JP5366901B2 - 空気調和機の室内機 - Google Patents
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Description
そして、上下風向板を回転させる機構として、上下風向板の回転軸を左右方向(上下方向に垂直な方向)に配置して、その回転軸に電動モーターの回転軸を直接接続した発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、上下風向板を回転させる機構として、上下風向板の回転軸を左右方向に配置して、その回転軸と電動モーターの回転軸とをリンク機構によって連結する発明が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
そして、上下風向板が回転すると、羽根部分が風路(風路側壁に挟まれた範囲)の一部に侵入する。すなわち、上下風向板の左右方向の長さは、吹出口の左右方向の長さ(風路側壁同士の間隔に同じ)よりも短くなっている。
(い)また、調和空気を左右方向の広い範囲(斜め外側)に吹き出させるために、風路側壁の所定範囲を筐体側面に向かって折り曲げて、テーパー状範囲(一対の風路側壁においてはハ字状を呈する)を形成したいところ、かかるテーパー状範囲が露出するため、意匠性が阻害され、かかるテーパー状範囲を設けることができなかった。このため、調和空気の左右方向の吹出範囲が抑えられるという問題があった。
(う)一方、仮に、意匠性を犠牲にして、テーパー状範囲を設けたとしても、テーパー状範囲には羽根部分が存在しないため、テーパー状範囲を通過した調和空気は吹出方向が上下に案内されないという問題があった。
(え)また、リンク機構は風路側壁と筐体側面との間に収納するものである。そのため、リンク機構を左右方向で薄く形成することによって、風路側壁を筐体側面に近づけることができるものの、電動モーターを風路に突出させないためには、かえって風路側壁と筐体側面とを離す必要があったり、電動モーターと室内機の構成部材(例えば、ドレン水を排出するドレンホースの接続部等)とが干渉しないようにするためには、筐体の奥行きを拡大したりする必要があった。このため、筐体の小型化が困難になるという問題があった。
また、調和空気の左右方向の吹出範囲を拡大しながらも、上下方向の吹出方向を案内することができる室内機を得るものである(第2の目的)。
さらに、室内機の構成部材と干渉しない構成によって、筐体の小型化を可能にする室内機を得るものである(第3の目的)。
吸込口および吹出口が形成され、左右部分に筐体側面を具備する筐体と、
該筐体の内部で前記吸込口と前記吹出口との間に配置された熱交換器と、
該熱交換器と前記吹出口との間に配置された送風ファンと、
該送風ファンと前記吹出口との間に形成され、左右部分に風路側壁を具備する吹出風路と、
前記吹出口の前面寄りに回転自在に配置され、調和空気の上下方向の吹出方向を案内する上下前風向板と、
該上下前風向板を回転する上下前駆動モーターと、
前記吹出口の後面寄りに回転自在に配置され、調和空気の上下方向の吹出方向を案内する上下後風向板と、
該上下後風向板を回転する上下後駆動モーターと、
前記風路側壁と前記筐体側面との間に形成され、前記上下前駆動モーターおよび前記上下後駆動モーターを収納するモーター収納庫と、
該モーター収納庫を覆うモーター覆い板と、
を有し、
前記モーター覆い板の前面寄りに形成されたモーター覆い板前切欠部と、該モーター覆い板前切欠部につながって前記風路側壁に形成された風路側壁前切欠部とによって、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が侵入自在な前逃がし溝が形成され、
前記モーター覆い板の後面寄りに形成されたモーター覆い板後切欠部と、該モーター覆い板後切欠部につながって前記風路側壁に形成された風路側壁後切欠部とによって、前記上下後風向板の羽根部分の端部分が侵入自在な後逃がし溝が形成され、
前記上下前風向板が、略矩形状の羽根部分と、該羽根部分の端部分から所定範囲離れた位置に固定され、一方の面側に突出する腕部分と、該腕部分に設けられた軸固定部分とを具備し、
前記風路側壁を貫通して、前記上下前風向板の軸固定部分が前記上下前駆動モーターの回転軸に直接または継手手段を介して連結され、
前記上下前風向板が回転されて前記吹出口の前面寄りを塞いだ状態では、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が、前記モーター覆い板に略平行に対峙し、前記上下前風向板が回転されて前記吹出口の前面寄りを開いた状態では、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が前記前逃がし溝に侵入し、
前記上下後風向板が、略矩形状の羽根部分と、該羽根部分の端部分から所定範囲離れた位置に固定され、一方の面側に突出する腕部分と、該腕部分に設けられた軸固定部分とを具備し、
前記風路側壁を貫通して、前記上下後風向板の軸固定部分が前記上下後駆動モーターの回転軸に直接または継手手段を介して連結され、
前記上下後風向板が回転されて前記吹出口の後面寄りを塞いだ状態では、前記上下後風向板の羽根部分の端部分が、前記モーター覆い板に略平行に対峙し、前記上下後風向板が回転されて前記吹出口の後面寄りを開いた状態では、前記上下後風向板の羽根部分の端部分が前記後逃がし溝に侵入したりすることを特徴とする。
(ii)また、モーター覆い板にスリット状のモーター覆い板前切欠部およびモーター覆い板後切欠部が形成され、これらにそれぞれ連通したスリット状の風路側壁前切欠部および風路側壁後切欠部が風路側壁に形成されたことによって、回転する上下前風向板および上下後風向板を何れも略矩状にすることが可能になっている。そして、上下前風向板および上下後風向板の左右方向の長さが、吹出口の左右方向の幅(風路側壁同士の距離に同じ)よりも大きいから、吹出口から吹き出された調和空気は上下方向に確実に案内される。よって、快適性が向上する。
(iii)特に、前方(左右方向に垂直な方向)に吹き出す時だけでなく、吹出口から左右方向に大きく傾いた「斜め外側」に吹き出す時にも、吹出口の斜め外方向にも上下前風向板および上下後風向板の端部分が存在しているから、吹き出された調和空気は上下方向にも案内される。よって、快適性が向上する。
(iv)さらに、モーター収納庫あるいは上下前駆動モーターおよび上下後駆動モーターの配置を変更することなく、上下前風向板および上下後風向板を拡大(左右方向の長さを吹出口の幅よりも長く)しているから、筐体を大きくする必要がなくなる。
図1〜図6は本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、図1の(a)は全体を模式的に示す斜視図、図1の(b)は側面視の断面を示す断面図、図2は一部(風路側壁)を示す斜視図、図3は一部(モーター収納庫)を示す斜視図(筐体側面を透視している)、図4の(a)は正面方向への吹出時の一部(モーター収納庫)を示す略平面視の断面図、図4の(b)は側面方向への吹出時の一部(モーター収納庫)を示す平面視の断面図、図5の(a)は冷房運転時の上下風向板を示す斜視図、図5の(b)は冷房運転時の上下風向板を示す側面視の断面図、図6の(a)は暖房運転時の上下風向板を示す斜視図、図6の(b)は暖房運転時の上下風向板を示す側面視の断面図である。なお、各図は模式的に描いたものであって、各部材の形状や大きさは図示する形態に限定するものではない。また、各図において同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図1の(a)および(b)において、空気調和機の室内機(以下、単に「室内機」と称す)100は、筐体10と、筐体10内に設置された熱交換器20および送風ファン30と、を有している。
筐体10は、筐体上面11、筐体後面12、筐体下面13、筐体前面14、及び筐体側面15L、15Rとを有し、筐体上面11に室内空気を吸い込む吸込口16と、筐体下面13と筐体前面14との間に調和空気を吹き出す吹出口17が形成されている。
そして、吹出口17には、調和空気を上下方向の所定方向に吹き出すように案内する上下前風向板50L、50Rおよび上下後風向板60L、60R(合計4枚)が、回転自在に設置されている(これについては別途詳細に説明する)。また、筐体前面14には意匠パネル19が設置されている。
また、筐体側面15R、15Lそれぞれに平行に風路側壁70R、70L(図示しない)が配置されている。
したがって、風路前壁31、風路後壁32、および風路側壁70R、70Lによって、断面矩形状の吹出風路33が形成され、吹出風路33の下端部が吹出口17になっている。すなわち、送風ファン30によって、吸込口16から吹出風路33を経由して吹出口17に至る風流れが形成される。また、吸込口16と熱交換器20との間に、集塵用のフィルター18が設置され、各部への埃等の付着を防止すると共に、清浄な調和空気を吹き出すようにしている。
さらに、吹出風路33の左側には左右風向板40Lが設置され、吹出風路33の右側には左右風向板40Lと面対称の構成である左右風向板(図示しない、説明の便宜上「左右風向板40R」と称す場合がある)とが、設置されている。
左右風向板40Lは風路前壁31に設置され、左右方向に並設された複数枚の羽根41La、41Lbを有し、斜め下方に向かう回転軸を中心に所定角度だけ回転されることによって、吹出風路33を流れる調和空気の吹出方向を左右方向の所定方向に案内している。なお、左右風向板40Rは左右風向板40Lと同様の構成であるから、説明を省略し、共通する内容については、符号の添え字「R、L」の記載を省略している。
上下前風向板50L、50Rは、左右方向に並べて配置され、それぞれ別個に回転されるものであるが、互いに面対称の構成であり、同様に、上下後風向板60L、60Rは、左右方向に並べて配置され、それぞれ別個に回転されるものであるが、互いに面対称の形状である。したがって、以下、共通する内容については、符号の添え字「L、R」の記載を省略して説明する。
また、左右方向の一方において、筐体側面15Lと風路側壁70Lとの間に上下前駆動モーター57Lおよび上下後駆動モーター67Lを収納するモーター収納庫90Lが形成され(図3および図4参照)、モーター収納庫90Lはモーター覆い板80Lによって覆われている。
また、左右方向の他方において、前記と同様の構成で、筐体側面15Lと風路側壁との間にモーター覆い板によって覆われたモーター収納庫(図示しない、以下、説明の便宜上、「風路側壁70R」、「モーター覆い板80R」、「モーター収納庫90R」と称す場合がある)が形成されているが、以下、共通する内容については、符号の添え字「R、L」の記載を省略して説明する。
上下後風向板60は、吹出口17の後面寄りに回転自在に配置され、上下前風向板50と同様な構成で同様の機能を奏するものである。すなわち、断面略円弧状の羽根部分61と、腕部分63と、軸固定部分64とを具備している。そして、軸固定部分64が、上下後駆動モーター67の回転軸66にカプラー65を介して連結され、左右方向の回転軸を中心に回転する。
図2において、風路側壁70には、左右風向板40を回転させるための左右リンク棒44が貫通する風路側壁貫通孔74と、上下前駆動モーター57のカプラー55を貫通させて回転自在に支持する風路側壁前軸受75と、上下後駆動モーター67のカプラー65を貫通させて回転自在に支持する風路側壁後軸受76とが設けられている。
そして、風路側壁前軸受75と風路側壁後軸受76との間に、スリット状の風路側壁前切欠部71が形成され、風路側壁後軸受76と風路側壁貫通孔74との間に、スリット状の風路側壁後切欠部72が、それぞれ形成されている。
一方、モーター覆い板80には、風路側壁前切欠部71に連続するモーター覆い板前切欠部81と、風路側壁後切欠部72に連続するモーター覆い板後切欠部82が、それぞれ形成されている。
また、風路側壁後切欠部72の周縁とモーター覆い板後切欠部82の周縁とは逃がし側板91a、91bによって接合され、風路側壁前切欠部71と同様に、逃がし側板92a、92bと逃がし天板92cと逃がし端板92dとによって、所定幅で所定深さの凹部(以下、「後逃がし溝」と称す)92が形成されている。
さらに、モーター覆い板80の風路側壁70に近い所定の範囲が、風路側壁70に近づく程、風上側に傾斜して、モーター覆い板面取り部分(カット部分に同じ)83が形成されている。なお、モーター覆い板面取り部分83は、風路側壁70のモーター覆い板80に近い所定範囲が、モーター覆い板80に近づく程、風下側に傾斜しているものとみなすことができる。
図3および図4において、筐体側面15と風路側壁70との間に形成されたモーター収納庫90は、前逃がし溝91(正確には、逃がし側板91a)の前面寄りの範囲に形成された上下前駆動モーター57を収納する空間であるモーター収納庫前部分95と、前逃がし溝91と後逃がし溝92(正確には、逃がし側板91bと逃がし側板92a)との間に形成された上下後駆動モーター67を収納する空間であるモーター収納庫中部分96と、前逃がし溝92(正確には、逃がし側板92b)の後面寄りの範囲に形成された左右駆動モーター46を収納する空間であるモーター収納庫後部分94と、を有している。
さらに、モーター収納庫90(筐体側面15に近い位置に配置されている)の上方には、前ドレン受け21aの端部があり、その後方には、ドレンホース(図示しない)を接続するためのドレンソケット22aが配置されている。
図1の運転停止時において、吹出口17の略全域が上下前風向板50L、50Rおよび上下後風向板60L、60Rによって覆われている。すなわち、上下前風向板50L、50R(以下、まとめて「上下前風向板50」と称す)の前面側の側縁は筐体前面14の下面側の側縁に重なるように当接または近接し、意匠パネル19に滑らかに繋がる曲面を形成している。また、上下後風向板60L、60R(以下、まとめて「上下後風向板60」と称す)の前面側の側縁は上下前風向板50の下面側の側縁に重なるように当接または近接している。
同様に、吹出口17の右側においても、上下前風向板50Rの他方の羽根端部52Rおよび上下後風向板60Rの他方の羽根端部62Rは筐体側面15Rに近づき、他方の羽根端部52Rからの所定範囲および他方の羽根端部62Rからの所定範囲が、他方のモーター覆い板80Rおよびモーター覆い板面取り部分83Rを覆っている(何れも図示しない)。
同様に、吹出口17の右側でも、上下前風向板50Rの羽根端部52Rと風路側壁70R(図示しない)との間、上下後風向板60Rの羽根端部62Rと風路側壁70R(図示しない)との間に、隙間が形成されないから、美観が保たれ、意匠性に優れている。
なお、上下後風向板60の後面側の側縁と、筐体底面13との間に隙間が形成されているが、筐体後面12に近い位置であるため、該隙間が意匠性を阻害することはない。
このように構成された空気調和機の室内機100において、運転指令が投入されると、送風ファン30の回転によって吸込口16から吸い込まれた室内空気はフィルター18で除塵され熱交換器20で冷風または温風に変わり、吹出風路33を経由して、吹出口17から吹き出される。その際、左右風向板40L、40R(以下、まとめて「左右風向板40」と称す)の回転により吹出方向が左右方向に吹き分けられ、上下前風向板50および上下後風向板60(以下、まとめて「上下風向板」と称す)の回転により吹出方向が上下方向に吹き分けられる。
図5は冷房運転を示している。冷風は下に降りやすいため、上下前風向板50および上下後風向板60を少し回転して、略水平になっている。したがって、冷風は略水平に吹き出される。
図6は暖房運転を示している。温風は上に昇りやすいため、上下前風向板50および上下後風向板60を大きく回転して、略鉛直になっている。したがって、温風は略鉛直下方に吹き出される。
そして、風路側壁70とモーター覆い板80とに跨って前逃がし溝91および後逃がし溝92が形成されているから、前記回転によって、羽根部分51の後面側の羽根側縁58および羽根部分61の後面側の羽根側縁68は、羽根端部52に近い所定範囲がモーター覆い板前切欠部81および風路側壁前切欠部71に侵入しながら、吹出風路33内に侵入して、上流側に移動することができる。
したがって、室内機100は、上下前風向板50の羽根端部52と風路側壁70との間に、および上下後風向板60の羽根端部62と風路側壁70との間に、隙間を形成しないようにすると共に、上下前風向板50および上下後風向板60の回転を可能にしている。
左右風向板40は、斜め下方に向かう回転支持部42によって回転自在に支持された複数枚の羽根41(図4において、羽根41La、41Lbの一方のみ描いている)と、回転支持部42から所定距離離れた位置において、羽根41に回動自在に設置された左右移動棒43と、左右移動棒43に接続された左右リンク棒44と、左右リンク棒44を駆動する左右駆動カム45と、左右駆動カム45を回転する左右駆動モーター46とを、有している。
したがって、左右方向に関しては、左右駆動モーター46Lの回転によって、左右風向板40Lを左右方向に所定の角度だけ回転させ、吹出方向を左右方向で制御している。
このとき、左右風向板40Lを左右方向に大きく回転させて、調和空気を大きく外側に向かって吹き出す際、モーター覆い板80にはモーター覆い板面取り部分83が形成されている(風路側壁70のモーター覆い板80に近い範囲が、外側に向かって拡がっている)から、吹き出された調和空気が風路側壁70に遮られることがなく、スムースに吹き出される。したがって、室内の広い範囲に調和空気を送り出すことができる。
なお、吹出風路33には、左右方向に、左右風向板40Lとこれと略面対称に同様の左右風向板が設置され、それぞれ独立に回転されるから、それぞれを所定の回転角度に回転することによって、調和空気の左右方向の吹出方向を所定の方向に集中したり、所定の吹出範囲に拡げたりする(例えば、吹出口17の左側半分からは左外側に向けて、吹出口17の右側半分からは正面方向に向けて吹き出す)ことが可能になっている。
図7〜図9は本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、図7は全体を模式的に示す斜視図、図8は一部(風路側壁)を示す斜視図、図9は冷房運転時の上下風向板を示す斜視図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図7〜図9において、空気調和機の室内機(以下、単に「室内機」と称す)200は、室内機100(実施の形態1)における後逃がし溝92を撤去し、室内機100における上下後風向板60に替えて、上下後風向板60の一方の羽根端部62と後面側の羽根側縁68との角に、風向板切欠部69を設けたもの(以下、「上下後風向板260」と称す)を設置したものである。
したがって、左右駆動カム45Lや左右駆動モーター46Lと上下後駆動モーター67Lとの間に、後逃がし溝92を設けるスペースが確保できない場合に好適である。
なお、運転停止時に、モーター覆い板80およびモーター覆い板前切欠部83の後面寄りの範囲は、室内機100よりも広い範囲が覆われなかったり、風路側壁70と風向板切欠部69との間に隙間が生じたりするものの、筐体後面12に近い範囲であることから、意匠性が大きく阻害されることはない。
図10〜図15は本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、図10は全体を模式的に示す側面視の断面図、図11は一部(風路側壁)を示す斜視図、図12は一部(風路側壁)を拡大して示す側面図、図13の(a)は一部(風路側壁)を拡大して示す正面図、図13の(b)は一部(風路側壁)を拡大して示す斜視図、図14は一部(突起部)の風流れを模式的に示す正面図、図15は一部(突起部)とファン入力との関係を示す特性図である。
なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、実施の形態1と同様に、共通する内容については、符号の添え字「L、R」の記載を省略して説明する。
風路側壁前突起部77は、風路側壁前切欠部71の送風ファン30に近い側の側縁(風路側壁前切欠部71の風上側)に沿って設置されている。
すなわち、風路側壁前突起部77は、モーター収納庫90の前逃がし溝91を形成する風上側の逃がし側板91b(図12参照)に沿って、筐体10の中央方向(風路側壁70に略垂直に同じ)に突出した前突起部壁面77aと、前突起部壁面77aの頂点(稜線)から風上側になるに従って風路側壁70に接近する前突起部風上斜面77bと、前突起部壁面77aの頂点(稜線)のモーター覆い板面取り部分83に相当する範囲であって、モーター覆い板80(筐体10の外側に同じ)に向かって傾斜した前突起部外側斜面77cと、モーター覆い板面取り部分83に相当する範囲であって、前突起部風上斜面77bのモーター覆い板80(筐体10の外側に同じ)の側縁と、前突起部外側斜面77cの風上側の側縁とを連結して、モーター覆い板80および風上側に向かって傾斜した前突起部繋ぎ斜面77dと、を有している。
したがって、風路側壁70の近くを流れる調和空気は、風路側壁前突起部77の前突起部風上斜面77bに案内され、筐体10の斜め中央方向に向かう方向に流れ方向をスムーズに曲げられ、流れる。同様に、モーター覆い板面取り部分83の近くを流れる調和空気は、風路側壁前突起部77の前突起部繋ぎ斜面77dおよび前突起部外側斜面77cに案内され、筐体10の斜め中央方向に向かう方向に流れ方向をスムーズに曲げられ、流れる(図15参照)。
すなわち、風路側壁前切欠部71を飛び越えるような風流れ(以下、「前突起部風流れ」と称す)W77がスムーズに形成されるから、調和空気の風路側壁前切欠部71への侵入が、効率的に防止される。
また、左右風向板40を外側に向けた場合、全体として外側に向かう調和空気の流れ(以下、「全体風流れ」と称す)W40、つまり、風路側壁前切欠部71に向かう全体風流れW40は、前突起部風流れW77に衝突(干渉)するから、調和空気の風路側壁前切欠部71への侵入が防止される。
なお、上下前風向板50および上下後風向板60が略水平方向に向いている場合、上下前風向板50の位置によってはモーター覆い板80が邪魔になって上下前風向板50の下側を調和空気が流れない場合があるが、このとき、風路側壁前切欠部71に調和空気が侵入して上下前風向板50の上側を流れてしまうことがある。
特に、高温多湿環境での冷房運転においては、上下前風向板50の上下で温度差が発生し、上下前風向板50の上側は冷えているのに上下前風向板50の下側の空気は高温多湿という状態になり、上下前風向板50の下面に着露してしまい、露が成長して室内に滴下してしまう恐れがある。
しかしながら、室内機300は、風路側壁前突起部77を有し、これによって風路側壁前切欠部71への調和空気の侵入を防ぐことができるから、前記上下前風向板50の上側の冷却が防止され、下面の着露が抑えられると共に、下面に着露した場合でも、着露した露が、成長して室内に滴下する危険が抑えられている。
さらに、風路側壁前突起部77の前突起部壁面77a(逃がし側板91bに繋がる面)に、風路側壁70に略垂直の方向(左右方向)に前突起部溝77eが複数条が設けられている。したがって、仮に、前突起部風上斜面77bに沿った流れが調和空気が巻き込まれて、前突起部壁面77aに着露が発生した場合でも、前突起部溝77eが露を保持するから、露の滴下がさらに抑えられる。
なお、前突起部溝77eの形状、大きさ、数量は限定するものではなく、表面張力を利用して露を保持することができる程度の凹凸であればよい。また、前突起部壁面77aと逃がし側板91bとに跨って形成されたもの、あるいは、前突起部壁面77aと前突起部風上斜面77bとに跨って形成されたものであってもよい。
一方、前突起部壁面77aへの着露が少ない使用環境の場合には、前突起部溝77eの設置を省略してもよい。
図15は、縦軸が送風ファンの入力増加量、横軸は風路側壁前突起部77の高さ(前突起部壁面77aの頂点(稜線)と風路側板70との距離)である。図15において、風路側壁前突起部77の高さが15mmを超えると、高くなるに従って、ファンモーター入力が急激に増大する。したがって、風路側壁前突起部77の高さを15mm程度にしておけば、ファンモーター入力への影響はほとんどないため、室内機300が必要とする電力量を、ほとんど増加させないで、前記着露の発生を抑えることができる。
なお、前記のように、風路側壁前切欠部71への調和空気の侵入を防ぐことができれば、着露の発生を抑え、引いては露の室内への滴下を防ぐことができるため、風路側壁前突起部77の形状は、前記のような断面略三角形(略直角三角形)の柱状に限定するものではなく、前突起部風上斜面77bを曲面(例えば、凹面)にしたり、通風抵抗は大きくなるものの、平板リブ(前突起部風上斜面77bが前突起部壁面77aに平行)等あってもよい。
風路側壁後突起部78は、風路側壁後切欠部72の送風ファン30に近い側の側縁(風路側壁後切欠部72の風上側)に沿って設置され、風路側壁前突起部77と同様の構造である。
すなわち、風路側壁後突起部78は、モーター収納庫90の後逃がし溝92を形成する風上側の逃がし側板92b(図12参照)に沿って、筐体10の中央方向(風路側壁70に略垂直に同じ)に突出した後突起部壁面78aと、後突起部壁面78aの頂点(稜線)から風上側になるに従って風路側壁70に接近する後突起部風上斜面78bと、後突起部壁面78aの頂点(稜線)のモーター覆い板面取り部分83に相当する範囲であって、モーター覆い板80(筐体10の外側に同じ)に向かって傾斜した後突起部外側斜面78cと、モーター覆い板面取り部分83に相当する範囲であって、後突起部風上斜面78bのモーター覆い板80(筐体10の外側に同じ)の側縁と、後突起部外側斜面78cの風上側の側縁とを連結して、モーター覆い板80および風上側に向かって傾斜した後突起部繋ぎ斜面78dと、を有している。
さらに、風路側壁後突起部78の後突起部壁面78a(逃がし側板92bに繋がる面)に、風路側壁70に略垂直の方向(左右方向)に複数条の後突起部溝78eが設けられている。
さらに、仮に、後突起部壁面78aに着露が発生した場合でも、後突起部溝78eが露を保持するから、露の滴下がさらに抑えられる。
風路後壁32の、吹出口17近傍で、かつ風路側壁70近傍の位置に、風路後壁リブ79が設けられている。左右方向で、吹出口17の幅が送風ファン30の幅よりも広いため、風路側壁70(吹出口17の側端部に相当する)が送風ファン30の側端部よりも外側に位置しているものの、送風ファン30によって送り出された調和空気は、風路後壁リブ79によって、風路側壁70側に案内される。
つまり、調和空気を外側に吹き出したいときに、調和空気は風路後壁リブ79によって、よりスムーズに外側に吹き出される。したがって、室内の広範囲に調和空気を送り出すことができる。
さらに、風路後壁リブ79により調和空気に小さな渦が多数発生するため、調和空気が上下後風向板60に沿いやすくなり、調和空気はよりスムーズに吹き出される。したがって、室内の広範囲に調和空気を送り出すことができる。
なお、風路後壁リブ79は単数でも構わないが、複数枚あったほうがより高い効果を得ることができる。
ここで、風路後壁リブ79には複数条の風路厚壁リブ溝(凹凸)79aが設けられ、仮に、風路後壁リブ79そのものに着露が発生した場合でも、風路厚壁リブ溝79aに露を保持させて露の滴下が生じないようにしている。
なお、以上は、風路側壁前突起部77と風路側壁後突起部78と風路後壁リブ79との3部材が設けられ、大きな効果を得ることができるが、本発明はこれに限定するものではなく、少なくとも何れか1部材が設けられたものであってもよい。
図16および図17は本発明の実施の形態4に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、図16は一部(風路側壁)を示す斜視図、図17は一部(突起部)の風流れを模式的に示す正面図である。なお、実施の形態2および実施の形態3と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、実施の形態2および実施の形態3と同様に、共通する内容については、符号の添え字「L、R」の記載を省略して説明する。
したがって、風路側壁前突起部77によって、風路側壁前切欠部71への調和空気の侵入を防ぐことができるから、上下前風向板50の下面の着露が抑えられると共に、下面に着露した場合でも、着露した露が、成長して室内に滴下する危険が抑えられている。
また、仮に、前突起部壁面77aに着露が発生した場合でも、前突起部溝77eが露を保持するから、露の滴下がさらに抑えられる。
さらに、調和空気は風路後壁リブ79によって、よりスムーズに外側に吹き出されるから、室内の広範囲に調和空気を送り出すことができる。
なお、以上は、風路側壁前突起部77と風路後壁リブ79との2部材が設けられ、大きな効果を得ることができるが、本発明はこれに限定するものではなく、少なくとも何れか1部材が設けられたものであってもよい。
Claims (11)
- 吸込口および吹出口が形成され、左右部分に筐体側面を具備する筐体と、
該筐体の内部で前記吸込口と前記吹出口との間に配置された熱交換器と、
該熱交換器と前記吹出口との間に配置された送風ファンと、
該送風ファンと前記吹出口との間に形成され、左右部分に風路側壁を具備する吹出風路と、
前記吹出口の前面寄りに回転自在に配置され、調和空気の上下方向の吹出方向を案内する上下前風向板と、
該上下前風向板を回転する上下前駆動モーターと、
前記吹出口の後面寄りに回転自在に配置され、調和空気の上下方向の吹出方向を案内する上下後風向板と、
該上下後風向板を回転する上下後駆動モーターと、
前記風路側壁と前記筐体側面との間に形成され、前記上下前駆動モーターおよび前記上下後駆動モーターを収納するモーター収納庫と、
該モーター収納庫を覆うモーター覆い板と、
を有し、
前記モーター覆い板の前面寄りに形成されたモーター覆い板前切欠部と、該モーター覆い板前切欠部につながって前記風路側壁に形成された風路側壁前切欠部とによって、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が侵入自在な前逃がし溝が形成され、
前記モーター覆い板の後面寄りに形成されたモーター覆い板後切欠部と、該モーター覆い板後切欠部につながって前記風路側壁に形成された風路側壁後切欠部とによって、前記上下後風向板の羽根部分の端部分が侵入自在な後逃がし溝が形成され、
前記上下前風向板が、略矩形状の羽根部分と、該羽根部分の端部分から所定範囲離れた位置に固定され、一方の面側に突出する腕部分と、該腕部分に設けられた軸固定部分とを具備し、
前記風路側壁を貫通して、前記上下前風向板の軸固定部分が前記上下前駆動モーターの回転軸に直接または継手手段を介して連結され、
前記上下前風向板が回転されて前記吹出口の前面寄りを塞いだ状態では、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が、前記モーター覆い板に略平行に対峙し、前記上下前風向板が回転されて前記吹出口の前面寄りを開いた状態では、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が前記前逃がし溝に侵入し、
前記上下後風向板が、略矩形状の羽根部分と、該羽根部分の端部分から所定範囲離れた位置に固定され、一方の面側に突出する腕部分と、該腕部分に設けられた軸固定部分とを具備し、
前記風路側壁を貫通して、前記上下後風向板の軸固定部分が前記上下後駆動モーターの回転軸に直接または継手手段を介して連結され、
前記上下後風向板が回転されて前記吹出口の後面寄りを塞いだ状態では、前記上下後風向板の羽根部分の端部分が、前記モーター覆い板に略平行に対峙し、前記上下後風向板が回転されて前記吹出口の後面寄りを開いた状態では、前記上下後風向板の羽根部分の端部分が前記後逃がし溝に侵入したりすることを特徴とする空気調和機の室内機。 - 吸込口および吹出口が形成され、左右部分に筐体側面を具備する筐体と、
該筐体の内部で前記吸込口と前記吹出口との間に配置された熱交換器と、
該熱交換器と前記吹出口との間に配置された送風ファンと、
該送風ファンと前記吹出口との間に形成され、左右部分に風路側壁を具備する吹出風路と、
前記吹出口の前面寄りに回転自在に配置され、調和空気の上下方向の吹出方向を案内する上下前風向板と、
該上下前風向板を回転する上下前駆動モーターと、
前記吹出口の後面寄りに回転自在に配置され、調和空気の上下方向の吹出方向を案内する上下後風向板と、
該上下後風向板を回転する上下後駆動モーターと、
前記風路側壁と前記筐体側面との間に形成され、前記上下前駆動モーターおよび前記上下後駆動モーターを収納するモーター収納庫と、
該モーター収納庫を覆うモーター覆い板と、
を有し、
前記モーター覆い板の前面寄りに形成されたモーター覆い板前切欠部と、該モーター覆い板前切欠部につながって前記風路側壁に形成された風路側壁前切欠部とによって、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が侵入自在な前逃がし溝が形成され、
前記上下前風向板が、略矩形状の羽根部分と、該羽根部分の端部分から所定範囲離れた位置に固定され、一方の面側に突出する腕部分と、該腕部分に設けられた軸固定部分とを具備し、
前記風路側壁を貫通して、前記上下前風向板の軸固定部分が前記上下前駆動モーターの回転軸に直接または継手手段を介して連結され、
前記上下前風向板が回転されて前記吹出口の前面寄りを塞いだ状態では、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が、前記モーター覆い板に略平行に対峙し、前記上下前風向板が回転されて前記吹出口の前面寄りを開いた状態では、前記上下前風向板の羽根部分の端部分が前記前逃がし溝に侵入し、
前記上下後風向板が、端部分に羽根切欠部が形成されている略矩形状の羽根部分と、該羽根部分の端部分から所定範囲離れた位置に固定され、一方の面側に突出する腕部分と、該腕部分に設けられた軸固定部分とを具備し、
前記風路側壁を貫通して、前記上下後風向板の軸固定部分が前記上下後駆動モーターの回転軸に直接または継手手段を介して連結され、
前記上下後風向板が回転されて前記吹出口の後面寄りを塞いだ状態では、前記上下後風向板の羽根部分の端部分が、前記モーター覆い板に略平行に対峙し、前記上下後風向板が回転されて前記吹出口の後面寄りを開いた状態では、前記上下後風向板の羽根部分の端部分が前記モーター覆い板に略平行に対峙したり、あるいは、前記上下後風向板の羽根切欠部が風路側壁に対峙したりすることを特徴とする空気調和機の室内機。 - 前記風路側壁前切欠部の前記送風ファンに近い側の側縁に沿って、前記風路側壁に風路側壁前突起部が立設され、該風路側壁前突起部によって前記風路側壁前切欠部への調和空気の侵入が抑えられることを特徴とする請求項1または2記載の空気調和機の室内機。
- 前記風路側壁前突起部の前記風路側壁前切欠部側の壁面に、着露した際の露を保持することができる前突起部溝が形成されていることを特徴とする請求項3記載の空気調和機の室内機。
- 前記風路側壁前突起部が、前記風路側壁前切欠部の前記送風ファンに近い側の側縁に連なった前突起部壁面と、該前突起部壁面の頂点から、前記送風ファンに近づく程前記風路側壁に近づいて前記風路側壁に連なる前突起部斜面と、を有することを特徴とする請求項3または4記載の空気調和機の室内機。
- 前記風路側壁後切欠部の前記送風ファンに近い側の側縁に沿って、前記風路側壁に風路側壁後突起部が立設され、該風路側壁後突起部によって前記風路側壁後切欠部への調和空気の侵入が抑えられることを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
- 前記風路側壁後突起部の前記風路側壁後切欠部側の壁面に、着露した際の露を保持することができる後突起部溝が形成されていることを特徴とする請求項6記載の空気調和機の室内機。
- 前記風路側壁後突起部が、前記風路側壁後切欠部の前記送風ファンに近い側の側縁に連なった後突起部壁面と、該後突起部壁面の頂点から、前記送風ファンに近づく程前記風路側壁に近づいて前記風路側壁に連なる後突起部斜面と、を有することを特徴とする請求項6または7記載の空気調和機の室内機。
- 前記モーター覆い板の前記風路側に近い範囲が、前記風路側に近づく方向に折り曲げられた面取り部分が形成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の空気調和機の室内機。
- 前記吹出風路の風路後壁の、吹出口近傍で、かつ風路側壁の近傍である位置に、板状の風路後壁リブが設けられ、該風路後壁リブの吹出口側の端部が、該風路後壁リブの前記送風ファン側の端部よりも、外側に位置することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の空気調和機の室内機。
- 前記風路後壁リブに、着露した際の露を保持することができる風路後壁リブ溝が形成されていることを特徴とする請求項10記載の空気調和機の室内機。
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