JP6434227B2 - 赤外線カメラ - Google Patents

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本発明は、2次元平面上に複数の赤外線検出素子を配列して構成される撮像部を備えた赤外線カメラに関する。
従来、ボロメータと称される熱型の非冷却赤外線検出素子によって前記撮像部を構成した赤外線カメラが提案されている(特許文献1)。この赤外線検出素子は、赤外線を吸収することによって抵抗値が変化するもので、電流を流すことにより、入射光量に応じた電圧値を出力する。撮像対象物を撮像、即ち、撮像対象物から放射される赤外線が赤外線検出素子に吸収されると、その入射エネルギーに応じた電圧値が出力され、予め取得した感度を基に、出力電圧値を較正することによって、撮像対象物の温度を算出することができる。
この赤外線検出素子の感度は、個体差を有することが知られており、従来、一般的には、2つの異なる既知の温度T1,T2の撮像対象物、例えば黒体炉(黒体を近似した装置)を撮像して、そのときに得られる各赤外線検出素子nの出力Vと、撮像対象物の温度Tとを基に、各赤外線検出素子nの感度を算出している。
より具体的に説明すると、前記出力Vと温度Tとの関係は、温度T1,T2のときの出力V1,V2との2点データから、感度係数a及びオフセット係数bを用いた1次関数である下式によって近似される。
=a×T+b
したがって、撮像対象物の温度Tは、下式によって算出することができる。
T=(V−b)/a=V/a−b/a=V×A+B
そして、従来の赤外線カメラでは、演算速度を高めるために、較正用の感度係数A(=1/a)、及びオフセット係数B(=−b/a)を予め算出して、データテーブルとしてメモリに保持しておき、上式に従って、各赤外線検出素子nの出力Vから撮像対象物の温度Tを算出し、算出した温度Tから温度成分を含む画像データ、例えば、温度データを輝度データに変換して得られる画像データを生成する。
また、前記赤外線検出素子は、その感度が、赤外線を吸収して自身温度上昇することにより変化するという特性を有する。このため、従来では、更に、各赤外線検出素子の温度に応じた前記較正感度係数A及び較正オフセット係数Bを予め取得して、データテーブルとして保持し、撮像時の赤外線検出素子温度に応じた前記較正感度係数A及び較正オフセット係数Bを用いて、前記画像データを生成するといったことが行われている。
特開2010−193194号公報
ところが、上記従来のように、各赤外線検出素子の全てについて、その温度に応じた前記較正感度係数A及び較正オフセット係数Bをデータテーブルとしてメモリに保持するようにすると、演算速度は速まるものの、メモリに大容量のものが必要となり、ハードウェアの構成が過大になる、即ち、回路部品の点数が増えてコストが上昇するとともに、データテーブルの演算に使用する画像の取得数も増加し、計測に時間を要するという問題があった。
例えば、赤外線カメラの使用環境温度を−20℃〜50℃として、各赤外線検出素子の温度を、−20℃〜50℃の範囲で、5℃刻みとした較正感度係数A及び較正オフセット係数Bを予め取得して、前記メモリ内に保持させる場合、較正感度係数A及び較正オフセット係数Bについて、それぞれ15×n個のデータが必要となる。また、ハードウエアの構成が過大になるという上述の問題に加えて、前作業(キャリブレーション処理)において、黒体炉の温度を5℃刻みで設定するという煩雑で、時間を要する作業が必要であり、その負荷が膨大になるという問題も生じる。
尚、前記較正オフセット係数Bについては、シャッタを備えた赤外線カメラの場合には、シャッタを閉じた状態で、各赤外線検出素子から出力される出力Vns及びシャッタの温度Tsから、下式によって較正オフセット係数Bを算出することができ、赤外線カメラによる撮像前に、このキャリブレーションを行うことによって較正オフセット係数Bを算出することができるため、赤外線検出素子の温度に応じた較正オフセット係数Bをメモリ内に保持する必要はないが、較正感度係数Aについては、依然として、各赤外線検出素子について、所定温度ごとのデータを予め取得して保持する必要があり、上記の問題は解消されない。
=−Vns×A+T
但し、Aは撮像時の赤外線検出素子温度に応じた較正感度係数である。
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであり、ハードウエアの構成をコンパクトにすることができるとともに、キャリブレーションの負荷を低減することができる赤外線カメラの提供を、その目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、
2次元平面上に配列された複数のn個の赤外線検出素子を備えた撮像部と、
撮像対象物から放射される赤外線を前記撮像部上に集光するレンズと、
前記赤外線検出素子からの出力Vを基に、前記撮像対象物の画像データを生成する画像データ生成部と、
前記各赤外線検出素子に関し、その出力Vと撮像対象物の温度Tとの相関を、感度係数a及びオフセット係数bを用いて、V=a×T+bと定義したときの感度係数aであって、前記各赤外線検出素子が予め設定した基準温度のときの基準感度係数anbを記憶した基準感度係数記憶部と、
前記赤外線検出素子の温度と、この温度における前記赤外線検出素子全体の平均感度係数aavとの相関情報を記憶した温度対平均感度情報記憶部と、
前記赤外線検出素子の温度を検出する素子温度検出センサと、
前記素子温度検出センサによって検出される素子温度、前記基準感度係数記憶部に格納された基準感度係数anb、及び前記温度対平均感度情報記憶部に格納された相関情報を基に、前記各赤外線検出素子からの出力Vを前記撮像対象物の温度Tに関する情報に変換するための較正感度係数Aを算出する較正感度係数算出部と、
前記較正感度係数算出部により算出された較正感度係数Aを記憶する較正感度係数記憶部と、
前記各赤外線検出素子からの出力Vを前記撮像対象物の温度Tに関する情報に変換するための較正オフセット係数Bを記憶する較正オフセット係数記憶部とを備えるとともに、
前記画像データ生成部は、前記各赤外線検出素子からの出力Vを、前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数A、及び較正オフセット係数記憶部に格納された較正オフセット係数Bを用い処理して、温度情報を含む画像データを生成するように構成された赤外線カメラに係る。
上記構成を備えた本発明の赤外線カメラによれば、前記基準感度係数記憶部には、予め、赤外線検出素子の温度が基準温度であるときの感度係数である基準感度係数anbが格納され、前記較正オフセット係数記憶部には、予め取得された較正オフセット係数Bが格納され、また、前記温度対平均感度情報記憶部には、赤外線検出素子の温度と、この温度における赤外線検出素子全体の平均感度係数aavとの相関情報が格納される。尚、前記基準温度は、適宜、任意に設定される温度であり、何ら制限があるものではない。
そして、この赤外線カメラを用いて、撮像対象物を撮像する際には、その前処理(キャリブレーション処理)として、まず、較正感度係数算出部により、前記素子温度検出センサによって検出される素子温度、前記基準感度係数記憶部に格納された基準感度係数anb、及び前記温度対平均感度情報記憶部に格納された、赤外線検出素子の温度と、この温度における赤外線検出素子全体の平均感度係数aavとの相関情報を基に、当該素子温度に対応した較正感度係数Aが算出され、算出された較正感度係数Aが較正感度係数記憶部に格納される。
温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報は、赤外線検出素子の温度と、この温度における赤外線検出素子全体の平均感度係数aavとの相関情報であり、この相関情報と、素子温度検出センサによって検出される素子温度とから、当該素子温度における赤外線検出素子全体の平均感度係数aavを決定することができる。
そして、本発明者らの知見によれば、素子温度によって変動する感度係数aと平均感度係数aavとは、同じ比率で変動する、より具体的に言えば、素子温度がt1のときの感度係数an,t1及び平均感度係数aav,t1と、素子温度がt2のときの感度係数an,t2及び平均感度係数aav,t2との比率は同じ比率K、即ち、an,t1/an,t2=K、aav,t1/aav,t2=Kとなることが分かっている。
したがって、上記基準感度係数anbから、その平均値である基準平均感度係数aavbを算出し、算出した基準平均感度係数aavbと、上記のようにして決定された平均感度係数aavとの比(=aav/aavb)を前記基準感度係数anbに乗じることによって、当該素子温度における各赤外線検出素子の感度係数aを算出することができる。斯くして、前記較正感度係数算出部は、このようにして当該素子温度における各赤外線検出素子の感度係数aを算出するとともに、算出した感度係数aを基に、当該素子温度に対応した較正感度係数Aを算出し、算出した較正感度係数Aを較正感度係数記憶部に格納する。
ついで、この赤外線カメラを用いて撮像対象物が撮像される、即ち、各赤外線検出素子からの出力Vが画像データ生成部に取り込まれると、当該画像データ生成部は、取り込んだ出力Vを、前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数A、及び較正オフセット係数記憶部に格納された較正オフセット係数Bを用い処理して、温度情報を含む画像データを生成する。
以上のように、本発明に係る赤外線カメラによれば、赤外線検出素子数に応じた基準感度係数anbを基準感度係数記憶部に格納し、同様に赤外線検出素子数に応じた較正オフセット係数Bを較正オフセット係数記憶部に格納するとともに、赤外線検出素子の温度と、平均感度係数aavとの相関情報を温度対平均感度情報記憶部に格納することで、素子温度に応じた高精度な画像データを得ることができる。
したがって、従来のような膨大なキャリブレーションデータを保持する必要がなく、そのハードウェア構成をコンパクトにすることができるとともに、キャリブレーションデータを取得するための負荷を軽減することができる。
本発明において、前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報は、素子温度と、当該素子温度のときの平均感度係数aavとを対応付けたデータであることができる。この場合、少なくとも、2つの素子温度に対応した平均感度係数aavを温度対平均感度情報記憶部に格納する必要があるが、必ずしも、上述した5℃毎の素子温度に対応した平均感度係数aavを格納する必要はない。
尚、この場合、前記較正感度係数算出部は、素子温度検出センサによって検出された素子温度に対応する平均感度係数aavが存在する場合には、その平均感度係数aavを用いてその後の処理を行い、対応する平均感度係数aavが存在しない場合には、補間処理等によって、当該素子温度に対応した平均感度係数aavを算出する。
或いは、本発明において、前記温度対平均感度情報記憶部に格納さる相関情報は、素子温度と、当該素子温度のときの平均感度係数aavとの関係を表す関係式であることができる。この場合、素子温度検出センサによって検出された素子温度を基に、格納された関係式から、当該素子温度に対応する平均感度係数aavが算出される。
また、本発明において、前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報が上記平均感度係数aavに係る情報である場合、前記較正感度係数算出部は、素子温度検出センサから得られる素子温度データを基に、前記温度対平均感度情報記憶部に格納されたデータから、当該素子温度に対応する平均感度係数aavを決定するとともに、決定した平均感度係数aav、前記基準感度係数記憶部に格納された基準感度係数anb、及びこの基準感度係数anbの平均値である基準平均感度係数aavbを基に、下記数式1に従って較正感度係数Aを算出するように構成され、
前記画像データ生成部は、前記各赤外線検出素子からの出力Vを基に、前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数A、及び較正オフセット係数記憶部に格納された較正オフセット係数Bを用いて、下記数式2に従って画像データPを生成するように構成された態様をとることができる。
(数式1)
=1/(anb×(aav/aavb))
(数式2)
=A×V+B
また、本発明において、前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報は、ある素子温度のときの平均感度係数aavと前記基準平均感度係数aavbとの比である平均感度比率a(=aav/aavb)と、当該素子温度とを対応付けたデータであることができる。温度対平均感度情報記憶部に、平均感度比率a(=aav/aavb)と、当該素子温度とを対応付けて格納することで、前記較正感度係数算出部は、予め算出された平均感度比率aを用いて、較正感度係数Aを算出することがき、その演算速度を高めることができる。
尚、この場合においても、少なくとも、2つの素子温度に対応した平均感度比率aを温度対平均感度情報記憶部に格納する必要があるが、必ずしも、上述した5℃毎の素子温度に対応した平均感度係数aavを格納する必要はない。前記較正感度係数算出部は、素子温度検出センサによって検出された素子温度に対応する平均感度比率aが存在する場合には、その平均感度比率aを用いて較正感度係数Aを算出する処理を行い、対応する平均感度比率aが存在しない場合には、補間処理等によって、当該素子温度に対応した平均感度比率aを算出して、較正感度係数Aを算出する処理を行う。
また、本発明において、前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報は、ある素子温度のときの平均感度係数aavと前記基準平均感度係数aavbとの比である平均感度比率a(=aav/aavb)と、該素子温度との関係を表す関係式であることができる。この場合、素子温度検出センサによって検出された素子温度を基に、格納された関係式から、当該素子温度に対応する平均感度比率aが算出される。
また、本発明において、前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報が、平均感度比率aに関する情報である場合、前記較正感度係数算出部は、素子温度検出センサから得られる素子温度データを基に、前記温度対平均感度情報記憶部に格納されたデータから、該素子温度に対応する平均感度比率aを決定するとともに、決定した平均感度比率a、及び前記基準感度係数記憶部に格納された基準感度係数anbを基に、下記数式3に従って較正感度係数Aを算出するように構成され、
前記画像データ生成部は、前記各赤外線検出素子からの出力Vを基に、前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数A、及び構成オフセット係数記憶部に格納された較正オフセット係数Bを用いて、下記数式4に従って画像データPを生成するように構成された態様をとることができる。
(数式3)
=1/(anb×a
(数式4)
=A×V+B
本発明において、前記較正オフセット係数記憶部に格納される較正オフセット係数B
の取得方法には、様々な態様が考えられるが、例えば、赤外線検出素子が基準温度であり、黒体炉の温度がT1であるときの、各赤外線検出素子nからの出力Vから、次式によって較正オフセット係数Bを算出することができる。
=−V/anb+T1
尚、較正オフセット係数Bも赤外線検出素子の温度に依存する係数であるが、赤外線カメラの使用温度が前記基準温度付近である場合には、測定される撮像対象物の温度の誤差は僅かであるため、十分に使用可能である。
一方、撮像時の素子温度に応じた正確な較正オフセット係数Bを得るためには、本発明における赤外線カメラは、以下の構成を更に備えているのが好ましい。
即ち、当該赤外線カメラは、
前記レンズと撮像部との間、又は前記レンズの前側に配設され、前記レンズを透過して前記撮像部に集光される赤外線の光路を開閉するシャッタと、
前記シャッタの温度を検出するシャッタ温度センサと、
前記シャッタを閉じた状態で、前記各赤外線検出素子から得られる出力Vns、前記シャッタ温度センサから得られるシャッタ温度T、及び前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数Aを基に、下記数式5に従って前記較正オフセット係数Bを算出する較正オフセット係数算出部とを更に備え、
前記較正オフセット係数記憶部には、前記較正オフセット係数算出部によって算出された較正オフセット係数Bが格納されるように構成される。
(数式5)
=−A×Vns+T
この構成を備えた赤外線カメラによれば、撮像対象物を撮像する前のキャリブレーション処理として、較正オフセット係数算出部により、前記シャッタを閉じた状態で、前記各赤外線検出素子から得られる出力V、前記シャッタ温度センサから得られるシャッタ温度、及び前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数Aを基に、上記数式5に従って前記較正オフセット係数Bが算出されて、算出された較正オフセット係数Bが前記較正オフセット係数記憶部に格納される。したがって、この構成によれば、撮像時の素子温度に応じた正確な較正オフセット係数Bを得ることができ、ひいては、正確な画像データを得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、赤外線検出素子数に応じた基準感度係数anbを基準感度係数記憶部に格納し、同様に赤外線検出素子数に応じた較正オフセット係数Bを較正オフセット係数記憶部に格納するとともに、赤外線検出素子の温度と、平均感度係数aavとの相関情報を温度対平均感度情報記憶部に格納することで、素子温度に応じた高精度な画像データを得ることができる。
したがって、従来のような膨大なキャリブレーションデータを保持する必要がなく、そのハードウェア構成をコンパクトにすることができるとともに、キャリブレーションデータを取得するための負荷を軽減することができる。
本発明の第1の実施形態に係る赤外線カメラの概略構成を示したブロック図である。 第1の実施形態における事前キャリブレーション処理、及び撮像時キャリブレーション処理を説明するための説明図である。 第1の実施形態における事前キャリブレーション処理を説明するための説明図である。 第1の実施形態における事前キャリブレーション処理を説明するための説明図である。 第1の実施形態における事前キャリブレーション処理を説明するための説明図である。 第1の実施形態の赤外線カメラを用い、素子温度が0℃のときに、30℃の黒体炉を撮像した輝度画像である。 第1の実施形態の赤外線カメラを用い、素子温度が25℃のときに、30℃の黒体炉を撮像した輝度画像である。 第1の実施形態の赤外線カメラを用い、素子温度が50℃のときに、30℃の黒体炉を撮像した輝度画像である。 本発明の第2の実施形態に係る赤外線カメラの概略構成を示したブロック図である。
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る赤外線カメラの概略構成を示したブロック図である。同図1に示すように、本例の赤外線カメラ1は、筐体2と、この筐体2内に配設されるレンズ3、シャッタ4、シャッタ温度センサ5、撮像部6、素子温度検出センサ7及びデータ処理部8からなる。
前記レンズ3は、前記筐体2の開口部に、当該開口部を閉塞するように配設され、撮像対象物から放射される赤外線を、適宜間隔をあけて後方に並設される前記撮像部6に集光する。また、前記シャッタ4は、レンズ3と撮像部6との間に配設され、図示しない駆動部により駆動されて、レンズ3を透過して撮像部6に集光される赤外線の光路を開閉する動作を行う。
前記撮像部6は、2次元平面上に復行復列に配列された複数の赤外線検出素子6aを備えている。赤外線検出素子6aは、ボロメータと称される熱型の非冷却素子で、各赤外線検出素子6aは、入射光量に応じた電圧値を出力して、前記データ処理部8に入力する。
前記シャッタ4には、シャッタ温度センサ5が付設され、このシャッタ温度センサ5からシャッタ4の温度がデータ処理部8に入力される。また、撮像部6にも素子温度検出センサ7が付設されており、この素子温度検出センサ7から赤外線検出素子6aの温度に係るデータがデータ処理部8に入力される。
前記データ処理部8は、A/D変換器9,10,11、較正感度係数算出部13、温度対平均感度情報記憶部14、基準感度係数記憶部15、較正感度係数記憶部16、画像データ生成部17、較正オフセット係数算出部18、較正オフセット係数記憶部19、D/A変換器20及び入出力インターフェース21からなる。
前記A/D変換器9は、前記素子温度検出センサ7から出力される、前記赤外線検出素子6aの温度に係るデータを入力してA/D変換し、変換後の素子温度データを前記較正感度係数算出部13に入力する処理を行い、同様に、前記A/D変換器11は、前記シャッタ温度センサ5から出力される、前記シャッタ4の温度に係るデータを入力してA/D変換し、変換後のシャッタ温度データを前記較正オフセット係数算出部18に入力する処理を行う。また、前記A/D変換器10は、各赤外線検出素子6aからの出力をA/D変換して、変換後のデータを、切換スイッチ12を介して択一的に接続される、画像データ生成部17,較正オフセット係数算出部18又は入出力インターフェース21に送信する。
前記基準感度係数記憶部15は、前記赤外線検出素子6aの温度が基準温度であるときの感度係数である基準感度係数anbを記憶する機能部であり、基準感度係数anbは図示しない外部の演算装置によって算出され、入出力インターフェース21を介して当該基準感度係数記憶部15に格納される。
また、前記温度対平均感度係数記憶部14は、前記赤外線検出素子6aの温度と、この温度における前記赤外線検出素子6a全体の平均感度係数aavとの相関情報を記憶する機能部であり、この相関情報も前記外部演算装置によって算出され、前記入出力インターフェース21を介して当該温度対平均感度係数記憶部14に格納される。
ここで、前記外部演算装置を用いて、前記基準感度係数anb及び前記相関情報を算出する、事前キャリブレーション処理について説明する。
まず、前記切換スイッチ12により、前記A/D変換器10と入出力インターフェース21とを接続した状態の赤外線カメラ1を、撮像窓を備えた適宜恒温槽に収納する。恒温槽の温度は、赤外線検出素子6aの温度(以下、単に素子温度という)を予め定めた温度にするために適宜設定される。本例では、素子温度を10℃、20℃、30℃の各温度に設定するものとし、最初に、恒温槽の温度を10℃に設定する。
次に、温度T1[℃]に設定された黒体炉を撮像部6により撮像、即ち、各赤外線検出素子6aからの出力Vを、前記入出力インターフェース21を介して前記外部演算装置に取り込む。同様にして、温度T2[℃]に設定された黒体炉を撮像部6により撮像し、各赤外線検出素子6aからの出力Vを、入出力インターフェース21を介して外部演算装置に取り込む。以後、同様にして、恒温槽の温度を20℃に設定した後、温度T1[℃]に設定された黒体炉と、温度T2[℃]に設定された黒体炉とを撮像して、各赤外線検出素子6aからの出力Vをそれぞれ外部演算装置に取り込み、ついで、恒温槽の温度を30℃に設定した後、温度T1[℃]に設定された黒体炉と、温度T2[℃]に設定された黒体炉とを撮像して、各赤外線検出素子6aからの出力Vをそれぞれ外部演算装置に取り込む。以上のようにして、外部演算装置は、素子温度が10℃、20℃、30℃である場合のそれぞれについて、黒体炉の温度がT1[℃]のときの出力Vn,T1と、T2[℃]のときの出力Vn,T2との2点データを取得する。
この2点データから得られる各赤外線検出素子6aの出力Vと、黒体炉(撮像対象物)の温度Tとの相関は、V=a×T+bで表わされる一次直線で近似される。但し、aは感度係数、bはオフセット係数bである。図3には、素子1〜3についての各近似直線を例示するとともに、全素子の平均に係る近似直線を例示している。また、関係式V1,t1=a1,t1×T+b1,t1は、素子温度t1のときの素子1についての近似式であり、式V2,t1=a2,t1×T+b2,t1は、素子温度t1のときの素子2についての近似式であり、式V3,t1=a3,t1×T+b3,t1は、素子温度t1のときの素子3についての近似式であり、式Vav,t1=aav,t1×T+bav,t1は、素子温度t1のときの全素子の平均に係る近似式である。
そして、前記感度係数aは、次式によって算出することができる。
=(Vn,T2−Vn,T1)/(T2−T1)
前記外部演算装置は、この式に従って、素子温度が10℃、20℃、30℃であるときの各赤外線検出素子6aに係る感度係数aをそれぞれ算出する。
また、前記外部演算装置は、次式に従って、素子温度が10℃、20℃、30℃であるときの各赤外線検出素子6aに係る平均感度係数aavをそれぞれ算出する。
av=(a+a+a+・・・+an−1+a)/n
図2は、便宜上、赤外線検出素子6aの数(素子数)nを5個として、素子温度が10℃、20℃及び30℃のときに、T1[℃]及びT2[℃]の黒体炉を撮像した際に得られる各赤外線検出素子6aの出力Vn,T1及び出力Vn,T2、各赤外線検出素子6aの感度係数a、並びにその平均感度係数aav等を例示した図である。そして、この例では、20℃を赤外線検出素子6aの基準温度として、前記外部演算装置は、算出した基準感度係数anbを、前記入出力インタフェース21を介して、前記基準感度係数記憶部15に格納する。尚、上述したように、この基準温度は適宜設定される任意の温度であり、何ら限定されるものではない。
前記外部演算装置は、更に、上記のようにして取得したデータを基に、赤外線検出素子6aの温度と、この温度における赤外線検出素子6a全体の平均感度係数aavとの相関情報を算出する。この相関情報は、ある素子温度t[℃]における当該赤外線検出素子6aの感度係数aを算出するためのものであり、本例では、前記外部演算装置は、素子温度t[℃]と平均感度比率aとの関係式を上記相関情報として算出し、前記入出力インターフェース21を介して、前記温度対平均感度係数記憶部14に格納する。
前記平均感度比率aは、ある素子温度t[℃]のときの平均感度係数aavと、基準温度のときの平均感度係数aavである基準平均感度係数aavbとの比、即ち、a=aav/aavbである。図2には、基準温度を20℃としたときの平均感度比率aを示している。そして、前記外部演算装置は、得られた素子温度t[℃]と平均感度比率aに係るデータから、これらの相関関係式を算出する。例えば、本例のように、素子温度t[℃]と平均感度比率aとのデータが3つ得られる場合には、最小二乗法等によって、2次式に近似する。図5には、図2に示した例の素子温度t[℃]と平均感度比率aとの関係、及びその関係式を示している。
尚、本例では、素子温度を10℃、20℃、30℃の3つの温度に設定したが、2以上の温度を設定すれば、上述した基準感度係数、及び当該関係式を得ることができる。2つの温度に設定する場合、当該関係式は、1次式として近似することができる。
上述したように、素子温度t[℃]と平均感度比率aとの関係式は、ある素子温度t[℃]における赤外線検出素子6aの感度係数aを算出するためのものであるが、当該関係式から、素子温度t[℃]における各赤外線検出素子6aの感度係数aを算出し得る点については、本発明者等の独自の知見に基づくものである。即ち、本発明者等は、素子温度t[℃]と各赤外線検出素子6aの感度係数aとの関係を鋭意研究した結果、素子温度t[℃]によって変動する各赤外線検出素子6aの感度係数aと、その平均値である平均感度係数aavとは、同じ比率で変動することを知見するに至ったのである。
例えば、図4には、素子温度がt2[℃]である点を除いて、図3に示した例と同じ条件で前記黒体炉を撮像したときの、赤外線検出素子6aの出力Vn,t2と黒体炉(撮像対象物)の温度Tとの関係を示しており、式V1,t2=a1,t2×T+b1,t2は、素子温度t2のときの素子1についての近似式であり、式V2,t2=a2,t2×T+b2,t2は、素子温度t2のときの素子2についての近似式であり、式V3,t2=a3,t2×T+b3,t2は、素子温度t2のときの素子3についての近似式であり、式Vav,t2=aav,t2×T+bav,t2は、素子温度t2のときの全素子の平均に係る近似式である。そして、図3に示した平均感度係数aav,t1と図4に示した平均感度係数aav,t2との比がK、即ち、
av,t1/aav,t2=K
であるとすると、
1,t1/a1,t2=K
2,t1/a2,t2=K
3,t1/a3,t2=K
となるのである。
したがって、ある素子温度t[℃]における各赤外線検出素子6aの感度係数aは、素子温度t[℃]と平均感度比率aとの関係式から得られる、その素子温度t[℃]に対応する平均感度比率aに、基準感度係数anbを乗じたものとなる。即ち、感度係数aは、次式によって算出することができる。
=a×anb
本例では、以上の背景と、詳しくは後述する前記較正感度係数算出部13における演算速度を高めるために、前記外部演算装置により、素子温度t[℃]と平均感度比率aとの関係式を求めて、得られた関係式を前記入出力インターフェース21を介して、前記温度対平均感度情報記憶部14に格納するようにしている。
前記較正感度係数算出部13は、前記撮像部6による撮像直前のキャリブレーション処理(撮像時キャリブレーション処理)として、前記温度対平均感度情報記憶部14に格納されたデータ及び前記基準感度係数記憶部15に格納された基準感度係数anbに係るデータを基に、較正感度係数Aを算出して較正感度係数記憶部16に格納する処理を行う。
上述したように、各赤外線検出素子6aからの出力Vは、当該赤外線検出素子6aに対応する部位の撮像対象物の温度をTとすると、次式によって表すことができ、
=a×T+b
逆に、撮像対象物の温度Tは、各赤外線検出素子6aからの出力Vを用いて、次式によって表すことができる。
=(V−b)/a=V/a−b/a=A×V+B
但し、較正感度係数A=1/a、Bは後述する較正オフセット係数である。
前記較正感度係数算出部13は、まず、A/D変換器9を介して、前記素子温度検出センサ7から、撮像前の各赤外線検出素子6aの素子温度t[℃]を取得し、その素子温度t[℃]と、前記温度対平均感度情報記憶部14に格納された、素子温度t[℃]と平均感度比率aとの関係式から、当該素子温度t[℃]における平均感度比率aを算出する。そして、算出された平均感度比率aを、前記基準感度係数記憶部15に格納された基準感度係数anbに乗じることによって、当該素子温度t[℃]における感度係数a(=anb×a)を算出し、ついで、算出した感度係数aの逆数をとることによって較正感度係数Aを算出して、算出した較正感度係数Aを較正感度係数記憶部16に格納する。
較正オフセット係数算出部18は、前記シャッタ4が閉じられ、前記スイッチ12により前記A/D変換器10に接続された状態で、各赤外線検出素子6aから出力される出力Vnsを基に、前記較正オフセット係数Bを算出し、算出した較正オフセット係数Bを較正オフセット係数記憶部19に格納する処理を行う。
上式を参照して、前記較正オフセット係数Bは下式によって算出することができる。
=−A×V+T
較正オフセット係数算出部18は、前記A/D変換器11を介して、前記シャッタ温度センサ5から、前記シャッタ4の温度T(一様な温度)を取得するとともに、前記較正感度係数記憶部16に格納された較正感度係数Aを読み出し、前記シャッタ4の温度T、較正感度係数A、及び各赤外線検出素子6aから出力される出力Vnsを基に、下式によって較正オフセット係数Bを算出する。
=−A×Vns+T
そして、較正オフセット係数算出部18は、このようにして算出した較正オフセット係数Bを較正オフセット係数記憶部19に格納する。
前記画像データ生成部17は、前記切換スイッチ12によって前記A/D変換器10に接続された状態で、当該A/D変換器10を介し、前記各赤外線検出素子6aからその出力Vを入力して、前記較正感度係数記憶部16に格納された較正感度係数A、及び較正オフセット係数記憶部19に格納された較正オフセット係数Bを基に、下式に従って、画像データPを生成する。尚、画像データPは輝度データであるが、本例では、温度データTをそのまま輝度データPとするものとする。
=T=A×V+B
そして、画像データ生成部17は、算出した画像データPを、D/A変換器20によりアナログのビデオデータに変換して、前記入出力インターフェース21を介して外部に出力する。
以上の構成を備えた本例の赤外線カメラ1によれば、まず、前記外部演算装置を用いた事前キャリブレーション処理により、前記基準感度係数anb、及び素子温度t[℃]と平均感度比率aとの関係式を算出して、算出した基準感度係数anbを、前記入出力インターフェース21を介して前記基準感度係数記憶部15に格納するとともに、素子温度t[℃]と平均感度比率aとの関係式に係るデータを、同じく前記入出力インターフェース21を介して前記温度対平均感度情報記憶部14に格納する。
そして、前記基準感度係数記憶部15及び前記温度対平均感度情報記憶部14にそれぞれデータが格納されると、次に、較正感度係数算出部13により、前記A/D変換器6を介して前記素子温度検出センサ7から入力される素子温度t[℃]、前記基準感度係数記憶部15に格納された基準感度係数、及び前記温度対平均感度情報記憶部14に格納された関係式を基に、較正感度係数Aが算出されて前記較正感度係数記憶部16に格納される。
次に、前記シャッタ4を閉じた状態で、前記切換スイッチ12により、前記A/D変換器10と較正オフセット係数算出部18とを接続させると、較正オフセット係数算出部18により、前記A/D変換器11を介し前記シャッタ温度センサ5から得られるシャッタ4の温度T、前記較正感度係数記憶部16に格納された較正感度係数A、各赤外線検出素子6aから出力される出力Vnsを基に、較正オフセット係数Bが算出され、算出された較正オフセット係数Bが前記較正オフセット係数記憶部19に格納される。
以上の撮像時キャリブレーション処理を終えると、次に、当該赤外線カメラ1を用いて、撮像対象物を撮像する。即ち、前記シャッタ4を開いた状態で、前記切換スイッチ12により、前記A/D変換器10と画像データ生成部17とを接続した状態にすると、前記赤外線検出素子6aからの出力Vが、A/D変換器10を介して画像データ生成部17に取り込まれ、当該画像データ生成部17により、出力V、前記較正感度係数記憶部16に格納された較正感度係数A、及び較正オフセット係数記憶部19に格納された較正オフセット係数Bを基に、温度情報を含む画像データが生成され、生成された画像データがD/A変換器20によりアナログのビデオデータに変換されて、入出力インターフェース21を介し外部に出力される。
斯くして、本例の赤外線カメラ1によれば、赤外線検出素子6aの数に応じた基準感度係数anbを基準感度係数記憶部15に格納し、同様に赤外線検出素子6aの数に応じた較正オフセット係数Bを較正オフセット係数記憶部に格納するとともに、赤外線検出素子6aの温度と、平均感度比率aとの関係式を温度対平均感度情報記憶部14に格納することで、素子温度t[℃]に応じた高精度な画像データを得ることができる。
したがって、従来のような膨大なキャリブレーションデータを保持する必要がなく、そのハードウェア構成をコンパクトにすることができるとともに、キャリブレーションデータを取得するための負荷を軽減することができる。
因みに、上述の赤外線カメラ1を用い、素子温度が0℃のときに、30℃の黒体炉を撮像した輝度画像を図6に示し、素子温度が25℃のときに、30℃の黒体炉を撮像した輝度画像を図7に示し、素子温度が50℃のときに、30℃の黒体炉を撮像した輝度画像を図8に示す。図6〜図8から分かるように、各輝度画像は、その全面において一様な輝度を示しており、本例の赤外線カメラ1によれば、その各赤外線検出素子6aの出力Vを高精度に較正できていることが分かる。尚、図6及び図7における黒点、及び図8における白点は、赤外線検出素子6aの損傷によって生じたものであって、画像データとしては、これを無視しなければならないものである。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る赤外線カメラについて説明する。図9は、第2の実施形態に係る赤外線カメラ1’の概略構成を示したブロック図である。同図9に示すように、本例の赤外線カメラ1’は、第1の実施形態に係る赤外線カメラ1のシャッタ4、シャッタ温度センサ5、A/D変換器11、較正オフセット係数算出部18を省略するとともに、前記較正オフセット係数Bを、予め、前記事前キャリブレーション処理時に、前記外部演算装置で算出し、算出した較正オフセット係数Bを、前記入出力インターフェース21を介して前記較正オフセット係数記憶部19に格納するように構成したものである。
事前キャリブレーション処理時における較正オフセット係数Bの算出は、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、各素子温度10℃、20℃、30℃における、温度T1[℃]の黒体炉を撮像したときのVn,T1を用いて、次式により、その素子温度における較正オフセット係数Bを算出し、ついで、想定される撮像時の素子温度t[℃]を基に、補間処理等によって、当該撮像時の素子温度t[℃]に応じた較正オフセット係数Bを算出する。
=−A×Vn,T1+T1
この例は、上述の第1の実施形態におけるシャッタ4の温度Tを、黒体炉の温度T1に見立てたものに相当する。したがって、当然のことながら、温度T2[℃]の黒体炉を撮像したときのVn,T2を用いて、較正オフセット係数Bを算出することもできる。この場合は、次式による。
=−A×Vn,T2+T2
本例の赤外線カメラ1’によれば、想定した素子温度t[℃]が実際の温度と異なるときには、生成される画像データの精度が若干劣るものとなるが、シャッタ4及びシャッタ温度センサ5が不要となるため、装置構成をよりコンパクトにすることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る赤外線カメラについて説明する。本例の赤外線カメラは、上述した第1の実施形態に係る赤外線カメラ1及び第2の実施形態に係る赤外線カメラ1’と、前記温度対平均感度情報記憶部14に格納されるデータが異なる点、及び較正感度係数算出部13における算出処理が異なる点で相違する。
本例の温度対平均感度情報記憶部14には、前記外部演算装置を用いて算出される、素子温度t[℃]と、そのときの平均感度係数aavとの関係式に係るデータが格納される。そして、較正感度係数算出部13は、前記A/D変換器9を介し前記素子温度検出センサ7から取得される素子温度t[℃]、及び温度対平均感度情報記憶部14に格納された関係式から、まず、当該素子温度t[℃]における赤外線検出素子6aの平均感度係数aavを算出するとともに、前記基準感度係数記憶部15に格納された基準感度係数anbから基準平均感度係数aavbを算出した後、更に、これらから平均感度比率a(=aav/aavb)を算出する。そして、算出した平均感度比率aを、前記基準感度係数記憶部15に格納された基準感度係数anbに乗じることによって、当該素子温度t[℃]における各赤外線検出素子6aの平均感度係数aを算出し、ついで、その逆数をとることによって較正感度係数Aを算出して、前記較正感度係数記憶部16に格納する。
このようにしても、較正感度係数算出部13における演算負荷は増すものの、上述した第1及び第2の実施形態に係るデータ量と同じデータ量によって、画像データを生成することができる。
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何らこれに限定されるものではない。
例えば、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、前記温度対平均感度情報記憶部14には、素子温度t[℃]と平均感度係数aavに関わる関係式を格納するようにしたが、これに限られるものではなく、素子温度t[℃]の実数値と平均感度比率a又は平均感度係数aavの実数値とを相互に関連付けて、これらを複数組格納するようにしても良い。この場合、前記較正感度係数算出部13は、素子温度検出センサ7によって検出された素子温度t[℃]に対応する平均感度比率a又は平均感度係数aavが存在する場合には、その平均感度比率a又は平均感度係数aavを用いて較正感度係数Aを算出する処理を行い、対応する平均感度比率a又は平均感度係数aavが存在しない場合には、補間処理等によって、当該素子温度t[℃]に対応した平均感度比率a又は平均感度係数aavを算出して、較正感度係数Aを算出する処理を行うと良い。
このようにしても、従来に比べて、キャリブレーション用のデータをかなり削減することができ、上述した効果が得られる。
また、上記第1〜第3の実施形態では、シャッタ4を、レンズ3と撮像部6との間に配設した構成としたが、これに限られるものではなく、シャッタ4の配設位置は、撮像部6に集光される赤外線の光路を開閉できる位置であればよく、例えば、シャッタ4をレンズ3の前側に配設しても良い。
1 赤外線カメラ
3 レンズ
4 シャッタ
5 シャッタ温度センサ
6 撮像部
6a 赤外線検出素子
素子温度検出センサ
8 データ処理部
13 較正感度係数算出部
14 温度対平均感度情報記憶部
15 基準感度係数記憶部
16 較正感度係数記憶部
17 画像データ生成部
18 較正オフセット係数算出部
19 較正オフセット係数記憶部

Claims (8)

  1. 2次元平面上に配列された複数のn個の赤外線検出素子を備えた撮像部と、
    撮像対象物から放射される赤外線を前記撮像部上に集光するレンズと、
    前記赤外線検出素子からの出力Vを基に、前記撮像対象物の画像データを生成する画像データ生成部と、
    前記各赤外線検出素子に関し、その出力Vと撮像対象物の温度Tとの相関を、感度係数a及びオフセット係数bを用いて、V=a×T+bと定義したときの感度係数aであって、前記各赤外線検出素子が予め設定した基準温度のときの基準感度係数anbを記憶した基準感度係数記憶部と、
    前記赤外線検出素子の温度と、この温度における前記赤外線検出素子全体の平均感度係数aavとの相関情報を記憶した温度対平均感度情報記憶部と、
    前記赤外線検出素子の温度を検出する素子温度検出センサと、
    前記素子温度検出センサによって検出される素子温度、前記基準感度係数記憶部に格納された基準感度係数anb、及び前記温度対平均感度情報記憶部に格納された相関情報を基に、前記各赤外線検出素子からの出力Vを前記撮像対象物の温度Tに関する情報に変換するための較正感度係数Aを算出する較正感度係数算出部と、
    前記較正感度係数算出部により算出された較正感度係数Aを記憶する較正感度係数記憶部と、
    前記各赤外線検出素子からの出力Vを前記撮像対象物の温度Tに関する情報に変換するための較正オフセット係数Bを記憶する較正オフセット係数記憶部とを備えるとともに、
    前記画像データ生成部は、前記各赤外線検出素子からの出力Vを、前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数A、及び較正オフセット係数記憶部に格納された較正オフセット係数Bを用い処理して、温度情報を含む画像データを生成するように構成されていることを特徴とする赤外線カメラ。
  2. 前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報は、前記素子温度と、該素子温度のときの前記平均感度係数aavとを対応付けたデータであることを特徴とする請求項1記載の赤外線カメラ。
  3. 前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報は、前記素子温度と、該素子温度のときの平均感度係数aavとの関係を表す関係式であることを特徴とする請求項1記載の赤外線カメラ。
  4. 前記較正感度係数算出部は、素子温度検出センサから得られる前記素子温度に係るデータを基に、前記温度対平均感度情報記憶部に格納されたデータから、該素子温度に対応する平均感度係数aavを決定するとともに、決定した平均感度係数aav、前記基準感度係数記憶部に格納された基準感度係数anb、及びこの基準感度係数anbの平均値である基準平均感度係数aavbを基に、下記数式1に従って較正感度係数Aを算出するように構成され、
    前記画像データ生成部は、前記各赤外線検出素子からの出力Vを基に、前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数A、及び較正オフセット係数記憶部に格納された較正オフセット係数Bを用いて、下記数式2に従って画像データPを生成するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の赤外線カメラ。
    (数式1)
    =1/(anb×(aav/aavb))
    (数式2)
    =A×V+B
  5. 前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報は、ある素子温度のときの平均感度係数aavと前記基準感度係数a nb の平均値である基準平均感度係数aavbとの比である平均感度比率a(=aav/aavb)と、該素子温度とを対応付けたデータであることを特徴とする請求項1記載の赤外線カメラ。
  6. 前記温度対平均感度情報記憶部に格納される相関情報は、ある素子温度のときの平均感度係数aavと前記基準感度係数a nb の平均値である基準平均感度係数aavbとの比である平均感度比率a(=aav/aavb)と、該素子温度との関係を表す関係式であることを特徴とする請求項1記載の赤外線カメラ。
  7. 前記較正感度係数算出部は、素子温度検出センサから得られる素子温度に係るデータを基に、前記温度対平均感度情報記憶部に格納されたデータから、該素子温度に対応する平均感度比率aを決定するとともに、決定した平均感度比率a、及び前記基準感度係数記憶部に格納された基準感度係数anbを基に、下記数式3に従って較正感度係数Aを算出するように構成され、
    前記画像データ生成部は、前記各赤外線検出素子からの出力Vを基に、前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数A、及び構成オフセット係数記憶部に格納された較正オフセット係数Bを用いて、下記数式4に従って画像データPを生成するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6記載の赤外線カメラ。
    (数式3)
    =1/(anb×a
    (数式4)
    =A×V+B
  8. 前記レンズと撮像部との間、又は前記レンズの前側に配設され、前記レンズを透過して前記撮像部に集光される赤外線の光路を開閉するシャッタと、
    前記シャッタの温度を検出するシャッタ温度センサと、
    前記シャッタを閉じた状態で、前記各赤外線検出素子から得られる出力Vns、前記シャッタ温度センサから得られるシャッタ温度T、及び前記較正感度係数記憶部に格納された較正感度係数Aを基に、下記数式5に従って前記較正オフセット係数Bを算出する較正オフセット係数算出部とを更に備えてなり、
    前記較正オフセット係数記憶部には、前記較正オフセット係数算出部によって算出された較正オフセット係数Bが格納されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7記載のいずれかの赤外線カメラ。
    (数式5)
    =−A×Vns+T
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