JP5361960B2 - ロール成形方法 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、被成形素材寸法の広い変化にかかわらず成形ロールの兼用を実現する溶接鋼管などのロール成形方法に係り、上下ロールによる被成形素材を挟み込む位置(ピンチポイント、pinch‐point )を素材幅方向の目標成形領域と既成形領域又は未成形領域との境目にのみ設定して、当該目標成形領域を曲げ内側にある上ロールの所定カリバーに沿わせて、目標成形領域の曲げ外側には下ロールをほとんど当接させないようにして成形することにより、曲げ成形性を著しく向上させると共に、ロール疵、ロールマークや座屈の発生を防止して、エッジベンド(edge‐bend)方式のブレークダウン成形部にロールの兼用化を実現した新規な溶接鋼管などのロール成形方法に関する。
溶接鋼管のロール成形では、成形ロールを用いて帯状の素板の幅方向に逐次に曲げ加工を加えて必要な断面形状を作り出す。成形の初期段階であるブレークダウン成形部では、素板を概ね半円状の断面形状に成形する。その後、クラスタ成形及びフィンパス成形を経て、素板断面が開放状の円形となる。
上記ブレークダウン成形部においては、主として、図1のロールフラワーに示すような2種類の成形方式が使われている。エッジベンド方式では、素板を端部から中央(破線の円、以下図の素板上側を曲げ内側、素板下側を曲げ外側という)に向かっていくつかの領域に分けて順次に曲率を与える方法が採られる。一方、サーキュラーベンド(Circular‐bend)方式では、素板幅全域の曲率を段階的に大きくする方法が採られる。
いずれの成形方式を採用しても、従来のブレークダウン成形スタンドでは、通常、図2Aに示す上下一対の孔型ロールが配置され、例えば下ロールが凹部を有して上ロールが凸部となり、素板の幅方向の全て、すなわち素板の曲げ内側と曲げ外側の両方が設定したロールギャップに挟まれて変形する成形方法である。
このような従来の成形方法においては、素板に目標の曲率を与えるために、一般に、板厚に等しい均一なロールギャップを設定する必要がある。しかし、実生産においては、この成形方法には次の問題点がある。
素板の板厚に必ずバラツキがあり、また成形過程においても板厚が不均一に変動するので、板厚に等しい均一なロールギャップを設定しても、ロール表面と板表面が完全に密接するのではなく、不連続な接触状態にあり、接触領域および接触強さも時間の経過と共に変化し、この変化を予測することは不可能である。
その結果、まず、ロールの基準径(素板の移動速度に等しい回転周速度を有するロール表面部分の回転径)の設定が難しくなり、各スタンドでのロール回転速度を同調させるのも困難となる。従って、無駄な駆動力およびエネルギーが使われることが多くなり、また、製品表面に疵などができ易い。さらに、素材の幅方向の成形荷重および駆動力が非対称となり、素材の蛇行やローリングなどの現象が発生しやすい。
上下ロールが共に孔型ロールであるため、異なるサイズの鋼管の成形に柔軟性が少ない。例えば、エッジベンド方式の場合は、製品外径と肉厚とのどちらかが変わる時に、すべての成形ロールを交換しなげればならない。サーキュラーベンド方式の場合は、製品径が同じ時に、一定範囲の肉厚の変化に対してロールギャップの調整でロールを兼用することができる。
そのために、この成形方式はエッジベンド方式より実用性が高いと思われる。しかし、比較的薄肉の素板を成形する時に、ロールギャップが不均一となり、素板に対する拘束が不充分なため、必要な成形性が得られないことが多い。つまり、このようなロールの兼用化は成形性を犠牲にしたものである。
しかし、ロール交換作業に伴う操業性、生産性の問題を解決するために、近年、ロール兼用化についての技術開発が盛んに行われてきた。その代表的なものは、ケージフォーミングミルである。
この種のミルにおいては、従来のクラスタロールの代わりに小型ロール(ケージロール)を多数並べることによってロール兼用化を図ろうとしている。しかし、ブレークダウン成形部では、従来型ミルと同じように、ロール兼用化が行われていない。また、交換ロールの数をできるだけ減らすために、クラスタ成形部だけではなく、従来ブレークダウン成形部が分担していた成形負荷の一部もケージ成形部に移し、ブレークダウン成形スタンドの数を減らしている。
ところが、ケージロールの成形機能がごく限られている。すなわち、ケージロールと素板との接触領域が非常に小さいため、素板断面各部分が不均一な曲げモーメントで成形される。このようなフリーベンド(free‐bend)曲げ方式の成形性は製品サイズおよび材質によって大きく変わり、設計通りに曲率をコントロールすることは極めて難しい。
特に、曲げモーメントの最も大きな幅中央部には、折れ曲げ現象が多発している。インナーロール(凸ロール)を使っても、通常素板がインナーロール表面に沿わないため、曲げモーメントを均一化することができない。また、逆に素板とインナーロールとの接触部位に折れ曲げが発生しやすくなる。
このような成形機能の弱い成形方法において、過大な成形負荷を分担させると、必然的にミル全体の成形機能および安定性に悪い影響を与える。現状では、この種の兼用化ミルには既に多くの問題が現れている。
ケージ型ミルのこのような弱点を解消するため、様々な改良を行ったのは、特開平3−12977号及び特開平3−12976号に開示されたロール成形法(以下FF成形法とい)である。FF成形法においては、曲率の連続的又は段階的に変化する伸開曲線をロールの表面形状(ロールカリバー)とする特殊なロール、およびこれらのロールを移動、回転(ローテーション)させるための位置調整機構を用いることにより、クラスタ成形部だけではなく、ブレークダウン成形部においても、ロール兼用化を実現した。
特に、成形が最も困難とされる素板瑞部の曲げを行う、いわゆるNo.1ブレークダウンスタンドでは、図2Bに示すようなロール配置が用いられている。かかるFF成形法のロール配置では、全製品の内径および外径の範囲に応じて、上ロール(凸ロール)および下ロール(凹ロール)に適切な伸開曲線カリバーが設けられている。
これらのロールから形成されたロールギャップが通常均一ではないが、特定の製品サイズに応じて素板の端部の曲げに好ましいロールギャップが形成されるように上下ロール位置を設置する。この成形方法を用いることにより、ロール無交換の縁曲げが初めて可能となり、ミル全体の成形機能が改善された。
ところが、このFF成形法においても、ブレークダウン成形部のほかのスタンドでは、基本的にはサーキュラーベンド型の成形方法を採用しており、さらにロールを兼用するため、必要な成形性が得難くなり、結果的には、成形負荷の重心は依然としてブレークダウン成形部ではなく、成形機能の弱いクラスタ成形部にある。
この発明は、基本的にサーキュラーベンドの曲げ方法を採用するFF成形法におけるロール兼用化の利点を損なうことなく、FF成形法の成形負荷の中心が成形機能の弱いクラスタ成形部にあることを改善し、ブレークダウン成形部で成形機能を高め、素板の全体の成形性を大きく向上させた新規なロール成形方法の提供を目的としている。
発明者らは、このFF成形法にエッジベンド方式を導入しその成形機能を更に強化するために、ブレークダウン成形部に上記した縁曲げスタンドを複数段配置し、板幅の約半分の領域を端部から順次に曲げていく成形法を提案(特願平10−214320、PCT/JP98/04962)した。
上記の新しい成形法(以下FF/X成形法と呼ぶ)により、ミル全体の成形性及び安定性が大きく改善された。しかし、FF成形法の図2Bの曲げ方式は、本来素板端部のみの成形に使われ、目標成形領域がより広い場合は、適切なロールギャップの設定が難しくなる。
このFF/X成形法でも、そのロール成形の基本的な考えは、凹凸ロールを用いて目標成形領域となる素板部分を内面および外面から同時に挟んで成形するという従来の成形思想である。また、同成形法では、凹凸の両ロールカリバーに伸開曲線カリバーを用いているために素板の全域が凹凸の両ロールの全てに当接するものでないが、できるかぎり凹凸の両ロールで挟んで成形することが可能なように伸開曲線の選定を行うという技術思想である。
発明者らは、パイプミルにおけるロール兼用化を図ることが可能な上記のFF、FF/X成形法の利点を有効に活用しながら、ブレークダウン成形部で成形機能を高めて素板の端部の成形性を大きく向上させることを目的に、ロール配置と成形機能等の関係について多くの実験及び解析を行った結果、素板を曲げるには、必ずしも凹凸一対の孔型ロールを同時に使う必要がないという知見を得た。
すなわち、発明者らは、成形を予定した素板の幅方向の領域の一部(以下目標成形領域と呼ぶ)を、ある曲率分布を有するロールカリバーを持つ凸ロールの表面又はその表面の一部に沿わせれば、従来のように凹ロールを用いて反対側の素板表面を拘束しなくても、この凸ロール表面部分とほぼ同じ曲率分布を予定した素板領域に「転写」することが可能であり、従来の凹ロールによる拘束を行うことなく、凸ロール表面に沿わせることでロール成形が可能であることを知見した。
例えば、前述した図2Aに示す凹凸一対の孔型ロール配置の代わりに図3のロール配置を用いても、同じ成形目的を達成できる。この場合、成形曲率の制御は主に上側の凸ロールによって行われる。下側の左右一対の凹ロール、すなわち1個の凹ロールを左右に分割しその間の上側に凸ロールが位置する左右一対の分割型凹ロールは図2Aの従来の凹ロールと比較するとそのロールカリバーの極一部しか持っていないが、当該左右ロールの役割は、目標とする成形領域を凸ロール表面に沿わせるために適切な素板部位にのみ凹凸ロールによる支持力を与え、上記した沿い曲げを実行できるような態勢を作る、すなわち凸ロールの転写予定のロールカリバー部分に素板の目標成形領域が当接するように制御、支持することにある。
この発明の沿い曲げで重要なことは、一対の凹凸ロール間で生じる最小ロールギャップ位置となるピンチポイント(pinch‐point )、すなわち一対のロールで被成形素材を挟む位置であるピンチポイントを所要箇所に設定して素板の板幅方向の位置を制御し、素板の目標成形領域の全体を曲げ外側から拘束することなく、曲げ内側にある上側の凸ロールの転写予定のロールカリバー部分の表面に沿わせてこれを転写し、ロール成形することである。
駆動力を発生させる必要がある場合は、十分な圧力ひいては摩擦力を得るために、凸ロールと凹ロールとの最小ロールギャップを板厚に等しくなるように設定し、この最小ロールギャップである、ピンチポイントのみにおいて素板の両表面を同時に拘束する。
かかるピンチポイントは通常、設計に際して、予め設定する目標成形領域と他の素板領域、すなわち既成形領域(素材縁部の曲げ不感部を含む)又は未成形領域との境に設定するが、実操業では、この境の近傍である境部に、駆動力を発生させるピンチポイントが設定されるとよい。
一方、多段のロールスタンドを擁するミルなどで駆動力の発生を要しない場合は、必ずしもピンチポイントを設ける必要がない。設定された目標成形領域を凸ロール表面部分にしっかり沿わせるように凹ロールの位置を設定すればよい。
以上を要するに、この新しい曲げ方式においては、所要のロールスタンドで成形を行う素材の幅方向の領域が目標成形領域として設定され、この目標成形領域を曲げ内側にある上側の凸ロールの転写予定のロールカリバー部分の表面に沿わせて曲率を転写するために、目標成形領域と他の素板領域との境部にピンチポイントを設定し、さらに凸ロールとピンチポイントを形成する左右一対の分割型凹ロールが従来のごとく積極的に目標成形領域に接触しないよう、換言すれば、ピンチポイント近傍以外はできるだけ目標成形領域を凹ロール側から拘束しないようにロールカリバーを設定することを特徴としている。従って、左右一対の分割型凹ロールは目標成形領域の曲率の制御に直接関与しないため、従来のようなロールカリバーを設ける必要はない。
この発明による新しいロール成形方法では、素材の目標成形領域が基本的に凸ロールからの拘束しか受けていないため、無理な変形が発生し難く、余分な変形ひずみの発生を極力抑え、2次加工性に優れた鋼管を製造することができる利点がある。
また、ロールを駆動する場合は、最大面圧がピンチポイントに発生するため、ピンチポイントでのロール径をロール基準径とすればよい。ピンチポイントの位置が非常に明確且つ変動しないため、各スタンドでの駆動力を同調させることは比較的容易であることが、大きな利点である。
さらに、板厚のバラツキでピンチポイントにおける面圧がある範囲内で変動しても、素板とロールとの接触状態がほとんど変わらないため、左右の力の対称性が大きく崩れ、蛇行やローリングを誘起することは少ない。
従って、この発明の沿い曲げのコンセプトを従来のブレークダウン成形部に導入することにより、ミルの成形性および作業性を大きく改善することが可能である。また、この発明の成形方法では、上側の凸ロールと下側の左右一対の凹ロールが共に孔型ロールである必要がないため、ロール兼用化を行いやすい利点がある。
すなわち、この発明は、下側の左右一対の分割型凹ロールと、当該凹ロール間の上側に配置された凸ロールとで被成形素材を成形するロール成形方法であって、下側の左右一対の分割型凹ロールと上側の凸ロールとで被成形素材を挟み込む両側のピンチポイントを、素材幅方向の一部領域に設定された目標成形領域と既成形領域との境部、又は前記目標成形領域と未成形領域との境部に設定し、当該目標成形領域の全体を曲げ外側から左右一対の分割型凹ロールにて拘束することなく、両側のピンチポイント近傍のみを曲げ外側から左右一対の分割型凹ロールにて押圧して、前記目標成形領域の全体を曲げ内側にある上側の凸ロールの表面に沿わせることにより、前記凸ロール表面の曲率を前記目標成形領域に転写する沿い曲げ方式のロール成形方法である。
この発明は、上下ロールによる被成形素材のピンチポイントを素材幅方向の目標成形領域と既成形領域あるいは未成形領域との境目に設定して、当該目標成形領域を曲げ内側にある上ロールの所定カリバーに沿わせて、特に目標成形領域の曲げ外側には下ロールをほとんど当接させないようにして成形することにより、曲げ成形性を著しく向上させると共に、ロール疵、ロールマークや座屈の発生を防止することが可能である。
この発明によるロール成形方法では、凹ロールは目標成形領域の曲率の制御に直接関与せず、目標成形領域が基本的に凸ロールからの拘束のみで、無理な変形が発生し難く、変形ひずみの発生を極力抑えることができる。
また、ロールを駆動する際に、最大面圧がピンチポイントに発生し、このピンチポイントのロール径をロール基準径とするため、ピンチポイントの位置が明確で変動せず、各スタンドでの駆動力を同調させることが可能である。
さらに、この発明のロール成形方法では、素材の板厚のバラツキに対しても素板とロールとの接触状態がほとんど変化しないため、蛇行やローリングを誘起することがない。
この発明のロール成形方法では、凸ロールと凹ロールが共に孔型ロールである必要がないため、ロール兼用化を行いやすく、ブレークダウン成形部に導入することで、成形性および作業性を大きく改善できる。
ブレークダウン成形部におけるロールフラワーを示す説明図であり、Aはエッジベンド方式、Bはサーキュラーベンド方式を示す。 従来のブレークダウン成形スタンドのロール配置を示す説明図であり、Aは上下一対の孔型ロールの例、BはFF成形法のロールを示す。 この発明による「沿い曲げ」のコンセプトを示すためのロール配置を示す説明図である。 A、Bはこの発明による「沿い曲げ」をブレークダウン成形スタンドに適用した例を示すロール配置の説明図である。 この発明による「沿い曲げ」を溶接鋼管のロール成形方法に適用したロール成形装置の説明図であり、Aは大径管の場合、Bは小径管の場合を示す。 A,B,Cはこの発明によるロール成形方法とその装置を適用した実施例のブレークダウン成形部のロールスタンドのロール配置を示す説明図である。 Aはこの発明によるロール成形方法とその装置を適用したパイプミルのロール配置を示す斜視説明図であり、Bはリバースベンド成形部のロール配置を示す説明図であり、Cはクラスタ成形部のロール配置を示す説明図である。 A,B,Cはこの発明によるロール成形方法とその装置を適用した他の実施例のブレークダウン成形部のロールスタンドのロール配置を示す説明図である。 Aはこの発明によるロール成形方法とその装置を適用した他のパイプミルのロール配置を示す斜視説明図であり、Bはリバースベンド成形部のロール配置を示す説明図であり、Cはクラスタ成形部のロール配置を示す説明図である。
この発明による、主に曲げ内側にあるロール表面に沿わせて成形する沿い曲げ方式は、基本的にはあらゆるタイプの成形ミルおよび成形方式に応用可能であり、既存の成形プロセスの合理化を図ることが可能であるが、ロール兼用化技術の一環として用いた場合は、既存の成形方法では得られない優れた機能がより活用できる。
特に、上記したFF/X成形法のような成形機能の強いエッジベンド成形方式を基本とする高度な兼用化技術の確立には、この新しい曲げ方式が必要不可欠と思われる。ここで、その具体的な応用として、発明者らが命名する「沿い曲げ」のコンセプトを実施でき、かつロール兼用も可能なロール配置とロール成形方法の応用例について説明する。
図4は、図2Bのブレークダウン成形部におけるロール配置を、この発明による「沿い曲げ」による成形方法を実施できるようにしたものである。まず図4Aに示すように、ピンチポイントが板縁からある距離で離れたところに設置されている。ピンチポイントから板縁までの素板端部は、通常十分な曲げモーメントが得られないので、曲げ不感部と呼ぶ。
曲げ不感部の範囲は製品寸法および材質によって変わるが、ここではほぼ板厚分と規定する。ピンチポイントの外側にあるこの部分の素板が下ロールに支えられ、その内側にある目標成形領域を上ロール表面に沿わせて成形する。
従って、素材幅方向の曲げ不感部と目標成形領域との間にピンチポイントを設定し、ここでは積極的に曲げ外側から拘束することがないようにするため、下ロールは接触面をフラットな形状としてある。
異なる口径サイズの成形に対応するために、上下ロールの位置調整は当然必要であるが、成形の度合は主に上ロールのロールカリバーによって決まるので、適切な曲率分布を有する上ロール表面部分を選んで目標成形領域に当てる必要がある。
特に製品外径の兼用範囲が広い場合は、従来のFF成形法と同じように、上ロールに伸開曲線カリバーを設け、また平行移動のほかに、適切なカリバー部分を選べるようにロールの接触面を変える(ローテーション)ためにロールの支持軸方向を変化可能に支持する機構を併用することが好ましい。
下ロールについては、前述したように基本的には伸開曲線カリバーを設ける必要はない。ロールフラワーを適切に設計すれば、図4Aに示すような直線カリバーを用いても各サイズの成形に対応できることが可能である。
ただし、材質やt/D(製品肉厚製品外径)によってロールマークや疵などの発生が予測された場合は、下ロールにも伸開曲線カリバーを設け、製品サイズに近い曲率を有するロール表面部分を用いて素板端部を支えることも可能である。
一方、中央ロールの設置およびW型の素板断面の形成は、沿い曲げの必須条件ではないが、目標成形領域の幅を広げる効果がある。中央ロールの形状および上下ロールとの相対位置は、すべでの製品の成形において、予定した目標成形領域を確実に上ロールに沿わせるように設定すればよい。
図4Aのロール配置は、縁曲げに非常に有効であるが、端部の成形以外の素板領域の曲げにも適用可能である。但し、ロールの兼用範囲が広い場合は目標成形領域に設定した曲率を与えると同時に、その外側にある素板の端部および他の既成形領域の断面形状を保護する必要がある。そうではないと、既成形領域に曲げ戻しが大きく発生し、予定の断面形状が得られなくなる可能性がある。
そこで、端部の成形以外の素板領域の曲げには図5Aに示すようなロール配置が極めて有効である。このロール配置では、図4Aと同じように中央ロールが設けられているが、この中央ロールには、単に沿い曲げの効果を高めるだけではなく、一対の上ロールと合わせてそれぞれピンチポイントを形成して駆動力を発生させる役割もある。
また、図5A並びに図4Bに示すロール配置では、図4Aのロール配置と異なり、サイドロールが設けられている。このサイドロールを上述の既成形領域に当接させて、この領域の曲げ戻しを抑えると同時に、サイドロールからの成形力による曲げモーメントを利用し、ピンチポイントの外側にある目標成形領域を上ロールに沿わせて成形する。
一方、図4Bに示すごとく、既成形領域に作用する曲げモーメントが小さいため、すなわちサイドロールの成形力の作用点がこの領域内にあり、曲げモーメントのアームが短いことから、この領域を大きく変形させることはない。
なお、図示のサイドロールに代えて小さなロールを用いても、既成形領域が素材長手方向に見て垂れていく現象を防止することが可能であり、小さなロールを素材長手方向に複数個を配置してその接触方向を種々設定することもできる。
上記のロール配置においても、目標成形領域の曲率の制御が主に上ロールによって行われるので、このロールに伸開曲線カリバーを使い、さらにロールを回転(ローテーション)あるいは素材幅方向に平行移動させ、必要な曲率分布を有するカリバー部分を選び、素材の目標成形領域に当てることが好ましい。
サイドロールについては、図3の下ロールと同じように、種々の製品寸法の成形に対応するために、少なくとも平行移動をさせる必要がある。また、ロール疵やロールマークなどの発生を極力抑えるためには適切な伸開曲線カリバーを設けることが望ましい。従って、図5Aのロール配置は比較的大径管を成形するための素材の場合、図5Bのロール配置は小径管を成形するための素材の場合の配置を示す。
中央ロールのカリバーについても同様である。また、図示の単一のロールのみならず、2分割や3分割の分割型ロールを採用することも好ましく、種々の製品寸法の成形に対応させて、素材幅方向や上下方向の高さなどを適宜選定すること、例えば素材幅方向の断面で見てW型にベンドさせることにより、より一層、素材の目標成形領域を上ロールの所定のカリバー部分に当接させ易くなる。
発明者らが先に提案したFF/X成形法によるパイプミルにおいて、ブレークダウン成形部におけるロール配置のNo.1〜No.3に、この発明によるロール成形方法とその装置を適用した例を図6及び図7に基づいて説明する。パイプミルは図7Aに示すごとく、ブレークダウン成形部のロールスタンドBD1,BD2,BD3に続いて、リバースベンド成形部のロールスタンドRB、クラスタ成形部のクラスタロールC1〜C6、フィンパス成形部のロールスタンドFP1,FP2が配置されている。
ブレークダウン成形部のロールスタンドBD1では、図6Aに示すごとく、素材への当接方向が可変になったローテンション型の左右一対の上ロール、下側には細幅の中央ロールと左右一対の下ロールが配置され、上ロールと下ロールとの間で、当該BD1で成形する予定の素材幅方向の目標成形領域と、素材縁部の曲げ不感部との境部にピンチポイントを設定しており、図4Aで詳述したものと同等の機構と機能を有し、所定の縁曲げを行うことができる。
図6Bに示すロールスタンドBD2は、ローテンション型の左右一対の上ロールと下側の広幅の中央ロール、並びに先のBD1で成形した素材端部に当接支持するための水平ロールとからなり、上ロールと中央ロールの肩部との間で、当該BD2で成形する予定の素材幅方向の目標成形領域と、素材中部の未成形領域との境部にピンチポイントを設定しており、図4Bで詳述したものと同等の機構と機能を有し、所定の縁曲げを行うことができる。
図6Cに示すロールスタンドBD3では、先のBD2と同様の機構と機能を有し、さらに素材の中央部側の成形を行うもので、先のBD1とBD2とで成形した素材端部は水平ロールのロールカリバーに設けた伸開曲線に沿って支持されており、成形された円弧部の拡がりが防止され、図1Aに示す所定のエッジベンドによるロールフラワーが形成されていく。
次に、素材の中央部が下から押し上げられて幾分W字型のベンド気味となっているのを図7Bに示すロールスタンドRBにて元に戻しているため、図7Cに示すクラスタ成形部のクラスタロールC1への導入を容易かつ確実に実施できる。さらに、FP1,FP2のフィンパス成形部で断面をほぼ円筒状に成形する。
この発明による図7Aに示すパイプミルに使用することによって、ブレークダウン成形部にエッジベンド方式の成形を実現でき、成形性が著しく向上すると共に、外径比で約3倍の範囲のロール兼用が可能となった。
従来のFF成形法によるミルにおいて、ブレークダウン成形部におけるロール配置のNo.1〜No.3、この発明によるロール成形方法とその装置を適用した例を図8及び図9に基づいて説明する。パイプミルは図9Aに示すごとく、ブレークダウン成形部のロールスタンドBD1,BD2,BD3続いて、リバースベンド成形部のロールスタンドRB、クラスタ成形部のクラスタロールC1,C2,C3、フィンパス成形部のロールスタンドFP1,FP2が配置されている。
ブレークダウン成形部のロールスタンドBD1では、図8Aに示すごとく、素材への当接方向が可変になったローテンション型の左右一対の上ロール、下側には細幅の中央ロールとロールカリバーに伸開曲線を設けた左右一対の下ロールが配置され、上ロールと下ロールとの間で、当該BD1で成形する予定の素材幅方向の目標成形領域と、素材縁部の曲げ不感部との境部にピンチポイントを設定しており、図4Aで詳述したものと同等の機構と機能を有し、所定の縁曲げを行うことができる。なお、図では詳細に図示していないが、素材板幅方向のピンチポイントから中央側において、素材は下ロールのロールカリバーには接触していない。
図8Bに示すロールスタンドBD2は、ローテンション型の左右一対の上ロールと上ロールと左右一対の下ロールが配置され、各々ロールカリバーに伸開曲線を設けた上ロールと下ロールとの間で、当該BD2で成形する予定の素材幅方向の目標成形領域と、素材中部の既成形領域との境部にピンチポイントを設定しており、図4Bで詳述したものと同等の機構と機能を有し、所定の縁曲げを行うことができる。ここでも、素材板幅方向のピンチポイントから中央側において、素材は下ロールのロールカリバーには接触しておらず、逆に先のBD1で成形した素材端部は、下ロールの伸開曲線のロールカリバーに当接支持されて成形性を保持している。
図8Cに示すロールスタンドBD3では、先のBD2と同様の機構と機能を有し、さらに素材の中央部側の成形を行うもので、先のBD1とBD2とで成形した素材端部は下ロールのロールカリバーに設けた伸開曲線に沿って支持されており、成形された円弧部の拡がりが防止され、図1Aに示す所定のエッジベンドによるロールフラワーが形成されていく。さらに、縁部に補助ロールを当接させることも有効である。
次に、素材の中央部が下から押し上げられて幾分W字型のベンド気味となっているのを図9Bに示すロールスタンドRBにて元に戻しているため、図9Cに示すクラスタ成形部のクラスタロールC1への導入を容易かつ確実に実施できる。さらに、FP1,FP2のフィンパス成形部で断面をほぼ円筒状に成形する。
この発明による図9Aに示すパイプミルに使用することによって、ブレークダウン成形部にエッジベンド方式の成形を実現でき、成形性が著しく向上すると共に、外径比で約2.5倍の範囲のロール兼用が可能となった。
BD1,BD2,BD3 ブレークダウン成形部のロールスタンド
RB リバースベンド成形部のロールスタンド
C1〜C6 クラスタ成形部のクラスタロール
FP1,FP2 フィンパス成形部のロールスタンド
PP ピンチポイント
1 素材
1a 曲げ不感部
1b,1c 目標形成領域
1d 既成形領域
2,20 下ロール
3,21,31,32 上ロール
10,11 凹ロール
12 凸ロール
22,30 中央ロール
33,34 サイドロール

Claims (4)

  1. 下側の左右一対の分割型凹ロールと、当該凹ロール間の上側に配置された凸ロールとで被成形素材を成形するロール成形方法であって、下側の左右一対の分割型凹ロールと上側の凸ロールとで被成形素材を挟み込む両側のピンチポイントを、素材幅方向の一部領域に設定された目標成形領域と既成形領域との境部、又は前記目標成形領域と未成形領域との境部に設定し、当該目標成形領域の全体を曲げ外側から左右一対の分割型凹ロールにて拘束することなく、両側のピンチポイント近傍のみを曲げ外側から左右一対の分割型凹ロールにて押圧して、前記目標成形領域の全体を曲げ内側にある上側の凸ロールの表面に沿わせることにより、前記凸ロール表面の曲率を前記目標成形領域に転写する沿い曲げ方式のロール成形方法。
  2. 請求項1に記載の沿い曲げ方式のロール成形方法において、上側の凸ロールは、目標成形領域の全体に転写予定の曲率と同じ曲率のロールカリバーを有するロール成形方法。
  3. 請求項1または2に記載の沿い曲げ方式のロール成形方法において、下側の左右一対の分割型凹ロールは、ピンチポイント近傍以外は目標成形領域を拘束しないロールカリバーを有するロール成形方法。
  4. 溶接鋼管のロール成形方法のブレークダウン成形部の成形に請求項1〜3の何れかに記載の沿い曲げ方式のロール成形方法を用いるロール成形方法。
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