JP2009168106A - ころ軸受及びころ軸受の固定構造 - Google Patents

ころ軸受及びころ軸受の固定構造 Download PDF

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Abstract

【課題】エッジロードの発生の如何に関わらず、寿命の低下を防止することができるころ軸受及びころ軸受の固定構造を提供する。
【解決手段】ハウジング40の軸受挿入穴41の内周面と外輪2の外周面との間に、少なくとも外輪2の一の端部から、軌道面2aところ4との接触部を投影した範囲Aの内側にかけて、空隙を形成した。また、回転軸50の外周面と内輪3の内周面との間に、少なくとも内輪3の一の端部から、軌道面3aところ4との接触部を投影した範囲Aの内側にかけて、空隙を形成した。
【選択図】図2

Description

本発明はころ軸受及びころ軸受の固定構造に係り、特にエッジロードによる寿命の低下を防止することができるころ軸受及びころ軸受の固定構造に関する。
ころ軸受は負荷能力が高いことから、大きな負荷がかかる回転軸の支持に多く用いられている。このようなころ軸受には、回転軸の心だし不良やたわみ等によって、内輪(回転軸)の中心線と外輪の中心線が平行にならないミスアライメントが発生する場合がある。このミスアライメントによって、ころ軸受の軌道面ところとの接触部の軸方向端部に過大な応力集中(エッジロード)が発生すると、応力集中部付近にフレーキングが生じる等、ころ軸受の寿命が低下してしまうという問題点があった。
従来より、転動体であるころのエッジロードを緩和する手段として、例えばころの外周面にクラウニング加工(例えばころの外周面の軸方向両端に面取り)を施したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平8−109960号公報(第3頁、図1)
しかしながら、ころの外周面にクラウニング加工を施したころ(ローラカムフォロア用のころ)では適正なクラウニング量(例えばころの外周面の軸方向両端に施された面取りの大きさ)の決定が難しく、クラウニング量が大きくなりすぎると、ころと軌道面との接触面積が小さくなることによって、ころと軌道面との接触面圧が大きくなり、ミスアライメントによってエッジロードが発生していないにもかかわらず、かえってころ軸受の寿命を低下させてしまうという問題点があった。
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、エッジロードの発生の如何に関わらず、寿命の低下を防止することができるころ軸受及びころ軸受の固定構造を提供することを目的としたものである。
本発明に係るころ軸受は、外輪、内輪、及び前記外輪と前記内輪の軌道面の間に転走自在に配設された複数のころを有するころ軸受であって、
前記外輪の外周面がハウジングに設けた軸受挿入穴に挿入された状態において、前記外輪の外周面は、少なくとも一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、前記ハウジングの軸受挿入穴内周面との間に空隙が形成される形状としたものである。
また、本発明に係るころ軸受は、外輪、内輪、及び前記外輪と前記内輪の軌道面の間に転走自在に配設された複数のころを有するころ軸受であって、
前記内輪の内周面に軸が挿入された状態において、前記内輪の内周面は、少なくとも一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、前記軸の外周面との間に空隙が形成される形状としたものである。
また、本発明に係るころ軸受の固定構造は、ハウジングに設けた軸受挿入穴に外周面が挿入された外輪、内輪、及び前記外輪と前記内輪の軌道面の間に転走自在に配設された複数のころを有するころ軸受の固定構造であって、前記ハウジングの軸受挿入穴内周面と前記外輪の外周面との間に、少なくとも前記外輪の一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、空隙を形成したものである。
また、本発明に係るころ軸受の固定構造は、外輪、軸が内周面に挿入された内輪、及び前記外輪と前記内輪の軌道面の間に転走自在に配設された複数のころを有するころ軸受の固定構造であって、前記軸の外周面と前記内輪の内周面との間に、少なくとも前記内輪の一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、空隙を形成したものである。
本発明においては、ハウジングの軸受挿入穴内周面と外輪の外周面との間に、少なくとも外輪の一の端部から、軌道面ところとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、空隙を形成しているので、ミスアライメントが発生した場合でも軌道面ところとの接触部の軸方向端部に過大な荷重が作用しないため、当該端部のエッジロードを緩和することができる。
したがって、エッジロードの発生によるころ軸受の寿命の低下を防止することができる。
また、前記軸の外周面と前記内輪の内周面との間に、少なくとも前記内輪の一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、空隙を形成しているので、ミスアライメントが発生した場合でも軌道面ところとの接触部の軸方向端部に過大な荷重が作用しないため、当該端部のエッジロードを緩和することができる。
したがって、エッジロードの発生によるころ軸受の寿命の低下を防止することができる。
さらに、エッジロードを防止するためにころと軌道面との接触面積を小さくする必要がないので、ころと軌道面との接触面圧が大きくならず、エッジロードが発生していない状態でのころ軸受の寿命の低下も防止することができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る円筒ころ軸受1の固定構造の縦断面図(軸方向断面図)、図2は、図1のP部詳細図である。
円筒ころ軸受1は、外輪2、内輪3、転動体である円筒ころ4、及び保持器5から構成されている。外輪2及び内輪3は例えば軸受用鋼材からなり、外輪2の軸方向両端部には内方に鍔部2bが設けられ、この鍔部2bの間には外輪2の内周面の周方向に軌道面2aが形成されている。また、内輪3の外周面の周方向には、外輪2の軌道面2aと対向して軌道面3aが形成されている。円筒ころ4もまた例えば軸受用鋼材からなる中実円筒形状の部材であり、保持器5の周方向に所定の間隔で設けた複数のポケットに転動自在に保持され、外輪2と内輪3の軌道面2a及び3aの間に転走自在に配設されている。なお、図示してないが、円筒ころ4が配設された空間部には、グリスやオイルの如き潤滑剤が供給されている。
外輪2の外周面には、軌道面2a(軌道面3a)と円筒ころ4との接触部と対向する範囲Aより若干内側の軸方向に、周方向に連なった突条2cが設けられており、ハウジング10の軸受挿入穴11に挿入された状態において、外輪2の外周面の軸方向両端部から範囲Aの軸方向内側にかけて空隙6が形成される形状となっている。また、内輪3の内周面にも、軌道面3a(軌道面2a)と円筒ころ4との接触部と対向する範囲Aより若干内側の軸方向に、周方向に連なった突条3cが設けられており、回転軸20が挿入された状態において、内輪3の内周面の軸方向両端部から範囲Aの軸方向内側にかけて空隙7が形成される形状となっている。なお、突条2c及び突条3cは周方向に連なっている必要はなく、例えば所定間隔で設けられていてもよい。
この円筒ころ軸受1は、図1に示すように、外輪2の外周面がハウジング10に設けられた軸受挿入穴11に挿入され、内輪3の内周面に回転軸20が挿入されることにより、回転軸20を回動自在に支持する。この円筒ころ軸受1には、ラジアル方向荷重、アキシアル方向荷重、モーメント荷重、又はこれらの組み合わせ荷重が作用する。
回転軸20の心だし不良やたわみ等によって、又は回転軸20にかかるモーメント荷重等によってミスアライメントが発生すると、外輪2の軌道面2aと円筒ころ4との接触部の軸方向端部、又は内輪3の軌道面3aと円筒ころ4との接触部の軸方向端部にエッジロードが発生する。しかしながら、本実施の形態1にかかる円筒ころ軸受1においては、外輪2の外周面の軸方向両端部から範囲Aの軸方向内側にかけて空隙6を形成しているので、ミスアライメントが発生した場合でも外輪2の軌道面2aと円筒ころ4との接触部の軸方向端部に過大な荷重が作用しないため、当該端部のエッジロードを緩和することができる。また、内輪3の内周面の軸方向両端部から範囲Aの軸方向内側にかけて空隙7を形成しているので、ミスアライメントが発生した場合でも内輪3の軌道面3aと円筒ころ4との接触部の軸方向端部に過大な荷重が作用しないため、当該端部のエッジロードを緩和することができる。したがって、エッジロードの発生による円筒ころ軸受1の寿命の低下を防止することができる。
また、外輪2の軌道面2aと円筒ころ4との接触面積、及び内輪3の軌道面3aと円筒ころ4との接触面積を十分に確保できるので、エッジロードが発生していない状態での円筒ころ軸受1の寿命の低下も防止することができる。
なお、本実施の形態1においては円筒ころ軸受1側に突条2c及び突条3cを設けて空隙6及び空隙7を形成したが、軸受挿入穴11の内周面側及び回転軸20の外周面側に突条2c及び突条3cを設けることによって空隙6及び空隙7を形成してもよい。また、空隙6及び空隙7は必ずしも突条2c及び突条3cを設けることによって形成する必要はなく、例えば外輪2の外周面及び内輪3の内周面(又は軸受挿入穴11の内周面及び回転軸20の外周面)にクラウニング加工を施して形成してもよい。
また、本実施の形態1においては、外輪2の外周面と軸受挿入穴11の内周面との間及び内輪3の内周面と回転軸20の外周面との間に空隙6及び空隙7を形成した場合を示したが、いずれか一方のみに空隙を形成してもエッジロードを緩和することが可能である。
また、本実施の形態1においては、軸方向の両端部に空隙を形成する例を示したが、一方の端部に空隙を形成してもよい。つまり、空隙は、ミスアライメントの方向や大きさ、軌道面と円筒ころ4との接触部の軸方向端部に作用する荷重の方向や大きさに応じて適宜形成すればよい。
また、空隙の大きさ(径方向寸法)も、ミスアライメントの方向や大きさ、軌道面と円筒ころ4との接触部の軸方向端部に作用する荷重の方向や大きさに応じて、エッジロードが十分に抑制できる大きさに適宜設定すればよい。一般的には数十μm〜数mm程度の段差を設ける。
実施の形態2.
実施の形態1においては、円筒ころ軸受1を用いて本発明を実施したが、円錐ころ軸受31においても本発明を実施することができる。
図3は、本発明の実施の形態2に係る円錐ころ軸受31の固定構造の縦断面図(軸方向断面図)、図4は、図3のQ部詳細図である。なお、以下の説明では、図の右側を大径側、左側を小径側という。
円錐ころ軸受31は、外輪32、内輪33、転動体である円錐ころ34、及び保持器35から構成されている。内輪33は、例えば軸受用鋼材からなり、外周面の小径側に小鍔部、大径側に大鍔部を設け、両鍔部の間には円錐形状の軌道面33aが形成されている。外輪32もまた例えば軸受用鋼材からなり、内周面に内輪33の軌道面33aに対向して円錐形状の軌道面32aが形成されている。円錐ころ34もまた例えば軸受用鋼材からなる円錐形状の部材であり、保持器35の周方向に所定の間隔で設けた複数のポケットに転動自在に保持され、外輪32と内輪33の軌道面32a及び33aの間に転走自在に配設されている。
外輪32の外周面には、軌道面32aと円錐ころ34との接触部を外輪32の外周面に投影した範囲B1より若干内側の軸方向に、周方向に連なった突条32cが設けられており、ハウジング40の軸受挿入穴41に挿入された状態において、外輪32の外周面の軸方向両端部から範囲B1の軸方向内側にかけて空隙36が形成される形状となっている。また、内輪33の内周面にも、軌道面33aと円錐ころ34との接触部を内輪33の内周面に投影した範囲B2より若干内側の軸方向に、周方向に連なった突条33cが設けられており、回転軸50が挿入された状態において、内輪33の内周面の軸方向両端部から範囲B2の軸方向内側にかけて空隙37が形成される形状となっている。
図3に示すように、ハウジング40には軸受挿入穴41が設けられており、軸受挿入穴41には外輪32の小径側端面が当接する段部41aが形成されている。この軸受挿入穴41に、円錐ころ軸受31を、ハウジング40の大径側から挿入して、外輪32の小径側端面を段部41aに当接して固定し、回転軸50を例えば内輪33の大径側から挿入することにより、回転軸50を回転自在に支持する。この円錐ころ軸受31には、ラジアル方向荷重、アキシアル方向荷重、モーメント荷重、又はこれらの組み合わせ荷重が作用する。
本実施の形態2にかかる円錐ころ軸受31においては、外輪32の外周面の軸方向両端部から範囲B1の軸方向内側にかけて空隙36を形成しているので、ミスアライメントが発生した場合でも外輪32の軌道面32aと円錐ころ34との接触部の軸方向端部に過大な荷重が作用しないため、当該端部のエッジロードを緩和することができる。また、内輪33の内周面の軸方向両端部から範囲B2の軸方向内側にかけて空隙37を形成しているので、ミスアライメントが発生した場合でも内輪33の軌道面33aと円錐ころ34との接触部の軸方向端部に過大な荷重が作用しないため、当該端部のエッジロードを緩和することができる。したがって、エッジロードの発生による円筒ころ軸受1の寿命の低下を防止することができる。
また、外輪32の軌道面32aと円錐ころ34との接触面積、及び内輪33の軌道面33aと円錐ころ34との接触面積を十分に確保できるので、エッジロードが発生していない状態での円錐ころ34の寿命の低下も防止することができる。
本発明の実施の形態1に係る円筒ころ軸受1の固定構造の縦断面図(軸方向断面図)である。 図1のP部詳細図である。 本発明の実施の形態2に係る円錐ころ軸受31の固定構造の縦断面図(軸方向断面図)である。 図3のQ部詳細図である。
符号の説明
1 円筒ころ軸受、2 外輪、2a 軌道面、2b 鍔部、2c 突条、3 内輪、3a 軌道面、3c 突条、4 円筒ころ、5 保持器、6 空隙、7 空隙、10 ハウジング、11 軸受挿入穴、20 回転軸、31 円錐ころ軸受、32 外輪、32a 軌道面、32c 突条、33 内輪、33a 軌道面、33c 突条、34 円錐ころ、35 保持器、36 空隙、37 空隙、40 ハウジング、41 軸受挿入穴、41a 段部、50 回転軸。

Claims (4)

  1. 外輪、内輪、及び前記外輪と前記内輪の軌道面の間に転走自在に配設された複数のころを有するころ軸受であって、
    前記外輪の外周面がハウジングに設けた軸受挿入穴に挿入された状態において、
    前記外輪の外周面は、
    少なくとも一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、前記ハウジングの軸受挿入穴内周面との間に空隙が形成される形状となっていることを特徴とするころ軸受。
  2. 外輪、内輪、及び前記外輪と前記内輪の軌道面の間に転走自在に配設された複数のころを有するころ軸受であって、
    前記内輪の内周面に軸が挿入された状態において、
    前記内輪の内周面は、
    少なくとも一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、前記軸の外周面との間に空隙が形成される形状となっていることを特徴とするころ軸受。
  3. ハウジングに設けた軸受挿入穴に外周面が挿入された外輪、内輪、及び前記外輪と前記内輪の軌道面の間に転走自在に配設された複数のころを有するころ軸受の固定構造であって、
    前記ハウジングの軸受挿入穴内周面と前記外輪の外周面との間に、
    少なくとも前記外輪の一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、空隙を形成したことを特徴とするころ軸受の固定構造。
  4. 外輪、軸が内周面に挿入された内輪、及び前記外輪と前記内輪の軌道面の間に転走自在に配設された複数のころを有するころ軸受の固定構造であって、
    前記軸の外周面と前記内輪の内周面との間に、
    少なくとも前記内輪の一の端部から、前記軌道面と前記ころとの接触部を投影した範囲の内側にかけて、空隙を形成したことを特徴とするころ軸受の固定構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016109187A (ja) * 2014-12-04 2016-06-20 本田技研工業株式会社 ワンウェイクラッチおよび車両用動力伝達装置

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JPS4970042A (ja) * 1972-11-13 1974-07-06
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