JP2016133305A - 赤外線検知装置 - Google Patents

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祐輔 松倉
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Abstract

【課題】読出回路の入出力特性の非線形性を考慮して、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにする。
【解決手段】赤外線検知装置を、入射した赤外線に応じて電気信号を生成する赤外線検知素子10と、赤外線検知素子に生成された電気信号を読み出す読出回路3Aと、読出回路から出力される電気信号の実測値と理論予測値との対応関係に基づいて、読出回路から出力される電気信号を較正する信号処理部4とを備えるものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線検知装置に関する。
従来、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子を備える赤外線検知装置がある。
このような赤外線検知装置としては、例えば、赤外線検知素子を2次元状に配列したFocal Plane Array(FPA)型赤外線検知装置がある。
特開2005−45538号公報 特開平2−186779号公報 特開平4−355576号公報
ところで、例えば2つの赤外線源を用いて、既知強度の赤外線を赤外線検知素子に入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号を取得し、これらの2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して、線形補間によって、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することが考えられる。
このような補正を行なった場合、原理上ないしは理論上は、完全に補正され、同一強度の赤外線が入射した場合、同一の電気信号が得られるはずである。
例えば、FPA型赤外線検知装置では、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合の各赤外線検知素子からの電気信号の不均一性は完全に補正されるはずである。
しかしながら、実際には、このような補正を行なったとしても、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られないことがあった。
つまり、実際には、たとえ赤外線検知素子の入出力特性が線形であったとしても、補正ずれが生じ、赤外線検知素子から出力される電気信号を補正して得られた赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)と、実際の対象物体からの赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)とが異なってしまうことがあった。
例えば、FPA型赤外線検知装置では、各赤外線検知素子から出力される電気信号を信号処理部で補正しても、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合に、各赤外線検知素子からの電気信号が均一にならず、不均一性が残ってしまうことがあった。
これについて検討した結果、赤外線検知装置は、入射した赤外線に応じて電気信号を生成する赤外線検知素子と、赤外線検知素子に生成された電気信号を読み出す読出回路とを備え、この読出回路の入出力特性に非線形性があり、これに起因することがわかった。
そこで、読出回路の入出力特性の非線形性を考慮して、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにしたい。
本赤外線検知装置は、入射した赤外線に応じて電気信号を生成する赤外線検知素子と、赤外線検知素子に生成された電気信号を読み出す読出回路と、読出回路から出力される電気信号の実測値と理論予測値との対応関係に基づいて、読出回路から出力される電気信号を較正する信号処理部とを備える。
したがって、本赤外線検知装置によれば、読出回路の入出力特性の非線形性を考慮して、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにすることができるという利点がある。
本実施形態にかかる赤外線検知装置の構成を示す図である。 本発明の課題を説明するための図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置における実測値と理論予測値との対応関係(較正曲線)を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置の構成を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置に備えられる赤外線イメージセンサの構成を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置の赤外線イメージセンサに備えられる赤外線検知素子からの信号の読み出しを説明するための図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における較正方法及び補正方法の第1の実施例を示すフローチャートである。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における較正方法及び補正方法の第1の実施例の信号処理部に備えられる較正データ演算部及び信号演算部の構成の一例を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における較正方法及び補正方法の第2の実施例を示すフローチャートである。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における較正方法及び補正方法の第2の実施例の信号処理部に備えられる較正データ演算部及び信号演算部の構成の一例を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における較正方法による効果を説明するための図である。 線形補間による補正を行なう場合の課題を説明するための図である。
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる赤外線検知装置について、図1〜図11を参照しながら説明する。
本実施形態では、図1に示すように、赤外線検知装置1は、入射した赤外線に応じて電気信号を生成する赤外線検知素子10と、赤外線検知素子10に生成された電気信号を読み出す読出回路3Aと、読出回路3Aから出力される電気信号を処理する信号処理部4とを備える。
なお、赤外線検知装置1を、赤外線検知器又は赤外線撮像装置ともいう。また、赤外線検知素子10を、赤外線受光素子ともいう。また、信号処理部4を、信号演算部又は制御演算部ともいう。
特に、本赤外線検知装置1では、信号処理部4は、読出回路3Aから出力される電気信号の実測値と理論予測値との対応関係に基づいて、読出回路3Aから出力される電気信号を較正するようになっている。
これにより、読出回路3Aの入出力特性の非線形性に起因する実測値と理論予測値との間のずれを較正することができ、ばらつきの非常に少ない均一な画像が得られる。
ここでは、信号処理部4は、実測値と理論予測値との対応関係を示す較正曲線(較正曲線データ)に基づいて、読出回路3Aから出力される電気信号を較正するようになっている。
特に、信号処理部4は、温度Tの物体から放射される赤外線が赤外線検知素子10に入射した場合に読出回路3Aから出力される電気信号をV(T)とし、赤外線検知素子10の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をkとし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとし、定係数V、Vとして、理論予測値を
Figure 2016133305
によって求めるのが好ましい。
また、信号処理部4は、第1温度Tの物体から放射される赤外線が赤外線検知素子10に入射した場合に読出回路3Aから出力される電気信号を第1電気信号Vとし、第2温度T(T>T)の物体から放射される赤外線が赤外線検知素子10に入射した場合に読出回路3Aから出力される電気信号を第2電気信号Vとして、定係数V、Vを、
Figure 2016133305
によって求めるのが好ましい。
ここで、第1温度T及び第2温度Tは、実測値と理論予測値とが一致する温度であることが好ましい。なお、実測値と理論予測値とが一致する温度には、ほぼ一致する温度も含まれるものとする。
また、信号処理部4は、較正された電気信号を補正(2点補正)するのが好ましい。
以下、具体的に説明する。
まず、赤外線検知素子10に入射した赤外線に応じて読出回路3Aから出力される電気信号は、赤外線検知素子10の入出力特性(入射光−出力信号特性)に応じたものとなると考えられる。
この場合、実際の赤外線検知素子10の入出力特性を正確に知ることができれば、この実際の赤外線検知素子10の入出力特性に基づいて、赤外線検知素子10に入射した赤外線に応じて読出回路3Aから出力される電気信号の理論予測値を正確に求めることができる。
しかしながら、実際には、読出回路3Aの入出力特性の非線形性によって、赤外線検知素子10に入射した赤外線に応じて読出回路3Aから出力される電気信号の実測値は、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に基づいて求められた理論予測値からずれたものとなる。
この場合、理論予測値と実測値との対応関係がわかれば、この対応関係を用いて、読出回路3Aの入出力特性の非線形性の影響を受ける実測値を較正することが可能となる。
このように、実際の赤外線検知素子10の入出力特性を正確に知ることができ、また、理論予測値と実測値との対応関係がわかれば、読出回路3Aの入出力特性に非線形性があっても、実測値を較正することが可能となる。
まず、実際の赤外線検知素子10の入出力特性は、以下のようにして正確に知ることができる。
ここで、対象物体の温度Tに対して、その物体から放出される赤外線強度をf(T)とし、そのときの赤外線検知素子10の赤外線強度相当の電気信号出力(光電流相当の電圧)をVとする。対象物体の温度がTからT+dTに変化したとき、物体から放出される赤外線強度の変化はf(T)dTであり、したがって、赤外線検知素子10の電気信号出力の変化dVは、次式のように表現することができる。
Figure 2016133305
この微分方程式の解は、Cを積分定数として、
Figure 2016133305
となる。
したがって、f(T)の関数形を解析的に積分操作可能な形で決定することができれば、実際の赤外線検知素子10の入出力特性を正確に知ることができたことになる。
本発明者は、この関数f(T)を、後述の導出過程を経て、次式のように決定できることを見出した。なお、次式で表される関数f(T)を、後述の近似関数f(T)と区別するために、F(T)又は〈∂W/∂T〉と表記する場合がある。
Figure 2016133305
また、この関数f(T)は、後述の近似式の導出過程を経て、実定数xを用いて近似すると、次式のようになる。なお、次式で表される関数f(T)を近似関数f(T)という。
Figure 2016133305
そして、関数f(T)をこのような形に近似した場合、Vを積分定数として、
Figure 2016133305
という式から、
Figure 2016133305
となる。
そして、赤外線検知素子10から出力される電気信号VDCは、これに暗電流相当成分(暗電流相当の出力成分)Vを加えて、
Figure 2016133305
となる。
この式は、普遍物理定数(h,c,k)及び別途決められるxλを除けば、未知係数はV,Vの2つであるから、相異なる既知温度T,T(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号VDCを、それぞれ、V,Vとし、これらがわかれば、それぞれに対して上記の式を適用した連立方程式の解として、未知係数V,Vを一意に決定することができる。
具体的には、未知係数Vは、以下のようにして決定することができる。
まず、上記の式に、既知温度Tに対して出力される電気信号Vを代入し、また、既知温度Tに対して出力される電気信号Vを代入すると、以下の2つの等式が得られる。
Figure 2016133305
そして、これらの式のうち、上側の式に、
Figure 2016133305
を掛け、下側の式に、
Figure 2016133305
を掛けて、辺々引き算することで、以下のように、未知係数Vを決定することができる。
Figure 2016133305
同様にして、未知係数Vも、以下のように、決定することができる。
Figure 2016133305
ところで、xλの値は、以下のようにして求めることができる。
まず、λは、赤外線検知素子の波長応答特性R(λ)におけるピーク波長である。つまり、赤外線検知素子の波長応答特性R(λ)は、適当な定数sを用いて、
Figure 2016133305
の形に近似することができ、このときのピーク波長である。
このため、例えば当該赤外線検知素子自体、又は、別途作製した同一仕様のパイロット素子などの実測結果からλを求めれば良い。
次に、実定数xは、以下のようにして決めれば良い。
まず、例えば、よく知られているように、λ=λ±3sに対して、R(λ)=exp(−9)〜1.234×10−4であり、その最大値1に対して十分小さいため、現実には、λ=λ±3s の外側の積分範囲ではR(λ)=0であると考えられる。
このため、以下の不等式が成り立つ。
Figure 2016133305
したがって、上記実定数xは、
Figure 2016133305
を満たす範囲に見出されるはずである。
ここで、赤外線検知素子10の波長応答特性R(λ)の半値全幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)を考えると、R(λ)=0.5とおいてλについて解くことによって、
Figure 2016133305
が得られるから、上記実定数xの範囲は、
Figure 2016133305
となる。
したがって、この条件を満たす範囲で実定数xを決めれば良い。
なお、実定数xの決め方は、これに限られるものではない。
例えば、当該赤外線検知素子自体、又は、別途作製した同一仕様のパイロット素子などの実測結果などから、その波長応答特性R(λ)を得て、数値計算(数値積分)などの手法を用いて、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 2016133305
で表される関数F(T)によって実際に求めた値に、
Figure 2016133305
で表される近似関数f(T)によって求めた値をフィッティングさせて実定数xの値を決定することも可能である。
次に、上述の関数f(T)の導出について説明する。
赤外線検知器の感度Rを「単位入射光強度(パワー)に対して出力として得られる電流値Iの比」と定義する。ここで、波長λとλ+dλの間での入射光強度W(λ)dλの入射光に対する出力電流dIは、感度の波長分散(分光特性)をR(λ)として、感度の定義から、
Figure 2016133305
と書ける。したがって、Wの全分光特性に対する出力電流Iは、この式を、光学系の透過波長域よりも十分広い波長域[λ,λ]で積分して、
Figure 2016133305
となる。ここで、R(λ)が、素子駆動バイアス電圧(VIg)によって変動するピーク値R(VIg)と、VIgによっては変動しない(と仮定した場合の)規格化分光応答特性R(λ)によって、
Figure 2016133305
の形に書ける。
また、W(λ)を、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性W(λ,T)、即ち、
Figure 2016133305
(k:ボルツマン定数、h:プランク定数、c:真空中での光速)とすると、光路中での減衰・散乱や、開口径によって決まる比例定数をA(波長に依存しないと仮定)として、上記出力電流Iは、
Figure 2016133305
となる。
したがって、暗電流、即ち、すべての入射光強度に対して流れる一定値の電流をI(VIg)とすると、温度Tの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流IDC(VIg)は、
Figure 2016133305
と表されることになる。
一方、温度Tの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流と、温度T=T+ΔTの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流との差分をΔI(VIg)とすると、
Figure 2016133305
となる。
ここで、ΔTが十分微小であるとすると、括弧{・}の中は、
Figure 2016133305
と近似できるから、
Figure 2016133305
と表すことができる。
ここで、ΔI(VIg)とIDC(VIg)の比、
Figure 2016133305
を考える。ここまでの結果から、この比は、
Figure 2016133305
となる。ここで、
Figure 2016133305
である。
また、上式のうち、
Figure 2016133305
は、定義ないしは仮定から、バイアス条件に依存しない温度Tの関数であり、これを、
Figure 2016133305
と置くと、
Figure 2016133305
となる。
したがって、
Figure 2016133305
という関係が得られる。
ところで、赤外線検知装置1(例えばFPA)の読出回路(Read Out Integrated Circuit:ROIC)3Aが、一般的な、いわゆるダイレクト・インジェクション型であるとする。この場合、赤外線検知素子10に流れる電流(素子電流)IによってROIC3Aに備えられる容量素子11の両端の電位差Vが変化する(図6参照)。容量素子11の容量値C、蓄積電荷Q及びその端子間電圧Vの間にはQ=CVという良く知られた関係式があり、
Figure 2016133305
となる。
ここで、出力信号Sを、蓄積時間Δtでの単位温度差あたりの出力電位差、と定義すると、
Figure 2016133305
となるから、先ほどの結果を用いて、
Figure 2016133305
という関係が得られる。
ところで、出力信号Sは、その定義「蓄積時間Δtでの単位温度差あたりの出力電位差」から、
Figure 2016133305
であるから、結局、VDC(T,VIg)に関する微分方程式、
Figure 2016133305
が得られる。
ここで考えている赤外線検知素子10の動作状態では、そのバイアス電圧VIgは一定であるから、VIgの表記を省略し、VDC=V+Vであるから、この式は、結局、
Figure 2016133305
の形となる。
したがって、
Figure 2016133305
となる。
このようにして、形を決定すべき関数f(T)を導出することができる。
次に、上述の関数f(T)の近似式の導出について説明する。
対象物体を黒体と仮定した場合、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性W(λ,T)(いわゆるプランクの輻射式)は、
Figure 2016133305
であり、
Figure 2016133305
の場合、
Figure 2016133305
と近似できる。
なお、この近似条件は、一般的に赤外線検知装置1で用いられる波長であるλ=3〜5μmあるいはλ=8〜12μmでは、それぞれ、およそ600℃あるいは100℃前後以下である(誤差2%を仮定)。一般的に赤外線検知装置1の応用分野としては、室温前後の物体、特に医療分野やセキュリティ分野では生物を対象としていることが多い。生物はその構成物質の大部分が水であるから、赤外線検知装置1の応用分野での対象物体の温度はおおむね0℃(水の凝固点)以上100℃(水の沸点)以下であると考えられる。したがって、上記近似条件は、一般的な赤外線検知装置1における条件として十分であると考えられる。
このような近似が成立する範囲においては、
Figure 2016133305
であるから、
Figure 2016133305
となる。
ここで、定積分、即ち、
Figure 2016133305
を、適当な実定数xを用いて、
Figure 2016133305
と近似する。
この場合、
Figure 2016133305
となる。
このようにして、上述の関数f(T)の近似式を導出することができる。つまり、「撮像対象の物体の温度が、室温近傍」、及び、「1/λという因子が、実効的に1/xλという定数因子として、積分の外に出せる」という2つの近似を用いて、解析的な形の具体的な関数形として、このような近似式を導出することができる。
ところで、ここでは、上述のように、
Figure 2016133305
という式の中の関数f(T)として、実定数xを用いて近似したもの、即ち、
Figure 2016133305
を用いているが、これに限られるものではない。
例えば、次式の中のR(λ)として、実測結果として得られるR(λ)(具体的にはこれを表現する関数)を代入し、解析的に積分を実行して、具体的なf(T)の解析的な関数形を決定し、これを上記式の中の関数f(T)として用いるようにしても良い。
Figure 2016133305
つまり、R(λ)にガウシアンを想定し、上述のように近似して、具体的なf(T)の解析的な関数形を決定するのに代えて、R(λ)にガウシアン以外、例えばローレンシアン、即ち、
Figure 2016133305
などを仮定して近似なしで、
Figure 2016133305
の積分を実行して、具体的なf(T)の関数形を決定できれば、これを上記式の中の関数f(T)として用いることもできる。
ただし、
Figure 2016133305
の積分が解析的に実行できることが望ましい。
このように、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式は、
Figure 2016133305
で表されるものを用いることができる。
つまり、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式が、
Figure 2016133305
で表される場合、この式の中の関数f(T)は、
Figure 2016133305
で表されるものであっても良い。
上述のようにして、赤外線検知素子10から出力される電気信号VDC、即ち、実際の赤外線検知素子10の入出力特性を正確に知ることができる。
このため、この実際の赤外線検知素子10の入出力特性に基づいて、赤外線検知素子10に入射した赤外線に応じて読出回路3Aから出力される電気信号の理論予測値を正確に求めることができる。
つまり、信号処理部4は、温度Tの物体から放射される赤外線が赤外線検知素子10に入射した場合に読出回路3Aから出力される電気信号をV(T)とし、赤外線検知素子10の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をkとし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとし、定係数V、Vとして、理論予測値を
Figure 2016133305
によって求めることができる。
この場合、信号処理部4は、第1温度Tの物体から放射される赤外線が赤外線検知素子10に入射した場合に読出回路3Aから出力される電気信号を第1電気信号Vとし、第2温度T(T>T)の物体から放射される赤外線が赤外線検知素子10に入射した場合に読出回路3Aから出力される電気信号を第2電気信号Vとして、定係数V、Vを、
Figure 2016133305
によって求めるのが好ましい。
ここで、第1温度T及び第2温度Tは、実測値と理論予測値とが一致する温度であることが好ましい。
ところで、赤外線検知装置1の電気信号処理系である読出回路3Aの入出力特性には非線形性があり、これに起因して、実際には、赤外線検知素子10に入射した赤外線に応じて読出回路3Aから出力される電気信号の実測値は、理論予測値からずれたものとなる。
この場合、読出回路3Aの入出力特性の非線形性をあらかじめ評価し、その結果を用い、その影響を除去して、本来の赤外検知素子10からの電気信号の出力を再現すれば良い。
このため、理論予測値と実測値との対応関係を求め、この対応関係を用いて、読出回路3Aの入出力特性の非線形性の影響を受ける実測値を較正すれば良い。
この場合、信号処理部4が、実測値と理論予測値との対応関係を示す較正曲線に基づいて、読出回路3Aから出力される電気信号を較正するようにすれば良い。
以下、具体的に説明する。
分光応答特性がいわゆるピークを持った赤外線検知素子10に生成された電気信号を、読出回路3A(例えばDirect-Injection型の読出回路)を用いて読み出した場合、上述のように、温度Tの黒体放射相当の赤外線入射光に対する出力信号電圧V(T)は、赤外線検知素子(画素)毎に決まる定数VならびにVを用いて、
Figure 2016133305
と表される。ここで、xλは実効ピーク波長、hはプランク定数、cは光の速度、kはボルツマン定数である。なお、これを画素出力の理論モデルという。
この場合、2点補正技術を用いるとき、即ち、温度が異なる2つの物体(温度T、Tで既知とする)に対する赤外線検知素子10の出力信号電圧をそれぞれV(T)、V(T)とし、任意温度Tに対する赤外線検知素子10の出力信号電圧V(T)から赤外線検知装置(撮像装置)1が2点補正技術を用いて得る温度をT´とし、これを上記V(T)、V(T)に対する内挿点あるいは外挿点に対応する温度として決定するとき、T´は、このような定義から、
Figure 2016133305
となる。
ここで、それぞれの赤外線検知素子10の出力(画素出力)が、上記式(1)のように表される場合、これらを定式に代入することで、
Figure 2016133305
となる。
ここで、上記式(3)を見ると、T、Tは既知温度、h、c、kは普遍物理定数であるから、実効ピーク波長xλ以外の赤外線検知素子(画素)10のバラつきに起因するパラメータに依存しない。
このため、赤外線検知素子(画素)10の出力信号電圧が上記式(1)で表される場合、原理的には、2点補正技術によって、実効ピーク波長xλに起因するもの以外のすべての画素特性の不均一性が補正されるはずである。
しかしながら、実際には、2点補正技術においては、補正されずに残留する素子バラつきに起因する画像上のコントラストのムラが生じてしまっている。
これについて検討した結果、この原因は、電気信号処理系である読出回路3Aにおける非線形性にあると考えられる。
ここで、図2は、赤外線検知素子10を2次元に配列した2次元アレイ21に均一な温度分布を持つ温度板からの赤外線を照射した場合の画素信号出力の実測値、及び、上記式(1)を用い、係数を温度板温度20℃及び30℃の実測結果を用いて決定した理論予測値(理論モデル値)を、3つの画素駆動条件(バイアス条件;図2中、符号A〜Cで示す)について示したものである。
なお、図2では、符号Aで示す画素駆動条件における実測値を黒丸でプロットし、理論予測値を実線aで示しており、符号Bで示す画素駆動条件における実測値を白丸でプロットし、理論予測値を実線bで示しており、また、符号Cで示す画素駆動条件における実測値を黒三角でプロットし、理論予測値を実線cで示している。また、画素信号出力の実測値は、読出回路3Aから出力される電気信号であって、読出回路3Aの入出力特性の非線形性の影響を含むものである。
図2からわかるように、画素信号出力が比較的小さい駆動条件(図2中、符号Cで示す)では、図2に示した温度板温度の全領域において、実測値と理論予測値とがよく一致しているのに対し、画素信号出力が大きい駆動条件では(図2中、符号Aで示す)、実測値と理論予測値とがかい離している。
ここで、図3は、図2を、画素信号出力の実測値と理論予測値との関係として書き直したものである。
図3から、画素駆動条件によらず、画素信号出力が一定の大きさを超えた領域(図3ではおよそ1.5V)で、画素信号出力の実測値と理論予測値の間にかい離が生じることがわかる。つまり、画素信号出力が大きくなると、即ち、入射赤外線の強度が高くなり、それに相当する温度が高くなると、画素信号出力の実測値が理論予測値からずれてくる。
一方、図3を見ると、画素信号出力の実測値と理論予測値との関係は、駆動条件によらずほぼ同一であることがわかる。
したがって、実測値と理論予測値の間の対応関係(特に、画素信号出力が大きい領域においてどのようにずれるか;ここでは較正曲線;図3中、符号Aで示す)を知ることができれば、実測された画素信号出力に対して、それが本来どれくらいの大きさの画素信号出力であるかを一意に決定することができ、読出回路3Aにおける非線形性に起因して、理論予測値からずれている実測値を較正することが可能となる。
次に、このような較正曲線の決定方法の一例について説明する。
まず、適当な数(例えば6点)の既知温度(例えばT〜T)相当の赤外線入射に対して、赤外線検知素子10を2次元に配列した2次元アレイ21の各画素10の当該駆動条件における画素信号出力を計測する。この結果を、それぞれ、実測値x〜xとする。
一方、図3に見られるように、画素信号出力が比較的小さい領域、即ち、入射赤外線の強度が低く、それに相当する温度が低い領域では、電気信号処理系である読出回路3Aの入出力特性の線形性は保たれていると近似的に考えることができる。この領域を、読出回路3Aの入出力特性の線形領域、即ち、読出回路3Aの入出力特性の非線形性の影響が小さい領域ともいう。この場合、画素信号出力の実測値と理論予測値とは一致することになる。
したがって、上記既知温度のうち、この領域に属する2点(T、T∈T〜Tとする)での画素信号出力の実測値x、xから、それぞれの画素に対する上記式(1)の係数VならびにVを、
Figure 2016133305
によって決定する。この場合、2点の温度は、画素信号出力の実測値と理論予測値とが一致する温度である。
次に、これらを用い、当該画素10の対象物体の温度T〜Tのそれぞれに対して、上記式(1)、即ち、次式によって、画素信号出力の予測値y〜yを求める。
Figure 2016133305
ここで、例えば、所望の較正曲線(図3中、符号Aで示す)を、点(x,y)(i=1〜6)を通る多項式として決定すると、未知係数の数とその(1次独立な)関係式の数に関する周知の数学的知見から、次式のような5次関数として決定することができる。
Figure 2016133305
この式(5)における6つの定係数a〜aを決定することが、所望の較正曲線(図3中、符号Aで示す)を決定することになるが、i=1〜6に対応するxとyに関する関係式を、簡単のため行列形式で書き下すと、
Figure 2016133305
となる。
ここから周知の線形代数の知見を用いて、
Figure 2016133305
として必要な係数a〜aを決定することができる。ここで、A−1は行列Aの逆行列を表している。
なお、ここでは、較正曲線の決定方法を具体的に説明するために、上述のような例を用いて説明しているが、本実施形態における較正曲線は、画素信号出力の実測値と理論予測値の間の対応関係を表す関係(関係式、近似式など)が決定できれば良いため、上述のような例に限られるものではなく、必要に応じて、例えば近似曲線決定方法などのような種々の決定方法を用いることが可能である。
ところで、ここで改めて上記式(2)、即ち、次式
Figure 2016133305
を見てみると、対象物体の温度Tに対する画素信号出力V(T)が、上記式(1)と同様に、波長以外の画素固有のパラメータに依存せず、温度Tのみの関数である関数H(T)と、定数V、Vを用いて、
Figure 2016133305
という形で表されるとき、つまり、関数V(T)が関数H(T)の線形写像の形をしているとき、2点補正を行なった場合、
Figure 2016133305
となって、補正結果は、やはり画素の波長以外の特性バラつきに依存しない結果が得られる。
このことは、少なくとも赤外線検知装置1の補正バラつきに関する限り、例えば上記式(4)を用いて画素ごとに上記式(1)の具体的な関数形を決定せずとも、適宜決定したVならびにVの値を、例えば全画素一律に適用して較正曲線を決定して用いても、実効ピーク波長xλに起因するもの以外の画素素子特性の不均一性を完全に抑制できることを意味している。
この場合、信号処理部4は、画素信号出力を、応答波長及び対象物体の温度T以外の素子特性パラメータに依存しない関数の線形写像の形を持った関数に変換する機能を備えることになる。
そして、この線形写像の形を持った関数は、赤外線検知素子(画素)10の応答ピーク波長λ、適当な係数x、定係数V、Vを用いて、
Figure 2016133305
の形で表されるものが良いことになる。
また、この関数の係数VならびにVを、異なる温度TならびにTを持った対象物体から放射される赤外線に対する画素信号出力V、Vを用いて、
Figure 2016133305
によって求めれば良いことになる。
以下、複数の赤外線検知素子10を備える赤外線検知装置1である、分光応答特性がいわゆるピークを持った複数の赤外線検知素子10を2次元状に配列したFPA型赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10(画素)からの出力電気信号(画素信号)を較正し、画素信号の面内不均一性を抑制するのに本発明を適用した場合を例に挙げて説明する。
ここで、赤外線撮像装置1は、物体の熱輻射によって放出される赤外線に対して、その赤外線撮像装置1に備えられる赤外線検知素子10に投影される赤外線の強度分布を電気信号分布に変換して、赤外線画像を得る。
例えば、FPA型赤外線撮像装置1では、画素に相当する赤外線検知素子10を平面上に2次元状に配置し、その面に投影される赤外線の強度分布を電気信号分布に変換して、赤外線画像を得る。
このような赤外線撮像装置1は、可視光領域での撮像装置などとは異なり、暗闇の中においてもその対象物体を撮像可能であるため、いわゆるセキュリティ分野などといった応用分野で利用されている。また、対象物体から放出される赤外線の強度は、その対象物体の温度の関数であるため、撮像物体中での赤外線放射強度分布から、その物体中での温度分布を反映した画像が得られる。これを利用して、医療分野などでの応用も期待されている。
しかしながら、同一の入出力特性を有する複数の赤外線検知素子を作製するのは難しい。つまり、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が出力される、複数の赤外線検知素子を作製するのは難しい。例えば、FPA型赤外線検知装置に備えられる複数の赤外線検知素子の入出力特性を同一にするのは難しい。
このため、赤外線検知素子が異なると、同一強度の赤外線が入射しているにもかかわらず、異なる電気信号が出力されてしまうことになる。例えば、FPA型赤外線検知装置では、強度が面内で均一な赤外線が入射しているにもかかわらず、複数の赤外線検知素子から出力される電気信号には分布が生じてしまうことになる。
このように、各赤外線検知素子の間でその特性を均一に作製することは困難であり、したがって、そのままでは、たとえ投影される赤外線強度の面内分布が均一であっても、その出力信号には分布が生じてしまう。
このため、赤外線検知素子から出力される電気信号を、赤外線検知装置に備えられる信号処理部で補正することで、赤外線検知素子が異なっても、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにしている。例えば、FPA型赤外線検知装置1では、各赤外線検知素子から出力される電気信号を信号処理部で補正することで、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合に、各赤外線検知素子から出力される電気信号が均一になるようにしている。
この場合、いくつかの既知強度の赤外線を、面内に均一に入射させ、その出力を測定して、その結果から既知強度以外での入射光強度に対する画素出力を補間により補正する。このような補正を行なう場合、既知強度の赤外線源を、補正点の数だけ装置内などに備える必要があるため、装置の複雑化を招くから、通常は原理的に最も補正点が少ない、2点での補間が行なわれる。
この場合、通常は2点間での赤外線検知素子10(画素素子)の線形性を仮定して、線形補間法が用いられる。つまり、例えば、2つの赤外線源を用いて、既知強度の赤外線を赤外線検知素子に入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号を取得し、これらの2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して、線形補間によって、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力される電気信号を補正する。
このような補正を行なった場合、原理上ないしは理論上は、完全に補正され、同一強度の赤外線が入射した場合、同一の電気信号が得られるはずである。例えば、FPA型赤外線検知装置では、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合の各赤外線検知素子からの電気信号の不均一性は完全に補正されるはずである。
しかしながら、実際には、このような補正を行なったとしても、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られないことがあった。
つまり、実際には、たとえ赤外線検知素子の入出力特性が線形であったとしても、補正ずれが生じ、赤外線検知素子から出力される電気信号を補正して得られた赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)と、実際の対象物体からの赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)とが異なってしまうことがあった。
例えば、FPA型赤外線検知装置では、各赤外線検知素子から出力される電気信号を信号処理部で補正しても、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合に、各赤外線検知素子からの電気信号が均一にならず、不均一性が残ってしまうことがあった。
このような残留不均一性は、例えば壁面などの本来均一温度である対象物体の赤外線画像において、対象物体の温度分布によらない画像コントラストを生じることになり、赤外線画像の画質、ひいては、撮像装置としての性能の制約要因となる。
これについて検討した結果、赤外線検知装置1は、入射した赤外線に応じて電気信号を生成する赤外線検知素子10と、赤外線検知素子10に生成された電気信号を読み出す読出回路3Aとを備え、この読出回路3Aの入出力特性に非線形性があり、これに起因することがわかった。
そこで、読出回路3Aの入出力特性の非線形性を考慮して、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにすべく、上述の手法を適用して、FPA型赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号を較正するようにしている。
ここで、図1に示すように、赤外線検知装置1としてのFPA型赤外線撮像装置は、赤外線イメージセンサ2と、赤外線イメージセンサ2に備えられる各赤外線検知素子10(画素)から出力される電気信号を処理する信号処理部4とを備える。
このうち、赤外線イメージセンサ2は、図5に示すように、複数の赤外線検知素子10を2次元状に配列した2次元アレイ(赤外線検知素子アレイ)21と、赤外線が入射して各赤外線検知素子10(画素)に流れた電流量に応じた出力電圧を順次読み出す読出回路3Aを備える読出回路チップ3とを備える。なお、読出回路3AをROIC(readout integrated circuit)ともいう。そして、2次元アレイ21と読出回路チップ3とは、導電性の金属バンプ(導電バンプ;ここではInバンプ)5を介して接続(ハイブリッド接続)され、一体化されている。ここでは、赤外線検知素子は、例えば量子井戸型赤外線検知素子又は量子ドット型赤外線検知素子などである。
ここで、読出回路チップ3は、図4に示すように、行選択スイッチ部22と、信号取り出し&シフトレジスタ部23とを備える。なお、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれる信号取り出し部は、赤外線検知素子10毎に設けられている。そして、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を用いて、各赤外線検知素子10から出力される電気信号を個別に取り出すことができるようになっている。つまり、行選択スイッチ部22により、指定した行位置にある画素を選択し、さらに信号取り出し&シフトレジスタ部23により、指定した列位置にある画素を選択して、指定した行位置及び列位置にある画素10から、当該画素10の撮影データを出力電圧として読み出すことができるようになっている。
また、信号処理部4は、較正データ演算部(較正曲線データ演算部)24と、信号演算部25と、信号出力部26と、スイッチ27とを含む。
このように、FPA型赤外線撮像装置1は、2次元アレイ21、行選択スイッチ部22、信号取り出し&シフトレジスタ部23、較正データ演算部24、信号演算部25、信号出力部26、及び、スイッチ27を含む。
なお、図4において、各ボックスで示される各機能ブロックと他の機能ブロックとの境界は、基本的には機能的な境界を示すものであり、物理的な位置の分離、電気的な信号の分離、制御論理的な分離等に対応するとは限らない。各機能ブロックは、他のブロックと物理的にある程度分離された1つのハードウェアモジュールであってもよいし、或いは他のブロックと物理的に一体となったハードウェアモジュール中の1つの機能を示したものであってもよい。
ところで、ここでは、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれる信号取り出し部は、それぞれ、図6に示すように、容量素子11(キャパシタ)と、スイッチ12として動作するトランジスタとを備え、赤外線検知素子10に接続されている。
赤外線検知素子10は、入射赤外線の量に応じて電気抵抗値が変化する特性を有し、入射赤外線に応じた出力電気量を生成する(例えば電流を流す)。赤外線検知素子10の抵抗値に応じた量の電流が、容量素子11からスイッチ12及び赤外線検知素子10を介してグランドGND側に流れ、容量素子11の電荷が減少する。この電荷の減少により変化する容量素子11の両端電位差に応じた電圧が、撮像データとして信号取り出し部に取り出される。
そして、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれるシフトレジスタ部は、選択された行での一定バイアス電圧下での列出力信号を時系列のシリアル信号として取り出す。このときのシリアル信号では、各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって、たとえ同じ強度の入射光量であっても、出力電圧強度がばらついている。また、読出回路3Aとしての信号取り出し&シフトレジスタ部23の入出力特性の非線形性の影響も含まれている。
信号取り出し&シフトレジスタ部23により取り出された各赤外線検知素子10の出力電圧は、図4に示すように、スイッチ27を介して、較正データ演算部24又は信号演算部25に供給される。
装置の立ち上げ時等には、較正データ演算部24には、既知温度の黒体からの面内で均一な放射赤外線を2次元アレイ21に入射した状態で、信号取り出し&シフトレジスタ部23からの出力電圧を供給する。これにより、較正データ演算部24に、較正用及び補正用のデータを保存する。
対象物体の撮像時には、信号取り出し&シフトレジスタ部23からのシリアル信号を、信号演算部25に供給する。
そして、信号演算部25は、較正データ演算部24に保存された較正用のデータに基づいて、読出回路3Aとしての信号取り出し&シフトレジスタ部23の入出力特性の非線形性の影響を含む出力電圧の実測値を較正する演算を、各赤外線検知素子10毎に実行する。この較正演算により、読出回路3Aとしての信号取り出し&シフトレジスタ部23の入出力特性の非線形性の影響を含む出力電圧の実測値を較正した較正後出力電圧が得られる。
また、信号演算部25は、較正データ演算部24に保存された補正用のデータに基づいて、所定のバイアス条件における各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって生じる出力電圧強度のばらつきを補正する演算を、各赤外線検知素子10毎に実行する。この補正演算により、各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって生じる出力電圧強度のばらつきを補正した補正後出力電圧が得られる。この際、信号演算部25は、赤外線検知素子10の出力電気量に基づいて入射赤外線に応じた温度を求める。補正後出力電圧は各赤外線検知素子10毎に撮像対象の温度を示す電圧であり、信号演算部25から信号出力部26に供給される。
以下に、図4に示す赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の較正方法及び補正方法について説明する。
図7は、赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の較正方法及び補正方法の第1の実施例を示すフローチャートである。図4及び図7を参照して、図7に示される較正方法及び補正方法について説明する。
なお、フローチャートにおいて、各ステップの実行順はフローチャートに示される順番に限定されるものではなく、動作に支障が生じない限りにおいてステップの実行順を前後させてもよい。なお、2次元アレイ21は、例えばn×n画素からなる2次元アレイとする。
まず、ステップS1で、2次元アレイ21を所望のバイアス電圧を印加した動作状態に設定する。つまり、2次元アレイ21の各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態にする。
ステップS2で、スイッチ27を較正データ演算部24側に接続する。
ステップS3で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS4で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の全ての画素10から画素出力電圧の実測値V(i,j)を取得する。ここで、(i,j)は画素位置を示す。
このステップS4の動作は、適宜定めたm個の温度T(k=1〜m)の全てについて繰り返され、それぞれの温度T(k=1〜m)に対応した全ての画素10からの出力電圧の実測値V(i,j)を取得する(ステップS5)。
そして、出力電圧の実測値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から較正データ演算部24に供給され、較正データ演算部24に保存される。
なお、ここでは、温度板の温度T(k=1〜m)を指定して、温度板の温度T(k=1〜m)を調整できるようになっている。そして、指定された温度板の温度T(k=1〜m)が較正データ演算部24に入力されるようになっている。
ステップS6で、温度T(k=1〜m)に対応した全ての画素10からの出力電圧の理論予測値y(i,j)を求める。
そして、上述のようにして取得した実測値V(i,j)をx(i,j)とし、この実測値x(i,j)と、上述のようにして求めた理論予測値y(i,j)とを用いて、較正曲線を決定する(ステップS7)。つまり、上述のようにして、較正曲線を決定するのに必要な実測値x(i,j)と理論予測値y(i,j)との組(x(i,j)、y(i,j))を求め、(x(i,j)、y(i,j))に対して上述の較正曲線決定方法で較正曲線を決定し、即ち、較正曲線を規定する関数を特定するのに必要な係数を求め、この較正に必要なデータ(ここでは較正曲線データ)を較正データ演算部24に保存する(ステップS7)。
ここで、図8は、較正データ演算部24及び信号演算部25の構成の一例を示す図である。
較正データ演算部24は、AD変換部31、記憶制御部32、読出制御部33、a(i,j)〜a(i,j)計算部34、a(i,j)〜a(i,j)記憶部35を含む。また、信号演算部25は、演算部41、及びAD変換部42を含む。
AD変換部31は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から供給されたアナログの出力電圧をデジタル電圧値に変換する。
較正データ演算部24には、現在供給されている出力電圧の画素位置(i,j)を示すデータと、現在入射している赤外線源の温度T(k=1〜m)を示すデータとが供給される。
記憶制御部32は、全画素について、AD変換部31によるAD変換後のデジタル電圧値(実測値)V(i,j)を、a(i,j)〜a(i,j)計算部34、a(i,j)〜a(i,j)記憶部35に格納する。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値V(i,j)を格納し、また、現在の赤外線源の温度T(k=1〜m)も格納する。
(i,j)〜a(i,j)計算部34は、全画素について、温度T(k=1〜m)に対応した理論予測値y(i,j)を、次式によって求める。
Figure 2016133305
ここで、V(i,j)、V(i,j)は、T、T(a、b∈1〜m)を用いて、次式によって決定しても良いし、適宜決定した値を用いても良い。
Figure 2016133305
なお、予め、別途取得ないしは決定したx、λあるいはxλの値が保存してあるものとする。
そして、a(i,j)〜a(i,j)計算部34は、全画素について、上述のようにして取得した実測値V(i,j)をx(i,j)とし、この実測値x(i,j)と、上述のようにして求めた理論予測値y(i,j)とを用いて、較正曲線を決定する。
ここでは、較正曲線を、上述の式(5)のような5次関数として決定し、この5次関数の係数a(i,j)〜a(i,j)を、上述の式(6)を用いて求め、これらの係数a(i,j)〜a(i,j)を、較正曲線データとして、a(i,j)〜a(i,j)記憶部35に保存する。
なお、ここまでのステップで、2点補正を行なう場合の補正点の温度T、Tに対応した画素出力電圧の実測値Vxc(i,j)、Vxd(i,j)を先に決定した較正曲線によって較正した較正後画素出力値Vyc(i,j)、Vyd(i,j)を用いて、2点補正を行なうのに必要な係数K(i,j)を次式によって求めて、較正データ演算部24に保存しておいても良い。なお、T、T、Vxc(i,j)、Vxd(i,j)は、上述のT、V(i,j)(k=1〜m)の中から適宜選んでも良いし、別途取得しても良い。
Figure 2016133305
以上により、較正及び補正に用いられるデータの取得が完了する。
次に、赤外線撮像装置1の通常の使用状態において、較正及び補正を実施して赤外線画像を得る動作が実行される。
図7のステップS8で、スイッチ27を信号演算部25側に接続する。
これにより、各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素(i,j)からの出力電圧値V(i,j)を信号演算部25に順次読みだす(図7のステップS9)。
各画素(i,j)からの出力電圧値V(i,j)が信号演算部25に入力されると、較正データ演算部24から、画素位置(i,j)を示すデータに応じて、較正曲線データとして、画素(i,j)に対応したデータa(i,j)〜a(i,j)が読み出され、必要に応じて2点補正を行なうのに必要なデータとして、係数K(i,j)、補正点の温度T及びこれに対応する画素信号出力Vyd(i,j)、あるいは、補正点の温度T、T及びこれらに対応する画素信号出力Vyc(i,j)、Vyd(i,j)が読み出される(図7のステップS10)。
そして、各画素(i,j)の画素出力電圧の実測値V(i,j)を較正して較正後画素出力電圧値V(i,j)を求める(図7のステップS11)。
その後、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対して補正処理を施す(図7のステップS12)。
ここでは、まず、信号演算部25のAD変換部42は、各画素(i,j)からの出力電圧値V(i,j)をアナログ電圧からデジタル電圧値に変換する。
そして、信号演算部25の演算部41は、変換後のデジタル電圧値に対して較正処理を実施して、各画素(i,j)の画素出力電圧の実測値V(i,j)を較正した較正後画素出力電圧値V(i,j)を求める。
本実施形態では、信号演算部25の演算部41は、各画素(i,j)からの出力電圧値V(i,j)、画素(i,j)に対応した較正曲線データ(較正曲線の係数)a(i,j)〜a(i,j)を用いて、次式によって、各画素の較正後画素出力電圧値V(i,j)を求める。
Figure 2016133305
そして、信号演算部25の演算部41は、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対して補正処理を実施して、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T´(i,j)を求め、信号出力部26へ出力する(図7のステップS12)。
ここで、上述のステップS10で、2点補正を行なうのに必要なデータとして係数K(i,j)、補正点の温度T及びこれに対応する画素信号出力Vyd(i,j)が読み出された場合には、この係数K(i,j)、補正点の温度T及びこれに対応する画素信号出力Vyd(i,j)を用いて、次式によって2点補正を行なって、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T´(i,j)を求める。
Figure 2016133305
また、上述のステップS10で、2点補正を行なうのに必要なデータとして補正点の温度T、T及びこれらに対応する画素信号出力Vyc(i,j)、Vyd(i,j)が読み出された場合には、これらを用いて、2点補正を行なうのに必要な係数K(i,j)を次式によって求め、上述のように2点補正を行なって、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T´(i,j)を求める。
Figure 2016133305
これらのステップS9〜S12の処理が、全画素に対して繰り返される(図7のステップS13)。
その後、信号出力部26は、赤外線撮像装置1の構成に応じて、上記T´(i,j)に応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成し、ディスプレイ装置に出力する(図7のステップS14)。
なお、ここでは、各画素に対して較正処理及び補正処理を順番に行なっていくようにしているが、これに限られるものではなく、例えば、各画素に対して較正処理を順番に行ない、全画素に対して較正処理が終わった後、各画素に対して補正処理を順番に行なうことで、全画素に対して補正処理を行なうようにしても良い。
ところで、上記の実施形態では、信号演算部25にて、各画素(i,j)からの出力電圧値V(i,j)から、較正曲線データ(ここでは較正曲線の係数)を用いて、各画素の較正後画素出力電圧値V(i,j)を算出する較正演算を逐次実行している。
これに対し、例えば信号処理部4の演算速度などを考慮して、較正後画素出力電圧値V(i,j)を逐次算出するのではなく、画素出力電圧値Vtl(i,j)と較正後画素出力電圧値Vtly(i,j)との対応関係をあらかじめテーブルとして作成し、これを較正データ演算部24に保存しておいても良い。
このような実施形態を以下に説明する。
図9は、赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の較正方法及び補正方法の第2の実施例を示すフローチャートである。図9及び図10を参照して、図9に示される較正方法について説明する。
なお、フローチャートにおいて、各ステップの実行順はフローチャートに示される順番に限定されるものではなく、動作に支障が生じない限りにおいてステップの実行順を前後させてもよい。
まず、ステップS21で、2次元アレイ21を所望のバイアス電圧を印加した動作状態に設定する。つまり、2次元アレイ21の各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態にする。
ステップS22で、スイッチ27を較正データ演算部24側に接続する。
ステップS23で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS24で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の全ての画素10から画素出力電圧の実測値V(i,j)を取得する。ここで、(i,j)は画素位置を示す。
このステップS24の動作は、適宜定めたm個の温度T(k=1〜m)の全てについて繰り返され、それぞれの温度T(k=1〜m)に対応した全ての画素10からの出力電圧の実測値V(i,j)を取得する(ステップS25)。
そして、出力電圧の実測値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から較正データ演算部24に供給され、較正データ演算部24に保存される。
なお、ここでは、温度板の温度T(k=1〜m)を指定して、温度板の温度T(k=1〜m)を調整できるようになっている。そして、指定された温度板の温度T(k=1〜m)が較正データ演算部24に入力されるようになっている。
ステップS26で、温度T(k=1〜m)に対応した全ての画素10からの出力電圧の理論予測値y(i,j)を求める。
そして、上述のようにして取得した実測値V(i,j)をx(i,j)とし、この実測値x(i,j)と、上述のようにして求めた理論予測値y(i,j)とを用いて、較正曲線を決定する。つまり、上述のようにして、較正曲線を決定するのに必要な実測値x(i,j)と理論予測値y(i,j)との組(x(i,j)、y(i,j))を求め、(x(i,j)、y(i,j))に対して上述の較正曲線決定方法で較正曲線を決定し、即ち、較正曲線を規定する関数を特定するのに必要な係数を求め、この較正に必要なデータ(ここでは較正曲線データ)を用いて、画素出力電圧値Vtl(i,j)と較正後画素出力電圧値Vtly(i,j)との対応を示すテーブル(較正テーブル)を作成し(ステップS27)、このテーブルを較正データ演算部24に保存する。
ここで、図10は、較正データ演算部24及び信号演算部25の構成の一例を示す図である。
較正データ演算部24は、AD変換部31、記憶制御部32、読出制御部33、テーブル作成部51、テーブル記憶部52を含む。また、信号演算部25は、演算部41、及びAD変換部42を含む。
AD変換部31は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から供給されたアナログの出力電圧をデジタル電圧値に変換する。
較正データ演算部24には、現在供給されている出力電圧の画素位置(i,j)を示すデータと、現在入射している赤外線源の温度T(k=1〜m)を示すデータとが供給される。
記憶制御部32は、全画素について、AD変換部31によるAD変換後のデジタル電圧値(実測値)V(i,j)を、テーブル作成部51、テーブル記憶部52に格納する。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値V(i,j)を格納し、また、現在の赤外線源の温度T(k=1〜m)も格納する。
テーブル作成部51は、全画素について、温度T(k=1〜m)に対応した理論予測値y(i,j)を、次式によって求める。
Figure 2016133305
ここで、V(i,j)、V(i,j)は、T、T(a、b∈1〜m)を用いて、次式によって決定しても良いし、適宜決定した値を用いても良い。
Figure 2016133305
なお、予め、別途取得ないしは決定したx、λあるいはxλの値が保存してあるものとする。
そして、テーブル作成部51は、全画素について、上述のようにして取得した実測値V(i,j)をx(i,j)とし、この実測値x(i,j)と、上述のようにして求めた理論予測値y(i,j)とを用いて、較正曲線を決定する。
ここでは、較正曲線を、上述の式(5)のような5次関数として決定し、較正曲線データとして、この5次関数の係数a(i,j)〜a(i,j)を、上述の式(6)を用いて求める。
その後、テーブル作成部51は、このようにして求めた、較正曲線データとしての係数a(i,j)〜a(i,j)を用いて、画素出力電圧値Vtl(i,j)と較正後画素出力電圧値Vtly(i,j)との対応を示すテーブル(較正テーブル)を作成し、このテーブルをテーブル記憶部52に保存する。
ここでは、以下のようにしてテーブルを作成する。
まず、装置を実際に稼働した場合に予想される画素出力電圧値V(i,j)の範囲が、
Figure 2016133305
であるとする。
この区間[Vtmin,Vtmax]を、適当な幅dVで適当な数の小区間[Vtl,Vtl+dV]の和に分割する。なお、ここで、小区間の幅dVは、すべての区間で一定であってもよいし、適宜変えてもよい。以下では簡単のためにdVは一定とする。
次に、小区間[Vtl,Vtl+dV]に含まれる値をもった画素出力電圧値Vtl(i,j)に対応した、較正後の画素出力電圧値Vtly(i,j)を求める。
ここで、較正曲線を上述したように5次関数として決定する場合、画素出力電圧値Vtl(i,j)から、較正曲線データとしての係数a(i,j)〜a(i,j)を用いて、次式によって、較正後の画素出力電圧値Vtly(i,j)を求める。なお、以下の式ではVtl(i,j)の(i,j)を省略している。
Figure 2016133305
このような較正後の画素出力電圧値Vtly(i,j)を求める処理を、区間[Vtmin,Vtmax]を構成する小区間[Vtl,Vtl+dV]のすべてに対して行なう。なお、この処理はすべての画素(i,j)について行なわれる。
そして、このようにしてすべての画素(i,j)について求められた較正後の画素出力電圧値Vtly(i,j)を、画素出力電圧値Vtl(i,j)と対応づけて、テーブルを作成する。
なお、ここまでのステップで、2点補正を行なう場合の補正点の温度T、Tに対応した画素出力電圧の実測値Vxc(i,j)、Vxd(i,j)を先に決定した較正曲線によって較正した較正後画素出力値Vyc(i,j)、Vyd(i,j)を用いて、2点補正を行なうのに必要な係数K(i,j)を次式によって求めて、較正データ演算部24に保存しておいても良い。なお、T、T、Vxc(i,j)、Vxd(i,j)は、上述のT、V(i,j)(k=1〜m)の中から適宜選んでも良いし、別途取得しても良い。
Figure 2016133305
以上により、較正及び補正に用いられるデータの取得が完了する。
次に、赤外線撮像装置1の通常の使用状態において、較正及び補正を実施して赤外線画像を得る動作が実行される。
図9のステップS28で、スイッチ27を信号演算部25側に接続する。
これにより、各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素(i,j)からの出力電圧値V(i,j)を信号演算部25に順次読みだす(図9のステップS29)。
図9のステップS30で、較正データ演算部24のテーブル記憶部52に格納されているテーブルから、各画素(i,j)の出力電圧値V(i,j)に対応した較正後の出力電圧値V(i,j)を読み出して、各画素(i,j)の出力電圧値V(i,j)に対応した較正後の出力電圧値V(i,j)を求める。また、必要に応じて2点補正を行なうのに必要なデータとして、係数K(i,j)、補正点の温度T及びこれに対応する画素信号出力Vyd(i,j)、あるいは、補正点の温度T、T及びこれらに対応する画素信号出力Vyc(i,j)、Vyd(i,j)を読み出す。
その後、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対して補正処理を施す(図9のステップS31)。
ここでは、まず、信号演算部25のAD変換部42は、各画素(i,j)からの出力電圧値V(i,j)をアナログ電圧からデジタル電圧値に変換する。
そして、信号演算部25の演算部41は、変換後のデジタル電圧値に対して較正処理を実施して、各画素(i,j)の画素出力電圧の実測値V(i,j)を較正した較正後画素出力電圧値V(i,j)を求める。
本実施形態では、信号演算部25の演算部41は、較正データ演算部24のテーブル記憶部52に格納されているテーブルから、各画素(i,j)の出力電圧値V(i,j)に対応した較正後の出力電圧値V(i,j)を読み出して、各画素(i,j)の出力電圧値V(i,j)に対応した較正後の出力電圧値V(i,j)を求める。
ここでは、例えばV(i,j)が、
Figure 2016133305
の範囲にある場合、較正データ演算部24のテーブル記憶部52に格納されているテーブルを用いて、
Figure 2016133305
とすることによって、各画素(i,j)の出力電圧値V(i,j)に対応した較正後の出力電圧値V(i,j)を読み出して、各画素(i,j)の出力電圧値V(i,j)に対応した較正後の出力電圧値V(i,j)を求める。
そして、信号演算部25の演算部41は、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対して補正処理を実施して、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T´(i,j)を求め、信号出力部26へ出力する(図9のステップS31)。
ここで、上述のステップS30で、2点補正を行なうのに必要なデータとして係数K(i,j)、補正点の温度T及びこれに対応する画素信号出力Vyd(i,j)が読み出された場合には、この係数K(i,j)、補正点の温度T及びこれに対応する画素信号出力Vyd(i,j)を用いて、次式によって2点補正を行なって、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T´(i,j)を求める。
Figure 2016133305
また、上述のステップS30で、2点補正を行なうのに必要なデータとして補正点の温度T、T及びこれらに対応する画素信号出力Vyc(i,j)、Vyd(i,j)が読み出された場合には、これらを用いて、2点補正を行なうのに必要な係数K(i,j)を次式によって求め、上述のように2点補正を行なって、各画素(i,j)の較正後画素出力電圧値V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T´(i,j)を求める。
Figure 2016133305
これらのステップS29〜S31の処理が、全画素に対して繰り返される(図9のステップS32)。
その後、信号出力部26は、赤外線撮像装置1の構成に応じて、上記T´(i,j)に応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成し、ディスプレイ装置に出力する(図9のステップS33)。
したがって、本実施形態にかかる赤外線検知装置によれば、読出回路3Aの入出力特性の非線形性を考慮して、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにすることができるという利点がある。
例えば、FPA型赤外線検知装置1では、各赤外線検知素子10の特性のばらつきや読出回路3Aの入出力特性の非線形性の影響を抑えることができ、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合に、各赤外線検知素子10からの電気信号を均一にすることができ、例えば2点補正を行なった場合に不均一性が残ってしまうのを抑制することができる。
ここで、図11は、上述の本実施形態の較正を行なった場合(較正及び線形補間による補正を行なった場合)の効果を示す図である。なお、図11では、上述の本実施形態の較正を行なった場合を実線Aで示しており、比較のために上述の本実施形態の較正を行なわなかった場合(線形補間による補正のみを行なった場合)を破線Bで示している。また、図11は、温度板温度と出力のバラツキ(標準偏差)との関係を示している。
図11から分かるように、上述の本実施形態の較正を行なった場合、上述の本実施形態の較正を行なわなかった場合と比較して、読出回路3Aの入出力特性の非線形性に起因する不均一性に伴う画像コントラストデータの不均一性が抑制されていることがわかる。
なお、本発明は、上述した実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、複数の赤外線検知素子10を備える赤外線検知装置1を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、単一の赤外線検知素子を備える赤外線検知装置に本発明を適用することもできる。この場合も、赤外線検知素子から出力される電気信号を、赤外線検知装置に備えられる信号処理部で較正することで、同一の強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにすることができる。
また、例えば、上述の実施形態において、補正処理としては、種々のものを採用しうる。例えば、2つの赤外線源を用いて、既知強度の赤外線を赤外線検知素子に入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号を取得し、これらの2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して、線形補間によって、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力される電気信号を補正するのが一般的である。
しかしながら、実際には、赤外線検知素子の入出力特性は線形ではないため、補正ずれが生じ、赤外線検知素子から出力される電気信号を補正して得られた赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)と、実際の対象物体からの赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)とが異なってしまうことになる。
例えば図12に示すように、赤外線検知素子に温度Tの黒体相当の強度の赤外線を入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号Vを取得する。また、赤外線検知素子に温度Tの黒体相当の強度の赤外線を入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号Vを取得する。そして、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力された電気信号がVであった場合、実際の赤外線検知素子の入出力特性(図12中、実線B参照)によれば、対象物体の温度はTであるとされ、赤外線検知素子から出力される電気信号が正しく補正されるべきところ、2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定すると(図12中、点線A参照)、対象物体の温度はT′であるとされ、赤外線検知素子から出力される電気信号が誤って補正されてしまうことになる。
ここで、赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して赤外線検知素子から出力される電気信号を補正する場合、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子から出力される電気信号の変化をdVとし、aを定数とし、Cを積分定数として、
Figure 2016133305
という関係式に基づいて、赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することになる。
そして、上述のように、補正ずれが生じ、誤って補正されてしまうのは、赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定し、上記関係式において定数aを用いていることに起因する。
そこで、実際の赤外線検知素子の入出力特性に応じて、赤外線検知素子から出力される電気信号を精度良く補正できるようにするのが好ましい。
例えば、信号処理部4は、既知温度T及びT(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号がV及びVである場合、
Figure 2016133305
によって求められたV、Vを用いて、
Figure 2016133305
によって、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度(未知温度)T(T≧T≧T)を求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正するのが好ましい。つまり、V,Vを用いて、任意の未知温度Tの対象物体(被撮像物体)からの赤外線(赤外光)に応じて赤外線検知素子から出力される電気信号Vを、上記の式を用いて適切に補正して、その温度T(黒体換算の温度;Tは絶対温度)を算出するのが好ましい。
このようにして補正を行なうことで、既知強度(既知温度)の2つの赤外線源からの赤外線を入射させて測定した2つの測定点を用いた2点補正を行なう場合に、これらの2つの測定点間を補間するのに、赤外線検知素子10の入出力特性に応じた補正曲線が用いられて、赤外線検知素子10から出力される電気信号が補正されることになる。このため、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に応じて、対象物体からの赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補正することが可能となり、未知温度(未知強度)の赤外線の温度(強度)に相当する電気信号を精度良く得ることが可能となる。
また、例えば、上述の実施形態では、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正しているが、これに限られるものではない。つまり、信号演算部25で、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求め、信号出力部26で、温度Tに応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、信号演算部で、赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tに応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしても良い。つまり、対象物体の温度(入射赤外線光量相当の黒体温度)Tを求めずに、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから、対象物体の温度Tと例えばテレビ画像出力のコントラスト信号の強度との対応関係に基づいて、例えばテレビ画像出力のコントラスト信号を生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしても良い。
ところで、上述の実施形態のように近似する手法とは別に、
Figure 2016133305
の形を、例えばプランクの輻射式から数値的に評価し、それを適当な関数g(T)で近似するという手法も考えられる。
ここで、関数g(T)は、温度Tの1次以上の整関数や指数関数など、数学的に取扱い可能な任意の関数が原理的には使用可能である。
この場合、対象物体の温度Tに対する赤外線検知素子の出力電気信号V(T)の関係は、すでに述べたのと同様にして、
Figure 2016133305
となる。
ここで、関数G(T)は、関数g(T)の原始関数の一つ、即ち、
Figure 2016133305
である。
この場合、未知係数Vは、以下のようにして決定することができる。
まず、上記の式に、既知温度Tに対して出力される電気信号Vを代入し、また、既知温度Tに対して出力される電気信号Vを代入すると、以下の2つの等式が得られる。
Figure 2016133305
そして、これらの式のうち、上側の式に、
Figure 2016133305
を掛け、下側の式に、
Figure 2016133305
を掛けて、辺々引き算することで、以下のように、未知係数Vを決定することができる。
Figure 2016133305
同様にして、未知係数Vも、以下のように、決定することができる。
Figure 2016133305
ところで、上述のようにして、未知係数Vを決定することができる。このため、信号処理部4は、赤外線検知素子10から出力される電気信号の暗電流相当成分Vd1を、第1既知温度T及び第2既知温度T(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号V及び第2電気信号Vを用いて、
Figure 2016133305
によって求める。
この場合も、上述の実施形態の場合と同様に、信号処理部4は、電流相当成分を、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数(即ち、温度を変数とする関数)を含む関係式から求めていることになる。
ここで、関係式は、赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号をVとし、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdVとし、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるg(T)(Tを変数とする関数)として、次式のように表される。なお、関数g(T)を、赤外線強度の温度に対する依存性を表す関数ともいう。
Figure 2016133305
つまり、信号処理部4は、関係式の赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数をg(T)として、
Figure 2016133305
で規定される関数G(T)を用いて、第1既知温度をTとし、第2既知温度をT(T>T)とし、第1電気信号をVとし、第2電気信号をVとして、第1暗電流相当成分Vd1を、
Figure 2016133305
によって求めていることになる。
ところで、例えば、g(T)を1次関数、即ち、
Figure 2016133305
とした場合、
Figure 2016133305
となる。
また、例えば、g(T)を指数関数、即ち、
Figure 2016133305
とした場合、
Figure 2016133305
となる。
ところで、このような関数f(T)の近似関数g(T)を用いる場合、
Figure 2016133305
なる関係を満たすx(T)を含む関数を考えると、
Figure 2016133305
であるから、
Figure 2016133305
となる。
これを上述の実施形態のVDCの式と比較すると、上述の関数g(T)を用いる手法は、数学的には上述の実施形態のVDCの式の定数xに対して実効的に対象物体の温度Tに対する依存性を加味した場合に相当することになる。つまり、関数g(T)を上述のようにした場合、上述の実施形態では実定数xを用いて近似した関数f(T)を用いるのに対し、温度Tの関数x(T)を用いて近似した関数g(T)を用いるのに相当することになる。これは、
Figure 2016133305
の形に近似した結果であるとも言うこともできる。
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
入射した赤外線に応じて電気信号を生成する赤外線検知素子と、
前記赤外線検知素子に生成された電気信号を読み出す読出回路と、
前記読出回路から出力される電気信号の実測値と理論予測値との対応関係に基づいて、前記読出回路から出力される電気信号を較正する信号処理部とを備えることを特徴とする赤外線検知装置。
(付記2)
前記信号処理部は、前記実測値と前記理論予測値との対応関係を示す較正曲線に基づいて、前記読出回路から出力される電気信号を較正することを特徴とする、付記1に記載の赤外線検知装置。
(付記3)
前記信号処理部は、温度Tの物体から放射される赤外線が前記赤外線検知素子に入射した場合に前記読出回路から出力される電気信号をV(T)とし、前記赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をkとし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとし、定係数V、Vとして、前記理論予測値を
Figure 2016133305
によって求めることを特徴とする、付記1又は2に記載の赤外線検知装置。
(付記4)
前記信号処理部は、第1温度Tの物体から放射される赤外線が前記赤外線検知素子に入射した場合に前記読出回路から出力される電気信号を第1電気信号Vとし、第2温度T(T>T)の物体から放射される赤外線が前記赤外線検知素子に入射した場合に前記読出回路から出力される電気信号を第2電気信号Vとして、定係数V、Vを、
Figure 2016133305
によって求めることを特徴とする、付記3に記載の赤外線検知装置。
(付記5)
前記第1温度及び前記第2温度は、前記実測値と前記理論予測値とが一致する温度であることを特徴とする、付記4に記載の赤外線検知装置。
(付記6)
前記信号処理部は、較正された電気信号を補正することを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の赤外線検知装置。
1 赤外線検知装置
2 赤外線イメージセンサ
3 読出回路チップ
3A 読出回路
4 信号処理部
5 バンプ
10 赤外線検知素子
11 容量素子
12 スイッチ
21 2次元アレイ(赤外線検知素子アレイ)
22 行選択スイッチ部
23 信号取り出し&シフトレジスタ部
24 較正データ演算部
25 信号演算部
26 信号出力部
27 スイッチ
31 AD変換部
32 記憶制御部
33 読出制御部
34 a(i,j)〜a(i,j)計算部
35 a(i,j)〜a(i,j)記憶部
41 演算部
42 AD変換部
51 テーブル作成部
52 テーブル記憶部

Claims (5)

  1. 入射した赤外線に応じて電気信号を生成する赤外線検知素子と、
    前記赤外線検知素子に生成された電気信号を読み出す読出回路と、
    前記読出回路から出力される電気信号の実測値と理論予測値との対応関係に基づいて、前記読出回路から出力される電気信号を較正する信号処理部とを備えることを特徴とする赤外線検知装置。
  2. 前記信号処理部は、前記実測値と前記理論予測値との対応関係を示す較正曲線に基づいて、前記読出回路から出力される電気信号を較正することを特徴とする、請求項1に記載の赤外線検知装置。
  3. 前記信号処理部は、温度Tの物体から放射される赤外線が前記赤外線検知素子に入射した場合に前記読出回路から出力される電気信号をV(T)とし、前記赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をkとし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとし、定係数V、Vとして、前記理論予測値を
    Figure 2016133305
    によって求めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の赤外線検知装置。
  4. 前記信号処理部は、第1温度Tの物体から放射される赤外線が前記赤外線検知素子に入射した場合に前記読出回路から出力される電気信号を第1電気信号Vとし、第2温度T(T>T)の物体から放射される赤外線が前記赤外線検知素子に入射した場合に前記読出回路から出力される電気信号を第2電気信号Vとして、定係数V、Vを、
    Figure 2016133305
    によって求めることを特徴とする、請求項3に記載の赤外線検知装置。
  5. 前記第1温度及び前記第2温度は、前記実測値と前記理論予測値とが一致する温度であることを特徴とする、請求項4に記載の赤外線検知装置。
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