した情報を利用して入射角度を求める。幾つかの実施形態において、共鳴プロセッサ120は、GMR格子110により生じた導波モード共鳴応答104に関連した情報を応答信号104から取り出す。
例えば、応答信号104は、入射信号102とGMR格子110の導波モードとの間の相互作用により生成される。幾つかの実施形態において、応答信号104は、図1に示されたような透過応答信号104とすることができる。透過応答信号104が利用される場合、共鳴プロセッサ120(又はその検出器の部分)は、GMR格子110の信号が入射する面とは反対の側に配置され得る。代案として、応答信号104は反射応答信号(図示せず)とすることができる。反射応答信号104の場合、共鳴プロセッサ120(又はその検出器の部分)は一般に、GMR格子110の入射面に面して配置される。幾つかの実施形態において、透過応答信号および反射応答信号104の双方が利用され、そのため共鳴プロセッサ120は透過および反射受信要素を含む。
幾つかの実施形態において、共鳴プロセッサ120は、一対の導波モード共鳴間のスペクトル距離から入射角度を求める。係る実施形態において、求められた入射角度は、スペクトル距離に比例する。スペクトル距離は、導波モード共鳴応答104のスペクトル内の距離である。例えば、スペクトル距離は、GMR格子110からの応答信号104のスペクトル内での一対の共鳴の第1の共鳴の位置と第2の共鳴の位置との間の周波数差、言い換えると波長差とすることができる。
他の実施形態において、共鳴プロセッサ120は、導波モード共鳴応答104において共鳴を計数することにより入射角度を求める。特に、単一の共鳴が共鳴プロセッサ120により計数される場合、入射角度はGMR格子110に直角(例えば、90度)であると判定される。2つ以上の共鳴が共鳴プロセッサ120により計数される場合、入射角度は、共鳴プロセッサ120により90度未満であると判定される。幾つかの実施形態において、共鳴プロセッサ120が2つ以上の共鳴を計数する場合、スペクトル距離が共鳴プロセッサ120により利用されて、入射角度が求められる。本明細書において、「直角の入射角度」は、入射角度θ=90度として定義される。
幾つかの実施形態において、共鳴プロセッサ120は、スペクトラムアナライザーを含むことができる。スペクトラムアナライザーは、GMR格子110により生じた応答信号104のスペクトルを生成する。特に、スペクトラムアナライザーは、広帯域(複周波数)入射信号102により生じた応答信号104からスペクトルを生成することができる。以下に限定されないが、ピーク検出器のようなスペクトラムアナライザーの機能は、導波モード共鳴を特定するために利用され得る。特定されるやいなや、導波モード共鳴は計数され得るか、及び/又は共鳴間のスペクトル距離が求められ得る。多くのスペクトラムアナライザーが、例えばスペクトル距離を測定するための機能を提供する。上述したように、スペクトル距離(又は計数値)から、入射角度が求められ得る。
他の実施形態において、共鳴プロセッサ120は信号検出器(例えば、光検出器)を含む。信号検出器は、GMR格子110により生じた応答信号104を受け取る。係る実施形態において、共鳴プロセッサ120は更に、パワーメータを含む。パワーメータは、信号検出器により出力されたパワーレベルを測定し、そのパワーレベルは応答信号104の大きさに比例している。共鳴プロセッサ120の係る実施形態は、入射信号102が例えば、周波数走査された狭帯域信号102からなる場合に利用され得る。入射角度は、測定されたパワーレベルのピークの数を計数することによるか、又は測定されたパワーレベルにおける一対のピーク間の時間距離を測定することにより求められる。
例えば、共鳴プロセッサ120は、GMR格子110から応答信号104を受け取るCMOS又はCCDセンサを含むことができる。別の例において、共鳴プロセッサ120は、波長に敏感なマイクロセンサのアレイを含むことができる。例示的な共鳴プロセッサ120は更に、センサ(単数または複数)の出力から共鳴情報を特定および取り出すためのピーク探知機または別のパターン認識アルゴリズムを実現する特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。ASICは更に、取り出された共鳴情報から入射角度を計算することができる。
図4は、図1の角度センサ100と関連する導波モード共鳴の例示的なスペクトルのグラフを示す。特に、第1の示されたスペクトル130は、直角の入射角度(θ=0度)で照射された際に光GMR格子110により生じた応答信号104の一般的なスペクトルを示す。直角の入射角において、単一の導波モード共鳴が、スペクトル130に存在する単一のピーク132により示されるように生じる。図4の第2の示されたスペクトル140は、入射角度θで照射された光GMR格子110の一般的なスペクトルを示す。スペクトル140は2つのピーク142、144を含む。2つのピーク142、144間の相対的なスペクトル距離Δλは、入射角度θに比例する。
一般に、所与の入射角度およびGMR格子110の特定の構造(例えば、周期Λ)の場合、スペクトルに3つ以上のピークを生じさせる3つ以上の導波モード共鳴が存在することができる。しかしながら、入射角度は、3つ以上のピークが存在する場合に一対のピーク間の相対的な間隔により求められ得る。例えば、スペクトルの中間点に最も近い第1の2つのピーク間の相対的なスペクトル距離が利用され得る。スペクトルの中間点は、直角の入射角度の入射信号102の場合に単一のピークが生じる点である。また、本明細書において、スペクトルのピークとして説明されるが、GMR格子110における導波モード共鳴を示す他のスペクトル的特徴を利用して、共鳴を特定およびその位置を見つけることができる。例えば、スペクトルの1つ又は複数の谷、スペクトルの平均レベルに対するゼロ交差、及びスペクトルの変曲点も利用され得る。
図5は、本発明の一実施形態による角度検出システム200のブロック図を示す。図示されたように、角度検出器システム200は、光信号202を利用し、それ故にこの実施形態においてフォトニック角度検出システムまたは光学角度検出システム200である。他の実施形態において、光学要素が、非光学的タイプの信号に適合された要素と置き換えられて、そのため角度検出システム200は一般的な角度検出システム(図示せず)とみなされ得る。角度検出システム200は光信号202の求められた入射角度を出力する。
角度検出システム200は、導波モード共鳴(GMR)格子210を含む。GMR格子210は、GMR格子210の表面に入射した光信号202との相互作用の結果としての導波モード共鳴応答を生成する。幾つかの実施形態において、GMR格子210は、角度センサ100に関して上述されたGMR格子110に本質的に類似する。
角度検出システム200は更に、共鳴プロセッサ220を含む。共鳴プロセッサ220は、GMR格子210の表面での光信号202の入射角度を求める。共鳴プロセッサ220は、角度の測定を行うために導波モード共鳴応答を利用する。幾つかの実施形態において、共鳴プロセッサ220は、角度センサ100に関して上述された共鳴プロセッサ120に本質的に類似する。
角度検出システム200は更に、光源230を含む。光源230は、光信号202を生成する。幾つかの実施形態において、光源230は広帯域光信号202(例えば、白色光)を生成する広帯域光源230である。他の実施形態において、光源230は、周波数において時間走査された狭帯域光信号202を生成する走査型狭帯域光源230である。例えば、狭帯域光源230は、単色走査型連続波レーザ230とすることができる。光源230は、光信号202を放出する光学放出器232を含む。本明細書において、光源230からの光信号202を利用するものとして一例として示されているが、角度検出システム200は一般に、信号202としての役割を果たすことができる波動を生成する本質的に任意の信号源230で実施され得る。
幾つかの実施形態において、光信号源230は、平行(コリメート)光信号202を生成するコリメート光源230である。例えば、光源230は更に、コリメータ234(例えば、レンズ又はピンホール)を含むことができる。コリメータ234は、光源230とGMR格子210との間に配置され、コリメータ234を通過する光信号202を平行にするように働く。幾つかの実施形態において、光源230は更に、偏光子236を含む。また、偏光子236は一般に、光源230とGMR格子210との間に配置される。偏光子236は、それを通過する光信号を偏光光信号202(例えば、直線偏光光信号)へ変換する。
一例として、光源230からの光信号202を利用するものとして示されているが、角度検出システム200は一般に、指向性「波動含有」信号202(例えば、無線周波数信号、マイクロ波信号、又は音響信号)を生成する本質的に任意の信号源230を含むことができる。係る一般的な具現化形態において、上述された光GMR格子210及び共鳴プロセッサ220は、波動含有信号202及びそれにより生じた共鳴応答と適合したGMR格子210及び共鳴プロセッサ220により、同様に置き換えられる。
図6は、本発明の一実施形態による、入射角度を求める方法300の流れ図を示す。入射角度を求める方法300は、導波モード共鳴(GMR)格子を準備(310)することを含む。例えば、準備(310)されるGMR格子は、1DのGMR格子とすることができる。別の例において、準備(310)されるGMR格子は、2DのGMR格子である。幾つかの実施形態において、準備(310)されるGMR格子は、角度センサ100に関連して上述されたGMR格子110に本質的に類似する。
入射角度を求める方法300は更に、入射信号にさらされた際にGMR格子で生じた導波モード共鳴を検出(320)することを含む。例えば、入射信号は、GMR格子の表面に入射する光信号とすることができる。入射光信号は、例えば広帯域光信号および時間走査された狭帯域光信号の1つとすることができる。幾つかの実施形態において、導波モード共鳴を検出(320)することは、入射信号からGMR格子により生じた応答信号を検出することを含むことができる。様々な実施形態において、応答信号は、透過応答信号および反射応答信号の1つ又は複数とすることができる。
入射角度を求める方法300は更に、入射信号の入射角度を求める(330)ことを含む。入射角度は、入射信号に対するGMR格子の応答に存在する導波モード共鳴の数、及び導波モード共鳴間のスペクトル距離の一方または双方から求められる(330)。幾つかの実施形態において、求められた(330)入射角度は、2つ以上の導波モード共鳴が存在する場合に、一対の導波モード共鳴間のスペクトル距離に比例する。他の実施形態において、入射角度は、入射信号に対するGMR格子の応答において導波モード共鳴が1つだけ存在する場合に、GMR格子の表面に直角であると判定される。
幾つかの実施形態において、入射角度を求める(330)ことは、GMR格子からの応答信号のスペクトルを測定することを含む。求める(330)ことは更に、GMR格子で生じた導波モード共鳴に関連したスペクトルにおいてスペクトル的特徴を特定することを含む。例えば、特定されたスペクトル的特徴は、スペクトルのピークとすることができる。求める(330)ことは更に、特定されたスペクトル的特徴の数(即ち、数量)を計数すること、及び特定された一対のスペクトル的特徴間のスペクトル距離を測定することの一方または双方を含む。上述されたように、入射角度は、特定されたスペクトル的特徴が1つだけ存在する場合にGMR格子の表面に直角であると判定(330)される。入射角度は、特定されたスペクトル的特徴が2つ以上存在する場合にスペクトル距離に比例していると判定される(330)。
かくして、導波共鳴モードを用いた、角度センサ、角度検出システム、及び入射角度を求める方法に関する実施形態が説明された。理解されるべきは、上述した実施形態は、本発明の原理を表す多数の特定の実施形態の一部を示すに過ぎない。明らかなように、当業者は、以下の特許請求の範囲により定義されたような本発明の範囲から逸脱せずに、多くの他の構成を容易に考え出すことができる。

Claims (9)

  1. 導波モード共鳴(GMR)格子(110、210)と、
    前記GMR格子(110、210)に入射する信号(102、202)に対する前記GMR格子(110、210)の導波モード共鳴応答(104)から前記信号(102、202)の入射角度を求める(300、330)共鳴プロセッサ(120、220)とを含み、
    前記共鳴プロセッサ(120、220)が、前記導波モード共鳴応答(104)における一対の導波モード共鳴間のスペクトル距離から入射角度を求め(300、330)、その求められた入射角度が前記スペクトル距離に比例する、角度センサ(100)。
  2. 前記GMR格子(110、210)が二次元格子からなり、求められる入射角度が、前記二次元格子の平面に対して測定された角度であり、前記二次元格子が、誘電体スラブ(114)の表面層に形成された誘電体特徴要素(112)の二次元の周期的配列を含む、請求項1に記載の角度センサ(100)。
  3. 前記GMR格子(110、210)が誘電体スラブ(114)の表面形状を含み、前記表面形状が、誘電体スラブ(114)の表面から突出する表面特徴要素(112)の配列を含む、請求項1に記載の角度センサ(100)。
  4. 前記共鳴プロセッサ(120、220)が、前記導波モード共鳴応答の共鳴を計数することにより入射角度を求め(300、330)、1の共鳴の計数値は、前記GMR格子(110、210)の表面に対して直角の入射角度である入射角度に等しい、請求項1〜の何れかに記載の角度センサ(100)。
  5. 前記信号(102、202)が広帯域光信号であり、前記共鳴プロセッサ(120、220)が、
    前記GMR格子(110、210)により生じた応答信号(104)のスペクトル(130、140)を生成するスペクトラムアナライザーを含み、前記応答信号(104)が前記導波モード共鳴応答(104)である、請求項1〜の何れかに記載の角度センサ(100)。
  6. 前記共鳴プロセッサ(120、220)が、
    前記スペクトル(130、140)のピーク(132、142、144)を検出する(330)ピーク検出器を更に含み、
    前記入射角度が、検出されたピーク(132、142、144)の数を計数すること、及び一対の検出されたピーク(142、144)間のスペクトル距離を測定することの一方または双方から求められる、請求項に記載の角度センサ(100)。
  7. 前記信号(102、202)が、走査された狭帯域光信号であり、前記共鳴プロセッサ(120、220)が、
    前記導波モード共鳴応答(104)として前記GMR格子(110、210)により生じた応答信号(104)を受け取る(320)光検出器と、
    前記光検出器により出力されたパワーレベルを測定するパワーメータとを含み、
    前記パワーレベルが前記応答信号(104)の大きさに比例し、
    前記狭帯域光信号が、時間の関数として光周波数の範囲にわたって周波数走査されており、前記入射角度が、測定されたパワーレベルのピーク(132、142、144)の数を計数すること、及び測定されたパワーレベルの一対のピーク(142、144)間の時間距離を測定することの一方または双方により求められる(300、330)、請求項1〜の何れかに記載の角度センサ(100)。
  8. 前記共鳴プロセッサ(120、220)が、前記GMR格子(110、210)からの応答信号(104)を受け取って処理し、前記応答信号(104)が前記GMR格子(110、210)の透過応答信号および前記GMR格子(110、210)の反射信号の一方または双方である、請求項1〜の何れかに記載の角度センサ(100)。
  9. 角度検出システム(200)において使用される請求項1〜の何れかに記載の角度センサ(100)であって、
    前記角度検出システム(200)が、光信号(102、202)を生成する光源(230)を更に含み、求められた入射角度が、前記角度検出システム(200)により格納されること及び出力されることの一方または双方である、角度センサ(100)。
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