JP5361434B2 - 赤外線カメラ装置 - Google Patents
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Description
温度変化の検知手段として、中空構造体上にボロメータを形成し抵抗変化を検知するボロメータ方式、中空構造体上にPN接合ダイオードを形成し順方向電流を流した時の電圧変化を検知するダイオード方式等が提案されている。
熱型撮像素子の一例として、特許文献1に開示されている熱型撮像素子の構成を図7に示す。
図7(a)は熱型撮像素子3の断面を示し、図7(b)は別の断面を示している。また、図7(c)は、熱型撮像素子3の平面構成を模式的に示す図であり、図7(c)におけるIa−Ia’線による断面が図7(a)に相当する。また、図7(c)におけるIb−Ib’線による断面が図7(b)に相当する。
図7において、温度検知部20は、絶縁膜312により半導体基板311と分離されており、また、絶縁膜312は中空構造313となっている。また、317は、温度検知部20に電気的に接続された金属配線である。
またΔTiは、入射赤外線エネルギー量Ii、中空構造体の熱コンダクタンスGt、中空構造体の熱時定数Tt、フレーム時間Tfを用いて、ΔTi=Ii(1−exp(−Tf/Tt))/Gtで示される。つまり、中空構造体温度Txと撮像素子に入射する赤外線エネルギー量Iiには、図5に示すような比例関係が成り立つこととなる。
このことにより、シャッタ等の均一温度面を撮像することで取得したFPN(Fixed Pattern Noise:固定パターン雑音)データを素子出力データから減算する(以下、FPN補正処理と称す)等の処理のみでは、FPNデータ取得時と異なる温度の被写体を撮像した場合に、画面上に感度むらが現れ画質が悪化する。
よって、この感度むらを補正する処理(以下、感度補正処理と称す)を高精度に実施することが重要とされる。このことは、特許文献2にも示されるとおりである。
図中、1は光学系である。
2は開閉することで光学系1からの入射光量を制御するシャッタである。
3は光学系1の結像面に位置する撮像素子である。
20は、被写体の温度を検知する温度検知部である。温度検知部20は、ボロメータ、PN接合ダイオード等である。
4は撮像素子3を駆動する為の素子駆動回路である。
105は撮像素子3に印加する素子駆動クロックを生成する素子駆動タイミング発生回路である。
8は撮像素子3からのアナログ素子出力をデジタルデータに変換するA/Dコンバータである。
9はFPN補正データ格納用RAM(Random Access Memory)111や感度補正データ格納用ROM(Read Only Memory)112から補正データを読み出し画像補正を行う画像補正回路である。
10は画像補正回路9からのデジタルデータをアナログビデオに変換し出力するD/A変換回路である。
14は各構成物を収納する筐体である。
複数温度の被写体を撮像することにより感度特性を得る方法であることから、カメラがスタンドアロンにて感度補正データを取得する構成とすることが困難であり、カメラ製造時には感度特性取得試験が必須である。
また、素子温度等に依存し変化する感度特性を精度良く補正する為には、感度特性取得試験の試験時間増加、並びに素子温度モニタ用回路等の付加回路が必要である。
第1の通電期間の間前記温度検知部を通電し、前記第1の通電期間と異なる期間である第2の通電期間の間前記温度検知部を通電する通電部とを有することを特徴とする。
図1は、実施の形態1における赤外線カメラ装置のブロック図である。
図中、1は光学系である。
2は開閉することで光学系1からの入射光量を制御するシャッタである。
3は光学系1の結像面に位置する撮像素子である。
20は、被写体の温度を検知する温度検知部である。温度検知部20は、ボロメータ、PN接合ダイオード等である。
撮像素子3及び温度検知部20は、例えば、特許文献1に記載の構成でもよいし、他の構成でもよい。
4は撮像素子3を駆動する為の素子駆動回路である。
5は撮像用タイミング発生部6および感度データ取得用タイミング発生部7から構成され撮像素子3に印加する素子駆動クロックを生成する素子駆動タイミング発生回路である。
8は撮像素子3からのアナログ素子出力をデジタルデータに変換するA/Dコンバータである。
9はFPN補正データ格納用RAM11や感度補正データ格納用RAM12から補正データを読み出し画像補正を行う画像補正回路である。
13は素子駆動タイミング発生回路5内の撮像用タイミング発生部6および感度データ取得用タイミング発生部7の切替および感度補正データ算出処理を実施する感度補正データ制御回路である。
10は画像補正回路9からのデジタルデータをアナログビデオに変換し出力するD/A変換回路である。
14は各構成物を収納する筐体である。
なお、詳細は後述するが、素子駆動タイミング発生回路5及び素子駆動回路4は、異なる2つの期間(第1の通電期間、第2の通電期間)の間、複数の温度検知部20を通電する制御を行い、通電部の例である。
また、感度補正データ制御回路13は、温度検知部20ごとに、第1の通電期間の通電による温度検知部の発熱量と第2の通電期間の通電による温度検知部の発熱量とに基づいて、温度検知部の感度特性を補正する感度補正データを生成し、感度補正データ生成部の例である。
既に述べたように、中空構造体温度Txは、半導体基板温度Tb、撮像素子に入射する赤外線エネルギー寄与分ΔTi、中空構造体上に形成されたボロメータ・PN接合ダイオード等の温度検知部の自己発熱寄与分ΔTjを用いて、Tx=Tb+ΔTi+ΔTjで示されるが、本実施の形態では温度検知部の自己発熱寄与分であるΔTjを制御することに主眼を置いている。
まずΔTjは、通電により温度検知部に生じるジュール熱Ij、中空構造体の熱コンダクタンスGt、中空構造体の熱時定数Tt、温度検知部への通電期間Toを用いて、ΔTj=Ij(1−exp(−To/Tt))/Gtで示される。
一般に、通電期間Toは熱時定数Ttよりも十分小さく、To<<Ttの関係が成り立つことにより、ΔTjは中空構造体の熱容量Htを用いて、ΔTj≒Ij(To/Ht)で近似される。
つまり図2に示すように、通常の通電期間To付近において中空構造体温度Txと通電期間には、比例関係が成り立つこととなり、図5に示した入射赤外線エネルギーによる中空構造体温度変化と同様の効果が温度検知部の通電期間を変化することによって得られることが分かる。
次に、FPN補正データ取得時と同一温度面であるシャッタ2を、感度データ取得用タイミング発生部7にて生成した感度データ取得用タイミングにて撮像する。
ここで、感度データ取得用タイミングにおける各温度検知部20への通電期間Ta(第2の通電期間)は、撮像用タイミングにおける通電期間To(第1の通電期間)とは異なる期間(Ta≠To)である。
このように、同一の均一温度面を被写体としたまま異なる通電期間にて読み出すことにより、温度検知部20の自己発熱量の違いから中空構造体温度に差異が生じる。
これら中空構造体温度差によって生じる撮像素子出力電圧差からカメラ内デジタル処理により感度補正データ制御回路13において感度補正データを算出し、感度補正データ格納用RAM12に格納する。
これまでの説明より、温度検知部の通電期間を変化させることにより、同一温度面を用いて中空構造体に温度差を生じさせることが可能となることが分かる。
これにより、従来の赤外線カメラで必要とされていたカメラ製造時の感度特性取得試験を必要とせず、撮像中においてもカメラがスタンドアロンで感度特性を更新することで、素子温度等の周辺環境に依存し変化する感度特性にも柔軟に対応可能となるという効果が得られる。
図3は、実施の形態2における赤外線カメラ装置のブロック図である。
実施の形態2では、図1における感度データ取得用タイミング発生部7(通電期間Ta,Ta≠To)の代わりに、感度データ取得用タイミング1発生部15(通電期間Tb,Tb<To)、および感度データ取得用タイミング2発生部16(通電期間Tc,Tc>To)を設けることに違いがある。
図4は、通電期間To付近での中空構造体温度と通電期間の関係を示している。通電期間To付近において中空構造体温度と通電期間が比例の関係にあることは、既に述べた通りである。
そこで、まず、実施の形態1と同様にFPN補正データを取得しRAM11に格納する。
続いて、FPN補正データ取得時と同一温度面であるシャッタ2を、感度データ取得用タイミング1発生部15にて生成した感度データ取得用タイミング1および感度データ取得用タイミング2発生部16にて生成した感度データ取得用タイミング2にてそれぞれ撮像する。
ここで、感度データ取得用タイミング1、2における温度検知部への通電期間Tb及び通電期間Tcは、撮像用タイミングにおける通電期間Toと、Tb<To<Tcの関係を満たす期間とする。
このように、通電期間Toより短い期間Tb(短期第2の通電期間)及び長い期間Tc(長期第2の通電期間)にて読み出すことにより、通常期間読み出しにおける中空構造体温度Txoと比較して、低い中空構造体温度Txbおよび高い中構造体温度Txcが生じることとなる。
これら中空構造体温度差によって生じる撮像素子出力電圧差からカメラ内デジタル処理によって感度補正データ制御回路13において感度補正データを算出し、感度補正データ格納用RAM12に格納する。
実施の形態1では、撮像用タイミングである通電期間Toと、Toとは異なる通電期間Taでの読み出しにより生じる中空構造体温度差を元に感度データを算出した。
つまり、FPN補正データを取得したときの被写体であるシャッタ温度を基準として、シャッタよりも高温もしくは低温のいずれかの被写体撮像に関して偏った感度データであるとも言える。
それに対し実施の形態2においては、FPN補正データを取得したときの被写体であるシャッタ温度を基準として、シャッタよりも高温および低温のいずれの被写体撮像に関しても精度良く感度補正可能なデータを取得することができる。
Claims (4)
- 被写体の温度を検知する複数の温度検知部と、
第1の通電期間の間前記複数の温度検知部を通電し、前記第1の通電期間と異なる期間である第2の通電期間の間前記複数の温度検知部を通電する通電部と、
温度検知部ごとに、第1の通電期間の通電による温度検知部の発熱量と第2の通電期間の通電による温度検知部の発熱量とに基づいて、温度検知部の感度特性を補正する感度補正データを生成する感度補正データ生成部とを有することを特徴とする赤外線カメラ装置。 - 前記通電部は、
前記複数の温度検知部を前記第1の通電期間の間通電し、前記第2の通電期間として、前記第1の通電期間よりも短い期間である短期第2の通電期間の間前記複数の温度検知部を通電し、前記第1の通電期間よりも長い期間である長期第2の通電期間の間前記複数の温度検知部を通電し、
前記感度補正データ生成部は、
温度検知部ごとに、第1の通電期間の通電による温度検知部の発熱量と短期第2の通電期間の通電による温度検知部の発熱量と長期第2の通電期間の通電による温度検知部の発熱量とに基づいて、感度補正データを生成することを特徴とする請求項1に記載の赤外線カメラ装置。 - 前記通電部は、
前記複数の温度検知部が前記第1の通電期間と前記第2の通電期間で同一の均一温度面を被写体としている状況で、前記複数の温度検知部を前記第1の通電期間の間通電し、前記第2の通電期間の間通電することを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線カメラ装置。 - 前記通電部は、
FPN(Fixed Pattern Noise:固定パターン雑音)補正のためのFPN補正データを生成するために前記複数の温度検知部を通電させる期間を前記第1の通電期間とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の赤外線カメラ装置。
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