JP5363304B2 - 総ころ型円筒ころ軸受 - Google Patents
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Description
前記総ころ型円筒軸受は、外周に軌道面を有する内輪と内周に軌道面を有する外輪とを備え、前記内輪と前記外輪との間には、転動体としての複数の円筒ころが潤滑剤(グリース等)によって潤滑された状態で転動自在に配されている。さらには、内周面が凹球面に形成された調心輪に前記外輪を嵌め込むことによって、調心機能を持たせた総ころ型円筒ころ軸受も用いられていた(例えば、特許文献1参照)。
また、前記セパレータの軸方向長さを前記軌道面の幅より短く、又、前記セパレータの径方向厚みを前記軌道面間の間隔より短く形成したので、前記軌道面とセパレータの間とセパレータの軸方向外方との双方に、潤滑剤保持空間を形成することができる。従って、個々のセパレータ周辺に大きな潤滑剤保持空間を形成することができるので、セパレータの介在数が少数であっても軸受に大きな潤滑剤保持空間を形成することができる。
かかる構成によれば、円筒ころ間及び円筒ころと軌道面との間に、周方向に略均等に潤滑剤を供給することができる。
尚、「略等間隔」とは、各セパレータ間に円筒ころ軸受の周方向に介在する円筒ころ数に極端な偏りがなく、その介在数の差が数個程度の状態をいう。例えば、各セパレータ間に円筒ころ軸受の周方向に完全に均等な個数で円筒ころが分配される場合はもちろんのこと、円筒ころの総数をセパレータ数で除した場合に端数が出る場合に各セパレータ間に円筒ころ軸受の周方向に介在する円筒ころ数の差が1となるように分配した状態である。
かかる構成によれば、前記軌道面とセパレータの間とセパレータの軸方向外方との双方に、大きな潤滑剤保持空間を形成しているにも関わらず、軸受からセパレータが脱落しない。
前記軸受1は、内周に軌道面21を有する外輪2と外周に軌道面31を有する内輪3とを備え、前記外輪2と前記内輪3との間には、転動体としての複数の円筒ころ4が潤滑剤としてのグリースによって潤滑された状態で転動自在に配されている。さらに、前記軸受1は、内周面が凹球面に形成された調心輪5に前記外輪2を嵌め込んで、調心機能を発揮できるようになっている。
図1及び図2に示すように、前記複数の円筒ころ4は、前記鍔部22,32と軌道面21,31とで囲まれた空間(転動体収容空間9)に、前記鍔部22,32でその軸方向側への移動を規制された状態で、軸受1の周方向に転動自在に収容されている。
図1に示すように、前記セパレータ6の径方向の厚みH1は、軌道面21,31間の間隔H2より短くなっており、これによって、セパレータ6の周方向上下には潤滑剤保持空間7としての空間71,72が形成されている。また、セパレータ6の軸方向の幅L1は軌道面21,31の幅L2より短くなっており(例えば、円筒ころの幅の50〜90%の長さ)、これによって、転動体収容空間9の周方向両端側には、潤滑剤保持空間7としての空間73,74が形成されている。従って、図1に示すように、軸受1内に収容されたセパレータ6は、隣接する複数の円筒ころ4に挟持された状態で、前記外輪2の軌道面21と前記内輪3の軌道面31とに非接触に配置される。このようにセパレータ6を配置すると、セパレータ6と外輪2及び内輪3との間に摩擦が生じないので、軸受1の回転が妨げられず、且つ、1つのセパレータ6を介在させることによって確保できる潤滑剤保持空間7の容積を大きくすることができる。
又、図1〜図4に示すように、前記外輪2及び内輪3の鍔部22,32に対向するセパレータ6の側面61は中央側に向かって凹状に湾曲した円筒面の一部からなり、これによって、鍔部22,32とセパレータ6との間の空間73,74の容積を大きく確保している。更に、図1〜図4に示すように、セパレータ6の中央には、軸受1内に配置された状態で径方向に貫通する潤滑剤流通孔75が形成されており、前記空間71と空間72との間を潤滑剤が移動できるように構成されている。
また、複数の円筒ころ4とセパレータ6とが両軌道面21,31間に介在した状態で、セパレータ6は、その周方向両側の円筒ころ4に対して径方向および周方向に移動可能な状態にすることができる。但し、セパレータ6の径方向移動によって、セパレータ6が軌道面21,31に接触しないように形成されている。
例えば、上記実施形態は調心輪5を備えた調心機能付き軸受として構成されているが、調心機能が要求されない場合、調心輪5を設ける必要はない。
又、上記実施形態では、外輪2及び調心輪5の外周面から内周面に亘って穿設された給脂穴81及び給脂穴82によって給脂穴8が構成され、軸受1にグリースが供給されているが、他の給脂のための構造を採用することもできる。例えば、軸受を収容する軸受箱と前記軸受1の軸方向一方側の側面とに連通する給脂路を形成し、この給脂路と前記軸受1の軸方向一方側の鍔部22と鍔部23との対向面の間を通じて軸受にグリースを供給するように構成することができる。
又、上述の実施形態に代えて、図5(a)に示す別実施形態のセパレータ6では、各側面61,62,63に溝64を凹入形成して、グリースがこの溝に保持され、且つ、各側面の一端から他端との間で潤滑剤が移動しやすいようにしている。又、図5(b)に示す別実施形態のセパレータ6では、各側面61,62,63にディンプル65を凹入形成して、グリース保持空間の容積を増加させている。尚、上記潤滑剤流通孔75、溝64、ディンプル65の設置数は任意に設定することができる。
尚、上述の実施形態では、セパレータ6の円筒ころ4と接する側面62は、円筒面の一部の形状であったが、内側に向かって凹んだ形状であればよい。例えば、他の曲面であってもよく、又、内側に向かって台形状や三角形状に凹んだ形状であってもよい。又、鍔部22,32に対向するセパレータ6の側面61は円筒面の一部からなる形状であったが、径方向に沿った平面であってもよく、他の曲面であってもよく、他の形状に内側に凹んだ形状であってもよく、内側に向かって台形状や三角形状に凹んだ形状であってもよい。更には、軸受1内に配置された状態で径方向上下に位置するセパレータ6の側面63,66とを内側に向かって凹んだ形状とし、セパレータ6の6面すべてを内側に向かって凹んだ形状としてもよい。このように構成すると、潤滑剤保持空間7の容積が大きくなり、保持可能な潤滑剤の量も増やすことができる。尚、セパレータ6の側面63,66の凹み形状も、内側に向かって凹んだ形状であればよく、円筒面の一部であっても他の曲面であってもよく、又、内側に向かって台形状や三角形状に凹んだ形状であってもよい。
又、本発明に係る軸受は、高い静定格荷重が要求され、且つ極低速回転条件下で使用するのに好適であるが、その用途は連続鋳造機のロール支持に限定されるものではなく、他の産業用途でも使用できる。
Claims (3)
- 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配された複数の円筒ころと、を備えた総ころ型円筒ころ軸受において、
隣り合う前記円筒ころ間の1カ所又は数カ所にセパレータを介在させて、前記隣り合う円筒ころ間に潤滑剤保持空間を形成し、
前記セパレータの軸方向長さは前記軌道面の幅より短く、前記セパレータの径方向厚みは前記軌道面間の間隔より短いことを特徴とする総ころ型円筒ころ軸受。 - 複数個の前記セパレータが、略等間隔に、複数の前記隣り合う円筒ころ間に夫々配置される請求項1に記載の総ころ型円筒ころ軸受。
- 軸方向端部が前記内輪の鍔部又は前記外輪の鍔部に当接して軸方向移動量が規制される状態に、前記セパレータが配置されている請求項1又は2に記載の総ころ型円筒ころ軸受。
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