JP2018187686A - プレス成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被加工材としての金属板材の表面に疵を発生させることなく、また角形管製造の際のような曲げ加工時での曲げ線の位置ずれも生じることもなく、しかも円形管および角形管のいずれの製造にも適用できるようなプレス成形装置を提供する。
【解決手段】本発明のプレス成形装置は、金属板材を折り曲げるためのプレス成形装置であって、上部金型と、前記上部金型の下部に設けられ、ロールホルダー上に載置された2つの回転ロールを有し、前記2つの回転ロールの夫々は、前記回転ロールの軸方向に線状に延びる凸部を複数有する板材支持部を有しており、前記複数の凸部の頂部に接する面が、水平面に対してなす可動角度範囲が0〜60°であることを特徴とする。
【選択図】図8
【解決手段】本発明のプレス成形装置は、金属板材を折り曲げるためのプレス成形装置であって、上部金型と、前記上部金型の下部に設けられ、ロールホルダー上に載置された2つの回転ロールを有し、前記2つの回転ロールの夫々は、前記回転ロールの軸方向に線状に延びる凸部を複数有する板材支持部を有しており、前記複数の凸部の頂部に接する面が、水平面に対してなす可動角度範囲が0〜60°であることを特徴とする。
【選択図】図8
Description
本発明は、鋼板等の金属板材から円形管や角形管等を製造する際に用いるプレス成形用装置に関する。尚、本発明で対象とする金属板材は、鋼板が代表的な材料として挙げられるが、これに限らずアルミ板、銅板、或いはチタン板等の金属板材を含む趣旨である。以下では、代表的な金属板材として、鋼板を取り上げ、これをプレス成形して角形鋼管を製造する場合を中心に説明を進める。
近年、建築コストの低減を目的として、円形鋼管や角形鋼管の柱材への適用が進められている。このうち角形鋼管は、鋼板を円形鋼管となるように一旦成形し、シーム部を溶接した円形鋼管に対して、更にロール成形して角形に成形したいわゆる「ロール成形角形鋼管」が知られている。こうしたロール成形角形鋼管は、厚さが6〜22mm程度の比較的薄い鋼板に適用されるのが一般的である。これに対し、鋼板の厚さが20mmを超えるような厚板を用いて角形鋼管を製造する場合は、角形鋼管の角部をプレス成形した後、シーム部を溶接し、いわゆる「プレス成形角形鋼管」とするのが一般的である。
上記のようなプレス成形角形鋼管の製造手順を図面に基づいて説明する。まず図1に示すように、幅Wの鋼板10の両端から幅W/4となる部分に破線で示した2箇所の曲げ線3、3を設定する。そして、この曲げ線3、3に沿って、鋼板10の両側をプレス成形によって折り曲げる。この際、図2に示すように、鋼板10を2つの回転ロール2、2で支持しつつ、鋼板10の上部から上部金型1の先端部分を曲げ線3に当て[図2(a)]、上部金型1を押し下げるようにして、鋼板10をV字形に曲げてプレス成形する[図2(b)]。尚、図2には示されていないが、上部金型1は、鋼板10の長さ方向に対応して長尺物となっている。
上記のようなプレス成形を曲げ線3、3に沿って両側で行ない、図3(a)に示すような半割状の成形部品4とする。こうした成形部品4を一対準備し、図3(b)に示すように、相互に向き合うように重ね、2箇所の溶接部6、6を溶接することによって、プレス成形角形鋼管5を製造する。
図1〜図3に示した製造手順では、半割状の成形部品4を一対成形してから、2箇所の溶接部6、6を溶接することによって、プレス成形角形鋼管5を製造する。プレス成形角形鋼管5を製造する手順は、上記した手順に限らず、例えば図4(a)に示すように一枚の鋼板10を4箇所の曲げ線3に沿ってプレス成形して角形鋼管状とし、これを図4(b)に示すように、1箇所の溶接部6で溶接することによってプレス成形角形鋼管5を製造する手順も知られている。
いずれの製造手順を採用するにしても、所定の曲げ線3に沿って鋼板を効果的にプレス成形する必要がある。しかしながら、上記のような回転ロールを有するプレス成形装置によって、プレス成形角形鋼管5を製造する場合は、下記のような問題がある。
図5は、プレス成形したとき問題の発生状況を説明するための図である。図5(a)は、2つの回転ロール2、2を夫々保持するホルダー7、7を示した以外は、基本的に前述した図2(a)に対応しており、対応する部分には同一の参照符号を付してある。
上記のようなプレス成形角形鋼管5(以下、単に「角形鋼管5」と呼ぶことがある)を製造するために、鋼板10をプレス成形する場合は、曲げ線3の位置が鋼板の幅方向で非対称となっている。また、2つの回転ロール2、2は、夫々ホルダー7、7に掲置されただけの状態であり、回転ロール2、2の回転性は不安定である。従って、プレス成形時には2つの回転ロール2、2に回転量差が生じる。その結果、前記図2(b)に示した正常な曲げ線3の位置でプレス成形されるとは限らず、図5(b)に示すように、曲げ線3の位置が若干ずれた位置Aで鋼板10が曲げられることになる。こうした状況が発生すると、正規のプレス成形品が安定して製造できない。また、ずれる量も安定していないため、ずれる量を見込んでプレス成形することもできない。
従来のプレス成形装置では、回転ロールを用いない構成も知られている。即ち、上部金型と、当該上部金型の先端形状に対応した形状の溝部を有する下部金型によって、鋼板を挟み込んでプレス成形し、上部金型と下部金型に対応した形状にプレス成形する装置がある。このような構成の装置でプレス成形をすれば、回転ロールを用いたときのような問題は生じにくい。しかしながら、こうした構成の装置を用いてプレス成形した場合には、プレス成形の初期に、下部金型の溝肩部に鋼板が押圧され、鋼板表面に面接触によるすり疵や引っかき疵が付きやすいという別の問題がある。こうした疵は、鋼板表面での凹凸が顕著になり、その後にグラインダー処理によって鋼板の表面性状を整える必要が生じる。
一方、プレス成形円形鋼管(以下、単に「円形鋼管」と呼ぶことがある)を製造する場合は、図2、5に示した上部金型1の先端部、即ち鋼板成形部の形状を変える以外は、上記と同様の装置を用いてプレス成形されるのが一般的である。但し、プレス成形によって円形鋼管を製造する場合には、鋼板の片側端部から他方端部に向かって数十ミリピッチで幅方向に送りながら、プレス成形する必要がある。こうした「送り」を実施するには、回転ロールに関連して回転駆動機構を設け、この回転駆動機構によって回転ロールの送り量を制御しつつプレス成形するのが一般的である。
回転ロールを有する円形鋼管を製造するためのプレス成形装置は、角形鋼管を製造するための装置構成と、上部金型1の先端部の形状の違いや、回転駆動機構の有無以外は共通している。こうしたことから、角形鋼管および円形鋼管のいずれの製造にも適用できるようなプレス成形装置の実現が期待できる。しかしながら、これまでの回転ロールを用いたプレス成形装置では、角形鋼管および円形鋼管のいずれの製造にも適用できるようなプレス成形装置は実現されていないのが実情である。
プレス成形装置については、これまでにも様々提案されている。例えば特許文献1には、図6に示すようなプレス成形装置が提案されている。このプレス成形装置はロッカーダイ方式と呼ばれるものである。図6に示したプレス成形装置は、いわゆる「UOプレス法」によって円形鋼管を製造するためのものである。この装置では、図6に示すように、垂直方向に動くパンチ11と、ロッカーブラケット12上に置かれ軸18を中心として回転可能なロッカーダイ13からなり、左右のロッカーダイ13、13の間隔は、左右のロッカーブラケット12、12を移動することにより、予め適切な間隔にセットされている。
プレス成形初期は、被成形体である鋼板16は、ロッカーダイ13の上シュー14を支点としてパンチ11に沿って曲げられる。次に、鋼板16がロッカーダイの下シュー15を支点として接すると、図6の破線に示したように、パンチ11からの荷重を介してロッカーダイ13が軸18を中心として回転し、鋼板16をパンチ11に沿って曲げて行き、除荷後のスプリングバックを考慮しつつプレス成形を終了する。
このプレス成形装置では、ロッカーダイ13の上シュー14と下シュー15は、傾斜した面上に配置されており、プレス成形中に順次接していくように構成されている。そして、プレス成形終了時点では、ロッカーダイ13の上シュー14と下シュー15を含む面と水平面とのなす角度は、スプリンバックを考慮して、90°よりも大きく設定される。尚、前記上シュー14と下シュー15は、固定式とされているが、鋼板との摩擦抵抗を少なくするために回転式としても良いことが開示されている。
図6に示したプレス成形装置は、基本的に「UOプレス法」によって円形鋼管を製造するための装置である。こうした構成は、成形初期は鋼板との接触は上シュー14のみとなり、鋼板の位置決めが不安定となり、鋼板をV字形に成形する装置に転用しても、曲げ線の位置がずれやすくなり、角形鋼管を製造する装置としては適用できない。また図6に示した上シュー14と下シュー15は、回転式としても良いことも開示されているが、ロールホルダーによって回転ロールを保持する構成とは異なるものである。
回転ロールを用いないような構成の装置を用いてプレス成形した場合には、プレス成形の初期に、下部金型の溝肩部に鋼板が押圧され、鋼板表面に面接触によるすり疵や引っかき疵が付きやすいという別の問題があることは上述した通りである。こうしたことから、近年では、下部金型を配置する代わりに、図2、5に示したような回転ロール2によって鋼板10を支持し、この鋼板10の上方から上部金型1によって押圧してプレス成形する方式が主流となっている。しかしながら、こうした方式では、プレス成形して角形鋼管を製造する際には、上記したような回転ロール2、2の回転量の違いに起因する曲げ線3の位置ずれが発生することも上記した通りである。
回転ロールを用いることなく、鋼板等の板材表面に疵を付けないプレス成形装置として、例えば特許文献2のような技術も提案されている。こうしたプレス成形装置の構成を図7に示す。このプレス成形装置は、図7(a)に示すように、上下動する下部テーブル23の上部に下部金型35が設けられている。下部金型35は、下部金型本体21の上面中央に長手方向に延伸してU字形に逃げ溝24が形成されていて、この逃げ溝24と下部本体21の両側肩部21Aとの間に円弧状の溝22が両側に形成されている。この円弧状の溝22には、半月形の揺動部材27が装着されており、この揺動部材27の上面平面部に板材受け部材25が乗り、この板材受け部材25と揺動部材27とは、板材受け部材25に形成した勾配面25Aにて当接し、揺動部材27は傾斜した状態となっている。
こうした構成では、図7(b)に示すように、プレス曲げ加工(以下、単に「曲げ加工」と呼ぶことがある)が進むにつれて、板材26の裏面と板材受け部材25の上面との接触面の摩擦力は板材受け部材25の勾配面25Aと揺動部材27との接触面の摩擦力より大きいので、板材受け部材25の勾配面25Aは揺動部材27の上面をすべり、曲げられる板材26に板材受け部材25は追従する。このため、曲げ加工時に板材26にすり疵等が発生することはなくなる。しかも、こうした構成のプレス成形装置では、基本的に回転ロールを用いていないので、上述したようなずれの問題も生じない。
図7に示したプレス成形装置では、下部金型35と板材26とは直接接触することがないので、下部金型35による疵が付くという問題は解消される。また、被加工材としての板材26は、板材受け部材25によって面接触した状態で支持されているので、曲げ加工時に曲げ線位置がずれる問題も生じない。
しかしながら、このようなプレス成形装置では、半月形の揺動部材27は円弧状の溝22に装着された構成となっており、この円弧状の溝22は、円形鋼管製造用のプレス成形装置のロールホルダーとして流用することはできない。従って、このようなプレス成形装置を用いて、円形鋼管を製造するには、下部金型に相当する部分を全部入れ替える必要がある。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工材としての金属板材の表面に疵を発生させることなく、また角形管製造の際のような曲げ加工時での曲げ線の位置ずれも生じることもなく、しかも円形管および角形管のいずれの製造にも適用できるようなプレス成形装置を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明のプレス成形装置とは、金属板材を折り曲げるためのプレス成形装置であって、
上部金型と、
前記上部金型の下部に設けられ、ロールホルダー上に載置された2つの回転ロールを有し、
前記2つの回転ロールの夫々は、前記回転ロールの軸方向に線状に延びる凸部を複数有する板材支持部を有しており、
前記複数の凸部の頂部に接する面が、水平面に対してなす可動角度範囲が0〜60°であることを特徴とする。
上部金型と、
前記上部金型の下部に設けられ、ロールホルダー上に載置された2つの回転ロールを有し、
前記2つの回転ロールの夫々は、前記回転ロールの軸方向に線状に延びる凸部を複数有する板材支持部を有しており、
前記複数の凸部の頂部に接する面が、水平面に対してなす可動角度範囲が0〜60°であることを特徴とする。
本発明のプレス成形装置において、前記複数の凸部の頂部がプレス成形時に前記面上を摺動する距離が最小となるように前記2つの回転ロールの軸相互間距離および前記2つの回転ロールの半径に設定することが好ましい。
上記のようにして設定された、前記2つの回転ロールの軸相互間距離が450〜600mmであると共に、前記2つの回転ロールの半径が12.5〜50mmであることが好ましい。このとき用いられる金属板材の厚さは、10〜60mmであることが好ましい。
本発明のプレス成形装置で対象とする金属板材は、鋼板であることが最も好ましい。
本発明によれば、上部金型と、前記上部金型の下部に設けられ、ロールホルダー上に載置された2つの回転ロールを有し、前記2つの回転ロールの夫々は、前記回転ロールの軸方向に線状に延びる凸部を複数有する板材支持部を有し、前記複数の凸部の頂部に接する面が、水平面に対してなす可動角度範囲が0〜60°であるようにしたので、金属板材の表面に疵を発生させることなく、また角形管製造の際のような曲げ加工時での曲げ線の位置ずれも生じることもなく、しかも円形管および角形管のいずれの製造にも適用できるようなプレス成形装置が実現できる。
本発明者は、ロールホルダーに掲置された2つの回転ロールによって金属板材を支持する構成を基本とし、金属板材の表面にすり疵や引っかき疵を発生しにくいものとし、また角形管製造の際のような曲げ加工時での曲げ線の位置ずれも生じることもなく、しかも円形管および角形管のいずれの製造にも適用できるようなプレス成形装置を実現すべく、様々な角度から検討した。その結果、回転ロールの軸方向に線状に延びる凸部を複数有する板材支持部を2つの回転ロールの夫々に有し、この板材支持部によって被加工材としての金属板材を支持することとし、且つ前記複数の凸部の頂部に接する面が、水平面に対してなす可動角度範囲が0〜60°であるようにすれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明のプレス成形装置の構成を図面に基づいて更に詳細に説明する。
図8は、本発明のプレス成形装置の例を示す概略説明図である。図8において、図5に示した装置と対応する部分には同一の参照符号が付してある。図8に示したプレス成形装置は、角形鋼管を製造することを想定した構成である。本発明のプレス成形装置では、図8に示すように、2つの回転ロール2、2の夫々には、回転ロール2、2の軸方向に線状に延びる複数の凸部8a、8bを有し、金属板材としての鋼板10を凸部8a、8bで支持する板材支持部9、9が備えられている。この板材支持部9、9は、回転ロール2、2の夫々に、固定して設けても良いが、回転ロール2、2に一体的に成形されても良い。
尚、線状に延びる凸部8a、8bの頂部は、図8では点として表されているが、鋼板10の長さに対応するように、長手方向(即ち図8の紙面に垂直な方向)に延びる線状となっている。ここで「長手方向に延びる線状」とは、必ずしも連続的な線状である必要はなく、断続的な線状であっても良い。要するに、凸部の頂部を結ぶ線の長さが鋼板10の長さに対応できるように構成されていれば良い。こうした構成では、鋼板10と凸部8a、8bの頂部とは、線接触の状態となる。このように、板材支持部9、9と鋼板10とが、面接触しない状態となるので、プレス成形時に板材支持部9、9による鋼板10表面への疵発生が低減できる。
本発明のプレス成形装置を用いてプレス成形したときの状態を、図9に示す。上部金型1によって、上方から鋼板10を押圧しつつ、板材支持部9、9によって支持された鋼板10がV字形に曲げられていく。このとき、回転ロール2、2の回転に追随して、板材支持部9、9は傾斜する。このプレス成形時には、鋼板10は、板材支持部9、9の夫々に設けられた複数の凸部8a、8bの頂部によって支持されているので、鋼板10の位置が安定し、曲げ線3の位置が狙いとする位置からずれることはない。即ち、プレス成形の進行に伴って鋼板10が傾斜していくと回転ロール2、2が強制的に回転させられるため、2つの回転ロール2、2に回転量差が生じることはなく、鋼板10の位置が安定し、曲げ線3の位置が狙いとする位置からずれることがなくなる。
図9に示した状態では、板材支持部9、9の夫々に設けられた複数の凸部8a、8bの頂部に接する面が、水平面に対してなす角度θ(この角度θの範囲を「可動角度範囲」と呼んでいる)が60°以下となる。また前記図8に示した状態は、この角度θが0°の状態、即ち凸部8a、8bの頂部に接する面が、水平面と一致する状態である。プレス形成角形鋼管を製造する場合には、前記角度θの上限は45°以下でも良いが、スプリングバックの低減を考慮し、またプレス成形円形鋼管を製造するプレス成形装置として適用する場合を考慮し、その上限を60°以下とした。即ち、本発明のプレス成形装置では、前記角度θが0°から60°の範囲で可動するように設定されている。
図8、9に示したプレス成形装置では、板材支持部9、9に設けられる凸部は夫々8a、8bの2箇所ずつである構成を示したが、凸部8a、8bの個数は2箇所に限らず、3箇所以上若しくは多数でもよい。例えば、板材支持部9、9における鋼板10と接触する側の表面形状を、線状の凸部が多数平行して並んだ波状としてもよい。但し、凸部8a、8bの個数が過度に多くなると、それだけ面接触に近い状態となって、表面疵の発生原因になるので、板材支持部9、9の凸部8a、8bの個数は、鋼板10を支持できれば、できるだけ少ない方が好ましい。こうした観点から、凸部8a、8bの設置箇所は、板材支持部9において5箇所以下であることが好ましい。
鋼板10を支持するという観点からすれば、板材支持部9、9の凸部8a、8bの頂部の形状は、鋼板10と線接触できる程度に先細り状とすることも考えられる。しかしながら、あまり先尖な形状であると、鋼板10の表面に却って疵がつきやすくなる。こうした観点から、板材支持部9、9の凸部8a、8bの頂部の形状は、図8、9に示したように、断面が円弧状で凸部8a、8bの頂部で鋼板と線接触できる程度になだらかな形状であることが好ましい。
図8、9に示したプレス成形装置は、角形鋼管を製造するための構成を想定したものであるが、こうした構成は円形鋼管を製造するためのプレス成形装置としても適用できる。但し、先端部の形状が、円形鋼管を製造するための形状となる上部金型1に取り替える必要がある。また円形鋼管を製造する場合には、鋼板の片側端部から他方端部に向かって数十ミリピッチで幅方向に送るための回転駆動機構が必要となるが、この回転駆動機構は回転ロールに関連して設けることができる。
本発明のプレス成形装置では、板材支持部9、9の夫々に設けられた複数の凸部8a、8bの頂部によって鋼板10を支持するようにしたので、鋼板10の位置が安定し、曲げ線3の位置が狙いとする位置からずれることはないが、それでも凸部8a、8bの頂部が鋼板10の所定位置から若干摺動することがある。この摺動によって生じる、凸部8a、8bと鋼板10との接触痕は、板厚の現象を伴わないものであり、引っかき疵のようにグラインダーによる処理を行なわなくとも、製品の表面性状の問題は生じない。それでも、製品外観を美麗にするという観点からすれば、前記複数の凸部の頂部がプレス成形時に鋼板面上を摺動する距離(以下、単に「摺動距離」と呼ぶことがある)はできるだけ小さい方が好ましい。凸部との接触痕の状況例を図10(図面代用写真)に示す。
図11は、比較例のプレス成形装置の構成を示す概略説明図である。この装置では、板材支持部9a、9aは平板状となっており、本発明の装置のような複数の凸部8a、8bが設けられていないものである。こうした装置では、鋼板10と板材支持部9a、9aとは面接触の状態となって、前述したような引っかき疵が発生しやすい状況となる。図11に示したプレス成形装置を用いたときに面接触で発生した引っかき疵の状況を図12(図面代用写真)に示す。このような疵は、板材表面での凹凸が顕著になり、その後にグラインダー処理によって板材の表面性状を整える必要が生じることは前述した通りである。
本発明者は、上記摺動距離を最小にできるような、2つの回転ロール2、2の軸相互間距離Lや回転ロールの半径d(前記図8参照)についても検討した。その結果、金属板材厚さや成形荷重に応じて、2つの回転ロールの軸相互間距離L(以下、単に「軸相互間距離L」と呼ぶことがある)、および回転ロールの半径d(以下、単に「ロール半径d」と呼ぶことがある)を適切な範囲に設定すれば、上記摺動距離を最小にできることが判明した。即ち、本発明のプレス成形装置では、前記複数の凸部の頂部の摺動距離が最小となるように、軸相互間距離Lおよびロール半径dに設定することが好ましい。
上記のようにして設定された、軸相互間距離Lは450〜600mmであると共に、ロール半径dは12.5〜50mmであることが好ましい。これらの値は、金属板材の厚さにもよるが、後述する厚さの範囲内(例えば、10〜60mm程度)では、上記のように設定されることが好ましい。また、成形荷重は金属板の強度、長さ、板厚により決まるため、設備の成形荷重能力の範囲内にて軸相互間距離Lとロール半径dを選択することになる。尚,成形荷重は諸条件により100〜50000トン(約980〜490000kN)程度になりうるが、実際の設備能力から想定される成形荷重は5000〜15000トン(約49000〜147000kN)程度である。軸相互間距離Lおよびロール半径dの好ましい範囲を上記のように設定した理由は、下記の通りである。
まず軸相互間距離Lが小さくなり過ぎると、狭い領域に金属板材を押し込むことになって、それだけ成形荷重が高くなってしまう。こうした観点から軸相互間距離Lは、少なくとも450mm以上を確保することが好ましい。より好ましくは、480mm以上である。軸相互間距離Lを大きくすればするほど成形荷重を小さくできるが、軸相互間距離Lを大きくしすぎると、金属板材が回転ロール間に乗らなくなり、プレス成形ができなくなるおそれがある。軸相互間距離Lを大きくすることは、それだけ前記角度θを確保するための上部金型1の押し込み量が大きくなって、それだけ凸部8a、8bの鋼板10上での摺動距離が大きくなる。こうした観点から、軸相互間距離Lは600mm以下であることが好ましく、より好ましくは570mm以下である。また、実際の角形管や円形管のサイズを考慮すれば、軸相互間距離Lはその上限が600mm以下であれば十分である。
一方、ロール半径dについては、上記軸相互間距離Lが小さくなるにつれて、および金属板材の板厚が大きくなるにつれて、できるだけ小さい方が好ましい。本発明者が検討したところ、軸相互間距離Lを450〜600mmとした上で、摺動距離を小さくできるロール半径dは12.5〜50mm程度が好ましいことを見出している。ロール半径dのより好ましい範囲は、板厚によって違うものとなる。
本発明のプレス成形装置は、プレス成形角形鋼板およびプレス成形円形鋼管のいずれの製造にも適用できる。このうちプレス成形角形鋼板では、通常板厚が比較的厚い場合(例えば板厚が20〜50mm)を対象としている。但し、本発明のプレス成形装置は、こうした板厚に限らず、ロール成形角形鋼板を成形する場合の金属板材の厚さ(例えば、6〜22mm)以上にも適用できる。或いは、板厚が6mm未満となるような薄鋼板を、プレス成形する場合にも本発明のプレス成形装置は適用できる。このうち、板厚の好ましい範囲は、10〜60mmである。また、この好ましい板厚の範囲は、プレス成形円形鋼管を製造する場合も同様である。
上記では対象とする金属板材は、代表的なものとして鋼板を中心に説明したが、本発明では鋼板に限らず、アルミ板、銅板、或いはチタン板等の金属板材をも含む趣旨である。但し、プレス成形装置による曲げ加工の容易性や、上記装置構成による効果、即ち表面疵の低減や曲げ線の位置がずれるのを低減するという効果を有効に発揮させるためには、対象とする金属板材は鋼板であることが最も好ましい。
本発明のプレス成形装置を用い、前記摺動距離が最小となるような、軸相互間距離Lおよびロール半径dについて調査した。この調査では、軸相互間距離Lを450〜600mmに設定すると共に、板厚を10〜60mmとし、この条件の下で、ロール半径dを12.5mm、17.5mm、22.5mm、27.5mm、32.5mm、37.5mm、42.5mm、47.5mm、50mmに変えたときの摺動距離の変化について調査した。このときの成形荷重は、板材の長さが15mであるとし、成形荷重を400〜30000トン(約3920〜294000kN)とし、角円形鋼管を製造する場合を想定した。またこの実験は、FEM(Finite Element Method:有限要素法)
シュミュレーションによるものである。
シュミュレーションによるものである。
その結果を、下記表1〜6に示す。このうち表1は、鋼板の板厚を10mmとしたときのロール半径と摺動距離の関係を示している。表2は、鋼板の板厚を20mmとしたときのロール半径と摺動距離の関係を示している。表3は、鋼板の板厚を30mmとしたときのロール半径と摺動距離の関係を示している。表4は、鋼板の板厚を40mmとしたときのロール半径と摺動距離の関係を示している。表5は、鋼板の板厚を50mmとしたときのロール半径と摺動距離の関係を示している。表6は、鋼板の板厚を60mmとしたときのロール半径と摺動距離の関係を示している。
上記表1の結果、即ち軸相互間距離Lを450〜600mmとすると共に、鋼板の板厚を10mmとしたときに、ロール半径と摺動距離との関係を、図13に示す。上記表2の結果、即ち軸相互間距離を450〜600mmとすると共に、鋼板の板厚を20mmとしたときに、ロール半径と摺動距離との関係を、図14に示す。上記表3の結果、即ち軸相互間距離を450〜600mmとすると共に、鋼板の板厚を30mmとしたときに、ロール半径と摺動距離との関係を、図15に示す。上記表4の結果、即ち軸相互間距離を450〜600mmとすると共に、鋼板の板厚を40mmとしたときに、ロール半径と摺動距離との関係を、図16に示す。表5の結果、即ち軸相互間距離を450〜600mmとすると共に、鋼板の板厚を50mmとしたときに、ロール半径と摺動距離との関係を、図17に示す。表6の結果、即ち軸相互間距離を450〜600mmとすると共に、鋼板の板厚を60mmとしたときに、ロール半径と摺動距離との関係を、図18に示す。
これらの結果から明らかなように、板厚に応じて摺動距離を小さくできる軸相互間距離Lとロール半径dの範囲があることが分かる。即ち、軸相互間距離Lを450〜600mmと設定したときに、摺動距離を小さくできる好ましいロール半径dは12.5〜50mmであることが分かる。
1 上部金型
2 回転ロール
3 曲げ線
4 成形部品
5 プレス成形角形鋼管
6 溶接部
7 ホルダー
8a,8b 凸部
9 板材支持部
10 鋼板
11 パンチ
2 回転ロール
3 曲げ線
4 成形部品
5 プレス成形角形鋼管
6 溶接部
7 ホルダー
8a,8b 凸部
9 板材支持部
10 鋼板
11 パンチ
Claims (5)
- 前記金属板材を折り曲げるためのプレス成形装置であって、
上部金型と、
前記上部金型の下部に設けられ、ロールホルダー上に載置された2つの回転ロールを有し、
前記2つの回転ロールの夫々は、前記回転ロールの軸方向に線状に延びる凸部を複数有する板材支持部を有しており、
前記複数の凸部の頂部に接する面が、水平面に対してなす可動角度範囲が0〜60°であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形装置。 - 前記複数の凸部の頂部がプレス成形時に前記面上を摺動する距離が最小となるように、前記2つの回転ロールの軸相互間距離および前記2つの回転ロールの半径に設定する請求項1に記載のプレス成形装置。
- 前記2つの回転ロールの軸相互間距離が450〜600mmであると共に、前記2つの回転ロールの半径が12.5〜50mmである請求項2に記載のプレス成形装置。
- 前記金属板材の厚さが10〜60mmである請求項2または3に記載のプレス成形装置。
- 前記金属板材は、鋼板である請求項1〜4のいずれかに記載のプレス成形装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018168632A JP2018187686A (ja) | 2018-09-10 | 2018-09-10 | プレス成形装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018168632A JP2018187686A (ja) | 2018-09-10 | 2018-09-10 | プレス成形装置 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015073549A Division JP2016193442A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | プレス成形装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2018187686A true JP2018187686A (ja) | 2018-11-29 |
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JP2018168632A Pending JP2018187686A (ja) | 2018-09-10 | 2018-09-10 | プレス成形装置 |
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JP (1) | JP2018187686A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102234943B1 (ko) * | 2020-09-22 | 2021-04-01 | 이춘우 | 횡형 밴딩 장치 |
-
2018
- 2018-09-10 JP JP2018168632A patent/JP2018187686A/ja active Pending
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