JP5362479B2 - ウエーハの研削装置 - Google Patents

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本発明は、サファイアウエーハ、炭化珪素ウエーハ等のモース硬度9以上の硬質ウエーハを研削するのに適したウエーハの研削装置に関する。
表面に窒化ガリウム等の窒化物半導体層が積層され、格子状に形成された分割予定ラインによって区画された各領域にそれぞれ光デバイスが形成されたサファイアウエーハは、分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射することにより個々の光デバイスに分割され、分割された光デバイスは携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器に利用される(例えば、特開2008−6492号公報参照)。
サファイアウエーハはエピタキシャル層の成長に適したサファイア基板上に窒化物半導体層を成長させて形成されるため、サファイア基板は光デバイスを製造する上で不可欠な素材であるが、基板上に窒化物半導体層を積層した後は電子機器の軽量化、小型化、素子特性の向上のために、研削装置によってサファイア基板の裏面が研削されて薄く加工される(例えば、特開2008−23693号公報参照)。
特開2008−6492号公報 特開2008−23693号公報
しかし、サファイアウエーハの表面に粘着テープからなる保護テープを貼着し、サファイアウエーハの裏面を研削してその厚みを100μm以下、更には50μm以下と薄くすると、サファイア基板に割れが生じるという問題がある。かかる問題は、炭化珪素基板(SiC基板)等の硬質脆性基板の研削においても同様に生じる。
この原因について考察すると、ウエーハの研削面に微小なクラックが多数生じて基板が凸状に反るのが一つの原因ではないかと推察される。基板に反りが発生すると、研削時にウエーハが横方向に引きずられ、基板に割れが発生し易い。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サファイア基板等の硬質脆性基板を研削して薄く加工しても基板に割れを生じさせることのないウエーハの研削装置を提供することである。
本発明によると、外周部が環状フレームに装着された粘着テープに貼着されたウエーハを保持し回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを研削する研削砥石を有する研削ホイールを回転可能に支持する研削手段とを備えたウエーハの研削装置であって、該チャックテーブルは、該粘着テープ上のウエーハを吸引保持する平坦保持面と該平坦保持面に連続して該平坦保持面の外周側に形成された外周側が下方に傾斜する傾斜保持面とを有する吸引体と、該吸引体の該平坦保持面及び傾斜保持面を除いた外周を囲繞するとともに両保持面の反対面を支持する底部を有する枠体とを含み、該吸引体は該枠体に形成された該吸引路を介して吸引源に連通されており、該枠体は該環状フレームを固定するフレーム固定部を有し、該吸引体の該傾斜保持面には同心状の複数の円形溝が形成されていることを特徴とするウエーハの研削装置が提供される。
本発明の研削装置によると、チャックテーブルの吸引体が、ウエーハを吸引保持する平坦保持面と、平坦保持面の外周から枠体に向かって下方に傾斜する傾斜保持面を有し、傾斜保持面に複数の同心状の円形溝が形成されているので、ウエーハと環状フレームとの間にある粘着テープを傾斜保持面で強固に吸引保持することができ、研削中のウエーハの横滑りを防止してウエーハに割れを生じさせることなくウエーハを研削することができる。
本発明実施形態の研削装置の外観斜視図である。 サファイアウエーハの表面側斜視図である。 表面に保護テープが貼着された状態のサファイアウエーハの裏面側斜視図である。 チャックテーブルの分解斜視図である。 チャックテーブルの斜視図である。 サファイアウエーハが吸引保持された状態のチャックテーブルの縦断面図である。 研削時におけるチャックテーブルと研削ホイールとの位置関係を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明実施形態の研削装置2の外観斜視図を示している。4は研削装置2のハウジング(ベース)であり、ハウジング4の後方にはコラム6が立設されている。コラム6には、上下方向に伸びる一対のガイドレール8が固定されている。
この一対のガイドレール8に沿って研削ユニット(研削手段)10が上下方向に移動可能に装着されている。研削ユニット10は、スピンドルハウジング12と、スピンドルハウジング12を保持する支持部14を有しており、支持部14が一対のガイドレール8に沿って上下方向に移動する移動基台16に取り付けられている。
研削ユニット10はスピンドルハウジング12中に回転可能に収容されたスピンドル18と、スピンドル18の先端に固定されたホイールマウント20と、ホイールマウント20にねじ締結され環状に配設された複数の研削砥石を有する研削ホイール22と、スピンドル18を回転駆動する電動モータ24を含んでいる。
研削装置2は、研削ユニット10を一対の案内レール8に沿って上下方向に移動するボールねじ28とパルスモータ30とから構成される研削ユニット移動機構32を備えている。パルスモータ30を駆動すると、ボールねじ28が回転し、移動基台16が上下方向に移動される。
ハウジング4の上面には凹部4aが形成されており、この凹部4aにチャックテーブル機構34が配設されている。チャックテーブル機構34はチャックテーブル36を有し、図示しない移動機構によりウエーハ着脱位置Aと、研削ユニット10に対向する研削位置Bとの間でY軸方向に移動される。38,40は蛇腹である。ハウジング4の前方側には、研削装置2のオペレータが研削条件等を入力する操作パネル42が配設されている。
図2を参照すると、所定の厚さに研削される前のサファイアウエーハ11の斜視図が示されている。サファイアウエーハ11はサファイア基板上に窒化ガリウム層(GaN層)を積層して構成されており、表面11aに複数のストリート13が格子状に形成されているとともに、複数のストリート13によって区画された複数の領域にLED等の光デバイス15が形成されている。
このように構成されたサファイアウエーハ11は、光デバイス15が形成されているデバイス領域17と、デバイス領域17を囲繞する外周余剰領域19を備えている。また、サファイアウエーハ11の外周には、サファイア基板の結晶方位を示すマークとしてのノッチ21が形成されている。
研削に先立ち、サファイアウエーハ11は図3に示すように外周部が環状フレーム44に装着された粘着テープ46上にその表面11a側が貼着される。従って、サファイアウエーハ11の表面11aは粘着テープ46によって保護され、裏面11bが露出する形態となる。
図4を参照すると、チャックテーブル36の分解斜視図が示されている。図5はチャックテーブル36の斜視図である。チャックテーブル36は凹部54を有する枠体50を含んでおり、枠体50の外周部上面には環状の永久磁石52が装着されている。
枠体50の凹部54内にはポーラスセラミックスから形成された吸引体56が嵌合される。図6も同時に参照すると明らかなように、吸引体56はウエーハ11を吸引保持する平坦保持面58aと、平坦保持面58aの外周から枠体50に向かって下方に傾斜する傾斜保持面58bを有している。傾斜保持面58bには同心状に形成された複数の円形溝60が形成されている。
枠体50は円筒状連結部64を介してサーボモータ62に連結されている。枠体50の凹部54内に嵌合された吸引体56は、枠体50に形成された吸引口55、円筒状連結部64に形成された吸引路、ロータリージョイント66及び管路68を介して吸引源70に接続されている。
図6に示すように、環状フレーム44で支持されたサファイアウエーハ11をチャックテーブル36の吸引体56の平坦保持面58a上に搭載して吸引源70を作動すると、サファイアウエーハ11は粘着テープ46を介して平坦保持面58aに吸引保持され、環状フレーム44は永久磁石52に吸引されて下方に引き落とされて固定される。
その結果、サファイアウエーハ11と環状フレーム44との間にある粘着テープ46は傾斜保持面58bで吸引保持されるが、傾斜保持面58bには複数の円形溝60が形成されているので、サファイアウエーハ11と環状フレーム44との間にある粘着テープ46を強固に吸引保持することができる。
以下、上述したように構成された研削装置2を使用したサファイアウエーハ11の研削方法について図7を参照して説明する。図7において、スピンドル18の先端にはホイールマウント20が固定されており、ホイールマウント20には研削ホイール22が複数のねじ25により着脱可能に装着されている。研削ホイール22は、環状基台24の自由端部に複数の研削砥石26を固着して構成されている。
チャックテーブル36に吸引保持されたサファイアウエーハ11が、図7に示すように研削ホイール22の研削砥石26がチャックテーブル36の回転軸心を通過する研削位置に位置づけられると、チャックテーブル36を矢印a方向に例えば500rpmで回転しつつ、研削ホイール22をチャックテーブル36と同一方向に、即ち矢印b方向に例えば1000rpmで回転させるとともに、研削ユニット送り機構32を作動して研削砥石26をサファイアウエーハ11の裏面11bに接触させる。
そして、研削ホイール22を所定の研削送り速度(例えば0.1μm/s)で下方に所定量研削送りして、サファイアウエーハ11の研削を実施する。図示しない接触式又は非接触式の厚みゲージによってサファイアウエーハ11の厚みを測定しながらサファイアウエーハ11を所望の厚み(例えば50μm)に仕上げる。
上述したように、チャックテーブル36を構成する吸引体56の傾斜保持面58bに同心状の複数の円形溝60が形成されているので、研削中にサファイアウエーハ11と環状フレーム44との間にある粘着テープ46を強固に吸引保持することができ、サファイアウエーハ11の横滑りを防止してサファイアウエーハ11に割れを生じさせることなくサファイアウエーハ11を薄く研削することができる。
本発明実施形態の研削装置2は、サファイアウエーハ11の研削に適するのみでなく、炭化珪素ウエーハ等のモース硬度9以上の硬質ウエーハの研削にも同様に適用することができる。
2 研削装置
10 研削ユニット
11 サファイアウエーハ
22 研削ホイール
26 研削砥石
36 チャックテーブル
56 吸引体
58a 平坦保持面
58b 傾斜保持面
60 円形溝

Claims (2)

  1. 外周部が環状フレームに装着された粘着テープに貼着されたウエーハを保持し回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを研削する研削砥石を有する研削ホイールを回転可能に支持する研削手段とを備えたウエーハの研削装置であって、
    該チャックテーブルは、該粘着テープ上のウエーハを吸引保持する平坦保持面と該平坦保持面に連続して該平坦保持面の外周側に形成された外周側が下方に傾斜する傾斜保持面とを有する吸引体と、該吸引体の該平坦保持面及び傾斜保持面を除いた外周を囲繞するとともに両保持面の反対面を支持する底部を有する枠体とを含み、
    該吸引体は該枠体に形成された該吸引路を介して吸引源に連通されており、
    該枠体は該環状フレームを固定するフレーム固定部を有し、
    該吸引体の該傾斜保持面には同心状の複数の円形溝が形成されていることを特徴とするウエーハの研削装置。
  2. ウエーハはサファイアウエーハから構成される請求項1記載のウエーハの研削装置。
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