JP5365816B2 - 絶縁被覆導電粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、異方性導電接着剤に使用される絶縁被覆導電粒子に関する。
異方性導電接着剤に使用されている導電粒子としては、ニッケルなどの金属粒子、樹脂粒子の表面にメッキ金属層を設けたメッキ金属粒子等の導電性粒子の表面を、導電粒子間のショートの発生を防止するために熱可塑性の絶縁性樹脂又は絶縁性熱硬化樹脂で被覆した絶縁被覆導電粒子が広く用いられている(特許文献1〜3参照)。
特開平5−217617号公報 特開平5−70750号公報 特開平11−241054号公報
しかしながら、上述したような絶縁被覆導電粒子を使用して、フィルム状あるいはペースト状の異方性導電接着剤を製造すると、場合により、絶縁被覆導電粒子を被覆している絶縁性樹脂層が製造時に使用する溶剤で膨潤、溶解、あるいは変形するという問題があった。このような場合には異方性導電接着剤の導通信頼性にも悪影響が生じていた。
絶縁性樹脂層の耐溶剤性を向上させるために、絶縁性樹脂層を熱硬化性の絶縁性樹脂組成物から構成することも考えられるが、絶縁性樹脂層が硬くなりすぎると、接続すべき対向電極間から絶縁性樹脂層を十分に排除できず、結果的に十分な導通信頼性が得られないという問題がある。
本発明は、異方性導電接着剤の導電粒子に適した絶縁被覆導電粒子に、優れた耐溶剤性と導通信頼性とを同時に付与できるようにすることを目的とする。
本発明者は、導電粒子の表面に、官能基を有する絶縁性樹脂からなる絶縁性樹脂層を設け、その絶縁性樹脂層を、その官能基と反応する他の官能基を一分子中に2以上有する多官能性化合物で表面処理することにより、絶縁性樹脂層の官能基と、多官能性化合物の官能を反応させると、得られる絶縁被覆導電粒子の耐溶剤性と導通信頼性を向上させ得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、導電粒子の表面が、官能基として、オキサゾリン基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又は活性ラジカルで引き抜かれ得る水素を有する置換基を有する絶縁性樹脂からなる絶縁性樹脂層で被覆されてなる絶縁被覆導電粒子であって、該絶縁性樹脂層の表面が、その官能基と反応しうる他の官能基を一分子中に2以上有する多官能性化合物による表面処理により架橋されていることを特徴とする絶縁被覆導電粒子を提供する。
また、本発明は、官能基として、オキサゾリン基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又は活性ラジカルで引き抜かれ得る水素を有する置換基を有する絶縁性樹脂からなる絶縁性樹脂層で被覆された導電粒子の当該絶縁性樹脂層の表面を、該官能基と反応しうる他の官能基を一分子中に2以上有する多官能性化合物による表面処理により架橋させることを特徴とする絶縁被覆導電粒子の製造方法を提供する。
更に、本発明は、上述の絶縁被覆導電粒子が、絶縁性接着剤に分散してなることを特徴とする異方性導電接着剤を提供する。
また、本発明は、上述の異方性導電接着剤からなる異方性導電層を有する異方性接続シート材料であって、該異方性導電層の少なくとも片面に、該異方性導電層よりも接続時の粘度が低い低粘度絶縁性接着剤層が設けられてなる異方性接続シート材料を提供する。
加えて、本発明は、第1電子部品の電極と第2電子部品の電極との間の導通を確保すると共に、それらの電極を互いに接着する接続方法において、対向するそれらの電極の間に、上述の異方性導電接着剤もしくは異方性接続シート材料を挟持させて加圧加熱することにより、それらの電極の双方に接触している絶縁被覆導電粒子の当該接触部分の絶縁性樹脂層を排除して対向する電極の間の導通を確保しつつ電極を接着することを特徴とする接続方法、並びに、この接続方法により、第1電子部品の電極と第2電子部品の電極とが接続されてなる接続構造体を提供する。
本発明によれば、異方性導電接着剤の導電粒子に適した絶縁被覆導電粒子に、優れた耐溶剤性と導通信頼性とを同時に付与できる。従って、この絶縁被覆導電粒子を絶縁性接着剤に分散させて得られる異方性導電接着剤や、この異方性導電接着剤からなる異方性導電層を有する異方性接続シート材料を、溶剤を用いたプロセスで製造しても絶縁被覆導電粒子の絶縁性を確保できるだけでなく、異方性導電接着剤や異方性接続シート材料中の絶縁被覆導電粒子の濃度を高濃度とすることができる。よって、異方性導電接着剤や異方性接続シート材料を用いて対向する電極の間を接続した場合には、対向する電極の間の導通に寄与する絶縁被覆導電粒子の数を増加させることができ、低導通抵抗で高い導通信頼性を実現することができる。
本発明の絶縁被覆導電粒子は、導電粒子の表面が絶縁性樹脂層で被覆されてなる絶縁被覆導電粒子である。
本発明においては、導電粒子を被覆する絶縁性樹脂層を構成する絶縁性樹脂として、官能基を有する絶縁性樹脂を使用する。これにより、導電粒子と絶縁性樹脂層との間の密着性を向上させることが可能となる。このような官能基としては、カルボキシル基、オキサゾリン基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、又は活性ラジカルで引き抜かれ得る水素を有する置換基(例えば、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基)等が挙げられる。また、このような官能基を有する絶縁性樹脂とは、これらの官能基のいずれかを有するモノマー単位を有する絶縁性樹脂である。
絶縁性樹脂中のこれらの官能基量については、少なすぎると耐溶剤性が十分ではなくなり、多すぎると架橋密度が過剰になり導通信頼性が低下するので、官能基の種類や多官能性化合物の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
具体的には、カルボキシル基を有する絶縁性樹脂としては、カルボキシル基を有するモノマー単位、好ましくはアクリル酸モノマー単位やメタクリル酸モノマー単位を有する絶縁性樹脂、例えば、アクリル酸・スチレン共重合体(PP−2000S、大日本インキ化学工業(株); 酸価5mgKOH/g以下)、カルボン酸変性スチレン・ジビニルベンゼン共重合体(SX8742A、JSR(株)製; 酸価約3.5mgKOH/g)等を挙げることができる。絶縁性樹脂中のカルボキシル基量(酸価)は、好ましくは0.1〜50mgKOH/g、より好ましくは0.5〜5mgKOH/gである。
オキサゾリン基を有する絶縁性樹脂としては、キサゾリン基を有するモノマー単位、好ましくはオキサゾリルエチレンモノマー単位を有する絶縁性樹脂、例えば、オキサゾリルエチレン・スチレン共重合体(エポクロスRPS、(株)日本触媒)等を挙げることができる。
アミノ基を有する絶縁性樹脂としては、アミノ基を有するモノマー単位、好ましくは(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステルモノマー単位やアクリルアミド単位を有する絶縁性樹脂等を挙げることができる。絶縁性樹脂中のアミノ基量は、好ましくは0.01〜5ミリモル/g(絶縁性樹脂)である。
エポキシ基を有する絶縁性樹脂としては、例えば、「エポキシ樹脂の高性能化と硬化剤の配合技術及び評価・応用(発行者;(株)情報技術協会、1997,12,12)」の2頁〜40頁に例示されているエポキシ樹脂を使用することができる。
メルカプト基を有する絶縁性樹脂としては、メルカプト基を有するモノマー単位を有する絶縁性樹脂、例えば、特開平2004−216703号公報に記載の末端メルカプト基含有ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
活性ラジカルで引き抜かれ得る水素を有する置換基を有する絶縁性樹脂としては、活性ラジカルで引き抜かれ得る水素を有する置換基となるモノマー、好ましくは、エチレンモノマー、ブタジエンモノマー、イソプレンモノマー単位を有する絶縁性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等を挙げることができる。
絶縁性樹脂層の厚さは、薄すぎると電気絶縁性が不十分となり、厚すぎると導通特性が低下するので、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。
ところで、本発明の絶縁被覆導電粒子は、前述したように、導電粒子の表面を官能基を有する絶縁性樹脂からなる絶縁性樹脂層で被覆するが、異方性導電接着剤の十分な導通信頼性を確保するために、絶縁被覆導電粒子の絶縁性樹脂層自体が熱圧着処理時に被接続部の間から排除される必要がある。従って、絶縁性樹脂層自体は熱処理条件下で熱可塑性である必要があるが、熱可塑性であることは、有機溶剤により膨潤しやすく、場合により溶解するので、耐溶剤性に問題が生ずる。また、官能基、例えば、カルボキシル基は、異方性導電接着剤の接着成分として汎用されているエポキシ樹脂のエポキシ基と反応しやすいため、異方性導電接着剤の保存性を低下させるおそれがある。
そこで、本発明では、絶縁被覆導電粒子の絶縁性樹脂層を、絶縁性樹脂の官能基と反応しうる2以上の他の官能基を有する多官能性化合物で表面処理する。この表面処理は、絶縁性樹脂の官能基に、多官能性化合物の官能基を反応させるものである。具体的には、通常、絶縁性樹脂層の表面に多官能性化合物の溶液(例えばエタノール溶液)をスプレーし、加熱乾燥し、更に反応温度に加熱することにより反応させることができる。また、官能基の組み合わせによっては、加熱乾燥時に反応させることもできる。あるいは、多官能性化合物の溶液(例えばエタノール溶液)に絶縁性樹脂で被覆された導電粒子を投入し撹拌分散させ、その状態で反応に必要な温度に加熱撹拌することでも反応させることができる。これにより、絶縁性樹脂層表面が多官能性化合物により架橋されるので、絶縁性樹脂層の熱可塑性を損なわずに、絶縁被覆導電粒子の耐溶剤性を向上させることができ、しかもフリーの官能基をなくすことができるので、接着成分としてエポキシ樹脂を使用したとしても、異方性導電接着剤の保存性を向上させることができる。
本発明で使用できる多官能性化合物は、絶縁性樹脂の官能基と反応しうる他の官能基を一分子中に2以上有するものであり、絶縁性樹脂の官能基に応じて選択される。このような多官能性化合物としては、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリカルボン酸化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
絶縁性樹脂の官能基と多官能性化合物との好ましい組み合わせとしては、カルボキシ基に対し、ポリアジリジン化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物等が挙げられ、オキサゾリン基に対し、ポリカルボン酸化合物等が挙げられ、アミノ基に対し、ポリカルボン酸化合物、ポリエポキシ化合物等が挙げられ、エポキシ基に対し、ポリアミン化合物等が挙げられる。
ポリオール化合物の具体例として、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
ポリアミン化合物の具体例として、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、ポリアミドアミンを挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物の具体例として、ヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
ポリカルボン酸化合物の具体例として、シクロブタンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
ポリエポキシ化合物の具体例として、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、ダイマー酸系ジグリシジルエステル等を挙げることができる。
ポリアジリジン化合物の具体例として、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス−1−アジリジンカルボキシアミドを挙げることができる。なかでも、反応性の点で、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートが好ましい。
有機過酸化物等の具体例として、ベンゾイルパーオキサイド等を挙げることができる。
ここで、本発明の絶縁被覆導電粒子の好ましい態様として、絶縁性樹脂層を構成する絶縁性樹脂の置換基がカルボキシル基であり、多官能性化合物がポリアジリジン化合物である場合が挙げられる。この態様における表面処理は、絶縁性樹脂のカルボキシル基に、ポリアジリジン化合物のアジリジン基を反応させるものである。具体的には、通常、絶縁性樹脂層の表面にポリアジリジン化合物の溶液(例えばエタノール溶液)をスプレーし、80〜140℃で加熱乾燥することにより反応させることができる。また、ポリアジリジン化合物の溶液(例えばエタノール溶液)に絶縁性樹脂で被覆された導電粒子を投入し撹拌分散させ、その状態で30〜80℃に加熱撹拌することでも反応させることができる。これにより、絶縁性樹脂層表面のカルボキシル基がポリアジリジン化合物により架橋されるので、絶縁性樹脂層の熱可塑性を損なわずに、絶縁被覆導電粒子の耐溶剤性を向上させることができ、しかもフリーのカルボキシル基を少なくすることができるので、接着成分としてエポキシ樹脂を使用したとしても、異方性導電接着剤の保存性を向上させることができる。
なお、アジリジン基とカルボキシル基との反応については、広く知られている事項である(Encyclopedia of Chemical Technology, vol. 13, p142 to 166 (1984)等)。
ポリアジリジン化合物の使用量は、ポリアジリジン化合物のアジリジン基の数、絶縁性樹脂のカルボキシル基当量、必要な耐溶剤性の程度等により適宜決定することができる。
また、本発明の絶縁被覆導電粒子の好ましい他の態様として、絶縁性樹脂層を構成する絶縁性樹脂の置換基がオキサゾリン基であり、多官能性化合物がポリカルボン酸である場合が挙げられる。この態様における表面処理は、絶縁性樹脂のオキサゾリン基に、ポリカルボン酸化合物のカルボキシル基を反応させるものである。具体的には、通常、絶縁性樹脂層の表面にポリカルボン酸化合物の溶液(例えばエタノール溶液)をスプレーし、80〜140℃で加熱乾燥することにより反応させることができる。また、ポリカルボン酸化合物の溶液(例えばエタノール溶液)に絶縁性樹脂で被覆された導電粒子を投入し撹拌分散させ、その状態で30〜80℃に加熱撹拌することでも反応させることができる。これにより、絶縁性樹脂層表面がポリカルボン酸化合物により架橋されるので、絶縁性樹脂層の熱可塑性を損なわずに、絶縁被覆導電粒子の耐溶剤性を向上させることができ、しかもフリーのオキサゾリン基とカルボキシル基とをなくすことができるので、接着成分としてエポキシ樹脂を使用したとしても、異方性導電接着剤の保存性を向上させることができる。
なお、オキサゾリン基とポリカルボン酸化合物との反応は、広く知られている事項であり、オキサゾリン環の開環を伴ってアミドエステル(−COCHCHNHCO−)結合を与える反応である。
ポリカルボン酸化合物の使用量は、ポリカルボン酸化合物のカルボン酸の数、絶縁性樹脂のオキサゾリン基当量、必要な耐溶剤性の程度等により適宜決定することができる。
本発明の絶縁被覆導電粒子で使用する導電粒子としては、従来の異方性導電接着剤において用いられているものと同じ構成のものを使用することができる。例えば、半田やニッケル等の金属粒子、金属(ニッケル、金、アルミニウム、銅等)メッキで被覆された樹脂粒子、ガラス粒子あるいはセラミック粒子、これらを絶縁被覆した粒子等を挙げることができる。なかでも、電極の平滑性のばらつきに対応し易い金属被覆樹脂粒子、例えば、ニッケル金メッキ被覆樹脂粒子を好ましく使用することができる。なお、これらの導電粒子には、必要に応じて表面突起を有するものを使用することができる。この場合には、電極に食い込み性が良好となり、導通信頼性を向上させることができる。
本発明で使用する導電粒子の平均粒子径は、小さすぎると導通信頼性が低下し、大きすぎると絶縁信頼性が低下するので、好ましくは2〜10μmである。
本発明の絶縁被覆導電粒子は、官能基を有する絶縁性樹脂からなる絶縁性樹脂層で被覆された導電粒子の当該絶縁性樹脂層の表面に、前述の官能基と反応しうる他の官能基を有する多官能性化合物を配し、加熱することにより絶縁性樹脂の官能基と多官能性化合物の他の化合物とを反応させることにより製造することができる。より具体的には、導電粒子の表面を常法により絶縁性樹脂で被覆し、その表面に、ポリアジリジン化合物の溶液(例えば、エタノール溶液)をスプレーし、80〜140℃で乾燥加熱することで反応させることができる。また、ポリアジリジン化合物の溶液に、絶縁性樹脂で被覆された導電粒子を投入し、撹拌しながら30〜80℃で加熱することにより反応させることができる。この場合、反応後に処理済み粒子を濾別すればよい。
本発明の絶縁被覆導電粒子は、異方性導電接着剤の導電粒子として好ましく使用することができる。このような異方性導電接着剤は、絶縁被覆導電粒子を接着成分である絶縁性接着剤に、必要に応じて有機溶媒や無機フィラーと一緒に常法により均一に混合することにより製造することができる。この異方性導電接着剤は、常法によりペーストあるいはフィルム状とすることができる。
この異方性導電接着剤中の絶縁被覆導電粒子の配合量は、少なすぎると導通信頼性が低下し、多すぎると絶縁信頼性が低下するので、好ましくは1〜30体積%である。
この異方性導電接着剤で使用する絶縁性接着剤としては、公知の熱可塑性絶縁性接着剤や熱あるいは光硬化型絶縁性接着剤を使用することができ、例えば、液状のエポキシ樹脂等の重合成分とイミダゾール系硬化剤や変性アミン系硬化剤等の硬化剤成分とからなる熱硬化型の液状絶縁性接着剤、重合性二重結合を有するアクリレート系樹脂と硬化触媒から成る液状絶縁性接着剤、アクリル、SBR、SIS、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ゴム系樹脂等からなる液状ゴム系接着剤等を使用することができる。
また、絶縁性接着剤には、接着性を示さないフィルム形成性樹脂、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、SEBS樹脂、SIS樹脂、NBR樹脂等を必要に応じて含有させてもよい。
異方性導電接着剤には、必要に応じて種々の添加物、例えば、増粘剤、界面活性剤等を配合することができる。
本発明の異方性導電接着剤は、常法に従って、絶縁性樹脂被覆導電粒子を絶縁性接着剤に分散させることにより製造することができる。
本発明の異方性導電接着剤は、層状に成形して異方性導電層とすることにより異方性接続シート材料として使用することができる。この場合、異方性導電層の少なくとも片面に、異方性導電層よりも接続時の粘度が低い低粘度絶縁性接着剤層を設けることが好ましい。このように構成すると、接続時に低粘度絶縁性接着剤層の粘度よりも異方性導電層の粘度が相対的に高くなるため、異方性導電層の流動が抑制され、接続すべき電極間からの導電粒子の流出を防止することができ、導通信頼性をより向上させることができる。
接続時における異方性導電層の粘度は、低粘度絶縁性接着剤層の粘度の少なくとも10倍以上高いことが好ましい。
このような低粘度絶縁性接着剤層は、前述した異方性導電接着剤で使用した絶縁性接着剤の成分を調整してその粘度を低めたものを使用することができる。
低粘度絶縁性接着剤層の厚みは、接続時に電極間スペースに流出した導電粒子によりショートが生じないように、少なくともスペースを充填できるような厚みに設定することが好ましい。場合により、スペースに対して過充填となるようにすることにより、接続部の周囲にはみ出し部を形成し、封止材や防湿材として機能させることができる。
低粘度絶縁性接着剤層を有する異方性接続シート材料は、常法により、異方性導電層と低粘度絶縁性接着剤層とを、ドライラミネート法や順次コーティング法により積層することにより製造することができる。
本発明の異方性導電接着剤もしくは異方性接続シート材料は、半導体チップや液晶表示素子などの第1電子部品の電極と、半導体チップ搭載用基板や液晶駆動用基板などの第2電子部品の電極との間の導通を確保する共に、それらの電極を互いに接着する場合に好ましく使用することができる。この場合、対向するそれらの電極の間に、異方性導電接着剤もしくは異方性接続シート材料を挟持させて加圧加熱することにより、それらの電極の双方に接触している絶縁被覆導電粒子の当該接触部分の絶縁性樹脂層を排除して対向する電極の間の導通を確保しつつ電極を接着することができる。このようにして、第1電子部品の電極と第2電子部品の電極とを接続して得られてなる接続構造体は、良好な導通信頼性を示すものとなる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
比較例1
4μm径のスチレン系樹脂粒子の表面にNi/Au無電解メッキ層が形成された導電粒子(AU204、積水化学工業(株))の表面を、常法により0.2μm厚で、アクリル酸・スチレン共重合体(PP−2000S、大日本インキ化学工業(株))で被覆することにより比較例1の絶縁被覆導電粒子を得た。
実施例1
トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート(TAZM)5量部をエタノール95量部に溶解させた溶液を、比較例1で得られた絶縁被覆導電粒子に、まんべんなくスプレーし、100℃で加熱乾燥することにより架橋反応を行い、実施例1の絶縁被覆導電粒子を得た。
実施例2
比較例1で得られた絶縁被覆導電粒子100量部を、エタノール100量部に分散させ、その分散液中に、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート(TAZM)2量部を添加し、撹拌分散させ、65℃で4時間加熱撹拌することにより架橋反応を行った後に濾別し、80℃で30分間乾燥することにより、実施例2の絶縁被覆導電粒子を得た。
実施例3
トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート(TAZM)に代えて、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート(TAZO)を使用すること以外、実施例2と同様の操作により、実施例3の絶縁被覆導電粒子を得た。
実施例4
トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート(TAZM)に代えて、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス−1−アジリジンカルボキシアミド(HDU)を使用すること以外、実施例2と同様の操作により、実施例4の絶縁被覆導電粒子を得た。
(評価)
比較例1及び実施例1〜4のそれぞれの絶縁被覆導電粒子10量部を、トルエン、MEK、又は酢酸エチルの3種類の溶剤90量部に投入し、100時間、室温下に放置して絶縁被覆導電粒子を沈降させ、その上澄み液を採取した。採取した上澄み液を加熱して揮発性成分を除去し、不揮発成分の量を測定した。この不揮発性成分が、溶剤に溶解した絶縁性樹脂の量に相当する。絶縁性樹脂中の溶剤に溶解した割合(量%)を表1に示す。
また、沈降した絶縁覆導電粒子を乾燥し、得られた乾燥絶縁被覆導電粒子を一対の銅電極間に充填し(φ6mm×125μm)、電極間に電圧を印加し、リークした電圧(耐電圧)を測定した。得られた結果を表1に示す。
また、フェノキシ樹脂(YP50、東都化成(株))35量部、エポキシ樹脂(YL980、三菱化学(株);エポキシ当量185g/eq)30量部、エポキシ分散イミダゾール系硬化剤(HX3941HP、旭化成(株))35量部、導電粒子(実施例1〜4又は比較例1の導電粒子)20量部、トルエン40量部及び酢酸エチル40量部からなる接着剤組成物を、剥離処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥厚で25μmとなるように塗布し、80℃で5分間乾燥して接着層を形成し、接着シートを作成した。この接着シートの接着層面に、ガラス基板上に櫛の歯状に配設されたITO配線に有するショート評価用絶縁TEG(チップサイズ25×2.5mm;バンプ数8376個;バンプサイズ35×55μm;バンプ間スペース10μm)を、ボンダーで到達温度210℃、圧着時間10秒という条件で圧着した。そしてバンプ間の絶縁抵抗を測定し、ショートの発生率を算出した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0005365816
表1から分かるように、実施例1〜4の絶縁被覆導電粒子は、いずれの溶剤についても、アジリジン化合物で表面処理していない比較例1の絶縁被覆導電粒子に比べて、耐溶剤性及び耐電圧性に優れている。従って、導通信頼性も向上する。しかも、ショートの発生率が非常に少なく、良好な保存安定性が期待できる。
実施例5
(1)異方性導電層の形成
フェノキシ樹脂(YP50、東都化成(株))50量部と、固形エポキシ樹脂(EP1009、三菱化学(株))25量部と、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(HX3941HP、旭化成(株))25量部とからなる混合樹脂組成物を、MEKとトルエンとを同量で混合した混合溶媒に溶解させて、40量%の樹脂溶液を得た。
平均粒径3μmのポリスチレン粒子に0.2μm厚のニッケルを被覆し、更に、0.02μm厚の金を被覆した金属被覆樹脂粒子の表面を、オキサゾリン変性ポリスチレン樹脂(ポクロスRPS、(株)日本触媒)で0.2〜0.5μm厚となるように被覆し、更に、ブタンテトラカルボン酸で処理することにより、絶縁被覆導電粒子を作製し、得られた絶縁被覆導電粒子を、先に調製した樹脂溶液に10体積%となるように分散させた。
得られた分散液を、シリコーンで剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの剥離処理面に、乾燥厚で5μm厚となるようにロールコーターで塗布し、80℃で5分間乾燥することにより、PET上に異方性導電層を形成した。
(2)低粘度絶縁性接着剤層の形成
固形エポキシ樹脂(EP1009、三菱化学(株))50量部と、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(HX3941HP、旭化成(株))50量部とからなる混合樹脂組成物を、MEKとトルエンとを同量で混合した混合溶媒に溶解させて、40量%の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用いて、異方性導電層を形成したときと同様の操作により、剥離処理PETフィルム上に、導電粒子を含まない12μm厚の低粘度絶縁性樹脂層と3μm厚の低粘度絶縁性樹脂層と作製した。
(3)異方性導電シート材料
先に作製した異方性導電層の片面に、12μm厚の低粘度絶縁性樹脂層、他面に3μm厚の低粘度絶縁性樹脂層を積層することにより実施例の異方性導電シート材料を作製した。
比較例2
導電粒子の表面を、オキサゾリン変性ポリスチレン樹脂に代えて0.2〜0.5μm厚のポリスチレン樹脂(G100C、東洋スチロール(株))で被覆した以外、実施例5と同様に異方性導電シート材料を作製した。
比較例3
導電粒子の表面を、オキサゾリン変性ポリスチレン樹脂に代えてマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(HX3941HP、旭化成(株))の硬化物(0.2〜0.5μm厚)で被覆した以外、実施例5と同様に異方性導電シート材料を作製した。
(4)評価
(4a)ICチップの1電極(バンプ)あたりの導電粒子数
評価に先立ち、接続用のICチップと回路基板とを用意した。評価に用いたICチップの仕様は、チップサイズ2.5mm角、バンプ数8376個、金メッキバンプサイズ35×55μm、バンプ間スペース10μm、バンプ高さ15μmである。回路基板は、ガラス基板上にITO配線を配したものである。このICチップと回路基板との間に、異方性導電シート材料を挟み、ボンダーで到達温度210℃、圧着時間10秒という条件で熱圧着し、接続構造体を得た。この接続構造体の回路基板側から、200箇所のバンプを倍率340倍の光学顕微鏡を用いて、ICチップの一つのバンプに残存する導電粒子数を数えた。得られた結果を表2に示す。導通信頼性の観点から、バンプ上に5個以上の導電粒子が残存することが望まれる。
(4b)導通信頼性
ICチップの1バンプあたりの導電粒子数の評価に用いたサンプルと同一のサンプルを作製し、これをプレッシャークッカーテスター(EHS−411、タバイエスペック社)を用いて24時間のエージングを施した。エージング終了後、サンプルの相対峙する電極間の導通抵抗を測定した。得られた結果を表2に示す。導通抵抗が20Ω以下の場合を“G”(Good)と評価し、20Ωを超える場合を“NG”(No good)と評価した。
(4c)絶縁信頼性
導通信頼性の評価で使用したサンプルと同一のサンプルを作製し、このサンプルの隣接する電極間の絶縁抵抗を測定した。得られた結果を表2に示す。1×10Ω未満の場合を“NG”(No Good)と評価し、絶縁抵抗が1×10Ω以上の場合を“G”(Good)と評価した。
Figure 0005365816
表2の実施例5の結果から、異方性導電層に低粘度絶縁性接着剤層を設けると、接続の際にバンプ上に残存する導電粒子が増えるので、相対的に隣接する電極間に入り込む導電粒子数が減じ、絶縁信頼性が向上することがわかる。
また、絶縁被覆導電粒子の絶縁性樹脂として官能基を持たないものを使用した比較例2の場合には、表面架橋構造が期待できないので、耐溶媒性の低下が予想され、実際に絶縁信頼性に欠けるものであった。また、絶縁被覆導電粒子の絶縁性樹脂として、官能基を有しているが、自己完結型で硬化してしまい、ブタンテトラカルボン酸との反応が期待できない比較例3の場合には、導通信頼性に問題があることがわかる。
本発明の絶縁被覆導電粒子は、耐溶剤性及び耐電圧性に優れ、導通信頼性が向上したものとなり、しかも、ショートの発生率が非常に少なく、良好な保存安定性が期待できるものとなっているので、異方性導電接着剤の導電粒子として有用である。

Claims (11)

  1. 導電粒子の表面が、官能基として、オキサゾリン基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又は活性ラジカルで引き抜かれ得る水素を有する置換基を有する絶縁性樹脂からなる絶縁性樹脂層で被覆されてなる絶縁被覆導電粒子であって、該絶縁性樹脂層の表面が、その官能基と反応しうる他の官能基を一分子中に2以上有する多官能性化合物による表面処理により架橋されていることを特徴とする絶縁被覆導電粒子。
  2. 多官能性化合物が、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリカルボン酸化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物又は有機過酸化物である請求項1記載の絶縁被覆導電粒子。
  3. 絶縁性樹脂の官能基がオキサゾリン基であり、多官能性化合物がポリカルボン酸化合物である請求項1記載の絶縁被覆導電粒子。
  4. ポリカルボン酸化合物が、シクロブタンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンビフェニルテトラカルボン酸又はピロメリット酸である請求項2又は3記載の絶縁被覆導電粒子。
  5. 該絶縁性樹脂層が、オキサゾリルエチレンモノマー単位を有する絶縁性樹脂から構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁被覆導電粒子。
  6. 該絶縁性樹脂が、オキサゾリルエチレン・スチレン共重合体である請求項記載の絶縁被覆導電粒子。
  7. 官能基として、オキサゾリン基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又は活性ラジカルで引き抜かれ得る水素を有する置換基を有する絶縁性樹脂からなる絶縁性樹脂層で被覆された導電粒子の当該絶縁性樹脂層の表面を、該官能基と反応しうる他の官能基を一分子中に2以上有する多官能性化合物による表面処理により架橋させることを特徴とする絶縁被覆導電粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜いずれかに記載の絶縁被覆導電粒子が、絶縁性接着剤に分散してなることを特徴とする異方性導電接着剤。
  9. 絶縁性接着剤が、エポキシ樹脂を含有する請求項記載の異方性導電接着剤。
  10. 第1電子部品の電極と第2電子部品の電極との間の導通を確保すると共に、それらの電極を互いに接着する接続方法において、対向するそれらの電極の間に、請求項8又は9の異方性導電接着剤を挟持させて加圧加熱することにより、それらの電極の双方に接触している絶縁被覆導電粒子の当該接触部分の絶縁性樹脂層を排除して対向する電極の間の導通を確保しつつ電極を接着することを特徴とする接続方法。
  11. 第1電子部品の電極と第2電子部品の電極とが、請求項10の接続方法により接続されてなる接続構造体。
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