以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1に示すように、遊技機1は、支持体2と、この支持体2に回転可能に枢支された扉体3とを備えている。支持体2は、上板2a、下板2b、側板2c,2dによって四辺を構成する枠体からなる。各板2a〜2dは、変形や歪みが生じにくい木材等を材質とするもので、略長方形状に囲繞空間が形成されるように連結金具によって連結されている。
そして、これら連結金具のうち、上板2aと側板2cとを連結する金具および側板2cと下板2bとを連結する金具には、一対のヒンジ4a,4bが、遊技機1の前面側に突出した位置で対面するように固定されている。
そして、一対のヒンジ4a,4bには、扉体3が回転可能に枢支されている。扉体3は、支持体2に対して開閉可能となるものであり、本実施形態においては、透過部材保持枠5と遊技盤保持枠6とによって扉体3が構成されている。なお、図1は、支持体2に対して透過部材保持枠5が開放され、遊技盤保持枠6が支持体2に対して閉じられた状態を示している。これら透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6は、その背面の一部または全部を支持体2の前面に接触させ、支持体2、透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6が略平行となる閉位置から、上記背面が支持体2の前面から離間した開位置まで回転する。
透過部材保持枠5は、支持体2と同様に、上辺5a、下辺5b、側辺5c,5dからなる四辺によって略長方形状の囲繞空間が形成される枠体からなり、後述する遊技盤17の前面を覆う透過部材7が囲繞空間に固定される。本実施形態においては、透明のガラス板によって透過部材7を構成しているが、この透過部材7を介して後述する遊技盤17が見えるものであれば、その材質や形状は特に問わず、例えば合成樹脂等によって構成してもよい。また、透過部材保持枠5の材質も特に問わないが、軽量化や装飾性の向上の目的から合成樹脂性とすることが望ましく、特にこの場合には補強金具8を固定して歪みや変形を防止するとよい。
なお、図2に示すように、遊技機1の前面すなわち透過部材保持枠5の前面には、装飾ランプ9、遊技球を発射するための操作ハンドル10、払い出された賞球を溜める上皿11、装飾部材12が固定されている。また装飾部材12は内部に設けられたスピーカ部21を完全に覆う形で固定されているが、この装飾部材12は、スピーカからの音を遊技機外部に放出する放音穴は有していない。すなわち、スピーカ部21はこの装飾部材12により完全に覆われるため、該スピーカ部21が遊技機外部から視認することは不可能となっている。また、図1に示すように、上記の補強金具8や、上皿11に賞球を送球する供給路13、装飾ランプ9の照射方向を変更するためのモータ等を制御する制御基板14が、遊技機1の背面側に位置するように設けられている。
図1および図2からも明らかなように、透過部材保持枠5の上辺5aおよび下辺5bは、支持体2の上板2aおよび下板2bと長さを等しくしており、透過部材保持枠5を閉じて、支持体2および透過部材保持枠5が略平行になったとき(透過部材保持枠5が閉位置にあるとき)に、上辺5aが上板2aに、側辺5c,5dが側板2c,2dに、それらの外周面が面一の状態で重なる。したがって、遊技機1を正面から見たときに、支持体2の上板2aおよび側板2c,2dは、透過部材保持枠5に覆われて見えなくなる。ただし、側辺5c,5dは、側板2c,2dよりも短く形成されており、支持体2の下板2bが遊技機1の正面側に露出する。支持体2の下板2bは、上板2aや側板2c,2dに比べて厚く形成されており、その正面側に装飾部材15が固定されている。
そして、透過部材保持枠5には、側辺5cの上方に突出する枢支軸16a、および側辺5cの下方に突出する枢支軸16bが固定されており、枢支軸16aがヒンジ4aに、枢支軸16bがヒンジ4bに回転可能に枢支されている。これにより、透過部材保持枠5が支持体2に対して開閉可能に支持されることとなる。なお、透過部材保持枠5を支持体2に回転可能に枢支する構造は上記に限らず、例えば、透過部材保持枠5の側辺5cの一部を凸状に形成し、この凸状部分をヒンジ4a,4bや支持体2に直接嵌合させて枢支するようにしてもよい。
また、ヒンジ4a,4bには、透過部材保持枠5と同様に、遊技盤保持枠6が回転可能に枢支されている。図1に示すように、遊技盤保持枠6は、上辺6a、下辺6b、左側辺6c,右側辺6dからなる四辺によって略長方形状の囲繞空間が形成される枠体からなり、遊技盤保持枠6の左側辺6cには遊技盤止め具60a,60bが設けられており、上辺6aおよび下辺6bのそれぞれ右側辺6d寄りには遊技盤固定具60c,60dが設けられている。そして、遊技盤止め具60a,60b、及び遊技盤固定具60c,60dにより、この囲繞空間に図3に示す遊技盤17が固定される。
遊技盤17の前面には、複数の釘や風車、遊技球が入球可能な各種の入賞口、演出用の役物等が設けられており、その略中央部分に形成された孔に演出用の液晶表示装置18が固定されている。透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6が閉じられて遊技が可能な状態では、遊技盤17に所定の間隔を維持して略平行に透過部材7が対面するとともに、遊技盤17の前面が透過部材7によって覆われる。
ここで、遊技盤17に設けられた各種の入賞口、役物等について、図2〜図4を参照しつつ説明する。上述したように、遊技盤17の下部位置には操作ハンドル10が回動可能に設けられている。遊技者が操作ハンドル10に触れると、操作ハンドル10内にあるタッチセンサ3b(図4参照)が、操作ハンドル10に遊技者が触れたことを検知し、発射制御基板106(図4参照)にタッチ信号を送信する。発射制御基板106は、タッチセンサ3bからタッチ信号を受信すると、発射用ソレノイド4a(図4参照)の通電を許可する。そして、操作ハンドル10の回転角度を変化させると、操作ハンドル10に直結しているギアが回転し、ギアに連結した発射ボリューム3aのつまみが回転する。この発射ボリューム3aの検出角度に応じた電圧が、遊技球発射機構に設けられた発射用ソレノイド4aに印加される。そして、発射用ソレノイド4aに電圧が印加されると、発射用ソレノイド4aが印加電圧に応じて作動するとともに、操作ハンドル3の回動角度に応じた強さで、遊技領域26に向けて遊技球が発射される。
上記のようにして発射された遊技球は、レール25a,25b間を上昇して遊技盤17の上部位置に達した後、遊技領域26内を落下する。このとき、遊技領域26に設けられた不図示の複数の釘や風車Fによって、遊技球は予測不能に落下することとなる。
また、上記遊技領域26には、複数の一般入賞口32が設けられている。これら各一般入賞口32には、一般入賞口検出SW32aが設けられており、この一般入賞口検出SW32aが遊技球の入球を検出すると、所定の賞球(例えば10個の遊技球)が払い出される。なお、本実施形態では、必要に応じてスイッチを「SW」と表記する。
さらに、上記遊技領域26であって、後述する大入賞口34の上方には、普通図柄ゲート33が遊技球を通過可能に設けられている。普通図柄ゲート33には、遊技球の通過を検出するゲート検出SW33aが設けられており、このゲート検出SW33aが遊技球の通過を検出すると、後述する普通図柄の抽選が行われる。
また、上記遊技領域26の下部位置には、上記一般入賞口32と同様に、遊技球が入球可能な第1始動口30が設けられている。また、第1始動口30の真下には、第2始動口31が設けられている。第2始動口31は、図3に示すように、一対の可動片31bを有しており、これら一対の可動片31bが閉状態に維持される第1の態様と、一対の可動片31bが開状態となる第2の態様とに可動制御される(図3では、この第2の態様に可動制御されている状態を示している)。なお、第2始動口31が上記第1の態様に制御されているときには、当該第2始動口31の真上に位置する第1始動口30が障害物となって、遊技球の受入れを不可能または困難としている。一方で、第2始動口31が上記第2の態様に制御されているときには、上記一対の可動片31bが受け皿として機能し、第2始動口31への遊技球の入球が容易となる。つまり、第2始動口31は、第1の態様にあるときには遊技球の入球機会がほとんどなく、第2の態様にあるときには遊技球の入球機会が増すこととなる。
なお、上記第1始動口30および第2始動口31には、遊技球の入球を検出する第1始動口検出SW30aおよび第2始動口検出SW31aがそれぞれ設けられており、これら検出SWが遊技球の入球を検出すると、後述する大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選(以下、「大当たりの抽選」という)が行われる。また、検出SW30a、31aが遊技球の入球を検出した場合にも、所定の賞球(例えば3個の遊技球)が払い出される。
そして、図2に示すように、上記普通図柄ゲート33のさらに下方には、大入賞口34が設けられている。この大入賞口34は、通常は大入賞口開閉扉34bによって閉状態に維持されており、遊技球の入球を不可能としている。これに対して、後述する特別遊技が開始されると、大入賞口開閉扉34bが開放されるとともに、この大入賞口開閉扉34bが遊技球を大入賞口34内に導く受け皿として機能し、遊技球が大入賞口34に入球可能となる。大入賞口34には大入賞口検出SW34aが設けられており、この大入賞口検出SW34aが遊技球の入球を検出すると、予め設定された賞球(例えば15個の遊技球)が払い出される。
上記大入賞口34のさらに下方、すなわち、遊技領域26の最下部には、一般入賞口32、第1始動口30、第2始動口31、および大入賞口34のいずれにも入球しなかった遊技球を排出するための排出口35が設けられている。
また、上記遊技盤17には、さまざまな演出を行う演出装置が設けられている。
具体的には、上記遊技領域26の略中央部分には、液晶表示器(LCD)等からなる液晶表示装置18が設けられており、この液晶表示装置18の上方には、演出用役物装置36が設けられている。さらに、遊技盤17の上部位置および下部位置の双方には、演出用照明装置9が設けられている。
上記液晶表示装置18は、遊技が行われていない待機中に画像を表示したり、遊技の進行に応じた画像を表示したりする。なかでも、第1始動口30または第2始動口31に遊技球が入球したときには、抽選結果を遊技者に報知する装飾図柄が変動表示される。装飾図柄というのは、例えば3つの数字をそれぞれスクロール表示するとともに、所定時間経過後に当該スクロールを停止させて、特定の図柄(数字)を配列表示するものである。これにより、図柄のスクロール中には、あたかも現在抽選が行われているような印象を遊技者に与えるとともに、スクロールの停止時に表示される図柄によって、抽選結果が遊技者に報知される。この装飾図柄の変動表示中に、さまざまな画像やキャラクター等を表示することによって、大当たりに当選するかもしれないという高い期待感を遊技者に与えるようにしている。
上記演出用役物装置36は、その動作態様によって遊技者に期待感を与えるものである。本実施形態においては、演出用役物装置36は、中央部に回転可能な風車部材が配設されたベルトを模擬している。演出に応じて風車部材が回転したり、ベルト全体が下降したりする。
なお、本実施形態においては、操作ハンドルの左斜め上方に遊技者が押圧操作可能な演出ボタン(チャンスボタン)37が設けられている。この演出ボタン37は、例えば、上記液晶表示装置18に当該演出ボタン37を操作するようなメッセージが表示されたときのみ有効とする。演出ボタン37には、演出ボタン検出SW37aが設けられており、この演出ボタン検出SW37aが遊技者の操作を検出すると、この操作に応じてさらなる演出が実行される。
そして、遊技領域26の下方には、第1特別図柄表示装置40、第2特別図柄表示装置41、普通図柄表示装置42、第1保留表示器43、第2保留表示器44、普通図柄保留表示器45、高確率状態表示装置46及び時短状態表示装置47が設けられている。
上記特別図柄表示装置40,41は、始動口30,31に遊技球が入球することを条件に行われる大当たり抽選の抽選結果を表示するためのものである。つまり、大当たり抽選の抽選結果に対応する特別図柄が複数設定されており、これらの特別図柄表示装置40,41に大当たり抽選の抽選結果に対応する特別図柄を停止表示することによって、抽選結果が遊技者に報知される。特別図柄表示装置40,41は、例えばそれぞれ複数のLEDで構成されており、大当たりに当選した場合には特定の複数のLEDが点灯し、ハズレであった場合にはそれに対応した特定のLEDが1つ点灯する。このようにして点灯することによって表される模様が特別図柄となるが、この特別図柄は、所定時間変動表示された後に、停止表示される。言い換えれば、特別図柄の変動表示が行われると必ず特別図柄の停止表示が行われ、大当たり抽選の抽選結果が報知される。また、本実施形態では、第1特別図柄表示装置40および第2特別図柄表示装置41における特別図柄の表示態様は同一のものとはしていない。すなわち、同じ種類の大当たりであっても、第1特別図柄表示装置40における特別図柄の表示態様と、第2特別図柄表示装置41における特別図柄の表示態様は異なるものとなる。このようにすると、遊技者が特別図柄表示装置40,41のいずれか一方の特別図柄の表示態様を覚えたとしても、他方の表示態様からは大当たり等の種類を把握することができないため、特別図柄の表示態様を分かりにくくできるという効果が得られる。なお、ハズレの場合にも複数のLEDを点灯させるものとすれば、ハズレか大当たりかを見極めにくくすることも可能となる。
普通図柄表示装置42は、普通図柄ゲート33を遊技球が通過したことを契機として行われる当たりの抽選の抽選結果を報知するためのものである。この当たりの抽選に当選するとLEDで構成された普通図柄表示装置42が点灯し、その後、上記第2始動口31が所定時間、第2の態様に制御される。なお、この普通図柄についても、普通図柄ゲート33を遊技球が通過して即座に抽選結果が報知されるわけではなく、所定時間が経過するまで、普通図柄表示装置42を点滅させる等、普通図柄が変動表示するようにしている。すなわち、所定時間が経過するまで普通図柄表示装置42は点滅する。この普通図柄表示装置42の点滅が普通図柄の変動表示を構成し、普通図柄表示装置42の点灯が、当たりの抽選の抽選結果に対応する普通図柄の停止表示を構成する。
ところで、特別図柄の変動表示中や大入賞口開閉装置が作動する特別遊技中に、始動口30,31に遊技球が入球しても、即座に特別図柄の変動表示が行われて特賞抽選の抽選結果が報知されない場合には、一定条件下で特別図柄の変動表示(特賞抽選の抽選結果の報知)が保留される。より詳細には、第1始動口30に遊技球が入球して留保される特別図柄の変動表示の権利は第1保留(U1)として留保され、第2始動口31に遊技球が入球して留保される特別図柄の変動表示の権利は第2保留(U2)として留保される。
これら両保留は、それぞれ上限留保個数を4個に設定し、その留保個数は、それぞれ第1保留表示器43と第2保留表示器44とに表示される。なお、第1保留(U1)が1つの場合には、第1保留表示器43の左側のLEDが点灯し、第1保留(U1)が2つの場合には、第1保留表示器43の2つのLEDが点灯する。また、第1保留(U1)が3つの場合には、第1保留表示器43の左側のLEDが点滅するとともに右側のLEDが点灯し、第1保留(U1)が4つの場合には、第1保留表示器22の2つのLEDが点滅する。また、第2保留表示器44においても、上記と同様に第2保留(U2)の留保個数が表示される。
一方、普通図柄の変動表示についても同様に、上限留保個数が4個に設定されており、その留保個数が、上記第1保留表示器43および第2保留表示器44と同様の態様によって、普通図柄保留表示器45において表示される。
高確率状態表示装置46はLEDで構成されており、モーニング(電源復旧時)において当該電源切断前に後述する高確率状態であることを条件に点灯する。一方、時短状態表示装置47もLEDで構成されているが、こちらはモーニング時に限らず電源が投入されていれば時短状態であることを条件に点灯する。
また、遊技盤保持枠6において、遊技盤17の固定位置の下方には、音声出力装置19(低音スピーカ19)や、操作ハンドル10の操作に応じて遊技領域に遊技球を発射する発射装置20等が固定されている。また、遊技盤17の背面には遊技の進行を制御するさまざまな制御基板が固定されている。
図4は、遊技機1の制御基板(制御手段)の構成について示した図である。遊技機1は、主制御基板101、演出制御基板102、払出制御基板103、ランプ制御基板104、画像制御基板105、発射制御基板106、および、電源基板107から構成されている。
主制御基板101は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板101は、メインCPU101a、メインROM101b、メインRAM101cを備えている。メインCPU101aは、各検出SWやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM101bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM101cは、メインCPU101aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
上記主制御基板101の入力側には、一般入賞口検出SW32a、ゲート検出SW33a、第1始動口検出SW30a、第2始動口検出SW31a、および大入賞口検出SW34aが接続されており、遊技球の検出信号が主制御基板101に入力するようにしている。
また、主制御基板101の出力側には、第2始動口30の一対の可動片30bを開閉動作させる始動口開閉ソレノイド30cと、大入賞口開閉扉34bを開閉動作させる大入賞口開閉ソレノイド34cとが接続されるとともに、図柄表示装置を構成する第1特別図柄表示装置40と第2特別図柄表示装置41と普通図柄表示装置42と、保留表示装置を構成する第1保留表示器43と第2保留表示器44と普通図柄保留表示器45と、状態表示装置を構成する高確率状態表示装置46及び時短状態表示装置47とが接続されており、出力ポートを介して各種信号が出力される。
主制御基板101のメインROM101bには、遊技制御用のプログラムや各種の遊技に決定に必要なデータ、テーブルが記憶されている。また、主制御基板101のメインRAM101cには、複数の記憶領域が設けられている。
また、メインRAM101cは、その一部または全部が電源基板107において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMを構成している。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、メインRAM101cのデータの内容は保存される。なお、バックアップ電源を有さずに、メインRAM101cをフラッシュメモリ等で構成してもよい。
さらに、主制御基板101には、メインRAM101cのデータの内容をクリアすることを指示するためのRAMクリアスイッチ101dが直接搭載されている。また、主制御基板101には、現在時刻を出力するRTC(リアルタイムクロック)101eが搭載されている。メインCPU101aは、RTC101eから現在の日付を示す日付信号や現在の時刻を示す時刻信号を入力し、現在の日時にもとづいて各種処理を実行する。RTC101eは、通常、遊技機に電源が供給されているときには遊技機からの電源によって動作し、遊技機の電源が切られているときには、電源基板107に搭載されたバックアップ電源から供給される電源によって動作する。従って、RTC101eは、遊技機の電源が切られている場合であっても現在の日時を計時することができる。
なお、RTC101eは、主制御基板101上に電池を設けて、かかる電池によって動作するようにしてもよい。また、RTC101eを設けずに、バックアップRAMとしての機能を有するメインRAM101cに設けたカウンタを、所定時間ごと(例えば4ms毎)にカウントアップすることによって時間を計時してもよい。
電源基板107は、コンデンサからなるバックアップ電源を備えており、遊技機に供給する電源電圧を監視し、電源電圧が所定値以下となったときに、電断検知信号を主制御基板101および演出制御基板102に出力する。より具体的には、電断検知信号がハイレベルになるとメインCPU101aおよびサブCPU102aは動作可能状態になり、電断検知信号がローレベルになるとメインCPU101aおよびサブCPU102aは動作停止状態になる。
演出制御基板102は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この演出制御基板102は、サブCPU102a、サブROM102b、サブRAM102cを備えており、主制御基板101に対して、当該主制御基板101から演出制御基板102への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU102aは、主制御基板101から送信されたコマンド、または、上記演出ボタン検出スイッチ17a、タイマからの入力信号に基づいて、メインROM101bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータをランプ制御基板104または画像制御基板105に送信する。サブRAM102cは、サブCPU102aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
演出制御基板102のサブROM102bには、演出制御用のプログラムや各種の遊技の決定に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
例えば、主制御基板101から受信したコマンドに基づいて演出モードを決定するための演出モード決定テーブル(図示しない)等がサブROM102bに記憶されている。
また、演出制御基板102のサブRAM102cには、複数の記憶領域が設けられている。
払出制御基板103は、遊技球の発射制御と賞球の払い出し制御を行う。この払出制御基板103は、払出CPU103a、払出ROM103b、払出RAM103cを備えており、主制御基板101に対して、双方向に通信可能に接続されている。払出CPU103aは、遊技球が払い出されたか否かを検知する払出球計数スイッチ32、タイマからの入力信号に基づいて、払出ROM103bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータを主制御基板101に送信する。また、払出制御基板103の出力側には、遊技球の貯留部から所定数の賞球を遊技者に払い出すための賞球払出装置の払出モータ31が接続されている。払出CPU103aは、主制御基板101から送信された払出個数指定コマンドに基づいて、払出ROM103bから所定のプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、賞球払出装置26を制御して所定の賞球を遊技者に払い出す。このとき、払出RAM103cは、払出CPU103aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
また、図示しない遊技球貸出装置(カードユニット)が払出制御基板103に接続されているか確認し、遊技球貸出装置(カードユニット)が接続されていれば、発射制御基板106に遊技球を発射させることを許可する発射制御データを送信する。
発射制御基板106は、払出制御基板103から発射制御データを受信すると発射の許可を行う。そして、タッチセンサ3bからのタッチ信号および発射ボリューム3aからの入力信号を読み出し、発射用ソレノイド4aを通電制御し、遊技球を発射させる。
ここで、発射用ソレノイド4aに印加するパルス電圧の回数は、発射制御基板106に設けられた水晶発振器の出力周期に基づく周波数から、約99.9(回/分)に設定されている。これにより、1分間における発射遊技数は、発射用ソレノイド4aにパルス電圧が1回印加される毎に1個発射されるため、約99.9(個/分)となる。
なお、本実施形態では、タッチセンサ3bからのタッチセンサ信号は、発射制御基板106が払出制御基板103と主制御基板101とを介して、演出制御基板102に送信されるようになっている。
ランプ制御基板104は、遊技盤2に設けられた演出用照明装置9を点灯制御したり、光の照射方向を変更するためのモータに対する駆動制御をしたりする。また、演出用役物装置36を動作させるソレノイドやモータ等の駆動源を通電制御する。このランプ制御基板104は、演出制御基板102に接続されており、演出制御基板102から送信されたデータに基づいて、上記の各制御を行うこととなる。
画像制御基板105は、上記液晶表示装置18の画像表示制御を行うための図示しない画像CPU、画像ROM、画像RAM、VRAMと、音声CPU、音声ROM、音声RAMとを備えている。この画像制御基板105は、上記演出制御基板102に双方向通信可能に接続されており、その出力側に上記液晶表示装置18および音声出力装置19を接続している。
上記画像ROMには、液晶表示装置18に表示される演出図柄や背景等の画像データが多数格納されており、画像CPUが演出制御基板102から送信されたコマンドに基づいて所定のプログラムを読み出すとともに、所定の画像データを画像ROMからVRAMに読み出して、液晶表示装置18における表示制御をする。なお、画像CPUは、液晶表示装置18に対して、背景画像表示処理、演出図柄表示処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行するが、背景画像、演出図柄画像、キャラクター画像は、液晶表示装置18の表示画面上において重畳表示される。
すなわち、演出図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。このとき、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAMに記憶させる。
また、上記音声ROMには、音声出力装置19から出力される音声のデータが多数格納されており、音声CPUは、演出制御基板102から送信されたコマンドに基づいて所定のプログラムを読み出すとともに、音声出力装置19における音声出力制御をする。
次に、本発明の第1実施形態に係る遊技機のパチンコ発射装置200について詳細に説明する。図5は、パチンコ発射装置200の斜視図であり、図6は、図5に示すパチンコ発射装置200の分解斜視図であり、図7は、プレート等を取り除いた状態の斜視図である。図8は、パチンコ発射装置200の模式図である。また、図9は、コイルに電圧を印加してハンマーを回転させた後の状態を示した斜視図、図10は、コイルに電圧を印加してハンマーを回転させた後の状態を示したプレート等を取り除いた斜視図である。図11は、コイルに電圧を印加してハンマーを回転させた後の状態を示した模式図である。
図5〜図8に示すように、パチンコ発射装置200は、ロータ軸をなすシャフト201と、略180°の角度範囲内に3つの腕状部202,203,204を持つ磁性体から成るロータ205と、3つの腕状部202,203,204それぞれを引きつける磁場を発生するE字形の3極のステータ206と、ステータ206のうちの中央のコア207に巻かれたコイル208と、ロータ205の回転軸であるシャフト201に固定されたハンマー209とを備えている。上記シャフト201とロータ205とステータ206とコイル208によってロータリーソレノイドを構成し、発射用ソレノイド4aを形成している。なお、3つの腕状部のそれぞれの成す角度は、好ましくは、略90°である。
シャフト201には、Dカット210が施されており、シャフト201に取り付けるハンマー209に施されたDカット211と嵌合させる。また、Dカット212は、ロータ205に施されたDカット213と嵌合させる。ハンマー209は磁性体から成ると共に、略L字形状を成しており、該L字形状の一方端には、パチンコ発射装置200のコイル208に電圧を印加し、励磁されたときに、パチンコ玉を打撃する打球部209aが設けられ、該L字形状の他方端には、先端部209bが設けられている。また、打球部209a、先端部209bは弾性体(例えば、弾性ゴムなど)で被覆されている。
ステータ206は、コア207と、コア207の上方にヨーク214、コア207の下方にヨーク215を備えており、それぞれロータ205に対向する平面視円弧状の磁極面207c、214c、215cを有する磁極部と、ヨーク214と215とコア207とを連結するアーム部216とを備えている。コア207の幅は、ヨーク214とヨーク215の幅の略2倍である。コア207は、略角柱状に形成され、コイル208を巻回したボビン217にコア207を挿入することによりコイル208が巻装される。ボビン217の一方のフランジには端子部218が形成され、端子部218にはコイル208に給電するための端子ピン219,220が取り付けられている。ステータ206は、コア207とヨーク214,215の長さ方向が略水平方向になるように設置される。
ステータ206は、軟磁性材料である鋼板(例えば、冷間圧延鋼板(SPC),電気亜鉛メッキ鋼板(SEC)、ケイ素鋼板などの電磁鋼板)をそれぞれ所定形状に打ち抜き、所定枚数を積層して構成されている。
ロータ205は、ステータ206のヨーク214の磁極面214cとヨーク215の磁極面215cとコア207の磁極面207cとの間に所定の空隙(例えば、0.3mm)を有しつつ、玉軸受221,222,223にて回動可能に軸支されている。玉軸受221、222は、それぞれ非磁性材(例えば、アルミ合金)から形成される軸受ホルダー224,225の開口226,227に圧入される。また、玉軸受223は、プレート228の開口229に圧入される。さらに、ステータ206のヨーク214の孔230,231及びヨーク215の孔232,233には、非磁性材(例えば、真鍮、オーステナイト系ステンレス鋼)からなるピン234,235,236,237,238,239が、それぞれ圧入により取り付けられており、これらのピン234,235,236,237,238,239は、蓋240とプレート228を取り付ける際に、その両端がぞれぞれの蓋240の孔とプレート228の孔に位置決めされることにより、蓋240とプレート228の軸線を合わせるための位置決め用として用いられる。また、玉軸受221とロータ205の間と、玉軸受222とロータ205の間には、予圧を付与するためのコイルばね241,242が設けられている。
プレート228には、ボルト243,244とカバー245,246によりガイド247が取り付けられ、ガイド247の端部248には、発射時ストッパ249が取り付けられ、端部250には、磁石251が取り付けられている。この磁石251により、ハンマー209が待機位置(図14(c)参照)に戻るときに働く力として、該ハンマー209の自重による力に磁石251による磁力が加わることとなるため、ハンマー209が待機位置に戻る速さを速くすることができる。また、ハンマー209に通したシャフト201の端部は、ナット252で固定することにより、ハンマー209がシャフト201に固定される。さらに、プレート228には、カバー253がボルト254,255,256,257により固定される。ボルト257の部分には、略円形状のビス258と、このビス258の外径(直径)よりも大きな内径を有する略円形状のリング259とリングカバー260によって形成された待機時ストッパ261が設けられている。すなわち、本実施形態における待機時ストッパ261は、ビス258とリング259とのあいだに隙間S(空隙、いわゆる遊びの部分、図14参照)を生じるように形成される。このように形成することにより、リング259に外力が加えられた場合に、該リング259をビス258の周りで揺れ動かしたり、旋回させたりすることが可能となる。このリング259及びリングカバー260は、エラストマーなどの弾性力を有する素材または、合成樹脂などから成る。また、蓋240は、ボルト262,263によってプレート228に取り付けられる。
なお、ビス258は、本実施形態における固定軸を構成し、リング259は本実施形態における環状部材を構成する。
図5、図7、図8は、パチンコ発射装置200のコイル208に電圧を印加していない状態を示す図である。ハンマー209は待機時ストッパ261に支持されている。この状態がハンマー209とロータ205が待機位置にある状態である。
図9〜図11は、パチンコ発射装置200のコイル208に電圧を印加し、励磁している状態を示す図である。コイル208に電流が供給されてコイル208が励磁されると、ステータ206内に磁場が発生して磁極面207c、214c、215cにN極またはS極が発生する。それらの磁極面207c、214c、215cから発生する磁場により、ロータ205のロータの腕状部202,203,204が磁化し、磁極面215c、207c、214cとの間に引力が働く。それにより、ロータの腕状部202,203,204がそれぞれ磁極面215c、207c、214cに引っ張られ、ロータの腕状部202,203,204の端面がそれぞれ磁極面215c、207c、214cに対面するように、図中時計回りの方向に有限の角度ロータ205が回転する。
そのとき、ロータ205には、3つの腕状部202,203,204のそれぞれの先端部に、回転方向に突出した突出部202c、203c、204cを設けている。これにより、コイル208に電圧を印加し、磁極面215c、207c、214cから磁場が発生したときに、突出部202c、203c、204c内にそれぞれ突出部方向に磁化が生じ、その磁化と磁極面215c、207c、214cからの磁場により、回転方向の力が生じ、ロータ205を回転させる。また、突出部202c、203c、204cは、突出部の突出方向の長さが、突出部の幅よりも長いことが好ましい。それにより、突出部方向に磁化が生じるようになる。さらに、ハンマーの待機位置での突出部202c、203c、204cの先端は、磁極面215c、207c、214cに近いほど好ましい。
図12は、コイル208に電圧を印加し、励磁したときのロータ205の腕状部203の突出部203cに生じる磁化を説明する図である。コイル208に電圧を印加したとき、コア207の磁極面207c側は、例えばN極になるとする。コイル208の電圧印加によって生じた磁場(矢印G1)により、ロータ203は磁化する。そのとき、突出部203cには、先端部203ct側がS極になるように磁化(矢印M)が発生する。すなわち、突出部203cの突出部方向に磁化が生じる。それにより、突出部203cには、磁場G1との相互作用により、ロータ205の回転方向に力(矢印F)が働く。それにより、回転トルクが発生する。
図13は、ロータの腕状部の先端部に突出部を設けたものと突出部を設けないときの磁場を発生したときの回転角に対するロータに働く回転トルクの変化を示す図である。図13(a)は、ロータの腕状部の先端部に突出部を設けた本実施形態に対する図であり、図13(b)は、ロータの腕状部の先端部に突出部を設けない場合に対する図である。ロータの腕状部の先端部に突出部を設けると、突出部を設けないときの回転角D2に比べて、小さい回転角D1から回転トルクが発生していることが分かる。図13の符号A1,A2で示す範囲は、ハンマーの動作範囲を示し、符号B1,B2で示す点はハンマーの待機位置であり、符号C1,C2で示す点がパチンコ球の打点にあたる。図13(a)でのB1点でのトルクは大きく、また、トルクカーブの勾配はゆるやかで、B1点が左右に移動してもトルク値の変化は少なく、従って飛び性能への影響は少なく、確実に起動させることができる。図13(b)の場合には、B2点でのトルクは小さく、急激にトルクが立ち上がるため、B2点が左右に変動すると飛び性能への影響が大きく、場合によっては起動が困難になる場合もあり得、これを防ぐためにはB2点を右に移動させる必要があり、有効使用範囲が狭く、飛び性能のばらつきの増大と、機体の効率を落とすこととなり得る。
図9〜図11において、コイル208に印加する電圧をオフし、消磁すると、ハンマー209の自重および、ロータ205の3つの腕状部により重量バランスが崩れているために、反時計回りの方向に有限の角度回転し、ハンマー209がストッパ261に支持される静止位置(待機位置)でロータ205は静止する。従って、コイル208の電圧のオンオフを繰り返し行えば、ハンマー209でパチンコ玉(遊技球)500を連続的に発射することができる。なお、この電流の強度を可変とすることにより、ハンマー209の回転速度を可変とし、パチンコ玉の打球の強さを変えることができる。
このように、本実施形態に係る遊技機でのパチンコ発射装置200では、ステータ206を3極にし、ロータ205が3つの腕状部202,203,204を持ち、それらの3つの腕状部が略180°の角度範囲内にあるため、重量バランスの影響で、戻り速度を速くすることができる。また、ロータ205の腕状部が3つあるために、コイル208に電圧を印加したときに働く力が、3つの腕状部それぞれに働くので、回転トルクも大きくすることができる。また、ロータ205には、3つの腕状部のそれぞれの先端部に、コイル208に電圧を印加し励磁したときのロータ205の回転方向に突出した突出部202c、203c、204cを設けているため、コイル208に電圧を印加したときに働く力が、3つの腕それぞれの突出部202c、203c、204cに働くので、回転トルクも大きくすることができる。
図14−1及び図14−2は、パチンコ玉500を打球してから待機位置に戻るまでのハンマー209の動作、すなわち、コイル208に印加する電圧をオンして励磁したのち、該電圧をオフして消磁したときのハンマー209の動作について示す説明図である。図14−1(a)は、パチンコ玉500を打球した直後のハンマー209の様子を示しており、ハンマー209の自重により待機位置(待機時ストッパ261方向、図14−2(d)参照)方向に向かう力(矢印J1)がハンマー209に発生している様子を示している。図14−1(b)は、ハンマー209が上記自重による力(矢印J1)により発射時ストッパ249から離れ、待機位置に向かう途中のハンマー209の様子を示している。図14−2(c)は、ハンマー209が待機時ストッパ261に衝突した時点の様子を示している。また、図14−2(d)は、ハンマー209が待機位置にて静止している様子を示している。
待機時ストッパ261は、図14−1(a)及び図14−1(b)に示ように、通常、すなわち、打球部209aが待機時ストッパ261と離れた位置にある場合には、リング259はその自重により、図示のようにビス258を起点に下方に垂れ下がった状態で静止している。このとき、リング259とビス258とのあいだには、ビス258の下方に隙間S1が形成される。
そして、図14−1(b)に示すように、ハンマー209の先端部209bには、上記自重による力(矢印J1)に加えて磁石251からの磁力より生じる力(矢印G2)が働くこととなる。すなわち、この磁力により生じる力(矢印G2)が自重による力(矢印J1)に加わるため、先端部209bが待機位置に戻る速さを一層速めることができる。したがって、ハンマー209が待機位置に戻る速さは、待機位置近くまで回転したときに上記磁力により生じる力(矢印G2)により付勢されることとなる。
このとき、打球部209aにも自重による力(矢印J1)に磁力により生じた力(矢印G2)が付勢された力(矢印J2)が働くこととなる。すなわち、打球部209aは、上記付勢された力(矢印J2)で待機時ストッパ261に衝突することとなる。これにより、打球部209aには、待機時ストッパ261との衝突により衝突力(図示せず)が生じることとなり、図14−2(c)に示すように、打球部209aが待機時ストッパ261に衝突した場合には、リング259に待機位置方向に回転する力(図示では、やや右斜め上方に向かう力)が衝突時の力として加わるため、リング259はビス258を起点にやや右斜め上方に跳ね上がった状態となる。このとき、リング259とビス258とのあいだには、ビス258のやや右斜め上方に隙間S2が形成される。
そして、待機時ストッパ261に衝突した打球部209a(ハンマー209)には、図14−2(d)に示すように、上記衝突時の力の反作用及びリング259の自重により待機位置方向に回転する力とは反対の方向に回転する力(逆回転する力)が働くため、リング259は図14−2(c)の位置から遊技球の打ち出し方向に押し出されることとなる。しかし、このとき、先端部209bには磁石251の磁力が働いているため、該先端部209bは磁石251の磁力に引き付けられたまま、磁石251からやや離れた位置で停止することとなる。したがって、このときには、リング259とビス258とのあいだには右斜め下方に隙間S3が形成される。なお、上記衝突時の力が大きい場合には、ハンマー209が図14−2(d)の位置で静止できずに逆回転してしまうことも考えられるが、本実施形態では、先端部209bが待機位置近く到達したときから、磁石251の磁力により先端部209bが引き付けられるため、上記衝突時の力により付勢されたハンマー209が逆回転する力を抑えることができる。このように、磁石251は補助ストッパとして機能する。
上記のように、本実施形態では、初期段階(ハンマー209が待機位置に向かって回転し、打球部209aが最初に待機時ストッパ261に衝突したとき)で生じた上記衝突時の力を、リング259とビス258とのあいだに設けた隙間S(遊び部分)により、弱めることができる。言い換えれば、上記衝突力をそのまま受けるのではなく、隙間Sの分だけ衝撃を該衝突時の力と同方向に逃がすことによって、この衝突時の力による反作用(ハンマー209が逆回転する力)を弱めることができる。図15(a)は、待機時ストッパに隙間Sを形成するリング259を用いた場合のハンマー209の待機位置への戻り時間を示し、図15(b)は、隙間Sを形成しないリング(図示せず)を用いた場合のハンマー209の待機位置への戻り時間を示している。この図15からも分かるように、隙間Sを形成するリング259を待機時ストッパとすることにより、ハンマー209の待機位置への戻り時間を速くすることができる。なお、変位とはハンマー209の振れ幅(待機位置からの回転角度に相当する)のことをいう。
このように、本実施形態によれば、ハンマー209が待機時ストッパ261に衝突した後、この衝突時の力によって生じた、ハンマー209が待機位置から逆回転する力を抑えることができる。したがって、ハンマー209に生じた衝突時の力が無くなるまで、逆回転、正回転を繰り返す動作(回数)を抑えて、ハンマー209が待機位置にて停止するまでの所要時間を短縮することができる。
なお、本実施形態では、固定軸を構成するビス258の形状を略円形状としたがこれに限られない。例えば、略楕円形状を成すようにしてもよい。また、リング259の形状についても、略楕円形状としてもよい。
なお、本実施形態では、リング259及びリングカバー260は、エラストマーや合成樹脂から成るものとしたが、これに限定されず、耐久性の低い素材や重量の大きすぎる素材を除き、金属なども適宜用いてもよい。また、リングカバー260を必ずしも設けなくてもよいし、リング259とリングカバー260を一体化して成型するものとしてもよい。
なお、本実施形態では、ロータが3つの腕を持つ場合について説明したが、これに限らず、複数の腕を持ち、複数の腕が略180°の角度範囲内にある磁性体から成るロータであれば、3つの腕以外の個数の腕を持つロータを用いることができる。
なお、本実施形態では、ハンマー209をロータ205の回転軸であるシャフト201に固定された形態としたが、これに限定されない。例えば、ハンマー209とシャフト201をギアなどにより連結させる形態としてもよい。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。